説明

印刷ドライバー及び印刷指令装置

【課題】印刷ドライバーの変更をより容易に行う。
【解決手段】印刷ドライバー40は、UIリソーススクリプト44に、画面へ表示するオブジェクトの画像データを複数格納し、制御ファイル42に、オブジェクトに対応付けられた表示画面での動作の識別番号を格納しておき、オブジェクトに対応付けられている識別番号を制御ファイル42から取得し、表示画面上でこのオブジェクトが選択された際に、識別番号に対応する動作を実行した表示画面を表示出力する。例えば、表示出力モジュール41で定義されている動作が新たに加わる場合などにおいては、情報が格納されたUIリソーススクリプト44や制御ファイル42の内容を書き換えればよく、プログラムである表示出力モジュール41側の変更をする必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ドライバー及び印刷指令装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ドライバーとしては、プリンター内に印刷ドライバーの設定情報を保持し、ユーザー単位で印刷ドライバーの設定情報を管理し、必要なときに印刷ドライバーの設定情報をユーザーが使用するコンピューター(PC)に提供するものとし、異なるPC間における同一ユーザーに対する印刷ドライバーの設定情報の流用や、PCに依存しない印刷ドライバーの設定情報の管理や故障や誤動作による設定情報の損失からの容易な回復を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−231930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1などの印刷ドライバーは、プリンターの機能に応じて印刷設定の表示画面を変えなければならないことがある。例えば、ユーザーごとにプリンターの機能をカスタマイズする場合など、印刷ドライバーのプログラムの変更が必要であった。印刷ドライバーのプログラムは、比較的大規模であり、小変更であっても影響が多岐に亘ることがあり、また、プログラムの変更には、専門的な知識が必要であることから、その変更をより容易に行うことが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、変更をより容易に行うことができる印刷ドライバー及び印刷指令装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の印刷ドライバーは、
印刷装置の印刷処理に関する表示画面を表示出力する印刷ドライバーであって、
前記表示画面に配置するオブジェクトの画像データを複数格納したリソース情報と、
前記オブジェクトに対応付けられた、前記表示画面での動作に関する制御情報を格納した制御ファイルと、
前記制御情報に対応付けられた動作方法を有し、オブジェクトに対応付けられている前記制御情報を前記制御ファイルから取得し、前記表示画面上でオブジェクトが選択された際に該制御情報に対応する動作を実行した前記表示画面を表示出力する表示出力モジュールと、
を備えたものである。
【0008】
この印刷ドライバーでは、リソース情報に画面に表示するオブジェクトの画像データを複数格納し、制御ファイルに、オブジェクトに対応付けられた表示画面での動作に関する制御情報を格納しておき、オブジェクトに対応付けられている制御情報を制御ファイルから取得し、表示画面上でこのオブジェクトが選択された際に、制御情報に対応する動作を実行した表示画面を表示出力する。例えば、表示出力モジュールで定義されている動作が新たに加わる場合などにおいては、情報が格納されたリソース情報や制御ファイルの内容を書き換えればよく、プログラムである表示出力モジュール側の変更をする必要がない。したがって、動作を新たに追加するなどの、印刷ドライバーの変更をより容易に行うことができる。なお、この印刷ドライバーは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。この印刷ドライバーを一つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させるものとしてもよい。
【0009】
本発明の印刷ドライバーにおいて、前記制御ファイルは、マークアップ言語で記述されているものとしてもよい。こうすれば、タグの内容などを書き換えればよいから、制御ファイルの内容の変更をより容易に行うことができる。ここで、マークアップ言語としては、XML、XHTML、XAMLなどが挙げられる。
【0010】
本発明の印刷ドライバーにおいて、前記制御ファイルは、前記制御情報として前記表示画面での動作の識別番号を格納しているものとしてもよい。こうすれば、動作の指定を動作の識別番号により行うことができるから、動作に関する制御ファイルの内容の変更をより容易に行うことができる。
【0011】
本発明の印刷ドライバーにおいて、前記制御ファイルは、前記オブジェクトの識別番号を格納しており、前記表示出力モジュールは、前記オブジェクトの識別番号を前記制御ファイルから取得し、該取得したオブジェクトの識別番号を用いて前記表示画面を表示出力するものとしてもよい。こうすれば、オブジェクトの指定をオブジェクトの識別番号により行うことができるため、オブジェクトに関する制御ファイルの内容の変更をより容易に行うことができる。
【0012】
本発明の印刷ドライバーは、前記印刷装置で利用可能な機能を含む設定情報を格納した設定ファイル、を備え、前記表示出力モジュールは、前記設定ファイルに格納されている設定情報に応じた前記制御情報を前記制御ファイルから取得して前記表示画面を表示出力するものとしてもよい。こうすれば、印刷装置の利用可能な機能を変更する際には、情報が格納された設定ファイルを書き換えればよいから、印刷ドライバーの変更をより容易に行うことができる。
【0013】
本発明の印刷指令装置は、
印刷装置の印刷処理に関する表示画面を表示出力する印刷指令装置であって、
前記表示画面に配置するオブジェクトの画像データを複数格納したリソース情報と、前記オブジェクトに対応付けられた、前記表示画面での動作に関する制御情報を格納した制御ファイルと、を記憶する記憶手段と、
前記制御情報に対応付けられた動作方法を有し、オブジェクトに対応付けられている前記制御情報を前記制御ファイルから取得し、前記表示画面上でオブジェクトが選択された際に該制御情報に対応する動作を実行した前記表示画面を表示出力する表示出力手段と、
を備えたものである。
【0014】
この印刷指令装置では、上述した印刷ドライバーと同様に、表示出力モジュールで定義されている動作が新たに加わる場合などにおいては、情報が格納されたリソース情報や制御ファイルの内容を書き換えればよく、プログラムである表示出力モジュール側の変更をする必要がない。したがって、動作を新たに追加するなどの変更をより容易に行うことができる。なお、この印刷指令装置において、上述した印刷ドライバーの種々の態様を採用してもよいし、また、上述した印刷ドライバーの各機能を実現するような構成を追加してもよい。
【0015】
本発明の印刷指令装置の制御方法は、
印刷装置の印刷処理に関する表示画面に配置するオブジェクトの画像データを複数格納したリソース情報と、前記オブジェクトに対応付けられた、前記表示画面での動作に関する制御情報を格納した制御ファイルと、を記憶する記憶手段を備え、前記表示画面を表示出力する印刷指令装置の制御方法であって、
オブジェクトに対応付けられている前記制御情報を前記制御ファイルから取得し、前記表示画面上でオブジェクトが選択された際に該制御情報に対応する動作を実行した前記表示画面を表示出力するステップ、を含むものである。
【0016】
この印刷指令装置の制御方法では、上述した印刷ドライバーと同様に、表示出力モジュールで定義されている動作が新たに加わる場合などにおいては、情報が格納されたリソース情報や制御ファイルの内容を書き換えればよく、プログラムである表示出力モジュール側の変更をする必要がない。したがって、動作を新たに追加するなどの変更をより容易に行うことができる。なお、この印刷指令装置の制御方法において、上述した印刷ドライバーの種々の態様を採用してもよいし、また、上述した印刷ドライバーの各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プリンターシステム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】HDD35に記憶されている情報の説明図。
【図3】制御ファイル42の一例を示す説明図。
【図4】新たな機能を追加する説明図。
【図5】表示処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図6】印刷設定表示画面70の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるプリンターシステム10の構成の概略を示す構成図である。図2は、HDD35に記憶されている情報の説明図である。図3は、制御ファイル42の一例を示す説明図である。本実施形態のプリンターシステム10は、図1に示すように、大判印刷可能に構成されたプリンター20と、印刷設定画面を表示出力し印刷ジョブをプリンター20へ出力する印刷指令装置としての機能を有するユーザーパソコン(PC)30とを備えている。
【0019】
プリンター20は、装置全体をコントロールするコントローラー21と着色剤としてのインクを印刷媒体Sに吐出する印刷機構25とを備えている。コントローラー21は、各種処理プログラムを記憶したフラッシュメモリー23と一時的にデータを記憶するRAM24とを備え、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されている。印刷機構25は、キャリッジ軸に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ26と、各色のインクに圧力をかけノズルからインク滴を吐出する印刷ヘッド27と、各色のインクを収容しこの収容したインクを印刷ヘッドへ供給するインクカートリッジ28とを備えている。印刷ヘッド27は、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式によりインクを吐出するものとした。なお、印刷ヘッドは、ヒーターによりインクを加圧して印刷媒体Sに向かって吐出する方式を採用してもよい。インクカートリッジ28は、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)などの各色のインクを個別に収容している。
【0020】
ユーザーPC30は、ユーザーが使用する印刷指令装置として構成されたパソコンである。このユーザーPC30は、各種制御を実行するCPU32や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー33、データを一時記憶するRAM34などを備えたコントローラー31と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリーであるHDD35と、プリンター20などの外部機器と通信を行うインターフェイス(I/F)36とを備えている。HDD35には、印刷設定や印刷実行を行う印刷ドライバー40や、印刷実行時に利用されるスプールシステム48、実行プログラムであるアプリケーションプログラム49(例えば文書編集プログラム)などが記憶されている。
【0021】
また、ユーザーPC30は、ユーザーが各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置37や、各種情報を画面表示するディスプレイ38などを備えている。このユーザーPC30は、ディスプレイ38に表示されたカーソル等をユーザーが入力装置37を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー31やHDD35、I/F36、入力装置37及びディスプレイ38は、バス39によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。このユーザーPC30は、インストールされたプログラムによりプリンター20に対して印刷処理を指令したりプリンター20の情報を表示したりする。
【0022】
ここで、HDD35に記憶されている印刷ドライバー40について説明する。印刷ドライバー40は、プリンター20の印刷設定及び印刷実行に用いられる。この印刷ドライバー40は、印刷設定に関する画面を表示制御する表示出力モジュール41や、印刷設定画面での入力に対する動作の内容を識別番号で格納した制御ファイル42、データベースとしての設定ファイル43及びUIリソーススクリプト44、関連DLL群45などにより構成されている。表示出力モジュール41は、ディスプレイ38に表示される印刷処理に関する表示画面を制御するプログラムである。この表示出力モジュール41は、表示画面上での動作(振る舞い)に関する識別番号(制御情報)に対応付けられた動作方法を関連DLL群45と共有しており、オブジェクトに対応付けられている動作に関する識別番号とオブジェクトに対応付けられている識別番号とを制御ファイル42から取得し、表示画面上でオブジェクトが選択された際に、識別番号に対応する動作を実行した表示画面を表示出力する機能を有している。このとき、表示出力モジュール41は、設定ファイル43に格納されている設定情報に応じた識別番号を制御ファイル42から取得して表示画面を表示出力する。制御ファイル42は、詳しくは後述するが、表示画面に表示するオブジェクトの情報のほか、オブジェクトの選択などにおり、表示画面上でどのように動作するか(振る舞うか)の情報を、識別番号(ID)で格納している。この制御ファイルは、例えば、XMLベースのマークアップ言語で記述されている。設定ファイル43は、プリンター20で利用可能な機能を含む設定情報を格納したデータベースとして構成されている。UIリソーススクリプト44は、表示画面に配置するオブジェクトの画像データや、配置座標などの情報を複数格納したデータベースとして構成されている。なお、関連DLL群45は、OSや他のアプリケーションプログラムで共用されている。
【0023】
この印刷ドライバー40では、表示画面のオブジェクトが選択された際にどのように振る舞うかの情報を制御ファイル42に格納している。表示出力モジュール41では、予め動作方法が定められており、制御ファイル42の内容を解釈して表示制御を実現するよう構成されている。この動作方法とは、例えば、クリックされるとプルダウンメニューを表示する、や、クリックされると注意メッセージウインドウを開く、スライダー操作でオブジェクトを移動させる、などであり、それぞれに対応するタイプ(識別番号)が設定されている。制御ファイル42は、例えば、図3に示す書式で、印刷設定タブに関する情報、ダイアログに関する情報、各コントロールに関する情報、メッセージの情報等を、ノードツリーの形式で保持している。図3に示すように、例えば、「DocumentPropertySheetsInfo」は表示画面のタブに関する情報が保持されるタグであり、「PropertySheet」は各タブの情報が保持されるタグであり、「DialogInfo」はダイアログに関する情報が保持されるタグであり、「Dialog」は各ダイアログの情報が保持されるタグであり、「MessageInfo」はメッセージに関する情報が保持されるタグであり、「Message」は各メッセージの情報が保持されるタグである。また、各オブジェクトやコントロールに対しては、固有のIDが付与されている。例えば、「did」はダイアログIDであり、ダイアログごとに番号が対応付けられている。「type」は振る舞いに関する情報(制御情報)であり、そのオブジェクトの振る舞い方に応じて番号付けされている。「ctrlid」はコントロールID(制御情報)であり、コントロールごとに番号が対応付けられている。「fid」はファンクションIDであり、コントロールによってどのように変化するかがわかるように、例えば、給紙装置や用紙サイズなど、印刷機能ごとに番号が対応付けられている。「mid」はメッセージIDであり、メッセージごとに番号が対応付けられている。「captionid」はキャプションIDであり、見出しごとに番号が対応付けられている。「textid」はテキストIDであり、テキスト(文字列)ごとに番号が対応付けられている。そして、図2に示すように、各識別番号(ID)に対応付けられて、オブジェクトでは各データがUIリソーススクリプト44に格納されており、コントロールでは表示出力モジュール41が各動作方法を有している。
【0024】
設定ファイル43は、図2に示すように、印刷用紙サイズや印刷用紙種別の情報や、両面印刷、フチなし印刷、コピーなどプリンター20が利用可能な印刷機能の情報などが格納されている。この設定ファイル43を用いて、禁則条件などを把握可能となっている。UIリソーススクリプト44は、オブジェクトの画像や、配置位置、大きさなどの情報を複数格納している。また、テキスト(文字列)、メッセージなども格納している。このように、印刷ドライバー40では、機種に応じて設定ファイル43やUIリソーススクリプト44を差し替えればいいように、ローカライズされている。また、印刷ドライバー40では、1つの表示画面において、複数のダイアログを配列した構成となっており(後述図6参照)、各ダイアログに含まれるオブジェクトを上記識別番号の形式で制御ファイル42に記述している。そして、表示出力モジュール41が制御ファイル42の内容を解釈し、設定ファイル43で規定されているプリンター20の機能に応じた情報を、各識別番号を用いてUIリソーススクリプト44から取得することにより表示画面を構成するのである。
【0025】
次に、こうして構成された本実施形態の印刷ドライバー40において、ベンダーが印刷ドライバー40の内容を変更する際の処理について説明する。図4は、新たな機能を追加する説明図である。ここでは、一例として、ハガキサイズの印刷用紙を利用可能とし、印刷設定画面上でその用紙が選択された場合にメッセージを表示する、という変更を行う場合について説明する。まず、設定ファイル43の印刷可能用紙に、ハガキを追加し、これが選択されたときに表示されるメッセージ及び表示位置・サイズを識別番号を付与してUIリソーススクリプト44に格納する。そして、制御ファイル42に、印刷設定表示画面で、用紙サイズの選択ダイアログにおいて、ハガキが選択された際の振る舞いとしてメッセージウインドウを表示するコントロールIDを追加し、且つそのときに表示されるメッセージIDを追加する。例えば、制御ファイル42を用いない場合には、新たにメッセージを表示させるようにするには、表示出力モジュール41を改変する必要があった。表示出力モジュール41は、大規模なプログラムであり、その一部を書き換えた場合でも影響が多岐に亘るため、検査工数が多く必要であり、リスクを伴い柔軟性に欠けるものである。これに対して、印刷ドライバー40では、予め定義された動作であれば、プログラムではないデータを格納した制御ファイル42、設定ファイル43及びUIリソーススクリプト44の書き換えだけですみ、表示出力モジュール41の変更を行わなくてよい。このため、仕様変更やカスタマイズに柔軟に対応することができる。
【0026】
次に、印刷ドライバー40の動作、ユーザーPC30においてアプリケーションプログラム49から印刷ドライバーを起動し、印刷設定を行う際の動作について説明する。図5は、CPU32によって実行される表示処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。図6は、印刷設定表示画面70の説明図である。まず、ユーザーは、アプリケーションプログラム49を起動して印刷を行う画像を呼び出し、印刷ドライバー40を起動する。表示処理ルーチンは、印刷ドライバー40の起動後に実行される。
【0027】
このルーチンが開始されると、CPU32は、ユーザーの選択内容を取得し(ステップS100)、選択内容について調べる(ステップS110)。選択内容が他の画面表示である場合は、CPU32は、制御ファイル42から表示するタブに関する情報を取得し(ステップS120)、表示処理する(ステップS130)。この印刷設定表示画面70は、図6に示すように、複数のダイアログ、例えば、用紙種類などに関する第1プルダウンメニュー72や、色補正に関する第1チェックボックス73、給紙方法などに関する第1コンボボックス74、フチなし印刷に関する第2チェックボックス75、選択内容を決定する入力ボタン76などが配置されている。なお、これらは各々ダイアログとして構成されている。ステップS110で取得するタブに関する情報としては、例えば、第1プルダウンメニュー72では、プルダウンメニューのタイプや、コントロール、表示する画像及び文字列などの識別番号などが挙げられる。そして、表示処理では、表示出力モジュール41がこれらの識別番号のリストをスプールシステム48を介してOSへ出力し、これを受けたOSがUIリソーススクリプト44を参照して表示画面を生成し、表示出力モジュール41が表示出力する。そして、処理終了したか否かを、印刷設定表示画面70が閉じられたか否かに基づいて判定し(ステップS160)、処理終了していないときにはステップS100以降の処理を実行する。
【0028】
一方、ステップS110で選択内容がダイアログ(オブジェクト)であるときには、CPU32は、設定ファイル43から表示に必要な情報を取得し(ステップS140)、制御ファイル42から表示内容(例えばタイトル、本文、アイコンなど)の情報を取得し(ステップS150)、ステップS130で表示処理を実行する。例えば、第1コンボボックス74がカーソル71でクリックされた際には、設定ファイル43からプリンター20に対応する印刷用紙種別の情報を取得し、表示出力する。また、新たに加えられた「ハガキ」が選択された場合は、制御ファイル42のコントロールで規定されているように、UIリソーススクリプト44のメッセージを参照してメッセージ画面80を表示出力させる。そして、ステップS100で処理終了であるときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、CPU32は、表示出力モジュール41を実行することにより、制御ファイル42から表示画面の振る舞いの情報を取得し、設定ファイル43から対応する機能を取得し、UIリソーススクリプト44から表示させる内容を取得し、印刷設定表示画面70の表示制御を行うのである。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のUIリソーススクリプト44が本発明のリソース情報に相当し、制御ファイル42が制御ファイルに相当し、設定ファイル43が設定ファイルに相当し、表示出力モジュール41が表示出力モジュールに相当し、タイプ及びコントロールIDが制御情報及び動作の識別番号に相当し、ダイアログID,メッセージID及びテキストIDなどがオブジェクトの識別番号に相当する。なお、本実施形態では、ユーザーPC30の動作を説明することにより本発明の印刷指令装置の一例も明らかにしている。
【0030】
以上詳述した本実施形態の印刷ドライバー40によれば、UIリソーススクリプト44に画面に表示するオブジェクトの画像データを複数格納し、制御ファイル42に、オブジェクトに対応付けられた表示画面での動作の識別番号を格納しておき、オブジェクトに対応付けられている識別番号を制御ファイル42から取得し、表示画面上でこのオブジェクトが選択された際に、識別番号に対応する動作を実行した表示画面を表示出力する。例えば、表示出力モジュール41で定義されている動作が新たに加わる場合などにおいては、情報が格納されたUIリソーススクリプト44や制御ファイル42の内容を書き換えればよく、プログラムである表示出力モジュール41側の変更をする必要がない。したがって、動作を新たに追加するなどの、印刷ドライバー40の変更をより容易に行うことができる。また、動作の指定を動作の識別番号により行うことができるから、動作に関する制御ファイルの内容の変更を識別番号を用いてより容易に行うことができる。更に、制御ファイル42は、マークアップ言語で記述されているため、タグの内容などを書き換えればよいから、制御ファイルの内容の変更をより容易に行うことができる。更にまた、制御ファイル42には動作の識別番号や、オブジェクトの識別番号を格納しており、動作やオブジェクトの指定を識別番号により行うことができるから、動作やオブジェクトに関する制御ファイルの内容の変更をより容易に行うことができる。そして、設定ファイル43に格納されている設定情報に応じた表示内容を制御ファイル42から取得するから、印刷ドライバー40で、印刷装置の利用可能な機能を変更する際には、情報が格納された設定ファイルを書き換えればよいから、印刷ドライバー40の変更をより容易に行うことができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、設定ファイル43を有していたが、設定ファイル43の内容をUIリソーススクリプト44に格納してもよいし、これを省略してもよい。
【0033】
上述した実施形態では、制御ファイル42は、XMLベースのマークアップ言語で記述されているものとしたが、例えば、XHTMLで記述してもよいし、マークアップ言語以外(例えばバイナリなど)で記述してもよい。こうしても、制御ファイル42を用いて、印刷ドライバー40の変更をより容易に行うことができる。
【0034】
上述した実施形態では、制御情報として動作の識別番号を用いるものとしたが、動作を特定可能な情報であれば、例えば文字列など、特にこれに限定されない。
【0035】
上述した実施形態では、ベンダーが印刷ドライバー40の機能追加を行うものとしたが、特にこれに限定されず、ユーザーが行うものとしてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、ユーザーPC30を本発明の印刷指令装置として説明したが、プリンター20の印刷設定表示画面を表示出力するものであれば特にこれに限定されない。また、印刷ドライバー40の態様で説明したが、印刷指令装置の制御方法の態様としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 プリンターシステム、20 プリンター、21 コントローラー、22 CPU、23 フラッシュメモリー、24 RAM、25 印刷機構、26 キャリッジ、27 印刷ヘッド、28 インクカートリッジ、30 ユーザーパソコン(PC)、31 コントローラー、32 CPU、33 フラッシュメモリー、34 RAM、35 HDD、36 インターフェイス(I/F)、37 入力装置、38 ディスプレイ、39 バス、40 印刷ドライバー、41 表示出力モジュール、42 制御ファイル、43 設定ファイル、44 UIリソーススクリプト、45 関連DLL群、48 スプールシステム、49 アプリケーションプログラム、70 印刷設定表示画面、71 カーソル、72 第1プルダウンメニュー、73 第1チェックボックス、74 第1コンボボックス、75 第2チェックボックス、76 入力ボタン、80 メッセージ画面、S 印刷媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置の印刷処理に関する表示画面を表示出力する印刷ドライバーであって、
前記表示画面に配置するオブジェクトの画像データを複数格納したリソース情報と、
前記オブジェクトに対応付けられた、前記表示画面での動作に関する制御情報を格納した制御ファイルと、
前記制御情報に対応付けられた動作方法を有し、オブジェクトに対応付けられている前記制御情報を前記制御ファイルから取得し、前記表示画面上でオブジェクトが選択された際に該制御情報に対応する動作を実行した前記表示画面を表示出力する表示出力モジュールと、
を備えた印刷ドライバー。
【請求項2】
前記制御ファイルは、マークアップ言語で記述されている、請求項1に記載の印刷ドライバー。
【請求項3】
前記制御ファイルは、前記制御情報として前記表示画面での動作の識別番号を格納している、請求項1又は2に記載の印刷ドライバー。
【請求項4】
前記制御ファイルは、前記オブジェクトの識別番号を格納しており、
前記表示出力モジュールは、前記オブジェクトの識別番号を前記制御ファイルから取得し、該取得したオブジェクトの識別番号を用いて前記表示画面を表示出力する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷ドライバー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷ドライバーであって、
前記印刷装置で利用可能な機能を含む設定情報を格納した設定ファイル、を備え、
前記表示出力モジュールは、前記設定ファイルに格納されている設定情報に応じた前記制御情報を前記制御ファイルから取得して前記表示画面を表示出力する、印刷ドライバー。
【請求項6】
印刷装置の印刷処理に関する表示画面を表示出力する印刷指令装置であって、
前記表示画面に配置するオブジェクトの画像データを複数格納したリソース情報と、前記オブジェクトに対応付けられた、前記表示画面での動作に関する制御情報を格納した制御ファイルと、を記憶する記憶手段と、
前記制御情報に対応付けられた動作方法を有し、オブジェクトに対応付けられている前記制御情報を前記制御ファイルから取得し、前記表示画面上でオブジェクトが選択された際に該制御情報に対応する動作を実行した前記表示画面を表示出力する表示出力手段と、
を備えた印刷指令装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−221093(P2012−221093A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84441(P2011−84441)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)