説明

印刷制御装置、方法及びプログラム

【課題】 印刷手段の複数のメンテナンス処理を効率的に実行させること。
【解決手段】 互いの共通の処理であるクリーニングAを含む、メンテナンス01とメンテナンス02とを実行するための条件が成立した場合、クリーニングAを1つに統合させたメンテナンス03を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は所定の条件が成立した場合にメンテナンス処理を行う印刷制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクやトナーなどの記録剤を用いて画像の印刷を行う印刷装置において、例えばキャリブレーション処理などのメンテナンス処理を行うものが知られている(特許文献1参照)。また、このようなメンテナンス処理は、例えば所定時間経過毎、所定枚数印刷毎、所定ドット数の印刷毎など種々の条件の成立に応じて実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−131809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メンテナンス処理を実行すべき種々の条件がそれぞれ近い時期に成立した場合、短い期間に同じ内容のメンテナンス処理が実行されてしまう。そのため、メンテナンス処理が行われている間、通常の印刷ジョブを長時間待たせたり、無駄にメンテナンス処理が行われてしまうなどの問題が発生してしまう。
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、メンテナンス処理を効率的に実行させることのできる印刷制御装置、方法及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の印刷制御装置は、印刷手段を用いて印刷処理を行わせる印刷制御装置であって、前記印刷手段のメンテナンス処理を行うための条件が成立したか判断する判断手段と、第1のメンテナンス処理が完了する前に前記判断手段により第2のメンテナンス処理を実行させるための条件が成立した場合に、前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とで重複する処理を統合する統合手段と、前記統合手段により重複する処理を統合した上で前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とを実行させる制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷手段のメンテナンス処理として複数のメンテナンス処理を行うべき場合、重複した処理を統合した上で複数のメンテナンス処理を実行させるので、効率的にメンテナンス処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の一例である画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御に関わる構成を示すブロック図である。
【図3】メンテナンス01を単独で実施する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】メンテナンス02を単独で実施する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】複数のメンテナンスジョブを結合したメンテナンス03を実施する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】メンテナンスジョブの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、この実施の形態で用いる装置の各構成要素の相対配置、装置形状等は、あくまで例示であり、それらのみに限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施形態における印刷制御装置の一例となる画像形成装置の概略構成を示す図である。図1の画像形成装置は、外部装置から受信したデータを印刷する印刷機能のみを有したものを示すが、これに限らず、原稿上の画像を読取る読取装置をさらに備えて複写機として機能するものや他の機能を加えた複合装置としてもよい。
【0011】
また、印刷処理を行う記録材(被記録媒体または記録シート)としてロールシートを用いたものを例に説明する。このロールシートは連続シートの例であるが、同一面への複数ページ分の印刷を途中で切断せずに続けて行える長尺の連続シートであれば、ロール状となったものには限らない。また、連続シートの切断は、画像形成装置が自動的に切断するものであってもよいし、ユーザがマニュアル指示を行って切断するものであってもよい。記録材の材質も紙には限らず、印刷処理可能なものであれば種々のものを用いることができる。また、画像形成装置は、連続シートへの印刷のみではなく、所定のサイズに予めカットされたカットシートへの印刷をも可能な画像形成装置としてもよい。
【0012】
また、印刷方式は後述する画像印刷用液体インクを用いたインクジェット方式による画像の印刷には限らない。記録材に付与する記録剤として固形インクを用いてもよいし、トナーを用いた電子写真方式、昇華方式、熱転写方式、ドットインパクト方式など種々のものを採用可能である。また、複数色の記録剤を用いたカラー記録を行うものには限らず、黒色(グレーを含む)のみによるモノクロ記録を行うものとしてもよい。また、印刷は、可視画像の印刷には限らず、不可視もしくは視認が困難な画像の印刷としてもよいし、一般的な画像以外の、例えば配線パターン、部品の製造における物理的パターン、DNAの塩基配列等のプリントなど種々のものの印刷としてもよい。つまり、記録剤を記録材に付与可能なものであれば種々のタイプの記録装置に適用可能である。また、図1の画像形成装置と接続された外部装置からの指示で当該画像形成装置における印刷処理の動作を制御させる場合、この外部装置が印刷制御装置となる。
【0013】
図1は、記録材としてロールシート(搬送方向において印刷単位(1ページ)の長さよりも長い連続した連続シート)を用いた画像形成装置の全体構成の概略を示す断面図である。画像形成装置は、以下の構成要素101〜115を含み、これらが1つの筐体内に配置される。ただし、これらの構成要素を複数の筐体に分けて構成してもよい。
【0014】
制御ユニット108は、コントローラ(CPUまたはMPUを含む)やユーザインターフェース情報の出力器(表示情報や音響情報などの発生器)、各種I/Oインターフェースを備えた制御部を内蔵し、画像形成装置全体の各種制御を司る。
【0015】
ロールシートを保持し、そして供給するユニットとして上段シートカセット101aと下段シートカセット101bの2基を備える。使用者はロールシート(以下、シート)をマガジンに装着してから画像形成装置本体に装填する。上段シートカセット101aから引き出されたシートは図中a方向に、下段シートカセット101bから引き出されたシートは図中b方向にそれぞれ搬送される。いずれのカセットからのシートも図中c方向に進行して搬送ユニット102に到達する。搬送ユニット102は、複数の回転ローラ104を通して印刷処理中にシートを図中d方向(水平方向)に搬送する。供給元のシートカセットを一方から他方に切り替える際は、既に引き出されているシートをカセット内に巻き戻し、新たに供給させるシートがセットされているカセットから新たに供給する。
【0016】
搬送ユニット102の上方にはヘッドユニット105が搬送ユニット102と対向して配置される。ヘッドユニット105では複数色(本実施形態では7色)分の独立した印刷ヘッド106がシートの搬送方向に沿って保持されている。本例ではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つの印刷ヘッドを有す。もちろん、これら以外の色を用いたものでもよいし、これらの全てを用いる必要もない。
【0017】
本画像形成装置は、搬送ユニット102によるシートの搬送に同期させて、印刷ヘッド106からインクを吐出させてシート上に画像を形成する。なお、印刷ヘッド106はインクの吐出先が回転ローラ104と重ならない位置に配置される。インクはシートに直接吐出させるのに代え、中間転写体にインクを付与した後、そのインクをシートに付与することによって画像を形成させるものとしてもよい。
【0018】
これら搬送ユニット102、ヘッドユニット105、印刷ヘッド106を含んで本実施形態の印刷用ユニットが構成されている。
【0019】
インクタンク109は各色のインクを独立して貯蔵する。インクタンク109からはチューブによって各色に対応して設けられたサブタンクまでインクが供給され、サブタンクから各印刷ヘッド106までチューブを介してインクが供給される。印刷ヘッド106は、印刷時の搬送方向d方向に沿って各色(本実施形態では7色)のラインヘッドが並んでいる。各色のラインヘッドは、継ぎ目無く単一のノズルチップで形成されたものであってもよいし、分割されたノズルチップが一列又は千鳥配列のように規則的に並べられたものであってもよい。本実施形態では、本装置が使用可能な最大サイズのシートの印刷領域の幅分をカバーする範囲にノズルが並んでいる所謂フルマルチヘッドとする。ノズルからインクを吐出するインクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。印刷データに基づいて各ヘッドのノズルからインクが吐出されるが、吐出のタイミングは搬送用エンコーダ103の出力信号によって決定される。
【0020】
また、印刷ヘッド106の幅は本画像形成装置において使用可能なシートの幅より長く、一回の記録で全ノズルから吐出されることはない。従って、印刷ヘッド106のシート上へのインク吐出によるメンテナンスの際は、印刷ヘッド106をシートの搬送方向と直交する方向に移動(Y移動)させながら全ノズルからの吐出処理を行う。即ち、1回目の吐出処理では、印刷ヘッド106の全ノズルのうち一部のノズルからインクをシート上に吐出させ、2回目の吐出処理では印刷ヘッド106をY移動させ、残りのノズルからインクをシート上に吐出させる。また、印刷ヘッド106のメンテナンス処理としては印刷ヘッド106の吸引処理及び吐出面の拭き取り(ワイピング処理)、インク不吐出ノズルの補正処理、インク吐出のばらつきの補正処理、インク吐出量の補正、予備吐出処理など種々のものがある。これらのメンテナンス処理は所定時間経過毎、待機時間が所定時間に経過した場合、所定ページ数の印刷毎、ドットカウント(インク吐出ドット数)が所定数に達する毎などによって実行される。また、これらのタイミング毎に異なるメンテナンス処理が実行されることもある。
【0021】
シートに画像が形成された後、当該シートは搬送ユニット102から、スキャナユニット107まで搬送される。スキャナユニット107では、シート上の印刷画像や特殊パターンを光学的に読取って印刷画像に問題がないかどうかの確認や、インクの吐出状態を含む本装置の状態確認等を行う。印刷画像の確認方法としては、ヘッドの状態の確認するためのパターンを読み込むことによるインクの吐出状態を確認するものでもよいし、元画像との比較を行うことによる印刷の成否を確認するものでもよい。確認の方法は種々のものの中から適宜選択することが可能である。
【0022】
シートはスキャナユニット107近傍からe方向に搬送され、カッタユニット110に導入される。カッタユニット110ではシートを所定の印刷単位の長さ毎に切断する。印刷する画像サイズに応じてこの所定の印刷単位の長さは異なる。例えばL版サイズの写真では搬送方向の長さは135mm、A4サイズでは搬送方向の長さは297mmとなる。カッタユニット110は、片面印刷の場合はページ単位でシートを切断するが、印刷ジョブの内容によってはページ単位で切断しない場合もある。また、カッタユニット110は両面印刷の場合、シートの第1面(先に印刷が行われる面。たとえばおもて面)はページ単位で切断せずに所定の長さ分まで画像を連続して印刷し、第2面(後に印刷が行われる面。たとえば裏面)を印刷した場合にページ単位で切断する。なお、カッタユニット110は、片面印刷や両面印刷の裏面印刷に際し、1枚の画像毎に切断するものに限らない。所定の長さ分搬送されるまで切断せず、所定の長さまで搬送された後で切断し、1枚(1頁)の画像毎に切り離すのは別のカッタ装置で手動操作等によって切断するものとしてもよい。またシートの幅方向に関しては、切断が必要な場合、別のカッタ装置を用いて切断することになる。
【0023】
カッタユニット110から搬送されたシートは、ユニット内を図中f方向に搬送され、裏面印字ユニット111に搬送される。裏面印字ユニット111は、シートの片面のみに画像を印刷する場合に、シートの裏面に所定の情報を印刷させるためのユニットである。シートの裏面に印刷する情報としては、印刷画像毎に対応した文字、記号、コード等の情報(例えば、オーダー管理用番号等)が含まれる。裏面印字ユニット111は、印刷ヘッド106が両面印刷の印刷ジョブのための画像を印刷する場合、印刷ヘッド106が画像を印刷する領域以外に上記のような情報を印刷する。裏面印字ユニット111は、記録剤の押印、熱転写、インクジェットなどの方式を採用可能である。
【0024】
裏面印字ユニット111を通ったシートは、次に乾燥ユニット112に搬送される。乾燥ユニット112は、インクが付与されたシートを短時間で乾燥させるために、ユニット内を図中g方向に通過するシートを温風(加温された気体(空気))で加熱するユニットである。なお、乾燥の方法は温風を用いるのに代え、冷風、ヒーターによる加温、待機させることのみによる自然乾燥、紫外光等の電磁波の照射など種々のものも採用可能である。印刷単位長さに切断されたシートは1枚ずつ乾燥ユニット112内を通過して、図中h方向に搬送されて仕分けユニット114に搬送される。
【0025】
仕分けユニット114は、複数のトレー(本実施形態では18個)を保持しており、印刷単位の長さ等に応じでシートの排出先のトレーを区別する。各トレーにはトレー番号が割り当てられている。仕分けユニット114では、ユニット内を図中i方向に通過するシートを、各トレー上に設けられたセンサでトレーの空きやシートが満載か否かなどを確認しながら印刷画像毎に設定されたトレー番号に対応するトレーに排出していく。切断されたシートの排出先となるトレーは、印刷ジョブの発行元(ホスト装置)で特定のものが指定される場合や、画像形成装置側で空いているトレーが任意に指定される場合がある。1つのトレーには予め決められた枚数まで排出可能である。この予め決められた枚数を超える印刷ジョブの場合、複数のトレーに跨って排出される。トレーに対して排出可能なシートの枚数やサイズ、種類などは、そのトレーの大きさ(タイプ)等によって異なっている。図1において縦(上下)に並んでいるトレー(以下、大トレー)は大サイズ(A4サイズ等、L版サイズより大きいもの)のシート、小サイズ(L版サイズ)のシートの排出が可能である。また、横(左右)に並んでいるトレー(以下、小トレー)は小サイズ(L版サイズ)のシートの排出が可能であるが大サイズのシートの排出はできない。そして、大トレーの方が小トレーより排出可能なシートの出力枚数が多い。また、シート排出中や排出完了等の状態は、表示器を用いてユーザが識別可能にする(例えば、LED等を用いる)。例えば、トレーのそれぞれに互いに異なる色で発光する複数のLEDを設け、点灯しているLEDの色や点灯状態か点滅状態かなどによって各トレーの種々の状態をユーザに通知可能である。また、複数のトレーのそれぞれには優先順位を付すことができ、画像形成装置200は、印刷ジョブを実行するにあたり、空いている(シートが存在しない)トレーを、優先順位に従って順にシートの排出先として割り当てていく。デフォルトでは、大トレーは上のトレーほど優先順位が高く、小トレーは左側ほど優先順位が高い。また大トレーより、小トレーの優先順位が高い。この優先順位はユーザがシートを取り出しやすい位置の優先順位を予め高く設定しておいてもよい。またユーザによる操作等で適宜変更可能なものとしてもよい。
【0026】
シート巻取りユニット113は、ページ毎に切断されずにおもて面が印刷されたシートの巻取りを行う。両面印刷の際にはまずおもて面に画像形成が行われたシートを、カッタユニット110でページ単位では切断せず、連続したおもて面の印刷が終了した後に切断する。おもて面が印刷されたシートは、ユニット内を図中のj方向に通過し、シート巻取りユニット113が巻取る。そして、一連のページ分のおもて面の画像形成が終了して、巻き取られたシートは、先のおもて面とは反対面を印刷可能な面にして、つまり印刷ヘッド106に対向させる面を反転させて、再度ユニットの図中のk方向に搬送される。このように搬送させることで、先のおもて面とは反対の裏面の画像の印刷を行わせる。通常の片面印刷の場合は、画像が印刷されたシートは、シート巻取りユニット113による巻取りを行わせずに仕分けユニット114に搬送される。
【0027】
このように、シートの両面印刷の際は、シート巻取りユニット113を用いてシートの巻取りを行い、シートを反転させて裏面の印刷を行う。そのため、シートの片面のみへの印刷のときとシートの両面への印刷のときとでは仕分けユニット114への排紙の際のシートの面が異なる。即ち、片面印刷の場合はシート巻取りユニット113を用いたシートの反転が行われないので、先頭ページの画像が印刷されたシートは先頭ページの画像が下を向いた状態で排出される。そして1つの印刷ジョブが複数ページあるジョブの場合、先頭ページのシートからトレーに排出され、以後後続のページへと順次排出されシートが重なっていく。このような排出をフェイスダウン排出と呼ぶ。一方、両面印刷の場合はシート巻取りユニット113を用いたシートの反転が行われるので、先頭ページの画像が印刷されたシートは先頭ページの画像が上を向いた状態で排出される。そして1つの印刷ジョブが複数枚のシートの出力を行うジョブの場合、最後のページを含むシートからトレーに排紙され、以後若いページのシートへと順次排出されシートが重なっていき、最終的に先頭ページの画像が印刷されたシートが排出される。このような排出をフェイスアップ排出と呼ぶ。なお、片面印刷の場合と両面への印刷の場合とでシートの排出の際のシートの面を同じ(フェイスアップまたはフェイスダウンに統一)とすべく、片面印刷時と両面印刷時とで第1面の印刷順序(降順とするか昇順とするか)を変えるようにしてもよい。
【0028】
操作ユニット115は、ユーザが種々の操作を行ったり、ユーザに種々の情報を通知したりするためのユニットである。例えば、ユーザに指定された画像が印刷されたシートはどこのトレーに積載されているか、あるいは当該画像が印刷中か印刷終了かなど、オーダー毎の印刷状況の確認が可能である。また、インク残量や、シートの残量等、装置の各種状態の確認、ヘッドクリーニング等の装置メンテナンスの実施の指示を行うためにユーザが操作/確認可能である。
【0029】
図2は、図1で示した画像形成装置における制御に関わる構成を説明するためのブロック図である。画像形成装置200は図1に示した画像形成装置である。
【0030】
CPU201、ROM202、RAM203、画像処理部207、エンジン制御部208、スキャナ制御部209が主に制御ユニット108に含まれる。そして、制御ユニット108にHDD204、操作部206、外部I/F205などがシステムバス210を介して接続される。
【0031】
CPU201は、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)形態の中央演算処理部であり、図1の制御ユニット108に含まれる。CPU201は、プログラムの実行やハードウェアの起動により画像形成装置200全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201が実行するためのプログラムや画像形成装置200の各種動作に必要な固定データを格納する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。HDD204は、CPU201が実行するためのプログラム、印刷データ、画像形成装置200の各種動作に必要な設定情報を、内蔵するハードディスクに記憶させたり、読み出したりすることが可能である。また、HDD204は印刷ジョブを管理するキューを構築し、画像形成装置200に投入されたジョブを順次キューに登録する。なお、HDD204に代えて、他の大容量記憶装置としてもよい。後述するフローチャートは、CPU201がROM202またはHDD204に記憶されたプログラムコードをRAM203にロードし、それを実行することによりなされる処理の流れを示す。
【0032】
操作部206は、ユーザが種々の操作を行うためのハードキーやタッチパネル、またユーザに種々の情報を提示(通知)するための表示部を含み、図1の操作ユニット115に対応するものである。またユーザへの情報の提示は音声発生器からの音響情報に基づく音響(ブザー、音声等)を出力することによっても行うこともできる。
【0033】
画像処理部207は、画像形成装置200で扱う印刷データ(例えば、ページ記述言語で表されたデータ)の画像データ(ビットマップ画像)への展開(変換)や画像処理を行う。入力された印刷データに含まれる画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換する。また、画像データに対し、有効な(画像形成装置200が印刷処理可能な)画素数への解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られた画像データは、RAM203または、HDD204に格納される。また、画像処理部207と外部I/F205とは画像形成装置200の主電源とは別に電源を供給することが可能である。そして、主電源をOFFにした状態でホスト装置211から印刷ジョブを受け付け、一部の画像処理を施した状態でHDD204に記憶させておくことが可能である。また、画像形成装置200の主電源をOFFにして画像処理部207に電源を供給させておくことにより、メンテナンス処理をジョブとしてHDD204において待機させておくことも可能である。
【0034】
エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに応じて、印刷データに基づく画像をシート上に印刷する処理の制御を行う。各色の印刷ヘッド106へのインク吐出指示や、記録媒体上でのドット位置(インクの着弾位置)を調整するための吐出タイミング設定、ヘッド駆動状態取得に基づく調整等を行う。印刷データに応じて印刷ヘッドの駆動制御を行い、印刷ヘッドからインクを吐出させシート上に画像を形成させる。また、カセットからシートを引き出す引き出しローラの駆動指示、引き出されたシートを搬送させる搬送ローラの駆動指示、搬送ローラの回転状況取得等を行う等、搬送ローラの制御を行い、シートを適切な速度及び経路で搬送および停止させる。
【0035】
スキャナ制御部209は、CPU201等から受信した制御コマンドに応じて、イメージセンサーの制御を行い、シート上の画像を読取り、赤(R)、緑(G)および青(B)色のアナログ輝度データを取得し、デジタルデータに変換する。イメージセンサーとしては、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサー等を採用可能である。また、イメージセンサーはリニアイメージセンサーとしてもエリアイメージセンサーとしてもよい。また、スキャナ制御部209は、イメージセンサーの駆動指示、該駆動に基づくイメージセンサーの状況取得を行い、イメージセンサーから取得した輝度データを解析し、印刷ヘッド106からのインクの不吐やシートの切断位置の検出等を行う。スキャナ制御部209で画像が正しく印刷されていると判定されたシートは、シート上のインクの乾燥処理が施された後に、指定された仕分けユニットのトレーに排出される。
【0036】
ホスト装置211は、上述した外部装置に対応し、本画像形成装置200の外部に接続され、画像形成装置200に印刷を行わせるための画像データの供給源となる装置であり、種々の印刷ジョブのオーダーを発行する。
【0037】
ホスト装置211は、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)によって実現してもよいし、他のタイプのデータ供給装置としてもよい。他のタイプのデータ供給装置としては、画像をキャプチャーして画像データを生成する画像キャプチャー装置がある。画像キャプチャー装置は、原稿上の画像を読取って画像データを生成するリーダ(スキャナ)、ネガフィルムやポジフィルムを読取って画像データを生成するフィルムスキャナなどである。また、画像キャプチャー装置の他の例として静止画を撮影してデジタル画像データを生成するデジタルカメラ、動画を撮影して動画像データを生成するデジタルビデオもある。その他、ネットワーク上にフォトストレージを設置したり、着脱可能な可搬性メモリを挿入するソケットを設けたりし、フォトストレージや可搬性メモリに格納された画像ファイルを読み出して画像データに生成して印刷するものとしてもよい。また、汎用的なPCに代え、本画像形成装置専用の端末とするなど、種々のデータ供給装置としてもよい。これらのデータ供給装置は画像形成装置の構成要素としてもよいし、画像形成装置の外部に接続した別の装置としてもよい。また、ホスト装置211をPCとした場合、PCの記憶装置に、OS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、画像形成装置200用のプリンタドライバがインストールされる。プリンタドライバは、本画像形成装置200を制御したり、アプリケーションソフトウェアから供給された画像データを画像形成装置200が扱える形式に変換して印刷データを生成したりする。また、印刷データから画像データへの変換をホスト装置211側で行ってから画像形成装置200に供給するようにしてもよい。なお、以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現するようにしてもよい。ホスト装置211から供給される画像データやその他のコマンド、更にステータス信号等は、外部I/F205を介して画像形成装置200と送受信可能である。外部I/F205はローカルI/FであってもネットワークI/Fであってもよい。また、外部I/F205は、有線による接続であっても無線による接続であっても構わない。
【0038】
画像形成装置200内の上記した各構成はシステムバス210を介して接続され、互いに通信可能である。
【0039】
なお、以上の例では、1つのCPU201が図2に示した画像形成装置200内の全ての構成要素を制御するものとしたが、この構成以外としてもよい。即ち、各機能ブロックのいくつかが別途CPUを備え、それぞれのCPUによって個別に制御するものとしてもよい。また、各機能ブロックは図2に示した構成以外の分担のさせ方により個別の処理部または制御部として適宜分割したり、いくつかを統合したりするなど、種々の形態を採用可能である。また、メモリからのデータの読み出しにはDMAC(Direct Memory Access Controller)も用いることもできる。
【0040】
次に画像形成装置200におけるメンテナンス処理について説明する。図3は、印刷ヘッド106が吐出したドット数(ドットカウント)が規定値を超えている場合に行われるメンテナンス01の処理の流れを示すフローチャートである。メンテナンス01では、クリーニングA、メンテナンスA、メンテナンスBを順次行う。クリーニングAでは、印刷ヘッド106の全ノズルの吸引処理を実行し、さらに印刷ヘッド106の吐出面の拭き取り(ワイピング)を行う。メンテナンスAでは、印刷ヘッド106を用いてシート上にメンテナンスA用の所定のパターンを印刷し、その画像をスキャナユニット107で読み取らせることにより、印刷ヘッド106の吐出不良を検知し、それを補正する処理を行う。メンテナンスBでは、印刷ヘッド106を用いてシート上にメンテナンスB用の所定のパターンを印刷し、その画像をスキャナユニット107で読み取らせることにより、印刷ヘッド106の各ノズルからのインクの吐出状態のばらつきの補正を行う。CPU201は、印刷ヘッド106がインクを吐出する度にドットカウント値を加算していき、ドットカウント値が規定値を超えていると判断された場合にメンテナンス01を実行させる。ドットカウント値はRAM203に記憶するものとし、規定値は予め決められた値である。また、CPU201は、メンテナンス01をジョブとして管理し、通常の印刷ジョブ(ホスト装置211から投入される印刷ジョブ)と同様に扱う。
【0041】
S301では、印刷ヘッド106のドットカウント値がメンテナンス01ジョブを実施する必要がある規定値を超えているか確認する。規定値を超えていると判断された場合、メンテナンス01のジョブを画像処理部205によって生成する。これにより通常の印刷ジョブと同じキューに当該メンテナンス用のジョブが登録されることになるが、メンテナンス処理はできる限り早く開始させるため、まだ印刷が開始されていない印刷ジョブより先に実行されるようキューの順序を入れ替える。即ち、待機中の印刷ジョブの先頭に当該メンテナンス処理のジョブを登録する。ただし、他のメンテナンス処理のジョブが既にキューに存在する場合、そのジョブの後に登録する。
【0042】
キューに登録されたメンテナンス01を実行する順番になると、S302においてカセット101a、101bにセットされているシートのうちメンテナンス処理に使用可能なシートを選択する。メンテナンス処理に使用可能なシートはシートのサイズ及び材質に従って予め優先順位が設定され、カセット101aまたは101bにセットされているシートのうち優先順位のより高いものを選択する。優先順位は最も無駄な領域が少なくなるサイズのシートを高くする。即ち、印刷ヘッド106の幅の半分の幅に近いサイズのシートの優先順位を高く設定する。また、シートの材質は普通紙、光沢紙の順に優先順位を高くする。
【0043】
そしてS303において、画像形成装置200において印刷が行えないようなエラーが発生しているか判断し、エラーが発生していると判断された場合には操作部206にエラー表示をするなどしてここで処理を終了する。エラーが発生していないと判断された場合にはS304に進む。
【0044】
S304では、クリーニングAの処理を実行する。クリーニングAの処理が終了するとS305に進み、印刷ヘッド106の一部のノズル群を用いて1回目のメンテナンスAの処理を行う。そしてS306に進み印刷ヘッド106の全幅分(全ノズル)のメンテナンスAの処理が終わったと判定されるまで、S307において印刷ヘッド106のY移動、処理対象のノズルの変更を行い、メンテナンスAの処理を繰り返す。ここでメンテナンスAの処理を繰り返す回数はS302で選択されたシートの幅に応じて異なる。メンテナンスAの処理においてはメンテナンスA用パターンの印刷の際のシート搬送速度と、印刷されたパターンをスキャナユニット107で読み取らせる際のシート搬送速度とが異なる(後者の方が低速)。従って、CPU201は、パターン印刷時とパターン読取時とでシート搬送速度を変更する制御を行う。ここでは次のようにしてシート搬送速度の変更を行う。まず、メンテナンスA用パターンの印刷を速度Aでシートを搬送させながら行い、一旦パターンが印刷された箇所をスキャナユニット107より先まで通過させ、その後搬送動作を停止させる。そして搬送モータを逆転させ、シートをスキャナユニット107の手前まで戻し、次に搬送速度を先のパターン印刷時より低速の速度Bに切り替えてシートを再度搬送させてスキャナユニット107によってパターンの読み取りを行わせる。そして、その読み取りの結果を解析することにより不吐出ノズルの有無、不吐出があった場合そのノズルを検知する。この検知結果はエンジン制御部208に含まれる不揮発性メモリに記憶させる。これにより、メンテナンスA用パターンを、低速でシートを搬送させながらスキャナユニット107に読み取らせることができるので精度良く不吐出ノズルの検知が行える。また、不吐出のノズルがあった場合、そのノズルを特定し、当該ノズルからの吐出を禁止し、近傍の他のノズルからの吐出による補完処理を行うようエンジン制御部208に設定する。S306で印刷ヘッド106の全幅分のメンテナンスAの処理が終了したと判断されるとS308に進み、メンテナンスBの処理を行う。
【0045】
S308では、印刷ヘッド106のメンテナンスBの処理を開始する。ここではメンテナンスAと同様に選択されたシートに吐出できる分のノズルを用いてS309において全幅分のメンテナンス処理が終了したと判断されるまで複数回に分けてS308とS310の処理を繰り返し、メンテナンスBの処理を行う。メンテナンスBの処理においてもメンテナンス用パターン(パターンはメンテナンスB用)の印刷を行い、その結果をスキャナユニット107で読み取らせる点はメンテナンスAと同様である。しかし、メンテナンスBにおいてはインクの吐出状態を判定するに当たってパターン印刷後、乾燥を十分に行ってからスキャナユニット107による読み取りを行わせる。従って、メンテナンスB用パターンを、シートを速度Aで搬送させながら印刷させた後、パターンが印刷された箇所をスキャナユニット107より先まで通過させ、さらにパターンの後端が乾燥ユニット112を抜けるまで搬送を継続させる。その後、シートの搬送を停止させ、速度Bでシートを逆搬送させる。これにより十分な乾燥処理を行わせることができる。その後、シートの先端が搬送ユニット102まで戻ってきたらシートの搬送を停止させ、再びスキャナユニット107に向けて正方向に速度Bで搬送させる。そして、スキャナユニット107でパターン印刷結果の読み取りを行わせ、その結果をエンジン制御部208に転送する。エンジン制御部208では取得した読取結果を解析し、インクの吐出結果のばらつき等を解析し、その結果に従って画像処理部205において画像補正用テーブルを作成させる。画像補正テーブルはインクの吐出量の少ない箇所を周辺の画素で補間させるためのパターンを示すテーブルである。このテーブルは画像処理部205の不揮発性メモリに記憶し、通常の印刷ジョブの実行時にこれを参照して画像データの補正を実行させることになる。
【0046】
なお、メンテナンスBの処理は、画像補正テーブルを作成した後、このテーブルに従って補正したうえでメンテナンスB用のパターンを印刷し、適切な状態となるまでS308〜310の処理を繰り返し、テーブルの内容を書き換えるようにしてもよい。
【0047】
S309においてメンテナンスBの処理が終了したと判断されるとメンテナンス01の処理を終了し、メンテナンス01をジョブのキューから削除する。そしてメンテナンス01用のドットカウントの値をクリアし、メンテナンス01の状態を実施済みとしてRAM203に記憶しておく。
【0048】
次にメンテナンス01とは異なるメンテナンス処理であるメンテナンス02について説明する。図4は、メンテナンス02の処理の流れを示すフローチャートである。メンテナンス02もここではメンテナンス01と同様にドットカウントが規定値を超えている場合に行われるものとするが、この規定値はメンテナンス01のものとは異なる、予め決められた値とする。ただし、メンテナンス01用の規定値とメンテナンス02用の規定値とはユーザが適宜設定できるものとしてもよい。また、ドットカウントが規定値を超えた場合以外の条件で実行させるものとしてもよい。メンテナンス02では、クリーニングA、メンテナンスCを順次実行させる。メンテナンスCでは、印刷ヘッド106を用いてシート上にメンテナンスC用の所定のパターンを印刷し、その画像をスキャナユニット107で読み取らせることにより、印刷ヘッド106の各ノズルからのインクの吐出量の調整を行う。CPU201は、メンテナンス02もメンテナンス01と同様にジョブとして管理し、通常の印刷ジョブと同様に扱う。
【0049】
S401ではメンテナンス02用のドットカウント値が規定値を超えているか確認し、超えていると判断された場合、図3のS301〜304と同様にS401〜S404を経てクリーニングAの処理までを行う。S404においてクリーニングAの処理が終了するとS405に進み、メンテナンスCの処理を行う。
【0050】
メンテナンスCの処理ではメンテナンスBと同様にメンテナンス用パターン(パターンはメンテナンスC用)の印刷を行い、スキャナユニット107で読み取らせる。またこの際、乾燥ユニット112による十分な乾燥を行う点、スキャナユニット107でパターン画像を読み取らせる点などもメンテナンスBと同様である。
【0051】
メンテナンスCとメンテナンスBとは印刷させるパターン、印刷されたパターンを読み取った後の解析処理、解析結果に基づく補正の方法がそれぞれ異なる。メンテナンスCでは、パターンを読み取った結果を解析し、印刷ヘッド106のノズル毎、あるいは各ノズルをグループ化したグループ毎にインク吐出量の多少を複数レベルで判定する。そして、吐出量の少ないノズルまたはグループのノズル群のインク吐出エネルギーを高くし、逆に吐出量の多いノズルまたはグループのノズル群のインク吐出エネルギーを低くするようエンジン制御部208に設定する。エンジン制御部208は各ノズルまたはグループのノズル群と対応付けてこの解析結果に基づくインク吐出エネルギーのレベルを不揮発性メモリに記憶し、通常の印刷ジョブの実行の際、これに従ってインク吐出エネルギーを制御して印刷を実行することになる。
【0052】
そして、S406でヘッド全幅分のメンテナンスCの処理が終了したと判断されるまでS407とS408の処理を繰り返す。ただし、インク吐出エネルギーの設定を変更した場合、その変更後のエネルギーによってメンテナンスCのパターンを印刷させ、適切な状態となるまでS405〜407の処理を繰り返して吐出エネルギーを決定するようにしてもよい。
【0053】
S406においてメンテナンスCの処理が終了したと判断されるとメンテナンス02の処理を終了し、メンテナンス02をジョブのキューから削除する。そしてメンテナンス02用のドットカウントの値をクリアし、メンテナンス02の状態を実施済みとしてRAM203に記憶しておく。
【0054】
次に複数のメンテナンス処理のジョブがキューに登録された場合、あるいは複数のメンテナンス処理を行うための条件が成立した場合の処理について説明する。メンテナンス01または02の実行条件が成立したときに他方のメンテナンスジョブが既にキューに存在している、またはキューに登録する前に両方のメンテナンスの実行条件が成立した場合、それぞれを個別に実行するのではなく、新たなジョブを生成する。即ち、このような場合、メンテナンス01と02はクリーニングAの処理が重複しているため、クリーニングA、メンテナンスC、メンテナンスA、メンテナンスBを順次実行するメンテナンス03を、メンテナンス01、02の代わりにキューに登録する。既にメンテナンス01、02の一方あるいは両方がジョブとしてキューに登録され、未実施であればこれらを削除しメンテナンス03をジョブとしてキューの先頭に登録する。図5はメンテナンス03の処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
メンテナンス01用とメンテナンス02用のドットカウント値を確認したタイミングで、双方のドットカウント値が規定値を超えていた場合にメンテナンス03のジョブをキューに登録し、図5のフローチャートが開始される。また、次のような場合も図5のフローチャートが実行される。即ち、メンテナンス01のジョブがキューに登録され、それが未実施の状態である時に、メンテナンス02用のドットカウント値が規定値を超えていた場合、またはメンテナンス01と02の関係がそれとは逆の場合である。これらの場合、既にキューに登録されていたメンテナンス処理のジョブをキューから削除し、メンテナンス03のジョブを新たにキューに登録する。
【0056】
図5において、各ステップにおける処理は図3、4で説明したものと同様であり、ここでの説明は省略する。そして、メンテナンス03の処理が終了した場合、メンテナンス01用のドットカウントとメンテナンス02用のドットカウントの値をクリアし、メンテナンス01とメンテナンス02の状態を実施済みとしてRAM203に記憶しておく。
【0057】
次にメンテナンス01、02、03をジョブとしてキューに登録する際の処理について説明する。図6はこの処理の流れを示すフローチャートである。
【0058】
S601において画像形成装置200の電源がONにされると各部の初期化処理を行うとともに、画像形成装置200に投入済みで未実施のジョブがHDD204に記憶されているか確認する。例えば、画像処理部207に個別に電源を供給できるタイプの装置の場合、画像形成装置200の電源がOFFにされても画像処理部207においてジョブを受け付け、HDD204に記憶させておいたり一部の画像処理を進めておくことができる。そのため、HDD204に未実施のジョブが残っている可能性があるため、それを確認する。また、画像形成装置200が電源OFFの状態に投入されうるジョブ以外、画像形成装置200が電源ONの状態でジョブを受け付けたが、それを実施せずに電源OFFとなった場合もあり、そのジョブの確認も行う。
【0059】
そしてS602では、既にメンテナンス03のジョブが投入されている(キューに登録されている)か判断する。既にメンテナンス03のジョブがキューに登録されていると判断された場合は当該メンテナンス03のジョブをキューの先頭とし、ここで図6のフローを抜けて図5に示したようにメンテナンス03の処理を実行させる。既にメンテナンス03のジョブがキューに登録されていないと判断された場合はS603に進む。
【0060】
S603では、メンテナンス01用のドットカウント値がメンテナンス01用の規定値を超えているか判断する。超えていると判断された場合はS604に進み、メンテナンス01用のジョブフラグをONにする。このジョブフラグとは、メンテナンス01を実行すべき状態にあることを示すフラグである。
【0061】
次にS605において、メンテナンス02用のドットカウント値がメンテナンス02用の規定値を超えているか判断する。超えていると判断された場合はS606に進み、メンテナンス02用のジョブフラグをONにする。
【0062】
次にS607において、メンテナンス01用のジョブフラグとメンテナンス02用のジョブフラグの両方がONであるか判断する。両方がONであると判断された場合はS608に進み、いずれか一方でもOFFであると判断された場合はS613に進む。
【0063】
S608では、メンテナンス01のジョブが既にキューに登録されているか判断する。既にキューに登録されていると判断された場合、S609において当該メンテナンス01のジョブをキューから削除してS610に進む。
【0064】
S610では、メンテナンス02のジョブが既にキューに登録されているか判断する。既にキューに登録されていると判断された場合、S611において当該メンテナンス02のジョブをキューから削除してS612に進む。
【0065】
S612では、上述したようにメンテナンス01とメンテナンス02とを結合するとともに、重複しているクリーニングAを1つに統合したメンテナンス03のジョブを生成し、キューの先頭に登録する。そしてここで図6のフローを抜けて図5に示したようにメンテナンス03の処理を実行させる。
【0066】
S613では、メンテナンス01用のジョブフラグがONであるか判断し、ONであればS614に進み、既にメンテナンス01のジョブがキューに登録されているか判断する。S614でジョブが登録されていないと判断された場合はここで実行すべきメンテナンス処理がメンテナンス01のみのためS615でメンテナンス01のジョブをキューの先頭に登録する。S613でジョブフラグがONではないと判断された場合は、メンテナンス01を実行すべき状態ではない場合であり、そのままS616に進む。S614で既にジョブが登録されていると判断された場合及びS615でジョブが登録された場合、他の印刷ジョブより優先させて図3に示したメンテナンス01の処理を実行させる。
【0067】
S616では、メンテナンス02用のジョブフラグがONであるか判断し、ONであればS617に進み、既にメンテナンス02のジョブがキューに登録されているか判断する。S617でジョブが登録されていないと判断された場合はここで実行すべきメンテナンス処理がメンテナンス02のみのためS618でメンテナンス02のジョブをキューの先頭に登録する。S616でジョブフラグがONではないと判断された場合は、メンテナンス02を実行すべき状態ではない場合であり、いずれのメンテナンス処理も行うべき状態でないためここで図6のフローを抜ける。S617で既にジョブが登録されていると判断された場合及びS618でジョブが登録された場合、他の印刷ジョブより優先させて図4に示したメンテナンス02の処理を実行させる。
【0068】
以上のようにして既に同一のメンテナンス処理のジョブが投入されている場合は重複して同じメンテナンス処理のジョブを投入しないようにし、同じメンテナンス処理が短期間のうちに行われることを防止する。また、異なるメンテナンス処理が投入された場合であっても共通する処理は重複して実行させないようにして同じ処理が短期間のうちに重複して実行されることを防止する。これにより無駄にインクやシートを使用してしまうことを防止したり、通常の印刷ジョブの待ち時間を減らすことなどができる。
【0069】
なお、図6のフローでは電源をONにしたときに未実施のジョブを確認するものとしたが、電源ON時以外にも逐次新たに投入されたジョブの監視を行い、S602以降の処理は実行される。
【0070】
また、以上の説明ではメンテナンス処理として2種類のものを示したが、これら以外のものとしてもよい。いずれにしても共通の処理が重複して実行されるのを防止し、効率化を図るようにする。また、メンテナンス処理の実行の条件としてドットカウント値が規定値を超えたことを例に説明したが、他の条件を組合せるなどしてもよい。他の条件としては、所定時間の経過毎、待機時間が所定期間となった、所定枚数分の印刷を行った、装置起動時、シートの交換時、インク交換時などである。またドットカウント値も全てのインク色に対する総ドット数としたり、インク色毎のドット数とするなど種々の条件とすることができる。また、自動でメンテナンス処理を行うものばかりでなく、操作部206を介してユーザにより指示されることによってメンテナンス処理を行うものも含む。
【0071】
また、以上の例ではメンテナンス処理をジョブとして扱うものとしたが、ジョブとして扱わない場合であっても、重複した処理を一つに統合したり、同じ処理を連続して行わないようにして同等の効果を得るようにしてもよい。また、以上の説明では重複した処理の統合において単純に一つのみとする例について説明したが、重複した処理の統合に際して単独で実行する場合より所定時間分長く処理を行うようにしてもよい。
【0072】
なお、以上の説明において、印刷を行う部分を除いた、メンテナンスジョブ投入のスケジューリング等の処理をホスト装置や外付けコントローラなどの外部装置で実現し、それに従って画像形成装置でジョブを実行させるようにしてもよい。その際、外部装置は画像形成装置からステータスを取得してジョブ順序や結合方法を決定することになる。
【0073】
また、本実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータが連動して実行するようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0074】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(他の実施形態への応用、他の実施形態との組合せ等を含む)も可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷手段を用いて印刷処理を行わせる印刷制御装置であって、
前記印刷手段のメンテナンス処理を行うための条件が成立したか判断する判断手段と、
第1のメンテナンス処理が完了する前に前記判断手段により第2のメンテナンス処理を実行させるための条件が成立した場合に、前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とで重複する処理を統合する統合手段と、
前記統合手段により重複する処理を統合した上で前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とを実行させる制御手段とを有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記統合手段により重複した処理を一つとするとともに前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とを結合させた第3のメンテナンス処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
ジョブをキューにより管理する管理手段を有し、
前記判断手段は、前記管理手段により管理されているキューに前記第1のメンテナンス処理がジョブとして管理されている場合に前記条件が成立したか判断することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
印刷手段を用いて印刷処理を行わせる印刷制御装置の印刷制御方法であって、
前記印刷手段のメンテナンス処理を行うための条件が成立したか判断する判断工程と、
第1のメンテナンス処理が完了する前に前記判断工程により第2のメンテナンス処理を実行させるための条件が成立した場合に、前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とで重複する処理を統合する統合工程と、
前記統合工程において重複する処理を統合した上で前記第1のメンテナンス処理と前記第2のメンテナンス処理とを実行させる工程とを有することを特徴とする印刷制御装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷制御方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86481(P2013−86481A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232047(P2011−232047)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】