説明

印刷基板収容ユニツト

【目的】大型コンピュータの低騒音化を図る。
【構成】この大型コンピュータの外筺1には、CPU10などが実装された一乃至複数の印刷基板9が収納されている。この外筺1の前面に設けられたパネル5には、一乃至複数個のパイプ導入口11が設けられている。このパイプ導入口11から印刷基板9の所望のCPU10に対応する位置に通風穴16が設けられた一乃至複数個の冷却パイプ15が挿入されて外筺1内部で着脱自在に固定されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば大型コンピュータなどに用いられる印刷基板収容ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷基板に実装される電子部品の中の発熱する部品、例えばCPUなどは、高速化に伴って発熱量が増加する傾向にある。そこで、印刷基板を複数収納する電子機器、例えば大型コンピュータなどは、このCPUなどを局部冷却することにより内部を効率よく冷却できるものが望まれている。また、大型コンピュータなどは事務所などに配置されることも多くなっており、周囲の環境条件より低騒音化の要求も強くなっている。
【0003】
図3は従来の大型コンピュータの斜視図である。
【0004】
同図において、1は大型コンピュータの筺体である。この筺体1には、上部および底部にそれぞれ仕切板32が設けられており通気空間33が形成されている。この仕切板32には、複数の印刷基板34を挿着するためのレール状の爪35が設けられており、これらの爪35を立ち上げた部分には開口36が設けられている。そして、各印刷基板34は、それぞれの爪35をガイドに仕切板32上の所定の位置に挿着されている。これらの印刷基板34にはCPU37など発熱する部品が実装されている。
【0005】
一方、筺体31の上面には、図4に示すように、中心部にローター38を設け、この周囲にフィン(羽)39を有する排気用のファン40、例えば直径12cm程度の大型のものが複数取り付けられている。
【0006】
この筺体31では、各印刷基板34より放出された熱は、仕切板32の開口36を通じて筺体内を対流しファン40より排出される。これにより、筺体内部の温度上昇は抑えられている。
【0007】
ところで、このような筺体31の場合、ファン40のローター38直下近傍には熱が排出されにくい部分Aができる。このため、ファン40は、この部分の排熱も考慮して大型のものが用いられている。
【0008】
しかしながら、この場合、大型コンピュータが事務所などに配置される今日では、筺体31に騒音対策を施す必要がある。
【0009】
一方、大型コンピュータは設計上、仕様変更などの諸条件から印刷基板34を入れ替えることがある。この場合、初期に設定した冷却能力では対応できなくなり、ファン40の位置を変更するなど筺体31そのものの再設計を行うことになる。また、この後も品質テストなどの結果により印刷基板34の位置変更を行うことも多々ある。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
このように従来の印刷基板収容ユニットでは、所定の冷却効果を得るために騒音対策を施す必要がある。また、設計の最終段階で印刷基板の位置変更などがあり冷却能力が不足したときは筺体自身を再設計することになるという問題があった。
【0011】
本考案はこのような課題を解決するためになされたもので、局部冷却により効率よく筺体内を冷却でき、かつ印刷基板の位置変更などに対して筺体を再設計することなく対応できる低騒音な印刷基板収容ユニットを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案の印刷基板収容ユニットは上記した目的を達成するために、電子部品を実装した一乃至複数の印刷基板を収納する印刷基板収容ユニットにおいて、一乃至複数個のパイプ導入口が設けられたユニット外筺と、前記パイプ導入口から挿入しユニット内部で着脱自在に固定され、前記印刷基板の所望の電子部品に対応する位置に通風穴が設けられた一乃至複数個の冷却パイプとを備えている。
【0013】
【作用】
この考案では、ユニット外筺に一乃至複数個のパイプ導入口が設けられており、印刷基板の所望の電子部品に対応する位置のパイプ導入口に冷却パイプが挿入される。そして、ユニット外部よりこの冷却パイプを通じて冷却風が送り込まれて所望の電子部品が局部冷却されるのでユニット内部の温度上昇は抑えられる。
【0014】
これにより、ユニット外筺には、排気用に小型のファンを用いることができるようになり筺体は低騒音化される。
【0015】
また、設計の最終段階で印刷基板の挿着位置が変更されて冷却能力が不足した場合にも、冷却パイプの追加や冷却パイプの挿入位置の変更でユニット外筺を再設計することなく冷却能力を対応させることができる。
【0016】
【実施例】
以下、本考案の実施例の詳細を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、大型コンピュータの構成を示す斜視図である。
【0018】
同図において、1は印刷基板収容ユニットとしての大型コンピュータの外筐である。この外筺1の上面には、内部の熱を排気するためのファン2が設けられている。このファン2は、熱の排気に必要な最小限の大きさのものが用いられている。また、この外筺1は内部に仕切板4が設けられて区分され、この仕切板4と外筺1の前面に設けられたパネル5とによって通気空間6が設けられている。この仕切板4には、複数のレール状の爪7が立ち上げられており、これらの爪7が立ち上げられた部分には開口8が設けられている。そして、各印刷基板9は、それぞれの爪7をガイドに仕切板4上の所定の位置に挿着されている。これらの印刷基板9には、電子部品、例えば熱を発するCPU10などが実装されている。
また、外筺1のパネル5には、各印刷基板9のCPU10に対応する位置に複数のパイプ導入口11が設けられている。
【0019】
一方、大型コンピュータの外部、例えば別室には、冷却風を発生させる機器、例えばエアーチャンバー12などが配置されており、このエアーチャンバー12にはコンプレッサ13が内蔵されている。このエアーチャンバー12は、ビニールチューブ14などを通じて冷却パイプ15に接続されている。冷却パイプ15には、複数の通風穴16が設けられており、この通風穴16はパネル5のパイプ導入口11より冷却パイプ15が挿入されパネル5の内面に接続されたときに、印刷基板9の所望の電子部品、例えばCPU10に冷却風の吹き付けができる位置に設けられている。
【0020】
次に、図2を参照してパネル5の内面に冷却パイプ15を接続した外筺1について説明する。
【0021】
この大型コンピュータでは、設計段階において、印刷基板9の収納位置がさまざまに変更されてた後、最終的に大型コンピュータの動作テストが行われる。このとき、排気用のファン2だけで所定の冷却効果が得られた場合、パイプ導入口11は塞がれる。
【0022】
一方、排気用のファン2だけでは、所定の冷却効果が得られない場合には、同図に示すように、所望の冷却を要するCPU10に対応するパイプ導入口11に冷却パイプ15が挿入されて、この冷却パイプ15の通風穴16が所望のCPU10直下にセッティングされる。そして、別室のエアーチャンバー12を動作させ、このエアーチャンバー12よりビニールチューブ14を通じて冷却パイプ15に冷却風が送られると、冷却パイプ15の通風穴16よりCPU10に冷却風が吹き付けられて、その部分が集中的(局部的)に冷却される。
【0023】
このように本実施例によれば、冷却を要する所望のCPU10に対してパイプ導入口11に冷却パイプ15を接続して冷却風を送り込み、そのCPU10を集中的(局部的)に冷却することができるので外筺1内部の温度上昇が抑えられ、排気用に小型のファン2を用いることができる。また、冷却風を発生させるエアーチャンバー12は、大型コンピュータの外部に配設されているので大型コンピュータ自身の騒音は増加することがない。したがって、ファン2が小型化された分、大型コンピュータを低騒音化することができる。
【0024】
また、設計の最終段階で印刷基板9の位置変更などがあった場合に冷却能力が不足することがあるが、外筺1のパネル5には、複数のパイプ導入口11が設けられており冷却パイプ15の挿入位置の変更や冷却パイプ15の追加が即座にできるので、ファン2の配設位置などを再設計することなく外筺1の冷却能力を対応させることができる。
【0025】
なお、上述した実施例では発熱部品をCPUとしたが、本考案はパワーICなどでもよくこれに限定されない。
【0026】
また、発熱量がさらに多い部品などを実装する場合は、送風のみのエアーチャンバーでなく、低温化した冷気を送ることができる装置を用いてもよい。
【0027】
【考案の効果】
以上説明したように本考案の印刷基板収容ユニットによれば、所望の電子部品に冷却パイプを通じて局部冷却を行うことによりユニット内部の温度上昇が抑えられる。これにより、排気用のファンを小型にできるので印刷基板収容ユニットを低騒音化することができる。
【0028】
また、このユニット外筺には、一乃至複数の印刷基板に対応するパイプ導入口が設けられているので印刷基板の位置変更などで冷却能力の不足が生じたときは、パイプを増やすことや挿入位置を変更することでユニット外筺を再設計することなく冷却能力を対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る一実施例の大型コンピュータの外筺の構成を示す分解斜視図。
【図2】図1の実施例の外筺の断面図。
【図3】従来の大型コンピュータの外筺を示す斜視図。
【図4】図3の外筺上部の排気用ファン取付部を示す断面図。
【符号の説明】
1………………外筺
9………………印刷基板
10……………CPU
11……………パイプ導入口
15……………冷却パイプ
16……………通風穴

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 電子部品を実装した一乃至複数の印刷基板を収納する印刷基板収容ユニットにおいて、一乃至複数個のパイプ導入口が設けられたユニット外筺と、前記パイプ導入口から挿入しユニット内部で着脱自在に固定され、前記印刷基板の所望の電子部品に対応する位置に通風穴が設けられた一乃至複数個の冷却パイプとを具備したことを特徴とする印刷基板収容ユニット。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【公開番号】実開平5−38987
【公開日】平成5年(1993)5月25日
【考案の名称】印刷基板収容ユニツト
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−88689
【出願日】平成3年(1991)10月29日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)