説明

印刷条件決定装置、印刷条件決定方法及びプログラム

【課題】複数の印刷条件の中から適切な印刷条件を容易に決定可能な印刷条件決定装置、印刷条件決定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する。そして、選択された各印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報(106a、106c、106e、120a、120c、120e、128a、128c、128e)を並べて配置した比較画像(102、116、126)を作成し、表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷条件決定装置、印刷条件決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、印刷分野において、中間成果物を生成せずに電子データにより直接刷版を形成するCTP(Computer to Plate)が普及している。例えば、制作会社から新たに依頼された発注内容が、過去に依頼された発注内容に類似する場合、過去に使用した印刷条件(印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた複合的条件)をそのまま採用しつつ、印刷ジョブを実行することが作業上便宜である。そこで、作業者による検索操作により、選択可能な複数の印刷条件の中から所望の印刷条件を決定するユーザ・インターフェース技術が種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、既定の条件項目リストの中から所定の条件項目を検索し、検索された各条件項目に応じた設定画面を表示させる方法及びソフトウェアが提案されている。具体的には、選択された複数の条件項目についての各設定部を集約し、1つの設定画面に表示させる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−206553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばCTPにおける印刷条件には、刷版を作成するための各種項目の他、これらに付随する多種多様の条件項目が存在する。しかしながら、特許文献1に係る方法等によっても、決定された印刷条件と、該印刷条件に対応する印刷特性(例えば、色再現特性)との関係性について予測あるいは把握することが困難であった。
【0006】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、複数の印刷条件の中から適切な印刷条件を容易に決定可能な印刷条件決定装置、印刷条件決定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷条件決定装置は、印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する条件選択部と、前記条件選択部により選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する比較画像作成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する条件選択部と、前記条件選択部により選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する比較画像作成部とを設けたので、比較画像中の各可視情報を対比することで、各印刷条件候補に応じた印刷特性の良し悪しを一見して把握可能である。これにより、作業者は、複数の印刷条件の中から適切な印刷条件を容易に決定できる。
【0009】
また、前記2以上の条件項目のうち色に関連する条件項目を参照し、各前記印刷条件候補に応じた前記印刷特性をそれぞれ取得する印刷特性取得部をさらに備え、前記比較画像作成部は、前記印刷特性取得部により取得された各前記印刷特性に基づいて前記比較画像を作成することが好ましい。
【0010】
また、前記可視情報には、前記印刷により色再現されるガマット範囲を表す画像が含まれることが好ましい。
【0011】
さらに、前記可視情報には、前記印刷による色再現精度の統計量を表す画像が含まれることが好ましい。
【0012】
さらに、前記可視情報には、スクリーン印刷における網点の形態を表す画像が含まれることが好ましい。
【0013】
さらに、前記複数の印刷条件は、過去に使用された2以上の印刷条件であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記比較画像作成部により作成された前記比較画像を表示する表示部をさらに備えることが好ましい。
【0015】
本発明に係る印刷条件決定方法は、印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する選択ステップと、選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する作成ステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する条件選択部、前記条件選択部により選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する比較画像作成部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る印刷条件決定装置、印刷条件決定方法及びプログラムによれば、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択し、選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成するようにしたので、比較画像中の各可視情報を対比することで、各印刷条件候補に応じた印刷特性の良し悪しを一見して把握可能である。これにより、作業者は、複数の印刷条件の中から適切な印刷条件を容易に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る印刷条件決定装置としてのRIP装置を組み込んだ印刷物生産システムの概略構成図である。
【図2】図1に示すRIP装置の電気的なブロック図である。
【図3】図1及び図2に示すRIP装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【図4】印刷条件データベースの一覧表を示す概略説明図である。
【図5】検索画面の一例を表す画像図である。
【図6】本実施の形態に係る比較表示の一例を表す第1画像図である。
【図7】本実施の形態に係る比較表示の一例を表す第2画像図である。
【図8】本実施の形態に係る比較表示の一例を表す第3画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る印刷条件決定方法について、これを実施する印刷条件決定装置及び印刷物生産システムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る印刷条件決定装置としてのRIP装置20を組み込んだ印刷物生産システム10の概略構成図である。
【0021】
印刷物生産システム10内には、ネットワーク12との接続を中継する機器であるルータ14と、外部ネットワークに属する図示しない各端末装置からネットワーク12を介してアクセス可能なサーバ装置16と、サーバ装置16等から取得したコンテンツデータの編集等を含むDTP(Desktop Publishing)処理を行うためのDTP端末18と、DTP端末18により作成された校正データ(又は製版データ)に基づいてラスタライズ処理や色変換処理等の各画像処理を実行するRIP装置20(印刷条件決定装置)と、RIP装置20から送信された処理済みの校正データに基づいてプルーフ22を印刷可能である校正機24と、RIP装置20から送信された製版データに基づいて刷版26を作製するプレートセッタ28と、刷版26を装着して印刷物30を印刷可能であるオフセット印刷機32とがそれぞれ設けられている。
【0022】
サーバ装置16は、印刷物生産システム10におけるワークフロー管理の中核をなす装置である。サーバ装置16は、ルータ14及びネットワーク12を介して、デザイナ及び/又は制作会社(図示しない。)が備える各端末装置に通信可能に接続されている。また、サーバ装置16は、印刷物生産システム10内に構築されたLAN(Local Area Network)34を介して、DTP端末18、RIP装置20及びプレートセッタ28に通信可能に接続されている。
【0023】
すなわち、サーバ装置16は、各種データファイルの格納・転送を司るファイルサーバとしての機能、各端末装置、各ユーザ、又は各印刷ジョブにおいて実行可能なタスク権限を管理する権限管理サーバとしての機能、又は、各工程の開始・終了等の所定のタイミングで通知メールを生成・配信するメールサーバとしての機能をそれぞれ実行可能に構成されている。なお、ファイルサーバとして管理可能な各種データファイルには、例えば、コンテンツデータ、校正データ、製版データ、ジョブチケット{例えば、JDF(Job Definition Format)ファイル}、ICC(International Color Consortium)プロファイル、色見本データ、過去に使用された印刷条件の履歴情報(以下、印刷条件データベースという。)等が含まれる。
【0024】
DTP端末18は、文字、図形、絵柄や写真等から構成されるコンテンツデータに対してプリフライト処理を施した後、ページ単位の編集データを作成する。また、DTP端末18は、ジョブチケットのタグ情報を参照しながら、指定された綴じ方法や紙折り方法に応じた面付け処理を行う。
【0025】
RIP装置20は、少なくとも1つの印刷機に対する印刷処理サーバとして機能する。図1例では、RIP装置20は、校正機24と、プレートセッタ28とに通信可能に接続されている。この場合、RIP装置20は、ページ記述言語で記述された校了データを各印刷機に適した印刷データに変換し、該印刷データを校正機24(又はプレートセッタ28)に供給する。
【0026】
校正機24は、RIP装置20から供給された印刷データに基づいてプルーフ22を印刷する。校正機24として、DDCP(Direct Digital Color Proofing)、インクジェットカラープルーファ、低解像度のカラーレーザプリンタ(電子写真方式)又はインクジェットプリンタ等を用いてもよい。
【0027】
オフセット印刷機32は、刷版26及び図示しない中間転写体を介して、インキを被印刷体(メディア)上に付着させることで、印刷物30を形成する。なお、オフセット印刷機32に代替して、ダイレクト印刷のためのデジタル印刷機を設けてもよい。デジタル印刷機としては、インクジェットカラープルーファやカラーレーザプリンタ(電子写真方式)等を用いてもよい。
【0028】
図2は、図1に示すRIP装置20の電気的なブロック図である。
【0029】
RIP装置20は、制御部36と、通信I/F38と、表示制御部40と、表示部42と、入力部44と、印刷I/F46と、メモリ48とを備える。
【0030】
通信I/F38は、外部装置からの電気信号を送受信するインターフェースである。例えば、サーバ装置16(図1参照)内で管理・保存された校正データ、製版データ、印刷条件データベース、ICCプロファイル等の各種情報を取得可能である。
【0031】
表示制御部40は、制御部36の制御に従って、表示部42を駆動制御する制御回路である。表示制御部40が、図示しないI/Fを介して、表示制御信号を表示部42に出力することで、表示部42が駆動する。これにより、表示部42は、ウィンドウW1(図5参照)を含む各種画像を表示することができる。
【0032】
印刷I/F46は、印刷データとしての電気信号を送信するインターフェースである。これにより、校正機24は、所望のプルーフ22を印刷することができる。
【0033】
メモリ48は、制御部36が各構成要素を制御するのに必要なプログラム及びデータ等を記憶している。メモリ48は、不揮発性のメモリ、ハードディスク等の記録媒体であってよい。
【0034】
制御部36は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成されている。制御部36は、メモリ48に格納されたプログラムを読み出し実行することで、印刷条件決定部50、表示データ作成部52、及びラスタライズ処理部54の機能を実現可能である。
【0035】
印刷条件決定部50は、外部装置(例えばサーバ装置16)又はメモリ48に記憶された複数の印刷条件の中から、印刷ジョブに適した1つの印刷条件を決定する。具体的には、印刷条件決定部50は、印刷条件データベースによる検索結果(複数の印刷条件)を取得する条件検索部56と、条件検索部56により取得された複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する条件選択部58とを備える。
【0036】
表示データ作成部52は、検索画面80(図5参照)及び比較表示画面100(図6参照)等を作成する画面作成部60と、各印刷条件候補に応じた印刷特性をそれぞれ取得する印刷特性取得部61と、比較表示のための画像(以下、比較画像という。)を作成する比較画像作成部62とを備える。
【0037】
なお、本明細書における「比較表示」とは、各印刷条件に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて表示する手法である。後述するように、条件数が比較的少ない印刷条件間で対比を行う場合、特に有効な表示手法である。
【0038】
ラスタライズ処理部54は、校正データ(校了データを含む。)に対し、ラスタライズ処理を施す。このラスタライズ処理には、PDL(Page Description Language)形式からラスタ形式に変換するデータ形式変換処理と、ICCプロファイルを用いたカラーマッチング処理とが含まれる。
【0039】
入力部44は、マウス、トラックボール、キーボード等の種々の入力デバイスで構成される。入力部44は、印刷条件の検索に関する検索情報を入力する検索情報入力部64、及び、印刷ジョブに適した1つの印刷条件を決定する旨を指示する決定指示部66として機能する。
【0040】
本実施の形態に係る印刷条件決定装置としてのRIP装置20は、以上のように構成される。続いて、RIP装置20の動作について図3のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0041】
動作の説明に先立ち、印刷条件データベースについて説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「印刷条件」とは、印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた複合的条件を意味する点に留意する。
【0042】
図4は、印刷条件データベースの一覧表を示す概略説明図である。ここでは、複数の印刷条件がファイル形式でそれぞれ格納されているとする。各ファイル名「印刷条件A」〜「印刷条件F」(ファイル拡張子の表記を省略する。)に対して、2以上の条件項目がそれぞれ紐付けられている。本図例では、条件項目として、ファイル名の他、印刷機名、用紙種別、用紙サイズ、版サイズ、色版、綴じ方法、ターゲット(ターゲットプロファイルの種別)、顧客名、ジョブ種別、利用回数、最終利用日が列挙されている。条件項目には、印刷機名、色版、プロファイル等のように印刷処理に直接的に関与するデータのみならず、これらのデータに付随するデータ(いわゆるメタデータ)が含まれてもよい。
【0043】
なお、これらの条件項目を、印刷の色に影響を及ぼす条件項目(以下、色に関連する条件項目)と、印刷の色に影響を及ぼさない条件項目(以下、色に関連しない条件項目)とに分類してもよい。図4例では、「色に関連する条件項目」には、印刷機名、用紙種別、色版、及びターゲットが分類される。「色に関連しない条件項目」には、ファイル名、用紙サイズ、版サイズ、綴じ方法、顧客名、ジョブ種別、利用回数、及び最終利用日が分類される。
【0044】
図3のステップS1において、検索情報入力部64は、ユーザとしての作業者の操作に応じて、印刷条件データベースの検索情報をRIP装置20側に入力する。
【0045】
先ず、検索を開始する旨の指示に応じて、画面作成部60は、検索画面80の表示データを作成した後、該表示データを表示制御部40に供給する。そして、表示制御部40は、ウィンドウW1(検索画面80を含む。)を表示部42に表示させる。
【0046】
図5に示すように、検索画面80には、上から順に、5つのプルダウンメニュー82a〜82e、表示欄84、[比較表示]と表記されたボタン86、[OK]と表記されたボタン88、及び[キャンセル]と表記されたボタン90がそれぞれ配置されている。ここで、5つのプルダウンメニュー82a〜82eは、検索情報入力部64(図2参照)としての機能を担う。また、[OK]ボタン88は、決定指示部66(同図参照)としての機能を担う。
【0047】
作業者は、実行予定の印刷ジョブに適した印刷条件を決定するため、検索画面80を介して、少なくとも1つの条件項目を指定する。作業者による入力操作に応じて、例えば、印刷機(図4では印刷機名)として「印刷機1」、用紙(図4では用紙種別)として「アート紙」、色数(図4では色版)として「CMYK」、ターゲット(図4ではターゲット)として「JapanColor」、顧客名(図4では顧客名)として「A会社」がそれぞれ指定されたとする。
【0048】
ステップS2において、サーバ装置16は、ステップS1で入力された検索情報に基づいて印刷条件を検索する。RIP装置20は、検索依頼の旨の通知及び指定された条件項目をサーバ装置16側に送信する。サーバ装置16は、印刷条件データベースの範囲内で検索処理を実行し、得られた検索結果に関する情報をRIP装置20側に返信する。そして、条件検索部56は、印刷条件データベースの検索結果(例えば、印刷条件のリスト)を取得する。なお、検索処理は、サーバ装置16等の外部装置に限らず、RIP装置20自体(条件検索部56)が実行してもよい。
【0049】
ステップS3において、RIP装置20は、印刷条件の絞り込み表示を行う。
【0050】
図5に示すように、検索画面80の表示欄84には、印刷条件名を示す小欄91と、色再現の安定性についての評価結果を示す小欄92と、顧客名を示す小欄93と、ジョブ種別を示す小欄94と、利用回数を示す小欄95と、最終利用日を示す小欄96とがそれぞれ設けられている。
【0051】
本図例では、表示欄84には、3つの印刷条件(印刷条件A、C、E)に関する、5つの条件項目の属性がそれぞれ表示されている。以下、複数の印刷条件の中から抽出され、最終的に決定され得る所定数の印刷条件のことを「印刷条件候補」と称する。なお、条件項目の種類及び/又は印刷条件候補の数は、予め決定されてもよいし、作業者による所定の操作に応じて変更可能であってもよい。
【0052】
熟練した作業者は、表示欄84の内容及び過去の経験に基づいて、実行予定の印刷ジョブに適した印刷条件を1つ決定できる。一方、不慣れな作業者は、印刷に関する知識及び経験に乏しいため、3つの印刷条件候補に絞った場合であっても、どの印刷条件に決定したらよいか判断できない場合がある。そこで、各印刷条件候補についての比較表示をすることで、作業者(特に、不慣れな作業者)にとって判断の一助になる。
【0053】
ステップS4において、制御部36は、比較表示の指示があったか否かを判別する。具体的には、検索画面80(図5参照)上において[比較表示]ボタン86のクリック操作があったか否かを判別する。操作がなかったと判別された場合、ステップS1に戻って、ステップS1〜S3を順次繰り返す。一方、操作があったと判別された場合、次のステップ(S5)に進む。
【0054】
ステップS5において、条件選択部58は、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する。本実施の形態では、条件選択部58は、[比較表示]ボタン86のクリック操作の際、表示欄84に現に表示されている各印刷条件を、印刷条件候補として選択する。
【0055】
ステップS6において、比較画像作成部62は、比較画像102(比較表示のための画像)を作成する。ここで、各印刷条件候補における印刷特性は、ICCプロファイル(具体的には、出力プロファイル及びターゲットプロファイル)が備える色変換テーブル、ハーフトーン処理に供される閾値マトリクス等の各種情報から予測可能である。なお、印刷特性取得部61は、2以上の条件項目のうち色に関連する条件項目(例えば、ICCプロファイル)を参照し、各印刷条件候補に応じた印刷特性(あるいは印刷特性に関する各種情報)をそれぞれ取得してもよい。
【0056】
ステップS7において、表示制御部40は、ステップS6で作成された比較画像102を表示部42に表示させる。具体的には、画面作成部60は、比較表示画面100の表示データを作成した後、該表示データを表示制御部40に供給する。そうすると、表示制御部40は、ウィンドウW1と異なる別のウィンドウW2(比較表示画面100を含む。)を表示部42に表示させる。
【0057】
図6に示すように、比較表示画面100には、上から順に、第1の構成例である比較画像102と、[次へ]と表記されたボタン104と、[閉じる]と表記されたボタン105とがそれぞれ配置されている。比較表示画面100の略中央に存在する比較画像102は、左から順に、第1条件画像106a(可視情報)、第2条件画像106c(可視情報)、及び第3条件画像106e(可視情報)から構成される。
【0058】
第1条件画像106aは、印刷条件名を表す文字列108a、及び、横軸をaとし、縦軸をbとするグラフ110aからなる。このグラフ110aは、CIELAB座標系における、所定の明度L(例えば、L=50)でのガマットの断面形状を表す。これにより、作業者は、第1条件画像106aを視認することで、印刷条件Aにおけるガマット範囲を一見して把握できる。
【0059】
第2条件画像106cは、印刷条件名を表す文字列108c、及び、横軸をaとし、縦軸をbとするグラフ110cからなる。作業者は、第2条件画像106cを視認することで、印刷条件Cにおけるガマット範囲を一見して把握できる。同様に、第3条件画像106eは、印刷条件名を表す文字列108e、及び、横軸をaとし、縦軸をbとするグラフ110eからなる。作業者は、第3条件画像106eを視認することで、印刷条件Eにおけるガマット範囲を一見して把握できる。
【0060】
なお、比較画像作成部62は、所定の評価基準に従って定量的評価を行った上、最良の結果が得られた印刷条件候補を明示するマークを併せて付してもよい。本図例では、印刷条件A、C、Eのうち、ガマットの面積が最大である印刷条件Aを明示すべく、環状のマーク112が、文字列108aを囲む位置関係下に付されている。これにより、ガマット範囲の観点では、印刷条件Aが最も適した条件であることを作業者に知らせることができる。
【0061】
ところで、ガマット範囲の表示形態は、図6例に限定されることなく種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、ガマットを表現する色空間は、CIALABの他、CIELUV等の公知のデバイス非依存空間であってもよい。また、ガマット範囲の表現形態は、2次元表記(断面形状)の他、3次元表記(立体形状)であってもよい。さらに、図形の他、ガマット範囲を定量化した数値(例えば、面積・体積)として表示してもよい。
【0062】
作業者による[次へ]ボタン104のクリック操作に応じて、図6に示す比較表示画面100から、新たな比較表示画面114に遷移される。なお、[閉じる]ボタン105のクリック操作に応じて、ウィンドウW2が閉じられ、非表示の状態になる。後述する図7及び図8においても同様である。
【0063】
図7に示すように、比較表示画面114には、上から順に、第2の構成例である比較画像116と、[戻る]と表記されたボタン118と、[次へ]と表記されたボタン119と、[閉じる]と表記されたボタン105とがそれぞれ配置されている。比較表示画面114の略中央に存在する比較画像116は、左から順に、第1条件画像120a(可視情報)、第2条件画像120c(可視情報)、及び第3条件画像120e(可視情報)から構成される。
【0064】
第1条件画像120aは、上記した文字列108a、及び、横軸を色差ΔEとし、縦軸を色数とするヒストグラム122aからなる。このヒストグラム122aは、各ターゲット色に対する再現色のずれ量(統計量)を表す。これにより、作業者は、第1条件画像120aを視認することで、印刷条件Aにおける色再現精度の良し悪しを一見して把握できる。
【0065】
第2条件画像120cは、上記した文字列108c、及び、横軸を色差ΔEとし、縦軸を色数とするヒストグラム122cからなる。作業者は、第2条件画像120cを視認することで、印刷条件Cにおける色再現精度の良し悪しを一見して把握できる。同様に、第3条件画像120eは、上記した文字列108e、及び、横軸を色差ΔEとし、縦軸を色数とするヒストグラム122eからなる。作業者は、第3条件画像120eを視認することで、印刷条件Eにおける色再現精度の良し悪しを一見して把握できる。
【0066】
なお、本図例では、印刷条件A、C、Eのうち、色差ΔEの最大ずれ量が最も小さい印刷条件Eを明示すべく、環状のマーク112が、文字列108eを囲む位置関係下に付されている。これにより、色再現特性の観点では、印刷条件Eが最も適した条件であることを作業者に知らせることができる。
【0067】
ところで、色再現精度の表示形態は、図7例に限定されることなく種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、表現形態は、ヒストグラムの他、累積分布、散布図であってもよい。また、グラフの他、誤差の傾向を定量化した数値(例えば、平均値、最大値、最頻値、標準偏差)として表示してもよい。
【0068】
作業者による[次へ]ボタン119のクリック操作に応じて、図7に示す比較表示画面114から、新たな比較表示画面124に遷移される。また、[戻る]ボタン118のクリック操作に応じて、図6に示す比較表示画面100に戻ってもよい。
【0069】
図8に示すように、比較表示画面124には、上から順に、第3の構成例である比較画像126と、[戻る]と表記されたボタン127と、[閉じる]と表記されたボタン105とがそれぞれ配置されている。比較表示画面124の略中央に存在する比較画像126は、左から順に、第1条件画像128a(可視情報)、第2条件画像128c(可視情報)、及び第3条件画像128e(可視情報)から構成される。
【0070】
第1条件画像128aは、上記した文字列108a、及び、所定の幾何学的形状を表す模擬画像130aからなる。この模擬画像130aは、スクリーン印刷における網点の形態、具体的には平面視形状を表す。これにより、作業者は、第1条件画像128aを視認することで、印刷条件Aにおける網点の形態を一見して把握できる。
【0071】
第2条件画像128cは、上記した文字列108c、及び、所定の幾何学的形状を表す模擬画像130cからなる。作業者は、第2条件画像128cを視認することで、印刷条件Cにおける網点の形態を一見して把握できる。同様に、第3条件画像128eは、上記した文字列108e、及び、所定の幾何学的形状を表す模擬画像130eからなる。作業者は、第3条件画像128eを視認することで、印刷条件Eにおける網点の形態を一見して把握できる。
【0072】
なお、印刷特性に関する可視情報は、比較画像102、116、126を適宜組み合わせた画像であってもよい。また、可視情報の具体的構成は、図6〜図8に示した各例に限られず、種々の情報であってもよい。例えば、作業者が一般的に把握し難い印刷特性、具体的には粒状性、鮮鋭性、階調性(連続性、滑らかさ)を含む画質に関する可視情報が挙げられる。
【0073】
図3のステップS8において、制御部36は、決定指示があったか否かを判別する。具体的には、図5に戻って、検索画面80上において1つの印刷条件候補が選択された状態下、[OK]ボタン88のクリック操作があったか否かを判別する。本図例では、所定のクリック操作により、表示欄84内の一部(ハッチングを付した領域)が着色表示されている。これは、3つの印刷条件候補のうち「印刷条件C」が現在選択されている旨を表す。
【0074】
操作がなかったと判別された場合、ステップS1に戻って、ステップS1〜S7を順次繰り返す。一方、操作があったと判別された場合、次のステップ(S9)に進む。
【0075】
ステップS9において、印刷条件決定部50は、実行予定の印刷ジョブに適した1つの印刷条件を決定する。そして、ラスタライズ処理部54は、決定された印刷条件に基づいて、校正データ(又は校了データ)に対してラスタライズ処理を実行する。その後、上述の通り、校正工程(又は印刷工程)に移行する。
【0076】
以上のように、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択し、選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報(図6例では、第1条件画像106a、第2条件画像106c、第3条件画像106e)を並べて配置した比較画像(図6例では、比較画像102)を作成するようにしたので、比較画像102中の第1条件画像106a等を対比することで、各印刷条件候補に応じた印刷特性の良し悪しを一見して把握可能である。これにより、作業者は、複数の印刷条件の中から適切な印刷条件を容易に決定できる。
【0077】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
10…印刷物生産システム 20…RIP装置
30…印刷物 36…制御部
42…表示部 44…入力部
48…メモリ 50…印刷条件決定部
52…表示データ作成部 56…条件検索部
58…条件選択部 62…比較画像作成部
100、114、124…比較表示画面
102、116、126…比較画面
106a、120a、128a…第1条件画像
106c、120c、128c…第2条件画像
106e、120e、128e…第3条件画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する条件選択部と、
前記条件選択部により選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する比較画像作成部と
を備えることを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記2以上の条件項目のうち色に関連する条件項目を参照し、各前記印刷条件候補に応じた前記印刷特性をそれぞれ取得する印刷特性取得部をさらに備え、
前記比較画像作成部は、前記印刷特性取得部により取得された各前記印刷特性に基づいて前記比較画像を作成する
ことを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
前記可視情報には、前記印刷により色再現されるガマット範囲を表す画像が含まれることを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置において、
前記可視情報には、前記印刷による色再現精度の統計量を表す画像が含まれることを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置において、
前記可視情報には、スクリーン印刷における網点の形態を表す画像が含まれることを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置において、
前記複数の印刷条件は、過去に使用された2以上の印刷条件であることを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置において、
前記比較画像作成部により作成された前記比較画像を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする印刷条件決定装置。
【請求項8】
印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する選択ステップと、
選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する作成ステップと
を備えることを特徴とする印刷条件決定方法。
【請求項9】
コンピュータを、
印刷に関する2以上の条件項目を組み合わせた印刷条件に関し、複数の印刷条件の中から所定数の印刷条件候補を選択する条件選択部、
前記条件選択部により選択された各前記印刷条件候補に応じた印刷特性に関する可視情報を並べて配置した比較画像を作成する比較画像作成部
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109454(P2013−109454A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252368(P2011−252368)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)