説明

印刷用紙及びその製造方法

【課題】インクジェットプリンタでも高解像度の印刷を行うことが可能な再剥離及び再接着自在の印刷用紙及びその製造方法を提供する。
【解決手段】印刷用紙の裏面(b)には再接着及び再剥離自在にする接着剤を塗布し、これをPETシート紙のPVCコーティング面(c)に結合させ、プリンタによって内容が印刷される面(a)にはインクの粘着力を高めるコーティング剤を塗布させることにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタでも高解像度の印刷を行うことが可能な、再剥離及び再接着自在の印刷用紙及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用印刷用紙は、A4規格(210×297mm)がほぼ90%以上用いられている実情にあり、一般に提供されているプリンタもA4規格を支援しないものがない程、A4規格の印刷用紙が一般化されている。
【0003】
ところが、内容物(広告や公知事項など)の印刷したA4用紙を、壁又は掲示板に付けようとする場合、透明テープ又は押しピンを用いる、或いは糊付けをしなければならないという不便さがあった。勿論、雛型紙に接着面を備えた郵便発送用ラベル用紙が知られている。しかし、このようなラベル用紙は所定の規格で切断されているため、ワードプロセッサで支援する指定の文書様式を利用しなければ、所望の内容を自由に印刷して使用できないという問題点がある。その上、前記ラベル用紙は使い捨て接着方式なので、特定の位置に1回付けてからは外して他所に再び接着することができないという問題点がある。
【0004】
また、印刷用紙は、通常、インクジェットプリンタで印刷を行う場合にはインクの染みが激しい。そのため、高解像度の印刷では、主にレーザープリンタを利用している。インクジェットプリンタは、ノズルからインクを噴射して印刷する方式なので、インクが印刷用紙に粘着される時間、及びインクを吸収する印刷用紙の材質によって、その解像度が大きく左右される。そのため、既存の印刷用紙を用いるインクジェットプリンタで印刷を行う場合、略800dpi以上の解像度を得ることは難しいという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、一般に最も多く活用されているA4規格の印刷用紙をステッカー方式にすることにより、使用者の便宜を増大させる印刷用紙を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、A4規格印刷用紙の接着面に、再接着可能に組成された接着剤を塗布することにより、自由に再接着および再剥離することが可能なA4規格の印刷用紙を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、印刷用紙の前面(印刷が行われる面、以下同じ)に、インクの粘着力を増大させるためのコーティング剤を塗布することにより、高解像度のインクジェット印刷が可能な印刷用紙を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、前述の機能を備えた印刷用紙の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、その裏面には再接着及び再剥離を自在にする接着剤を塗布し、PVCが塗布されたPETシート紙を結合させ、プリンタによって内容が印刷される面には、インクの粘着力を高めるコーティング剤を塗布させることにより製造される印刷用紙を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の印刷用紙は、一般的なレーザプリンタだけでなく、インクジェットプリンタでも最高2,800dpi以上の高解像度を得ることができるので、各種の報告書やカラー文書、広報物などの出力の際にその活用性が高く、特に広報物や案内文などを掲示板、壁、机前のパーティションなどに自由に接着させることができ、1回接着させてからは取り外して他所に再接着することが可能であるため、非常に有用な発明である。
【0011】
特に、本発明に係る接着剤は、接着面から印刷用紙を取り外すときに接着面だけでなく該印刷用紙を傷つけず、接着面には何の異物も残さないことにより、使用の便宜性を極大化する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る印刷用紙の使用状態を説明するための図である。
本発明の印刷用紙は、図1に示すように、本発明の印刷用紙は、その裏面(b)には再接着及び再剥離を自在にする接着剤を塗布し、これをPVCが塗布されたPETシート紙(PEラミネート紙又は離型紙ともいう。以下同じ)(c)に付着させ、一方、プリンタによって内容が印刷される面(a)にはインクの粘着力を高めるコーティング剤を塗布させることにより製造される。
【0013】
本発明において、PETシート紙に接着される印刷用紙の面に塗布される接着剤は、酢酸ビニールアクリル酸エステル共重合樹脂(Vinyl Acetate-Acrylic Acid Ester copolymer Resin)43〜47重量部、非イオン界面活性剤(Poly Ory Ethylene Nonyl Phenyl Ether)1.5〜2.5重量部、無機フィラー(炭酸カルシウム)16〜20重量部、酢酸ビニールモノマー(Vinyl Acetate Monomer)1,000〜2,000ppm、2−EHAモノマー(2-Ethyl Hexyl Acrylate Monomer) 1,000〜2,000ppm及び水32〜36重量部を混合して組成される。
【0014】
一般に知られている「ポストイット」(登録商標)のような公知の再剥離および再接着可能な紙類の接着面に使用される接着剤は殆ど、アクリル系溶材をトルエンのような揮発性有機溶材として使用したものである。しかし、本発明に係る接着剤は、アクリル系溶材を水に溶かしたもので、揮発成分の臭いを低減させ、ひいては揮発成分の蒸発による接着力の低下問題を解決し、環境汚染の問題まで補完することができるという効果がある。
【0015】
従って、このように構成された接着剤は、所定の接着力を発揮するうえ、接着面から用紙を取り外す際に、接着面だけでなく用紙を傷つけず、しかも接着面には何の異物も残さない。
【0016】
本発明に係る接着剤を印刷用紙の裏面に塗布する厚さは、約25ミクロン程度が適する。従って、本発明に係る印刷用紙は、使用者がワードプロセッサを用いて自由に内容を作成、出力した後、PETシート紙を取り外し、既存の再剥離および再接着可能な付箋のように、所望の箇所に容易に着脱させることができる。その上、他所に再び接着させることが可能であるという利便性を持つ。
【0017】
また、本発明において、インクジェットプリンタから噴射されるインクの粘着力を増大させるためのコーティング剤は、シリカ又は酸化珪素(SiO2)粉末23〜27重量部、酢酸ビニール46〜50重量部、公知のインク粘着剤1重量部、公知のインク固着剤1重量部及び水20重量部を混合して組成される。
【0018】
このように構成された本発明に係るコーティング剤を印刷用紙の印刷面に均一に塗布し、120℃で20秒間乾燥させると、本発明に係る印刷用紙の製造が完了する。
【0019】
このように本発明に係るコーティング剤は、シリカが多量添加されることにより、既存のインク粘着剤のみを使用する場合に比べて、無機物の一般的な性質である熱安定性、化学的安定性、光沢性、耐磨耗性及び有機物の特性である反応性、溶解性、弾力性、接着性などの物性を兼ねる特性を持つ。また、空気中の水分と反応して表面から内部側へ徐々に硬化される特性を持ち、インクジェットプリンタによって印刷用紙に噴射されたインクを迅速に固着させ、インクの広がり又は染み現象を防止することができる。特に、本発明に係るコーティング剤は、インクジェット印刷された印刷面に水が付いた場合にもインクが染みない優れた効果がある。
【0020】
このようにコーティング剤の塗布された印刷用紙は、インクジェットプリンタから噴射されるインクを瞬時吸収して固着させるので、最大2,800dpi以上の高解像度を得ることができる。
【0021】
本発明に係る印刷用紙を製造する方法は、シリコン23〜27重量部、酢酸ビニール46〜50重量部、インク粘着剤1重量部、インク固着剤1重量部及び水20重量部を混合してコーティング剤製造工程(A工程)と、前記A工程によって組成されたコーティング剤8.4gを、公知の印刷用紙の印刷面に塗布して120℃の温度で約20秒間乾燥させるコーティング工程(B工程)と、酢酸ビニールアクリル酸エステル共重合樹脂(Vinyl Acetate-Acrylic Acid Ester copolymer Resin)43〜47重量部、非イオン界面活性剤(Poly Ory Ethylene Nonyl Phenyl Ether)1.5〜2.5重量部、無機フィラー(炭酸カルシウム)16〜20重量部、酢酸ビニールモノマー(Vinyl Acetate Monomer)1,000〜2,000ppm、2−EHAモノマー(2-Ethyl Hexyl Acrylate Monomer) 1,000〜2,000ppm及び水32〜36重量部を混合して接着剤製造工程(C工程)と、前記C工程によって組成された接着剤8.4gを印刷用紙の裏面に塗布する接着剤塗布工程(D工程)と、前記D工程を経た印刷用紙をPETシート紙に結合させる結合工程(E工程)とを含んでなる。
【0022】
さらに、前記工程が完了した後には、所定の規格(A4又はB5規格)に応じて切断する切断工程が行われる。
【0023】
以上、本発明を特定の実施例によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。勿論、当該技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の概念から逸脱しない範囲内で様々な形に変形又は変更実施されることも本発明の概念に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る印刷用紙の使用状態を説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙の裏面(b)に、再接着及び再剥離を自在にする接着剤を塗布し、これをPETシート紙のPVCコーティング面(c)に付着させてなることを特徴とする印刷用紙。
【請求項2】
前記印刷用紙の印刷面(a)に、インクジェットプリンタから噴射されるインクの粘着力を増大させるためのコーティング剤を塗布してなることを特徴とする請求項1に記載の印刷用紙。
【請求項3】
前記接着剤は、酢酸ビニールアクリル酸エステル共重合樹脂(Vinyl Acetate-Acrylic Acid Ester copolymer Resin)43〜47重量部、非イオン界面活性剤(Poly Ory Ethylene Nonyl Phenyl Ether)1.5〜2.5重量部、無機フィラー(炭酸カルシウム)16〜20重量部、酢酸ビニールモノマー(Vinyl Acetate Monomer)1,000〜2,000ppm、2−EHAモノマー(2-Ethyl Hexyl Acrylate Monomer) 1,000〜2,000ppm及び水32〜36重量部を混合して組成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用紙。
【請求項4】
前記コーティング剤は、シリコン23〜27重量部、酢酸ビニール46〜50重量部、インク粘着剤1重量部、インク固着剤1重量部及び水20重量部を混合して組成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用紙。
【請求項5】
前記印刷用紙を製造する方法において、
シリコン23〜27重量部、酢酸ビニール46〜50重量部、インク粘着剤1重量部、インク固着剤1重量部及び水20重量部を混合してコーティング剤を製造するコーティング剤製造工程(A工程)と、
前記A工程によって組成されたコーティング剤8.4gを、公知の印刷用紙の印刷面に塗布して120℃の温度で約20秒間乾燥させるコーティング工程(B工程)と、
酢酸ビニールアクリル酸エステル共重合樹脂(Vinyl Acetate-Acrylic Acid Ester copolymer Resin)43〜47重量部、非イオン界面活性剤(Poly Ory Ethylene Nonyl Phenyl Ether)1.5〜2.5重量部、無機フィラー(炭酸カルシウム)16〜20重量部、酢酸ビニールモノマー(Vinyl Acetate Monomer)1,000〜2,000ppm、2−EHAモノマー(2-Ethyl Hexyl Acrylate Monomer) 1,000〜2,000ppm及び水32〜36重量部を混合して接着剤を製造する接着剤製造工程(C工程)と、
前記C工程によって組成された接着剤8.4gを、印刷用紙の裏面に塗布する接着剤塗布工程(D工程)と、
前記D工程を経た印刷用紙をPETシート紙のPVCコーティング面と結合させる結合工程(E工程)と、
前記E工程が完了した後には、所定の印刷用紙の規格(A4又はB5規格)に応じて、前記印刷用紙を切断する切断工程とを含んでなることを特徴とする印刷用紙の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−512222(P2006−512222A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562978(P2004−562978)
【出願日】平成15年7月16日(2003.7.16)
【国際出願番号】PCT/KR2003/001405
【国際公開番号】WO2004/058493
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(504080375)
【Fターム(参考)】