説明

印刷表現用紙

【課題】シール部材の剥離によって興味ある視覚的変化をもたらすことのできる印刷表現用紙を提供する。
【解決手段】写真、絵画、デザイン等の画像情報Aを施した台紙1と、画像情報Aと関連のある別の画像情報B、Cを施した剥離及び再接着可能なシール部材2、3とを備える。台紙1の画像情報Aを覆うようにシール部材2を貼着し、その上にシール部材2を覆うようにシール部材3を貼着する。各シール部材が積層された状態から、最上層のシール部材3を剥離すると、下層のシール部材2に施された魚の内臓の画像情報Bが現れ、シール部材2を剥離すると、台紙1上に施された魚の骨の画像情報Aが現れる。シール部材を最上層から順次剥離してゆくことで、画像情報が視覚的に次々と変化し、魚を解剖しているかのような擬似体験をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、絵本、図鑑、書籍、雑誌等において写真や絵画の画像情報を視覚的に変化させることのできる印刷表現用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の絵本、図鑑、書籍、雑誌等における写真、絵画、デザイン等の画像情報は、用紙に施される印刷のみにより固定的に描写されているため、表現方法において変化の乏しいものとなっている。
【0003】
また、以下の特許文献1には、所定の図柄を印刷した剥離可能なシートを、風景等が描かれたページの台紙に貼り付けるようにした遊戯絵本が示されているが、シートの剥離により図柄の視覚的変化が得られるものではない。さらに、特許文献2には、多数の区画シールを1枚ずつ剥離することにより、下に隠れている図柄が徐々に出現するようにした表示用紙が示されているが、シールに表示された情報と下に隠れている図柄との間には何の関連もないので、シールの剥離により画像情報を一定の関連性をもたせて興味深く変化させることはできない。
【0004】
【特許文献1】 特開平2−268791号公報
【特許文献2】 特開平10−187039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、シール部材の剥離によって興味ある視覚的変化をもたらすことのできる印刷表現用紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1の発明は、写真、絵画、デザイン等の画像情報を施した台紙と、前記画像情報と関連のある別の画像情報を施した剥離及び再接着可能なシール部材とを備え、このシール部材を、台紙に施された画像情報の全部又は一部を覆うように台紙上に接着し、シール部材を剥離することにより画像情報を視覚的に変化させるようにしている。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、シール部材は互いに異なった画像情報が施された複数のシール部材からなり、これらのシール部材を台紙上の画像情報の位置で重ね合わせて多層に接着し、最上層から剥離することにより、画像情報を順次視覚的に変化させるようにしている。
【0008】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、最上層のシール部材に施された画像情報は生物の外観を表現したものであり、最上層より下層のシール部材に施された画像情報は当該生物の内部を表現したものとなっている。
【0009】
請求項4の発明では、請求項1、請求項2または請求項3の発明において、シール部材の形状を台紙上の画像情報とほぼ同形状又は類似形状としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、台紙上の画像情報と関連のある画像情報を施したシール部材を、台紙の画像情報の全部又は一部を覆うように接着したので、シール部材を剥離することにより、画像情報を一定の関連性をもって興味深く変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の一実施形態を図1に示す。図1の印刷表現用紙は、写真、絵画、デザイン等の画像情報Aを施した台紙1と、画像情報Aと関連のある別の画像情報B、Cを施した剥離及び再接着可能なシール部材2、3とからなる。ここでは、台紙1の画像情報Aは魚の骨であり、シール部材2の画像情報Bは魚の内臓であり、シール部材3の画像情報Cは魚の外観(表面)である。
【0012】
画像情報Aは台紙1に予め印刷されている。シール部材2、3は、表面にそれぞれ画像情報B、Cが印刷されているとともに、裏面には再接着可能な接着剤が塗布されている。シール部材2、3の材質としては、樹脂フィルム、金属箔、紙などが考えられるが、これに限らず、たとえば布地などを用いることも可能であり、材質は特に限定されない。
【0013】
シール部材2、3の形状は、台紙1上の画像情報Aとほぼ同形状又は類似形状となっており、図2のように、台紙1の画像情報Aを覆うようにシール部材2を貼着し、その上にシール部材2を覆うようにシール部材3を貼着することにより、図3のように、台紙1上に魚の外観が表示された状態となる。図4〜図6は、それぞれ図1〜図3に対応する断面図を表している。
【0014】
ここでは、シール部材2、3を2層としたが、台紙1を含む絵本、図鑑、書籍、雑誌等が折りたたみ可能である限り、シール部材は幾層にも接着することが出来る。
【0015】
このような印刷表現用紙において、図3のように各シール部材が積層された状態から、最上層のシール部材3を剥離すると、図2のように下層のシール部材2に施された魚の内臓の画像情報Bが現れる。次に、図2の状態から、シール部材2を剥離すると、図1のように台紙1上に施された魚の骨の画像情報Aが現れる。つまり、この例では、シール部材を最上層から順次剥離してゆくことで、画像情報が視覚的に次々と変化してゆき、あたかも魚を解剖しているかのような擬似体験をすることができる。
【0016】
以上のようにして、シール部材2、3を剥離するたびに画像情報が順次変化して新たな認識が生じるので、印刷表現用紙に対する更なる関心が深まる。また、シール部材2、3の画像情報B、Cは、台紙1上の画像情報Aと関連したものであるため、画像情報を一定の関連性をもって興味深く変化させることができる。
【0017】
なお、図1〜図3における画像情報A〜Cは一実施形態であって、この発明の画像情報は魚類のみに限定されるものではない。例えば、人体、動物、昆虫、鳥類など、他の生物に関する画像情報であってもよい。この場合も、最上層のシール部材により生物の外観(表面)を表現し、複数枚の下層シール部材で生物の内部を何層にも分割して表現することが出来る。さらに、画像情報の対象物は生物だけに限らず、地球のような自然物や、コンピュータのような人造物であってもよい。
【0018】
また、図1〜図3では、シール部材2、3の形状は、台紙1上の画像情報Aとほぼ同形状又は類似形状となっているが、シール部材は、台紙に施された画像情報の全部又は一部を覆うものであれば、その形状は問わない。例えば、シール部材2の形状を内臓のみに合わせた形にしてもよい。さらに、図1では、画像情報Aは台紙1の上に部分的に印刷されているが、台紙1の全面に画像情報を印刷してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の印刷表現用紙の実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】シ−ル部材の一部を接着した状態を示す斜視図である。
【図3】シ−ル部材の全部を接着した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に対応する断面図である。
【図5】図2に対応する断面図である。
【図6】図3に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 台紙
2 シ−ル部材
3 シ−ル部材
A 台紙上の画像情報
B シ−ル部材上の画像情報
C シ−ル部材上の画像情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真、絵画、デザイン等の画像情報を施した台紙と、前記画像情報と関連のある別の画像情報を施した剥離及び再接着可能なシール部材とを備え、
前記シール部材を、前記台紙に施された画像情報の全部又は一部を覆うように台紙上に接着し、前記シール部材を剥離することにより画像情報を視覚的に変化させることを特徴とする印刷表現用紙。
【請求項2】
前記シール部材は、互いに異なった画像情報が施された複数のシール部材からなり、これらのシール部材を前記台紙上の画像情報の位置で重ね合わせて多層に接着し、最上層から剥離することにより、画像情報を順次視覚的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の印刷表現用紙。
【請求項3】
最上層のシール部材に施された画像情報は生物の外観を表現したものであり、最上層より下層のシール部材に施された画像情報は当該生物の内部を表現したものであることを特徴とする請求項2に記載の印刷表現用紙。
【請求項4】
前記シール部材の形状は、前記台紙上の画像情報とほぼ同形状又は類似形状であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の印刷表現用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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