説明

印刷装置、印刷装置の制御方法、およびプログラム

【課題】画像データの処理を高速化し、印刷動作の遅延を回避する。
【解決手段】ホストコンピューターに接続可能な印刷装置は、受信部と、記憶部と、印刷部と、制御部とを備える。受信部は、ホストコンピューターから印刷データを受信する。記憶部は、印刷データに基づいて生成された印刷画像データを格納する。印刷部は、印刷画像データに基づいて印刷媒体に印刷を実行する。制御部は、印刷データに含まれるコマンドが画像データの印刷を指示するものである場合、受信部においてホストコンピューターより前記コマンドの後に受信した前記画像データを記憶部を経由することなく印刷部へ転送し、当該画像データに基づいて印刷部に印刷を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピューターと接続可能な印刷装置、当該印刷装置の制御方法、および当該印刷装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等に設置され、ホストコンピューターの制御の下にレシート等を発行する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホストコンピューターから受信したコマンドや印刷データに基づいて印刷ヘッドが印刷動作を実行するためのデータ(本明細書においては、このデータを印刷画像データと称する)を生成する必要がある。上記の印刷装置においては、ホストコンピューターから受信した印刷データが多量の画像データを含む場合、処理に比較的時間を要するために印刷動作の遅延が生ずる。
【0005】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、画像データの処理を高速化し、もって印刷動作の遅延を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は以下に列挙する種々の態様を採り得る。
【0007】
本発明の第1の態様は、ホストコンピューターに接続可能な印刷装置を提供する。本発明の第1の態様は、前記ホストコンピューターから印刷データを受信する受信部と、前記印刷データに基づいて生成された印刷画像データを格納する記憶部と、前記印刷画像データに基づいて印刷媒体に印刷を実行する印刷部と、前記印刷データに含まれるコマンドが画像データの印刷を指示するものである場合、前記受信部において前記ホストコンピューターより前記コマンドの後に受信した前記画像データを前記記憶部を経由することなく前記印刷部へ転送し、当該画像データに基づいて前記印刷部に印刷を実行させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、ホストコンピューターより送信された画像データは、印刷画像データの生成や記憶部への格納といった処理を経ることなく、直接受信部から印刷部へ供給されるため、処理時間の短縮を図ることができる。したがって印刷動作の遅延回避が可能である。
【0009】
一般に印刷装置は、受信した画像データを揮発性メモリー(RAM等)などのレジスタや受信バッファーに格納した後、揮発性メモリーなどのプリントバッファーに記憶する。本発明では、画像データが印刷部で印刷を実行可能なデータ形式に置き換えし易いという特徴に着目し、レジスタや受信バッファーといった受信部から直接印刷部へ画像データを転送して印刷を実行している。画像データは多量になる場合が多いので、バッファー間の転送処理の省略効果が顕著となり、処理を大幅に効率化できる。
【0010】
本発明の第1の態様において、ダイレクトメモリーアクセスコントローラーを更に備え、前記制御部は、前記ダイレクトメモリーアクセスコントローラーに前記画像データを前記受信部より前記印刷部へ転送させることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすれば、制御部の処理負荷が軽減される。したがって更なる印刷動作の高速化を図ることができる。
【0012】
本発明の第1の態様において、前記制御部は、前記コマンドに含まれる引数に応じて前記ダイレクトメモリーアクセスコントローラーによる転送を有効化または無効化可能であることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、画像データの受信部から印刷部への転送を制御部とダイレクトメモリーアクセスコントローラーの何れが実行するかを、画像データの数や密度を示す引数に応じて切替えることが可能となる。画像データの数や密度が少ない場合は、ダイレクトメモリーアクセスコントローラーの設定に要する時間の影響の方が転送時間よりも相対的に大きい傾向にある。このような場合、制御部により制御を実行した方が処理が速くなることがあるため、印刷データの内容や印刷装置の状態に応じた効率的な印刷制御が可能となる。
【0014】
本発明の第1の態様において、前記印刷データに含まれるコマンドが文字印刷を指示するものである場合、前記制御部は、前記受信部において前記ホストコンピューターより受信した文字コードに基づいて前記印刷画像データを生成することを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、処理負荷が比較的低い文字データの処理と処理負荷が比較的高い画像データの処理を区別することによって効率的な印刷処理を実行可能である。
【0016】
本発明の第2の態様は、ホストコンピューターから印刷データを受信する受信部と、前記印刷データに基づいて生成された印刷画像データを格納する記憶部と、前記印刷画像データに基づいて印刷媒体に印刷を実行する印刷部とを備える印刷装置の制御方法を提供する。本発明の第2の態様は、前記印刷データに含まれるコマンドが画像データの印刷を指示するものである場合、前記受信部において前記ホストコンピューターより前記コマンドの後に受信した前記画像データを前記記憶部を経由することなく前記印刷部へ転送し、前記画像データに基づいて前記印刷部に印刷を実行させる、ことを特徴とする。
このような構成によれば、本発明の第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【0017】
本発明は、上記第2の態様に係る印刷装置の制御方法を、印刷装置が備える制御部に実行させることを特徴とするプログラムとしても実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1の印刷装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る印刷装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】図3の印刷装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図5】図3の印刷装置の制御方法の別例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る印刷装置について添付の図面を参照しつつ以下詳細に説明する。POSシステム等に用いられるサーマルラインプリンターを印刷装置の例に挙げる。POSシステムは、小売店等に設置されて売上げ精算を行なうPOS端末を、売上げ登録処理および精算処理を行なうホストコンピューターに接続して構成される。本発明に係る印刷装置はPOS端末に備えられ、売上げ精算の際にレシートを印刷・発行するために用いられる。
【0020】
図1に本発明の第1実施形態に係る印刷装置2を示す。印刷装置2は、ホストコンピューター1に接続可能であり、印刷制御部10および印刷部13を備えている。
【0021】
印刷制御部10は、CPU(中央制御装置)および各種周辺回路より構成される制御部11を備えている。制御部11は、後述する不揮発性メモリー16あるいは不図示のROM(読み出し専用メモリー)に記憶された制御プログラム等の各種プログラムを実行することにより、印刷装置2の各部を統括的に制御する。
【0022】
印刷部13は、不図示の媒体搬送機構、印刷ヘッド、およびヘッド駆動回路を備えている。媒体搬送機構は、制御部11の制御の下に、印刷装置2に収容された印刷媒体としてのロール紙の先端部を所定の搬送経路に沿って印刷ヘッドへ向けて搬送する。本実施形態の印刷ヘッドは、複数の発熱素子が印刷媒体の搬送方向に直交する向きに配列されたサーマルラインヘッドである。制御部11の制御の下に発熱素子(ドット形成素子)がロール紙の表面(記録面)に熱を与えることにより、ロール紙上に文字や画像が印刷(記録)される。印刷ヘッドを通過したロール紙の先端部は、不図示の切断機構により自動あるいは手動で切断され、レシートとして顧客に手渡される。
【0023】
本実施形態の印刷装置2は、店名、売り上げた商品の名称、数量ならびに金額、および合計金額等の文字情報に加え、店のロゴ、クーポン情報、バーコード等の画像情報をレシート上に印刷可能とされている。
【0024】
図1に示されるように、印刷制御部10は、受信部12、コマンド解析部15、不揮発性メモリー16、およびプリントバッファー17を更に備えている。各種データはこれらの構成要素間をデータバス19を介して送受信可能とされている。
【0025】
受信部12は、制御部11の制御の下に、ホストコンピューター1から送信される各種コマンドやデータ等を所定規格に準拠して受信するインターフェースであり、レジスターやバッファー等から構成される。受信部12には、ホストコンピューター1から有線あるいは無線通信を通じて受信した各種コマンドやデータが一時的に格納される。受信部12の少なくとも一部は、制御部11がワークエリアの形成に利用する不図示のRAM(ランダムアクセスメモリー)における所定の記憶領域に形成される構成としてもよいし、専用のメモリーを設ける構成としてもよい。
【0026】
コマンド解析部15は、制御部11の制御の下に、受信部12に格納された各種コマンドを順次読み出して解析する。ホストコンピューター1より送信されるコマンドは、印刷する文字や画像の属性や位置を指定するコマンドや、印刷装置の機能や動作を指定するコマンド等を含んでいる。コマンド解析部15は、コマンドの内容を解析することによって印刷装置2において実行される処理を特定する。コマンド解析部15は、制御部11の一機能として実現される。当該機能を実現する専用のハードウェアまたはソフトウェアを設けてもよい。
【0027】
不揮発性メモリー16はROM等によって構成され、書替え可能に、かつ不揮発的に各種データを記憶保持する。本実施形態の不揮発性メモリー16は、レシートに印刷される各種文字の形状を定義するデータ(フォントデータ)を格納している。不揮発性メモリー16に記憶保持されるデータは、予め格納されていてもよいし、ホストコンピューター1から送信されたデータを受信部12を介して格納する構成としてもよい。
【0028】
プリントバッファー17は、サーマルラインヘッドを駆動するために生成される印刷画像データを格納(展開)するための領域であり、本発明の記憶部として機能する。印刷画像データは、印刷に供される文字をラスタライズして画素データとして生成したものである。例えばドットが形成される(発熱素子を駆動する)画素は1で、ドットが形成されない(発熱素子が駆動されない)画素は0で表現される。ヘッド駆動回路は、プリントバッファー17に展開された印刷画像データに基づいて、印刷媒体の搬送タイミングを規定する信号との同期をとりつつ、発熱素子の各々に駆動信号を出力することにより、所望の文字をレシート上に印刷する。
【0029】
上記の構成を備えた本実施形態に係る印刷装置2の動作および制御方法について、図2を参照しつつ以下説明する。
【0030】
本実施形態においては、印刷動作が実行される場合において、先ずホストコンピューター1から印刷対象が文字列であるか画像であるかを示すコマンドが送信され、受信部12に格納される(ステップS11)。当該コマンドはコマンド解析部15による解析に供され、印刷対象が文字列であるか画像であるかが認識される(ステップS12)。具体的には、印刷対象が文字列であるか画像であるかを示す引数がコマンド中に含まれており、コマンド解析部15は当該引数を参照して印刷対象を判別する。なお特定の引数が含まれている場合に印刷対象が画像であると判定し、含まれていない場合に印刷対象が文字列であると判定する構成としてもよい。
【0031】
印刷対象が文字列であると判定されると(ステップS12においてNo)、制御部11は後続してホストコンピューター1から送信される文字コードの受信を待機する。文字コードが受信部12に格納されると、制御部11は当該文字コードに対応するフォントデータを不揮発性メモリー16から読み出し、文字列に対応する印刷画像データを生成する(ステップS13)。生成された印刷画像データはプリントバッファー17に展開され(ステップS14)、制御部11の制御の下に所定のタイミングで印刷部13へ転送される(ステップS15)。印刷部13は印刷画像データに基づいてサーマルラインヘッドおよび媒体搬送機構を駆動し、指定された文字列をレシート上に印刷する(ステップS16)。
【0032】
印刷部13が一度に処理できる印刷画像データの量は、サーマルラインヘッドが備える発熱素子の数に対応する。転送された印刷画像データに基づいて印刷が実行されると、印刷媒体が所定量だけ搬送され、次の印刷画像データの供給を待つ。すなわち印刷媒体の搬送動作毎に、サーマルラインヘッドが印刷可能なドット数に対応するデータ量だけ、印刷画像データがプリントバッファー17から印刷部13へ供給される。
【0033】
印刷対象が画像であると判定されると(ステップS12においてYes)、制御部11は後続してホストコンピューター1から送信される画像データの受信を待機する。この画像データは上述の印刷画像データに相当する、すなわちサーマルラインヘッドの発熱素子の各々の駆動/非駆動を直接制御する画素データとして提供される。受信部12における画像データの受信を確認すると、制御部11は当該画像データをデータバス19を介して直接、すなわちプリントバッファー17を経由することなく印刷部13へ転送する(ステップS17)。印刷部13は、制御部11の制御の下に、供給された画像データに基づいてサーマルラインヘッドおよび媒体搬送機構を駆動し、所定の画像をレシート上に印刷する(ステップS18)。
【0034】
上述のように、印刷部13が一度に処理できる画像データの量は、サーマルラインヘッドが備える発熱素子の数に対応する。したがって画像データの受信部12から印刷部13への転送は、印刷媒体の搬送動作毎にサーマルラインヘッドが印刷可能なドット数に対応するデータ量毎に行なう必要がある。このデータ量は、ホストコンピューター1より先行して送信されるコマンド中に引数として定義されており、コマンド解析部15は当該引数を参照して制御部11への通知を行なう。制御部11は引数の指定するデータ量毎に直接転送を実行する。
【0035】
上記の構成によれば、ホストコンピューター1より送信された画像データは、印刷画像データの生成とプリントバッファー17への格納、およびプリントバッファー17から印刷部13への転送といった処理を経ることなく、直接受信部12から印刷部13へ供給されるため、処理時間を大幅に短縮することができる。
【0036】
本発明の第2実施形態に係る印刷装置22を図3に示す。第1実施形態と同一、同等もしくは同様の機能・構成を有する要素については同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。本実施形態は、印刷制御部10がDMAC(ダイレクトメモリーアクセスコントローラー)18を備えている点において第1実施形態と相違する。
【0037】
DMAC18は、制御部11の内部あるいは外部に設けられたプロセッサーである。制御部11から所定の指示を受けるとバッファーやメモリーに直接アクセスし、データバス19を介してこれらの要素間のデータ転送を制御する。
【0038】
本実施形態に係る印刷装置22の動作および制御方法について、図4を参照しつつ説明する。図2に示した第1実施形態に係る制御方法と同一の処理については同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。すなわち文字列を印刷する際の処理については第1実施形態と同一である。
【0039】
本実施形態においては、印刷対象が画像であると判定されると(ステップS12においてYes)、制御部11はDMAC18のDMA制御を有効化する。DMAC18は後続してホストコンピューター1から送信される画像データの受信を待機する。
【0040】
DMAC18は受信部12に直接アクセス(ダイレクトメモリーアクセス)して画像データの受信を確認すると、当該画像データをデータバス19を介して直接、すなわちプリントバッファー17を経由することなく印刷部13へDMA転送する(ステップS27)。印刷部13は、制御部11の制御の下に、供給された画像データに基づいてサーマルラインヘッドおよび媒体搬送機構を駆動し、所定の画像をレシート上に印刷する(ステップS18)。
【0041】
上記の構成によれば、ホストコンピューター1より送信された画像データは、印刷画像データの生成とプリントバッファー17への格納、およびプリントバッファー17から印刷部13への転送といった処理を経ることなく、直接受信部12から印刷部13へ供給されるため、処理時間を大幅に短縮することができる。またDMAC18による画像データの印刷部13への供給はDMA制御によって行なわれるため、制御部11の処理負荷が軽減される。したがって更なる印刷動作の高速化を図ることができる。
【0042】
上述のように、画像データの受信部12から印刷部13への転送は、印刷媒体の搬送動作毎にサーマルラインヘッドが印刷可能なドット数に対応するデータ量毎に行なう必要がある。このデータ量は、ホストコンピューター1より先行して送信されるコマンド中に引数として定義されており、コマンド解析部15は当該引数を参照して制御部11への通知を行なう。制御部11は引数の指定するデータ量毎にDMA転送を実行するようにDMAC18へ指示を行なう。
【0043】
なおDMA制御の有効/無効を示す引数をホストコンピューター1より先行して送信されるコマンドに含め、当該引数をコマンド解析部15が参照する構成としてもよい。この場合、画像データの受信部12から印刷部13への転送を制御部11とDMAC18の何れが実行するかを、画像データの数や密度を示す引数に応じて切替えることが可能となる。したがって状況に応じた高速印刷動作の維持が可能となる。例えば画像データの数や密度が少ない場合は、DMAC18の設定に要する時間の影響の方が転送時間よりも相対的に大きい傾向にある。このような場合、制御部により制御を実行した方が処理が速くなることがあるため、印刷データの内容や印刷装置の状態に応じた効率的な印刷制御が可能となる。
【0044】
この例における印刷装置22の制御方法について、図5を参照しつつ説明する。図4に示した第2実施形態に係る制御方法と同一の処理については同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0045】
この例においては、印刷対象が画像であると判定されると(ステップS12においてYes)、ホストコンピューター1より送信されたコマンドに含まれているDMA制御の有効/無効を示す引数がコマンド解析部15によって参照され、DMA制御の有効化が指示されているかを判定する(ステップS30)。
【0046】
DMA制御の有効化が指示されていると判定されると(ステップS30においてYes)、制御部11がDMAC18のDMA制御を有効化する。第2実施形態と同様にして、受信部12において受信された画像データをDMAC18が印刷部13へDMA転送する(ステップS27)。
【0047】
DMA制御の無効化が指示されていると判定されると(ステップS30においてNo)、第1実施形態と同様にして、受信部12において受信された画像データを制御部11が印刷部13へ転送する(ステップS17)。バス分割制御等を利用すれば、制御部11による転送処理中にDMAC18は別のタスクへの対応が可能であり、より効率的な制御処理が可能となる。
【0048】
上記各実施形態において、印刷制御部10が実行する制御の少なくとも一部は、DMAC18やホストコンピューター1にインストールされたプリンタドライバが備えるソフトウェアによって実現されてもよい。
【0049】
本発明に係る印刷装置の制御方法は、印刷媒体として単票紙を用いるページプリンターにも適用可能である。文書の各ページにおけるヘッダーやフッターに画像の印刷が必要な場合において、処理負荷の軽減と印刷動作の遅延回避が期待できる。
【0050】
本発明に係る印刷装置の制御方法は、印刷媒体の搬送方向に配列された複数の発熱素子を備えるサーマルヘッドがキャリッジに搭載され、当該キャリッジを印刷媒体の搬送方向に直交する向きに走査しながら印刷を行なうシリアルプリンターにも適用可能である。この場合においても、印刷部13が一度に処理できる画像データの量は、サーマルヘッドが備える発熱素子の数に対応する。転送された画像データに基づいて印刷が実行されると、キャリッジが所定量だけ走査され、次の画像データの供給を待つ。すなわちキャリッジの単位量走査毎にサーマルヘッドが印刷可能なドット数に対応するデータ量だけ、画像データがプリントバッファー17から印刷部13へ供給される。このデータ量をホストコンピューター1から先行して送信されるコマンドに含まれる引数で定義すればよい。
【0051】
本発明に係る印刷装置の駆動方法は、インクジェット方式、ドットインパクト方式の印刷ヘッドを備えるプリンターにも適用可能である。画像データもしくは印刷画像データを構成する各画素データは、インクジェット方式のプリンターにおいてはインク滴の噴射/非噴射を規定するものとなり、ドットインパクト方式のプリンターにおいてはニードルの駆動/非駆動を規定するものとなる。何れの方式においても前述のデータ構成に基づいてライン方式のヘッドとシリアル方式のヘッドの双方について適用可能である。
【0052】
上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1:ホストコンピューター、2:印刷装置、11:制御部、12:受信部、13:印刷部、15:コマンド解析部(制御部)、17:プリントバッファー(記憶部)、18:DMAC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピューターに接続可能な印刷装置であって、
前記ホストコンピューターから印刷データを受信する受信部と、
前記印刷データに基づいて生成された印刷画像データを格納する記憶部と、
前記印刷画像データに基づいて印刷媒体に印刷を実行する印刷部と、
前記印刷データに含まれるコマンドが画像データの印刷を指示するものである場合、前記受信部において前記ホストコンピューターより前記コマンドの後に受信した前記画像データを前記記憶部を経由することなく前記印刷部へ転送し、当該画像データに基づいて前記印刷部に印刷を実行させる制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
ダイレクトメモリーアクセスコントローラーを更に備え、
前記制御部は、前記ダイレクトメモリーアクセスコントローラーに前記画像データを前記受信部より前記印刷部へ転送させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記コマンドに含まれる引数に応じて前記ダイレクトメモリーアクセスコントローラーによる転送を有効化または無効化可能であることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷データに含まれるコマンドが文字印刷を指示するものである場合、前記制御部は、前記受信部において前記ホストコンピューターより受信した文字コードに基づいて前記印刷画像データを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
ホストコンピューターから印刷データを受信する受信部と、前記印刷データに基づいて生成された印刷画像データを格納する記憶部と、前記印刷画像データに基づいて印刷媒体に印刷を実行する印刷部とを備える印刷装置の制御方法であって、
前記印刷データに含まれるコマンドが画像データの印刷を指示するものである場合、前記受信部において前記ホストコンピューターより前記コマンドの後に受信した前記画像データを前記記憶部を経由することなく前記印刷部へ転送し、
前記画像データに基づいて前記印刷部に印刷を実行させる、
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置の制御方法を、印刷装置が備える制御部に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−196887(P2012−196887A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62545(P2011−62545)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】