説明

印刷装置および印刷装置の製造方法

【課題】光検出装置における透光性部材について、有機溶剤による影響を受け難い印刷装置および印刷装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】読取対象に対して光を出射可能な発光手段21と、読取対象から反射された光を受光し、その受光された光に対応する出力信号を出力する受光手段22とを有する光検出装置20を備え、その光検出装置20がキャリッジ32aに取り付けられている印刷装置10であって、この光検出装置20は、発光手段21と受光手段22の少なくとも一方の光の透過部位に透光性部材24を備えていて、この透光性部材24は、材質を透明樹脂とし、その透明樹脂に対して有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理を施したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各色(赤、緑、青)のLED等の発光素子と、反射光から各色の波長をそれぞれ透過させる3種類のフィルターと、その透過光を受光する受光素子とによって構成される反射型の光学センサーを、キャリッジに搭載する構成に関して記載されている。このような光学センサーでは、複数のカラーパターンの濃度を検出する、濃度検出装置(光検出装置)としての機能を果たすことを可能としている。
【0003】
その他、印刷用紙の端部を検出するセンサーについては特許文献2に開示があり、印刷用紙の紙幅を検出するセンサーについては特許文献3に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−273087号公報
【特許文献2】特開2007−276134号公報
【特許文献3】特開2003−260829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インクの中には、ソルベントインクのような非水溶性の有機溶剤を用いるものが存在する(以下、このインクを有機溶剤系インクとする。)。このような有機溶剤系インクを用い、さらに上述の濃度検出装置を用いる場合、以下の懸念がある。
【0006】
すなわち、特許文献1に開示のような濃度検出装置は、レンズやカバーのような、発光部からの光を透過させる透明樹脂から構成される透光性部材を備えている。しかしながら、上述の有機溶剤系インクを長期に亘って使用する場合、上述の透光性部材は、有機溶剤系インクに含まれる有機溶剤によって、徐々に劣化していく。それにより、濃度検出装置の感度が低下する、という問題がある。
【0007】
また、上述のような濃度検出装置の感度低下が生じる場合、印刷装置の出荷時(初期時)と、印刷装置の長期的な使用により有機溶剤の影響を大きく受けた場合とでは、同じ読取パターンを読み取る場合でも、出力値に差異が生じてしまう、という問題がある。なお、特許文献2、3には、H(ハイ)とL(ロー)の2値的なセンサーが開示されているのみであるため、上述の問題は、特許文献2、3を参照しても、解決することは困難である。
【0008】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、光検出装置における透光性部材について、有機溶剤による影響を受け難い印刷装置および印刷装置の製造方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、読取対象に対して光を出射可能な発光手段と、読取対象から反射された光を受光し、受光された光に応じた出力信号を出力する受光手段とを有する光検出装置を備え、光検出装置がヘッドに取り付けられている印刷装置であって、光検出装置は、発光手段と受光手段との少なくとも一方の光の透過部位に透光性部材を備えていて、透光性部材は、材質が透明樹脂であり、透明樹脂は、有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理が施されている、ものである。
【0010】
このように構成する場合には、透光性部材は、材質を透明樹脂とし、その透明樹脂に対して有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理を行っている。そして、そのような劣化処理を経た透光性部材を発光手段と受光手段の少なくとも一方の光の透過部位に用いる場合、劣化処理を経ていない透明樹脂を材質とする透光性部材を用いる場合と比較して、たとえ長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、光の透過性が悪化するのを低減可能となる。すなわち、既に光の透過性が悪化している透光性部材を用いるため、たとえ長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、透光性部材における光の透過性が悪化するのを低減可能となる。それにより、光検出装置において感度が低下するのを抑えることが可能となる。
【0011】
このように、本発明では光検出装置において感度が低下するのを抑えることが可能となるため、印刷装置の出荷時(初期時)と、印刷装置の長期的な使用により有機溶剤の影響を大きく受けた場合との双方において、同じ読取パターンを読み取らせた場合でも、出力手段からの出力に差異が生じるのを低減可能となる。それにより、光検出装置においては出力に変動が少ない状態での読み取りを継続可能となる。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、発光手段は、読取対象に対して白色光を出射可能であり、受光手段は、読取対象から反射された光を受光し、受光された光を分光して分光後のそれぞれの出力信号を出力し、光測定装置は分光後の出力信号に基づいて読取対象の色を判別する測色装置である、ことが好ましい。
【0013】
このように構成する場合には、発光手段は読取対象に対して白色光を出射し、受光手段が反射光を分光して出力信号を出力する。そのため、多色での読み取りが可能となる。また、多色での読み取りにおいては、上述の劣化処理を経た透光性部材を用いているため、長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、透光性部材の透光性の悪化等により出力値が大きく変動し、それによって読取結果に色ずれが生じる、といった不具合が生じるのを低減可能となる。
【0014】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、劣化処理は、透光性部材における透光性の悪化に関する指標値が飽和限界に達する程度に、透光性部材の光透過性を悪化させている、ことが好ましい。
【0015】
このように構成する場合には、劣化処理においては、透光性の悪化に関する指標値が飽和限界に達する程度にまで劣化処理が為されている。そのため、印刷装置において有機溶剤系インクを長期に亘って使用し続けても、透光性部材の光透過性が悪化することを防止可能となり、透光性部材の透光性の悪化等により出力値が変動することも防止可能となる。それにより、読取結果に色ずれが生じるのを防止可能となる。
【0016】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、劣化処理では、透光性部材において透光性の悪化に関する指標値の変化率が所定以下となるように、透光性部材の光透過性を悪化させている、ことが好ましい。
【0017】
このように構成する場合には、劣化処理においては、透光性の悪化に関する指標値の変化率が所定以下となるように劣化処理が為されている。そのため、印刷装置において有機溶剤系インクを長期に亘って使用し続けても、透光性部材の光透過性が悪化するのを大幅に低減可能となり、透光性部材の透光性の悪化等により出力値が変動することも大幅に低減可能となる。それにより、読取結果に色ずれが生じるのを大幅に低減可能となる。
【0018】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、指標値は、発光手段へ導通させる電流値であり、この電流値は発光手段に印加する所定電圧値において受光手段からの出力信号の値が所定の出力値となるときの電流値である、ことが好ましい。
【0019】
このように構成する場合には、電流値は受光手段において出力信号の値が所定の出力値となるものである。すなわち、出力信号の値が所定の出力値となるときの電流値は、透光性部材の劣化に応じて変動する。それにより、この電流値に基づいて、透光性部材の透光性の悪化を判定することが可能となる。
【0020】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、発光手段へ導通させる電流値を制御することによって発光手段での発光量を制御する制御手段を備え、制御手段は、発光手段に導通させる電流値を発光制限値以下となるように制御すると共に、発光制限値は、飽和限界に対応する電流値を上回る値、または変化率および使用寿命に基づいた到達限界に対応する電流値を上回る値に設定されている、ことが好ましい。
【0021】
このように構成する場合には、発光制限値は、飽和限界に対応する電流値を上回る値、または変化率および使用寿命に基づいた到達限界に対応する電流値を上回る値に設定されている。このため、制御手段により発光手段に導通させる電流値を制御する場合において、電流値が発光制限値に到達することがなく、その制御を支障なく行うことが可能となる。
【0022】
さらに、本発明の他の側面である印刷装置の製造方法は、ヘッドに取り付けられている光検出装置を備える印刷装置の製造方法であって、光検出装置は、読取対象に対して光を出射可能な発光手段と、読取対象から反射された光を受光し、受光された光に応じた出力信号を出力する受光手段とを有し、材質を透明樹脂とし、その透明樹脂に対して有機溶剤によって透光性を悪化させた透光性部材を形成する劣化処理工程と、発光手段と受光手段の少なくとも一方の光の透過部位に劣化処理工程を経た透光性部材を備える光検出装置をヘッドに取り付ける取付工程と、を具備することが好ましい。
【0023】
このように構成する場合には、透光性部材は、材質を透明樹脂とし、劣化処理工程においては、その透明樹脂に対して有機溶剤によって透光性を悪化させる処理を行っている。そして、そのような劣化処理を経た透光性部材を発光手段と受光手段の少なくとも一方の光の透過部位に用いる場合、劣化処理を経ていない透明樹脂を材質とする透光性部材を用いる場合と比較して、たとえ長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、光の透過性が悪化するのを低減可能となる。すなわち、既に光の透過性が悪化している透光性部材を用いるため、たとえ長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、透光性部材における光の透過性が悪化するのを低減可能となる。それにより、光検出装置において感度が低下するのを抑えることが可能となる。
【0024】
このように、本発明では光検出装置において感度が低下するのを抑えることが可能となるため、印刷装置の出荷時(初期時)と、印刷装置の長期的な使用により有機溶剤の影響を大きく受けた場合との双方において、同じ読取パターンを読み取らせた場合でも、出力手段からの出力に差異が生じるのを低減可能となる。それにより、光検出装置においては出力に変動が少ない状態での読み取りを継続可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】測色装置の構成を示す概略図である。
【図2】測色装置の発光部および受光部の構成を示す図である。
【図3】測色装置の発光部および受光部の別の構成を示す図である。
【図4】検査用パターンの構成を示す部分的な平面図である。
【図5】発光部の劣化に関する電流値と時間との関係を示す図である。
【図6】印刷装置の概略構成を示す図である。
【図7】測色装置の感度調整における処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態に係る印刷装置(プリンター)10および印刷装置10の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、最初に発明の概要について説明する。
【0027】
<1.概要>
図1は、測色装置20の構成について示す概略図である。測色装置20は、請求項でいう光検出装置および測色装置に対応する。この測色装置20は、印刷用紙等の印刷媒体P上に印刷された検査用パターン40を検出し、その測色を行うためのセンサーである。また、測色装置20は、ある特定の色を印刷した場合に、その色と印刷用紙の白色との濃度差を検出することも可能としている。この測色装置20は、発光部21と受光部22を有する反射型光学センサである。発光部21は、例えば白色LED(Light Emitting Diode)21Aを有し、光を紙に照射する。この発光部21は、請求項でいう発光手段の一例に対応する。
【0028】
図2に示すように、白色LED21Aは、赤色LED211と、緑色LED212と、青色LED213とを有している。そして、これら赤色LED211、緑色LED212および青色LED213が同時に作動することにより、印刷媒体Pには、白色光が照射される。
【0029】
ただし、図3に示すように、白色LED21Aは、青色LED213と、黄色の蛍光体214とを具備するものとしても良い。この場合、青色LED213から出射される青色光(青色波長の光)によって、黄色の蛍光体214からは黄色光(黄色波長の光)が励起され、その黄色光と青色光との組み合わせによって白色光を出射する。また、白色LED21Aとしては、近紫外LEDまたは紫色LEDにより、赤色・緑色・青色の蛍光体を光らせる発光方式のものとしても良い(図示は省略)。また、白色LED21Aは、これら以外の方式であっても良い。
【0030】
また、受光部22は、例えばフォトトランジスターであり、印刷媒体Pから反射された光を受光し、受光した光量に応じた電力を出力する。なお、受光部は、請求項でいう受光手段の一例に対応する。
【0031】
なお、赤色LED211は発光ピーク波長を620以上640nm以下の範囲に有し、赤色光を出射するLEDである。また、緑色LED212は発光ピーク波長を510nm以上530nm以下の範囲に有し、緑色光を出射するLEDである。また、青色LED213は発光ピーク波長を460nm以上480nm以下の範囲に有し、青色光を出射するLEDである。また、上述の黄色の蛍光体214は、ピーク波長を580nm以上600nm以下の範囲に有する黄色光を発光する蛍光体である。また、上述の紫外LEDとは、発光ピーク波長を300nm以上400nm未満の範囲に有し、主として紫外領域の波長の光を放射するLEDである。また、紫色LEDとは、発光ピーク波長を400nm以上430nm未満の範囲に有し、視感度の低い短波長の可視光を放出するLEDである。
【0032】
なお、これら各光の波長には、多少の誤差が含まれ、また各光は概ね上記の波長のものとしても良い。
【0033】
また、受光部22には、赤色受光部221と、緑色受光部222と、青色受光部223とが設けられている。赤色受光部221の光の入射側には、赤色光のみを透過する赤色フィルター23Aが設けられている。また、緑色受光部222の入射側には、緑色光のみを透過する緑色フィルター23Bが設けられている。また、青色受光部223の入射側には、青色光のみを透過する青色フィルター23Cが設けられている。以下の説明では、これらフィルターを総称する場合には、単にカラーフィルター23と称呼する。
【0034】
ここで、図1に示すように、発光部21および受光部22には、透明部材24が取り付けられている。この透明部材24は、請求項でいう透光性部材の一例に対応する。透明部材24は、たとえばアクリル樹脂、PET(Polyethylene Terephthalate)樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の透明な樹脂を材質として形成されていて、測色装置20のうち光の透過部位に取り付けられている。この透明部材24は、光を透過させる透明カバーとして機能したり、レンズとして機能する。なお、レンズや透明カバーは、発光部21側および受光部22側のいずれにあっても良く、両方にあっても良い。
【0035】
ところで、ソルベントインクのような非水溶性の有機溶剤を用いるインク(有機溶剤系インク)による印刷を長期に亘って行う場合、上述のような、白色LED21Aを用いた測色装置20においては、劣化が生じる。かかる劣化には、上述の透明部材24が有機溶剤によって変質し、その透光性が悪化する、というものがある。
【0036】
この原因は定かではないが、考えられる原因の一つの要因としては、透明部材24を構成する透明樹脂の変質によって分子の結合に変化が生じ、短波長の光を吸収するようになったことが考えられる。
【0037】
なお、上述のような透明部材24の透光性が悪化する場合においては、具体的には、曇りガラスのように透明性が悪化したり、透明部材24が若干変色したり(たとえば黄色く変色する等)、細かな亀裂やひび割れ等の変形が生じる等があるが、この他の原因により透光性が悪化する場合もある。
【0038】
ここで、上述のような劣化が生じると、以下の問題がある。すなわち、後述するような印刷媒体Pに検査用パターン40(図4参照;請求項でいう読取対象の一例に対応)を印刷して読み取る場合、あるいはその他のパターンを印刷して読み取る場合(以下、これらを読取パターンと称呼する)を考える。かかる読み取りにおいては、印刷装置10の製品出荷時または製品出荷時に近いときの受光部22からの出力値と、印刷装置10を長期に亘って使用した後の受光部22からの出力値とでは、その値が大きく異なってしまう。
【0039】
このような出力値の変動が生じると、受光部22での読み取り結果が正しくはならず、不正確なものとなってしまう。そこで、このような場合に対応させて、予め透明部材24を劣化させる(透光性を悪化させる)劣化処理を行い、かかる劣化処理が為された後の透明部材24を用いて、測色装置20を構成するようにしている。ただし、透明部材24の劣化処理に代えて、測色装置20の全体を劣化処理させるようにしても良い。
【0040】
図5は、透明部材24における劣化のイメージを示す図であり、有機溶剤の雰囲気100%の状態において、透明部材24を劣化させる実験を行ったときの状態を示すものである。なお、この図5においては、縦軸は電流値を示し、横軸は時間を示している。より詳細には、測色装置20の発光部21において印加する電圧を所定電圧値(一定の電圧値)とし、受光部22から出力される出力値が一定となるようにする場合において、時間の経過によって透明部材24が劣化すると、発光部21で必要とされる電流値が変化する。その電流値の時間経過に伴う変化を示すものが図5である。また、仮に測色装置20の全体について、図5に示すのと同じ条件で実験を行ったとしても、得られる実験結果は図5に示すものと同じまたはほとんど変わらない状態(これらを纏めて同等の状態とする)となっている。
【0041】
なお、電流値は、請求項でいう指標値に対応する。
【0042】
図5に示すように、時間T1までは透明部材24の劣化に伴って、電流値は大きく増加する。しかしながら、時間T1を過ぎると、透明部材24の劣化に伴う電流値の増加は鈍化し、またはほとんど増加しない状態となる。
【0043】
そこで、本実施の形態においては、透明部材24の劣化処理においては、図5において電流値の増加があまり見られなくなる時間T1よりも後の時間T2以上の時間経過に対応する程度にまで、劣化処理を行うようにしている。なお、図5は有機溶剤の雰囲気100%の状態において透明部材24を劣化させた場合について示しているが、他の条件の有機溶剤の雰囲気中でも、図5に示すようなものと同等の変化が生じる。そこで、実際の透明部材24の劣化処理においては、当該条件下で予め実験する等によって求められた時間T2に対応する時間(以下、これを必要劣化処理時間とする)またはそれ以上の時間だけ、その条件下において劣化処理を行うようにすれば良い。
【0044】
このような劣化処理を行った透明部材24を用いる場合、その透明部材24においては、図5において実線で示すような状態で劣化が進行する。しかしながら、このように劣化が進行したとしても、発光部21に導通させる電流値の増加は、かなり鈍化したものであるか、またはほとんど見られない状態となる。
【0045】
なお、上述の必要劣化処理時間(または図5の時間T2)は、以下のようにして定めることができる。すなわち、(1)時間経過と共に電流値の低下が見られる部位が存在する場合、低下後に最も低くなる電流値と同じ電流値となる箇所であって低下後よりも前の箇所を必要劣化処理時間(または図5の時間T2)と定めることが可能である。また、(2)時間経過と共に電流値の低下が見られる部位が存在する場合、低下直前の電流値がピークとなるときの時間を必要劣化処理時間(または図5の時間T2)と定めることが可能である。
【0046】
また、(3)所定期間内における電流値の増加率が増加閾値以下となる場合、その所定期間内に到達するまでの時間またはそれ以上の時間を必要劣化処理時間(または時間T2)と定めることが可能である。なお、ここでいう「電流値の増加率が増加閾値以下」とは、請求項でいう「透光性の悪化に関する指標値の変化率が所定以下」ということに対応する。
【0047】
また、(4)時間が経過しても、電流値がこれ以上増加しないという飽和限界に対応する電流値(電流飽和値)が存在する場合、その電流飽和値に到達した時間、またはその電流飽和値から所定割合だけ低い電流値に到達した時間を、必要劣化処理時間(または時間T2)と定めることが可能である。
【0048】
以上のような、測色装置20において予め劣化処理を施した透明部材24を用いるようにしている。それにより、透明部材24の劣化の影響を大幅に低減させる、というのが本発明の概要である。
【0049】
<2.印刷装置10および印刷装置10の製造方法について>
続いて、上述したような本実施の形態における発明を実現するための印刷装置10および印刷装置10の製造方法について説明する。
【0050】
最初に、印刷装置10の概略構成について、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の実施の形態として印刷装置10の構成例を示すブロック図である。印刷装置10は、既に述べた測色装置20の他に、制御部30、メモリー31、印刷機構32、紙送り機構33、センサー群34、検知部35、外部インターフェース36等を備えている。
【0051】
制御部30は、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び外部インターフェース(いずれも図示せず)等で構成されている。制御部30は、コンピューター50からの指示に応じて、各部を制御し、印刷処理等を実行させる。なお、この制御部30は、請求項でいう制御手段の一例に対応する。
【0052】
メモリー31には、発光部21での発行調整に関する設定情報が記憶される。また、メモリー31には、色補正に用いられる補正値も記憶させるようにしても良い。なお色補正に用いられる補正値は、印刷媒体Pの種類(即ちメディアの種類)及び解像度によって異なるので、例えばメディア種毎及び解像度毎にファイル形式で保持されている。
【0053】
なお、上述の設定情報、色補正に用いられる補正値等は、コンピューター50に接続される外部記憶装置に記憶させるようにしても良い。
【0054】
印刷機構32は、キャリッジ32aと、このキャリッジ32aに取り付けられている印刷ヘッド32bと、キャリッジ32aを印刷媒体Pの搬送方向に対して垂直な方向(主走査方向)に移動させる駆動機構及びキャリッジモータ(共に図示せず)等で構成されており、制御部30の制御に従って、印刷オブジェクトの画像をインクジェット方式で印刷媒体Pに形成する。
【0055】
なお、図6に示すように、測色装置20はキャリッジ32aに取り付けられていて、印刷媒体Pに印刷された検査用パターン40を読み取ることを可能としている。この測色装置20の構成については、既に説明しているので、その説明は省略する。測色装置20では、印刷媒体Pに印刷されている検査用パターン40についてLab値を分光測色方法によって測定する。ここで、キャリッジ32aは、請求項でいうヘッドの一例に対応するが、測色装置20が印刷ヘッド32bに取り付けられる場合には、その印刷ヘッド32bが請求項でいうヘッドに対応するものとしても良い。
【0056】
紙送り機構33は、印刷媒体Pを搬送するための複数のローラー33a、モータ(図示せず)等を有していて、制御部30の制御に従って、印刷媒体Pを搬送する。
【0057】
また、センサー群34としては、リニアエンコーダーを有するリニアセンサー、ロータリーエンコーダーを有するロータリーセンサー等がある。
【0058】
また、検知部35は、図示せぬインクカートリッジが差し替えられたとき、そのことを検知し、どのインクカートリッジが差し替えられたかを示す信号を制御部30に送信する。制御部30は、検知部35から送信されてきた検知信号をコンピューター50に送信し、コンピューター50では、その検知信号に対応した処理を実行する。そのような処理に基づく動作としては、インクカートリッジが差し替えられた旨を示すウィンドウを表示する等がある。
【0059】
また、検知部35は、印刷装置10に、新たな種類の印刷媒体Pが装着されたとき、そのことを検知し、装着された印刷媒体Pの種類を特定し、その印刷媒体Pの種類を識別する情報(例えばID)を制御部30に送信する。
【0060】
外部インターフェース36は、コンピューター50やネットワーク等の外部装置に接続され、その外部装置からの印刷データや制御データの受け取ると共に、外部装置への各種データの通知を行う。
【0061】
続いて、印刷装置10の製造方法について説明する。この製造方法においては、透明部材24の劣化処理を行う(劣化処理工程に対応)。なお、透明部材24の劣化処理ではなく、測色装置20全体の劣化処理を行うようにしても良い。劣化処理を行う場合、有機溶剤系インクと同じ有機溶剤の雰囲気下に、透明部材24を置く。なお、透光性の悪化が有機溶剤系インクと同様に進行するものであれば、有機溶剤系インクと同じ有機溶剤を用いずに、別の有機溶剤を用いるようにしても良い。
【0062】
そして、透明部材24は、予め実験する等によって求められた必要劣化処理時間またはそれ以上の時間だけ、上述の有機溶剤の雰囲気下に存在する状態とする。それにより、透明部材24においては劣化が進行し、図5における時間T2(または必要劣化処理時間)またはそれ以上の時間まで劣化が進行したのと同等の状態となる。
【0063】
その後、透明部材24を有機溶剤の雰囲気下から取り出し、その透明部材24を測色装置20に取り付ける。そして、この測色装置20をキャリッジ32aに取り付ける(取付工程に対応)。以後、印刷装置10の製造においては、各種の組み付け工程が実行されて、印刷装置10が完成する。なお、透明部材24の劣化処理ではなく、測色装置20全体の劣化処理を行った場合には、透明部材24を測色装置20に取り付ける工程は省略される。
【0064】
(測色装置20の感度調整について)
次に、測色装置20の感度調整について、図7の処理フローに基づいて述べる。なお、以下の処理フローは、赤色LED211、緑色LED212および青色LED213のうちの、少なくとも1つについて、後述する発光量値が得られるように調整するものである。
【0065】
まず、制御部30の指令により、測色装置20の移動とギャップ調整とを行う(ステップS11)。このとき、印刷機構32のキャリッジモータは、測色装置20を、感度調整を行うための専用の白色基準板、または所定の印刷用紙といった印刷媒体Pの上に位置させる。また、制御部30は不図示のプラテンギャップ調整機構が備えるモーターを作動させて、印刷媒体Pと測色装置20の間の間隔の調整を行う。
【0066】
また、制御部30は、メモリー31または不図示の記憶部位に記憶されている受光出力狙い値を取得する(ステップS12)。この受光出力狙い値は、赤色受光部221、緑色受光部222または青色受光部223で受光される光量に基づいて出力される、赤色受光部221、緑色受光部222または青色受光部223での電圧の目標値である。たとえば青色受光部223を例にとって説明すると、専用の印刷媒体Pの白色部分に白色光を照射した場合、青色受光部223での出力が受光出力狙い値から所定範囲内に収まる場合には、現在の発光量が適正なものとなっていると考えられる。このように、受光出力狙い値は、現在の発光量が適正であるか否かを判定するための値である。
【0067】
また、上述のステップS12に前後して、制御部30は、現在のそれぞれのLED211〜213の発光量値がゼロとなるように設定する(ステップS13)。ここでは、発光量値とは所定の電圧値の場合における電流値が対応する。そのため、ステップS13では、制御部30はLED211〜213に導通する電流値をゼロとなるように設定する。
【0068】
その後に、制御部30は、現在の発光量値(電流値)が発光制限値に到達しているか否かを判定する(ステップS14)。そして、現在の発光量値(電流値)が発光制限値に到達している場合(Yesの場合)、後述するステップS17に進行する。そのときの発光量値(電流値)をメモリー31に記憶させる。なお、発光制限値に到達とは、発光制限値以上となる場合と、発光制限値を超える場合とが該当する。
【0069】
なお、発光量値(電流値)は、たとえば0から225の間で段階的に高くすることができるように設定された電流値であり、そのため段階的に電流値を高くすることに対応して発光量は段階的に高くなる。
【0070】
また、発光制限値は、飽和限界に対応する電流値(電流飽和値)を十分に上回る値に対応する。すなわち、電流飽和値が存在する場合、発光制限値がこの電流飽和値を上回らない状態では、図5に示すような電流値の変化において、電流飽和値に達するよりも先に、発光制限値に到達してしまう。その場合、測色装置20の使用限界が早く到来する状態となってしまう。そのため、発光制限値は、電流飽和値を十分に上回る値に対応している。
【0071】
なお、発光制限値は次のように設定しても良い。すなわち、既に述べたように(図5に示すように)、測色装置20において印加する電圧を一定とし、受光部22から出力される出力値が一定となるようにする。このときの電流値の増加率(透光性の悪化に関する指標値の変化率)と測色装置20において想定される使用寿命とを勘案し、その使用寿命においては上述の電流値の増加率を勘案した電流値を十分に上回るように、発光制限値を設定しても良い。
【0072】
ステップS14において発光量値(電流値)が発光制限値に到達していない(Noである)と判定された場合、続いて、制御部30は、それぞれのLEDの発光量値(電流値)を1ステップだけ高くする(ステップS15)。
【0073】
次に、制御部30は、ステップS15で設定された発光量値(電流値)でそれぞれの受光部で受光したときの受光出力値が、受光出力狙い値に到達しているか否かを判定する(ステップS16)。この判定において、受光出力値が受光出力狙い値よりも小さいと判定される場合(Noの場合)、ステップS14に戻る。なお、受光出力狙い値に到達とは、所定の範囲を持つものとしても良く、所定の閾値以上となるように設定しても良い。
【0074】
また、ステップS16の判定において、受光出力値が受光出力狙い値に到達したと判定される場合(Yesの場合)、またはステップS14の判定において現在の発光量値が上限閾値に到達したと判定された場合(Yesの場合)、そのように判定された青色LED213の発光量値をメモリー31に記憶させる(ステップS17)。その後、感度調整を終了する。
【0075】
以上のようにして、測色装置20の感度調整を行う。
【0076】
<3.効果>
以上のような構成の印刷装置10および印刷装置10の製造方法によれば、透明部材24は、材質を透明樹脂とし、その透明樹脂に対して有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理を行っている。そして、そのような劣化処理を経た透明部材24を発光部21と受光部22の光の透過部位に用いている。そのため、劣化処理を経ていない透明樹脂を材質とした透明部材24を用いる場合と比較すると、本実施の形態におけるものでは、たとえ長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、光の透過性が悪化するのを低減可能となる。すなわち、既に光の透過性が悪化している透明部材24を用いるため、たとえ長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、透明部材24における光の透過性が悪化するのを低減可能となる。それにより、測色装置20において感度が低下するのを抑えることが可能となる。
【0077】
このように、本実施の形態においては、測色装置20において感度が低下するのを抑えることが可能となるため、印刷装置10の出荷時(初期時)と、印刷装置10の長期的な使用により有機溶剤の影響を大きく受けた場合との双方において、同じ検査用パターン40等を読み取らせた場合でも、受光部22からの出力に差異が生じるのを低減可能となる。それにより、測色装置20においては出力に変動が少ない状態での読み取りを継続可能となる。
【0078】
また、本実施の形態では、発光部21は検査用パターン40等の読取対象に対して白色光を出射し、受光部22が反射光を分光して出力信号を出力する。そのため、多色での読み取りが可能となる。また、多色での読み取りにおいては、上述の劣化処理を経た透明部材24を用いているため、長期に亘って有機溶剤系インクを使用して印刷を行っても、透明部材24の透光性の悪化等により出力値が大きく変動し、それによって読取結果に色ずれが生じる、といった不具合が生じるのを低減可能となる。
【0079】
さらに、本実施の形態では、劣化処理においては、透光性の悪化に関する指標値である電流値が飽和限界に達する程度にまで劣化処理が為されている。そのため、印刷装置10において有機溶剤系インクを長期に亘って使用し続けても、透明部材24の光透過性が悪化することを防止可能となり、透明部材24の透光性の悪化等により受光部22での出力値が変動することも防止可能となる。それにより、読取結果に色ずれが生じるのを防止可能となる。
【0080】
また、本実施の形態では、劣化処理においては、透光性の悪化に関する指標値である電流の変化率(増加率)が所定以下となるように劣化処理を施すようにしても良い。その場合においても、印刷装置10において有機溶剤系インクを長期に亘って使用し続けても、透明部材24の光透過性が悪化するのを大幅に低減可能となり、透明部材24の透光性の悪化等により出力値が変動することも大幅に低減可能となる。それにより、読取結果に色ずれが生じるのを大幅に低減可能となる。
【0081】
さらに、本実施の形態では、発光部21に導通させる電流値は、図5に示すような変化、すなわち受光部22からの出力信号の値が所定の出力値となるものとしている。その場合、当該電流値は、透明部材24の劣化に応じて変動するが、その変動により、この電流値に基づいて、透明部材24の透光性の悪化を判定することが可能となる。
【0082】
また、本実施の形態では、発光制限値は、電流飽和値を上回る値、または発光部21での電流値の増加率(透光性の悪化に関する指標値の変化率)と測色装置20において想定される使用寿命とを勘案し、その使用寿命においては上述の電流値の増加率を勘案した電流値を十分に上回る値に設定することができる。その場合には、制御部30により発光部21に導通させる電流値を制御する場合において、電流値が発光制限値に到達することがなく、その制御を支障なく行うことが可能となる。
【0083】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0084】
上述の実施の形態では、透明部材24に対して劣化処理を行う場合について説明している。しかしながら、透明樹脂を材質とするカラーフィルター23においても、有機溶剤による劣化の影響(受光部22からの出力値の変動)がある場合には、かかるカラーフィルター23に対しても劣化処理を行うようにしても良い。このとき、カラーフィルター23は、請求項でいう透光性部材の一例に対応する。
【0085】
また、上述の実施の形態では、光検出装置として測色装置20が挙げられている。しかしながら、光検出装置は、測色装置20には限られない。すなわち、測色装置20に代えて、多値データを取得可能な他の反射型センサー、または多値データを取得可能な透過型センサーに対して本発明を適用しても良い。このようなセンサーにおいても、同様の問題が生じると考えられるためである。
【0086】
また、上述の実施の形態では、透明部材24に対して有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理を施した場合について説明している。しかしながら、有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理に代えて、この劣化処理と同等と見なせる別の処理を行うようにしても良い。このような処理としては、例えば透明部材24に対して紫外線等の所定波長の光を照射して透光性を悪化させる劣化処理、機械加工によって透明部材24の透光性を悪化させる劣化処理、透明部材24を加熱して透光性を悪化させる劣化処理、あるいはこれらの劣化処理の組み合わせ等がある。
【0087】
また、上述の実施の形態では、発光手段として白色LED21Aを用いる場合について説明している。しかしながら、白色LED21A以外の白色光を出射するものを、発光手段としても良い。このような白色光を出射する他の発光手段としては、白色光を出射する蛍光ランプ等が挙げられる。
【0088】
また、上述の実施の形態では、印刷装置10は、キャリッジ32aが往復動する、いわゆるシリアル走査方式のものについて説明している。しかしながら、このようなシリアル走査方式の印刷装置10に代えて、キャリッジが移動しない、いわゆるライン走査の印刷装置や、キャリッジがX−Y方向に移動するいわゆるラテラルスキャン方式の印刷装置に、本発明を適用するようにしても良い。
【0089】
また、上述の実施の形態における印刷装置10の概念には、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり噴射したりする流体噴射装置を含むようにすることもできる。そのようなものとしては、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置等がある。
【0090】
さらに、本発明の印刷装置10の概念に含まれるものとしては、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置等がある。
【符号の説明】
【0091】
10…印刷装置、20…測色装置(光検出装置の一例に対応)、21…発光部(発光手段の一例に対応)、21A…白色LED、22…受光部(受光手段の一例に対応)、23…カラーフィルター、23A…赤色フィルター、23B…緑色フィルター、23C…青色フィルター、24…透明部材(透光性部材の一例に対応)、30…制御部(制御手段の一例に対応)、31…メモリー、32…印刷機構、32a…キャリッジ、32b…印刷ヘッド、33a…ローラー、33…紙送り機構、34…センサー群、35…検知部、36…外部インターフェース、40…検査用パターン、50…コンピューター、211…赤色LED、212…緑色LED、213…青色LED、214…蛍光体、221…赤色受光部、222…緑色受光部、223…青色受光部、P…印刷媒体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象に対して光を出射可能な発光手段と、前記読取対象から反射された光を受光し、受光された光に応じた出力信号を出力する受光手段とを有する光検出装置を備え、前記光検出装置がヘッドに取り付けられている印刷装置であって、
前記光検出装置は、前記発光手段と前記受光手段との少なくとも一方の光の透過部位に透光性部材を備えていて、
前記透光性部材は、材質が透明樹脂であり、
前記透明樹脂は、有機溶剤によって透光性を悪化させる劣化処理が施されている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置であって、
前記発光手段は、前記読取対象に対して白色光を出射可能であり、
前記受光手段は、前記読取対象から反射された光を受光し、受光された光を分光して分光後のそれぞれの出力信号を出力し、前記光測定装置は分光後の前記出力信号に基づいて前記読取対象の色を判別する測色装置である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の印刷装置であって、
前記劣化処理は、前記透光性部材における透光性の悪化に関する指標値が飽和限界に達する程度に、前記透光性部材の光透過性を悪化させている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の印刷装置であって、
前記劣化処理では、前記透光性部材において透光性の悪化に関する指標値の変化率が所定以下となるように、前記透光性部材の光透過性を悪化させている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の印刷装置であって、
前記指標値は、前記発光手段へ導通させる電流値であり、この電流値は前記発光手段に印加する所定電圧値において前記受光手段からの出力信号の値が所定の出力値となるときの電流値である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷装置であって、
前記発光手段へ導通させる前記電流値を制御することによって前記発光手段での発光量を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記発光手段に導通させる前記電流値を発光制限値以下となるように制御すると共に、
前記発光制限値は、前記飽和限界に対応する電流値を上回る値、または前記変化率および使用寿命に基づいた到達限界に対応する電流値を上回る値に設定されている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
ヘッドに取り付けられている光検出装置を備える印刷装置の製造方法であって、
前記光検出装置は、読取対象に対して光を出射可能な発光手段と、前記読取対象から反射された光を受光し、受光された光に応じた出力信号を出力する受光手段とを有し、
材質を透明樹脂とし、その透明樹脂に対して有機溶剤によって透光性を悪化させた透光性部材を形成する劣化処理工程と、
前記発光手段と前記受光手段の少なくとも一方の光の透過部位に前記劣化処理工程を経た前記透光性部材を備える前記光検出装置を前記ヘッドに取り付ける取付工程と、
を具備することを特徴とする印刷装置の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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