印刷装置
【課題】用紙ロールから繰り出された被印刷用紙を用いて印刷を行う場合であっても、排出後の被印刷用紙が誤って導入口から筐体内に入り込むことによる給紙不良を防止する。
【解決手段】プリンタ1は、被印刷用紙Sを巻回した用紙ロールSRの左右方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する左・右一対のロールホルダ200L,200Rと、用紙ロールSRから繰り出された被印刷用紙Sを導入する挿入口104と、被印刷用紙Sを搬送するプラテンローラ111と、搬送される被印刷用紙Sに対し所望の印刷を行うサーマルラインヘッド112と、排出口107より上方に設けられた貼り付け部AL,ARに対して下端部が貼り付けられ、排出口107から上向きに反って排出された印刷後の被印刷用紙Sを前方側から接触させるための、略平板状の用紙接触シート300L,300Rと、を有する。
【解決手段】プリンタ1は、被印刷用紙Sを巻回した用紙ロールSRの左右方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する左・右一対のロールホルダ200L,200Rと、用紙ロールSRから繰り出された被印刷用紙Sを導入する挿入口104と、被印刷用紙Sを搬送するプラテンローラ111と、搬送される被印刷用紙Sに対し所望の印刷を行うサーマルラインヘッド112と、排出口107より上方に設けられた貼り付け部AL,ARに対して下端部が貼り付けられ、排出口107から上向きに反って排出された印刷後の被印刷用紙Sを前方側から接触させるための、略平板状の用紙接触シート300L,300Rと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷用紙に所望の印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷用紙に所望の印刷を行う小型の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置では、直方体形状の筐体の上部に設けた導入口から被印刷用紙が導入されると、その導入されたた被印刷用紙をプラテンローラが搬送し、その搬送される被印刷用紙に対しサーマルラインヘッドが所望の印刷を行う。印刷後の被印刷用紙は、筐体の前方側側面に設けた排出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−309041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術において、被印刷用紙を巻回した用紙ロールから被印刷用紙を繰り出して使用することが考えられつつある。この場合、例えばロールホルダ等を介して用紙ロールが筐体の上部に回転可能に取り付けられ、当該用紙ロールが回転して例えばその下側から被印刷用紙が繰り出され、繰り出された被印刷用紙が導入口から筐体の内部に導入されて印刷が行われる。その際、印刷後の被印刷用紙が排出口から排出されるときに、ロール状態であったときの影響で被印刷用紙が上向きに反った状態で排出される可能性があり得る。このような場合、排出後の被印刷用紙が誤って筐体上部の導入口から再度筐体内に入り込んで給紙不良を起こす懸念があった。
【0005】
本発明の目的は、用紙ロールから繰り出された被印刷用紙を用いて印刷を行う場合であっても、排出後の被印刷用紙が誤って導入口から再度筐体内に入り込むことによる給紙不良を防止できる、印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、長手方向を左右方向とし短手方向を上下方向及び前後方向として配置可能な略直方体形状の筐体と、前記略直方体形状の前記筐体の後方側部分に着脱可能に設けられ、被印刷用紙を巻回した用紙ロールの左右方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する左・右一対のロール支持具と、前記略直方体形状の前記筐体の上面に前記左右方向に沿って開口し、前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールから繰り出された前記被印刷用紙を前記筐体の内部に導入する導入口と、前記筐体の内部において前記左右方向の両端部を前記筐体に対し回転可能に支持され、前記導入口から導入された前記被印刷用紙を搬送するプラテンローラと、前記筐体の内部において前記左右方向に沿って前記プラテンローラと上下方向に対向するように設けられ、前記プラテンローラにより搬送される前記被印刷用紙に対し所望の印刷を行うサーマルラインヘッドと、前記略直方体形状の前記筐体の前方側側面に前記左右方向に沿って開口し、前記サーマルラインヘッドによる印刷後の前記被印刷用紙を前記筐体の外部へと排出する排出口と、前記筐体の前記排出口より上方に設けられた貼り付け部に対して下端部が貼り付けられ、前記排出口から上向きに反って排出された前記印刷後の被印刷用紙を前方側から接触させるための、略平板状の用紙接触シートと、を有することを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷装置は、直方体形状の筐体を備えている。筐体の後方側部分には、被印刷用紙の用紙ロールを回転可能に支持するロール支持具が装着可能である。用紙ロールから繰り出された被印刷用紙は、筐体上面に設けた導入口から筐体内部に導入され、プラテンローラによって搬送される。搬送される被印刷用紙には、サーマルラインヘッドによって所望の印刷が行われた後、筐体の前方側側面に設けた排出口から排出される。
【0008】
上記のように印刷後の被印刷用紙が排出口から排出される際、ロール状態であったときの影響で被印刷用紙が上向きに反った状態で排出される場合がある。本願発明においては、このような排出態様に対応するために用紙接触シートが設けられる。すなわち、筐体のうち排出口より上方に、貼り付け部が設けられており、この貼り付け部に、用紙接触シートの下端部が貼り付けられる。これにより、用紙接触シートの上側部分に、上記のように排出口から上向きに反って排出された印刷後の被印刷用紙を前方側から接触させることができる。この結果、排出後の被印刷用紙が誤って再度導入口から筐体内に入り込み給紙不良を起こすのを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙ロールから繰り出された被印刷用紙を用いて印刷を行う場合であっても、排出後の被印刷用紙が誤って導入口から再度筐体内に入り込むことによる給紙不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷装置の外観構成を表す斜視図である。
【図2】プリンタの内部構造を表す図1中II−II断面による側断面図である。
【図3】プリンタの内部構造を表す、前方側斜め上方向から見た分解斜視図である。
【図4】ガイド部材、プラテンローラ、及びサーマルラインヘッドの相対位置関係を表す、部分的に拡大した側断面図である。
【図5】ロールホルダによる用紙ロールの支持構造を表す分解斜視図である。
【図6】用紙接触シートの取り付け構造を表す斜視図である。
【図7】用紙接触シートが取り付けられる傾斜面部の傾斜角度とロール外径との関係を表す説明図である。
【図8】用紙接触シートによる被印刷用紙のブロック挙動を表す説明図である。
【図9】左右方向中央部に1つの用紙接触シートを設けた比較例を表す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態の効果を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<プリンタの全体構成概略>
図1、図2、及び図3を用いて、本発明の印刷装置の一実施の形態であるプリンタ1の全体構成を説明する。以下では、図1中の左下方向を前方、右上方向を後方、左上方向を左方、右下方向を右方、上方向を上方、下方向を下方として定義し、各図においてこれに対応した方向により説明する。
【0013】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器より、有線通信(あるいは無線通信)を介して受信した印刷データを被印刷用紙Sに印刷する。このプリンタ1は、充電式電池10(図2参照)を電源として駆動可能であり、操作者が様々な場所に持ち運んで使用することができる。
【0014】
プリンタ1は、例えば樹脂材料で構成され装置外郭を構成するハウジング100(筐体)と、シャーシ組立体50(図3参照)とが、組み付けられることによって、構成されている。
【0015】
ハウジング100は、トップカバー101と、アンダーカバー102と、(後述の排出口107を覆うように)トップカバー101の上面前方側に開閉可能に設けられたカバー部材103とを備えている。このハウジング100は、全体として、上記左右方向を長手方向とし、上記上下方向及び前後方向を短手方向とする、略直方体形状を備えている。この結果、図3に示すように、トップカバー101及びカバー部材103それぞれのうち上部に露出する領域(以下適宜、単に「上部領域」という)101A,103Aが、各請求項記載の筐体100の上面を構成する。また、アンダーカバー102、トップカバー101、カバー部材103それぞれのうちの前部に露出する領域(以下適宜、単に「前部領域」という)102A,101B,103Bが、筐体100の前方側側面を構成している。なお、カバー部材103の上方前方側に位置する、上部領域103Aと前部領域103Bとの間には、それら上部領域103Aと前部領域103Bとの境界部を面取りする態様で傾斜面部108(傾斜面)が設けられている。
【0016】
また、ハウジング100の後方側には、略棒状の充電式電池10を収容するバッテリ収納室105が設けられている(図2参照)。このバッテリ収納室105にはバッテリ室カバー170が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー170を取り外した状態では、上記バッテリ収納室105がハウジング100の背面部分に開口する。
【0017】
シャーシ組立体50は、アンダーカバー102の内表面に設けられた、シャーシ組立体50の底部を構成するメインシャーシ部材150と、このメインシャーシ部材150の長手方向両側端部より立設される一対のサイドシャーシ部材130L,130Rとを備えている。
【0018】
<ハウジング内部の構造>
図2及び図3によりハウジング100内部の構造について説明する。サイドシャーシ部材130L,130Rは、軸孔131にプラテンローラ111の左右方向両端部の軸部材111aを挿通することにより、当該プラテンローラ111を筐体100に対し回転可能に支持している。このとき、サーマルラインヘッド112を備えた放熱板114の後方側端部において、長手方向の両端部から当該長手方向に突出するように軸部材113が設けられている。サイドシャーシ部材130L,130Rはまた上記軸部材113を、回動可能に支持している。この結果、サーマルラインヘッド112は、放熱板114の軸部材113を介し上記サイドシャーシ部材130L,130Rに対しそれぞれ回動可能に支持されるとともに、プラテンローラ111に対し上下方向に対向するように左右方向に沿って配置されている。
【0019】
また、左側のサイドシャーシ部材130Lには、プラテンローラ111を駆動する駆動モータ11と、この駆動モータ11の駆動力をプラテンローラ111の上記軸部材111aに伝達する、複数のギアからなるギア機構132とが設けられている。プラテンローラ111は、上記駆動力によって回転駆動され、被印刷用紙Sを搬送する。
【0020】
また、サイドシャーシ部材130L,130Rの上部には、ビーム部材140が架け渡され固定されている。このビーム部材には、ガイド部材120(図1も参照)が固定されている。ガイド部材120は、図4に示すように、カバー部材103の上部領域のうち後端部に位置し左右方向に沿って開口した挿入口104(導入口)から挿入された被印刷用紙Sを、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部Pに案内する。すなわち、被印刷用紙Sの搬送経路は、上記挿入口104(図1も参照)から、上記ガイド部材120の傾斜面122、及び、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部P、を経て、排出口107(図1も参照)に至る経路である。サーマルラインヘッド112は、プラテンローラ111により搬送される被印刷用紙Sに対し、所望の印刷を行う。排出口107は、上記のようにしてサーマルラインヘッド112によって所望の印刷がなされた被印刷用紙Sを筐体100外へ排出する。この排出口107は、カバー部材103の上記前部領域103Bとアンダーカバー102の上記前部領域102Aとの間に、左右方向に沿って開口するように形成されている。
【0021】
上記の基本構成及び動作の本実施形態のプリンタ1において、最大の特徴は、被印刷用紙Sとして用紙ロールから繰り出したものを使用可能であることと、その際の印刷後の被印刷用紙Sの挿入口104への再挿入防止を図ること、にある。以下、その内容を順を追って説明する。
【0022】
<ロールホルダ>
まず、被印刷用紙Sをロール状に巻回した用紙ロールSRを筐体1に取り付けるためのロールホルダ200(ロール支持具)について、図5により説明する。
【0023】
ロールホルダ200は、用紙ロールSRの左端を支持するための左ロールホルダ200Lと、ロールSRの右端を支持するための右ロールホルダ200Rとの、左・右一対が設けられている。各ロールホルダ200L,200Rは、ロール支持部201と、筐体100を上下から挟み込むようにして把持する筐体把持部202とを備えている。
【0024】
ロール支持部201は、用紙ロールSRの巻芯に備えられた凹部Pに挿入されて当該巻芯を回転可能に支持するための支持凸部201aを有している。
【0025】
筐体把持部202は側方視略コの字状の形状を備えており、上方から下方に向かって、上押さえ部202a、中間連結部202b、下押さえ部202cを有している。上押さえ部202aは、上記ロール支持部201の下端部に連結され、ホルダ取り付け時に前後方向に配設される。下押さえ部202cは、弾性爪部202caを備えている。弾性爪部202cは、アンダーカバー102のうちの底部に露出する領域102B(図2参照。以下適宜、単に「底部領域」という)に設けられた、位置決め用の凹部CV(後述の図8に簡易的に図示。他の図では図示省略)に貫入される。この弾性爪部202cの凹部CVへ貫入させた位置決め状態で、上押さえ部202aと下押さえ部202cとが、筐体100を上下から挟み込む。この結果、上記コの字状形状の弾性により、上押さえ部202aがトップカバー101の上部領域101Aに密着するとともに、下押さえ部202cがアンダーカバー102の底部領域に密着し、ロールホルダ200L,200R全体が、筐体100に対し固定される。図5の下段には、上記のようにして、用紙ロールSRの左・右両端をそれぞれ支持した左・右ロールホルダ200L,200Rが、ハウジング100の後方側部分の左・右両側に取り付けられた状態を示す。なお、ロールホルダ200Rは用紙ロールSRを使用しないときや用紙ロールSRを消費し尽くして交換する場合には、取り外すことができる。
【0026】
<用紙接触シート>
本実施形態では、上記のようにしてロールホルダ200L,200Rが筐体100に装着して用いられる場合、用紙ロールSRから(この例では用紙ロールSRの下側から)繰り出された被印刷用紙Sが、筐体100の上面に設けた上記挿入口104から筐体100の内部に導入され(上記図5及び後述の図8(a)及び図8(b)参照)、上記プラテンローラ111によって搬送される。そして、搬送される被印刷用紙Sに、上記サーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われた後、筐体100の前方側側面に設けた排出口107から排出される。ここで、上記のように印刷後の被印刷用紙Sが排出口107から排出される際、ロール状態であったときの影響で被印刷用紙Sが上向きに反った状態で排出される場合がある。
【0027】
本実施形態では、上記のような上反り状態で排出されてくる被印刷用紙Sに対応するために、用紙接触シートが設けられる。この用紙接触シートについて、図6及び図7により説明する。
【0028】
図6(a)に示すように、本実施形態では、左・右一対の用紙接触シート300L,300Rが用いられる。各用紙接触シート300L,300Rは略長方形(80mm×50mm)の薄板形状を備えた、弾性変形可能な樹脂材料(例えばPETフィルムでは厚みが0.1mm〜0.2mm)により構成されている。また用紙接触シート300L,300Rは、下端部に適宜の粘着剤からなる粘着層300aを備えている。一方、筐体100側では、前述のカバー部材103の傾斜面108の左・右両側端部近傍に、被粘着領域としての貼り付け部AL,ARが予め設定されている。この貼り付け部AL,ARは、傾斜面108の他の部位と区別できるように境界線表示、段付き構造、異なる表面処理等を行ってもよいが、特に区別することなく他の部位と同様の外観であってもよい。なお、特にこの例では、図7に示すように、上記傾斜面部108は、側方視で見たときの面の延長線Xが、ロールホルダ200L、200Rより支持される用紙ロールSRの最大径Dの内側範囲を通るように構成されている。
【0029】
そして、各用紙接触シート300L,300Rは、上記粘着層300aが上記傾斜面部108の左・右一対の貼り付け部SL,ARにそれぞれ貼り付けられることにより、筐体100に固定される(図6(a)参照)。このとき、図6(b)に示すように、各用紙接触シート300L,300Rの上部は、上記ロールホルダ200L,200Rにより支持された状態の用紙ロールSRの外周部に対し、前方側から接触している。
【0030】
以上のように構成した本実施形態のプリンタ1においては、筐体100のうち排出口107より上方に設けた傾斜面部108の貼り付け部AL,ARに、用紙接触シート300L,300Rの下端部が貼り付けられる(図6(a)及び図6(b)参照)。これにより、図8(a)及び図8(b)に示すように、用紙接触シート300L,300Rの上側部分に、排出口107から上向きに反って排出された印刷後の被印刷用紙Sを前方側から接触させることができる。この結果、排出後の被印刷用紙Sが誤って再度挿入口104から筐体100内に入り込み給紙不良を起こすのを防止することができる。
【0031】
このとき、本実施形態では特に、用紙接触シート300L,300Rは、その上部が、用紙ロールSRの前方側部分の外周面に接触するように設けられている。これにより、図8(a)や図8(b)に示すように、排出口107から排出された被印刷用紙Sに接触されて用紙接触シート300L,300Rが後方側に撓んだ状態となっても、用紙ロールSRによってそれ以上の撓みは抑制される。この結果、排出口107から排出された被印刷用紙Sが導入口104の位置する後方側へ向かおうとするのを、確実にブロックすることができる。このとき、図8(a)の状態から図8(b)の状態へと、被印刷用紙Sの消費によって用紙ロールSRのロール径が順次小さくなったとしても、上記用紙接触シート300L,300Rが撓みつつ当該小径化の挙動に追従する。この結果、用紙接触シート300L,300Rと用紙ロールSRとの接触は確実に維持される。
【0032】
特に、この例では、用紙接触シート300L,300Rが樹脂材料により構成されている。すなわち、弾性的に変形しもとの形状に復帰可能な樹脂材料が用いられることにより、上記のように排出口107から排出された被印刷用紙Sを撓みながらブロックする用紙接触シート300L,300Rの機能を、容易かつ安価に実現することができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、前述したように、傾斜面部108を側方視で見たときの面の延長線Xが、用紙ロールSRの最大径Dの内側範囲を通るように構成されている。これにより、(上記撓み変形する前の)用紙接触シート300L,300Rは、図7に示すように上記延長線Xに沿って存在することとなる。そして、この状態から、用紙ロールSRが設置されることで図8(a)に示すように用紙ロールSRによって前方側に押されて撓みつつ、用紙ロールSRを弾性力によって押圧する。これにより、用紙接触シート300L,300Rと用紙ロールSRとを確実に接触させることができる。
【0034】
そして、このような用紙接触シート300L,300Rが用紙ロールSRへ接触する(言い換えれば用紙ロールSRの外周部と摺動する)構造とすることで、ロールホルダ200L,200Rにより支持された状態の用紙ロールSRの回転及びその回転による被印刷用紙Aの繰り出しを阻害することがない。さらに、用紙接触シート300L,300Rが用紙ロールSRへ常時接触していることで、用紙ロールSRにおいて巻回されている被印刷用紙Sがばらけるのを防止できる効果もある。
【0035】
また、本実施形態では特に、筐体100の左右方向両端部近傍それぞれに設けられた左・右一対の貼り付け部AL,ARに対し、左・右一対の用紙接触シート300L,300Rがそれぞれ別々に貼り付けられている。このことによる効果を、図9に示す比較例を用いて説明する。
【0036】
前述したように、用紙ロールSRから繰り出されて印刷された被印刷用紙Sは、筐体100の前方側に設けられた排出口107から、上向きに反りつつ排出されてくる。このとき、例えば図9に示すように、左右方向の両端部ではなく左右方向中央部1箇所に1つの用紙接触シート300′を設けた場合、上記のように排出される被印刷用紙Sの上反り時の向きが左右で不均一であったり先端面形状が直線的でない場合等においては、図示のように被印刷用紙Sが上記1つの用紙接触シート300′の左右方向両側のいずれかをすり抜けて挿入口104へと到達するおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施形態では、用紙接触シート300L,300Rを左・右それぞれに一対設けることにより、上記のように被印刷用紙Sの上反り時の向きが左右で不均一であったり先端面形状が直線的でない場合等であっても、図10に示すように、被印刷用紙Sを200に対して確実に前方側から接触させ、誤って再度挿入口104から筐体100内に入り込むのを確実に防止することができる。
【0038】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0039】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 プリンタ(印刷装置)
100 ハウジング(筐体)
104 挿入口(導入口)
107 排出口
111 プラテンローラ
112 サーマルラインヘッド
200L,R ロールホルダ(ロール支持具)
300L,R 用紙接触シート
AL,AR 貼り付け部
S 被印刷用紙
SR 用紙ロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷用紙に所望の印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷用紙に所望の印刷を行う小型の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置では、直方体形状の筐体の上部に設けた導入口から被印刷用紙が導入されると、その導入されたた被印刷用紙をプラテンローラが搬送し、その搬送される被印刷用紙に対しサーマルラインヘッドが所望の印刷を行う。印刷後の被印刷用紙は、筐体の前方側側面に設けた排出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−309041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術において、被印刷用紙を巻回した用紙ロールから被印刷用紙を繰り出して使用することが考えられつつある。この場合、例えばロールホルダ等を介して用紙ロールが筐体の上部に回転可能に取り付けられ、当該用紙ロールが回転して例えばその下側から被印刷用紙が繰り出され、繰り出された被印刷用紙が導入口から筐体の内部に導入されて印刷が行われる。その際、印刷後の被印刷用紙が排出口から排出されるときに、ロール状態であったときの影響で被印刷用紙が上向きに反った状態で排出される可能性があり得る。このような場合、排出後の被印刷用紙が誤って筐体上部の導入口から再度筐体内に入り込んで給紙不良を起こす懸念があった。
【0005】
本発明の目的は、用紙ロールから繰り出された被印刷用紙を用いて印刷を行う場合であっても、排出後の被印刷用紙が誤って導入口から再度筐体内に入り込むことによる給紙不良を防止できる、印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、長手方向を左右方向とし短手方向を上下方向及び前後方向として配置可能な略直方体形状の筐体と、前記略直方体形状の前記筐体の後方側部分に着脱可能に設けられ、被印刷用紙を巻回した用紙ロールの左右方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する左・右一対のロール支持具と、前記略直方体形状の前記筐体の上面に前記左右方向に沿って開口し、前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールから繰り出された前記被印刷用紙を前記筐体の内部に導入する導入口と、前記筐体の内部において前記左右方向の両端部を前記筐体に対し回転可能に支持され、前記導入口から導入された前記被印刷用紙を搬送するプラテンローラと、前記筐体の内部において前記左右方向に沿って前記プラテンローラと上下方向に対向するように設けられ、前記プラテンローラにより搬送される前記被印刷用紙に対し所望の印刷を行うサーマルラインヘッドと、前記略直方体形状の前記筐体の前方側側面に前記左右方向に沿って開口し、前記サーマルラインヘッドによる印刷後の前記被印刷用紙を前記筐体の外部へと排出する排出口と、前記筐体の前記排出口より上方に設けられた貼り付け部に対して下端部が貼り付けられ、前記排出口から上向きに反って排出された前記印刷後の被印刷用紙を前方側から接触させるための、略平板状の用紙接触シートと、を有することを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷装置は、直方体形状の筐体を備えている。筐体の後方側部分には、被印刷用紙の用紙ロールを回転可能に支持するロール支持具が装着可能である。用紙ロールから繰り出された被印刷用紙は、筐体上面に設けた導入口から筐体内部に導入され、プラテンローラによって搬送される。搬送される被印刷用紙には、サーマルラインヘッドによって所望の印刷が行われた後、筐体の前方側側面に設けた排出口から排出される。
【0008】
上記のように印刷後の被印刷用紙が排出口から排出される際、ロール状態であったときの影響で被印刷用紙が上向きに反った状態で排出される場合がある。本願発明においては、このような排出態様に対応するために用紙接触シートが設けられる。すなわち、筐体のうち排出口より上方に、貼り付け部が設けられており、この貼り付け部に、用紙接触シートの下端部が貼り付けられる。これにより、用紙接触シートの上側部分に、上記のように排出口から上向きに反って排出された印刷後の被印刷用紙を前方側から接触させることができる。この結果、排出後の被印刷用紙が誤って再度導入口から筐体内に入り込み給紙不良を起こすのを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙ロールから繰り出された被印刷用紙を用いて印刷を行う場合であっても、排出後の被印刷用紙が誤って導入口から再度筐体内に入り込むことによる給紙不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷装置の外観構成を表す斜視図である。
【図2】プリンタの内部構造を表す図1中II−II断面による側断面図である。
【図3】プリンタの内部構造を表す、前方側斜め上方向から見た分解斜視図である。
【図4】ガイド部材、プラテンローラ、及びサーマルラインヘッドの相対位置関係を表す、部分的に拡大した側断面図である。
【図5】ロールホルダによる用紙ロールの支持構造を表す分解斜視図である。
【図6】用紙接触シートの取り付け構造を表す斜視図である。
【図7】用紙接触シートが取り付けられる傾斜面部の傾斜角度とロール外径との関係を表す説明図である。
【図8】用紙接触シートによる被印刷用紙のブロック挙動を表す説明図である。
【図9】左右方向中央部に1つの用紙接触シートを設けた比較例を表す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態の効果を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<プリンタの全体構成概略>
図1、図2、及び図3を用いて、本発明の印刷装置の一実施の形態であるプリンタ1の全体構成を説明する。以下では、図1中の左下方向を前方、右上方向を後方、左上方向を左方、右下方向を右方、上方向を上方、下方向を下方として定義し、各図においてこれに対応した方向により説明する。
【0013】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器より、有線通信(あるいは無線通信)を介して受信した印刷データを被印刷用紙Sに印刷する。このプリンタ1は、充電式電池10(図2参照)を電源として駆動可能であり、操作者が様々な場所に持ち運んで使用することができる。
【0014】
プリンタ1は、例えば樹脂材料で構成され装置外郭を構成するハウジング100(筐体)と、シャーシ組立体50(図3参照)とが、組み付けられることによって、構成されている。
【0015】
ハウジング100は、トップカバー101と、アンダーカバー102と、(後述の排出口107を覆うように)トップカバー101の上面前方側に開閉可能に設けられたカバー部材103とを備えている。このハウジング100は、全体として、上記左右方向を長手方向とし、上記上下方向及び前後方向を短手方向とする、略直方体形状を備えている。この結果、図3に示すように、トップカバー101及びカバー部材103それぞれのうち上部に露出する領域(以下適宜、単に「上部領域」という)101A,103Aが、各請求項記載の筐体100の上面を構成する。また、アンダーカバー102、トップカバー101、カバー部材103それぞれのうちの前部に露出する領域(以下適宜、単に「前部領域」という)102A,101B,103Bが、筐体100の前方側側面を構成している。なお、カバー部材103の上方前方側に位置する、上部領域103Aと前部領域103Bとの間には、それら上部領域103Aと前部領域103Bとの境界部を面取りする態様で傾斜面部108(傾斜面)が設けられている。
【0016】
また、ハウジング100の後方側には、略棒状の充電式電池10を収容するバッテリ収納室105が設けられている(図2参照)。このバッテリ収納室105にはバッテリ室カバー170が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー170を取り外した状態では、上記バッテリ収納室105がハウジング100の背面部分に開口する。
【0017】
シャーシ組立体50は、アンダーカバー102の内表面に設けられた、シャーシ組立体50の底部を構成するメインシャーシ部材150と、このメインシャーシ部材150の長手方向両側端部より立設される一対のサイドシャーシ部材130L,130Rとを備えている。
【0018】
<ハウジング内部の構造>
図2及び図3によりハウジング100内部の構造について説明する。サイドシャーシ部材130L,130Rは、軸孔131にプラテンローラ111の左右方向両端部の軸部材111aを挿通することにより、当該プラテンローラ111を筐体100に対し回転可能に支持している。このとき、サーマルラインヘッド112を備えた放熱板114の後方側端部において、長手方向の両端部から当該長手方向に突出するように軸部材113が設けられている。サイドシャーシ部材130L,130Rはまた上記軸部材113を、回動可能に支持している。この結果、サーマルラインヘッド112は、放熱板114の軸部材113を介し上記サイドシャーシ部材130L,130Rに対しそれぞれ回動可能に支持されるとともに、プラテンローラ111に対し上下方向に対向するように左右方向に沿って配置されている。
【0019】
また、左側のサイドシャーシ部材130Lには、プラテンローラ111を駆動する駆動モータ11と、この駆動モータ11の駆動力をプラテンローラ111の上記軸部材111aに伝達する、複数のギアからなるギア機構132とが設けられている。プラテンローラ111は、上記駆動力によって回転駆動され、被印刷用紙Sを搬送する。
【0020】
また、サイドシャーシ部材130L,130Rの上部には、ビーム部材140が架け渡され固定されている。このビーム部材には、ガイド部材120(図1も参照)が固定されている。ガイド部材120は、図4に示すように、カバー部材103の上部領域のうち後端部に位置し左右方向に沿って開口した挿入口104(導入口)から挿入された被印刷用紙Sを、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部Pに案内する。すなわち、被印刷用紙Sの搬送経路は、上記挿入口104(図1も参照)から、上記ガイド部材120の傾斜面122、及び、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部P、を経て、排出口107(図1も参照)に至る経路である。サーマルラインヘッド112は、プラテンローラ111により搬送される被印刷用紙Sに対し、所望の印刷を行う。排出口107は、上記のようにしてサーマルラインヘッド112によって所望の印刷がなされた被印刷用紙Sを筐体100外へ排出する。この排出口107は、カバー部材103の上記前部領域103Bとアンダーカバー102の上記前部領域102Aとの間に、左右方向に沿って開口するように形成されている。
【0021】
上記の基本構成及び動作の本実施形態のプリンタ1において、最大の特徴は、被印刷用紙Sとして用紙ロールから繰り出したものを使用可能であることと、その際の印刷後の被印刷用紙Sの挿入口104への再挿入防止を図ること、にある。以下、その内容を順を追って説明する。
【0022】
<ロールホルダ>
まず、被印刷用紙Sをロール状に巻回した用紙ロールSRを筐体1に取り付けるためのロールホルダ200(ロール支持具)について、図5により説明する。
【0023】
ロールホルダ200は、用紙ロールSRの左端を支持するための左ロールホルダ200Lと、ロールSRの右端を支持するための右ロールホルダ200Rとの、左・右一対が設けられている。各ロールホルダ200L,200Rは、ロール支持部201と、筐体100を上下から挟み込むようにして把持する筐体把持部202とを備えている。
【0024】
ロール支持部201は、用紙ロールSRの巻芯に備えられた凹部Pに挿入されて当該巻芯を回転可能に支持するための支持凸部201aを有している。
【0025】
筐体把持部202は側方視略コの字状の形状を備えており、上方から下方に向かって、上押さえ部202a、中間連結部202b、下押さえ部202cを有している。上押さえ部202aは、上記ロール支持部201の下端部に連結され、ホルダ取り付け時に前後方向に配設される。下押さえ部202cは、弾性爪部202caを備えている。弾性爪部202cは、アンダーカバー102のうちの底部に露出する領域102B(図2参照。以下適宜、単に「底部領域」という)に設けられた、位置決め用の凹部CV(後述の図8に簡易的に図示。他の図では図示省略)に貫入される。この弾性爪部202cの凹部CVへ貫入させた位置決め状態で、上押さえ部202aと下押さえ部202cとが、筐体100を上下から挟み込む。この結果、上記コの字状形状の弾性により、上押さえ部202aがトップカバー101の上部領域101Aに密着するとともに、下押さえ部202cがアンダーカバー102の底部領域に密着し、ロールホルダ200L,200R全体が、筐体100に対し固定される。図5の下段には、上記のようにして、用紙ロールSRの左・右両端をそれぞれ支持した左・右ロールホルダ200L,200Rが、ハウジング100の後方側部分の左・右両側に取り付けられた状態を示す。なお、ロールホルダ200Rは用紙ロールSRを使用しないときや用紙ロールSRを消費し尽くして交換する場合には、取り外すことができる。
【0026】
<用紙接触シート>
本実施形態では、上記のようにしてロールホルダ200L,200Rが筐体100に装着して用いられる場合、用紙ロールSRから(この例では用紙ロールSRの下側から)繰り出された被印刷用紙Sが、筐体100の上面に設けた上記挿入口104から筐体100の内部に導入され(上記図5及び後述の図8(a)及び図8(b)参照)、上記プラテンローラ111によって搬送される。そして、搬送される被印刷用紙Sに、上記サーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われた後、筐体100の前方側側面に設けた排出口107から排出される。ここで、上記のように印刷後の被印刷用紙Sが排出口107から排出される際、ロール状態であったときの影響で被印刷用紙Sが上向きに反った状態で排出される場合がある。
【0027】
本実施形態では、上記のような上反り状態で排出されてくる被印刷用紙Sに対応するために、用紙接触シートが設けられる。この用紙接触シートについて、図6及び図7により説明する。
【0028】
図6(a)に示すように、本実施形態では、左・右一対の用紙接触シート300L,300Rが用いられる。各用紙接触シート300L,300Rは略長方形(80mm×50mm)の薄板形状を備えた、弾性変形可能な樹脂材料(例えばPETフィルムでは厚みが0.1mm〜0.2mm)により構成されている。また用紙接触シート300L,300Rは、下端部に適宜の粘着剤からなる粘着層300aを備えている。一方、筐体100側では、前述のカバー部材103の傾斜面108の左・右両側端部近傍に、被粘着領域としての貼り付け部AL,ARが予め設定されている。この貼り付け部AL,ARは、傾斜面108の他の部位と区別できるように境界線表示、段付き構造、異なる表面処理等を行ってもよいが、特に区別することなく他の部位と同様の外観であってもよい。なお、特にこの例では、図7に示すように、上記傾斜面部108は、側方視で見たときの面の延長線Xが、ロールホルダ200L、200Rより支持される用紙ロールSRの最大径Dの内側範囲を通るように構成されている。
【0029】
そして、各用紙接触シート300L,300Rは、上記粘着層300aが上記傾斜面部108の左・右一対の貼り付け部SL,ARにそれぞれ貼り付けられることにより、筐体100に固定される(図6(a)参照)。このとき、図6(b)に示すように、各用紙接触シート300L,300Rの上部は、上記ロールホルダ200L,200Rにより支持された状態の用紙ロールSRの外周部に対し、前方側から接触している。
【0030】
以上のように構成した本実施形態のプリンタ1においては、筐体100のうち排出口107より上方に設けた傾斜面部108の貼り付け部AL,ARに、用紙接触シート300L,300Rの下端部が貼り付けられる(図6(a)及び図6(b)参照)。これにより、図8(a)及び図8(b)に示すように、用紙接触シート300L,300Rの上側部分に、排出口107から上向きに反って排出された印刷後の被印刷用紙Sを前方側から接触させることができる。この結果、排出後の被印刷用紙Sが誤って再度挿入口104から筐体100内に入り込み給紙不良を起こすのを防止することができる。
【0031】
このとき、本実施形態では特に、用紙接触シート300L,300Rは、その上部が、用紙ロールSRの前方側部分の外周面に接触するように設けられている。これにより、図8(a)や図8(b)に示すように、排出口107から排出された被印刷用紙Sに接触されて用紙接触シート300L,300Rが後方側に撓んだ状態となっても、用紙ロールSRによってそれ以上の撓みは抑制される。この結果、排出口107から排出された被印刷用紙Sが導入口104の位置する後方側へ向かおうとするのを、確実にブロックすることができる。このとき、図8(a)の状態から図8(b)の状態へと、被印刷用紙Sの消費によって用紙ロールSRのロール径が順次小さくなったとしても、上記用紙接触シート300L,300Rが撓みつつ当該小径化の挙動に追従する。この結果、用紙接触シート300L,300Rと用紙ロールSRとの接触は確実に維持される。
【0032】
特に、この例では、用紙接触シート300L,300Rが樹脂材料により構成されている。すなわち、弾性的に変形しもとの形状に復帰可能な樹脂材料が用いられることにより、上記のように排出口107から排出された被印刷用紙Sを撓みながらブロックする用紙接触シート300L,300Rの機能を、容易かつ安価に実現することができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、前述したように、傾斜面部108を側方視で見たときの面の延長線Xが、用紙ロールSRの最大径Dの内側範囲を通るように構成されている。これにより、(上記撓み変形する前の)用紙接触シート300L,300Rは、図7に示すように上記延長線Xに沿って存在することとなる。そして、この状態から、用紙ロールSRが設置されることで図8(a)に示すように用紙ロールSRによって前方側に押されて撓みつつ、用紙ロールSRを弾性力によって押圧する。これにより、用紙接触シート300L,300Rと用紙ロールSRとを確実に接触させることができる。
【0034】
そして、このような用紙接触シート300L,300Rが用紙ロールSRへ接触する(言い換えれば用紙ロールSRの外周部と摺動する)構造とすることで、ロールホルダ200L,200Rにより支持された状態の用紙ロールSRの回転及びその回転による被印刷用紙Aの繰り出しを阻害することがない。さらに、用紙接触シート300L,300Rが用紙ロールSRへ常時接触していることで、用紙ロールSRにおいて巻回されている被印刷用紙Sがばらけるのを防止できる効果もある。
【0035】
また、本実施形態では特に、筐体100の左右方向両端部近傍それぞれに設けられた左・右一対の貼り付け部AL,ARに対し、左・右一対の用紙接触シート300L,300Rがそれぞれ別々に貼り付けられている。このことによる効果を、図9に示す比較例を用いて説明する。
【0036】
前述したように、用紙ロールSRから繰り出されて印刷された被印刷用紙Sは、筐体100の前方側に設けられた排出口107から、上向きに反りつつ排出されてくる。このとき、例えば図9に示すように、左右方向の両端部ではなく左右方向中央部1箇所に1つの用紙接触シート300′を設けた場合、上記のように排出される被印刷用紙Sの上反り時の向きが左右で不均一であったり先端面形状が直線的でない場合等においては、図示のように被印刷用紙Sが上記1つの用紙接触シート300′の左右方向両側のいずれかをすり抜けて挿入口104へと到達するおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施形態では、用紙接触シート300L,300Rを左・右それぞれに一対設けることにより、上記のように被印刷用紙Sの上反り時の向きが左右で不均一であったり先端面形状が直線的でない場合等であっても、図10に示すように、被印刷用紙Sを200に対して確実に前方側から接触させ、誤って再度挿入口104から筐体100内に入り込むのを確実に防止することができる。
【0038】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0039】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 プリンタ(印刷装置)
100 ハウジング(筐体)
104 挿入口(導入口)
107 排出口
111 プラテンローラ
112 サーマルラインヘッド
200L,R ロールホルダ(ロール支持具)
300L,R 用紙接触シート
AL,AR 貼り付け部
S 被印刷用紙
SR 用紙ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を左右方向とし短手方向を上下方向及び前後方向として配置可能な略直方体形状の筐体と、
前記略直方体形状の前記筐体の後方側部分に着脱可能に設けられ、被印刷用紙を巻回した用紙ロールの左右方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する左・右一対のロール支持具と、
前記略直方体形状の前記筐体の上面に前記左右方向に沿って開口し、前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールから繰り出された前記被印刷用紙を前記筐体の内部に導入する導入口と、
前記筐体の内部において前記左右方向の両端部を前記筐体に対し回転可能に支持され、前記導入口から導入された前記被印刷用紙を搬送するプラテンローラと、
前記筐体の内部において前記左右方向に沿って前記プラテンローラと上下方向に対向するように設けられ、前記プラテンローラにより搬送される前記被印刷用紙に対し所望の印刷を行うサーマルラインヘッドと、
前記略直方体形状の前記筐体の前方側側面に前記左右方向に沿って開口し、前記サーマルラインヘッドによる印刷後の前記被印刷用紙を前記筐体の外部へと排出する排出口と、
前記筐体の前記排出口より上方に設けられた貼り付け部に対して下端部が貼り付けられ、前記排出口から上向きに反って排出された前記印刷後の被印刷用紙を前方側から接触させるための、略平板状の用紙接触シートと、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
左・右一対の前記貼り付け部が、
前記筐体の左右方向両端部近傍それぞれに設けられており、
左・右一対の前記用紙接触シートが、
前記左・右一対の前記貼り付け部それぞれに下端部が貼り付けられている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記左・右一対の用紙接触シートは、
前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールの外周面に、上部が接触するように、それぞれ設けられる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置において、
前記用紙接触シートは、
樹脂材料により構成されている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記筐体は、
前記短手方向からの側方視で見たときの面の延長線が、前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールの最大径の内側範囲を通るように、前方側側面と上面との境界部に設けられた傾斜面を備えており、
前記左・右一対の貼り付け部は、
前記傾斜面に備えられている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項1】
長手方向を左右方向とし短手方向を上下方向及び前後方向として配置可能な略直方体形状の筐体と、
前記略直方体形状の前記筐体の後方側部分に着脱可能に設けられ、被印刷用紙を巻回した用紙ロールの左右方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する左・右一対のロール支持具と、
前記略直方体形状の前記筐体の上面に前記左右方向に沿って開口し、前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールから繰り出された前記被印刷用紙を前記筐体の内部に導入する導入口と、
前記筐体の内部において前記左右方向の両端部を前記筐体に対し回転可能に支持され、前記導入口から導入された前記被印刷用紙を搬送するプラテンローラと、
前記筐体の内部において前記左右方向に沿って前記プラテンローラと上下方向に対向するように設けられ、前記プラテンローラにより搬送される前記被印刷用紙に対し所望の印刷を行うサーマルラインヘッドと、
前記略直方体形状の前記筐体の前方側側面に前記左右方向に沿って開口し、前記サーマルラインヘッドによる印刷後の前記被印刷用紙を前記筐体の外部へと排出する排出口と、
前記筐体の前記排出口より上方に設けられた貼り付け部に対して下端部が貼り付けられ、前記排出口から上向きに反って排出された前記印刷後の被印刷用紙を前方側から接触させるための、略平板状の用紙接触シートと、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
左・右一対の前記貼り付け部が、
前記筐体の左右方向両端部近傍それぞれに設けられており、
左・右一対の前記用紙接触シートが、
前記左・右一対の前記貼り付け部それぞれに下端部が貼り付けられている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記左・右一対の用紙接触シートは、
前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールの外周面に、上部が接触するように、それぞれ設けられる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置において、
前記用紙接触シートは、
樹脂材料により構成されている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記筐体は、
前記短手方向からの側方視で見たときの面の延長線が、前記ロール支持具により支持された前記用紙ロールの最大径の内側範囲を通るように、前方側側面と上面との境界部に設けられた傾斜面を備えており、
前記左・右一対の貼り付け部は、
前記傾斜面に備えられている
ことを特徴とする印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−223923(P2012−223923A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91491(P2011−91491)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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