説明

印刷装置

【課題】不要なセパレートシートの排出を抑制する。
【解決手段】印刷装置10は、印刷ジョブが、その実行指示を入力したユーザが当該印刷装置10の近傍にいる状態で実行される第1ジョブか、近傍にいない状態で実行される第2ジョブかを判定し、第1ジョブと判定した場合には、セパレートシート21を排出しない第1モードで印刷ジョブを実行し、第2ジョブと判定した場合には、セパレートシート21を排出する第2モードで印刷ジョブを実行する。即ち、ユーザが印刷装置10の近傍にいる場合には、排出されたシート20が次の印刷ジョブのシート20が排出される前に取り出される可能性が高いと考えられるため、セパレートシート21を排出しないことで、不要なセパレートシート21の排出を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置において、印刷済みのシート間にセパレートシートを挿入して仕分けする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より印刷装置において、トレイに排出される印刷済みのシートを仕分けする技術が知られている。その一例として、1つの印刷ジョブの最後に印刷されるシートがトレイに排出される毎に色紙などのセパレートシートを続けて排出することによって、異なる印刷ジョブのシート同士を区別できるようにするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−20439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、1つの印刷ジョブのシートが排出された後に、ユーザがすぐにトレイからシートを取り除いた場合であっても、常にセパレートシートを排出していた。このため、セパレートシートが無駄になったり、あるいはセパレートシートを排出するために余分な時間がかかったりするなどの不都合があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、不要なセパレートシートの排出を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される印刷装置は、印刷ジョブの実行指示を受け付ける受付部と、前記印刷ジョブに従ってシートに画像を印刷する印刷部と、前記印刷部から排出される印刷済みのシートを積載する積載部と、前記積載部に排出されるシート間を仕切るセパレートシートを前記積載部に排出する仕分け部と、前記印刷ジョブが、前記実行指示を入力したユーザが当該印刷装置の近傍にいる状態で実行される第1ジョブか、近傍にいない状態で実行される第2ジョブかを判定する判定部と、前記判定部が前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定した場合に、前記仕分け部が前記セパレートシートを排出しない第1モードで前記印刷ジョブを実行し、前記第2ジョブと判定した場合に、前記仕分け部が前記セパレートシートを排出する第2モードで前記印刷ジョブを実行する制御部と、を備える。
【0007】
また、上記印刷装置は、前記受付部が、ユーザによって当該印刷装置の近傍で入力される前記実行指示を受け付ける第1受付部と、近傍以外で入力される前記実行指示を受け付ける第2受付部とを含み、前記判定部は、前記実行指示を前記第1受付部が受け付けた場合に前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定し、前記第2受付部が受け付けた場合に前記印刷ジョブを前記第2ジョブと判定する構成としてもよい。
【0008】
また、上記印刷装置は、前記第1受付部が、ユーザによる前記実行指示の入力操作を受け付ける操作部を含む構成としてもよい。
【0009】
また、上記印刷装置は、前記第2受付部が、ネットワーク通信を介して前記実行指示を受け付けるネットワーク通信部を含む構成としてもよい。
【0010】
また、上記印刷装置は、前記第1受付部が、前記実行指示を出力する外部装置に直接接続される接続部を含む構成としてもよい。
【0011】
また、上記印刷装置は、前記印刷ジョブが、少なくとも前記実行指示を受け付ける前記受付部によって異なる複数種類に分けられ、少なくとも一種類の印刷ジョブについて、前記制御部が前記判定部による判定とは異なるモードを実行する設定にユーザの指示に従って設定変更する設定変更部を備える構成としてもよい。
【0012】
また、上記印刷装置は、前記受付部の種類と前記第1モード及び前記第2モードの一方とを対応付ける第1テーブルと、前記第1テーブルとは別に前記受付部の種類と前記第1モード及び前記第2モードの一方とを対応付ける第2テーブルとを記憶する記憶部を備え、前記設定変更部は、前記第2テーブルの対応付けを変更するものであって、前記制御部は、前記第1テーブルにおいて前記実行指示を受け付けた受付部の種類に対応付けられたモードを実行する自動モードと、前記第2テーブルにおいて前記実行指示を受け付けた受付部の種類に対応付けられたモードを実行するカスタムモードとを切り替えて実行する構成としてもよい。
【0013】
また、上記印刷装置は、前記受付部の種類と前記第1モード及び前記第2モードの一方とを対応付ける第1テーブルを記憶する記憶部を備え、前記設定変更部は、前記第1テーブルの対応付けを変更するものであって、前記制御部は、前記第1テーブルにおいて前記実行指示を受け付けた受付部の種類に対応付けられたモードを実行する構成としてもよい。
【0014】
また、上記印刷装置は、前記積載部が、前記シートを積載可能な第1積載部と、積載可能なシートの量が前記第1積載部より小さい第2積載部とを有し、前記判定部は、前記シートが前記第2積載部に排出される場合に前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定する構成としてもよい。
【0015】
また、上記印刷装置は、前記第2積載部が、ユーザの操作によって、前記印刷済みのシートが排出される使用位置と排出されない不使用位置との間で切り替え可能である構成としてもよい。
【0016】
また、上記印刷装置は、ユーザにより手差しされたシートを前記印刷部に供給する手差し供給部と、積載されたシートを前記印刷部に供給する自動供給部と、を備え、前記判定部は、前記シートが前記手差し供給部から供給される場合に前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定する構成としてもよい。
【0017】
また、上記印刷装置は、前記実行指示では、複数部の印刷を行う際にシートを部単位で排出する部単位印刷の有効または無効を指定可能であって、前記制御部は、前記実行指示において前記部単位印刷が有効に指定されている場合には、前記判定部の判定にかかわらず、前記第2モードで前記印刷ジョブを実行するとともに、1部分のシートが排出される毎に前記仕分け部に前記セパレートシートを排出させる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、印刷ジョブが、ユーザが印刷装置の近傍にいる状態で実行される第1ジョブであると判定された場合には、セパレートシートを排出しない第1モードで印刷ジョブを実行することによって、不要なセパレートシートの排出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1及び2における印刷装置の概略構成を示す図
【図2】図1の後部カバーを開いた状態における印刷装置の概略構成を示す図
【図3】実施形態1及び2における印刷装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】実施形態1における印刷ジョブ実行処理のフローチャート
【図5】実施形態1における印刷ジョブの種類と印刷ジョブの実行指示を受け付けるインターフェースとの対応関係を示すテーブル
【図6】実施形態1における自動判定テーブルを示す図
【図7】実施形態1における仕分け機能の動作を設定するための設定画面を示す図
【図8】実施形態2における印刷ジョブ実行処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図7を参照して説明する。
【0021】
(印刷装置の構成)
図1及び図2は、印刷装置10の概略構成を示す図である。この印刷装置10は、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能等を有する複合機である。図1に示すように、印刷装置10は、原稿画像を読み取る原稿読取部11と、シート20及びセパレートシート21を搬送する搬送部12と、シート20に画像を印刷する印刷部13とを備えている。
【0022】
原稿読取部11は、原稿が載置される載置台15と、載置台15上の原稿を読み取るイメージセンサ及びイメージセンサを駆動するための駆動部などで構成されるセンサ部16とを備えている。また、原稿読取部11の前面側には、ユーザによる各種の指示の入力を受け付ける複数のボタンや、各種のメッセージや設定画面等を表示するディスプレイ等を有する操作パネル17(受付部、第1受付部、操作部の一例)が設けられている。
【0023】
搬送部12(仕分け部、手差し供給部、自動供給部の一例)は、用紙などの印刷用のシート20を複数積載する第1供給トレイ23と、印刷済みのシート20同士を仕切るためのセパレートシート21を複数積載する第2供給トレイ24とを備えている。セパレートシート21としては、ユーザがシート20と見分け易いように色や材質、形状などがシート20と異なるものが用いられる。
【0024】
搬送部12は、さらに、一対のピックアップローラ25,26、第1搬送ローラ27、第2搬送ローラ28、排出ローラ29を備えている。ピックアップローラ25,26は、それぞれ第1供給トレイ23のシート20、第2供給トレイ24のセパレートシート21を1枚ずつ送り出す。第1搬送ローラ27は、ピックアップローラ25,26によって送り出されたシート20及びセパレートシート21を印刷部13に供給する。
【0025】
印刷部13は、公知の電子写真方式やインクジェット方式などによって、シート20に画像を印刷する。印刷部13を経たシート20またはセパレートシート21は、第2搬送ローラ28によって上方に搬送され、排出ローラ29によって印刷装置10の上部に設けられた排出トレイ30(積載部、第1積載部の一例)上に排出される。
【0026】
また、印刷装置10の前面には、ユーザがシート20を手差しで挿入するための手差し口32が設けられている。手差し口32から挿入されたシート20は、第1搬送ローラ27によって印刷部13に供給される(以下、手差し給紙という)。
【0027】
また、印刷装置10の後面には、開閉可能な後部カバー33(積載部、第2積載部の一例)が設けられている。この後部カバー33は、ユーザの操作によって、閉鎖状態の不使用位置(図1参照)と、開放状態の使用位置(図2参照)との間で変位させることができる。後部カバー33を使用位置にすると、図2に示すように、シート20の排出経路が切り替えられ、印刷済みのシート20が第2搬送ローラ28によって後部カバー33上に排出される(以下、ストレート排紙という)。即ちストレート排紙の際には、後部カバー33は印刷済みのシート20を積載する積載部として機能する。
【0028】
上述の手差し給紙とストレート排紙を組み合わせることで、シート20の搬送経路が真っ直ぐになり、シート20として、通常の印刷用紙のほか、例えば、厚紙、各種ハガキ、封筒等を用いることができる。
【0029】
図3は、印刷装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
印刷装置10は、特定用途向け集積回路(ASIC)などにより構成される制御部40を備えており、制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43などを有している。
【0030】
ROM42は、後述する印刷ジョブ実行処理など、印刷装置10の各種動作を実行するための制御プログラムを記憶しており、CPU41(判定部、制御部、設定変更部の一例)は、ROM42から読み出したプログラムに従って各部の制御を行う。RAM43は、CPU41の作業領域として用いられる揮発性のメモリである。
【0031】
印刷装置10は、既述の原稿読取部11、搬送部12、印刷部13、操作パネル17に加え、さらにHDD(ハードディスクドライブ)44、LANインターフェース45、ファクシミリインターフェース46、USBインターフェース47、手差しセンサ48、カバーセンサ49を備えている。HDD44(記憶部の一例)は、各種の設定値や、読取データ、画像データ、ファクシミリデータ等を記憶する。
【0032】
LANインターフェース45(受付部、第2受付部、ネットワーク通信部の一例)は、LANなどのネットワーク回線51に接続され、そのネットワーク回線51上に接続された端末装置52等との間で通信を行う。ファクシミリインターフェース46(受付部、第2受付部、ネットワーク通信部の一例)は、公衆電話回線53を介して外部のファクシミリ装置(図示せず)とファクシミリ通信を行う。
【0033】
USBインターフェース47(受付部、第1受付部、接続部の一例)は、USBケーブル54を介して端末装置55(外部装置の一例)を接続することにより、端末装置55との間で直接的に通信を行う。手差しセンサ48は、手差し口32から差し込まれるシート20を検知し、その検知信号をCPU41に出力する。カバーセンサ49は、後部カバー33の開閉状態を検知し、その検知信号をCPU41に出力する。
【0034】
(印刷ジョブ実行処理)
次に本印刷装置10が印刷ジョブの実行指示を受けたときに実行する印刷ジョブ実行処理の動作について説明する。本印刷ジョブ実行処理は、印刷装置10に電源を投入している間に繰り返し実行される。図4は、印刷ジョブ実行処理のフローチャートである。
【0035】
CPU41は、印刷ジョブを受け付けると、図4に示す印刷ジョブ実行処理を開始する。CPU41は、印刷ジョブ実行処理において、まず受け付けた印刷ジョブの内容から印刷ジョブの種類を判断し、その種類からその印刷ジョブの実行指示を受け付けたインターフェースを取得し、さらに印刷ジョブに含まれる部単位印刷の設定値を取得する(S101)。
【0036】
ここで、本印刷装置10は、既述の複数のインターフェース、即ち、操作パネル17、LANインターフェース45、ファクシミリインターフェース46、及びUSBインターフェース47のうちのいずれかから印刷ジョブの実行指示を受け付けて、印刷動作を伴う様々な種類の印刷ジョブを実行することができる。図5は、印刷ジョブの種類と印刷ジョブの実行指示を受け付けるインターフェースとの対応関係を示すテーブルである。
【0037】
「USB PC印刷」は、USBインターフェース47に接続される端末装置55から受信した印刷データを印刷するものであり、実行指示はユーザによって端末装置55から入力される。
【0038】
「ネットワーク印刷」は、ネットワーク回線53に接続される端末装置52からLANインターフェース45を介して受信した印刷データを印刷するものであり、実行指示はユーザによって端末装置52から入力される。
【0039】
「ストレージ印刷」は、HDD44に予め記憶させた読取データやその他の画像データを印刷するものであり、実行指示は操作パネル17から入力される。
【0040】
「セキュア印刷」は、端末装置52から送信された印刷データをLANインターフェース45を介して受信してHDD44に記憶し、ユーザによって操作パネル17から事前に設定されたパスワードが入力されたときに印刷データを印刷するものであり、実行指示は操作パネル17から入力される。
【0041】
「コピー」は、原稿読取部11で原稿画像を読み取って得られた読取データを印刷するものであり、実行指示は操作パネル17から入力される。
【0042】
「FAX受信印刷」は、外部のファクシミリ装置からファクシミリインターフェース46を介してファクシミリデータを受信してそれを印刷するものであり、実行指示は相手のファクシミリ装置において入力される。
【0043】
「FAXストレージ印刷」は、先に外部のファクシミリ装置からファクシミリインターフェース46を介して受信したファクシミリデータをHDD44に記憶しておき、後にユーザの指示を受けてそのファクシミリデータを印刷するものであり、実行指示は操作パネル17から入力される。なお、ファクシミリデータを受信したときにFAX受信印刷を実行するか、ファクシミリデータをHDD44に記憶するかいずれの動作を行うかをユーザが事前に設定しておくことができる。
【0044】
「内部データ印刷」は、例えば、HDD44に記憶される印刷装置10の各種設定値や、ファクシミリ通信用の宛先データなどを印刷するものであり、実行指示は操作パネル17から入力される。
【0045】
また、印刷ジョブの実行指示には、部単位印刷の有効または無効の設定値を含めることができる。なお、部単位印刷とは、複数部の印刷を行う際に、印刷済みのシート20を部単位でソートして排出するものである。例えば、3ページを3部印刷する場合に、部単位印刷が設定されていない場合には、「1,1,1,2,2,2,3,3,3」のページ順で印刷され、部単位印刷が設定されている場合には、「1,2,3,1,2,3,1,2,3」のページ順で印刷される。
【0046】
次に、CPU41は、仕分け機能の動作モードが自動モードに設定されているかを判断する(S102)。なお、仕分け機能の動作モードとしては、自動モード、カスタムモード、オフモードの3種類があり、事前にユーザが操作パネル17からいずれか一つの動作モードを選択し、その選択した動作モードを設定値としてHDD44に記憶させることができる。動作モードが自動モードに設定されている場合(S102:YES)には、部単位印刷が有効に設定されているかを判断する(S103)。そして、部単位印刷が有効に設定されている場合(S103:YES)には、仕分け機能を有効に設定する(S104)。
【0047】
また、CPU41は、部単位印刷が無効に設定されている場合(S103:NO)には、例えば図6に示す自動判定テーブル(第1テーブルの一例)に従って仕分け機能の有効または無効を判定し設定する(S105)。この自動判定テーブルは、印刷ジョブの実行指示を受け付けるインターフェース毎に仕分け機能を有効に設定するか無効に設定するかを定めたものである。該自動判別テーブルはHDD44に記憶してもよい。
【0048】
この処理では、印刷ジョブの実行指示を入力したユーザが印刷装置10の近傍にいる可能性に応じて仕分け機能の有効・無効を判定する。即ち、印刷ジョブの実行指示を入力したユーザが印刷装置10の近傍にいる場合には、排出トレイ33に排出された印刷済みのシート20が、次の印刷ジョブのシート20が排出されるより前に取り除かれ、そのため仕分け機能が不要になる可能性が高いと考えられる。
【0049】
そこで、CPU41は、印刷ジョブの実行指示が操作パネル17またはUSBインターフェース47から入力される場合には、実行指示を入力するユーザが印刷装置10の近傍にいる可能性が高いと判定して、仕分け機能を無効に設定する。
【0050】
また、逆に、印刷ジョブの実行指示を入力したユーザが印刷装置10の近傍にいない場合には、印刷済みのシート20が排出トレイ33から取り除かれるまでに時間がかかり、他の印刷ジョブのシート20に重ねられ易いことから、仕分け機能が必要になる可能性が高いと考えられる。
【0051】
そこで、CPU41は、印刷ジョブの実行指示がLANインターフェース45またはファクシミリインターフェース46から入力される場合には、実行指示を入力するユーザが印刷装置10の近傍にいない可能性が高いと判定し、仕分け機能を有効に設定する。
【0052】
また、CPU41は、S102において、動作モードが自動モードでなく(S102:NO)、カスタムモードに設定されている場合(S106:YES)には、HDD44に記憶されるカスタムテーブル(第2テーブルの一例)に従って仕分け機能の有効または無効の設定を行う(S107)。カスタムテーブルは、仕分け機能の動作を定める設定値を記録したものであり、設定値はユーザが設定することができる。
【0053】
図7は、ユーザが仕分け機能の動作を設定するための設定画面を示す図である。ユーザは、事前に操作パネル17にこの設定画面を表示させることができる。この設定画面では、印刷ジョブの実行指示を受け付けるインターフェース毎に、仕分け機能の有効(ON)及び無効(OFF)のいずれかの値を選択して設定することができる。
【0054】
なお、最初にこの設定画面を表示させたときには、各インターフェースについて、図6の自動判定テーブルの値と対応する値が初期値として選択された状態で表示される。ユーザは、操作パネル17を用いて所望のインターフェースについての設定値を変更することで、仕分け機能の動作を自動モード時の動作から変更させることができる。
【0055】
また、設定画面では、部単位印刷が設定されている場合に部単位でセパレートシート21を挿入するか否かを設定することもできる。設定画面において設定されたこれらの設定値は、既述のカスタムテーブルとしてHDD44に記憶される。CPU41は、S107において、印刷ジョブの実行指示を受け付けたインターフェースの種類に対応する設定値に従って仕分け機能を有効または無効に設定する。なお、部単位印刷のとき部単位でセパレートシート21を挿入する設定の場合に、印刷ジョブで部単位印刷が有効に設定されている場合には、上記インターフェースの種類にかかわらず、仕分け機能を有効に設定する。
【0056】
また、CPU41は、S106において、動作モードがカスタムモードでない場合(S106:NO)、即ち動作モードがオフモードに設定されている場合には、仕分け機能を無効に設定する(S108)。
【0057】
CPU41は、上記S104、S107、またはS108において仕分け機能を有効または無効を設定した後、印刷ジョブにおいて部単位印刷が有効に設定されているかを判断する(S109)。単位印刷が設定されていない場合(S109:NO)には、印刷ジョブに含まれる全てのページを印刷し、印刷済みのシート20を排出トレイ33に排出する(S110)。
【0058】
続いて、CPU41は、仕分け機能が有効に設定されているかを判断し(S111)、有効に設定されている場合(S111:YES)には、セパレートシート21を排出トレイ33に排出し(S112)、この印刷ジョブ実行処理を終了する。また、仕分け機能が無効に設定されている場合(S111:NO)には、セパレートシート21を排出しないでこの印刷ジョブ実行処理を終了する。
【0059】
また、CPU41は、S109において、部単位印刷が有効に設定されている場合(S109:YES)には、印刷ジョブの1部のシート20に印刷して、その1部の印刷済みのシート20を排出トレイ33に排出する(S113)。そして、仕分け機能が有効に設定されているかを判断し(S114)、有効に設定されている場合(S114:YES)には、セパレートシート21を排出する(S115)。また、仕分け機能が無効に設定されている場合(S114:NO)には、セパレートシート21を排出しない。
【0060】
続いて、CPU41は、残りのページ(未印刷の部)が存在するかを判断し(S116)、存在する場合(S116:YES)には、S113に戻って未印刷の1部を印刷し、以下同様の動作を行う。残りのページが存在しない場合(S116:NO)には、この印刷ジョブ実行処理を終了する。
【0061】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態によれば、印刷ジョブが、その実行指示を入力したユーザが当該印刷装置の近傍にいる状態で実行される第1ジョブか、近傍にいない状態で実行される第2ジョブかを判定し、第1ジョブと判定した場合には、セパレートシート21を排出しない設定(第1モード)で印刷ジョブを実行し、第2ジョブと判定した場合には、セパレートシート21を排出する設定(第2モード)で印刷ジョブを実行する。
【0062】
即ち、ユーザが印刷装置10の近傍にいる場合には、排出されたシート20が次の印刷ジョブのシート20が排出される前に取り出される可能性が高いと考えられる。そこで、印刷ジョブが、ユーザが印刷装置10の近傍にいる状態で実行される第1ジョブであると判定された場合には、セパレートシート21を排出しない第1モードで印刷ジョブを実行することによって、不要なセパレートシート21の排出を抑制することができる。
【0063】
また、印刷装置10は、ユーザによって印刷装置10の近傍で入力される実行指示を受け付ける第1受付部(操作パネル17、USBインターフェース47)と、近傍以外で入力される実行指示を受け付ける第2受付部(LANインターフェース45、ファクシミリインターフェース46)とを有し、実行指示を第1受付部が受け付けた場合に印刷ジョブを第1ジョブと判定し、第2受付部が受け付けた場合に印刷ジョブを第2ジョブと判定する。これにより、実行指示を受け付ける受付部の種類によって、ユーザが印刷装置10の近傍にいるか否かを判定することができる。
【0064】
また、印刷ジョブの実行指示が印刷装置10の操作パネル17から入力された場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいると考えられるため、仕分け機能を無効に設定する。
また、印刷ジョブの実行指示がLANインターフェース45またはファクシミリインターフェース46を介して受け付けられた場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいない可能性が高いと考えられるため、仕分け機能を有効に設定する。
また、印刷ジョブの実行指示が印刷装置10にUSBインターフェース47を介して直接接続される端末装置55から受け付けられた場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいる可能性が高いと考えられるため、仕分け機能を無効に設定する。
【0065】
また、実行指示を受け付けるインターフェースによって異なる複数種類の印刷ジョブについて、カスタムモードにおいて自動モード時とは異なる動作を実行するようにユーザが設定変更可能である。これにより、例えば、印刷装置10から比較的離れた位置にある端末装置55からUSBインターフェース46を介して印刷ジョブの実行指示を入力する場合には仕分け機能を有効にするように設定したり、あるいは、印刷ジョブ10の近傍に配置された端末装置52からLANインターフェース45を介して実行指示を入力する場合には、仕分け機能を無効にするように設定したり、といったようにユーザの使い方に合わせて動作を変更できる。
【0066】
また、部単位印刷を行う場合には、シート20を各部毎に仕分けることが要望される可能性が高いと考えられる。そこで、そのような場合に、1部分のシート20が排出される毎にセパレートシート21を排出させることによって、必要性の高い箇所にセパレートシート21を挿入することができる。
【0067】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図8を参照して説明する。
本実施形態では、印刷ジョブの実行指示の入力以外のユーザの操作に基づいて、セパレートシート21を挿入するか否かを判定する例を示す。
【0068】
図8は、本実施形態の印刷ジョブ実行処理を示すフローチャートである。なお、印刷装置10の構成は、図1から図3に示したものと同様であるので、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
CPU41は、印刷ジョブ実行処理を開始すると、まず印刷ジョブが手差し給紙の設定であるかを判断する(S201)。端末装置52または端末装置55において、印刷ジョブの実行指示を入力する際に、ユーザがプリンタドライバの設定画面上で手差し給紙の設定を有効または無効に設定することができる。また、印刷ジョブの実行指示を操作パネル17から入力する際にも同様に、ユーザが手差し給紙の設定を有効または無効に設定することができる。
【0070】
なお、実行指示においては手差し給紙の設定をせずに、印刷ジョブの開始前(シート20の送り出し開始前)の所定期間内に手差しセンサで手差しされたシート20が検知された場合に手差し給紙に設定し、手差しのシート20が検知されない場合に第1供給トレイ23からの給紙に設定してもよい。
【0071】
CPU41は、印刷ジョブが手差し給紙の設定である場合(S201:YES)には、印刷ジョブの全ページを印刷してシート20を排出する(S202)。そして、セパレートシート21を排出せずにこの印刷ジョブ実行処理を終了する。即ち、手差し給紙の場合には、ユーザが手差しのシート20を把持するために印刷装置10の近傍におり、仕分けが不要になる可能性が高いと考えられることから、セパレートシート21を排出しない。
【0072】
また、CPU41は、印刷ジョブが手差し給紙の設定でない場合(S201:NO)には、印刷ジョブがストレート排紙の設定かを判断する(S203)。CPU41は、例えば、カバーセンサ49によって後部カバー33が開放状態であるのを検知した場合には、ストレート排紙に設定する。なお、操作パネル17や端末装置52,55において、ユーザが印刷ジョブの実行指示を入力する際に、排紙形態をストレート排紙に設定できるようにしてもよい。
【0073】
ここで、既述の後部カバー33は、比較的浅くて小さいため、排出トレイ30に比べてシート20の積載性が悪いものとする。例えば、排出トレイ30は、数十枚のシート20を重ねて積載できるのに対し、後部カバー33は、続けて2,3枚のシート20が排出されるとシート20が落下する可能性が生じるなどである。
【0074】
CPU41は、ストレート排紙の設定である場合(S203:YES)には、S202に進み、印刷ジョブの全ページを印刷した後(S202)、セパレートシート21を排出せずにこの印刷ジョブ実行処理を終了する。即ち、ストレート排紙の場合には、後部カバー33のシート20の積載性が悪いために、排出されたシート20をユーザが直ぐに取り除く必要があることから、仕分けが不要であると判定する。
【0075】
また、CPU41は、ストレート排紙の設定でない場合(S203:NO)、即ちシート20を排出トレイ30へ排出する設定の場合には、印刷ジョブの全ページを印刷した後(S204)、セパレートシート21を排出して(S205)、この印刷ジョブ実行処理を終了する。
【0076】
以上のように本実施形態によれば、積載可能なシート20の量が小さい後部カバー33にシート20が排出される場合には、ユーザが排出されるシート20を取り除くために印刷装置10の近傍にいる可能性が高いと考えられる。そこで、そのような場合に、セパレートシート21を排出しないことによって、不要なセパレートシート21の排出を抑制することができる
【0077】
また、シート20が手差しにより供給される場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいると考えられる。そこで、そのような場合に、セパレートシート21を排出しないことによって、不要なセパレートシート21の排出を抑制することができる。
【0078】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
(1)実行可能な印刷ジョブの種類は上述のものに限らず、適宜変更することができる。例えば、USBインターフェース47やカードスロット等に接続した記憶媒体に記憶された画像データを印刷するダイレクト印刷の場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいると考えられるため、セパレートシート21を挿入しないようにしてもよい。
【0080】
(2)上記実施形態では、セパレートシート21として、印刷用のシート20と色等が異なるものを用いる例を示したが、本発明によれば、例えば印刷用のシート20に、ジョブの内容やセパレートシートであることを判別できるような文字や画像を印刷して排出してセパレートシート21としてもよい。この場合、同じ供給トレイ23のシート20をセパレートシート21として用いることができる。
【0081】
(3)印刷装置10の近傍にユーザがいるかを判定するための条件は、上述のものに限らず適宜変更することができる。例えば、操作パネル17の操作が検知された場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいると判定してもよい。
【0082】
また、シート20の一方の面に印刷後、排出トレイ30に排出されたシート20をユーザが反転して第1供給トレイ23にセットし、続いてシート20の他方の面に印刷する手動両面印刷を行う印刷装置10において、印刷ジョブが手動両面印刷の設定である場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいるものと判定し、セパレートシート21を排出しないようにしてもよい。
【0083】
また、上述の判定条件やその他の条件を適宜組み合わせて判定してもよい。例えば、LANインターフェース45から実行指示が入力された場合でも、ストレート排紙の設定である場合には、ユーザが印刷装置10の近傍にいると判定してもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、判定部、制御部、設定変更部をいずれも同じCPUによって実現する例を示したが、本発明によれば、これらは、互いに別のCPU、若しくはASICやその他の回路によって構成することができる。
【0085】
(5)上記実施形態では、自動モード又はカスタムモードで仕分け機能の有効、又は無効を設定していたが、これらのモードは必ずしも両方設ける必要はなく、常に自動判定テーブルによって仕分け機能を設定してもよい。その場合、自動判別テーブルの設定をユーザが変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…印刷装置、12…搬送部、13…印刷部、17…操作パネル、20…シート、21…セパレートシート、30…排出トレイ、33…後部カバー、41…CPU、44…HDD、45…LANインターフェース、46…ファクシミリインターフェース、47…USBインターフェース、55…端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブの実行指示を受け付ける受付部と、
前記印刷ジョブに従ってシートに画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部から排出される印刷済みのシートを積載する積載部と、
前記積載部に排出されるシート間を仕切るセパレートシートを前記積載部に排出する仕分け部と、
前記印刷ジョブが、前記実行指示を入力したユーザが当該印刷装置の近傍にいる状態で実行される第1ジョブか、近傍にいない状態で実行される第2ジョブかを判定する判定部と、
前記判定部が前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定した場合に、前記仕分け部が前記セパレートシートを排出しない第1モードで前記印刷ジョブを実行し、前記第2ジョブと判定した場合に、前記仕分け部が前記セパレートシートを排出する第2モードで前記印刷ジョブを実行する制御部と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記受付部は、ユーザによって当該印刷装置の近傍で入力される前記実行指示を受け付ける第1受付部と、近傍以外で入力される前記実行指示を受け付ける第2受付部とを含み、
前記判定部は、前記実行指示を前記第1受付部が受け付けた場合に前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定し、前記第2受付部が受け付けた場合に前記印刷ジョブを前記第2ジョブと判定する、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記第1受付部は、ユーザによる前記実行指示の入力操作を受け付ける操作部を含む、印刷装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の印刷装置において、
前記第2受付部は、ネットワーク通信を介して前記実行指示を受け付けるネットワーク通信部を含む、印刷装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記第1受付部は、前記実行指示を出力する外部装置に直接接続される接続部を含む、印刷装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記印刷ジョブは、少なくとも前記実行指示を受け付ける前記受付部によって異なる複数種類に分けられ、少なくとも一種類の印刷ジョブについて、前記制御部が前記判定部による判定とは異なるモードを実行する設定にユーザの指示に従って設定変更する設定変更部を備える、印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記受付部の種類と前記第1モード及び前記第2モードの一方とを対応付ける第1テーブルと、前記第1テーブルとは別に前記受付部の種類と前記第1モード及び前記第2モードの一方とを対応付ける第2テーブルとを記憶する記憶部を備え、
前記設定変更部は、前記第2テーブルの対応付けを変更するものであって、
前記制御部は、前記第1テーブルにおいて前記実行指示を受け付けた受付部の種類に対応付けられたモードを実行する自動モードと、前記第2テーブルにおいて前記実行指示を受け付けた受付部の種類に対応付けられたモードを実行するカスタムモードとを切り替えて実行する、印刷装置。
【請求項8】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記受付部の種類と前記第1モード及び前記第2モードの一方とを対応付ける第1テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記設定変更部は、前記第1テーブルの対応付けを変更するものであって、
前記制御部は、前記第1テーブルにおいて前記実行指示を受け付けた受付部の種類に対応付けられたモードを実行する、印刷装置。
【請求項9】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記積載部は、前記シートを積載可能な第1積載部と、積載可能なシートの量が前記第1積載部より小さい第2積載部とを有し、
前記判定部は、前記シートが前記第2積載部に排出される場合に前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定する、印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷装置において、
前記第2積載部は、ユーザの操作によって、前記印刷済みのシートが排出される使用位置と排出されない不使用位置との間で切り替え可能である、印刷装置。
【請求項11】
請求項1または請求項10に記載の印刷装置において、
ユーザにより手差しされたシートを前記印刷部に供給する手差し供給部と、
積載されたシートを前記印刷部に供給する自動供給部と、を備え、
前記判定部は、前記シートが前記手差し供給部から供給される場合に前記印刷ジョブを前記第1ジョブと判定する、印刷装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記実行指示では、複数部の印刷を行う際にシートを部単位で排出する部単位印刷の有効または無効を指定可能であって、
前記制御部は、前記実行指示において前記部単位印刷が有効に指定されている場合には、前記判定部の判定にかかわらず、前記第2モードで前記印刷ジョブを実行するとともに、1部分のシートが排出される毎に前記仕分け部に前記セパレートシートを排出させる、印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−10205(P2013−10205A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143036(P2011−143036)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】