説明

印字器における印字用エンドレスバンドおよびその作製方法

【課題】 印字用エンドレスバンドにおける活字を交換可能に設けることにより、ユーザの希望する文字配列のハンドラベラーが容易に実現できる印字器における印字用エンドレスバンドを提供する。
【解決手段】 円周上にセット孔6が複数形成された輪状のバンド本体2と、セット孔に対し着脱自在に設けられる、活字Cを備えた活字担体50、および見出し文字Sを備えた見出し文字担体50と、バンド本体を回転駆動し、所望の活字体を選択する選択機構3と、選択された活字を被印字媒体Tに押圧する押圧機構4と、を有する印字器における印字用エンドレスバンド10である。
バンド本体の円周方向における二分の一を印字文字領域N、他の二分の一を見出し文字領域Mとして、印字文字領域のセット孔に対し所望の活字担体を押し入れて装着するとともに、円周方向の対峙するセット孔に活字担体の活字に対応した見出し文字が備えられた見出し文字担体を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、複数の印字用エンドレスバンドにおける価格、日付、通貨単位等の活字(印字文字)を交換可能に設けた印字器における印字用エンドレスバンドおよびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売流通業界等で、商品に値段や日付などを印字して貼付するのに、ハンドラベラーと称する携帯式の印字貼付装置が知られている。
このハンドラベラーにおいて、前記値段や日付などを印字するために印字器が装着されている(例えば、特許文献1参照)。
図14は、特許文献1に開示されるハンドラベラーの印字器に使用される印字用エンドレスバンド20の断面図であり、印字用エンドレスバンド20は、輪状のバンド本体21と、このバンド本体21の外周面にそれぞれの領域に分けて形成した所定数の印字文字22および見出し文字23と、バンド本体21の内周面に各見出し文字23に対応して突出形成した複数個の低い駆動用突起部24および高い駆動用突起部25と、を備えている。なお、駆動用突起部24、25を形成していないバンド本体21の他の内周面は、これを平坦部26としてある。
図示省略の印字器は、上記印字用エンドレスバンド20を幅方向に数列まとめるとともに回転自在に組み付けて構成され、任意の列の印字用エンドレスバンド20を回転して特定の印字文字22が選択できるようになっている。
ところで、上記バンド本体21は、ゴムベルトに印字文字22および見出し文字23が一体に成型加工されたものであり、一体成型されていることにより以下の問題点があった。すなわち、
1)ゴムベルト(バンド本体21)に印字文字23が一体になっており、ゴムベルトを回転させて所望の印字文字22を選択する際、中途半端な回転でセットされると、図示省略のラベルなどの被印字媒体に印字する際、印字文字22が斜めに当たって文字欠けや印字不良を発生することがある。
2)頻繁に使う特定の印字文字22が消耗した場合、他の印字文字22が印字可能な状態であってもバンド本体21ごと交換する必要がある。
3)印字器に複数列まとめて配設・装着されたバンド本体22のうちの1本を交換するとともに交換後の調整を図るには、高い熟練度を必要とする。
4)通貨マークや重さ単位など、国ごとに使用する文字が異なる場合、国ごとの通貨文字や重量単位文字などの所望の印字文字22が入ったバンド本体21を一体成型する必要があるため手間がかるばかりか、種類の異なる印字文字22が配列されたバンド本体21が増加し、管理が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−337940号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の諸問題に着目して成されたものであり、印字用エンドレスバンドにおける価格、日付、通貨単位等の活字を交換可能に設けることにより、ユーザの希望する文字配列のハンドラベラーが容易に実現できる印字器における印字用エンドレスバンドおよびその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の発明に係る印字器における印字用エンドレスバンドは、円周上にほぼ等間隔でセット孔が複数形成されるとともに、印字器に取り付けられる輪状のバンド本体と、前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、活字を備えた活字担体と、前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、見出し文字を備えた見出し文字担体と、前記バンド本体を回転駆動し、所望の活字体を選択する選択機構と、選択された活字を被印字媒体に押圧する押圧機構と、を有する印字器における印字用エンドレスバンドであって、前記バンド本体の円周方向における二分の一を印字文字領域、および他の二分の一を見出し文字領域として、前記印字文字領域の前記セット孔に対し所望の活字担体を押し入れて装着するとともに、円周方向の対峙するセット孔に前記活字担体の活字に対応した見出し文字が備えられた前記見出し文字担体を装着して成ることを特徴とする。
また、活字担体を、台座部材の表面に文字や図柄を含む活字が形成された活字体と、活字体を支持する支持部材と、活字体の台座部材の裏面に一端が固定されるとともに、他端が支持部材に固定されて活字体と支持部材とを連結する連結部材と、支持体から突出して設けられた抑止部材と、を備えるようにできる。
また、印字文字領域および見出し文字領域を、異なる色で分けるようにできる。
さらに、第2の発明に係る印字器における印字用エンドレスバンドの作製方法は、円周上にほぼ等間隔でセット孔が複数形成されるとともに、印字器に取り付けられる輪状のバンド本体と、前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、活字を備えた活字担体と、前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、見出し文字を備えた見出し文字担体と、前記バンド本体を回転駆動し、所望の活字を選択する選択機構と、選択された活字体を被印字媒体に押圧する押圧機構と、を有する印字器における印字用エンドレスバンドの作成方法であって、前記バンド本体のセット孔に対し所望の見出し文字が設けられた見出し文字担体を装着するとともに、前記輪状のバンド本体の円周方向において前記見出し文字担体が装着されたセット孔に対峙する位置のセット孔に前記見出し文字担体の見出し文字に対応する活字が設けられた活字担体を装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の発明に係る印字器における印字用エンドレスバンドは、円周上にほぼ等間隔でセット孔が複数形成されるとともに、印字器に取り付けられる輪状のバンド本体と、バンド本体のセット孔に対し着脱自在に設けられる、活字を備えた活字担体と、バンド本体のセット孔に対し着脱自在に設けられる、見出し文字を備えた見出し文字担体と、バンド本体を回転駆動し、所望の活字を選択する選択機構と、選択された活字を被印字媒体に押圧する押圧機構と、を有する印字器における印字用エンドレスバンドであって、バンド本体の円周方向における二分の一を印字文字領域、および他の二分の一を見出し文字領域として、印字文字領域のセット孔に対し所望の活字担体を押し入れて装着するとともに、円周方向の対峙するセット孔に活字担体の活字に対応した見出し文字が備えられた見出し文字担体を装着するようにしたので、所望の文字が配列された印字用エンドレスバンドが自由に作製でき、かつ、交換する場合でも、従来のようにバンド本体ごと交換しないで済むため、コストの削減および交換時間の短縮が図れるという効果がある。
また、活字担体を、台座部材の表面に文字や図柄を含む活字が形成された活字体と、活字体を支持する支持部材と、活字体の台座部材の裏面に一端が固定されるとともに、他端が支持部材に固定されて活字体と前記支持部材とを連結する連結部材と、支持体から突出して設けられた抑止部材と、を備えるようにすれば、セット孔に活字担体が装着されたとき、台座部材の裏面と、支持部材および抑止部材との間でバンド本体を挟んだ状態で支持されるので、確実に装着されるようになる。
また、印字文字領域および見出し文字領域を、異なる色で分けるようにすれば、活字担体と見出し文字担体とを装着する際、装着間違いが軽減される。
さらに、第2の発明に係る印字器における印字用エンドレスバンドの作成方法は、バンド本体のセット孔に対し所望の見出し文字が設けられた見出し文字担体を装着するとともに、輪状のバンド本体の円周方向において見出し文字担体が装着されたセット孔に対峙する位置のセット孔に見出し文字担体の見出し文字に対応する活字が設けられた活字担体を装着するので、活字担体と見出し文字担体とを装着する際、装着間違いが軽減されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る印字用エンドレスバンドのバンド本体が装着された印字器の概略側面説明図である。
【図2】同、図1中、矢示II方向より見た、バンド本体のセット孔の部分拡大説明図である。
【図3】同、印字用エンドレスバンドで使用する活字担体の概略斜視図である。
【図4】同、バンド本体に活字担体を装着した状態を示す一部破断の拡大断面図である。
【図5】同、図4中、矢示V方向より見た活字体の部分拡大説明図である。
【図6】同、図4中、矢示VI方向より見た支持部材の部分拡大説明図である。
【図7】同、見出し文字担体を示す図3相当の概略斜視図である。
【図8】同、印字用エンドレスバンドが装着された印字器の概略側面説明図である。
【図9】同、図8中、矢示IX方向より見た印字器の概略説明図である。
【図10】同、図8中の選択機構部分を示す部分拡大説明図である。
【図11】同、図8中の押圧機構部分を示す部分拡大説明図である。
【図12】同、図8中、矢示XII方向より見た選択機構手前の部分拡大説明図である。
【図13】同、活字担体および見出し文字担体を保管する活字保管用パネルの平面図である。
【図14】従来の印字用エンドレスバンドを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る印字器における印字用エンドレスバンドの一実施の形態につき、図1ないし図12に基づいて説明する。
【0009】
本発明に係る印字器1は当初、図1に示すように、主に、輪状のバンド本体2と、選択機構3と、押圧機構4と備え、これらがケーシング5(図1において、想像線で示してある)内に配設されている。
なお、7は見出し窓部、8は担体装着部を示す。これら見出し窓部7および担体装着部8の詳細は、後述する。
【0010】
バンド本体2は、tの厚みをもって輪状に形成されており、後述の選択機構3および押圧機構4との間において回動可能、かつ、所定の張力をもって掛け渡されている。
また、主に、図2に示すように、バンド本体2には、長手方向Lに延びた細長いセット孔6がほほ等間隔で複数形成されており、各セット孔6は、長手方向Lにおける中央部が幅方向(長手方向Lと交差する方向)において他の部位よりやや広く切り欠かれた形状となっている。
図1に戻って、輪状のバンド本体2は、円周方向における二分の一が印字文字領域N、残りの二分の一が見出し文字領域Mとされ、印字文字領域Nには後述する「活字」が形成された「活字担体」を、また、見出し文字領域Mには「見出し文字」が形成された「見出し文字担体」を、各々配設するようになっている(詳細は、後述する)。
なお、印字領域Nと見出し文字領域Mとを異なった色で着色することにより確認し易くし、もって「活字担体」および「見出し文字担体」の装着ミスを軽減することができる。
なお、バンド本体2は、従来のようなゴム製ではなく、樹脂製とすることが望ましい。
【0011】
ここで主に、図3を用いて、活字担体50につき説明する。
活字担体50は、台座部材51の表面に文字や図柄を含む活字Cが形成された活字体52と、支持部材53と、連結部材54と、抑止部材55とを備える。
活字体52は、正像に対し鏡反転された活字Cが台座部材51の表面に埋め込まれた状態で構成されている。なお、活字体52を構成する台座部材51および活字Cは、樹脂で作製してもよく、あるいは、活字Cは、従来どおりゴム製でも構わないものとする。
支持部材53は、平面(矢示Hから見た状態)の形状が前記バンド本体2のセット孔6とほぼ同様となっており、かつ、大きさ(サイズ)はセット孔6より若干大きい面積(103%から105%程度)となっている。
連結部材54は、一端が前記活字体52の裏面(活字Cが形成されていない、台座部材51の裏面)に固定され、他端が前記支持部材53に固定されており、活字体52と支持部材53とを連結する「つなぎ部材」の役割を果たすものであり、長さhは、前記バンド本体2の厚みtよりわずかに長いサイズ(厚みtの102%から104%程度)となっている(図4参照)。
抑止部材55は、前記支持部材53の側面、すなわち、長手方向Lに交差する支持部材53の側面の下端部(図3における上下方向の下端部)において突出して形成されており、この抑止部材55の下端部55aと支持部材53の下端部53aとは、ほぼ面一となっている。
なお、支持部材53および連結部材54も、活字体50と同様、樹脂製とすることが望ましい。
また、活字体52は、後述の活字保管用パネル30(図12)に保管されている。
【0012】
次に、主に、図4ないし図6を参照して活字担体50が装着された状態につき説明する。
図4は、前記活字担体50がバンド本体2に装着された状態を示す一部破断の拡大断面図、図5は、図4中、矢示V方向(輪状のバンド本体2の外周面)より見た活字体52の部分拡大説明図、図6は、図4中、矢示VI方向(輪状のバンド本体2の内周面)より見た活字体52の支持部材53部分の部分拡大説明図である。
セット孔6より挿し入れた活字担体50は、バンド本体2の表面側は活字体52の台座部材51が、また、裏面側は支持部材53および抑止部材55が、各々当接してバンド本体2を挟んだ状態で装着される。すなわち、活字担体50は、バンド本体2の表面(外周面)に台座部材51の裏面が、また、バンド本体2の裏面(内周面)に支持部材53および抑止部材55が、各々当接して装着され、しかも、バンド本体2の裏面では、セット孔6より若干大きな面積の支持部材53、および支持部材53より側面(図6における左右方向)に突出して形成された抑止部材55によって抑えられるため抜け止めが抑止され、さらに、支持部材53および抑止部材55の間を連結する連結部材54がバンド本体2の厚みtよりわずかに長い長さ(サイズ)hに形成されているため、装着された状態での「遊び」、すなわち、三次元方向での動きがフリー状態となるものである。
なお、活字Cは、主に、図5に示すように、鏡反転された状態で形成されている(図示の例では、鏡反転された「$(ドルマーク)」の活字Cが台座部材51に埋め込まれて形成された状態を示している)。
【0013】
図7は、見出し文字担体60を示す概略斜視図であり、活字担体50とほぼ同様の形状とされている。すなわち、活字担体50の「部材」と同じ台座部材51、支持部材53、連結部材53を備えており、異なる部分は、活字体52の部分が台座部材51に後述の見出し文字Sを貼り付けた見出し文字体61となっている点であり、この見出し文字担体60も活字担体50と同様、バンド本体2の表面(外周面)より見出し文字領域Mのセット孔6を押し開き、支持部材53および抑止部材55をセット孔6に押し入れて装着するようになっている。
【0014】
次に、主に、図8ないし図12に基づき、印字用エンドレスバンド10が装着された印字器1について説明する。
図8は、印字用エンドレスバンド10が装着された印字器1の概略側面説明図であり、図1に示された選択機構3および押圧機構4の間に、セット孔6が形成されたバンド本体2が掛け渡された状態から、バンド本体2のセット孔6に活字担体50および見出し文字担体60が装着されて構成された印字用エンドレスバンド10が所定の張力をもって掛け渡された状態を示している。
なお、印字器1には、ケーシング5の上部に見出し窓7が形成されており、また、ケーシング5の下部に担体装着部8が設けられている。
【0015】
図9は、印字器1の見出し文字領域Mを見た概略説明図であり、印字用エンドレスバンド10が印字器1の幅方向Wに数列(図示の例では、5列)連接されている状態を示しており、見出し文字領域Mのセット孔6に見出し文字担体60が押し入れられて装着され、見出し文字体61の見出し文字Sが外周面から確認できる状態を示している。なお、15は、後述の操作つまみ部を示している。
【0016】
図10は、図8中の選択機構3を示す部分拡大説明図であり、操作つまみ部15と、この操作つまみ部15に接続され、操作つまみ部15の回動に連動して回動する、溝部16aが形成された節度コマ16を備えている。そして、前記印字用エンドレスバンド10の内周面に突出して押し入れられた見出し文字担体60の支持部材53が前記節度コマ16の溝部16aに係合するようになっており、操作つまみ部15の回動に伴い節度コマ16が回動すると、溝部16aに係合した支持部材53が移動されることにより印字用エンドレスバンド10が円滑に回転するようになっている。
【0017】
図11は、図8中の押圧機構4を示す部分拡大説明図であり、回転軸17に対し回動自在に支持された押圧ローラ18を備えている。押圧ローラ18は、印字用エンドレスバンド10の内周面に突出して押し入れられた活字担体50の支持部材53に当接して活字担体50を印字用エンドレスバンド10の外周面に向けて押圧するための役目を果たしている。
【0018】
図12は、図8中、矢示XII方向より見た選択機構3近辺の部分拡大説明図であり、上部の見出し窓部7の手前に次の見出し文字S(図示の例では、数字の「6」)が回動されている状態を示している。
【0019】
図13は、活字担体50および見出し文字担体60を保管する活字保管用パネル30の平面図であり、活字保管用パネル30には、活字体収納部31と見出し文字収納部32とが形成されており、活字体収納部31には、活字担体50(図3参照)が、また、見出し文字収納部32には、見出し文字担体60(図7参照)が、各々収納されている。同図に示すように、見出し文字Sは「正像」であり、また、活字Cは鏡反転した「文字」となっている。
収納する活字担体50および見出し文字担体60は、台座部材51に任意の活字Cおよび見出し文字Sが埋め込まれたものを選択して収納可能であり、したがって、国によって異なる通貨単位、重さの単位などを優先的に用意することができる。
【0020】
次に、図1ないし図13に基づき、印字用エンドレスバンド10の作製方法を説明する。
活字保管用パネル30より、任意の活字Cが埋め込まれた活字担体50、およびこの活字Cを表す見出し文字Sが埋め込まれた見出し文字単体60を選択する。
図1のバンド本体2が掛け渡されただけの印字器1の操作つまみ部15を回転し、見出し窓部7にバンド本体2の見出し文字領域Mのセット孔6aを位置決めする。このとき、バンド本体2は、選択機構3および押圧機構4の間において所定の張力をもって掛け渡されているため回転する。
位置決めされたセット孔6aに、選択した見出し文字担体60の支持部材53および抑止部材55を、長手方向Lおよび長手方向Lに交差する方向にわずかに斜め状態に傾けて押し入れ装着する。
同様に、見出し窓部7に位置決めされたセット孔6とは輪状のバンド本体2の円周方向において対峙する位置、すなわち、担体装着部8に位置決めされているセット孔6bに、前記見出し文字Sに対応する活字Cが形成された活字担体50の支持部材53および抑止部材55を、長手方向Lおよび長手方向Lに交差する方向にわずかに斜め状態に傾けて押し入れ装着する。
見出し窓部7より装着された見出し文字担体60は、バンド本体2の裏面(内周面)側に突出した支持部材53および抑止部材55が、節度コマ16の溝部16aに係合するので、操作つまみ部15を回すとバンド本体3は円滑に回るようになる。
また、担体装着部8より装着された活字担体50は、バンド本体2の裏面(内周面)側に突出した支持部材53が、押圧ローラ18により押さえられる。このときセット孔6bに装着された活字担体50は、三次元方向でのフリーな動き(遊び)が可能な状態となっているため、先の押さえローラ18の押圧時、被印字媒体T(図11参照)の印字面T1に対して活字Cが直角に押し付けられるものである。
なお、見出し窓部7に見出し文字担体60を装着するのと同時に、印字器1における見出し窓部7の円周方向の対峙する位置に設けられた担体装着部8より活字担体50を装着するので、間違えなく文字の装着が可能となる。
上述したバンド本体2への見出し文字担体60および活字担体50の装着を繰り返すことにより、所望の配列の印字器1が実現できる。
所望の活字Cを選択して所望の印字用エンドレスバンド10を所望の配列で実現できることにより、例えば、ユーロのように、各国がかつての通貨における慣習を踏襲したことにより、ユーロマークやピリオドなどの記号の置き場所が多様化されたまま公式の標準がないエリアへの印字器1の提供に、特に有効となる。
【0021】
また、特定の活字Cがつぶれたような場合、あるいは、他文字の活字Cに換えたいような場合は、交換したい列の見出し文字Sを見出し窓7に合わせると、担体装着部8に交換したい活字Cが移動して位置決めされるため、セット孔6bから活字Cを外して交換すればよく、従来のように、一部の印字文字22がつぶれた場合、該当バンド本体21ごと交換する必要がないので、コスト削減および交換時の時間短縮が図れる。
【0022】
上述したように、バンド本体2に形成されたセット孔6に対し、活字担体50および見出し文字担体60を着脱自在に設けるとともに、バンド本体2を回転駆動し、所望の活字体52を選択する選択つまみ部15、および選択された活字体52を被印字媒体Tに押圧する押圧ローラ18とを設けたので、セット孔6より所望の活字Cを装着し組み合わせるだけで所望の配列の印字器1が実現できる。
また、バンド本体の円周方向における二分の一を印字文字領域N、および他の二分の一を見出し文字領域Mとして、印字文字領域のセット孔6bに対し所望の活字担体50を押し入れて装着するとともに、円周方向の対峙するセット孔に活字担体50の活字Cに対応した見出し文字Sが備えられた見出し文字担体60を装着するので、見出し文字Sと活字Cの装着間違いが軽減される。
【0023】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0024】
例えば、部品の点数を減らすため、活字担体50と見出し文字担体60の台座部材51、支持部材53、連結部材54、抑止部材55を同一の部材としたが、これに限定しないことは勿論であり、例えば、見出し文字担体60の「支持部材」の高さ(図7における上下方向)を活字担体50の「支持部材」の高さ(図3における上下方向)より低くするとともに、節度コマ16の溝部16aを浅くして見出し文字担体60の「支持部材」のみが係合するようにしてもよい。
見出し文字担体60の「支持部材」の高さを活字担体50の「支持部材」の高さより低くするとともに節度コマ16の溝部16aを浅くすることにより、活字担体50が見出し窓部7に乗り入れることを防止できるものである。
【0025】
なお、上述したように、バンド本体2を、従来のゴム製から樹脂製とすることにより、活字担体50および見出し文字担体60の着脱時の柔軟性ならびに耐久性が高まる。
【0026】
また、上述の実施の形態では、台座部材51に埋め込まれる活字Cは一文字の例で説明したが、これに限定されないことは勿論であり、例えば、「単価」や「均一」、「特価」といった複数文字を縦に数段(この例では二段)配設したような文字(あるいは図形)とすることが可能である。
【0027】
さらに、バンド本体2に対して活字Cを着脱自在としたことにより、活字Cの選択的な交換が可能となるため、従来のように、通貨単位や重量単位など、国ごと、ユーザーごとに異なる印字用エンドレスバンドを組み付けた印字器を提供する必要がなく、ユーザーの希望する活字Cを収納した活字用保管パネル30を提供するだけでユーザーが必要とする所望配列の印字用エンドレスバンド10を備えた印字器1が実現可能であり、図9の見出し文字Sに示すようにバンド本体2に「$」、「¥」・・・などの他国の通貨単位を装着すれば、二重通貨の表示が可能となる。
【0028】
また、「個数」に相当する「Pieces」の省略形「PCS」を斜め三段の一文字の「活字」として提供しこれをバンド本体2の適宜位置に装着すれば、日本における「○個−○○円」に相当する「△PCS ○¢」の価格表示が実現可能である。
【符号の説明】
【0029】
C 活字
S 見出し文字
L バンド本体2の長手方向
h 連結部材54の長さ
t バンド本体2の厚み
M 見出し文字領域
N 印字文字領域
W 印字器1の幅方向
T 被印字媒体(図11)
1 印字器
2 バンド本体
3 選択機構
4 押圧機構
5 ケーシング
6 セット孔
7 見出し窓部
8 担体装着部
10 印字用エンドレスバンド
15 操作つまみ部
16 節度コマ
16a 節度コマ16の溝部
17 回転軸
18 押圧ローラ
50 活字担体
51 台座部材
52 活字体
53 支持部材
53a 支持部材55の下端部
54 連結部材
55 抑止部材
55a 抑止部材55の下端部
60 見出し文字担体
61 見出し文字体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周上にほぼ等間隔でセット孔が複数形成されるとともに、印字器に取り付けられる輪状のバンド本体と、
前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、活字を備えた活字担体と、
前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、見出し文字を備えた見出し文字担体と、
前記バンド本体を回転駆動し、所望の活字を選択する選択機構と、
選択された活字を被印字媒体に押圧する押圧機構と、を有する印字器における印字用エンドレスバンドであって、
前記バンド本体の円周方向における二分の一を印字文字領域、および他の二分の一を見出し文字領域として、前記印字文字領域の前記セット孔に対し所望の活字担体を押し入れて装着するとともに、円周方向の対峙するセット孔に前記活字担体の活字に対応した見出し文字が備えられた前記見出し文字担体を装着して成ることを特徴とする印字器における印字用エンドレスバンド。
【請求項2】
前記活字担体は、
台座部材の表面に文字や図柄を含む活字が形成された活字体と、
前記活字体を支持する支持部材と、
前記活字体の前記台座部材の裏面に一端が固定されるとともに、他端が前記支持部材に固定されて前記活字体と前記支持部材とを連結する連結部材と、
前記支持体から突出して設けられた抑止部材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印字器における印字用エンドレスバンド。
【請求項3】
前記印字文字領域および見出し文字領域は、異なる色で分けられていることを特徴とする請求項1に記載の印字器における印字用エンドレスバンド。
【請求項4】
円周上にほぼ等間隔でセット孔が複数形成されるとともに、印字器に取り付けられる輪状のバンド本体と、
前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、活字を備えた活字担体と、
前記バンド本体の前記セット孔に対し着脱自在に設けられる、見出し文字を備えた見出し文字担体と、
前記バンド本体を回転駆動し、所望の活字を選択する選択機構と、
選択された活字を被印字媒体に押圧する押圧機構と、を有する印字器における印字用エンドレスバンドの作製方法であって、
前記バンド本体のセット孔に対し所望の見出し文字が設けられた見出し文字担体を装着するとともに、
前記輪状のバンド本体の円周方向において前記見出し文字担体が装着されたセット孔に対峙する位置のセット孔に前記見出し文字担体の見出し文字に対応する活字が設けられた活字担体を装着することを特徴とする印字器における印字用エンドレスバンドの作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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