説明

印字器における印字選択装置

【課題】 印字用エンドレスバンドの割出し用の機構および回転保持用の機構を組み合わせることに着目した構造で、印字用エンドレスバンドの列の割出しならびに回転操作を行う操作軸の強度を高め、印字用エンドレスバンドの列の割出しならびに回転操作を的確に行うことができるようにするとともに、部品点数を減らし、印字器の小型化ならびに軽量化を実現でき、構造が簡単で組み立て作業時などにおいても作業に便利な印字器における印字選択装置を提供すること。
【解決手段】
選択ホイールの回転を固定的に保持するとともに、選択される選択ホイールのみを回転させる切欠き部を形成する付属ロッドが形成されてなるインジケーターと、操作軸に沿って設けられている案内部と、のどちらか一方に選択溝が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯式のラベル印字貼付装置などに装備される印字器にかかるもので、印字選択用の操作軸を通常その軸方向に移動することにより、印字用エンドレスバンドの列を選択(割り出し)し、さらにこの列において操作軸を回転することにより選択ホィールを回転させて、印字用エンドレスバンドにおける所望の印字文字を選択する印字器における印字選択装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラベル印字貼付装置などに装備される印字器においては、印字文字および見出し文字を形成した印字用エンドレスバンドを選択ホィールなどに回転可能に支持し、これを回転させて所望の印字文字を印字可能な状態とし、インキローラーにより印字文字にインキを塗布し、ラベルなどに押印するようにしている。この印字文字の選択にあたっては、印字選択用の操作軸を通常その軸方向に移動することにより印字用エンドレスバンドの列を選択(割り出し)し、さらにこの列において操作軸を回転することにより選択ホィールを回転させて、印字用エンドレスバンドにおける所望の印字文字を選択するようにしている。
【0003】
こうした印字文字の選択において、印字用エンドレスバンドの列の割出し節度確保のために各種の機構がある。従来の公知技術として、たとえば、印字用エンドレスバンドの列の割出し節度を確保するため、操作軸の外周面に設けられる複数列の割出し用溝が軸方向に等間隔で形成してあり、印字器フレームに設けられたスペースに、割出し用スチールボールと、割出し用スチールボールを前記操作軸の割出し用溝方向に付勢する割出しスプリングとにより、所定の列に操作軸およびインジケーターをセット(割出し)可能としている印字割出しの付勢機構が知られている。たとえば特許文献1では、割出し用スチールボールと、割出し用スチールボールを前記操作軸の割出し用溝方向に付勢する機構が開示されている。
しかしながら、印字器フレームに余分なスペースを設ける必要があり、印字器自体も必然的に大型化してしまうとともに、この印字器を備えるラベル印字貼付装置自体も大型化してしまい、ラベル印字貼付装置のコストアップを招来する要因となり、またラベル印字貼付装置の小型軽量化の障害となるという問題がある。
【0004】
また、ラベル印字貼付装置の小型軽量化を達成する機構として、特許文献2では、スリーブ上に形成される係止爪と、セット軸の外周面に設けられる係止凹部と、が係合する機構が開示されている。ラベル印字貼付装置の軽量化を達成する上において、また操作軸の外周面に割り出し用の溝が形成される構成にして割出し節度を取るようにしているため、その材質には軽量で成形加工可能なプラスチック等を利用することが好ましい。
しかしながら、プラスチック成形された操作軸に複数の溝が複数形成されていると、操作軸自体の径は一定ではないため、その強度は高いものではなく、操作者の操作や扱い状況に応じた強度を得ることが出来ない。
【0005】
さらに、いずれの場合でも、印字用エンドレスバンドのいずれもが隣り合うように配置されており、また、選択ホイールも隣り合うよう配置されている。そのため、操作軸を軸方向に移動し印字用エンドレスバンドを回転するにあたり、隣合う印字用エンドレスバンドないしは隣り合う選択ホイールが接触している状態にあるため、操作軸が割出したい列の印字用エンドレスバンドと隣接する列の印字用エンドレスバンドが共周りしてしまい、割出した所定の列の印字用エンドレスバンドのみの的確な回転を確保できない問題がある。この実現のため、たとえば従来の公知技術として、複数列の印字用エンドレスバンドを張架する複数の節度コマが、互いに隣り合わせにならないようスペーサー等の独立部材を介する機構が知られている。また、複数の選択ホイールが互いに隣り合わせにならぬようスペーサー等の独立部材を介する機構も知られている。なお、これらの機構では、通常、スペーサー等の独立部材が、選択ホイールまたは節度コマの、少なくともどちらか一方に設けられていればよい。しかし、これら構成では、部品点数が増えるとともに、機構自体が複雑化してしまい、保守点検時等の組立て作業に手間隙がかかり、部品管理などが困難になる問題があり、なによりも機構自体が大型化してしまう問題がある。
さらに、節度コマにおいては、この節度コマの有する印字用エンドレスバンドのそれぞれが互いに接触しないよう、節度コマの外径よりもスペーサー等の独立部材の外径を大きく
する必要があり、節度コマの断面外径よりスペーサー等の独立部材が突出するので、節度
コマを印字方向に対し位置決め可能に保持する節度コマ受け部材を、各々の節度コマに対
応して設ける必要があり、部品点数が増えるとともに、機構自体が複雑化してしまう問題
があり、なによりもコストアップをも招来する要因となる問題点がある。
さらに、節度コマと節度コマ受け部を一体的に形成し、ユニット化することは、印字用エンドレスバンドの印字文字を適正な位置に容易に配置可能であり、保守点検時等の組立て作業を容易にする上でも好ましいものであるが、節度コマと節度コマ受け部材をユニット化するうえで、節度コマの断面外径よりスペーサー等の独立部材が突出すると、節度コマ受け部材を節度コマに対応する分だけ独立して設ける必要があり、部品点数が増えるとともに、容易にユニット化することが難しいものとなる問題がある。
さらに、複数の印字用エンドレスバンドにあっては、節度コマと節度コマ受け部をユニット化することで、回転する印字用エンドレスバンドの片寄り走行や蛇行により、回転する印字用エンドレスバンドと、それに隣接する印字用エンドレスバンドが接触し磨耗するため、印字用エンドレスバンドの寿命低下を招く問題もある。
【0006】
【特許文献1】特開平10−147046号公報
【特許文献2】特開昭60−18389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような諸問題に鑑みてなされたもので、印字用エンドレスバンドの割出し用の機能および回転保持用の機能を組み合わせることに着目し、印字用エンドレスバンドの列の割出しならびに回転操作を行う操作軸の強度を高め、かつ印字用エンドレスバンドの列の割出しならびに回転操作を的確に行うことができるようにした印字器における印字選択装置を提供することを課題とする。
また本発明は、部品点数を減らし、印字器の小型化ならびに軽量化を実現できる印字器における印字選択装置を提供することを課題とする。
また本発明は、構造が簡単で組み立て作業時などにおいても作業に便利な印字器における印字選択装置を提供することを課題とする。
また本発明は、印字用エンドレスバンドの印字文字を印字位置に容易に、かつ正確に位置決め可能であるとともに、容易に組み立て作業を行えるユニット化された節度コマを有する印字器における印字選択装置を提供することを課題とする。
また本発明は、ユニット化した節度コマの組み付け方向の間違いを防止可能とすることで、組立て作業性の向上及びコスト低減が可能な印字器における印字選択装置を提供することを課題とする。
また本発明は、印字用エンドレスバンドの適正な回転を保障し、かつ複数の印字用エンドレスバンドが互いに接触することで生じる摩耗による損傷をできるだけ低減可能である節度コマを有する、印字器における印字選択装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係わる印字器における印字選択装置は、操作軸の近傍に割出し用の機構および共回り防止用の機構を組合せ設けることにより、操作軸の軸径を一定にすることに着目したもので、外周面に印字文字を有する複数列の印字用エンドレスバンドと、前記印字文字は、印字用エンドレスバンドの回転により印字位置に至るようにされており、前記印字用エンドレスバンドを回転させる操作軸、および複数の溝を形成した選択ホイールと、前記選択ホイールを回転可能に支持するとともに、前記操作軸の径方向へ突出した駆動ピンに係合する軸方向へ形成されたスリットを有しており、前記駆動ピンと前記スリットとの係合により前記操作軸と共に回転する案内部と、前記操作軸に設けられるとともにその軸方向への移動により移動可能であり、前記選択ホイールに係合し、かつその回転を選択的に許容するスライド支持部と、前記スライド支持部を前記操作軸の軸方向に移動可能に保持するガイド支持部と、を有し、前記案内部と前記スライド支持部のいずれか一方には、選択溝が設けられていることを特徴とする。
また本発明において、前記スライド支持部は、前記選択ホイールの回転を固定的に保持するとともに、割出される選択ホイールのみを回転させる切欠き部を形成する付属ロッドが形成されてなることを特徴とする。
また本発明において、前記選択溝は、前記案内部の前記スリットに複数形成されており、この選択溝に断続的に係合する前記駆動ピンが配置されてなることを特徴とする。
また本発明において、前記選択溝は、前記インジケーターに複数の選択溝が形成されており、この選択溝の移動の際に、この選択溝に断続的に係合をなす抑制アーム部が前記ガイド支持部に配置されている印字器における印字選択装置を提供することを特徴とする。また本発明において、前記選択溝は、前記駆動ピンが前記選択ホイールに対応する位置に配置されていることを特徴とする。
また本発明において、前記ガイド支持部には、選択ホイールに係合可能な位置決め部を設けたことを特徴とする。
また本発明において、前記位置決め部は、滑脱面を有する凸部材と弾性体とで構成されることを特徴とする。
また本発明において、外周面に印字文字を有する複数列の印字用エンドレスバンドと、前記印字用エンドレスバンドを軸支する操作軸と、この操作軸を操作することにより前記印字文字を選択可能なそれぞれの選択ホイールと、前記印字用エンドレスバンドの内周面において、前記選択ホイールに係合可能に形成した駆動用突起部と、前記駆動用突起部と係合するとともに、前記印字用エンドレスバンドの列方向の偏移を抑え、前記印字文字を印字位置に位置決め可能に配置する印字圧受けユニットと、を設けたことを特徴とする。また本発明において、印字圧受けユニットには、前記印字用エンドレスバンドの駆動用突起部が係合する突起係合溝を形成する節度コマと、前記突起係合溝の一端には、前記印字用エンドレスバンドの駆動用突起部を保持する規制壁部と、が設けられていることを特徴とする。
また、本発明においては、印字器フレームに取付けた選択ホィールと印字圧受けユニットとの間に設けるとともに、外周面に複数の印字文字を有する複数列の印字用エンドレスバンドと、前記選択ホイールを操作する操作軸と、この操作軸に設けられるとともに、前記操作軸の軸方向への移動により移動可能であるスライド支持部と、このスライド支持部を前記操作軸の軸方向に移動可能に保持するガイド支持部と、前記印字用エンドレスバンドの内周面において、上記選択ホイールに係合可能に形成した駆動用突起部と、この駆動用突起部と係合する印字圧受けユニットと、を有し、上記印字用エンドレスバンドの前記印字文字を印字位置に容易に位置決めできるよう、上記印字圧受けユニットを配置することができる上記印字器フレームを有することを特徴とする。
また本発明においては、上記印字器フレームは、上記印字圧受けユニットを保持するための第一および第二の開口保持部と、上記印字圧受けユニットに設けられるとともに、上記印字器フレームに前記印字受けユニットの位置決めをすることができる突耳部を保持するため、この第一および第二の開口保持部内に第一および第二の穿孔受け部と、を有することを特徴とする。
また本発明においては、上記印字器フレームの有する第一および第二の開口保持部に上記印字圧受けユニットを取付け可能とするとともに、上記第一および第二の開口保持部のすくなくともどちらか一方には組み違い防止用溝を、上記印字圧受けユニットの側端部のすくなくとも一方には組み違い防止用溝に係合する突起部を、互いにそれぞれ形成したことを特徴とする。
また本発明においては、上記印字器フレームの有する第一および第二の穿孔受け部に前記印字圧受けユニットの前記突耳部を取付け可能とするとともに、前記第一および第二の穿孔受け部のすくなくともどちらか一方には組み違い防止用の傾斜面を形成し、上記印字圧受けユニットの突耳部のすくなくとも一方には、前記第一および第二の穿孔受け部のどちらか一方に係合可能に勘合する傾斜を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上に述べたように、本発明に係る印字器における印字選択装置によれば、案内部とスライド支持部のいずれか一方には複数の選択溝が形成されており、この選択溝に係脱可能な係合をなす前記駆動ピンが配置されることにより、操作軸自体の径を一定にでき、その強度を強くすることが出来る。また、前記スライド支持部に複数形成された選択溝に断続的に係合する弾性アーム部が前記ガイド支持部に配置されてなる選択溝を設けることもできる。
さらには、前記選択ホイールの回転を固定的に保持するとともに、選択される選択ホイールのみを回転させる切欠きを形成する付属ロッドが形成される前記スライド支持部と、操作軸に沿った選択手段と、が相対的に作用するとともに、操作軸の近傍に組合せて設けられた構成であるため、選択溝と、スライド支持部と、がともに選択ホイールの近傍に一体的に設けてあり、操作軸の操作にただちに伝達されるため、操作感覚に適切な手ごたえを得ることを可能としたものである。しかも、選択溝および前記インジケーターがともに操作軸に着脱可能に設けられているので、部品点数を少なくでき、組立て時の作業性も良好である。また、印字器の小型化ならびに軽量化を実現できる。
さらには、印字器フレームに形成される開口保持部は、印字圧受けユニットを保持するよう穿孔受け部と、組み違い防止用溝を有しており、印字圧受けユニットはこの穿孔受け部に係合する突耳部を有しており、かつ組違い防止用溝に係合する突起部を有しているので、組み付け時に方向がわかりやすいとともに、組み付けの際の間違いをなくし、組み付けが簡単で、組み付け時の作業効率を高めることができる。
さらには、印字圧受けユニットにおいて、印字用エンドレスバンドの駆動用突起部と係合するよう、節度コマそれぞれの有する突起係合溝の一端に規制壁部を設けたので、印字用エンドレスバンドの回転の際に、印字用エンドレスバンドが幅方向の変移して片寄りや蛇行が発生するのを抑止できるので、印字文字の正確な位置決めが可能となる。さらに、印字用エンドレスバンドの片寄りや蛇行を、印字用エンドレスバンドのライフタイムの低下を招くことなく、長期にわたり容易に防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態による印字選択装置2を備えた印字器1について図1乃至図6にもとづいて説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態に係る印字選択装置2を備えた印字器1の分解斜視図、図2は印字器1の断面図、図3は、図2のIII−III線断面図であって、印字器1は、印字選択装置2と、この印字選択装置2を保持する印字器フレーム3と、を有している。印字器フレーム3は、第一の第一の印字器フレーム3Aと、第二の第二の印字器フレーム3Bと、により形成され、印字選択装置2を保持しており、この印字選択装置2は、印字選択用の操作ユニット14と、複数列の選択ホイール47と、印字圧受けユニット34と、複数列の印字用エンドレスバンド52と、を有する。なお、印字器1は一段式の印字器であるが、印字選択装置2自体は必要に応じて、特に図示はしていないが、トップ印字器部(第一段印字器部)およびボトム印字器部(第二段印字器部)を有する二段式の構成、その他の多段式印字器の構成のものにも採用可能である。
【0011】
第二の印字器フレーム3Bは、その上部に見出し窓部13を有し、第一の印字器フレーム3Aと一体になり、その下部にインキローラー(R)に接しインクが塗布されるためのインキローラー対向開口部4をそれぞれ形成してある(図2参照)。このインキローラー対向開口部4において、印字用エンドレスバンド52に接触可能に、単一の(あるいは二色式の場合にはそれぞれ色が異なる独立の)インキローラー(R)が転動する。
【0012】
第一と第二の印字器フレーム3A、3Bには、図1に示す通り、その下方に印字圧受けユニット34を保持する断面長方形状の第一と第二の開口保持部5A、5Bと、この開口保持部5A,5B内には穿孔受け部5a、5bが設けられている。この開口保持部5A、5Bの上方には、印字選択用の操作ユニット14を支持する断面環状の開口受け部6と、この開口受け部6の下方位置に断面凸状のガイド用開口部7と、が形成されている。
また、第二の印字器フレーム3B側のガイド用開口部7には、第二の印字器フレーム3Bより延出したガイド支持部8が着脱自在に形成されている(図2参照)。なお、ガイド支持部8は、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bのいずれかに一体形成されてもよい。
また第一と第二の印字器フレーム3A、3Bには、その強度を高めるため、隆起した平坦面より成るリブ9が一体成型されている。
【0013】
図2に示す通り、複数の選択ホイール47は、その内周には後述する操作部15の操作シャフト16に突出係着される駆動ピン18と係合する内周係合溝50が形成されており、その外周には後述するスライド支持部26(図3参照)の移動を確保するとともに、後述の所定列の印字用エンドレスバンド53(図3参照)のみの回転を確保する外周係合溝51が形成されている。
【0014】
また、図2および図3に示すように、複数の選択ホイール47と後述する印字圧受けユニット34のそれぞれの節度コマ35との間には、所定の張力をもって印字用エンドレスバンド52を張りわたしてある。
印字用エンドレスバンド52には、特に図示してはいないが、その外周面に互いに所定間隔をあけて、かつバンド基準面に互いに同じ高さで所定数の印字文字および見出し文字を、それぞれの領域に分けて形成してあるとともに、印字用エンドレスバンド52の内周面において、前記印字文字および前記見出し文字に対応する部分には、選択ホイール47の外周面に設けられている外周係合溝51にそれぞれ係合可能な駆動用突起部55をバンド基準裏面に同じ高さで形成している。
【0015】
この駆動用突起部55が、選択ホイール47の外周係合溝51に係合し、選択ホイール47の回転により、任意の印字文字(図示せず)をインキローラー対向開口部4に移動可能とする。ただし、この印字用エンドレスバンド52は、図3に示す通り、操作部15の軸線方向に複数列に配置されており、後述するように、移動可能とする所定列の印字用エンドレスバンド53だけを回転可能とする
【0016】
次に、図4は、印字器の分解図、図5は、操作ユニット14近傍の分解斜視図であって、操作ユニット14は、操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部8と、案内部19と、を有する。
【0017】
操作部15は、操作シャフト16と、この操作シャフト16に着脱可能に設けられた操作用のつまみ部17と、を有する。操作シャフト16の一部には、駆動ピン18が設けられており、複数の選択ホィール47のいずれか所定の選択ホイール48(図3参照)の内周係合溝50と係合し、この選択ホィール48を回転する。
また、操作シャフト16の外周面は、その軸線方向に沿って、案内部19(図3)に覆われている。
【0018】
次に、スライド支持部26は、操作シャフト16に平行に配置されたインジケーター27と、付属ロッド29と、が操作部15と一体に移動可能に形成されている。なお、前記スライド支持部26は、これを操作シャフト16に一体形成してもよい。
【0019】
インジケーター27には、印字用エンドレスバンド53に形成された複数の印字文字のうち所望の印字文字(特に図示せず)を選択していることを指し示す指針28(図5参照)が設けられている。付属ロッド29は、その断面が略十字形状(図5参照)をなし、断面十字形状の上方に位置する規制バー30と、断面十字形状の下方に位置するガイドバー32と、断面十字形状の左右両端に位置する支持バー33、33と、を有する。
【0020】
規制バー30は、選択ホィール47の外周係合溝51に係合することで、選択ホイール47の回転を規制する。また、規制バー30には、駆動ピン18およびインジケーター27の指針28に対応する位置に切欠31が設けられており、この切欠31に位置する所定の選択ホイール48のみを回転可能としている。
したがって、規制バー30は、印字用エンドレスバンド52のそれぞれに対応して配置される選択ホイール47に係合することで、切欠31に位置する所定の選択ホイール48が回転することにより、所定列の印字用エンドレスバンド53は回転移動を成し、この印字用エンドレスバンド53に隣接する他の印字用エンドレスバンド54の回転は規制される。ガイドバー32は、ガイド支持部8に形成された後述のガイド用溝11の溝方向に、支持バー33、33はガイド支持部8に設けられた後述のスライド面12をそれぞれ摺動する。
【0021】
駆動ピン18は、操作部15の操作シャフト16に設けられ、操作部15と一体に移動および回転し、案内部19に設けられた後述するスリット20を形成する複数列の広隙部22を介し、所定の選択ホイール48の内周係合溝50(図3)に係合可能となっている。
【0022】
ガイド支持部8には、繋ぎ部10と、それを囲む両壁により形成されるガイド用溝11と、がその長手方向に設けられており、このガイド用溝11は、第二の印字器フレーム3Bのガイド用開口部7に亘り延設されているとともに、第一の印字器フレーム3Aのガイド用開口部7に連接可能としている。
なお、ガイド支持部8の両壁には、略平坦なスライド面12が設けられており、付属ロッド29の支持バー33が摺動する。
【0023】
案内部19は、操作部15の一定径の操作シャフト16を支持可能に筒状に形成されるとともに、印字器フレーム3に対を成し設けられた開口受け部6(図1参照)に挟持される。案内部19には、操作シャフト16の軸線方向に沿ってスリット20が設けられている。
【0024】
次に、図6は、案内部19をスリット20の方向からみた平面図であって、スリット20には、略V字形状を成す選択溝21がその軸線方向に等間隔に複数形成されるとともに、この選択溝21が対を成し形成されてなる複数の広隙部22が、操作部15の軸線方向に沿って等間隔に配列されている。
この軸線方向に沿い配列される広隙部22と広隙部22の間には狭隙部23が形成され、この狭隙部23と広隙部22と、は交互に配列されている。
【0025】
この筒状の案内部19は、操作部15の操作シャフト16の外周面を、その軸線方向に沿って覆い、広隙部22と、駆動ピン18と、が、係脱可能に係合することにより、操作部15ならびにスライド支持部26とを任意のセット(割出し)位置に移動可能に保持してある。
【0026】
こうして、操作ユニット14により、操作部15をその軸方向に移動させ、所定の印字用エンドレスバンド53の位置に、操作部15に突出係着された駆動ピン18を位置させる節度を持った割り出しを可能とする。そして、割出した所定の選択ホイール48を回転させることにより、所定列の印字用エンドレスバンド53に設けられる所望の印字文字を選択することができる。
【0027】
そして、とくに図2ないし図5に示すように、複数配列される印字用エンドレスバンド52のそれぞれに応じて配置されている複数列の選択ホイール47の外周係合溝51には、印字用エンドレスバンド52の駆動用突起部55が係合するとともに、スライド支持部26の有する付属ロッド29の規制バー30が係合することで、選択ホイール47の回転を規制する。
【0028】
こうして、操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部8と、案内部19と、を有する操作ユニット14により、操作部15を操作して選択した所定列の印字用エンドレスバンド53の位置に、駆動ピン18を位置させる節度をもった割出しを可能とするとともに、所定列の印字用エンドレスバンド53が回転しても、隣接する他の印字用エンドレスバンド54の共回りを防止することが可能であり、所定列の印字用エンドレスバンド53のより確実な回転を保証することができる。
【0029】
次に、図1ないし図4に示すように、印字圧受けユニット34は、ストッパー受け部41と、節度コマ受け部39と、複数の節度コマ35と、スプリング44と、回転軸37と、を有する。
ストッパー受け部41には、図1に示す通り、その左右両端より略垂下延出するアーム部42(図1)が対称的に設けられてなる側端部42Aと側端部42Bとを形成しており、その左右両端に突耳部43を形成する。ストッパー受け部41と節度コマ受け部39と、の間にはスプリング44が配置されている。前記側端部42A、42Bには、節度コマ受け部39をガイドするためのガイド用長窓46(図1)と、後述する節度コマ35を軸支する後述の回転軸37を支持するための軸孔部45とが、それぞれ向かい合う位置に形成されてある。
【0030】
節度コマ受け部39には、その両端に突縁部40(図1ないし図3)が設けられているとともに、この突縁部40をストッパー受け部41の側端部42A、42Bにそれぞれに形成されるガイド用長窓46に嵌合する。突縁部40とガイド用長窓46との間には間隙(特に図示せず)が設けられており、突縁部40は、後述する節度コマの回転により、ガイド用長窓46の間隙範囲内での節度コマ受け部39の摺動可能な移動および復帰移動を可能としている。
【0031】
回転軸37は、ストッパー受け部41のそれぞれの側端部42A,42Bの軸孔部45(図1)に着脱可能に係合しているとともに、複数配列される節度コマ35を軸支している。
【0032】
節度コマ35は、回転軸37上に、回転軸37を中心として正逆任意の方向に回転可能である複数の所定列の節度コマ36を形成してある。この節度コマ36の断面は正方形状(図2参照)であり、その四辺のそれぞれの一辺には、突起係合溝38を所定列の節度コマ36の厚み方向に亘り形成してある。
この突起係合溝38には、印字用エンドレスバンド52の内周に設けられた駆動用突起部55と係合する。
【0033】
スプリング48は、節度コマ受け部39とストッパー受け部41の間に配設されており、節度コマ受け部39を節度コマ35の方向に付勢可能である。
【0034】
節度コマ35には、節度コマ受け部39が当接しているので、節度コマ35の回転に伴い、節度コマ36は、節度コマ受け部39とストッパー受け部41との間に設けられているスプリング44の付勢力に抗して、節度コマ受け部39をストッパー受け部41の方向に移動する。節度コマ受け部39は、節度コマ36の断面形状(図2参照)に沿って案内され、図3に示す所定の姿勢から略相対的に偏移するとともに、スプリングの付勢力に応じて元位置に復帰するので、所定列の節度コマ36の節度をもった回転を可能としている。
【0035】
こうして、印字圧受けユニット34は、節度コマ35に当節する節度コマ受け部39と、この節度コマ受け部39に当接するストッパー受け部41と、このストッパー受け部41と節度コマ受け部39の間に、スプリング44を配設した一体構成をなす。
【0036】
さらに、印字圧受けユニット34は、ストッパー受け部41の左右両端に形設する側端部42A、42Bを、印字器フレーム3の下方に対向形成する開口保持部5A,5B(図1)にて挟持し、複数列の節度コマ35をインキローラー対向開口部4(図2)の中央に位置する印字位置ないし所定の印字圧受け位置に容易にセット可能とし、節度コマ35が印字圧を受けることができるようにしている。
【0037】
こうした印字選択用の操作ユニット14と、複数列の選択ホイール47と、印字圧受けユニット34と、複数列の印字用エンドレスバンド52と、から成る印字選択装置2において、通常の印字選択状態では、図3に示すように、操作部15をその軸方向に移動させることにより任意の列を割出し、割出した列において、操作部15を正逆任意の方向に回転させれば、所定の選択ホイール48が所定列の印字用エンドレスバンド53を回転させるとともに、印字用エンドレスバンド53の回転に応じて節度コマ36が回転し、この印字用エンドレスバンド53の所望の見出し文字(特に図示せず)を見出し窓部13の案内で見える位置で停止させる。
【0038】
より具体的には、図2および図3で示すとおり、操作部15の操作シャフト16は、筒状の案内部19の内周にて保持され、この案内部19のスリット20に設けられる選択溝21が、操作シャフト16の駆動ピン18を受ける。すなわち、選択溝21が形成する広隙部22は、選択ホイール48の配列間隔に対応する間隔で設けられており、そのいずれか一つの広隙部24で駆動ピン18を係合可能に保持する。
操作部15はその軸方向に移動可能であり、駆動ピン18は、この操作部15の移動に応じて、スリット20を形成する広隙部22と狭隙部23(図6参照)を順次断続的に軸方向へ移動してゆく。なお、この移動状態において、案内部19は弾性変形する。
【0039】
すなわち、スリット20に設けられる狭隙部23は、操作部15のその軸方向への移動に応じ、この操作部15の有する駆動ピン18と摺動可能に係合する。この係合状態において、駆動ピン18は、案内部19の弾性力に抗し、案内部19を外方へ拡げるとともに、駆動ピン18が狭隙部23を通過したときには、この弾性力により復帰を可能とする。
【0040】
たとえば、図3に示すように、操作部15の駆動ピン18と選択ホイール48とが係合する選択位置において、操作部15を、所定の選択ホイール48に隣接する他の選択ホイール49と係合する位置に移動する。特に図6に示すように、操作部15の有する駆動ピン18は、広隙部24から広隙部25に移動する。そして駆動ピン18は、広隙部24と次の選択位置である広隙部25の間に形成される狭隙部23に摺動可能に係合することにより、スリット20の内向きに作用する案内部19の弾性力に勝る作用により、特に図示してはいないが、スリット20は外方に拡がり案内部19は弾性変形する。そして、駆動ピン18は広隙部24に隣接する選択位置である広隙部25に挿嵌されるとともに、スリット20の内向きに作用する案内部19の弾性力により復帰することで、選択位置である広隙部25にて保持される。
【0041】
図3ないし図6に示すように、操作部15が有する駆動ピン18は、スライド支持部26のインジケーター27内に形成される指針28(図5)を通し、操作部15をその軸方向へ移動操作することによって、広隙部22(図6)に固定的に保持されながら、選択ホイール47のいずれか一つの選択ホイール48を割出す位置に断続的に移動する。
【0042】
したがって、操作部15は、複数列の選択ホイール47に対し、駆動ピン18が係合する選択ホイール48の選択(割出し)位置に、操作部15の駆動ピン18を保持可能にセットすることが可能である。
【0043】
このセット状態において、選択ホイール48は、規制バー30の切欠31の位置に配置されている。そして、選択ホイール48に隣接する他の選択ホイール49においては、その外周に設けられている外周係合溝51(図5)に、規制バー30(図5)が係合しているので、所定の選択ホイール48を回転させても、他の選択ホイール49の移動回転が規制される。
【0044】
すなわち、図2および図3に示すように、操作部15を回転させる外力が、選択ホイール48の回転により、選択ホイール49に間接的または作用的に働いても、付属ロッド29の有するガイドバー32が、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bのいずれかより延出するガイド支持部8のガイド用溝11に係合しており、付属ロッド29の有する支持バー33が、ガイド支持部8のスライド面12に当接しているので、選択ホイール49の操作部15の軸心周りの回転を規制可能に保持する。
【0045】
したがって、操作部15のつまみ部17を回転操作し、操作シャフト16の駆動ピン18を介し選択ホイール48を回転させても、選択ホイール49は回転することはない。けだし、ガイド用溝11に係合する支持バー33と、ガイド支持部8のスライド面12に係合するガイドバー32と、により保持される規制バー30(図2)は、選択ホイール47の外周面に設けられる外周係合溝51と係合しているので、規制バー30に設けられる切欠31(図3)に位置する選択ホイール48(図3)の回転時に、選択ホイール49の回転は阻止されている状態となる。したがって、選択ホイール49の外周係合溝に規制バー30が係合し、選択ホイール48の回転とともに、共回りしてしまうことは防止可能とされるので、選択操作されている印字用エンドレスバンド53に隣接する印字用エンドレスバンド54が回転移動することはない。
【0046】
しかして、操作部15をその軸方向に移動させることで、操作部15の駆動ピン18は、選択(割出し)した所定列において、スリット20の広隙部22が固定的に保持するとともに、選択ホイール48の内周に設けられる内周係合溝50に突出係合する。次に、操作部15のつまみ部17を回転させ、操作部15の回転駆動を、選択ホイール48に伝達することで、この選択ホイール48に係合する印字用エンドレスバンド53が回転する。
【0047】
そして、印字用エンドレスバンド53の回転に合わせ、印字圧受けユニット34の節度コマ36がスプリング44の付勢力により、節度をもった回転をする。
【0048】
こうして、本発明の印字器に係る印字選択装置2によれば、駆動ピン18が、案内部19の選択溝21と摺動可能に断続的な係合をするため、操作シャフト16の軸方向への移動における割出し節度を実現できるとともに、操作シャフト16のシャフト径を変形させることなく一定にし、その強度を強くすることができ、操作部15を操作すると、操作シャフト16に生じるねじれや摩擦等に対する操作シャフト16自体の耐久性を増すことも実現できる。
また選択ホイール47の外周係合溝51とスライド支持部26の付属ロッド29と、が相互に関連する位置に配置してあり、付属ロッド29の規制バー30は外周係合溝51に係合し選択ホイール47を保持するとともに、駆動ピン18と係合する所定の選択ホイール48の位置には切欠きを形成しているため、操作部15のつまみ部17が回転すると、所定の選択ホイール48のみが回転し、この所定の選択ホイール48と隣合う他の選択ホイール49の共周りすることを確実に防止できるため、所定列の印字用エンドレスバンド53の適正な回転を保障している。
また、操作ユニット14の有する操作部15と、操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部8と、案内部19と、が選択ホイール47に関連し、その近傍に配置してあるため、操作部15の操作がただちに伝達されるため、操作感覚に適切な手ごたえを得ることが可能であり、操作感覚として手ごたえが確かな割出し操作を実現する。さらに、選択溝21およびスライド支持部26がともに操作部15に着脱可能に一体的に設けられているので、組立て時の作業性も良好であるとともに、部品点数を少なくでき、印字器の小型化ならびに軽量化を実現できる。
【0049】
なお、操作ユニット14の操作により、所定の選択ホイール48を反対側(反時計方向)に回転させても、上述と同様の作用により所定列の印字用エンドレスバンド53に設けられる印字文字(特に図示せず)を選択する操作を行うことができる。
【0050】
次に、図7は、本発明の第二の実施の形態に係わる印字選択装置101を備えた印字器
100の分解図、図8は、印字器100の操作ユニット102近傍を示す分解斜視図であ
って、以下、図1ないし図6と同様の部分には同一の符号を付し、その詳述はこれを省略
して説明する。
印字器100における印字選択装置101の有する操作ユニット102は、操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部120と、案内部103と、を有する。なお図7または図8では、本発明の第一の実施の形態に係る印字選択装置2の有する操作ユニット14の構成とは異なる他の構成の操作ユニット14を採用することができる。
【0051】
図8に示すように、スライド支持部26は、インジケーター27と、付属ロッド106と、が一体に形成されてなる。付属ロッド106においては、規制バー107と、ガイドバー108と、支持バー109と、から形成されてなる。ガイドバー108は、印字器フレーム3(3A,3B)に着脱自在に設けられるガイド支持部120に設けられるガイド用溝11に係合可能に配置される。
なお、ガイド支持部120は、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bの一方より延出するよう着脱自在に設けられてなるものではあるが、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bより延出するよう一体形成されてもよい。
【0052】
ガイド支持部120には、繋ぎ部10と、それを囲む両壁により形成されるガイド用溝11が設けられている。なお、ガイド支持部120においては、図8に示す通り、その両壁には、略平坦なスライド面12を有しているとともに、その一方には、弾性移動可能な弾性アーム部121が形成されている。この該弾性アーム部121の先端には係止突部122が形成されている。
【0053】
図7及び図8に示すように、操作部15は、軸方向に延出した操作シャフト16と、操作用のつまみ部17と、から成り、その操作部15を、軸方向に移動させることにより任意に選択された所定の選択ホイール48を割り出し、割り出した所定の選択ホイール48を回転させることにより、その所定の印字用エンドレスバンド53内の特定の印字文字(図示せず)を選択するもので、スライド支持部26を着脱可能に取り付けてあるとともに、操作部15の操作シャフト16の一部には駆動ピン18を突出係着してある。この駆動ピン18は、操作シャフト16を覆うよう備えられる案内部103のスリット104を介し、選択ホイール47の内周係合溝50に係合可能となっている。
【0054】
また、スライド支持部26に一体形成され、スライド支持部26および操作部15に対し平行に配置されてなる断面略十字形状の付属ロッド106においては、操作部15の軸方向には操作部15と一体に移動し、回転方向はフリーであって、その断面外向き四方に突出する部位の長手方向の一部には切欠31が形成される規制バー107と、その対設する方向の部位には、印字器フレーム3より延出するガイド用支持部8のガイド用溝11に、その溝方向にスライド可能に係合するガイドバー108と、ガイド用支持部8の両壁に設けられるスライド面12に亘り、その下面が係合する2つの支持バー109と、から形成されてなる。この支持バー109の一方には、ガイド用支持部8に設けられた弾性アーム部121と係合する複数の選択溝123が等間隔で配列されるとともに、一体的に設けられている。
【0055】
こうした構成の印字器100における印字選択装置101において、通常の印字選択状態では、操作部15をその軸方向に移動させることにより所定列の印字用エンドレスバンド53を割り出し、その列においてこれを正逆任意の方向に回転させれば、所定の選択ホイール48が所定列の印字用エンドレスバンド53を回転させる。
【0056】
具体的には、図8に示すように、支持バー109に設けられる複数の選択溝123は、選択ホイール47のそれぞれの配列間隔に対応する間隔で設けられており、ガイド支持部120の両壁の一方に設けられ、弾性変形する弾性アーム部121の先端に形成された係止突部122に係合する。さらに、選択溝123は、操作部15をその軸方向に移動するのに応じて、弾性アーム部121の先端の係止突部122と着脱自在に係合し、順次断続的に軸方向へ移動してゆく。
【0057】
すなわち、等間隔で配列される選択溝123は、操作部15の軸方向への移動に応じて移動するとともに、ガイド支持部120に設けられる弾性アーム部121の先端に形成される係止突部122との係合が外れる。係止突部122は、選択溝123の形状に沿いながら移動をするので、特に図示していないが、所定姿勢を保持した状態にある弾性アーム部121を、選択溝123から離反する方向に弾性変形させるとともに、操作部15の移動方向にある選択溝123と係止突部122が係合することで、弾性アーム部121を元の所定姿勢に復帰可能とする。
【0058】
したがって、操作部15の操作シャフト16が有する駆動ピン18は、インジケーター27の指針28を通し、スリット104にガイドされながら、操作部15をその軸方向へ移動操作する。そして、駆動ピン18は、支持バー109の選択溝123と、係止突部122と、の係脱可能な係合により間接的に保持されるとともに、スリット104に案内されながら、選択ホイール47のいずれかの選択ホイール48を割出す位置に断続的に移動することができる。したがって、操作部15は、駆動ピン18を、選択ホイール48の割出し位置に、保持可能にセットすることができる。
【0059】
なお、選択ホイール48においては、駆動ピン18が係合するとともに、付属ロッド106の有する規制バー107に形成されている切欠31の位置が対応しているので回転可能である。また、この回転状態において、選択ホイール49は、その外周に設けられている外周係合溝51に、付属ロッド106の規制バー107が係合しており、その回転移動が規制される。
【0060】
以上述べたように、操作ユニット102を有する印字選択装置101においても、操作ユニット102の有するガイド支持部120の弾性アーム部121と、スライド支持部26の支持バーと、を近接して配置し、弾性アーム部121の係止突部122が、支持バー109の選択溝123と係脱可能に係合するため、操作シャフト16の径を変形させることなく一定にすることができ、その強度を強くすることができるとともに、操作シャフト6に生じるねじれや摩擦等に対する耐久性の改善や向上を実現できる。
さらに、選択ホイール47の外周係合溝51とスライド支持部26の付属ロッド106と、が相互に関連する位置に配置してあり、付属ロッド106の規制バー107は、選択ホイール49の外周係合溝51と係合しているので、操作部15を回転させても、所定の選択ホイール48に隣接する他の選択ホイール49の回転は規制されるので、所定の選択ホイール48に支持される所定の印字用エンドレスバンド53に隣接する印字用エンドレスバンド54が共回りすることを確実に防止でき、所定列の印字用エンドレスバンド53の適正な回転を保障している。
さらに、操作ユニット102の有する操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部120と、案内部103と、が選択ホイール47に直接的に及び間接的に、または作用的に、も関連し、その近傍に配置してあるため、操作部15の操作がただちに伝達されるため、操作感覚に適切な手ごたえを得ることが可能であり、操作感覚として手ごたえが確かな割出し操作を実現する。さらに、選択溝123およびスライド支持部26がともに操作部15に着脱可能に一体的に設けられているので、組立て時の作業性も良好であるとともに、部品点数を少なくでき、印字器の小型化ならびに軽量化を実現できる。
【0061】
次に、図9は、本発明の第三の実施の形態に係わる印字選択装置201を備えた印字器200の分解図、図10は、図9のX−X線の断面図であって、以下、図1ないし図6と同様の部分には同一の符号を付し、その詳述はこれを省略して説明する。
図9に示す通り、印字器200は、印字選択装置201と、この印字選択装置201を保持する左右一対の印字器フレーム3(3A、3B)と、を有している。
印字選択装置2は、図10に示す通り、印字選択用の操作ユニット202と、複数列の選択ホイール47と、印字圧受けユニット34と、複数列の印字用エンドレスバンド52と、を有する。なお、図9および図10に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る印字器200の印字選択装置201では、選択ホール47の回転に節度を持たせ、印字用エンドエスバンドの回転を保持する機能を実現する操作ユニット202を有する。
【0062】
図10に示すように、操作ユニット202は、操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部206と、案内部19と、を有する。ガイド支持部206は、印字器フレーム3(図9参照)に着脱可能に設けられており、その長手方向にわたりガイド用溝207と、係合溝208と、が形成されている。この係合溝208には、位置決め部材212が収容可能である。
この位置決め部材212は、樹脂で構成される凸部213と、弾性体217と、ベース216と、により構成されている。
【0063】
係合溝208は、その断面は十字形状であり、その一端は選択ホイール47の方向に開放された開放端211となし、凸部213をガイドする領域であるとともに、凸部213が係合する当節部209を有するストローク溝210が、その軸方向に貫通するよう形成してなる。
【0064】
凸部213は、その内周は空間をなしており、滑脱面214と、その両端より延出するツバ215と、を有している。
ベース216(図9)は、すくなくとも二つの面を有する形状であり、そのいずれかの面から突出するように弾性体217が設けられている。
凸部213は、特に図示していないが、弾性体217を、凸部213の、その内周の空間に収めるとともに、ベース216と組み合わされた状態で、係合溝208に挿入される。この挿入された状態にて、凸部213の滑脱面214は、係合溝208の開放より突出した状態にて配置される。
なお、滑脱面214は、図10に示すとおり、便宜上その断面が半円形の彎曲であることが好ましいが、この形状に限定される必要はない。
【0065】
図10に示すように、凸部213は、ツバ215が形成され、弾性体217を有するベース216とともに、ガイド支持部8の係合溝208に挿入される。そして、係合溝208に形成されるストローク溝210に、凸部213のツバ215が配置され、ストローク溝210の当節部209と、凸部213のツバ215と、が係合することで、弾性体217が凸部213を開放方向へ弾性付勢する弾性力に抗する作用により、凸部213とベース216を、係合溝208に嵌挿・固定する。
この固定状態において、凸部213の有する滑脱面214は、選択ホイール47の外周に形成された外周係合溝51に係合している。
【0066】
次に、ガイド用溝207においては、操作部15の付属ロッド203が収容されている。付属ロッド203には、ガイド用溝207に収容されるガイドバー205と、規制バー204とから形成されてなる。
規制バー204は、選択ホイール47の方向へガイド用溝207から突出しており、選択ホイール47の外周に形成された外周係合溝51に係合可能である。そして規制バー204の長手方向の一部には、切欠31(図9参照)が形成されてある。
【0067】
なお、規制バー204の切欠31(図9)は、操作部15の有する駆動ピン18と、スライド指示部26のインジケーター27に形成される指針28に対応する位置に設けてある。
【0068】
選択ホイール47は、その内周には内周係合溝50が形成されてあるとともに、その外周には外周係合溝53が形成されてある。選択ホイール47の内周係合溝50は、操作部15に突出係着される駆動ピン18と係合可能である。また、選択ホイール47の外周係合溝51は、所定の印字用エンドレスバンド52の回転移動を可能とする。
【0069】
とくに、選択ホイール47と節度コマ35との間に、所定の張力をもって印字用エンドレスバンド52を張りわたしてある。印字用エンドレスバンド52の内周面には、選択ホイール47の外周係合溝51にそれぞれ係合可能な駆動用突起部55を形成してある。この駆動用突起部55は、選択ホイール47の外周係合溝51に係合し、選択ホイール47の回転により、印字用エンドレスバンド52を回転駆動させる。
そして、所定の印字文字(図示せず)をインキローラー対向開口部4に移動可能とする。
【0070】
また、選択ホイール47の外周係合溝51には、スライド支持部26が有する付属ロッド203に隆起する規制バー204が係合する。そして、規制バー204の切欠31の位置には、選択ホイール48が配置される。選択ホイール48に隣接する他の選択ホイール49は、その外周係合溝51に、付属ロッド203の規制バー204が係合することで、操作部15を回転操作し、駆動ピン18を介し選択ホイール48を回転させても、この選択ホイール48(図3)に隣接する選択ホイール49(図3)の回転移動が規制される。
【0071】
また、選択ホイール48の外周係合溝51には、ガイド支持部8の係合溝208に収容される凸部213の滑脱面214が係合してあるので、後述の通り、操作部15の回転操作の際に、節度をもって所定列の印字用エンドレスバンド53を回転可能としてある。
【0072】
すなわち、操作部15の有する駆動ピン18は、案内部19を介し、選択ホイール48の内周に設けられる内周係合溝50に突出係合する。そして操作部15が回転するときには、凸部213の滑脱面214は、選択ホイール48の外周係合溝51内を移動してゆく。
【0073】
より詳細には、弾性体217は、凸部213と、ベース216と、の間に配置されつつ係合溝208に収容されているとともに、凸部213を選択ホイール48方向に付勢している。凸部213の滑脱面214は、選択ホイール48の外周係合溝51に着脱可能に係合している状態である。この状態において、操作部15を操作し選択ホイール48が回転すると、滑脱面214は、選択ホイール48の回転により生じる弾性体217の付勢力に抗する作用により、選択ホイール48の外周係合溝51との係合が外れる。そして、着脱面223は選択ホイール48の外周形状に沿うように摺接するので、凸部213は上下に移動する。この移動状態において、凸部213の有するツバ215は、ストローク溝210の当節部209から離れるよう略相対的に変移するとともに、弾性体217の付勢に応じて当接部218に当接するよう復帰する。そして凸部213の着脱面222は、選択ホイール48の外周係合溝51に係合することになる。
【0074】
さらに、操作部15がその軸方向に移動するときには、駆動ピン18は、案内部19のスリッド20の選択溝21が対を成し形成する広隙部22(図6)に保持されながら、選択ホイール48を割出す位置に、断続的に移動することができる。駆動ピン18は、インジケーター27の指針28を通し、操作部15の操作シャフト16をその軸方向へ移動操作する。そして、駆動ピン18は、案内部19の選択溝21と、係脱可能な係合により断続的に保持されるとともに、選択ホイール47のいずれか所定の選択ホイール48を割出す位置に断続的に移動することができる。したがって、駆動ピン18は、選択する所定の選択ホイール48を割出すことができる。
【0075】
そして、選択ホイール47の外周係合溝51には、付属ロッド203に設けられる規制バー204と、凸部213の着脱面223が係合する。規制バー204は所定の選択ホイール48を除き、その所定の選択ホイールに隣接する他の選択ホイール49の外周に設けられている外周係合溝51に係合しており、選択ホイール48(図3)の回転の際には、他の選択ホイール49(図4)の回転を規制する。そして、凸部213の着脱面223は選択ホイール47の外周係合溝51に係合しており、凸部213は、弾性体217が上下に伸縮するのに応じて、選択ホイール48の外周係合溝51に、上下移動可能に係合するので、選択ホイール48は一定の規制のもと回転することになる。
【0076】
以上説明したように、操作ユニット202の有する駆動ピン18が、案内部19の選択溝21と係脱可能に係合し、操作シャフト16の軸方向への移動における割出し節度を実現するとともに、ガイド支持部206に、スライド支持部26の付属ロッド203と、凸部213および弾性体217とを近接して配置し、駆動ピン18と係合する所定の選択ホイール48の位置には、スライド支持部26の有する付属ロッド203の規制バー204に形成した切欠31が位置し、所定の選択ホイール48は回転可能であるとともに、凸部213が選択ホイール47の外周係合溝に係脱可能に係合するので、選択ホイール47を介し、割出しおよび回転保持機能は、操作シャフト16に間接的に作用するため、操作シャフト16の径を変形させることなく一定にすることができ、その強度を強くすることができるとともに、操作シャフト16に生じるねじれや摩擦等に対する耐久性の改善や向上を実現できる。
【0077】
さらに、選択ホイール47の外周係合溝51は、スライド支持部26の付属ロッド203と、凸部213と、が関連する位置に配置してあり、付属ロッド203の規制バー204は、選択ホイール49の外周係合溝51と係合するとともに、凸部213が選択ホイール47の外周係合溝に係脱可能に係合するので、操作部15を回転させても、所定の選択ホイール48に隣接する他の選択ホイール49の回転は規制され、かつ所定の選択ホイール48は節度を持った回転を実現できるので、所定の選択ホイール48に支持される所定の印字用エンドレスバンド53に隣接する印字用エンドレスバンド54が共回りすることを確実に防止でき、所定列の印字用エンドレスバンド53の印字文字を正確に位置決め可能な所定の選択ホイール48の適正な回転を実現する。
【0078】
さらに、操作ユニット14の有する操作部15と、スライド支持部26と、駆動ピン18と、ガイド支持部8と、案内部19と、が選択ホイール47に直接的に及び間接的に、または作用的に、も関連し、その近傍に配置してあるため、操作部15の操作がただちに伝達され、操作感覚に適切な手ごたえを得ることが可能であり、操作感覚として手ごたえが確かな割出し、回転操作を実現する。
さらに、ガイド支持部206に、スライド支持部26の付属ロッド203と、凸部213および弾性体217とを近接して配置してあり、選択溝21およびスライド支持部26がともに操作部15に着脱可能に一体的に設けられているとともに、ガイド支持部は印字器フレーム3(3A、3B)より着脱可能であるため、組立て時の作業性も良好であるとともに、部品点数を増やすことなく割出し、回転保持機能を実現でき、かつ印字器の小型化ならびに軽量化を実現できる。
【0079】
次に、図11および図12は、本発明における第4の実施の形態にかかわる印字器300における印字選択装置301が備える印字圧受けユニット34の変形例であり、たとえば、図11は印字圧受けユニット302の近傍の要部拡大斜視図を示し、図12は、印字受けユニット302、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bの接続側の端部側面示しており、以下、これらの図に基づき説明する。前述した図1乃至図6に示される印字器1と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本第4の実施例では、印字器1に基づき説明するものであるが、あくまでも一実施例であり、本発明における印字圧受けユニット302は、前記いずれの実施例の印字器1、(100、200)にも採用、組み込むことが出来るものである。
【0080】
図11に示すとおり、印字圧受けユニット302は、ストッパー受け部41と、節度コマ受け部39と、複数の節度コマ35と、スプリング44(図示しない)と、回転軸37と、を有している。
印字圧受けユニット302は、印字用エンドレスバンドの印字文字(図示しない)を、インクローラー対向開口部4の所定位置からズレないように配置するもので、印字圧受けユニット34は、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bのリブ9により形成した、対をなす開口保持部5A、5Bと、に嵌合する。また、印字圧受けユニット34の配置方向をきめるため、開口保持部5A側にあるストッパー受け部41の一方の側端部42Aには、その厚み方向に突出する第一突起部303Aを設け、開口保持部5B側にあるストッパー受け部41の他方の側端部42Bには、その厚み方向へ突出する第二突起部303Bを有している。第一突起部303Aと、第二突起部303Bと、の位置関係は、互いが略相対的に対をなす同一方向へ突出するよう設けられている。
【0081】
図12は、印字圧受けユニット302と、第一の印字器フレーム3Aと、第二の印字器フレーム3Bと、の接続側の端部側面を示した図である。図12(a)は、第一の印字器フレーム3Aを、図11に示す、矢印A方向に見た図である。図12(b)は、印字圧受けユニット302(ストッパー受け部41)の側端部42Aを矢印B方向に見た図である。図12(c)は、印字圧受けユニット302(ストッパー受け部41)の測端部42を矢印A方向に見た図である。図12(d)は、第二の印字器フレーム3Bを矢印B方向に見た図である。
【0082】
第一の印字器フレーム3Aと3Bは、印字圧受けユニット302の側端部42A、42Bを保持するため、第一の印字器フレーム3Aと3Bの各々のリブ9により形成される開口保持部5A、5Bと、この開口保持部5A、5B内に形成するとともに、ストッパー受け部41に形成される突耳部が嵌設する穿孔受け部5aと、5bと、が設けてある。
【0083】
開口保持部5Aは、印字圧受けユニット41の側端部42Aに勘合するよう、その外形は決められており、開口保持部5Bは、印字圧受けユニット302の側端部42Bに勘合するようその外形は決められている。また、開口保持部5Aには、印字圧受けユニット41の突起部303Aに対応する位置に、組違い防止用溝304Aが設けられ、開口保持部5Bには、突起部303Bに対応する位置に組違い防止用溝304Bが設けられている。そして、印字圧受けユニット41の側端部42Aが開口保持部5Aに嵌合するとともに、突起部303Aは組違い防止用溝304Aに嵌合する。また側端部42Bが開口保持部5Bに嵌合するとともに、突起部303Bは組違い防止用溝304Bに嵌合する。
【0084】
開口保持部5A、5Bは、第一と第二の印字器フレーム3A、3Bより隆起するリブ9により、その各々の輪郭を形成してあり、印字圧受けユニット302の側端部42A、42Bを覆うように挟持して保持するので、図11で示す通り、印字圧受けユニット41の図示矢印方向に対する前後方向へのズレを防止することを可能とする。さらに,開口保持部5A内の穿孔受け部5aと開口保持部5B内の穿孔受け部5bのそれぞれには、突耳部が嵌合するため、印字圧受けユニット34の図示矢印方向に対する縦方向へのズレを防止可能である。
【0085】
このように、開口保持部5A、5Bは印字圧受けユニット34の側端部42A、42Bを覆い、または保持するよう、2段階の機能的な組み付けを実現できるよう形成してあるので、たとえば、印字圧受けユニット41の側端部42Aは、開口保持部5Aに嵌合し、そして一方の突耳部43が穿孔受け部5aに嵌合すると、印字圧受けユニット34は開口保持部5Aに保持される状態になるため、印字圧受けユニット34の位置決めを容易に行え、印字圧受けユニットの組み付け作業を容易に行うことが可能となる。なお、開口保持部5A、5Bを形成するリブ9は第一と第二の印字器フレーム3A、3B自体を強固にする役割をも果たしている。
【0086】
図12に示すように、組違い防止用溝304Aと突起部303Aが嵌合し、組違い防止用溝304Bと突起部303Bとが嵌合するので、たとえ印字圧受けユニット302を逆さにして開口保持部5に嵌合しようとしても、図12(a)に示す開口保持部5Aのリブ9と、図12(b)に示す突起部303Bと、が干渉し、図12(c)に示す突起部303Aは、図12(d)に示す開口保持部5Bのリブ9に干渉する状態となるため、最後まで嵌り込むことができず、誤って印字圧受けユニット41を組み付けるようなことは生じない。
さらに、印字圧受けユニット41の突起部303Aが組違い防止用溝304Aに嵌合し、また突起部303Bが組違い防止用溝304Bに嵌合することができるよう、印字圧受けユニット41の側端部42A、42Bの外形を形成しているため、印字圧受けユニット41を第一の印字器フレーム3Aと3Bの有する開口保持部5A、5Bに組み付ける際には、印字圧受けユニットの組み付け方向を目視で確認できる役割をも果たしている。
【0087】
なお、本第4の実施の形態では、印字圧受けユニット302を挟持するに際し、2つの組違い防止用溝(304A、304B)が対向するよう略相対位置に対になるよう配置され、この組違い防止用溝304Aに嵌合する突起部303Aと、組違い防止用溝304Bに嵌合する突起部303Bと、の位置関係も、互いが略相対的に対をなす同一方向へ突出するよう形成されていることが示されているが、組違い防止用溝304A、304Bの位置関係は略相対的に対をなす位置ではなく、異なる位置関係であってもよく、同様に、突起部303Aと、303Bの位置関係も異なる位置関係でもよい。
【0088】
また、本実施例では、2つの突起部303A、303Bが、対応する組違い防止用溝304A、304Bに嵌合するので、組違い防止用の機能を果たしているが、2つに突起部に限らず、すくなくともどちらか一方に、例えば、突起部303Aと、組み違い防止用溝304Aと、だけを互いに勘合するよう設けるか、もしくは、図示していないが、新たに突起部と、組違い防止用溝と、を増設して、同様の機能を果たしてもよい。さらに、穿孔受け部5a、5bと、ストッパー受け部材41の突耳部43と、の形状により組みつけの際の組違い防止の機能を達成してもよく、例えば、図示していないが、開口保持部5内のすくなくとも一方の穿孔受け部5aに傾斜面を設け、この穿孔受け部に勘合するよう印字圧受けユニット34の有する、すくなくとも一方の突耳部43に傾斜面を設けるように形成
し、組違い防止を実現してもよい。
【0089】
次に、図13および図14は、本発明における第5の実施の形態にかかわる印字器400における印字選択装置401が有する節度コマ35の変形例であり、たとえば、図13は、図1に示す印字圧受けユニット34が備える節度コマ402の近傍の要部拡大断面図
あり、図14は、節度コマ402の概略斜視図を示しており、以下、これらの図に基づき説明する。前述した図1の構成と同様の構成は同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下実施の形態は印字器1に基づき説明するものであるが、あくまでも一実施例であり、本発明における節度コマ402は、前記いずれの実施例の印字器1、(100、200)における、いずれの印字圧受けユニット34、300にも採用、組み込むことが出来るものである。
【0090】
図13に示す通り、印字圧受けユニット34は、ストッパー受け部41のアーム部42に設けられるガイド用長窓46で節度コマ受け部39を保持し、アーム部42の軸孔部45に着脱可能に係合する回転軸37上で、節度コマ402を保持している。
節度コマ402は、印字圧受けユニット34のストッパー受け部41が有する左右両端より略垂下延出するアーム部42に挟持される回転軸37上に複数の所定列の節度コマ403により形成し、この回転軸37を中心として正逆任意の方向に回転可能である。この節度コマ403の四辺のそれぞれの一辺には、突起係合溝401を所定列の節度コマ403ごとの厚み方向に亘り形成してある。節度コマ403の突起係合溝404の一方端には、この突起係合溝404を隔離する規制壁部405が設けられている。この規制壁部405は、その各々が隣り合わせにならないよう配置してある。なお、節度コマ受け部39には、節度コマ402が当接するよう配置してある。
【0091】
節度コマ402と、選択ホイール47と、の間には所定の張力をもって印字用エンドレスバンド52が掛け渡してある。印字用エンドレスバンド52には、その外周面に互いに所定間隔をあけて、所定数の印字文字および見出し文字をそれぞれの領域に分けて形成してあるとともに、印字用エンドレスバンド52の内周面において、印字文字および見出し文字に対応する駆動用突起部55を形成している。この駆動用突起部55は、選択ホィール47の外周係合溝51と、節度コマ402の突起係合溝401と、に着脱可能に係合する。
この係合状態において、印字用エンドレスバンド52の駆動用突起部55は、各々の節度コマ403の突起係合溝404に係合するとともに、その突起係合溝404に形成する規制壁部405に当接可能な位置に配置される状態となる。
【0092】
こうして、操作部15を操作し、選択ホイール47のうち、いずれか所定の選択ホイール48の回転により、所定の印字用エンドレスバンド53が回転すると、この回転駆動は駆動用突起部55を介し、所定の節度コマ403に伝達され、節度コマ403も回転する。
【0093】
この回転状態においては、所定の印字用エンドレスバンド53は、所定の節度コマ403の幅方向の溝に沿いながら、節度コマ403の軸方向の一端側(つまり節度コマの幅方向)に片寄る作用が働き、所定の印字用エンドレスバンド53はその列方向への移動現象(ズレ)が生じるが、所定の印字用エンドレスバンドの駆動用突起部55は、節度コマ403の突起係合溝404に係合しているとともに、その規制壁部405に当接するので、保持される状態となり、所定の印字用エンドレスバンド53は一定の範囲でしか移動することができない状態になる。
【0094】
したがって、所定の印字用エンドレスバンド53が回転移動しても、その駆動用突起部55が、節度コマ403の各々が有する規制壁部405に当接するので、所定の印字用エンドレスバンド53の列方向への片寄りないしはズレを抑制することが可能である。けだし、所定の印字用エンドレスバンド53を回転駆動しているときに、所定の印字用エンドレスバンド53の片寄り、またはその列方向への移動が抑制されるため、所定の印字用エンドレスバンド53が蛇行することを抑制できるようになり、隣接する他の印字用エンドレスバンド54との擦過により、回転移動する印字用エンドレスバンド52が磨耗することを防止することができ、所定の印字用エンドレスバンド53の適正な回転を保証している。
【0095】
ゆえに、回転所望の所定の印字用エンドレスバンド53の位置に、操作部15に突出係着された駆動ピン18を位置させ、節度をもった割出しを可能とするとともに、回転所定列の印字用エンドレスバンド53の移動に伴い、隣接する他の印字用エンドレスバンド54の共回りを防止することも可能であり、かつ所定の印字用エンドレスバンドの列方向への片寄りないしはその列方向へのズレを抑制することが可能であるため、所定列の印字用エンドレスバンド53の、より確実な、かつ、より節度ある回転を保障することができるとともに、印字用エンドレスバンドのライフタイムを伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態に係る印字器1の分解斜視図、
【図2】同、印字器1の断面図である。
【図3】図2の印字器1のIII−III線断面図である。
【図4】印字器の分解図、図3の印字器1の分解図。
【図5】操作ユニット14近傍の分解斜視図
【図6】図5の案内部19をスリット20の方向からみた平面図
【図7】本発明の第二の実施の形態に係わる操作シャフト16を有する印字選択装置101を備えた印字器100の分解図、
【図8】同、印字器100の操作ユニット102の近傍を示す分解斜視図
【図9】本発明の第三の実施の形態に係わる印字選択装置201を備えた印字器200の分解図、
【図10】、同、印字器200のX−X線の断面図
【図11】本発明の第四の実施の形態に係わる印字器300における印字選択装置301がそなえる印字圧受けユニットの近傍の要部拡大斜視図
【図12】同、印字圧受けユニット302と第一と第二の印字器フレーム3A、3Bの接続側の端部側面
【図13】本発明における第5の実施の形態にかかわる印字器400における印字選択装置401が有する節度コマ35の近傍の要部拡大断面図
【図14】同、節度コマ402の概略斜視図
【符号の説明】
【0097】
1 印字器(図1ないし図6)
2 印字器1における印字選択装置(実施の形態、図1ないし図6)
3A 印字器フレーム
3B 印字器フレーム
4 インキローラー対向開口部
5A 開口保持部
5B 開口保持部
5a 穿孔受け部
5b 穿孔受け部
6 開口受け部
7 ガイド用開口部
8 ガイド支持部
9 リブ
10 ガイド支持部8の繋ぎ部
11 ガイド支持部8のガイド用溝
12 ガイド支持部8のスライド面
13 見出し窓部
14 操作ユニット
15 操作部
16 操作部15の操作シャフト
17 操作部15のつまみ部
18 駆動ピン
19 案内部
20 案内部19のスリット
21 選択溝
22 案内部19の広隙部
23 案内部19の狭隙部
24 駆動ピン18が位置する広隙部
25 広隙部24から次の選択位置である広隙部
26 スライド支持
27 インジケーター
28 インジケーター27の指針
29 スライド支持部26の付属ロッド
30 付属ロッド29の規制バー
31 付属ロッド29の切欠
32 付属ロッド29のガイドバー
33 付属ロッド29の支持バー
34 印字圧受けユニット
35 節度コマ(複数列)
36 所定の節度コマ
37 節度コマ35の回転軸
38 節度コマ35の突起係合溝
39 節度コマ受け部材
40 節度コマ受け部材39の突縁部
41 ストッパー受け部材
42 ストッパー受け部材41のアーム部
42A アーム部42より形成する側端部
42B アーム部42より形成する側端部
43 ストッパー受け部材41の突耳部
44 スプリング
45 軸孔部
46 ガイド用長窓
47 選択ホィール(複数列)
48 所定の選択ホイール
49 所定の選択ホイール48に隣接する他の選択ホイール
50 選択ホイール47の内周係合溝
51 選択ホイール47の外周係合溝
52 印字用エンドレスバンド(複数列)
53 所定列の印字用エンドレスバンド
54 印字用エンドレスバンド53に隣接する他の印字用エンドレスバンド
55 駆動用突起部
100 印字器(図7または図8)
101 印字選択装置(図7または図8)
102 操作ユニット
103 案内部
104 案内部103のスリット
106 付属ロッド
107 付属ロッド106の規制バー
108 付属ロッド106のガイドバー
109 付属ロッド106の支持バー
120 ガイド支持部
121 弾性アーム部
122 係止突部
123 選択溝
200 印字器(図9または図7)
201 印字選択装置(図9または図7)
202 操作ユニット
203 付属ロッド
203A 付属ロッド203を形成する規制バー
203B 付属ロッド203のガイドバー
204 ガイド支持部
205 同、ガイド用溝
206 係合溝
207 係合溝206を形成する当節部
208 係合溝206を形成するストローク溝
209 開放端
210 位置決め部材
211 凸部
212 凸部211の滑脱面
213 凸部211のツバ
214 ベース
215 弾性体
300 印字器(図11または図12)
301 印字選択装置(図11または図12)
302 印字圧受けユニット
301A 突起部
302B 突起部
302A 組違い防止用溝
302B 組違い防止用溝
400 印字器(図13または図14)
401 印字選択装置(図13または図14)
402 節度コマ
403 所定の節度コマ
404 溝
405 規制壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字器フレームに取付けた選択ホィールと印字圧受けユニットとの間に設けるとともに、外周面に複数の印字文字を有する複数列の印字用エンドレスバンドと、
前記選択ホイールを操作する操作軸と、
この操作軸に設けられるとともに、前記操作軸の軸方向への移動により移動可能であるスライド支持部と、このスライド指示部を前記操作軸の軸方向に移動可能に保持するガイド支持部と、
前記印字用エンドレスバンドの内周面において、前記選択ホイールに係合可能に形成した駆動用突起部と、この駆動用突起部と係合する印字圧受けユニットと、を有し、
前記印字用エンドレスバンドの前記印字文字を印字位置に容易に位置決めできるよう、前記印字圧受けユニットを配置することができる前記印字器フレームを有することを特徴とする印字器における印字選択装置。
【請求項2】
前記印字器フレームを形成する第一と第二の印字器フレームは、前記印字圧受けユニットの両端を保持するための第一および第二の開口保持部と、前記第一および前記第二の開口保持部内に設けられ、前記印字圧受けユニットに設けられる突耳部を保持し、前記印字器フレームに前記印字圧受けユニットの位置決め可能とする第一および第二の穿孔受け部と、を有することを特徴とする請求項1記載の印字器における印字選択装置。
【請求項3】
前記第一と第二の印字器フレームの有する第一および第二の開口保持部に前記印字圧受けユニットを取付け可能とするとともに、前記第一および第二の開口保持部のすくなくともどちらか一方には組み違い防止用溝を、前記印字圧受けユニットの側端部のすくなくとも一方には前記組み違い防止用溝に係合する突起部を、互いにそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の印字器における印字選択装置。
【請求項4】
前記第一と第二の印字器フレームの有する第一および第二の穿孔受け部に前記印字圧受けユニットの前記突耳部を取付け可能とするとともに、前記第一および第二の穿孔受け部のすくなくともどちらか一方には組み違い防止用の傾斜面を、前記印字圧受けユニットの突耳部のすくなくとも一方には、前記第一および第二の穿孔受け部のどちらか一方に係合する傾斜を、互いにそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印字器における印字選択装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−152800(P2011−152800A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98091(P2011−98091)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【分割の表示】特願2005−290660(P2005−290660)の分割
【原出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)