説明

印影データ管理装置

【目的】 印影データ管理装置に関し、長期間不使用の印影データを管理することを目的とする。
【構成】 印鑑照合装置に備える印影ファイル(30)に登録されている印影データを管理する印影データ管理装置であって、該印影データが照合された最終日付を記録する日付記録部(31)と、該最終日付からの経過期間と所定期間とを比較し、該経過期間が所定期間を超えているとき、該印影データに識別情報を付与する識別情報付与部(34)とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印影データ管理装置に関する。金融機関等では、取引時に押印された印影の正当性を確認するため、予め登録されている印影データと照合する印鑑照合装置が使用されている。
【0002】取引用の印鑑を登録するためには、その印鑑の印影と本人のサインとをイメージリーダで読み取ってファイルするが、これらはイメージデータであるため、ファイルとしてそれぞれ比較的大きな記憶領域が必要であり、登録数が多くなるに従い、さらに記憶容量の大きい外部記憶装置が必要となる。
【0003】このような外部記憶装置は一般に低速でありアクセスに時間がかかるため、高速のものを多数台設けるようにすればよいが装置が高価となる。このため、印鑑の使用頻度に応じて印影データを整理し、検索時間及びアクセス速度を改善する印影データ管理装置が求められている。
【0004】
【従来の技術】図6は従来例の構成図で、印鑑照合装置例を示したものである。例えば、預金口座, 証券取引口座等を開設する場合、口座番号が発行され、印鑑登録が行われる。この場合、登録すべき印鑑を捺印し、住所, 氏名等を手書きした登録用紙7を印影データ登録機5の備えるイメージリーダに読ませ、口座番号を入力する。これにより、登録用紙7のイメージデータ,口座番号は端末制御装置4を介してホスト1に送信され、印影ファイル3に口座番号対応で登録される。
【0005】なお、ホスト1は、顧客情報,残高等が記録されるマスタファイル2と印鑑照合装置とを関連させて管理している場合もあり、印鑑照合装置としてマスタファイル2より独立して管理している場合もある。
【0006】このようにして登録された印影データは、取引時に印影データ表示機6から口座番号を入力することにより検索され、その印影データが印影データ表示機6に表示される。これにより、目視によりその取引で捺印された印影と比較照合されて正当性が確認される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】印影ファイル3に登録される印影データが多くなるに従い、大規模記憶装置が必要となり、一般にアクセス速度が低下する。
【0008】これを解決するためにアクセス速度の速いファイル装置を多数持たせることは経済的でない。このため、取引が長期間行われない場合は休眠(睡眠)口座としてマスタファイル2が管理される場合は、同時に対応する印鑑データも休眠にして、例えば磁気テープ等に保存して印影ファイル3のデータ量を少なくすることも考えられるが、その都度その口座番号を入力して保存処理を行わなければならない。
【0009】近年の取引では印鑑が使用されない場合が多く、このように取引口座の休眠と対応させて印影データを休眠にしても、必ずしも効果的ではない。本発明は、上記課題に鑑み、印鑑照合装置に登録されている印影データを効率的に管理する印影データ管理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の印鑑データ管理装置は、図1の本発明の原理図に示すように、(1) 印鑑照合装置の備える印影ファイル30に登録されている印影データを管理する印影データ管理装置であって、印影データが照合された最終日付を記録する日付記録部31と、最終日付からの経過期間と所定期間とを比較し、その経過期間が所定期間を超えている場合は、その印影データに識別情報を付与する識別情報付与部34とを備える。
(2) 上記(1) において、識別情報が付与された印影データを退避先情報と置換するとともに、その印影データを退避先情報で指定された退避用ファイル33に退避させる退避部32を設けるように構成する。
【0011】
【作用】
(1) 日付記録部31は、印影データが検索(照合)されると、その検索日をその印影データに対応させて記録し更新する。つまり、最終日付が記録される。
【0012】識別情報付与部34は、所定期間が与えられたとき、各印影データごとにその最終日付からの経過期間と所定期間とを比較し、その経過期間が所定期間を超えている場合は、その印影データに識別情報を付与する。
【0013】以上のごとく、検索されるごとに最終日付が記録され、識別情報付与操作を行うことにより、各口座の印影データに一括して識別情報を与えることができる。この識別情報により、その口座番号を休眠口座(睡眠口座)として、所定の処理、例えば印影データの退避処理等を自動的に行わせることもでき、また場合によっては解約通知等にも使用することができる。
(2) 識別情報によって退避処理を行う場合、退避部32は、識別情報が付与された印影データを退避先情報と置換するとともに、その印影データを退避用ファイル33に退避させる。
【0014】以上により、イメージデータである印影データをアクセス速度は遅いが大容量のファイル装置に一括退避させることができる。なお、この退避された印影データが検索対象となったとき、退避先情報が印影ファイルに残っているので、これを参照することができる。そしてその印影データを印影ファイル30に復元し、且つ最終日付を記録する。
【0015】以上のごとく、長期間使用されない印影データを退避用ファイルに退避させることにより、使用頻度の大きい印影データを小型高速用のファイル装置に格納することができ、検索時間,アクセス時間が短縮される。
【0016】なお、識別情報は、経過時間に対応させて経過時間に応じた処理をさせてもよい。例えば、経過時間の特に長いものは、口座番号ごと、オフラインのファイル装置に退避させてもよく、任意な処理に使用できる。
【0017】
【実施例】図2は一実施例の構成図、図3は検索動作フローチャート図、図4は識別情報付与動作フローチャート図、図5は退避処理フローチャート図である。なお、全図を通じて同一符号は同一対象物を表す。
【0018】図2は図6の構成において、ホスト1内に設けられた印影データ検索部分、印影データ管理部分の構成例を示したもので、■識別情報付与機能、■退避処理機能、■退避された印影データが検索されたとき元の印影ファイルに復元させる処理機能を持たせたものである。図2において、24は通信制御部で、図6に示す支店の端末制御装置4から口座番号を受信し、検索部16で検索されてメモリ15に格納された印影データ18を端末制御装置4に応答する。
【0019】16は検索部で、通知された口座番号に基づいて印影ファイル17を検索し、その口座番号の全レコードデータ(口座番号1の場合はレコードa)を読出してメモリ15に格納し、印影データ18を抽出する。なお、そのレコード中に退避情報21が有る場合は(口座番号nの場合)、退避先情報22を参照して退避用ファイル23から対応する口座番号のレコードdを読み出してメモリ15に格納する。
【0020】14は日付記録部で、検索部16で印影データ18が抽出されたとき、時計13を参照し、その日付をメモリ15に格納されているレコード中の最終日付19の格納欄に書き込んで、印影ファイル17の該当口座番号のレコードと置き換える。
【0021】12は識別情報付与部で、入力部10より、所定期間、例えば「3年間」とともに識別情報付与指令が入力されたとき、各口座番号の最終日付19を先頭より順次抽出し、(時計13の日付−最終日付) ≧3年間ならば、その口座番号の識別情報20の格納欄に識別情報20を格納する。なお、識別情報20が付与されているものについてはこの処理は行わなくてもよい。
【0022】11は退避部で、入力部10より退避指示が入力されたとき、印影ファイル17の口座番号1より順次識別情報20が付与されているか否かを検索し、付与されていれば、そのレコードの印影データ18の代わりに、退避したか否かを表す退避情報21、退避先情報22を書き込み、その口座番号のレコードを短縮編集して印影ファイル17の該当口座番号のレコードと置き換えるとともに、その印影データ18を退避先情報22で指定されたアドレスに、レコードdのごとく格納する。
【0023】17は高速アクセス可能な外部記憶装置内に設けられた印影ファイルで、口座番号1は所定期間使用されていないので、そのレコードaには、印影データ18, 最終日付19, 識別情報20が格納されている状態を表す。口座番号2は所定期間内で検索されたので、そのレコードbには識別情報20が付与されていない状態を表す。また口座番号nは、その印影データ18が退避された状態を示すもので、退避されたか否かを表す退避情報21, 退避先情報22が印影データ18, 最終日付19, 識別情報20の代わりに格納されている。このレコードcは印影データ18が格納されていないので、レコード長が口座番号1,2のものと比較して大幅に小さいものとなっている。
【0024】23は比較的低速ではあるが大容量の光磁気ディスク装置等に設けられた退避用ファイルで、ここではレコードdとして口座番号nの印影データが格納されている。
【0025】以上の構成により、以下に示すような検索,管理動作が行われる。
〔最終日付の記録〕図3参照(1) 検索部16は、通知された口座番号で印影ファイル17を検索する。
【0026】(2) 検出された口座番号のレコードデータをメモリ15に格納し、退避情報21の有無を調べる。
(3) 退避情報21が無ければ、そのレコードより印影データ18を抽出し、通信制御部24を介して、印影データ表示機6(図6)に送出する。
【0027】(4) 日付記録部14はメモリ15中のレコードデータのうち、最終日付19を時計13を参照して更新する。
(5) (2) の処理において、退避情報21が存在する場合、退避先情報22を参照して退避用ファイル23より印影データを抽出し、メモリ15に格納した後印影データ表示機6に送出する。
【0028】(6) この印影データは検索されたので、日付記録部14は最終日付19を書き込んで印影ファイル17の該当口座番号のレコードと置き換える。
以上により、印影ファイル17, 退避用ファイル23からの印影データ18の読取りおよび退避用ファイル23から印影ファイル17への復元が達成される。
〔識別情報付与〕図4参照(1) 入力部10より、睡眠決定期間Xを入力する。
【0029】(2) 先頭の口座番号1のレコードデータを取り出す。
(3) 本処理日(時計13の日付) と最終日付19との差Yを計算する。
(4) Y<Xならば次の口座番号に処理を進める。
【0030】(5) Y≧Xならば識別情報20を付与し、元のレコードと置換する。
(6) 次の口座番号のデータを取り出して、同じ処理を繰り返し、全口座番号の処理完了で付与動作を終了する。
【0031】以上により、図2の口座番号1に示すように識別情報20が付与される。
〔退避処理〕図5参照(1) 入力部10からの退避指示により、先頭の口座番号1のレコードデータを取り出す。
【0032】(2) 識別情報20が無ければ次の口座番号に処理を進める。識別情報20が有れば、前述した退避部11の処理により、退避用ファイル23への退避処理を行う。即ち、(3) レコードデータから印影データ18を削除し退避情報21, 退避先情報22を記入したレコードデータを編集して印影ファイル17の該当口座番号のレコードデータを更新する。
【0033】(4) 同時に印影データを退避用ファイル23に退避する。
(5) すべての口座番号について上記の処理を行い、全口座番号終了ならば処理を終了する。
【0034】(6) 終了でなければ、次の口座番号のデータを取り出して同じ処理を行う。なお、この退避処理は、識別情報付与に続いて行うが、例えば1年に1回程度の割合で行う。
【0035】以上の結果、睡眠印影データは、低速ではあるが大容量の検索可能なファイル装置に退避される。そして、何年か後に検索されることがあっても印影データを取り出して表示することができ、再び印影ファイル17に復元される。
【0036】以上の実施例では識別情報20を退避用として使用したが、睡眠に伴う印影データの解約等を行う場合にも使用できる。また、睡眠年数に応じた識別符号を与えてもよく、この場合は、処理に応じた睡眠時間を持つ印影データの取り出しがさらに容易となる。
【0037】
【発明の効果】以上のごとく、本発明の印影データ管理装置によれば、取引口座とは関係なく印影データが所定期間検索されないとき、検索可能な大容量ファイルに退避するもので、頻繁に使用される印影データのみ高速アクセスの印影ファイルに存在し、睡眠印影データは退避用ファイルに存在するようになるので、効果的に印影データを検索し、且つ高速にアクセスすることが可能となる。
【0038】また、睡眠に伴う解約処理を行う場合には、識別情報または退避用ファイルを参照すればよいので、管理がさらに容易となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理図
【図2】 一実施例の構成図
【図3】 検索動作フローチャート図
【図4】 識別情報付与動作フローチャート図
【図5】 退避処理フローチャート図
【図6】 従来例の構成図
【符号の説明】
1 ホスト 2 マスタファイル
3 印影ファイル 4 端末制御装置
5 印影データ登録機 6 印影データ表示機
7 登録用紙 10 入力部
11 退避部 12 識別情報付与部
13 時計 14 日付記録部
15 メモリ 16 検索部
17 印影ファイル 18 印影データ
19 最終日付 20 識別情報
21 退避情報 22 退避先情報
23 退避用ファイル 24 通信制御部
30 印影ファイル 31 日付記録部
32 退避部 33 退避用ファイル
34 識別情報付与部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 印鑑照合装置に備える印影ファイル(30)に登録されている印影データを管理する印影データ管理装置であって、該印影データが照合された最終日付を記録する日付記録部(31)と、該最終日付からの経過期間と所定期間とを比較し、該経過期間が所定期間を超えているとき、該印影データに識別情報を付与する識別情報付与部(34)とを備えることを特徴とする印影データ管理装置。
【請求項2】 該識別情報が付与された印影データを退避先情報と置換するとともに、該印影データを該退避先情報で指定した退避用ファイル(33)に退避する退避部(32)を設けたことを特徴とする請求項1記載の印影データ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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