説明

危険物探知装置

【課題】ゲート通過型の金属探知機等による検査の不快感を防止し、快適な環境下での危険物探知構造を提供する。
【解決手段】サーチコイル等から構成された検知部を床下に配置し、床上には規定の歩行路を通行させるための案内部を、床面の構造や模様等で視覚上で区別可能な状態にて形成し、更に、容量センサー等を用いて検知精度を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港へ銃器、刃物、爆発物等の危険物を持ち込むことを防止したり、不特定多数の人間が集まる集会やイベントにおいて、金属等の危険物を所持する不審者を検出するための危険物探知装置に関するものであり、詳細には、被検者に対しての精神的な環境を考慮した危険物探知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空港へ銃器、刃物、爆発物等の危険物を持ち込むことを防止したり、不特定多数の人間が集まる集会やイベントにおいて金属物を所持する不審者を検出するための手段としては各種の装置、方法が提案されている。
【0003】
危険物の持ち込み防止方法の代表的な例としては、特開2003−346267「盗難抑止・防止・予知方法、及び絨毯型ゲート動画像認識技術併用型盗難抑止・防止・予知装置」のように、磁気コイルを使用した金属探知機を内装したゲート型の装置を設けて、一人づつ通行させることによって危険物の持込を探知する方法が知られている。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−346267号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記の方法では、衆人環視下でゲートを通行して検問を受けるため、誤作動により止められるだけでなく、場合によっては、着用している靴や衣類を脱ぐように指示される等の精神的な不快感を与えられる等の問題を有している。
【0005】
又、ゲートを通過させるため、検査に時間がかかる等の効率性の問題も指摘されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の従来の課題を解決するものであり、検知部を床下に配置し、床上には規定の歩行路を通行させる案内部を設けることで、歩行者感覚で検査が行われ、被検者に精神的な負担をかけないようにしたことを特徴とする危険物探知装置であり、一度に多人数の検査を行い、検査を受けている雰囲気なしに通行するだけで、検査を完了することを可能としたものである。
【0007】
上記の構成において前記検知部は、サーチコイルであり、交流による磁界を発生する。前記サーチコイルの上を金属物を携帯した人間が通過した場合には、磁束が変化するため、危険物の持ち込みを検知することが可能である。
【0008】
床面上に設ける前記の案内部は、床面上に床面の模様と視覚上で区別可能な色・柄のテープの貼り付けや塗装によって案内線を形成したり、或いは床面上に段差を形成するブロックを設けることによって構成され、該案内部によって前記検知部の上面を通行するように案内する。
【0009】
また、前記サーチコイルを床下に配置する場合、通路外周の磁界を遮断することによって、地磁気や外部ノイズ等による誤作動を防止することが可能である。
【0010】
さらに、前記サーチコイルと検知コイルを別個に設置することによって、検知制度を向上させることが可能である。該検知コイルは、通路に沿って天井内に設置することも可能である。前記検知部が配置される床面は透過性を有する部材を使用することが可能であり、通常は板ガラスを使用する。
【0011】
床面上のサーチコイルの上部にあたる部分には、凹凸を有する板ガラスを配置することが可能であり、これによって通行すべき部分を明示して被験者をサーチコイルの上に案内することが可能である。
【0012】
床面のサーチコイルの上部を前記凹凸を有する板ガラスにて構成することもでき、床面上に配置した場合と同様に通行すべき部分を明示して被験者をサーチコイルの上に案内することが可能である。床面上に板ガラスを配置する構成とした場合には、通行する際には若干の段差が形成されているために被験者が躓く可能性があるが、床面のサーチコイルの上部を前記凹凸を有する板ガラスにて構成した場合には段差は形成されないため躓く可能性は低く、よりスムースに通行することが可能である。
【0013】
また、前記板ガラスは導電膜を有する合わせガラスを使用し、該導電膜はエッチングによってコイルパターンを形成することも可能である。前記コイルパターンはサーチコイルとして使用することも可能である。床面を構成するガラスにサーチコイルを形成することによって、床下にサーチコイル配置用のスペースを必要としないため、施行が容易である。尚、前記導電膜は中間膜で挟み断線やショートを防止する構造とすることが望ましい。
【0014】
また、前記サーチコイル及び検知コイルは複数設けることも可能であり、複数設けることによって検知精度を向上することが可能である。
【0015】
床下には複数のサーチコイルを配置するととともに、天井には複数の検知コイルを配置する。前記サーチコイルは進行方向に傾斜して配置するものと垂直に配置するものからなり、前記検知コイルは前記サーチコイルと対になるように配置するものである。このような構成は、傾斜対と垂直対の交点から被験者が携帯する金属部の高さ位置を検知し、表示盤にデータを送る。尚、複数のコイルの間での混信を防止するため、磁界の周波数を変える。
【0016】
進行方向にコイルを傾斜した一対のサーチコイルと受信コイルを設置するとともに、ガラス床下部には人体の位置を検知する容量センサーを設置する。
磁気コイルが金属部を検知した時の位置センサーから金属部の所持高さが計算できるのでハンド式のセンサーで詳細に調べることが可能である。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の危険物探知装置の第1実施例を表す図であり、図2は、本発明の危険物探知装置の第2実施例を表す図であり、図3は、本発明の危険物探知装置の第3実施例を表す図であり、図4は、本発明の危険物探知装置の第4実施例を表す図であり、図5は、本発明の危険物探知装置を表す第5実施例を表す図であり、図6は、本発明の危険物探知装置の第6実施例を表す図であり、図7は、本発明の危険物探知装置の第7実施例を表す図である。
【0018】
図1は、本発明の危険物探知装置の第1実施例を表す図である。この実施例では、検知部1は、サーチコイル11から成り、歩行通路となる床2の下部に配置されている。そして、床2の上部には規定の歩行路を通行させる色・柄のテープの貼り付けや塗装によって案内線を形成したり、或いは床面上に段差を形成するブロック41を設けることによって構成された案内部4が設けられていて、歩行者は、この案内部4の導線に沿って通過することで、足部に隠された危険物を探知することができる。
【0019】
図2は、本発明の危険物探知装置の第2実施例を表す図である。この実施例では、案内部1は、床2の面上に凹凸のある床面の模様と視覚上で区別可能な模様にて形成されている。具体的には、サーチコイル11を埋設させた床2の上面を板ガラス5で覆い、該板ガラス5の上面にサンドブラスト、エッチングにより凹凸を施すことで案内部4を構成している。また、必要に応じてバックライトとなるLED、白色灯等の照明装置6を設けることで板ガラス5を明るくするため、歩行者は、この案内部4の導線に沿って通過することで、足部に隠された危険物を探知することができる。
【0020】
更に、この例での案内部4は、板ガラス5を床2の上面より高く設定しており、段差を生じさせることによっても構成させている。
【0021】
図3は、本発明の危険物探知装置の第3実施例を表す図である。この実施例では、サーチコイル11と検知コイル12から構成したことを特徴としている。具体的には、床2の下面にサーチコイル11を配置して、天井3に検知コイル12を配置している。
【0022】
図4は、本発明の危険物探知装置の第4実施例を、図5は、本発明の第5実施例を表す図である。これらの実施例では、サーチコイル11の上方にあたる床4の面には、導電膜を有する合わせガラス50を配置している。この導電膜を有する合わせガラス50は、エッチングによりコイルパターン11が形成されており、中間膜51を介した合わせガラス50とすることで、断線やそれによるショートを防止した耐久性の高い構造となっている。
【0023】
図6は、本発明の危険物探知装置の第6実施例を表す図である。この実施例では、進行方向に傾斜したサーチコイル11と、前記の傾斜したサーチコイル11と対になる受信コイル14を設置しており、これらを複数対とすることで、被検者が携帯する金属の高さ位置を検知することができる構成としている。
【0024】
図7は、本発明の危険物探知装置の第7実施例を表す図である。この実施例では、進行方向に傾斜したサーチコイル11と、前記の傾斜したサーチコイル11と対になる受信コイル14を設置するとともに、床面に配置した板ガラスの下方に人体の位置を検知する容量センサー13を配置している。これにより、被検者が携帯する金属の高さ位置を検知することができる
【0025】
尚、本発明に係わる検知部の外周は、磁界を遮断する構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係わる危険物探知装置は、上記の如く構成されており、案内部を設けたことで、被検者を検知部に効果的に誘導することができ、被検者にとっては、違和感なく検査を受けることができる。また、本発明の各構成によれば、身体に所持する各種の危険物の検知は勿論のこと、ガラス床に検知コイルを設けたため、距離の近い靴底の中に隠された危険物等も検知し易くなり、また、使用する周波数を変更することで非金属も検知できる等の効果も備えている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例を表す模式図であり、(a)は平面模式図、(b)は側断面模式図
【図2】本発明の第2実施例を表す模式図であり、(a)は平面模式図、(b)は側断面模式図
【図3】本発明の第3実施例を表す模式図であり、(a)は平面模式図、(b)は側断面模式図
【図4】本発明の第4実施例を表す模式図であり、(a)は平面模式図、(b)は側断面模式図
【図5】本発明の第5実施例を表す模式図であり、(a)は平面模式図、(b)は側断面模式図
【図6】本発明の第6実施例を表す模式図
【図7】本発明の第7実施例を表す模式図であり、(a)は平面模式図、(b)は側断面模式図
【符号の説明】
【0028】
1 検知部
2 床
3 天井
4 案内部
41 ブロックまたは案内線
5 板ガラス
11 サーチコイル
12 検知コイル
13 容量センサー
14 受信コイル
50 合わせガラス
51 中間膜
6 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知部を床下に配置し、床上には規定の歩行路を通行させる案内部を設けることを特徴とする危険物探知装置。
【請求項2】
前記検知部は、少なくともサーチコイルにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の危険物探知装置。
【請求項3】
前記検知部は、少なくともサーチコイルと検知コイルから構成されることを特徴とする請求項1に記載の危険物探知装置。
【請求項4】
前記サーチコイル及び前記検知コイルを複数設けることを特徴とする請求項1に記載の危険物探知装置。
【請求項5】
床下には複数のサーチコイルを配置するとともに、天井には複数の検知コイルを配置することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の危険物探知装置。
【請求項6】
前記案内部は、床面上に床面の模様と視覚上で区別可能な模様にて形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の危険物探知装置。
【請求項7】
前記案内部は、床面上に形成される段差によって構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の危険物探知装置。
【請求項8】
前記床面の上面において、サーチコイルの上方にあたる部分には、凹凸を有する板ガラスを配置することを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の危険物探知装置。
【請求項9】
前記床面において、サーチコイルの上方にあたる部分を凹凸を有する板ガラスによって構成することを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の危険物探知装置。
【請求項10】
前記床面において、サーチコイルの上方にあたる部分には、導電膜を有する合わせガラスを配置することを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の危険物探知装置。
【請求項11】
前記導電膜はコイルパターンを形成することを特徴とする請求項10に記載の危険物探知装置。
【請求項12】
進行方向に傾斜したサーチコイルと、前記の傾斜したサーチコイルと対になる受信コイルを設置するとともに、それぞれを複数対としたことを特徴とする請求項6乃至請求項11に記載の危険物探知装置。
【請求項13】
進行方向に傾斜したサーチコイルと、前記の傾斜したサーチコイルと対になる受信コイルを設置するとともに、床面に配置した板ガラスの下方に人体の位置を検知する容量センサーを配置したことを特徴とする請求項6乃至請求項11に記載の危険物探知装置。
【請求項14】
前記検知部の外周の磁界を遮断することを特徴とする請求項1乃至請求項13に記載の危険物探知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−216004(P2006−216004A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61458(P2005−61458)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】