説明

原動機

【課題】駆動軸の回転(始動や駆動)を円滑に行わせることができる原動機を提供すること。
【解決手段】本発明では、駆動軸(3)にフライホイール(5)を接続した原動機(1)において、フライホイール(5)に回転中心から半径方向に向けて伸延するガイドレール(8)を形成するとともに、弾性体(15)の伸縮によって回転するガイド体(12)をガイドレール(8)に摺動自在に配設して、ガイド体(12)の回転によってガイド体(12)をガイドレール(8)に沿って摺動させてフライホイール(5)を回転させるように構成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、モーターやエンジンなどの原動機は、各種装置を駆動させる際に駆動を円滑なものとするために、原動機の駆動軸にフライホイールを取付けた構造となっている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来の原動機では、駆動軸の回転に連動してフライホイールが回転し、このフライホイールの回転によってフライホイールの重量に応じた遠心力が駆動軸に作用し、駆動軸が原動機の回転力とフライホイールの遠心力との作用により円滑に回転するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−155725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の原動機では、駆動軸に取付けたフライホイールの重量に応じた遠心力が作用することになるために、駆動軸の回転をより一層円滑に行わせるためには、フライホイールの重量を増大させなければならず、装置全体が大型化や重量化してしまい、製造や取扱いが困難なものとなってしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、駆動軸にフライホイールを接続した原動機において、フライホイールに回転中心から半径方向に向けて伸延するガイドレールを形成するとともに、弾性体の伸縮によって回転するガイド体をガイドレールに摺動自在に配設して、ガイド体の回転によってガイド体をガイドレールに沿って摺動させてフライホイールを回転させるように構成することにした。
【発明の効果】
【0007】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0008】
すなわち、本発明では、駆動軸にフライホイールを接続した原動機において、フライホイールに回転中心から半径方向に向けて伸延するガイドレールを形成するとともに、弾性体の伸縮によって回転するガイド体をガイドレールに摺動自在に配設して、ガイド体の回転によってガイド体をガイドレールに沿って摺動させてフライホイールを回転させるように構成しているために、弾性体の付勢力でフライホイールの回転を助成するとともに遠心力を増大させることができるので、原動機を大型化や重量化させることなく駆動軸の回転を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】原動機を示す平面断面図。
【図2】同正面断面図。
【図3】同正面断面図。
【図4】同動作説明図。
【図5】他の原動機を示す正面断面図。
【図6】同側面断面図。
【図7】他のガイド体とフライホイールとの接続を示す正面断面図(a)、側面断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る原動機の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1〜図4に示すように、原動機1は、各種装置2に接続される駆動軸3を矩形箱型状のケーシング4に回動自在に取付け、ケーシング4の内部において駆動軸3の端部に偏位荷重を有する略円板状のフライホイール5を取付けている。
【0012】
フライホイール5には、回転中心から半径方向に向けて直線状に伸延する左右一対のレール6,7からなるガイドレール8を形成している。
【0013】
また、原動機1は、ケーシング4の内側壁に大小一対の同心円状のリング9,10からなる円環状のガイドリング11をフライホイール5と対面させて平行に取付けている。
【0014】
そして、原動機1は、ガイドレール8のレール6,7の間にガイド体12をガイドレール8に沿って直線状に摺動自在に取付ける一方、ガイドリング11のリング9,10の間に滑車13をガイドリング11に沿って円状に摺動自在に取付け、水平状に伸延させた円柱形状の付勢体14の端部にガイド体12及び滑車13をそれぞれ回動自在に取付けている。
【0015】
付勢体14には、付勢体14の伸延方向と直交する方向に伸延させたスプリングやゴムなどの弾性体15の基端部を上下揺動自在に取付け、この弾性体15の先端部をケーシング4に伸縮ネジ16を介して取付けている。なお、伸縮ネジ16は、ケーシング4に取付けたナット17に螺着しており、伸縮ネジ16を回転させてケーシング4(ナット17)に対して進退移動させることで弾性体15の付勢力を調節できるようにしている。
【0016】
弾性体15は、ケーシング4の内部において途中で下側凸状に屈曲しており、屈曲部をケーシング4に回動自在に取付けた上下一対のローラー18,19で挟んでいる。
【0017】
さらに、原動機1は、駆動軸3の途中にブレーキ機構20を介設しており、ブレーキ機構20に内蔵させたストッパーでガイド体12がガイドリング11の上端部に位置して弾性体15が伸長した状態になった時(停止時、すなわち、始動時)に駆動軸3を挟持して停止するようにしている。
【0018】
原動機1は、以上に説明したように構成しており、始動時には、ブレーキ機構20によって図2に示すようにガイド体12がガイドリング11の上端部に位置して弾性体15が伸長した状態とする。
【0019】
そして、図4に示すように、ブレーキ機構20を解除すると、弾性体15の収縮による付勢力によって付勢体14を引張し、滑車13がガイドリング11に沿って摺動するので、付勢体14がガイドリング11に沿って回転運動を行う。すると、付勢体14の回転運動に伴ってガイド体12も回転運動を行い、それに伴って、ガイド体12がガイドレール8に沿って摺動しながらフライホイール5を回転させるとともに、駆動軸3を回転させる。
【0020】
これにより、原動機1は、弾性体15の付勢力に加えてフライホイール5の遠心力によって駆動軸3の始動(回転)を円滑に行わせることができる。
【0021】
また、始動後においても、ガイド体12がガイドリング11の上端付近まで回転した時にタイミング良く伸縮ネジ16を回転させて弾性体15を引張させることによって、付勢体14を介してフライホイール5を回転させ、駆動軸3を回転させることができる。なお、ガイド体12がガイドリング11の上端付近まで回転した時に伸縮ネジ16を回転させて弾性体15を引張させた後に、ガイド体12がガイドリング11の下端付近まで回転した時に伸縮ネジ16を回転させて弾性体15の引張を解除する動作を連続して繰り返し行うことで、駆動軸3を連続して回転させることができる。
【0022】
その際にも、原動機1は、弾性体15の付勢力に加えてフライホイール5の遠心力によって駆動軸3の始動(回転)を円滑に行わせることができる。
【0023】
以上に説明したように、上記原動機1は、駆動軸3にフライホイール5を接続し、フライホイール5に回転中心から半径方向に向けて伸延するガイドレール8を形成するとともに、弾性体15の伸縮によって回転するガイド体12をガイドレール8に摺動自在に配設して、ガイド体12の回転によってガイド体12をガイドレール8に沿って摺動させてフライホイール5を回転させるように構成している。
【0024】
そのため、上記構成の原動機1では、弾性体15の付勢力でフライホイール5の回転を助成するとともに遠心力を増大させることができるので、原動機1を大型化や重量化させることなく駆動軸3の回転を円滑に行わせることができる。
【0025】
また、上記原動機1は、弾性体15を途中で屈曲させた構成となっている。
【0026】
そのため、上記構成の原動機1では、コンパクトなケーシング4の内部で弾性体15の伸縮長さを増大させることができ、原動機1の小型化を図ることができる。
【0027】
上記原動機1は、1本の弾性体15の先端に付勢体14を介してガイド体12を接続するとともに、ガイド体12をガイドリング11に沿って摺動させることで、弾性体15の伸縮によってガイド体12を回転させるように構成しているが、本発明は上記構成に限られるものではない。
【0028】
たとえば、図5及び図6に示すように、原動機1'は、複数本(ここでは、4本)の弾性体15を用いるとともに、クランク軸21に複数本(ここでは、4本)のクランクロッド22を回転方向(円周方向)に向けて等しい間隔(角度)をあけて取付けたクランク23をケーシング4'の内部に回動自在に配設し、各クランクロッド22に弾性体15の基端部をベアリングを介して揺動自在に接続し、各弾性体15の先端部をケーシング4'に伸縮ネジ16を介して取付けている。
【0029】
また、原動機1'は、クランク23の一端部にブレーキ機構20を介して駆動軸3に接続するとともに、クランク23の他端部にアーム24の基端部を取付け、アーム24の先端部にガイド体12を回動自在に取付け、ガイド体12をフライホイール5のガイドレール8に摺動自在に取付けている。フライホイール5は、ケーシング4'に回動自在に取付けている。
【0030】
ここで、原動機1'では、アーム24の先端部にガイド体12を回動自在に取付けた構成としているが、これに限られず、図7に示すように、クランク23に円環状の回転体28を取付け、回転体28に1個のガイド体12の回転軸29を固定するとともに、回転体28に複数個(ここでは、3個)のガイド体12の回転軸30を回転体28の円周方向に向けて弾性体や粘性体などで付勢した状態で回転体28の円周方向に沿って摺動自在に取付け、一方、フライホイール5に複数本(ここでは、4本)のガイドレール8を形成し、各ガイドレール8に各ガイド体12をガイドレール8の伸延方向に沿って摺動自在に取付けた構成としてもよい。
【0031】
なお、原動機1'は、図5及び図6において、原動機1と同等の部材に図1〜図4と同一の符号を付して説明を省略している。
【0032】
この原動機1'においても、始動時にブレーキ機構20によって図6に示すようにガイド体12がガイドリング11の下端部に位置して弾性体15が伸長した状態とし、その後、ブレーキ機構20を解除すると、各弾性体15の収縮による付勢力によってクランク23が回転し、ガイド体12が回転運動して、ガイド体12がガイドレール8に沿って摺動しながらフライホイール5を回転させるとともに、駆動軸3を回転させる。
【0033】
これにより、原動機1'は、弾性体15の付勢力に加えてフライホイール5の遠心力によって駆動軸3の始動(回転)を円滑に行わせることができる。
【0034】
また、始動後においても、各クランクロッド22が下端付近まで回転した時にそれぞれタイミング良く伸縮ネジ16を回転させて各弾性体15を引張させることによって、ガイド体12を介してフライホイール5を回転させ、駆動軸3を回転させることができる。なお、連動機構25を用いて、各クランクロッド22が下端付近まで回転した時にそれぞれタイミング良く伸縮ネジ16を回転させて各弾性体15を引張させた後に、各クランクロッド22が上付近まで回転した時にそれぞれタイミング良く伸縮ネジ16を回転させて各弾性体15の引張を解除する動作を連続して繰り返し行うことで、駆動軸3を連続して回転させることができる。なお、連動機構25は、電源26で駆動するように構成するとともに、駆動軸3に発電機27を接続し、発電機27を電源26に接続して、発電機27で電源26を充電するように構成することもできる。
【0035】
その際にも、原動機1は、弾性体15の付勢力に加えてフライホイール5の遠心力によって駆動軸3の始動(回転)を円滑に行わせることができる。
【符号の説明】
【0036】
1,1' 原動機 2 各種装置
3 駆動軸 4,4' ケーシング
5 フライホイール 6,7 レール
8 ガイドレール 9,10 リング
11 ガイドリング 12 ガイド体
13 滑車 14 付勢体
15 弾性体 16 伸縮ネジ
17 ナット 18,19 ローラー
20 ブレーキ機構 21 クランク軸
22 クランクロッド 23 クランク
24 アーム 25 連動機構
26 電源 27 発電機
28 回転体 29,30 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸にフライホイールを接続した原動機において、
フライホイールに回転中心から半径方向に向けて伸延するガイドレールを形成するとともに、弾性体の伸縮によって回転するガイド体をガイドレールに摺動自在に配設して、ガイド体の回転によってガイド体をガイドレールに沿って摺動させてフライホイールを回転させるように構成したことを特徴とする原動機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−53649(P2013−53649A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190817(P2011−190817)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【特許番号】特許第4891458号(P4891458)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(597161953)