原単位計算装置、環境負荷計算装置、及びプログラム
【課題】製品の製造に係わる原単位及び環境負荷を容易かつ精度よく計算できる技術を提供する。
【解決手段】本原単位計算装置(100)は、製造工程全体での環境負荷(E)の情報51と、製品の生産量(M)の情報(52)と、製品の仕様項目(S)の情報(53)とを含むデータ情報からデータセット(D)を取得するデータ入力部11と、上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、仕様項目(S)の値と生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、原単位(U)及び誤差(g)を算出する原単位計算部12と、算出した情報を出力するデータ出力部13とを有する。
【解決手段】本原単位計算装置(100)は、製造工程全体での環境負荷(E)の情報51と、製品の生産量(M)の情報(52)と、製品の仕様項目(S)の情報(53)とを含むデータ情報からデータセット(D)を取得するデータ入力部11と、上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、仕様項目(S)の値と生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、原単位(U)及び誤差(g)を算出する原単位計算部12と、算出した情報を出力するデータ出力部13とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品製造に係わる原単位や環境負荷などを計算する技術に関し、特に、半導体などの製品の工場全体の環境負荷などから工程(製造工程)の原単位を作成(計算)する技術、及び原単位を用いて製品の環境負荷などを評価(計算)する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造から輸送・販売・使用・廃棄に至るライフサイクル全体の環境負荷を分析する手法として、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)がある。LCAは、ライフサイクルの各段階における環境負荷を積み上げてライフサイクル全体の環境負荷を求める手法である。各段階の環境負荷(環境負荷量)は、(式1)[環境負荷]=[原単位]×[活動量]、により計算される。ここで[原単位]とは、単位活動量あたりの環境負荷量であり、[活動量]とは、各段階において測定される量を示す。
【0003】
本発明・本明細書では、製品製造時の環境負荷量を計算する方法に係わるため、上記の原単位を特に「製造原単位」とも呼ぶことにする。また以下では環境負荷の例として二酸化炭素(CO2)を取り上げ、その環境負荷の計算に係わる製造原単位の計算の方法に関して説明する。
【0004】
LCAでは、製品を1台製造するときに発生するCO2量を計算する。ここでエネルギー源として電力を使用する製造工程(ないし工程に対応付けられる設備(製造装置)など)では直接CO2は発生しないが、電力を生成するときにCO2が発生している。このため電力生成時のCO2を製品製造時のCO2量として計算する必要がある。即ち、製品製造時のCO2量は、まず製品製造に必要な電力量(消費電力)を求め、これと単位電力を生成するときに発生するCO2量とを掛け合わせることにより求めることができる。
【0005】
ここで電力に関する製造原単位を特に「電力原単位」と呼び、単位電力あたりのCO2量を「CO2原単位」と呼ぶことにする。CO2原単位は、電気事業連合会などによって公開されているため、事業者は各工程の電力原単位を求めれば、製品製造時のCO2量を計算することができる。
【0006】
電力原単位は、各工程(製造装置)に電量計などを設置することで測定・計算することができるが、測定環境が整備されていない工場などではコストや労力が大きい。この場合、消費電力量を各工程単位ではなく工場全体や作業職場といったマクロなレベル(単位)で測定し、生産量やコストを用いて製品1台あたりの値に按分するように計算するという方法が用いられる。例えば工場全体での一定期間の消費電力量を測定し、当該期間に製造した製品の生産量で除すると、製品1台あたりの消費電力量が計算できる。
【0007】
上記方法によれば、事業者のコストや労力を増大させることなく製品1台あたりの消費電力量を把握できるが、按分により、全製品の消費電力量が同一(平均化された値)になってしまう。即ち、製品の製造において使用される工程や設備は個々の製品(各種の仕様の製品)によって異なるが、上記方法では値が平均化されてしまうため、個々の製品については、上記按分の結果の値と実際の消費電力の値とが大きく異なる可能性がある。
【0008】
上記問題に対し、特許文献1に記載の方法が挙げられる。特許文献1では、全体の各工程について単位活動量あたりの製造原単位を未知数とし、一定期間における生産量と前記未知数との積を全工程について足し合わせた値が、同期間における全体の環境負荷と等しいとする連立方程式を立て、これを解くことにより各工程ごとの製造原単位(以下「工程別原単位」等と呼ぶ)を求めるという方法が記載されている。
【0009】
特許文献1の方法によれば、環境負荷を工場全体(各種の製品の製造に係わる複数の工程・設備等を含む)などのマクロなレベル(単位)で測定すれば、工程別原単位を計算できる(環境負荷の測定の工数やコストを増大させることなく容易に工程別原単位を計算できる)。更に、製品の環境負荷は、当該製品の製造に使用する各工程の製造原単位(上記の工程別原単位)の総和として求めることができる。よって、個々の製品による工程(工程フロー)の違いを考慮した環境負荷の評価(計算)ができる。即ち、上述の環境負荷を生産量やコストで按分する方法と同等の容易さで、より正確な環境負荷の評価(計算)ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−195916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、特許文献1の方法(生産量あたりの製造原単位を未知数とする原単位計算方法)などの従来の方法(マクロな環境負荷をもとに工程別原単位を計算する方法)では、環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに工程別原単位を容易に計算できる等の利点があるが、以下のような問題がある。
【0012】
全体のうち各工程で発生する環境負荷は、同一の工程であっても製品によって異なり得る。例えば工場で製造する各種の仕様の製品が存在し、当該製品(仕様)に応じて工程(工程フロー)が異なり得る。かつ、製品の仕様(仕様項目)ごとに工程での処理内容に違いがあり得る。仕様項目とは例えば基板の層数や実装部品数などである。例えば、ある第1の工程(設備)において、第1の製品については第1の仕様項目(例えば層数)の値(例えば10層)に応じて第1の処理内容(対応して第1の電力量)になるが、第2の製品については第2の仕様項目(層数)の値(例えば20層)に応じて第2の処理内容(対応して第2の電力量)になる、といった具合である。
【0013】
それに対し、例えば特許文献1の方法では、生産量を係数とする方程式を解いて製造原単位を求めているため、上記のような個々の製品(対応する仕様)に応じた工程の処理内容(対応する仕様項目の値)の違いを考慮できない、即ち原単位の計算の精度が不十分、という問題点がある。
【0014】
以下、工程別原単位及び製品環境負荷の計算に係わり、製品の一例であるプリント回路基板(PCB)を例に具体的に説明する。プリント回路基板(PCB)の製造工程全体(製造フロー)は、主に、表面に銅配線を形成したガラスエポキシ板を複数積み上げて基板(PWB:Printed Wired Board)(プリント配線板)を製造する基板製造工程(第1の工程:k1とする)と、その基板(PWB)上にLSI等の電子部品を配置して銅配線と接続することによりプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)を製造する部品実装工程(第2の工程:k2とする)と、から成る(図2対応)。
【0015】
ここで例えば部品実装工程(k2)では、処理内容の1つとして、部品を1個ずつ基板(PWB)上に配置する処理(配置処理)を行っているが、当該工程(k2)による生産量としては、仕上がったプリント回路基板(PCB)の枚数をカウントする。このため、特許文献1などの従来の方法では、部品実装工程(k2)の原単位(工程別原単位)は、PCB1枚あたりの値となるが、当該工程(k2)における実際の環境負荷量は、当該工程(k2)で実装する部品数や部品の種類などの仕様項目の値に例えば比例して大きくなると考えられる。
【0016】
上述のように、従来の方法では、製品(仕様)ごとの各工程の仕様項目(例えば層数や実装部品数)の値の違いを考慮・反映した製造原単位(工程別原単位)を計算することはできない(していない)。そのため、当該原単位を用いて製品の環境負荷を計算すると誤差が大きくなってしまう可能性があった。製品の仕様及びフローに応じて、各工程の処理内容による仕様項目の値が異なり、それに応じて異なる工程別原単位及び環境負荷量の値が計算されることが望ましい。
【0017】
更に、上記製品の仕様を考慮した工程別原単位の計算を考えた場合、上述のように各工程の処理内容は仕様項目の値と関連しているが、製品の仕様を構成する仕様項目が複数存在するため、どの仕様項目に着目して製造原単位を求めればよいかがわからない、という問題がある。例えばプリント回路基板(PCB)については、基板の層数、実装部品数、面積など、複数の仕様項目が処理内容に関連すると考えられる。
【0018】
以上を鑑み、本発明の主な目的は、製品の製造原単位(工程別原単位)や環境負荷の計算に係わり、環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに容易に原単位を計算し、かつ、製品の仕様に応じた工程での処理内容の違い(仕様項目の値の違い)を考慮・反映した原単位を計算し、これにより製品の環境負荷を精度良く又はより正確に評価(計算)できる技術を提供することである。更には、工程に関連する複数の仕様項目を考慮して好適な原単位を計算できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の代表的な実施の形態は、製品の製造に係わる原単位や環境負荷を計算する装置及びプログラムなどであって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0020】
本形態の原単位計算装置は、複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理部と、上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する計算処理部と、前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理部と、を有する。
【0021】
本形態の環境負荷計算装置は、上記原単位計算装置の備える各処理部に加え、前記原単位(U)及び誤差(g)を含む情報と、製品(P)の仕様項目(S)の情報と、前記製品(P)の製造の工程フロー情報とを用いて、前記製品(P)ごとに、当該製品(P)の製造に係わる全ての工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記仕様項目(S)の値と、前記生産量(M)との積を、全工程(K)で加算した値により、当該製品(P)の環境負荷(H)を算出する第2の計算処理部を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の代表的な実施の形態によれば、製品の製造原単位(工程別原単位)や環境負荷の計算に係わり、環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに容易に原単位を計算し、かつ、製品の仕様に応じた工程での処理内容の違い(仕様項目の値の違い)を考慮・反映した原単位を計算し、これにより製品の環境負荷を精度良く又はより正確に評価(計算)できる。更には、工程に関連する複数の仕様項目を考慮して好適な原単位を計算できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態のシステム(原単位計算装置、環境負荷計算装置を含む)の全体の構成例を示す図である。
【図2】製品の製造工程全体(工場全体)の例を概念的に示す図である。
【図3】本実施の形態における原単位計算処理及び環境負荷計算処理のフローチャートを示す図である。
【図4】環境負荷情報(51)の例を示す図である。
【図5】生産履歴情報(52)の例を示す図である。
【図6】製品仕様情報(53)の例を示す図である。
【図7】工程−仕様組み合わせパターン情報(54)の例を示す図である。
【図8】製品工程フロー情報(55)の例を示す図である。
【図9】原単位・誤差情報(61)の例を示す図である。
【図10】製品環境負荷情報(62)の例を示す図である。
【図11】本実施の形態における表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
本実施の形態では、前提として工場全体の環境負荷(消費電力)に基づき、製品の製造に係わる原単位(工程別原単位)などを容易かつ精度よく計算する原単位計算装置(図1では第1のコンピュータシステム100)、及び、上記計算による原単位などの情報を用いて、製品の環境負荷(消費電力)を評価(計算)する環境負荷計算装置(図1では第2のコンピュータシステム200)などを示す。
【0026】
本実施の形態では、特徴として、製品の製造工程フロー及び仕様を考慮・反映した、工程別に仕様項目を単位として計算される製造原単位(以下単に「原単位」「工程別原単位」等と称する)を計算する。製品(対応する仕様)毎に工程(対応する設備等)の処理内容(関連する仕様項目の値)が異なることを考慮して、データセットごとに、工程と仕様項目の組み合わせパターンに応じた複数の回帰方程式を作成してそれらの解(原単位)及び誤差を算出する。それらの結果の中から好適な値をユーザにより選択可能とし、当該原単位を用いて製品の環境負荷を計算することができる。
【0027】
[用語・記号]
説明上の記号として適宜以下を用いる:
P:製品: 工場全体で製造される製品 (例えば図2のPWB(“PWB1”等)、PCB(“PCB1”等))
S(s):仕様/仕様項目/仕様項目値: 製品の仕様を構成する仕様項目及びその値 (例えば図2のs1(層数),s2(実装部品数))
K(k):工程(製造工程): 工場全体に含まれる工程 (例えば図2の基板製造工程(k1)、部品実装工程(k2))
M(m):生産量: 工程で製造(生産・処理等)された量 (例えば図2のm1,m2)
U:原単位(製造原単位): 本実施の形態では、工程別原単位を指し、更に、仕様項目を反映(関連付け)して計算される原単位を指す
E:全体環境負荷: 工場全体での環境負荷(消費電力)
H:製品環境負荷: 製品ごとの環境負荷(消費電力)
T:期間: データセット(D)を集計・取得する単位となる期間
D:データセット: 期間(T)に対応した、回帰方程式(R)を作成する対象(元)とするデータセット
R:回帰方程式: 原単位を計算するための式 (データセット(D)毎に工程と仕様の組み合わせパターンによるパターン数(n)に応じた複数(n)の回帰方程式(R1〜Rn)が作成される)
g:誤差: 回帰方程式(R)の解(回帰係数)に関する誤差。
【0028】
[システム]
図1は、本実施の形態のシステム全体の構成例を示す。本システムは、原単位計算装置である第1のコンピュータシステム100、及び環境負荷計算装置である第2のコンピュータシステム200を含んでなる。第1のコンピュータシステム100に対して、ネットワーク91(LANやインターネットなど)を介して、環境負荷測定器301、生産システム302、設計システム303等の公知のシステムが接続されている。また、ネットワーク92(LANやインターネットなど)を介して、第1のコンピュータシステム100と第2のコンピュータシステム200が接続されている。301〜303等は例えば事業者側の管理するシステムである。
【0029】
本実施の形態は、主な2つの処理(原単位計算と環境負荷計算)を実現する2つの処理部(第1の処理部10,第2の処理部20)を、2つのコンピュータシステム(100,200)に分けて実装し接続する構成例である。各コンピュータシステム(100,200)及び処理部(10,20)は、例えばPC及びその上で動作するソフトウェアプログラム等により構成される。これに限らず、2つの処理部(10.20)を1つのコンピュータシステムに統合した形態なども可能である。また、事業者側の各システム(301〜303)とネットワーク91(例えばインターネット)を介してデータ情報を授受して計算機能を提供する形態、例えばWebサービスを提供する形態などとしてもよい。
【0030】
第1のコンピュータシステム100は、第1の処理部10{データ入力部11、原単位計算部12、データ出力部13}、入力装置111、演算装置112、出力装置113、環境負荷情報51・生産履歴情報52・製品仕様情報53などのデータ情報の記憶部、通信装置などを有する。
【0031】
データ入力部11は、入力装置111や通信装置等を用いて、ユーザや各システム(301〜303)から必要な各種データ情報(51〜53)を受け付け入力する処理などを行う。原単位計算部12は、演算装置112を用いて、データ入力部11から読み込んだデータ情報を用いて、工程別原単位に関する計算処理を行う。また原単位計算部12は、組み合わせパターン情報54などの情報も必要に応じて生成または取得し記憶部に格納する。データ出力部13は、出力装置113や通信装置等を用いて、原単位などの計算結果情報などを画面に表示する処理を行う。第1の処理部10での計算結果は、原単位・誤差情報61に格納される。
【0032】
第2のコンピュータシステム200は、第2の処理部20{(製品)環境負荷計算部21}、(製品)環境負荷情報62の記憶部、製品工程フロー情報55の記憶部、等を有する。第2のコンピュータシステム200は、第1のコンピュータシステム100と同様にPC等で構成可能であるため、演算装置などの要素は説明省略する。
【0033】
第2の処理部20の(製品)環境負荷計算部21は、第1のコンピュータシステム100の原単位・誤差情報61から工程別原単位(U)などの必要なデータ情報を取得・入力し、また、ユーザや各システム(301〜303)から必要なデータ情報(本例では製品工程フロー情報55)を受け付け入力して、製品の環境負荷(H)に関する計算処理を行う。第2の処理部20での計算結果は、(製品)環境負荷情報62に格納され、第1のコンピュータシステム100と同様に画面表示などで出力可能である。
【0034】
環境負荷測定器301は、工場全体(図2対応)の環境負荷(E)を消費電力の形式で測定し、環境負荷情報51(図4)として出力され、第1のコンピュータシステム100内の記憶部に格納される。
【0035】
生産システム302は、工場全体(図2対応)の設備などのシステムと、その生産管理を行うシステムとを含み、工場全体の各工程(対応する設備など)から生産情報などを収集し、生産履歴情報52(図5)として出力され、第1のコンピュータシステム100内の記憶部に格納される。
【0036】
設計システム303は、工場全体(図2対応)で製造される各種の製品に関する設計情報を管理・作成する。この設計情報は、製品仕様情報53(図6)が含まれており、第1のコンピュータシステム100内の記憶部に格納される。
【0037】
[製造工程全体]
図2は、対象の工場全体における製造工程全体の例、及び関連情報などを概念的に示している。図2の全体は、図4以降に示す各種データを集計・取得する対象となり、複数の仕様の製品(複数の仕様項目)の製造に係わる複数の工程を含む。工程(K)として、第1の工程(k1)である基板製造工程、第2の工程(k2)である部品実装工程を有する。製品(P)として、201は購入によりk1に投入される素材、202はk2に投入されるPWB(プリント配線板)、203はk1で製造されk2に投入されるPWB、204はk2で製造されるPCB(プリント回路基板)を示す。基板製造工程(k1)では、素材(201)を投入してPWB(203)を製造する。部品実装工程(K2)では、一方側、基板製造工程(k1)で製造されたPWB(203)に加え、他方側、購入によるPWB(202)を投入し、PCB(204)を製造する。生産量(M)として、203のPWBの生産量をm1、204のPCBの生産量をm2とする。また、各工程(k1,k2)の対応する各設備は電力で駆動されているが、その消費電力については個別ではなく工場全体(E)で管理・測定されている(環境負荷測定器301)。
【0038】
また、工程(K)ごとに、工程別原単位(U)が対応付けられる。即ち、第1の工程(k1)に対して第1の原単位(U1)、第2の工程(k2)に対して第2の原単位(U2)が対応付けられる。
【0039】
また本実施の形態では、各工程(K)に対して仕様項目(S)を関連付けることになる(後述、組み合わせパターン情報54等)。図2の例では、第1の工程(k1)に対して第1の仕様項目(s1)が関連付けられ、第2の工程(k2)に対して、第1の仕様項目(s1)及び第2の仕様項目(s2)の2つが関連付けられる場合を示している。各工程(K)では、可変制御される処理内容(例えば基板の積層、穴開け、配置処理、等がある)を有し、当該処理内容に応じて製品の仕様項目(S)の値を可変にできる。s1は「層数」、s2は「実装部品数」である。
【0040】
本目的としては、上記製品の仕様(S)(各仕様項目)を考慮した原単位(U1,U2)を計算することである。また、その原単位(U1,U2)を用いて、製品(P)ごとの製造工程フロー(製造工程フロー情報55)に応じて、製品(P)の環境負荷(H)を計算することである。
【0041】
[処理概要]
図3及び図11等を用いて原単位計算処理及び環境負荷計算処理の流れについて説明する。S301等は処理ステップ等を表す。本処理の際、図4以降に示す各種データ情報(51〜55,61,62)が用いられる。またユーザは、原単位を計算する際は第1のコンピュータシステム100の表示画面(図11)を見ながら操作し、製品環境負荷(H)を計算する際は第2のコンピュータシステム200の表示画面(省略)を見ながら操作する。S301〜S309は、第1の処理部10による原単位計算処理であり、S310〜S311は、S309までの処理を前提とした、第2の処理部20による環境負荷計算処理である。以下先にデータ情報の例について説明する。
【0042】
[環境負荷情報]
図4の環境負荷情報51は、「期間」(T)、環境負荷量{「環境負荷名」,「値」(E),「単位」}、等の情報が記録される。「期間」(T)は、当該環境負荷量を測定した期間(後述のデータセット(D)を取得する単位)を示す。「環境負荷名」は本例では消費電力であり、「値」(E)は、当該期間(T)における工場全体での環境負荷量(合計消費電力量)であり、「単位」はその値(E)の測定・集計の単位、例えば[kWh]を示す。図4では例えば、T=2010年1月の合計消費電力量(E)が3036.1kWhであったことを示している。
【0043】
[生産履歴情報]
図5の生産履歴情報52は、「工程」(K)、「期間」(T)、「製品」(P)、「生産量」(M)、等の情報が記録される。「工程」(K)は、各工程(k)を特定する名称やID等である。「期間」(T)は、生産情報(51)を収集した期間である。「製品」(P)は、当該期間(T)・工程(K)で製造(生産・処理等)された個々の製品を特定する名称やID等である。「生産量」(M)は、当該期間(T)・工程(K)での当該製品(P)の生産量(単位は[枚])を示す。
【0044】
図5では例えば、基板製造工程(k1)では、T=2010年1月に、製品“PWB1”を10枚、“PWB2”を15枚、“PWB3”を20枚生産したことを示している。“PWB1”の生産量(M)は、図2の第1の工程(k1)後のPWB(203)の生産量(m1)と対応している。また同期間(T)で、製品“PCB1”を20枚、“PCB2”を15枚、“PCB3”を10枚生産したことを示している。“PCB1”の生産量(M)は、図2の第2の工程(k2)後のPCB(204)の生産量(m2)と対応している。
【0045】
[製品仕様情報]
図6の製品仕様情報53は、「製品」(P)、及び当該製品の仕様情報{「仕様項目」、「値」、「単位」}、等の情報が記載される。「製品」(P)は、工場全体(図2)で製造される、1種類以上の製品(P)の製品名やID等である。仕様情報として、当該製品(P)の仕様を構成する1つ以上の各仕様項目(S)、その値、及びその単位、等が記載される。「仕様項目」は、仕様項目を特定する名称やID等である。本例では、仕様項目(S)として、s1:「層数」、s2:「実装部品数」、を有する。その他の仕様項目の例としては、部品種類や面積など各種が挙げられる。
【0046】
図6の例では、製品“PWB1”,“PWB2”,“PWB3”は、基本はPWB(203)であるが、仕様として層数(s1)が異なっている(s2は無し)。層数(s1)は、“PWB1”が10層、“PWB2”が20層、“PWB3”が30層である。また、製品“PCB1”,“PCB2”,“PCB3”は、基本はPCB(204)であるが、仕様として、層数(s1)及び実装部品数(s2)が異なっている。層数(s1)は例えば“PWB1”から“PCB1”へ継承されている。実装部品数(s2)は、“PCB1”が1000個、“PCB2”が2000個、“PCB3”が1500個である。
【0047】
仕様項目(S)としては、本例の2種類(s1,s2)のみに限らず、製造工程全体における環境負荷と関連が高いと思われる仕様項目をできるだけ多く抽出して扱うことにより、原単位計算において適切な仕様項目を反映できるため、より正確な原単位を求めることができる。
【0048】
[組み合わせパターン情報]
図7は、第1のコンピュータシステム100での自動生成等により得られるパターン情報(工程−仕様組み合わせパターン情報)54の例を示す。本パターン情報54には、製品(P)の製造に関して、製造工程全体(図2)の各工程(k1,k2)と、製品仕様情報53の各仕様(仕様項目:s1,s2)との関係で、考えられるすべての組み合わせパターンを生成して記載する。本パターン情報54は、工程別原単位(U)の計算(回帰方程式の作成)の際に反映する単位となる仕様項目(S)を設定するために生成される。なお生成は第1の処理部10(原単位計算部12)で自動的に行うが、他のシステムやユーザが作成したものを利用してもよい。
【0049】
図7のパターン情報54の表では、左側の列、縦方向は「パターン番号」(各パターンの識別番号)を示し、上の行、横方向は各工程(k1,k2)を示し、パターンと工程の交差箇所は関係付けられる仕様項目(S)を示している。例えば、第1のパターン(#1)では、k1にs1、k2にs1が関係付けられる。第2のパターン(#2)では、k1にs1、k2にs2が関係付けられる。この関係付けは図2にも例示している。また右側には、データセット(D)ごとの回帰方程式(R)の処理において、パターンごとに作成される回帰方程式(R)との対応を示している。期間(T)対応のデータセット(D)ごとに、パターン数(n)に応じた複数(n)の回帰方程式(R1〜Rn)が作成される。
【0050】
なお本例では図2のように2つの工程(k1,k2)と2つの仕様項目(s1,s2)から2つのパターンしかない場合を示しているが、例えば全体で更に第3の工程、第3の仕様項目といったように増える場合はその分多数のパターンとなる。
【0051】
[製品工程フロー情報]
図8は、製品工程フロー情報55の例を示す。製品工程フロー情報55は、製品(P)ごとの製造に必要な全工程フロー(図2対応)の情報が含まれている。本情報は、第2のコンピュータシステム200に対する情報入力または自動生成、あるいは第1のコンピュータシステム100や生産システム302等から得られる(いずれでもよい)。図8の製品工程フロー情報55は、左の列の「製品」(P)は製品名などを示し、上の行の「工程順」は、当該製品(P)を製造する工程フローにおける工程順を示す。製品と工程順の交差箇所は、適用する工程(K)の工程名などを示す。例えば、製品“PWB1”は、1番目の工程がk1であることを示し、製品“PCB1”は、1番目の工程がk1、2番目の工程がk2であることを示す。
【0052】
[原単位・誤差情報]
図9は、原単位・誤差情報61の例を示す。本情報は画面(図11)の情報に使用される。原単位・誤差情報61は、「工程」(K)、「仕様項目」(S)、「原単位」(U)、「単位」、「回帰方程式」、「誤差」、等の情報が記載される。「工程」(K)は、当該工程別原単位(U)の対応する工程名などである。「仕様項目」(S)は、当該工程別原単位(U)の計算に反映された仕様項目名などを示す。「原単位」(U)は、原単位計算部12で算出された当該原単位の値が格納される。「単位」は、「仕様項目」に応じた「原単位」を構成する単位であり、分母は「仕様項目」に応じた例えば「層」や「個」になる。「回帰方程式」は、当該原単位(U)の計算で使用された回帰方程式(R)の識別情報などを示す。「誤差」は、当該原単位(U)の値と共に算出された誤差(g)が格納される。
【0053】
図9の例では、ある回帰方程式(R2)(前記パターン#2対応)による計算結果例を示しており、基板製造工程(k1)の原単位(U1)は、層数(s1)を単位として計算された原単位であり、1層あたりの電力量([kWh/層])で示され、例えば2.85kWh/層である。また、部品実装工程(k2)の原単位(U2)は、実装部品数(s2)を単位として計算された原単位であり、実装する部品1個あたりの電力量([kWh/個])で示され、例えば0.0034kWh/個である。同様に、複数(n)の各パターンの回帰方程式(R1〜Rn)毎の結果が格納される。また計算元のデータセット(D)が複数ある場合は更にその複数分の結果が同様に格納される。また製品環境負荷(H)の計算用に登録する原単位などについては図示しないフラグ情報などで管理される。
【0054】
[製品環境負荷情報]
図10は、製品環境負荷情報62の例を示す。本情報は第2のコンピュータシステム200の画面の情報に使用される。製品環境負荷情報62では、「製品」(P)毎に、第2の処理部20で計算された形式(本例では消費電力)の環境負荷(H)の値などが記載される。また変換係数での簡単な計算により得られる所望の形式(例えばCO2排出量)の環境負荷の値などを記載してもよい。また関連情報として、当該環境負荷(H)の計算で使用した原単位(U)に関する情報(回帰方程式などの情報)などが適宜記載される。
【0055】
[原単位計算処理]
図3に戻り、原単位計算処理について説明する。
【0056】
(S301) まず第1の処理部10による処理に基づいて、画面(図11)でのユーザ操作などにより、入力データや計算条件などを指定する。
【0057】
図11の画面(例えばWebブラウザ画面)では、上部に、入力データ及び計算条件等の指定を行うための領域を有し、下部に、原単位に関する計算結果の情報を表示する領域を有する。
【0058】
「入力データ」として、環境負荷情報51、生産履歴情報52、製品仕様情報53等の各種データのファイル名やテーブル名などを指定・入力する。なお当該入力データが固定の場合は予め本システムに情報を登録しておくことにより本指定・入力操作を省略することができる。
【0059】
「計算条件」として、原単位の計算(回帰方程式(R)の作成)に使用するデータセット(D)を集計・取得するための期間(T)などの情報を同様に指定・入力する。本例では、環境負荷情報51及び生産履歴情報52のデータ登録日時などに関する範囲及びその単位(月、週など)を指定することで、1つ以上の期間(T)が指定され、各期間(T)ごとのデータセット(D)が取得される。図11の例では、2010年1月から5月までの範囲の入力データを月単位で使用することを示す。
【0060】
(S302) 第1の処理部10は、S301で指定された範囲などに合致する各種データ(51,52,53等)を読み込むことにより、計算対象となる1つ以上のデータセット(D)を取得する。本例の場合、各月の期間(T)による5つ(5種類)のデータセット(D)が取得されることになる。なお複数のデータセット(D)がある場合、データセット(D)毎に同様の処理となる。
【0061】
第1の処理部10は、上記読み込んだ例えば生産履歴情報52(図5)からは、当該期間(T)・工程(K)で製造された製品(P)やその生産量(M)などの情報を把握する。また例えば当該製品名などを検索キーとして、製品仕様情報53(図6)から検索することで、当該製品(P)の仕様情報を取得する。
【0062】
(S303) 次に、第1の処理部10は、S302で読み込んだ情報(52,53等)を用いて、工程−仕様組み合わせパターン情報54(図7)を生成して記憶部に格納する。なお予め生成された情報を使用してもよい。本パターン情報54は、データセット(D)ごとの複数(n)の回帰方程式(R1〜Rn)の各々の設定(作成)に用いる。
【0063】
パターン情報54の生成例は以下である。まず生産履歴情報52(図5)より、指定の範囲(2010年1月〜5月)(T1〜T5)に製造された製品(P)は、基板製造工程(k1)ではPWB1,PWB2,PWB3の3種類のPWBがあり、部品実装工程(k2)ではPCB1,PCB2,PCB3の3種類のPCBがある。また製品仕様情報53(図6)より、PWB(上記3種類)の製品仕様としては「層数」(s1)が登録されており、PCB(上記3種類)の製品仕様としては「層数」(s1)と「実装部品数」(s2)の2つが登録されている。
【0064】
工程(k1,k2)と仕様項目(s1,s2)との関連付けにより、考えられるすべての組み合わせを生成して設定する。本例では、図7に示す2通りのパターン(#1,#2)が生成される。
【0065】
(S304) 次に、S303で生成したパターン情報54(図7)から任意に1つずつパターンを選択し、パターン毎に、以下の回帰方程式(R)の作成・計算の処理(S305,S306)を行う。またデータセット(D)毎に同様の処理を行う。
【0066】
(S305) S304で選択したパターンに対応した以下の回帰方程式(R)を作成する。複数のデータセット(D)がある場合はデータセット(D)毎に同様に作成する。
【0067】
回帰方程式(R):Y=ΣAX → E=ΣUSM
目的変数(Y):工場全体の消費電力(E)
説明変数(X):各工程(K)における、仕様項目値(S)×生産量(M)
回帰係数(A):各工程(K)における、製造原単位(U)
Σ:各工程(K)の値の総和をとることを表す。なお上記式では、仕様項目(S)の値もSで表している。
【0068】
本例では、ある期間(T1=2010年1月)のデータセット(D1)に関して、パターン#2(回帰方程式R2)の場合、即ち、基板製造工程(k1)の原単位(U1)の単位が「層数」(s1)、かつ部品実装工程(k2)の原単位(U2)の単位が「実装部品数」(s2)の場合とする。この場合、回帰方程式R2は、E=U1・s1・m1+U2・s2・m2である。
【0069】
上記式(R)で、XとYには、S302で得たデータセット(D)から値を設定する。本例では、図4よりE=3036.1kWh、図5よりm1(PWB1)=10枚,m1(PWB2)=15枚,m1(PWB3)=20枚、等である。また、図6よりs1(PWB1)=10層,s1(PWB2)=20層,s1(PWB3)=30層,s2(PCB1)=1000個,s2(PCB2)=2000個,s2(PCB3)=1500個、等が設定される。
【0070】
(S306) 原単位計算部12による回帰分析の処理により、S305で作成した、データセット(D)毎の回帰方程式(R)を解いて、解(A)である各工程(K)の製造原単位(U)の値を算出すると共に、当該原単位(U)の確からしさを評価するための誤差(g)を算出する。なお回帰方程式の解法としては一般的な各種の数学的手法などを用いることができる。算出した原単位(U)及び誤差(g)などの情報は、原単位・誤差情報61(図9)に格納される。
【0071】
(S307) パターン情報54における複数(n)の全パターン(対応する回帰方程式R1〜Rn)について上記処理を実行し、計算結果を得る。
【0072】
(S308) 上記計算結果を含む原単位・誤差情報61(図9)を用いて、データ出力部13により、画面(図11)に情報を表示する。図11の下部の計算結果の出力例において、ユーザが例えば最適な回帰方程式(原単位)を比較して選択することができるように、上記で計算した複数(n)の全ての回帰方程式(R1〜Rn)における解である原単位(U)とその誤差(g)、及び対応する仕様項目(S)等の情報を表示する。例えば誤差(g)が小さい順序などで自動的に並べて表示する。
【0073】
(S309) ユーザは、それら複数の原単位(U)から、製品環境負荷(H)の評価計算用に登録するものを選択することができる(選択ボタンや登録ボタン)。例えば誤差(g)が最小のもの等を選択することができる。
【0074】
第1の処理部10は、上記選択された原単位(U)に関する情報を、製品環境負荷(H)の評価(計算)用の原単位(U)として登録する(原単位・誤差情報61に反映)。
【0075】
あるいは、上記で自動的に誤差(g)が最小のものを表示したり登録したりする形態としてもよい。
【0076】
また、誤差(g)が最小の解(原単位)を選択したとしても、当該値が経験値と一致しない場合なども有り得る。その場合、誤差(g)が小さい他のパターン(回帰方程式R)の情報を検討する等の対策を行うことができる。図11のように、全ての回帰方程式Rの原単位(U)及び誤差(g)等の情報を一覧で比較できるように表示するので、ユーザは簡単に検討ができる。
【0077】
図11中の「誤差」(g)は、小さい方を“1.0”としたとき、他方が“1.1”であること(誤差が10%大きい)を示している。本例では、誤差(g)が最小のパターン#2の回帰方程式(R2)から求めた製造原単位(U)は、基板製造工程(k1)対応の原単位(U1)では、s1を単位として計算され、2.85kWh/層であり、部品実装工程(k2)対応の原単位(U2)では、s2を単位として計算され、0.0034kWh/個である。
【0078】
[環境負荷計算処理]
同じく図3等を用いて、製品環境負荷(H)の計算処理について説明する。
【0079】
(S310) 第2のコンピュータシステム200(第2の処理部20)は、S309までの処理によって原単位・誤差情報61に格納された製造原単位(U)及び誤差(g)などの情報を読み込む。また、製品(P)の製造に必要な全工程の情報について、製品工程フロー情報55(図8)から読み込む。
【0080】
(S311) 第2の処理部20は、S310で読み込んだ情報、及び製品工程フロー情報55等を用いて、以下の製品(P)毎の環境負荷(H)の評価の計算処理を行う。本例では製品環境負荷(H)を消費電力の単位で算出する。計算結果は、製品環境負荷情報62に格納する。
【0081】
製品(P)の製造時の環境負荷(H)は、当該製品(P)の製造に必要なすべての工程(K)における工程(K)毎に、当該工程(K)に対応付けられる製造原単位(U)と、当該製品(P)の仕様に対応付けられる仕様項目値(S)と、生産量(M)との積(U×S×M)をとって、全工程(K)分の総和をとること(ΣUSM)により計算される。即ち、製品(P)の環境負荷(H)の計算式:H=ΣUSMである。
【0082】
PCB(204)の例では、H=U1・s1・m1+U2・s1・m1により算出できる。
【0083】
また上記で得た消費電力の単位の環境負荷(H)に対して、所定の変換係数を乗算することで、CO2排出量などの所定の単位の環境負荷を得ることができる。消費電力やCO2の例に限らず、大気汚染物質や水質汚染物質など、他の環境負荷の単位についても同様である。なお変換係数や変換後の値についての管理や処理は容易であるため説明は省略する。
【0084】
例えば、CO2排出量の単位の環境負荷を得る場合、変換係数F(CO2原単位)を、0.4kg-CO2/kWhとすると、製品製造時の環境負荷(H)は、PCB1:H=12.8kg-CO2(12.7),PCB2:H=25.6kg-CO2(25.5),PCB3:H=37.2kg-CO2(36.2)であり、誤差は最大約3%である。なお上記Hの括弧内の値は、本評価計算シミュレーション上における真の値として設定した値を示す。一方、従来の方法では、製品仕様を考慮していないため、H(CO2排出量)は全ての製品で等しい値、例えば24.8kg-CO2となり、誤差は最大で約50%である。従って本実施の形態の方が製品環境負荷をより正確に評価できると言える。
【0085】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、工場全体の環境負荷(E)を用いて環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに容易に工程別原単位(U)を計算する。かつ、製品の仕様及び工程フロー等に応じて、工程(K)での処理内容の違い(仕様項目(S)の値の違い)を考慮・反映した、仕様(仕様項目(S))を単位とする原単位(U)を計算する。これにより、製品(P)の環境負荷(H)を精度良く又はより正確に評価できる。更には、工程(K)に関連する複数の仕様項目(S)を考慮したパターンによる複数の回帰方程式(R)を扱うことで、好適な仕様項目(S)による原単位(U)を計算及び選択できる。
【0086】
本実施の形態は、従来の方法での工程別原単位(単位生産量あたりの環境負荷量)の概念に加え、工程ごとの製品の仕様(工程に関係付けられる仕様項目)を考慮した単位での工程別原単位(単位仕様項目あたりの環境負荷量)を計算するという概念である。なお、製造原単位に関して、工程ごとの単位(工程別原単位)で計算するように説明したが、工程に対応付けられる製造装置(設備)などの単位で計算すると考えても同様である。
【0087】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、半導体などの各種製品の生産管理システム、製造原単位や環境負荷を計算するソフトウェア・サービス、などに利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…第1の処理部(ソフトウェアプログラム)、11…データ入力部、12…原単位計算部、13…データ出力部、20…第2の処理部(ソフトウェアプログラム)、21…環境負荷計算部、51…環境負荷情報、52…生産履歴情報、53…製品仕様情報、54…組み合わせパターン情報、55…製品工程フロー情報、61…原単位・誤差情報、62…製品環境負荷情報、91,92…ネットワーク、100…第1のコンピュータシステム(原単位計算装置)、111…入力装置、112…演算装置、113…出力装置、200…第2のコンピュータシステム(環境負荷計算装置)、201…素材、202…PWB、203…PWB、204…PCB、301…環境負荷測定器、302…生産システム、303…設計システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品製造に係わる原単位や環境負荷などを計算する技術に関し、特に、半導体などの製品の工場全体の環境負荷などから工程(製造工程)の原単位を作成(計算)する技術、及び原単位を用いて製品の環境負荷などを評価(計算)する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造から輸送・販売・使用・廃棄に至るライフサイクル全体の環境負荷を分析する手法として、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)がある。LCAは、ライフサイクルの各段階における環境負荷を積み上げてライフサイクル全体の環境負荷を求める手法である。各段階の環境負荷(環境負荷量)は、(式1)[環境負荷]=[原単位]×[活動量]、により計算される。ここで[原単位]とは、単位活動量あたりの環境負荷量であり、[活動量]とは、各段階において測定される量を示す。
【0003】
本発明・本明細書では、製品製造時の環境負荷量を計算する方法に係わるため、上記の原単位を特に「製造原単位」とも呼ぶことにする。また以下では環境負荷の例として二酸化炭素(CO2)を取り上げ、その環境負荷の計算に係わる製造原単位の計算の方法に関して説明する。
【0004】
LCAでは、製品を1台製造するときに発生するCO2量を計算する。ここでエネルギー源として電力を使用する製造工程(ないし工程に対応付けられる設備(製造装置)など)では直接CO2は発生しないが、電力を生成するときにCO2が発生している。このため電力生成時のCO2を製品製造時のCO2量として計算する必要がある。即ち、製品製造時のCO2量は、まず製品製造に必要な電力量(消費電力)を求め、これと単位電力を生成するときに発生するCO2量とを掛け合わせることにより求めることができる。
【0005】
ここで電力に関する製造原単位を特に「電力原単位」と呼び、単位電力あたりのCO2量を「CO2原単位」と呼ぶことにする。CO2原単位は、電気事業連合会などによって公開されているため、事業者は各工程の電力原単位を求めれば、製品製造時のCO2量を計算することができる。
【0006】
電力原単位は、各工程(製造装置)に電量計などを設置することで測定・計算することができるが、測定環境が整備されていない工場などではコストや労力が大きい。この場合、消費電力量を各工程単位ではなく工場全体や作業職場といったマクロなレベル(単位)で測定し、生産量やコストを用いて製品1台あたりの値に按分するように計算するという方法が用いられる。例えば工場全体での一定期間の消費電力量を測定し、当該期間に製造した製品の生産量で除すると、製品1台あたりの消費電力量が計算できる。
【0007】
上記方法によれば、事業者のコストや労力を増大させることなく製品1台あたりの消費電力量を把握できるが、按分により、全製品の消費電力量が同一(平均化された値)になってしまう。即ち、製品の製造において使用される工程や設備は個々の製品(各種の仕様の製品)によって異なるが、上記方法では値が平均化されてしまうため、個々の製品については、上記按分の結果の値と実際の消費電力の値とが大きく異なる可能性がある。
【0008】
上記問題に対し、特許文献1に記載の方法が挙げられる。特許文献1では、全体の各工程について単位活動量あたりの製造原単位を未知数とし、一定期間における生産量と前記未知数との積を全工程について足し合わせた値が、同期間における全体の環境負荷と等しいとする連立方程式を立て、これを解くことにより各工程ごとの製造原単位(以下「工程別原単位」等と呼ぶ)を求めるという方法が記載されている。
【0009】
特許文献1の方法によれば、環境負荷を工場全体(各種の製品の製造に係わる複数の工程・設備等を含む)などのマクロなレベル(単位)で測定すれば、工程別原単位を計算できる(環境負荷の測定の工数やコストを増大させることなく容易に工程別原単位を計算できる)。更に、製品の環境負荷は、当該製品の製造に使用する各工程の製造原単位(上記の工程別原単位)の総和として求めることができる。よって、個々の製品による工程(工程フロー)の違いを考慮した環境負荷の評価(計算)ができる。即ち、上述の環境負荷を生産量やコストで按分する方法と同等の容易さで、より正確な環境負荷の評価(計算)ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−195916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、特許文献1の方法(生産量あたりの製造原単位を未知数とする原単位計算方法)などの従来の方法(マクロな環境負荷をもとに工程別原単位を計算する方法)では、環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに工程別原単位を容易に計算できる等の利点があるが、以下のような問題がある。
【0012】
全体のうち各工程で発生する環境負荷は、同一の工程であっても製品によって異なり得る。例えば工場で製造する各種の仕様の製品が存在し、当該製品(仕様)に応じて工程(工程フロー)が異なり得る。かつ、製品の仕様(仕様項目)ごとに工程での処理内容に違いがあり得る。仕様項目とは例えば基板の層数や実装部品数などである。例えば、ある第1の工程(設備)において、第1の製品については第1の仕様項目(例えば層数)の値(例えば10層)に応じて第1の処理内容(対応して第1の電力量)になるが、第2の製品については第2の仕様項目(層数)の値(例えば20層)に応じて第2の処理内容(対応して第2の電力量)になる、といった具合である。
【0013】
それに対し、例えば特許文献1の方法では、生産量を係数とする方程式を解いて製造原単位を求めているため、上記のような個々の製品(対応する仕様)に応じた工程の処理内容(対応する仕様項目の値)の違いを考慮できない、即ち原単位の計算の精度が不十分、という問題点がある。
【0014】
以下、工程別原単位及び製品環境負荷の計算に係わり、製品の一例であるプリント回路基板(PCB)を例に具体的に説明する。プリント回路基板(PCB)の製造工程全体(製造フロー)は、主に、表面に銅配線を形成したガラスエポキシ板を複数積み上げて基板(PWB:Printed Wired Board)(プリント配線板)を製造する基板製造工程(第1の工程:k1とする)と、その基板(PWB)上にLSI等の電子部品を配置して銅配線と接続することによりプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)を製造する部品実装工程(第2の工程:k2とする)と、から成る(図2対応)。
【0015】
ここで例えば部品実装工程(k2)では、処理内容の1つとして、部品を1個ずつ基板(PWB)上に配置する処理(配置処理)を行っているが、当該工程(k2)による生産量としては、仕上がったプリント回路基板(PCB)の枚数をカウントする。このため、特許文献1などの従来の方法では、部品実装工程(k2)の原単位(工程別原単位)は、PCB1枚あたりの値となるが、当該工程(k2)における実際の環境負荷量は、当該工程(k2)で実装する部品数や部品の種類などの仕様項目の値に例えば比例して大きくなると考えられる。
【0016】
上述のように、従来の方法では、製品(仕様)ごとの各工程の仕様項目(例えば層数や実装部品数)の値の違いを考慮・反映した製造原単位(工程別原単位)を計算することはできない(していない)。そのため、当該原単位を用いて製品の環境負荷を計算すると誤差が大きくなってしまう可能性があった。製品の仕様及びフローに応じて、各工程の処理内容による仕様項目の値が異なり、それに応じて異なる工程別原単位及び環境負荷量の値が計算されることが望ましい。
【0017】
更に、上記製品の仕様を考慮した工程別原単位の計算を考えた場合、上述のように各工程の処理内容は仕様項目の値と関連しているが、製品の仕様を構成する仕様項目が複数存在するため、どの仕様項目に着目して製造原単位を求めればよいかがわからない、という問題がある。例えばプリント回路基板(PCB)については、基板の層数、実装部品数、面積など、複数の仕様項目が処理内容に関連すると考えられる。
【0018】
以上を鑑み、本発明の主な目的は、製品の製造原単位(工程別原単位)や環境負荷の計算に係わり、環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに容易に原単位を計算し、かつ、製品の仕様に応じた工程での処理内容の違い(仕様項目の値の違い)を考慮・反映した原単位を計算し、これにより製品の環境負荷を精度良く又はより正確に評価(計算)できる技術を提供することである。更には、工程に関連する複数の仕様項目を考慮して好適な原単位を計算できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の代表的な実施の形態は、製品の製造に係わる原単位や環境負荷を計算する装置及びプログラムなどであって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0020】
本形態の原単位計算装置は、複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理部と、上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する計算処理部と、前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理部と、を有する。
【0021】
本形態の環境負荷計算装置は、上記原単位計算装置の備える各処理部に加え、前記原単位(U)及び誤差(g)を含む情報と、製品(P)の仕様項目(S)の情報と、前記製品(P)の製造の工程フロー情報とを用いて、前記製品(P)ごとに、当該製品(P)の製造に係わる全ての工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記仕様項目(S)の値と、前記生産量(M)との積を、全工程(K)で加算した値により、当該製品(P)の環境負荷(H)を算出する第2の計算処理部を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の代表的な実施の形態によれば、製品の製造原単位(工程別原単位)や環境負荷の計算に係わり、環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに容易に原単位を計算し、かつ、製品の仕様に応じた工程での処理内容の違い(仕様項目の値の違い)を考慮・反映した原単位を計算し、これにより製品の環境負荷を精度良く又はより正確に評価(計算)できる。更には、工程に関連する複数の仕様項目を考慮して好適な原単位を計算できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態のシステム(原単位計算装置、環境負荷計算装置を含む)の全体の構成例を示す図である。
【図2】製品の製造工程全体(工場全体)の例を概念的に示す図である。
【図3】本実施の形態における原単位計算処理及び環境負荷計算処理のフローチャートを示す図である。
【図4】環境負荷情報(51)の例を示す図である。
【図5】生産履歴情報(52)の例を示す図である。
【図6】製品仕様情報(53)の例を示す図である。
【図7】工程−仕様組み合わせパターン情報(54)の例を示す図である。
【図8】製品工程フロー情報(55)の例を示す図である。
【図9】原単位・誤差情報(61)の例を示す図である。
【図10】製品環境負荷情報(62)の例を示す図である。
【図11】本実施の形態における表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
本実施の形態では、前提として工場全体の環境負荷(消費電力)に基づき、製品の製造に係わる原単位(工程別原単位)などを容易かつ精度よく計算する原単位計算装置(図1では第1のコンピュータシステム100)、及び、上記計算による原単位などの情報を用いて、製品の環境負荷(消費電力)を評価(計算)する環境負荷計算装置(図1では第2のコンピュータシステム200)などを示す。
【0026】
本実施の形態では、特徴として、製品の製造工程フロー及び仕様を考慮・反映した、工程別に仕様項目を単位として計算される製造原単位(以下単に「原単位」「工程別原単位」等と称する)を計算する。製品(対応する仕様)毎に工程(対応する設備等)の処理内容(関連する仕様項目の値)が異なることを考慮して、データセットごとに、工程と仕様項目の組み合わせパターンに応じた複数の回帰方程式を作成してそれらの解(原単位)及び誤差を算出する。それらの結果の中から好適な値をユーザにより選択可能とし、当該原単位を用いて製品の環境負荷を計算することができる。
【0027】
[用語・記号]
説明上の記号として適宜以下を用いる:
P:製品: 工場全体で製造される製品 (例えば図2のPWB(“PWB1”等)、PCB(“PCB1”等))
S(s):仕様/仕様項目/仕様項目値: 製品の仕様を構成する仕様項目及びその値 (例えば図2のs1(層数),s2(実装部品数))
K(k):工程(製造工程): 工場全体に含まれる工程 (例えば図2の基板製造工程(k1)、部品実装工程(k2))
M(m):生産量: 工程で製造(生産・処理等)された量 (例えば図2のm1,m2)
U:原単位(製造原単位): 本実施の形態では、工程別原単位を指し、更に、仕様項目を反映(関連付け)して計算される原単位を指す
E:全体環境負荷: 工場全体での環境負荷(消費電力)
H:製品環境負荷: 製品ごとの環境負荷(消費電力)
T:期間: データセット(D)を集計・取得する単位となる期間
D:データセット: 期間(T)に対応した、回帰方程式(R)を作成する対象(元)とするデータセット
R:回帰方程式: 原単位を計算するための式 (データセット(D)毎に工程と仕様の組み合わせパターンによるパターン数(n)に応じた複数(n)の回帰方程式(R1〜Rn)が作成される)
g:誤差: 回帰方程式(R)の解(回帰係数)に関する誤差。
【0028】
[システム]
図1は、本実施の形態のシステム全体の構成例を示す。本システムは、原単位計算装置である第1のコンピュータシステム100、及び環境負荷計算装置である第2のコンピュータシステム200を含んでなる。第1のコンピュータシステム100に対して、ネットワーク91(LANやインターネットなど)を介して、環境負荷測定器301、生産システム302、設計システム303等の公知のシステムが接続されている。また、ネットワーク92(LANやインターネットなど)を介して、第1のコンピュータシステム100と第2のコンピュータシステム200が接続されている。301〜303等は例えば事業者側の管理するシステムである。
【0029】
本実施の形態は、主な2つの処理(原単位計算と環境負荷計算)を実現する2つの処理部(第1の処理部10,第2の処理部20)を、2つのコンピュータシステム(100,200)に分けて実装し接続する構成例である。各コンピュータシステム(100,200)及び処理部(10,20)は、例えばPC及びその上で動作するソフトウェアプログラム等により構成される。これに限らず、2つの処理部(10.20)を1つのコンピュータシステムに統合した形態なども可能である。また、事業者側の各システム(301〜303)とネットワーク91(例えばインターネット)を介してデータ情報を授受して計算機能を提供する形態、例えばWebサービスを提供する形態などとしてもよい。
【0030】
第1のコンピュータシステム100は、第1の処理部10{データ入力部11、原単位計算部12、データ出力部13}、入力装置111、演算装置112、出力装置113、環境負荷情報51・生産履歴情報52・製品仕様情報53などのデータ情報の記憶部、通信装置などを有する。
【0031】
データ入力部11は、入力装置111や通信装置等を用いて、ユーザや各システム(301〜303)から必要な各種データ情報(51〜53)を受け付け入力する処理などを行う。原単位計算部12は、演算装置112を用いて、データ入力部11から読み込んだデータ情報を用いて、工程別原単位に関する計算処理を行う。また原単位計算部12は、組み合わせパターン情報54などの情報も必要に応じて生成または取得し記憶部に格納する。データ出力部13は、出力装置113や通信装置等を用いて、原単位などの計算結果情報などを画面に表示する処理を行う。第1の処理部10での計算結果は、原単位・誤差情報61に格納される。
【0032】
第2のコンピュータシステム200は、第2の処理部20{(製品)環境負荷計算部21}、(製品)環境負荷情報62の記憶部、製品工程フロー情報55の記憶部、等を有する。第2のコンピュータシステム200は、第1のコンピュータシステム100と同様にPC等で構成可能であるため、演算装置などの要素は説明省略する。
【0033】
第2の処理部20の(製品)環境負荷計算部21は、第1のコンピュータシステム100の原単位・誤差情報61から工程別原単位(U)などの必要なデータ情報を取得・入力し、また、ユーザや各システム(301〜303)から必要なデータ情報(本例では製品工程フロー情報55)を受け付け入力して、製品の環境負荷(H)に関する計算処理を行う。第2の処理部20での計算結果は、(製品)環境負荷情報62に格納され、第1のコンピュータシステム100と同様に画面表示などで出力可能である。
【0034】
環境負荷測定器301は、工場全体(図2対応)の環境負荷(E)を消費電力の形式で測定し、環境負荷情報51(図4)として出力され、第1のコンピュータシステム100内の記憶部に格納される。
【0035】
生産システム302は、工場全体(図2対応)の設備などのシステムと、その生産管理を行うシステムとを含み、工場全体の各工程(対応する設備など)から生産情報などを収集し、生産履歴情報52(図5)として出力され、第1のコンピュータシステム100内の記憶部に格納される。
【0036】
設計システム303は、工場全体(図2対応)で製造される各種の製品に関する設計情報を管理・作成する。この設計情報は、製品仕様情報53(図6)が含まれており、第1のコンピュータシステム100内の記憶部に格納される。
【0037】
[製造工程全体]
図2は、対象の工場全体における製造工程全体の例、及び関連情報などを概念的に示している。図2の全体は、図4以降に示す各種データを集計・取得する対象となり、複数の仕様の製品(複数の仕様項目)の製造に係わる複数の工程を含む。工程(K)として、第1の工程(k1)である基板製造工程、第2の工程(k2)である部品実装工程を有する。製品(P)として、201は購入によりk1に投入される素材、202はk2に投入されるPWB(プリント配線板)、203はk1で製造されk2に投入されるPWB、204はk2で製造されるPCB(プリント回路基板)を示す。基板製造工程(k1)では、素材(201)を投入してPWB(203)を製造する。部品実装工程(K2)では、一方側、基板製造工程(k1)で製造されたPWB(203)に加え、他方側、購入によるPWB(202)を投入し、PCB(204)を製造する。生産量(M)として、203のPWBの生産量をm1、204のPCBの生産量をm2とする。また、各工程(k1,k2)の対応する各設備は電力で駆動されているが、その消費電力については個別ではなく工場全体(E)で管理・測定されている(環境負荷測定器301)。
【0038】
また、工程(K)ごとに、工程別原単位(U)が対応付けられる。即ち、第1の工程(k1)に対して第1の原単位(U1)、第2の工程(k2)に対して第2の原単位(U2)が対応付けられる。
【0039】
また本実施の形態では、各工程(K)に対して仕様項目(S)を関連付けることになる(後述、組み合わせパターン情報54等)。図2の例では、第1の工程(k1)に対して第1の仕様項目(s1)が関連付けられ、第2の工程(k2)に対して、第1の仕様項目(s1)及び第2の仕様項目(s2)の2つが関連付けられる場合を示している。各工程(K)では、可変制御される処理内容(例えば基板の積層、穴開け、配置処理、等がある)を有し、当該処理内容に応じて製品の仕様項目(S)の値を可変にできる。s1は「層数」、s2は「実装部品数」である。
【0040】
本目的としては、上記製品の仕様(S)(各仕様項目)を考慮した原単位(U1,U2)を計算することである。また、その原単位(U1,U2)を用いて、製品(P)ごとの製造工程フロー(製造工程フロー情報55)に応じて、製品(P)の環境負荷(H)を計算することである。
【0041】
[処理概要]
図3及び図11等を用いて原単位計算処理及び環境負荷計算処理の流れについて説明する。S301等は処理ステップ等を表す。本処理の際、図4以降に示す各種データ情報(51〜55,61,62)が用いられる。またユーザは、原単位を計算する際は第1のコンピュータシステム100の表示画面(図11)を見ながら操作し、製品環境負荷(H)を計算する際は第2のコンピュータシステム200の表示画面(省略)を見ながら操作する。S301〜S309は、第1の処理部10による原単位計算処理であり、S310〜S311は、S309までの処理を前提とした、第2の処理部20による環境負荷計算処理である。以下先にデータ情報の例について説明する。
【0042】
[環境負荷情報]
図4の環境負荷情報51は、「期間」(T)、環境負荷量{「環境負荷名」,「値」(E),「単位」}、等の情報が記録される。「期間」(T)は、当該環境負荷量を測定した期間(後述のデータセット(D)を取得する単位)を示す。「環境負荷名」は本例では消費電力であり、「値」(E)は、当該期間(T)における工場全体での環境負荷量(合計消費電力量)であり、「単位」はその値(E)の測定・集計の単位、例えば[kWh]を示す。図4では例えば、T=2010年1月の合計消費電力量(E)が3036.1kWhであったことを示している。
【0043】
[生産履歴情報]
図5の生産履歴情報52は、「工程」(K)、「期間」(T)、「製品」(P)、「生産量」(M)、等の情報が記録される。「工程」(K)は、各工程(k)を特定する名称やID等である。「期間」(T)は、生産情報(51)を収集した期間である。「製品」(P)は、当該期間(T)・工程(K)で製造(生産・処理等)された個々の製品を特定する名称やID等である。「生産量」(M)は、当該期間(T)・工程(K)での当該製品(P)の生産量(単位は[枚])を示す。
【0044】
図5では例えば、基板製造工程(k1)では、T=2010年1月に、製品“PWB1”を10枚、“PWB2”を15枚、“PWB3”を20枚生産したことを示している。“PWB1”の生産量(M)は、図2の第1の工程(k1)後のPWB(203)の生産量(m1)と対応している。また同期間(T)で、製品“PCB1”を20枚、“PCB2”を15枚、“PCB3”を10枚生産したことを示している。“PCB1”の生産量(M)は、図2の第2の工程(k2)後のPCB(204)の生産量(m2)と対応している。
【0045】
[製品仕様情報]
図6の製品仕様情報53は、「製品」(P)、及び当該製品の仕様情報{「仕様項目」、「値」、「単位」}、等の情報が記載される。「製品」(P)は、工場全体(図2)で製造される、1種類以上の製品(P)の製品名やID等である。仕様情報として、当該製品(P)の仕様を構成する1つ以上の各仕様項目(S)、その値、及びその単位、等が記載される。「仕様項目」は、仕様項目を特定する名称やID等である。本例では、仕様項目(S)として、s1:「層数」、s2:「実装部品数」、を有する。その他の仕様項目の例としては、部品種類や面積など各種が挙げられる。
【0046】
図6の例では、製品“PWB1”,“PWB2”,“PWB3”は、基本はPWB(203)であるが、仕様として層数(s1)が異なっている(s2は無し)。層数(s1)は、“PWB1”が10層、“PWB2”が20層、“PWB3”が30層である。また、製品“PCB1”,“PCB2”,“PCB3”は、基本はPCB(204)であるが、仕様として、層数(s1)及び実装部品数(s2)が異なっている。層数(s1)は例えば“PWB1”から“PCB1”へ継承されている。実装部品数(s2)は、“PCB1”が1000個、“PCB2”が2000個、“PCB3”が1500個である。
【0047】
仕様項目(S)としては、本例の2種類(s1,s2)のみに限らず、製造工程全体における環境負荷と関連が高いと思われる仕様項目をできるだけ多く抽出して扱うことにより、原単位計算において適切な仕様項目を反映できるため、より正確な原単位を求めることができる。
【0048】
[組み合わせパターン情報]
図7は、第1のコンピュータシステム100での自動生成等により得られるパターン情報(工程−仕様組み合わせパターン情報)54の例を示す。本パターン情報54には、製品(P)の製造に関して、製造工程全体(図2)の各工程(k1,k2)と、製品仕様情報53の各仕様(仕様項目:s1,s2)との関係で、考えられるすべての組み合わせパターンを生成して記載する。本パターン情報54は、工程別原単位(U)の計算(回帰方程式の作成)の際に反映する単位となる仕様項目(S)を設定するために生成される。なお生成は第1の処理部10(原単位計算部12)で自動的に行うが、他のシステムやユーザが作成したものを利用してもよい。
【0049】
図7のパターン情報54の表では、左側の列、縦方向は「パターン番号」(各パターンの識別番号)を示し、上の行、横方向は各工程(k1,k2)を示し、パターンと工程の交差箇所は関係付けられる仕様項目(S)を示している。例えば、第1のパターン(#1)では、k1にs1、k2にs1が関係付けられる。第2のパターン(#2)では、k1にs1、k2にs2が関係付けられる。この関係付けは図2にも例示している。また右側には、データセット(D)ごとの回帰方程式(R)の処理において、パターンごとに作成される回帰方程式(R)との対応を示している。期間(T)対応のデータセット(D)ごとに、パターン数(n)に応じた複数(n)の回帰方程式(R1〜Rn)が作成される。
【0050】
なお本例では図2のように2つの工程(k1,k2)と2つの仕様項目(s1,s2)から2つのパターンしかない場合を示しているが、例えば全体で更に第3の工程、第3の仕様項目といったように増える場合はその分多数のパターンとなる。
【0051】
[製品工程フロー情報]
図8は、製品工程フロー情報55の例を示す。製品工程フロー情報55は、製品(P)ごとの製造に必要な全工程フロー(図2対応)の情報が含まれている。本情報は、第2のコンピュータシステム200に対する情報入力または自動生成、あるいは第1のコンピュータシステム100や生産システム302等から得られる(いずれでもよい)。図8の製品工程フロー情報55は、左の列の「製品」(P)は製品名などを示し、上の行の「工程順」は、当該製品(P)を製造する工程フローにおける工程順を示す。製品と工程順の交差箇所は、適用する工程(K)の工程名などを示す。例えば、製品“PWB1”は、1番目の工程がk1であることを示し、製品“PCB1”は、1番目の工程がk1、2番目の工程がk2であることを示す。
【0052】
[原単位・誤差情報]
図9は、原単位・誤差情報61の例を示す。本情報は画面(図11)の情報に使用される。原単位・誤差情報61は、「工程」(K)、「仕様項目」(S)、「原単位」(U)、「単位」、「回帰方程式」、「誤差」、等の情報が記載される。「工程」(K)は、当該工程別原単位(U)の対応する工程名などである。「仕様項目」(S)は、当該工程別原単位(U)の計算に反映された仕様項目名などを示す。「原単位」(U)は、原単位計算部12で算出された当該原単位の値が格納される。「単位」は、「仕様項目」に応じた「原単位」を構成する単位であり、分母は「仕様項目」に応じた例えば「層」や「個」になる。「回帰方程式」は、当該原単位(U)の計算で使用された回帰方程式(R)の識別情報などを示す。「誤差」は、当該原単位(U)の値と共に算出された誤差(g)が格納される。
【0053】
図9の例では、ある回帰方程式(R2)(前記パターン#2対応)による計算結果例を示しており、基板製造工程(k1)の原単位(U1)は、層数(s1)を単位として計算された原単位であり、1層あたりの電力量([kWh/層])で示され、例えば2.85kWh/層である。また、部品実装工程(k2)の原単位(U2)は、実装部品数(s2)を単位として計算された原単位であり、実装する部品1個あたりの電力量([kWh/個])で示され、例えば0.0034kWh/個である。同様に、複数(n)の各パターンの回帰方程式(R1〜Rn)毎の結果が格納される。また計算元のデータセット(D)が複数ある場合は更にその複数分の結果が同様に格納される。また製品環境負荷(H)の計算用に登録する原単位などについては図示しないフラグ情報などで管理される。
【0054】
[製品環境負荷情報]
図10は、製品環境負荷情報62の例を示す。本情報は第2のコンピュータシステム200の画面の情報に使用される。製品環境負荷情報62では、「製品」(P)毎に、第2の処理部20で計算された形式(本例では消費電力)の環境負荷(H)の値などが記載される。また変換係数での簡単な計算により得られる所望の形式(例えばCO2排出量)の環境負荷の値などを記載してもよい。また関連情報として、当該環境負荷(H)の計算で使用した原単位(U)に関する情報(回帰方程式などの情報)などが適宜記載される。
【0055】
[原単位計算処理]
図3に戻り、原単位計算処理について説明する。
【0056】
(S301) まず第1の処理部10による処理に基づいて、画面(図11)でのユーザ操作などにより、入力データや計算条件などを指定する。
【0057】
図11の画面(例えばWebブラウザ画面)では、上部に、入力データ及び計算条件等の指定を行うための領域を有し、下部に、原単位に関する計算結果の情報を表示する領域を有する。
【0058】
「入力データ」として、環境負荷情報51、生産履歴情報52、製品仕様情報53等の各種データのファイル名やテーブル名などを指定・入力する。なお当該入力データが固定の場合は予め本システムに情報を登録しておくことにより本指定・入力操作を省略することができる。
【0059】
「計算条件」として、原単位の計算(回帰方程式(R)の作成)に使用するデータセット(D)を集計・取得するための期間(T)などの情報を同様に指定・入力する。本例では、環境負荷情報51及び生産履歴情報52のデータ登録日時などに関する範囲及びその単位(月、週など)を指定することで、1つ以上の期間(T)が指定され、各期間(T)ごとのデータセット(D)が取得される。図11の例では、2010年1月から5月までの範囲の入力データを月単位で使用することを示す。
【0060】
(S302) 第1の処理部10は、S301で指定された範囲などに合致する各種データ(51,52,53等)を読み込むことにより、計算対象となる1つ以上のデータセット(D)を取得する。本例の場合、各月の期間(T)による5つ(5種類)のデータセット(D)が取得されることになる。なお複数のデータセット(D)がある場合、データセット(D)毎に同様の処理となる。
【0061】
第1の処理部10は、上記読み込んだ例えば生産履歴情報52(図5)からは、当該期間(T)・工程(K)で製造された製品(P)やその生産量(M)などの情報を把握する。また例えば当該製品名などを検索キーとして、製品仕様情報53(図6)から検索することで、当該製品(P)の仕様情報を取得する。
【0062】
(S303) 次に、第1の処理部10は、S302で読み込んだ情報(52,53等)を用いて、工程−仕様組み合わせパターン情報54(図7)を生成して記憶部に格納する。なお予め生成された情報を使用してもよい。本パターン情報54は、データセット(D)ごとの複数(n)の回帰方程式(R1〜Rn)の各々の設定(作成)に用いる。
【0063】
パターン情報54の生成例は以下である。まず生産履歴情報52(図5)より、指定の範囲(2010年1月〜5月)(T1〜T5)に製造された製品(P)は、基板製造工程(k1)ではPWB1,PWB2,PWB3の3種類のPWBがあり、部品実装工程(k2)ではPCB1,PCB2,PCB3の3種類のPCBがある。また製品仕様情報53(図6)より、PWB(上記3種類)の製品仕様としては「層数」(s1)が登録されており、PCB(上記3種類)の製品仕様としては「層数」(s1)と「実装部品数」(s2)の2つが登録されている。
【0064】
工程(k1,k2)と仕様項目(s1,s2)との関連付けにより、考えられるすべての組み合わせを生成して設定する。本例では、図7に示す2通りのパターン(#1,#2)が生成される。
【0065】
(S304) 次に、S303で生成したパターン情報54(図7)から任意に1つずつパターンを選択し、パターン毎に、以下の回帰方程式(R)の作成・計算の処理(S305,S306)を行う。またデータセット(D)毎に同様の処理を行う。
【0066】
(S305) S304で選択したパターンに対応した以下の回帰方程式(R)を作成する。複数のデータセット(D)がある場合はデータセット(D)毎に同様に作成する。
【0067】
回帰方程式(R):Y=ΣAX → E=ΣUSM
目的変数(Y):工場全体の消費電力(E)
説明変数(X):各工程(K)における、仕様項目値(S)×生産量(M)
回帰係数(A):各工程(K)における、製造原単位(U)
Σ:各工程(K)の値の総和をとることを表す。なお上記式では、仕様項目(S)の値もSで表している。
【0068】
本例では、ある期間(T1=2010年1月)のデータセット(D1)に関して、パターン#2(回帰方程式R2)の場合、即ち、基板製造工程(k1)の原単位(U1)の単位が「層数」(s1)、かつ部品実装工程(k2)の原単位(U2)の単位が「実装部品数」(s2)の場合とする。この場合、回帰方程式R2は、E=U1・s1・m1+U2・s2・m2である。
【0069】
上記式(R)で、XとYには、S302で得たデータセット(D)から値を設定する。本例では、図4よりE=3036.1kWh、図5よりm1(PWB1)=10枚,m1(PWB2)=15枚,m1(PWB3)=20枚、等である。また、図6よりs1(PWB1)=10層,s1(PWB2)=20層,s1(PWB3)=30層,s2(PCB1)=1000個,s2(PCB2)=2000個,s2(PCB3)=1500個、等が設定される。
【0070】
(S306) 原単位計算部12による回帰分析の処理により、S305で作成した、データセット(D)毎の回帰方程式(R)を解いて、解(A)である各工程(K)の製造原単位(U)の値を算出すると共に、当該原単位(U)の確からしさを評価するための誤差(g)を算出する。なお回帰方程式の解法としては一般的な各種の数学的手法などを用いることができる。算出した原単位(U)及び誤差(g)などの情報は、原単位・誤差情報61(図9)に格納される。
【0071】
(S307) パターン情報54における複数(n)の全パターン(対応する回帰方程式R1〜Rn)について上記処理を実行し、計算結果を得る。
【0072】
(S308) 上記計算結果を含む原単位・誤差情報61(図9)を用いて、データ出力部13により、画面(図11)に情報を表示する。図11の下部の計算結果の出力例において、ユーザが例えば最適な回帰方程式(原単位)を比較して選択することができるように、上記で計算した複数(n)の全ての回帰方程式(R1〜Rn)における解である原単位(U)とその誤差(g)、及び対応する仕様項目(S)等の情報を表示する。例えば誤差(g)が小さい順序などで自動的に並べて表示する。
【0073】
(S309) ユーザは、それら複数の原単位(U)から、製品環境負荷(H)の評価計算用に登録するものを選択することができる(選択ボタンや登録ボタン)。例えば誤差(g)が最小のもの等を選択することができる。
【0074】
第1の処理部10は、上記選択された原単位(U)に関する情報を、製品環境負荷(H)の評価(計算)用の原単位(U)として登録する(原単位・誤差情報61に反映)。
【0075】
あるいは、上記で自動的に誤差(g)が最小のものを表示したり登録したりする形態としてもよい。
【0076】
また、誤差(g)が最小の解(原単位)を選択したとしても、当該値が経験値と一致しない場合なども有り得る。その場合、誤差(g)が小さい他のパターン(回帰方程式R)の情報を検討する等の対策を行うことができる。図11のように、全ての回帰方程式Rの原単位(U)及び誤差(g)等の情報を一覧で比較できるように表示するので、ユーザは簡単に検討ができる。
【0077】
図11中の「誤差」(g)は、小さい方を“1.0”としたとき、他方が“1.1”であること(誤差が10%大きい)を示している。本例では、誤差(g)が最小のパターン#2の回帰方程式(R2)から求めた製造原単位(U)は、基板製造工程(k1)対応の原単位(U1)では、s1を単位として計算され、2.85kWh/層であり、部品実装工程(k2)対応の原単位(U2)では、s2を単位として計算され、0.0034kWh/個である。
【0078】
[環境負荷計算処理]
同じく図3等を用いて、製品環境負荷(H)の計算処理について説明する。
【0079】
(S310) 第2のコンピュータシステム200(第2の処理部20)は、S309までの処理によって原単位・誤差情報61に格納された製造原単位(U)及び誤差(g)などの情報を読み込む。また、製品(P)の製造に必要な全工程の情報について、製品工程フロー情報55(図8)から読み込む。
【0080】
(S311) 第2の処理部20は、S310で読み込んだ情報、及び製品工程フロー情報55等を用いて、以下の製品(P)毎の環境負荷(H)の評価の計算処理を行う。本例では製品環境負荷(H)を消費電力の単位で算出する。計算結果は、製品環境負荷情報62に格納する。
【0081】
製品(P)の製造時の環境負荷(H)は、当該製品(P)の製造に必要なすべての工程(K)における工程(K)毎に、当該工程(K)に対応付けられる製造原単位(U)と、当該製品(P)の仕様に対応付けられる仕様項目値(S)と、生産量(M)との積(U×S×M)をとって、全工程(K)分の総和をとること(ΣUSM)により計算される。即ち、製品(P)の環境負荷(H)の計算式:H=ΣUSMである。
【0082】
PCB(204)の例では、H=U1・s1・m1+U2・s1・m1により算出できる。
【0083】
また上記で得た消費電力の単位の環境負荷(H)に対して、所定の変換係数を乗算することで、CO2排出量などの所定の単位の環境負荷を得ることができる。消費電力やCO2の例に限らず、大気汚染物質や水質汚染物質など、他の環境負荷の単位についても同様である。なお変換係数や変換後の値についての管理や処理は容易であるため説明は省略する。
【0084】
例えば、CO2排出量の単位の環境負荷を得る場合、変換係数F(CO2原単位)を、0.4kg-CO2/kWhとすると、製品製造時の環境負荷(H)は、PCB1:H=12.8kg-CO2(12.7),PCB2:H=25.6kg-CO2(25.5),PCB3:H=37.2kg-CO2(36.2)であり、誤差は最大約3%である。なお上記Hの括弧内の値は、本評価計算シミュレーション上における真の値として設定した値を示す。一方、従来の方法では、製品仕様を考慮していないため、H(CO2排出量)は全ての製品で等しい値、例えば24.8kg-CO2となり、誤差は最大で約50%である。従って本実施の形態の方が製品環境負荷をより正確に評価できると言える。
【0085】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、工場全体の環境負荷(E)を用いて環境負荷の測定の工数やコストを増大させずに容易に工程別原単位(U)を計算する。かつ、製品の仕様及び工程フロー等に応じて、工程(K)での処理内容の違い(仕様項目(S)の値の違い)を考慮・反映した、仕様(仕様項目(S))を単位とする原単位(U)を計算する。これにより、製品(P)の環境負荷(H)を精度良く又はより正確に評価できる。更には、工程(K)に関連する複数の仕様項目(S)を考慮したパターンによる複数の回帰方程式(R)を扱うことで、好適な仕様項目(S)による原単位(U)を計算及び選択できる。
【0086】
本実施の形態は、従来の方法での工程別原単位(単位生産量あたりの環境負荷量)の概念に加え、工程ごとの製品の仕様(工程に関係付けられる仕様項目)を考慮した単位での工程別原単位(単位仕様項目あたりの環境負荷量)を計算するという概念である。なお、製造原単位に関して、工程ごとの単位(工程別原単位)で計算するように説明したが、工程に対応付けられる製造装置(設備)などの単位で計算すると考えても同様である。
【0087】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、半導体などの各種製品の生産管理システム、製造原単位や環境負荷を計算するソフトウェア・サービス、などに利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…第1の処理部(ソフトウェアプログラム)、11…データ入力部、12…原単位計算部、13…データ出力部、20…第2の処理部(ソフトウェアプログラム)、21…環境負荷計算部、51…環境負荷情報、52…生産履歴情報、53…製品仕様情報、54…組み合わせパターン情報、55…製品工程フロー情報、61…原単位・誤差情報、62…製品環境負荷情報、91,92…ネットワーク、100…第1のコンピュータシステム(原単位計算装置)、111…入力装置、112…演算装置、113…出力装置、200…第2のコンピュータシステム(環境負荷計算装置)、201…素材、202…PWB、203…PWB、204…PCB、301…環境負荷測定器、302…生産システム、303…設計システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の製造に係わる原単位を計算する原単位計算装置であって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理部と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する計算処理部と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理部と、を有すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項2】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記計算処理部では、前記製造工程全体の複数の各工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記工程(K)の生産量(M)と、前記工程(K)に関係付けられる仕様項目(S)の値との積を全工程(K)で加算した値が、前記製造工程全体の環境負荷(E)に等しい、とする回帰方程式(E=ΣUSM)を作成すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項3】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記計算処理部は、前記データ情報をもとに、前記工程(K)と前記仕様項目(S)とを関係付ける、すべての組み合わせパターンを生成し、当該パターンごとに前記回帰方程式を作成することで、前記データセット(D)ごとに、当該パターン数(n)に応じた複数(n)の回帰方程式(R)を作成すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項4】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記入力処理部は、前記製造工程全体の環境負荷(E)の情報と前記生産量(M)の情報とにおける集計の期間(T)を変えた複数のデータセット(D)を取得し、
前記計算処理部は、前記複数のデータセット(D)の各々について同様に前記回帰方程式の作成及び計算を行い、
前記出力処理部は、前記複数のデータセット(D)の各々についての計算結果情報を出力すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項5】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記出力処理部は、前記1つ以上の回帰方程式の解である前記原単位(U)、前記誤差、及び前記関係付けられる仕様項目(S)を含む情報を、ユーザが参照及び比較可能なように画面に表示し、ユーザにより選択される原単位(U)を製品環境負荷(H)の計算用の原単位として登録可能とすること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項6】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記出力処理部は、前記1つ以上の回帰方程式の解である前記原単位(U)、前記誤差、及び前記関係付けられる仕様項目(S)を含む情報をもとに、前記誤差が最小である原単位(U)を製品環境負荷(H)の計算用の原単位として登録すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項7】
製品の製造に係わる原単位を用いて環境負荷を計算する環境負荷計算装置であって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理部と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する第1の計算処理部と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理部と、
前記原単位(U)及び誤差(g)を含む情報と、製品(P)の仕様項目(S)の情報と、前記製品(P)の製造の工程フロー情報とを用いて、前記製品(P)ごとに、当該製品(P)の製造に係わる全ての工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記仕様項目(S)の値と、前記生産量(M)との積を、全工程(K)で加算した値により、当該製品(P)の環境負荷(H)を算出する第2の計算処理部と、を有すること、を特徴とする環境負荷計算装置。
【請求項8】
製品の製造に係わる原単位を計算する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する計算処理と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理と、を行うこと、を特徴とするプログラム。
【請求項9】
製品の製造に係わる原単位を用いて環境負荷を計算する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する第1の計算処理と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理と、
前記原単位(U)及び誤差(g)を含む情報と、製品(P)の仕様項目(S)の情報と、前記製品(P)の製造の工程フロー情報とを用いて、前記製品(P)ごとに、当該製品(P)の製造に係わる全ての工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記仕様項目(S)の値と、前記生産量(M)との積を、全工程(K)で加算した値により、当該製品(P)の環境負荷(H)を算出する第2の計算処理と、を行うこと、を特徴とするプログラム。
【請求項1】
製品の製造に係わる原単位を計算する原単位計算装置であって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理部と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する計算処理部と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理部と、を有すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項2】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記計算処理部では、前記製造工程全体の複数の各工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記工程(K)の生産量(M)と、前記工程(K)に関係付けられる仕様項目(S)の値との積を全工程(K)で加算した値が、前記製造工程全体の環境負荷(E)に等しい、とする回帰方程式(E=ΣUSM)を作成すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項3】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記計算処理部は、前記データ情報をもとに、前記工程(K)と前記仕様項目(S)とを関係付ける、すべての組み合わせパターンを生成し、当該パターンごとに前記回帰方程式を作成することで、前記データセット(D)ごとに、当該パターン数(n)に応じた複数(n)の回帰方程式(R)を作成すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項4】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記入力処理部は、前記製造工程全体の環境負荷(E)の情報と前記生産量(M)の情報とにおける集計の期間(T)を変えた複数のデータセット(D)を取得し、
前記計算処理部は、前記複数のデータセット(D)の各々について同様に前記回帰方程式の作成及び計算を行い、
前記出力処理部は、前記複数のデータセット(D)の各々についての計算結果情報を出力すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項5】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記出力処理部は、前記1つ以上の回帰方程式の解である前記原単位(U)、前記誤差、及び前記関係付けられる仕様項目(S)を含む情報を、ユーザが参照及び比較可能なように画面に表示し、ユーザにより選択される原単位(U)を製品環境負荷(H)の計算用の原単位として登録可能とすること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項6】
請求項1記載の原単位計算装置において、
前記出力処理部は、前記1つ以上の回帰方程式の解である前記原単位(U)、前記誤差、及び前記関係付けられる仕様項目(S)を含む情報をもとに、前記誤差が最小である原単位(U)を製品環境負荷(H)の計算用の原単位として登録すること、を特徴とする原単位計算装置。
【請求項7】
製品の製造に係わる原単位を用いて環境負荷を計算する環境負荷計算装置であって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理部と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する第1の計算処理部と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理部と、
前記原単位(U)及び誤差(g)を含む情報と、製品(P)の仕様項目(S)の情報と、前記製品(P)の製造の工程フロー情報とを用いて、前記製品(P)ごとに、当該製品(P)の製造に係わる全ての工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記仕様項目(S)の値と、前記生産量(M)との積を、全工程(K)で加算した値により、当該製品(P)の環境負荷(H)を算出する第2の計算処理部と、を有すること、を特徴とする環境負荷計算装置。
【請求項8】
製品の製造に係わる原単位を計算する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する計算処理と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理と、を行うこと、を特徴とするプログラム。
【請求項9】
製品の製造に係わる原単位を用いて環境負荷を計算する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の製品の製造に係わる複数の工程(K)を含む製造工程全体での環境負荷(E)の情報と、各工程(K)で製造した製品の生産量(M)の情報と、各工程(K)で製造した製品の仕様を構成する仕様項目(S)の情報と、を含むデータ情報を入力し、計算の対象とする1つ以上のデータセット(D)を取得する入力処理と、
上記データ情報及びデータセット(D)を用いて、工程(K)別の原単位(U)を回帰係数とし、前記製造工程全体での環境負荷(E)を目的変数とし、前記仕様項目(S)の値と前記生産量(M)との積を説明変数として、1つ以上の回帰方程式(R)を作成し、回帰分析により、前記回帰係数である原単位(U)及び誤差(g)を算出する第1の計算処理と、
前記算出した原単位(U)及び誤差(g)を含む情報を出力する出力処理と、
前記原単位(U)及び誤差(g)を含む情報と、製品(P)の仕様項目(S)の情報と、前記製品(P)の製造の工程フロー情報とを用いて、前記製品(P)ごとに、当該製品(P)の製造に係わる全ての工程(K)について、前記工程(K)別の原単位(U)と、前記仕様項目(S)の値と、前記生産量(M)との積を、全工程(K)で加算した値により、当該製品(P)の環境負荷(H)を算出する第2の計算処理と、を行うこと、を特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−59177(P2012−59177A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204064(P2010−204064)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
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