原子力発電施設用LEDランプおよびLED照明器具
【課題】白熱電球を使用しない原子炉格納容器内の照明手段であって、長寿命かつ低消費電力であるLEDランプおよびLED照明器具の提供。
【解決手段】多数のLED素子が配設された発光部と、発光部と連設された放熱部材と、発光部と電気的に接続される口金と、を備え、拡径部材内に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着されるLEDランプであって、前記放熱部材が電球用拡径部材に一定以上の面積で接触することを特徴とする原子力発電施設用LEDランプおよびLED照明器具。
【解決手段】多数のLED素子が配設された発光部と、発光部と連設された放熱部材と、発光部と電気的に接続される口金と、を備え、拡径部材内に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着されるLEDランプであって、前記放熱部材が電球用拡径部材に一定以上の面積で接触することを特徴とする原子力発電施設用LEDランプおよびLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水型原子炉(PWR)の原子炉格納容器内などの原子力発電施設の高放射線環境に設置されるLEDランプおよびLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に使用されている照明器具の光源として、白熱電球(一般照明用電球、クリプトン電球、ハロゲン電球)、蛍光ランプ、HIDランプ(水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ)、LED(発光ダイオード)など多くの種類のものが利用されているが、加圧水型原子炉(PWR)の原子炉格納容器内などの原子力発電施設の高放射線環境下に設置されている照明器具の光源には白熱電球が使用されている。
LED照明器具を原子炉格納容器内で使用した例はこれまで知られていないが、他の分野においては白熱電球等のLEDへの置き換えが近年急速に行われている。LEDは、長寿命で省電力であり、光エネルギー以外の無駄なエネルギーの消費が少なくてすむこと、紫外線や熱の放射が少なく、CO2の排出量が少ないことなどの優れた特徴を有している。
LEDランプの問題点の一つとして、その寿命が温度と相関関係があることが知られている。LEDの寿命は、LED素子の接合部温度が120℃では約10万時間以上、150℃では約4万時間、200℃では約1000時間という報告例がある(図2参照)。そこで、LEDの温度を上げないように冷却することによりLEDランプの寿命および光束維持を向上させる技術が数多く提案されている。
【0003】
例えば、熱媒体を使用して冷却する装置としては、熱交換基部の外面に位置するLED配列面および中央の中空部を備える熱交換基部、それぞれのLEDが熱交換基部のLED配列面に複数のLEDを備えるLEDアレイ、加熱部、冷却部および加熱部を冷却部に接続する伝導部を備え、加熱部が熱交換基部の中央の中空部に挿入され、接続路が熱交換基部から伸びる動作流体を含むヒートパイプ、ならびにヒートパイプの冷却部に配置される熱放散モジュールを備えるLED照明組品において、LEDによって発生される熱エネルギーは、熱交換基部からヒートパイプの加熱部に伝導され、それによってヒートパイプの動作流体を加熱および蒸発させ、熱放散モジュールで、伝導部から冷却部へと放散のため流れるように構成されたLED照明器具が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、LEDからの発熱を、熱伝導により放熱板となる部材に拡散させて冷却する装置としては、一端に口金が設けられ、他端の開口部に向けてラッパ状に拡がるラッパ状金属放熱部、このラッパ状金属放熱部の開口部に取付けられた透光性カバーと、ラッパ状金属放熱部と透光性カバーにより形成された略球体の内部に設けられた金属基板と、この金属基板の透光性カバーに対向する外面に実装されたLED素子とを備えた冷却構造により、LED素子の発熱を抑制して高い発光効率で長寿命のLED電球を提供するLED電球(特許文献2)や、ランプソケット、光源部材、導光体、ランプハウジングなどの主要部材から組成され、光源部材は、複数個のLEDを基板に設置し、導熱媒介でランプソケットに接着してランプソケットが光源部材の動作温度を伝導発散させることにより冷却する省電力で高性能なLED照明器具が提案されている(特許文献3)。
【0005】
その他にも、LEDを数W〜数十Wの総出力のものとして、このLEDを装着した基体の背面側にLEDからの発熱を放熱して冷却する放熱体を所定の放熱面積として多重の筒状体として配設し、該放熱体をLEDの中心軸線と同心円筒状の多重の同心円筒体とし、各筒状体間に熱を伝達する熱伝導連結材を連結して配設して、発熱量の大きい明るい高輝度、超高輝度のLEDランプであっても、その冷却を十分に行えて耐久性が得られるようにしたLEDランプ(特許文献4)や、発熱体を冷却するためのヒートシンクを帯状の金属板を巻き中心軸を中心に巻き物状に巻いて形成するとともに、径方向外側から径方向中央部に向けて中心軸方向の一方の高さが漸次高くなるよう構成し、中心軸方向の他端側には、金属板の板厚方向に貫通する複数の空気取り込み口を設けている冷却装置(特許文献5)が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらのLED照明器具を、原子力発電施設用としてそのまま利用することはおよそ難しい。半導体に放射線を照射すると、特性が著しく低下することがあるからである。
また、万一、原子炉に原子炉冷却材喪失事故(LOCA)が発生した場合には、原子炉格納容器の内圧を速やかに低下させるためにヒドラジン、または苛性ソーダを含む、ホウ酸などからなる原子炉格納容器スプレイ水が散布される。この際、これらの薬品とアルミニウムが接触すると化学反応を引き起こして、水素などの可燃性ガスを生成し危険である。かかる観点からも筺体や放熱材料にアルミニウムを使用し、電気回路に半導体を使用している通常用途のLED照明器具を原子炉格納容器内において使用することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−243780号報
【特許文献2】特開2001−243809号公報
【特許文献3】登録実用新案3135001号公報
【特許文献4】登録実用新案3125101号公報
【特許文献5】特開2009−16674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般照明器具の光源としては、白熱電球、蛍光ランプ、HIDランプ、LEDなど多くの種類のものが使用されているが、原子炉格納容器内で使用されるものは専ら水銀を使用していない白熱電球であった。なぜならば、水銀を使用する照明器具から水銀が器具外に漏れると、周囲の機器類で使用されている銅合金、ニッケル・クロム・鉄合金などと反応する可能性があり、一次冷却系統内に混合した場合には、冷却系統などの材料として用いられているニッケル・クロム・鉄合金などに損傷を与える可能性があるからである。
【0009】
しかしながら、原子炉格納容器内において、従来使用されている白熱電球は寿命が短く毎年一定数量が球切れとなるため、電球の交換作業が定期に必要となる。交換作業は高所で行うため危険を伴うことからも交換作業をできるだけ少なくしたいとの要望もある。また、白熱電球やガラスグローブはガラス製であり衝撃などにより壊れ易いため、原子炉機器等の定期点検時に足場材などとの衝突によって破損することがあり、このような問題も解決すべき課題である。
【0010】
さらに問題となることは、交換した後の白熱電球は、放射性廃棄物として然るべき処理をしなければならないことであり、このことからも白熱電球の交換数量すなわち放射性廃棄物を低減させることが求められていた。また、白熱電球は消費電力が大きいことから消費電力の低減も課題となっていた。
また、白熱電球に換えてLEDランプを使用した際には、LEDの寿命は熱により短縮されるため、その冷却が問題となる。高放射線環境下では故障の原因となる半導体により電圧・電流制御を行う構成は採用し難く、しかもグローブは一般には防滴の要望から密閉型構造とされるため空冷のみで放熱を行うことは容易ではないからである。効率よい冷却手段を備えるLEDランプを提供することも解決すべき課題である。
他方で、高放射線環境下で半導体の使用制限を受ける中で、アルミニウムを原則的には使用することなく、LEDランプを作製しなくてはならないという課題もある。
【0011】
本発明は、白熱電球を使用しない原子炉格納容器内の照明手段を提供することを目的とするものであり、さらには長寿命かつ低消費電力であるLEDランプおよびLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、原子炉格納容器内で使用されている照明器具の有する問題点を解消することを目標として、鋭意研究を積み重ねることにより、原子炉格納容器内での使用に最適なLEDランプおよびLED照明器具を創作した。
【0013】
本発明は以下の技術的手段から構成される。
[1]多数のLED素子が配設された発光部と、発光部と連設された放熱部材と、発光部と電気的に接続される口金と、を備え、拡径部材内に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着されるLEDランプであって、前記放熱部材が電球用拡径部材に一定以上の面積で接触することを特徴とする原子力発電施設用LEDランプ。
[2]前記放熱部材が、拡径部材の段部に当接して固定される板状体を含むことを特徴とする[1]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[3]前記放熱部材が、拡径部材の段部と拡径部材に接合されるグローブの端部で挟んで固定可能であることを特徴とする[2]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[4]前記口金を、放熱部材側に付勢して可動に固定する可動機構を備えることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[5]前記発光部が、多数のLED素子を直列に接続してなるLEDモジュールを備えることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[6]前記発光部が、前記LEDモジュールを複数並列に接続して構成されることを特徴とする[5]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[7]LEDランプの温度変化に応じて温度スイッチを作動させることにより抵抗を制御する温度上昇抑制機構を備えることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[8]前記温度上昇抑制機構が、LED素子の点灯数を制御することにより回路内にて相当する抵抗成分を制御することを特徴とする[7]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[9]電源スイッチを備えることを特徴とする[1]ないし[8]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[10]前記放熱部材が、銅または黒鉛により構成されることを特徴とする[1]ないし[9]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[11][1]ないし[10]のいずれかに記載のLEDランプと、電球用ソケットが配設された拡径部材と、拡径部材に接合されるグローブと、を備える原子力発電施設用LED照明器具。
[12]グローブがポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂により構成されることを特徴とする[10]に記載の原子力発電施設用LED照明器具。
【発明の効果】
【0014】
本発明により奏される主要な効果は次のとおりである。
(1)LEDランプにより長寿命化が実現されるため、自然損耗による電球交換作業工数が低減される。
(2)電球交換作業の機会が減少するため、高所からの転落、転倒などの電球交換作業時の事故が減少する。
(3)原子炉機器等の定期点検時に、足場材等との衝突によるガラスグローブや電球の破損を減少させる事ができる。
(4)使用済み白熱電球の廃棄量が減少することにより、放射性廃棄物としての処理量が低減される。
(5)既存の白熱電球のソケット等をそのまま利用することができるので、LEDランプへの置き換え時の廃棄物の量も最小限で済む。
(6)LEDランプにより消費電力が低減される。
(7)地震発生時にも落下・破損する恐れの少ない強固な原子力発電施設用の照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】白熱電球を使用した従来の原子力発電施設用照明器具の要部断面図である。
【図2】LEDの温度と寿命の関係を示すグラフである。
【図3】実施例1に係るLED照明器具の要部断面側面図である。
【図4】従来のソケットホルダ(拡径部材)の要部断面側面図である。
【図5】実施例2に係るLED照明器具の要部断面側面図である。
【図6】実施例2に係るLEDランプの上面図である。
【図7】LEDランプをソケットに装着する過程の説明図である。
【図8】温度スイッチを用いたLEDランプの温度制御回路の回路構成図である。
【図9】LEDランプの温度制御の電圧・電流特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図10】図8の回路に電源スイッチを付加した回路構成図である。
【図11】LED素子の電圧・電流特性の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般的な白熱電球の定格寿命は2,000時間である。白熱電球をLEDランプに置き換えるに際し、可能な限り長期間の寿命が欲しいとのニーズがあり、例えば40,000時間以上の寿命が要求されている。これによれば、LEDランプは例えば実使用において20年以上の長期間放射線に曝露された状況の下で照明手段として要求された性能を維持できるものでなければならないこととなる。
【0017】
本発明は、LED素子の光源としての寿命がLEDの温度に影響されることから、放熱効率のよい放熱部材を設けることにより、温度上昇を抑制してLEDを長寿命とすることを可能としている。この際、廃棄物ができるだけ少なくなるように、既存の部品(ソケット、ソケットホルダ、グローブ等)をできるだけ多く流用できることも重要となる。
また、LEDランプを覆うグローブは従来のガラス製のものも使用できるが、これをポリカーボネートなどの難燃性で軽い材質に置き換えることで、照明器具の重量を軽減することができる。これにより、地震対策上優れた原子力発電施設用の照明器具を提供することが可能となる。
【0018】
次に、本発明を実施するための形態の一例を、従来の白熱電球と対比しながら説明する。
[1]従来の白熱電球を使用した照明器具
図1は、従来の白熱電球を使用した原子力発電施設用の照明器具の一例を示す要部断面側面図である。この照明器具は、白熱電球11、ソケット2、ソケットホルダ(拡径部材)3、電球を覆うグローブ4を備えており、天井や壁などの設置場所に電球が鉛直方向となるように取り付けられる。
ソケットホルダ3は、内部にソケット2が固設されたソケットカバーであって、拡径開口を有した釣鐘形状の鋳物である。
グローブ4はガラス製であり、ソケットホルダ3のネジ溝32にねじ込んで固定される構造となっている。なお、ガラスグローブを取付けているねじの緩み防止のためにゴムパッキン10が段部に配置されている。
【0019】
[2]本発明のLED照明器具
本発明のLED照明器具は、LEDランプ1、ソケット2、ソケットホルダ(拡径部材)3、LEDランプ1を覆うグローブ4を備えている。なお、本発明のLED照明器具は、アルミニウムは原則的には使用されておらず、仮に微量に使用されることがあったとしても外部に露出した態様で使用されてはいない。以下に各要素を詳細に説明する。
【0020】
[2−1]LEDランプ
本発明のLEDランプ1は、放熱部材を通してLEDより発生した熱を、熱容量および表面積の大きいソケットホルダ3に伝導拡散可能に構成することによりLEDの温度上昇を抑制することを特徴とする。
LEDの温度と寿命との関係は明らかにされていて、例えば、約40,000時間の寿命を維持するには、LEDの温度を約150℃以下に保持する必要がある(図2参照)。
本実施の形態のLEDランプ1は、多数のLED素子51を有する発光部5と、発光部5の上方に配置された円盤(板状体)91と、円盤91と接合される可動機構7と、可動機構に連設された口金6とを備えて構成される。
発光部5は、多数のLED素子51を直列に接続してなるLEDモジュールを複数並列に接続した回路構成である。直列に接続されるLED素子51の個数は、電源電圧と採用するLED素子の電圧・電流特性により決定され、その明るさは並列に接続されるLEDモジュールの数により調整する。図11にLED素子の電圧・電流特性の一例を示す。LED素子51が配設される筐体52は、内部空間が中空の檻状ないし格子状であり、暖められた空気が自由に流動するような形状に構成されている。連結部材92は、熱が効率よく伝達されるよう一定以上の断面積をもって筐体52および円盤91と接合されている。筐体52、円盤91、連結部材92は、銅または黒鉛により構成するのが好ましい。円盤91には、放熱フィンを形成したり、ソケットホルダ3の内周面ないし内縁部に当接させるための隆起部材を形成してもよい。
口金6は白熱電球と同じ規格サイズのものであり、ソケットホルダ3に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着することができる。
【0021】
[2−2]ソケットおよびソケットホルダ
ソケット2、ソケットホルダ3は、従来の白熱電球用として使用されているものをそのまま使用することができるが、それに限定されるものではない。
本実施の形態のソケット2は、モーガルソケットである。
ソケットホルダ3はLEDからの熱を全体に分散させるとともにその表面から外環境に放熱する機能を有するものであるから、熱伝導がよくまた放熱性のよい材質であることが必要であり、金属が適している。本実施の形態のソケットホルダ3は鋳鉄である。ソケットホルダ3には、段部31が形成されており、段部31の下面に円盤91の上面を当接させることにより一定以上の接触面積を確保し、熱伝導により効率的な放熱を行うことを可能としている。
【0022】
[2−3]LEDランプの電圧変化に対応した温度制御
原子力発電施設内で使用されている電源の電圧は変動することがあるが、電圧が上がるとLEDの温度は上昇し、LEDの寿命を短縮することとなる。特に、LEDは使用時の温度が120℃以上になると寿命の短縮傾向が強くなるため100℃以上への温度の上昇は避けることが望ましい。大幅な電圧の変動が起こった場合にはLEDランプに配設した放熱部材による放熱だけでは温度上昇を抑制することができず、別途の温度上昇抑制機構を設けることが望ましい。
電流・電圧の制御には、IC回路が使用されるのが一般的であるが、IC回路は放射線に長期間曝されると機能しなくなるため原子炉格納容器内などの放射線が強い場所で使用することは好ましくない。ツェナーダイオードのようなシンプルな回路によりある程度の電圧変動を吸収することはできるが、原子力発電施設内での電圧変動に対応するためには別途の温度上昇抑制機構を設けることが望ましい。そこで、本発明では温度スイッチにより通電されるLED素子の数を制御することにより、電圧変動に伴う温度上昇に対応することを可能としている。
【0023】
温度スイッチとしては放射線による影響が少ないものであればいかなるものを用いてもよいが、磁性体スイッチ、バイメタルスイッチが好ましいものとして例示される。 温度スイッチによるLEDの温度を制御する方式としては、例えば、多数個(N個)のLED素子が直列に結合されたLEDモジュールに、数個(n個)のLEDをバイパスする回路を設け、LEDランプの温度に応じて温度スイッチを開閉し、N個またはN−n個のLEDを発光させることにより温度を制御するものが開示される。
【0024】
[2−4]機器への放射線による影響
半導体に放射線を照射すると、特性が著しく低下することがあり、その一例を以下に示すと次のとおりである。
(1)LED駆動用のICにγ線を照射すると、全く動作しなくなった。
(2)ダイオードに中性子線を照射するとI−V特性(電流一電圧特性、電気的特性のうち最も代表的な特性)が製品によっては10%以上低下した。ただし、ほとんど劣化が見られない製品もあったので、本発明のLED照明器具では、劣化のないダイオードを選定して使用した。(3)LEDに中性子線を照射するとI−V特性の劣化は見られないが、発光強度が10%以上低下した。
これらのことから、格納容器向けのLED照明器具には耐放射線性能が高い部品を使うこと、故障が少なくなるように簡単な回路構成とすることが好ましいことが判明した。
本発明のLED照明器具では、放射線に強い回路構成にするために、LEDと全波整流用のダイオード以外には半導体を使用していない。これにより、放射線による電気的および光学的特性の劣化を極力抑えることが可能である。
【0025】
[2−5]グローブによるLEDランプの固定とグローブの材質
原子力発電施設内に設置する機器には耐震性が要求される。地震の揺れで機能を失わないこと、破損したとしても他の設備への波及影響がないよう配慮することが重要である。上述したように原子力発電施設用LEDランプではアルミニウムを使用できないため、約150gの白熱電球より相当程度重くなる(例えば1.5kg程度となる)。そのため、地震による振動によりソケット取付部であるソケット根元にかかる力が大きくなるので、白熱電球と同じ取付方法では地震時に破損が生じるおそれが大きくなる。そこで、本発明では、LEDランプの放熱部材をグローブとソケットホルダで挟み込んで強固に固定する構造とし、耐振動性を高めることとした(図3および図5参照)。このようにして円盤91を固定することにより、円盤91とソケットホルダ3との接触が良好となり放熱を一層向上させることができるという効果を得ることもできる。
【0026】
また、上述したように、原子力発電施設用照明器具においては、グローブを開放型とすることはできないため、従来のガラス製グローブでは照明装置の重量を軽減することには限界がある。そこで、本発明ではグローブを、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂などの難燃性で軽量の透光性材料で構成することにより、重量に起因する問題の改善をはかった。ただし、本発明のLEDランプにおいては、従来のガラス製グローブをそのまま使用することもできる。
【0027】
以下では、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
実施例1のLEDランプ1は、加圧水型原子炉(PWR)の原子炉格納容器内に設置された照明器具で使用することができるものである。すなわち、実施例1のLEDランプ1は、図4に示す従来のソケットホルダ3に装着して使用される。
本実施例のLEDランプは、図3に示す如く構成され、多数のLED素子51を有する発光部5と、発光部5と接合される連結部材92と、連結部材の上方に配置された円盤91と、口金6とを備えて構成される。発光部5は、88個のLED素子51を直列に接続してなるLEDモジュールA、Bを並列に接続した回路構成である。各モジュールには、電力抵抗が設けられており、ある程度の電圧変動の影響を吸収できるようになっている(図8参照)。 筐体52、円盤91および連結部材92は銅製である。連結部材92の内部空間には、整流回路の収納部が設けられている。
口金6には、E39口金を使用した。
【0029】
実施例1のLEDランプ1は、発光部5と口金6とが固定されておらず、口金がフリーとなっているため、円盤91のソケットホルダ3への当接はグローブ4のねじ込み圧により行う。ここで、ソケットホルダ3は金属の鋳物であり、その表面は平坦でなく凹凸が形成されている部分が多いため、ゴムパッキン10を介してグローブと段差31で円盤91を挟着する。
【0030】
以上の構成を備える実施例1のLEDランプ1は、従来原子炉格納容器内の照明器具で使用されていた白熱電球に置き換えて使用することが可能である。
【実施例2】
【0031】
実施例2のLEDランプ1は、実施例1と同じ従来のソケットホルダ3に装着して使用されるものであり、円盤91と接合される可動機構7と可動機構に連接された口金6を備える点で実施例1のものと相違する。そこで、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下では可動機構7について説明する。
可動機構7は、一方の端部が円盤91に固定された連結支柱71と、連結支柱71が挿通されるバネ72と、連結支柱71が挿通される支持板73とから構成される。連結支柱71およびバネ72は、それぞれ4つずつあり、図6のように配置される。
バネ72の一方の端部は、支持柱71の上端に設けられたつば部により固定され、他端の端部は支持板73により固定される。バネ72により支持板73に固設された口金6は、通常時には下方に付勢された状態にある(図7(A)参照)。
【0032】
図7は、本実施例のLEDランプ1をソケットに装着する過程の説明図である。
図7(A)は、LEDランプ1をソケットホルダ3に下方から進入させ、口金6をソケット2の入口部分に当接させた状態を示すものである。この段階では、支持板73はバネ72により付勢され、円盤91と近接した状態にある。
図7(B)は、LEDランプ1を回転して口金6をソケット2にねじ込み、円盤91を段差31に当接させた状態を示すものである。この段階では、まだ支持板73はバネ72により付勢され、円盤91と近接した状態にある。
図7(C)は、LEDランプ1をさらに回転して口金6をソケット2により深くねじ込んだ状態を示すものである。この段階では、口金6の上昇に伴い支持板73がバネ72を圧縮させ、支持板73が円盤91と離間した状態となる。この際、鋳物製であるソケットホルダ3の形状がいびつな部分があっても、バネ72の伸縮により円盤91を確実にソケットホルダ3に当接させることができる。
【0033】
以上の構成を備える実施例2のLEDランプ1によれば、従来原子炉格納容器内に設置された鋳物製のソケットホルダ3においても、円盤91を一定以上の面積で確実に接触させることが可能である。
【実施例3】
【0034】
実施例3は、実施例1または2のLEDランプにおいて、温度上昇抑制機構を設けたLEDランプに関する。
本実施例の発光部5は、88個のLED素子51を直列に接続してなるLEDモジュールA、Bを並列に接続した回路構成である。LEDモジュールAは第1の温度スイッチ(TRS1)を有し、LEDモジュールBは第2の温度スイッチ(TRS2)を有している。
A、Bの各系列のうち、LED1から4の4個のLED間、およびLED89から92のLEDの4個のLED間にはバイパス回路を設け、温度スイッチTRS1およびTRS2を開閉することにより、88個のLEDが直列に連結された第1の状態と、84個のLEDが直列に連結された第2の状態が実現される。第1の状態ではLED1個あたりの電圧は低くなり、回路に流れる電流が小さくなるので発熱量は低下する。第2の状態ではLED1個あたりの電圧は高くなり、回路に流れる電流が大きくなるので発熱量が増加することになる。スタート時には84個のLED素子に電圧を印加し、その後、LED素子の温度が、例えば、100℃以上になると温度スイッチをOFFとなり、88個のLED素子に通電することにより温度の上昇を抑制することが可能である。なお、バイパスするLED素子の数は、照明器具の上昇温度などの条件に応じて適宜選定することができる。また、A、B各系列の動作温度をずらす事もできる。たとえば、TRS1の動作温度を95℃、TRS2の動作温度を100℃にする事で段階的な温度制御が可能になる。
【0035】
温度スイッチ(TRS1,2)は、リング状の感温磁性体、永久磁石及びギャップスペーサを組み合わせ、リング中心の穴にリードスイッチを挿入することで構成されている。感温磁性体は、キュリー温度では軟磁性の強磁性体であり、温度が上昇するに従い飽和磁束密度が減少し、キュリー温度に達すると常磁性体となる材料である。周囲の温度に反応した感温磁性体が、磁場を変化(熱エネルギーを磁場エネルギーに変換)させることにより、スイッチの開閉動作をする仕組みとなっている。
【0036】
図9に、図8に示した温度制御回路を使用した場合の電流・電圧特性をシミュレーションした結果を示す。通電するLED素子の個数は通常時は84個で、温度が100℃以上に上昇したときは88個とする。LED素子の個数が84個と88個に切り替わる電圧(灯具の温度が100℃になる電圧)は環境温度により変動するが、性能設計電圧200V〜221Vの範囲となるように制御することが好ましく、少なくとも安全設計電圧189V〜231Vの範囲となるように制御する。図9に示したケースでは、LED電流が150mAに達したとき灯具温度は100℃となったので、この時点で88個のLEDを作動するように温度スイッチをOFFとすると、LED電流は急激に低下し、灯具温度が低下することが示されている。
【0037】
以上の構成を備える実施例3のLEDランプ1によれば、LEDランプの温度を常に一定温度以下に維持することができるので、長寿命化を実現することが可能である。
【実施例4】
【0038】
実施例4は、実施例3のLEDランプにおいて、電源スイッチを設けたLEDランプに関する。
実施例4のLEDランプ1は、電源基板と口金6との間に電源スイッチ(SW1
)を備えている。実施例4のLEDランプ1によれば、LEDランプ交換時に電源スイッチをOFFにすることにより、当該区画の電源を切る必要が無く、安全にLEDランプを交換することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のLED照明器具は、原子炉格納容器内に設置されている白熱電球をLEDランプに代替する製品を提供するものである。本発明は、LEDを採用することにより、照明器具の長寿命化、消費電力の低減を実現するものであり、それに伴って照明器具の球切れ、破損による取り替え作業を軽減することが可能となり経済的な原子力発電施設の運用のための一手段を提供する。さらに、本発明により、従来の白熱電球を使用した灯具やグローブがそのまま使える形状、寸法の照明器具を提供することができることから取り替えが低コストで行え、さらに、振動に強い、すなわち耐地震構造とした新しい照明器具を提供することができる。
本発明は、高放射線環境下で安定して作動する照明器具を提供するものであり、安定した原子力発電施設の運用の一助となることによりCO2の排出量の低減にも貢献する有用なものである。
【符号の説明】
【0040】
1:LEDランプ
2:ソケット(モーガルソケット)
3:ソケットホルダ(拡径部材)
4:グローブ
5:発光部
6:口金(装着部)
7:可動機構
8:整流器収納部
9:放熱部材
10:ゴムパッキン
11:白熱電球
31:段部
32:ネジ溝
41:傘部
42:底部
71:連結支柱
72:バネ
73:支持板
51:LED素子
52:筐体
91:円盤(板状体)
92:連結部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水型原子炉(PWR)の原子炉格納容器内などの原子力発電施設の高放射線環境に設置されるLEDランプおよびLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に使用されている照明器具の光源として、白熱電球(一般照明用電球、クリプトン電球、ハロゲン電球)、蛍光ランプ、HIDランプ(水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ)、LED(発光ダイオード)など多くの種類のものが利用されているが、加圧水型原子炉(PWR)の原子炉格納容器内などの原子力発電施設の高放射線環境下に設置されている照明器具の光源には白熱電球が使用されている。
LED照明器具を原子炉格納容器内で使用した例はこれまで知られていないが、他の分野においては白熱電球等のLEDへの置き換えが近年急速に行われている。LEDは、長寿命で省電力であり、光エネルギー以外の無駄なエネルギーの消費が少なくてすむこと、紫外線や熱の放射が少なく、CO2の排出量が少ないことなどの優れた特徴を有している。
LEDランプの問題点の一つとして、その寿命が温度と相関関係があることが知られている。LEDの寿命は、LED素子の接合部温度が120℃では約10万時間以上、150℃では約4万時間、200℃では約1000時間という報告例がある(図2参照)。そこで、LEDの温度を上げないように冷却することによりLEDランプの寿命および光束維持を向上させる技術が数多く提案されている。
【0003】
例えば、熱媒体を使用して冷却する装置としては、熱交換基部の外面に位置するLED配列面および中央の中空部を備える熱交換基部、それぞれのLEDが熱交換基部のLED配列面に複数のLEDを備えるLEDアレイ、加熱部、冷却部および加熱部を冷却部に接続する伝導部を備え、加熱部が熱交換基部の中央の中空部に挿入され、接続路が熱交換基部から伸びる動作流体を含むヒートパイプ、ならびにヒートパイプの冷却部に配置される熱放散モジュールを備えるLED照明組品において、LEDによって発生される熱エネルギーは、熱交換基部からヒートパイプの加熱部に伝導され、それによってヒートパイプの動作流体を加熱および蒸発させ、熱放散モジュールで、伝導部から冷却部へと放散のため流れるように構成されたLED照明器具が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、LEDからの発熱を、熱伝導により放熱板となる部材に拡散させて冷却する装置としては、一端に口金が設けられ、他端の開口部に向けてラッパ状に拡がるラッパ状金属放熱部、このラッパ状金属放熱部の開口部に取付けられた透光性カバーと、ラッパ状金属放熱部と透光性カバーにより形成された略球体の内部に設けられた金属基板と、この金属基板の透光性カバーに対向する外面に実装されたLED素子とを備えた冷却構造により、LED素子の発熱を抑制して高い発光効率で長寿命のLED電球を提供するLED電球(特許文献2)や、ランプソケット、光源部材、導光体、ランプハウジングなどの主要部材から組成され、光源部材は、複数個のLEDを基板に設置し、導熱媒介でランプソケットに接着してランプソケットが光源部材の動作温度を伝導発散させることにより冷却する省電力で高性能なLED照明器具が提案されている(特許文献3)。
【0005】
その他にも、LEDを数W〜数十Wの総出力のものとして、このLEDを装着した基体の背面側にLEDからの発熱を放熱して冷却する放熱体を所定の放熱面積として多重の筒状体として配設し、該放熱体をLEDの中心軸線と同心円筒状の多重の同心円筒体とし、各筒状体間に熱を伝達する熱伝導連結材を連結して配設して、発熱量の大きい明るい高輝度、超高輝度のLEDランプであっても、その冷却を十分に行えて耐久性が得られるようにしたLEDランプ(特許文献4)や、発熱体を冷却するためのヒートシンクを帯状の金属板を巻き中心軸を中心に巻き物状に巻いて形成するとともに、径方向外側から径方向中央部に向けて中心軸方向の一方の高さが漸次高くなるよう構成し、中心軸方向の他端側には、金属板の板厚方向に貫通する複数の空気取り込み口を設けている冷却装置(特許文献5)が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらのLED照明器具を、原子力発電施設用としてそのまま利用することはおよそ難しい。半導体に放射線を照射すると、特性が著しく低下することがあるからである。
また、万一、原子炉に原子炉冷却材喪失事故(LOCA)が発生した場合には、原子炉格納容器の内圧を速やかに低下させるためにヒドラジン、または苛性ソーダを含む、ホウ酸などからなる原子炉格納容器スプレイ水が散布される。この際、これらの薬品とアルミニウムが接触すると化学反応を引き起こして、水素などの可燃性ガスを生成し危険である。かかる観点からも筺体や放熱材料にアルミニウムを使用し、電気回路に半導体を使用している通常用途のLED照明器具を原子炉格納容器内において使用することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−243780号報
【特許文献2】特開2001−243809号公報
【特許文献3】登録実用新案3135001号公報
【特許文献4】登録実用新案3125101号公報
【特許文献5】特開2009−16674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般照明器具の光源としては、白熱電球、蛍光ランプ、HIDランプ、LEDなど多くの種類のものが使用されているが、原子炉格納容器内で使用されるものは専ら水銀を使用していない白熱電球であった。なぜならば、水銀を使用する照明器具から水銀が器具外に漏れると、周囲の機器類で使用されている銅合金、ニッケル・クロム・鉄合金などと反応する可能性があり、一次冷却系統内に混合した場合には、冷却系統などの材料として用いられているニッケル・クロム・鉄合金などに損傷を与える可能性があるからである。
【0009】
しかしながら、原子炉格納容器内において、従来使用されている白熱電球は寿命が短く毎年一定数量が球切れとなるため、電球の交換作業が定期に必要となる。交換作業は高所で行うため危険を伴うことからも交換作業をできるだけ少なくしたいとの要望もある。また、白熱電球やガラスグローブはガラス製であり衝撃などにより壊れ易いため、原子炉機器等の定期点検時に足場材などとの衝突によって破損することがあり、このような問題も解決すべき課題である。
【0010】
さらに問題となることは、交換した後の白熱電球は、放射性廃棄物として然るべき処理をしなければならないことであり、このことからも白熱電球の交換数量すなわち放射性廃棄物を低減させることが求められていた。また、白熱電球は消費電力が大きいことから消費電力の低減も課題となっていた。
また、白熱電球に換えてLEDランプを使用した際には、LEDの寿命は熱により短縮されるため、その冷却が問題となる。高放射線環境下では故障の原因となる半導体により電圧・電流制御を行う構成は採用し難く、しかもグローブは一般には防滴の要望から密閉型構造とされるため空冷のみで放熱を行うことは容易ではないからである。効率よい冷却手段を備えるLEDランプを提供することも解決すべき課題である。
他方で、高放射線環境下で半導体の使用制限を受ける中で、アルミニウムを原則的には使用することなく、LEDランプを作製しなくてはならないという課題もある。
【0011】
本発明は、白熱電球を使用しない原子炉格納容器内の照明手段を提供することを目的とするものであり、さらには長寿命かつ低消費電力であるLEDランプおよびLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、原子炉格納容器内で使用されている照明器具の有する問題点を解消することを目標として、鋭意研究を積み重ねることにより、原子炉格納容器内での使用に最適なLEDランプおよびLED照明器具を創作した。
【0013】
本発明は以下の技術的手段から構成される。
[1]多数のLED素子が配設された発光部と、発光部と連設された放熱部材と、発光部と電気的に接続される口金と、を備え、拡径部材内に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着されるLEDランプであって、前記放熱部材が電球用拡径部材に一定以上の面積で接触することを特徴とする原子力発電施設用LEDランプ。
[2]前記放熱部材が、拡径部材の段部に当接して固定される板状体を含むことを特徴とする[1]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[3]前記放熱部材が、拡径部材の段部と拡径部材に接合されるグローブの端部で挟んで固定可能であることを特徴とする[2]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[4]前記口金を、放熱部材側に付勢して可動に固定する可動機構を備えることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[5]前記発光部が、多数のLED素子を直列に接続してなるLEDモジュールを備えることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[6]前記発光部が、前記LEDモジュールを複数並列に接続して構成されることを特徴とする[5]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[7]LEDランプの温度変化に応じて温度スイッチを作動させることにより抵抗を制御する温度上昇抑制機構を備えることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[8]前記温度上昇抑制機構が、LED素子の点灯数を制御することにより回路内にて相当する抵抗成分を制御することを特徴とする[7]に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[9]電源スイッチを備えることを特徴とする[1]ないし[8]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[10]前記放熱部材が、銅または黒鉛により構成されることを特徴とする[1]ないし[9]のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
[11][1]ないし[10]のいずれかに記載のLEDランプと、電球用ソケットが配設された拡径部材と、拡径部材に接合されるグローブと、を備える原子力発電施設用LED照明器具。
[12]グローブがポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂により構成されることを特徴とする[10]に記載の原子力発電施設用LED照明器具。
【発明の効果】
【0014】
本発明により奏される主要な効果は次のとおりである。
(1)LEDランプにより長寿命化が実現されるため、自然損耗による電球交換作業工数が低減される。
(2)電球交換作業の機会が減少するため、高所からの転落、転倒などの電球交換作業時の事故が減少する。
(3)原子炉機器等の定期点検時に、足場材等との衝突によるガラスグローブや電球の破損を減少させる事ができる。
(4)使用済み白熱電球の廃棄量が減少することにより、放射性廃棄物としての処理量が低減される。
(5)既存の白熱電球のソケット等をそのまま利用することができるので、LEDランプへの置き換え時の廃棄物の量も最小限で済む。
(6)LEDランプにより消費電力が低減される。
(7)地震発生時にも落下・破損する恐れの少ない強固な原子力発電施設用の照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】白熱電球を使用した従来の原子力発電施設用照明器具の要部断面図である。
【図2】LEDの温度と寿命の関係を示すグラフである。
【図3】実施例1に係るLED照明器具の要部断面側面図である。
【図4】従来のソケットホルダ(拡径部材)の要部断面側面図である。
【図5】実施例2に係るLED照明器具の要部断面側面図である。
【図6】実施例2に係るLEDランプの上面図である。
【図7】LEDランプをソケットに装着する過程の説明図である。
【図8】温度スイッチを用いたLEDランプの温度制御回路の回路構成図である。
【図9】LEDランプの温度制御の電圧・電流特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図10】図8の回路に電源スイッチを付加した回路構成図である。
【図11】LED素子の電圧・電流特性の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般的な白熱電球の定格寿命は2,000時間である。白熱電球をLEDランプに置き換えるに際し、可能な限り長期間の寿命が欲しいとのニーズがあり、例えば40,000時間以上の寿命が要求されている。これによれば、LEDランプは例えば実使用において20年以上の長期間放射線に曝露された状況の下で照明手段として要求された性能を維持できるものでなければならないこととなる。
【0017】
本発明は、LED素子の光源としての寿命がLEDの温度に影響されることから、放熱効率のよい放熱部材を設けることにより、温度上昇を抑制してLEDを長寿命とすることを可能としている。この際、廃棄物ができるだけ少なくなるように、既存の部品(ソケット、ソケットホルダ、グローブ等)をできるだけ多く流用できることも重要となる。
また、LEDランプを覆うグローブは従来のガラス製のものも使用できるが、これをポリカーボネートなどの難燃性で軽い材質に置き換えることで、照明器具の重量を軽減することができる。これにより、地震対策上優れた原子力発電施設用の照明器具を提供することが可能となる。
【0018】
次に、本発明を実施するための形態の一例を、従来の白熱電球と対比しながら説明する。
[1]従来の白熱電球を使用した照明器具
図1は、従来の白熱電球を使用した原子力発電施設用の照明器具の一例を示す要部断面側面図である。この照明器具は、白熱電球11、ソケット2、ソケットホルダ(拡径部材)3、電球を覆うグローブ4を備えており、天井や壁などの設置場所に電球が鉛直方向となるように取り付けられる。
ソケットホルダ3は、内部にソケット2が固設されたソケットカバーであって、拡径開口を有した釣鐘形状の鋳物である。
グローブ4はガラス製であり、ソケットホルダ3のネジ溝32にねじ込んで固定される構造となっている。なお、ガラスグローブを取付けているねじの緩み防止のためにゴムパッキン10が段部に配置されている。
【0019】
[2]本発明のLED照明器具
本発明のLED照明器具は、LEDランプ1、ソケット2、ソケットホルダ(拡径部材)3、LEDランプ1を覆うグローブ4を備えている。なお、本発明のLED照明器具は、アルミニウムは原則的には使用されておらず、仮に微量に使用されることがあったとしても外部に露出した態様で使用されてはいない。以下に各要素を詳細に説明する。
【0020】
[2−1]LEDランプ
本発明のLEDランプ1は、放熱部材を通してLEDより発生した熱を、熱容量および表面積の大きいソケットホルダ3に伝導拡散可能に構成することによりLEDの温度上昇を抑制することを特徴とする。
LEDの温度と寿命との関係は明らかにされていて、例えば、約40,000時間の寿命を維持するには、LEDの温度を約150℃以下に保持する必要がある(図2参照)。
本実施の形態のLEDランプ1は、多数のLED素子51を有する発光部5と、発光部5の上方に配置された円盤(板状体)91と、円盤91と接合される可動機構7と、可動機構に連設された口金6とを備えて構成される。
発光部5は、多数のLED素子51を直列に接続してなるLEDモジュールを複数並列に接続した回路構成である。直列に接続されるLED素子51の個数は、電源電圧と採用するLED素子の電圧・電流特性により決定され、その明るさは並列に接続されるLEDモジュールの数により調整する。図11にLED素子の電圧・電流特性の一例を示す。LED素子51が配設される筐体52は、内部空間が中空の檻状ないし格子状であり、暖められた空気が自由に流動するような形状に構成されている。連結部材92は、熱が効率よく伝達されるよう一定以上の断面積をもって筐体52および円盤91と接合されている。筐体52、円盤91、連結部材92は、銅または黒鉛により構成するのが好ましい。円盤91には、放熱フィンを形成したり、ソケットホルダ3の内周面ないし内縁部に当接させるための隆起部材を形成してもよい。
口金6は白熱電球と同じ規格サイズのものであり、ソケットホルダ3に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着することができる。
【0021】
[2−2]ソケットおよびソケットホルダ
ソケット2、ソケットホルダ3は、従来の白熱電球用として使用されているものをそのまま使用することができるが、それに限定されるものではない。
本実施の形態のソケット2は、モーガルソケットである。
ソケットホルダ3はLEDからの熱を全体に分散させるとともにその表面から外環境に放熱する機能を有するものであるから、熱伝導がよくまた放熱性のよい材質であることが必要であり、金属が適している。本実施の形態のソケットホルダ3は鋳鉄である。ソケットホルダ3には、段部31が形成されており、段部31の下面に円盤91の上面を当接させることにより一定以上の接触面積を確保し、熱伝導により効率的な放熱を行うことを可能としている。
【0022】
[2−3]LEDランプの電圧変化に対応した温度制御
原子力発電施設内で使用されている電源の電圧は変動することがあるが、電圧が上がるとLEDの温度は上昇し、LEDの寿命を短縮することとなる。特に、LEDは使用時の温度が120℃以上になると寿命の短縮傾向が強くなるため100℃以上への温度の上昇は避けることが望ましい。大幅な電圧の変動が起こった場合にはLEDランプに配設した放熱部材による放熱だけでは温度上昇を抑制することができず、別途の温度上昇抑制機構を設けることが望ましい。
電流・電圧の制御には、IC回路が使用されるのが一般的であるが、IC回路は放射線に長期間曝されると機能しなくなるため原子炉格納容器内などの放射線が強い場所で使用することは好ましくない。ツェナーダイオードのようなシンプルな回路によりある程度の電圧変動を吸収することはできるが、原子力発電施設内での電圧変動に対応するためには別途の温度上昇抑制機構を設けることが望ましい。そこで、本発明では温度スイッチにより通電されるLED素子の数を制御することにより、電圧変動に伴う温度上昇に対応することを可能としている。
【0023】
温度スイッチとしては放射線による影響が少ないものであればいかなるものを用いてもよいが、磁性体スイッチ、バイメタルスイッチが好ましいものとして例示される。 温度スイッチによるLEDの温度を制御する方式としては、例えば、多数個(N個)のLED素子が直列に結合されたLEDモジュールに、数個(n個)のLEDをバイパスする回路を設け、LEDランプの温度に応じて温度スイッチを開閉し、N個またはN−n個のLEDを発光させることにより温度を制御するものが開示される。
【0024】
[2−4]機器への放射線による影響
半導体に放射線を照射すると、特性が著しく低下することがあり、その一例を以下に示すと次のとおりである。
(1)LED駆動用のICにγ線を照射すると、全く動作しなくなった。
(2)ダイオードに中性子線を照射するとI−V特性(電流一電圧特性、電気的特性のうち最も代表的な特性)が製品によっては10%以上低下した。ただし、ほとんど劣化が見られない製品もあったので、本発明のLED照明器具では、劣化のないダイオードを選定して使用した。(3)LEDに中性子線を照射するとI−V特性の劣化は見られないが、発光強度が10%以上低下した。
これらのことから、格納容器向けのLED照明器具には耐放射線性能が高い部品を使うこと、故障が少なくなるように簡単な回路構成とすることが好ましいことが判明した。
本発明のLED照明器具では、放射線に強い回路構成にするために、LEDと全波整流用のダイオード以外には半導体を使用していない。これにより、放射線による電気的および光学的特性の劣化を極力抑えることが可能である。
【0025】
[2−5]グローブによるLEDランプの固定とグローブの材質
原子力発電施設内に設置する機器には耐震性が要求される。地震の揺れで機能を失わないこと、破損したとしても他の設備への波及影響がないよう配慮することが重要である。上述したように原子力発電施設用LEDランプではアルミニウムを使用できないため、約150gの白熱電球より相当程度重くなる(例えば1.5kg程度となる)。そのため、地震による振動によりソケット取付部であるソケット根元にかかる力が大きくなるので、白熱電球と同じ取付方法では地震時に破損が生じるおそれが大きくなる。そこで、本発明では、LEDランプの放熱部材をグローブとソケットホルダで挟み込んで強固に固定する構造とし、耐振動性を高めることとした(図3および図5参照)。このようにして円盤91を固定することにより、円盤91とソケットホルダ3との接触が良好となり放熱を一層向上させることができるという効果を得ることもできる。
【0026】
また、上述したように、原子力発電施設用照明器具においては、グローブを開放型とすることはできないため、従来のガラス製グローブでは照明装置の重量を軽減することには限界がある。そこで、本発明ではグローブを、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂などの難燃性で軽量の透光性材料で構成することにより、重量に起因する問題の改善をはかった。ただし、本発明のLEDランプにおいては、従来のガラス製グローブをそのまま使用することもできる。
【0027】
以下では、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
実施例1のLEDランプ1は、加圧水型原子炉(PWR)の原子炉格納容器内に設置された照明器具で使用することができるものである。すなわち、実施例1のLEDランプ1は、図4に示す従来のソケットホルダ3に装着して使用される。
本実施例のLEDランプは、図3に示す如く構成され、多数のLED素子51を有する発光部5と、発光部5と接合される連結部材92と、連結部材の上方に配置された円盤91と、口金6とを備えて構成される。発光部5は、88個のLED素子51を直列に接続してなるLEDモジュールA、Bを並列に接続した回路構成である。各モジュールには、電力抵抗が設けられており、ある程度の電圧変動の影響を吸収できるようになっている(図8参照)。 筐体52、円盤91および連結部材92は銅製である。連結部材92の内部空間には、整流回路の収納部が設けられている。
口金6には、E39口金を使用した。
【0029】
実施例1のLEDランプ1は、発光部5と口金6とが固定されておらず、口金がフリーとなっているため、円盤91のソケットホルダ3への当接はグローブ4のねじ込み圧により行う。ここで、ソケットホルダ3は金属の鋳物であり、その表面は平坦でなく凹凸が形成されている部分が多いため、ゴムパッキン10を介してグローブと段差31で円盤91を挟着する。
【0030】
以上の構成を備える実施例1のLEDランプ1は、従来原子炉格納容器内の照明器具で使用されていた白熱電球に置き換えて使用することが可能である。
【実施例2】
【0031】
実施例2のLEDランプ1は、実施例1と同じ従来のソケットホルダ3に装着して使用されるものであり、円盤91と接合される可動機構7と可動機構に連接された口金6を備える点で実施例1のものと相違する。そこで、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下では可動機構7について説明する。
可動機構7は、一方の端部が円盤91に固定された連結支柱71と、連結支柱71が挿通されるバネ72と、連結支柱71が挿通される支持板73とから構成される。連結支柱71およびバネ72は、それぞれ4つずつあり、図6のように配置される。
バネ72の一方の端部は、支持柱71の上端に設けられたつば部により固定され、他端の端部は支持板73により固定される。バネ72により支持板73に固設された口金6は、通常時には下方に付勢された状態にある(図7(A)参照)。
【0032】
図7は、本実施例のLEDランプ1をソケットに装着する過程の説明図である。
図7(A)は、LEDランプ1をソケットホルダ3に下方から進入させ、口金6をソケット2の入口部分に当接させた状態を示すものである。この段階では、支持板73はバネ72により付勢され、円盤91と近接した状態にある。
図7(B)は、LEDランプ1を回転して口金6をソケット2にねじ込み、円盤91を段差31に当接させた状態を示すものである。この段階では、まだ支持板73はバネ72により付勢され、円盤91と近接した状態にある。
図7(C)は、LEDランプ1をさらに回転して口金6をソケット2により深くねじ込んだ状態を示すものである。この段階では、口金6の上昇に伴い支持板73がバネ72を圧縮させ、支持板73が円盤91と離間した状態となる。この際、鋳物製であるソケットホルダ3の形状がいびつな部分があっても、バネ72の伸縮により円盤91を確実にソケットホルダ3に当接させることができる。
【0033】
以上の構成を備える実施例2のLEDランプ1によれば、従来原子炉格納容器内に設置された鋳物製のソケットホルダ3においても、円盤91を一定以上の面積で確実に接触させることが可能である。
【実施例3】
【0034】
実施例3は、実施例1または2のLEDランプにおいて、温度上昇抑制機構を設けたLEDランプに関する。
本実施例の発光部5は、88個のLED素子51を直列に接続してなるLEDモジュールA、Bを並列に接続した回路構成である。LEDモジュールAは第1の温度スイッチ(TRS1)を有し、LEDモジュールBは第2の温度スイッチ(TRS2)を有している。
A、Bの各系列のうち、LED1から4の4個のLED間、およびLED89から92のLEDの4個のLED間にはバイパス回路を設け、温度スイッチTRS1およびTRS2を開閉することにより、88個のLEDが直列に連結された第1の状態と、84個のLEDが直列に連結された第2の状態が実現される。第1の状態ではLED1個あたりの電圧は低くなり、回路に流れる電流が小さくなるので発熱量は低下する。第2の状態ではLED1個あたりの電圧は高くなり、回路に流れる電流が大きくなるので発熱量が増加することになる。スタート時には84個のLED素子に電圧を印加し、その後、LED素子の温度が、例えば、100℃以上になると温度スイッチをOFFとなり、88個のLED素子に通電することにより温度の上昇を抑制することが可能である。なお、バイパスするLED素子の数は、照明器具の上昇温度などの条件に応じて適宜選定することができる。また、A、B各系列の動作温度をずらす事もできる。たとえば、TRS1の動作温度を95℃、TRS2の動作温度を100℃にする事で段階的な温度制御が可能になる。
【0035】
温度スイッチ(TRS1,2)は、リング状の感温磁性体、永久磁石及びギャップスペーサを組み合わせ、リング中心の穴にリードスイッチを挿入することで構成されている。感温磁性体は、キュリー温度では軟磁性の強磁性体であり、温度が上昇するに従い飽和磁束密度が減少し、キュリー温度に達すると常磁性体となる材料である。周囲の温度に反応した感温磁性体が、磁場を変化(熱エネルギーを磁場エネルギーに変換)させることにより、スイッチの開閉動作をする仕組みとなっている。
【0036】
図9に、図8に示した温度制御回路を使用した場合の電流・電圧特性をシミュレーションした結果を示す。通電するLED素子の個数は通常時は84個で、温度が100℃以上に上昇したときは88個とする。LED素子の個数が84個と88個に切り替わる電圧(灯具の温度が100℃になる電圧)は環境温度により変動するが、性能設計電圧200V〜221Vの範囲となるように制御することが好ましく、少なくとも安全設計電圧189V〜231Vの範囲となるように制御する。図9に示したケースでは、LED電流が150mAに達したとき灯具温度は100℃となったので、この時点で88個のLEDを作動するように温度スイッチをOFFとすると、LED電流は急激に低下し、灯具温度が低下することが示されている。
【0037】
以上の構成を備える実施例3のLEDランプ1によれば、LEDランプの温度を常に一定温度以下に維持することができるので、長寿命化を実現することが可能である。
【実施例4】
【0038】
実施例4は、実施例3のLEDランプにおいて、電源スイッチを設けたLEDランプに関する。
実施例4のLEDランプ1は、電源基板と口金6との間に電源スイッチ(SW1
)を備えている。実施例4のLEDランプ1によれば、LEDランプ交換時に電源スイッチをOFFにすることにより、当該区画の電源を切る必要が無く、安全にLEDランプを交換することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のLED照明器具は、原子炉格納容器内に設置されている白熱電球をLEDランプに代替する製品を提供するものである。本発明は、LEDを採用することにより、照明器具の長寿命化、消費電力の低減を実現するものであり、それに伴って照明器具の球切れ、破損による取り替え作業を軽減することが可能となり経済的な原子力発電施設の運用のための一手段を提供する。さらに、本発明により、従来の白熱電球を使用した灯具やグローブがそのまま使える形状、寸法の照明器具を提供することができることから取り替えが低コストで行え、さらに、振動に強い、すなわち耐地震構造とした新しい照明器具を提供することができる。
本発明は、高放射線環境下で安定して作動する照明器具を提供するものであり、安定した原子力発電施設の運用の一助となることによりCO2の排出量の低減にも貢献する有用なものである。
【符号の説明】
【0040】
1:LEDランプ
2:ソケット(モーガルソケット)
3:ソケットホルダ(拡径部材)
4:グローブ
5:発光部
6:口金(装着部)
7:可動機構
8:整流器収納部
9:放熱部材
10:ゴムパッキン
11:白熱電球
31:段部
32:ネジ溝
41:傘部
42:底部
71:連結支柱
72:バネ
73:支持板
51:LED素子
52:筐体
91:円盤(板状体)
92:連結部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のLED素子が配設された発光部と、発光部と連設された放熱部材と、発光部と電気的に接続される口金と、を備え、拡径部材内に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着されるLEDランプであって、
前記放熱部材が電球用拡径部材に一定以上の面積で接触することを特徴とする原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項2】
前記放熱部材が、拡径部材の段部に当接して固定される板状体を含むことを特徴とする請求項1に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項3】
前記放熱部材が、拡径部材の段部と拡径部材に接合されるグローブの端部で挟んで固定可能であることを特徴とする請求項2に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項4】
前記口金を、放熱部材側に付勢して可動に固定する可動機構を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項5】
前記発光部が、多数のLED素子を直列に接続してなるLEDモジュールを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項6】
前記発光部が、前記LEDモジュールを複数並列に接続して構成されることを特徴とする請求項5に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項7】
LEDランプの温度変化に応じて温度スイッチを作動させることにより抵抗を制御する温度上昇抑制機構を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項8】
前記温度上昇抑制機構が、LED素子の点灯数を制御することにより回路内にて相当する抵抗成分を制御することを特徴とする請求項7に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項9】
電源スイッチを備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項10】
前記放熱部材が、銅または黒鉛により構成されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のLEDランプと、電球用ソケットが配設された拡径部材と、拡径部材に接合されるグローブと、を備える原子力発電施設用LED照明器具。
【請求項12】
グローブがポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂により構成されることを特徴とする請求項10に記載の原子力発電施設用LED照明器具。
【請求項1】
多数のLED素子が配設された発光部と、発光部と連設された放熱部材と、発光部と電気的に接続される口金と、を備え、拡径部材内に配設された電球用ソケットに着脱自在に装着されるLEDランプであって、
前記放熱部材が電球用拡径部材に一定以上の面積で接触することを特徴とする原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項2】
前記放熱部材が、拡径部材の段部に当接して固定される板状体を含むことを特徴とする請求項1に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項3】
前記放熱部材が、拡径部材の段部と拡径部材に接合されるグローブの端部で挟んで固定可能であることを特徴とする請求項2に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項4】
前記口金を、放熱部材側に付勢して可動に固定する可動機構を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項5】
前記発光部が、多数のLED素子を直列に接続してなるLEDモジュールを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項6】
前記発光部が、前記LEDモジュールを複数並列に接続して構成されることを特徴とする請求項5に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項7】
LEDランプの温度変化に応じて温度スイッチを作動させることにより抵抗を制御する温度上昇抑制機構を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項8】
前記温度上昇抑制機構が、LED素子の点灯数を制御することにより回路内にて相当する抵抗成分を制御することを特徴とする請求項7に記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項9】
電源スイッチを備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項10】
前記放熱部材が、銅または黒鉛により構成されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の原子力発電施設用LEDランプ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のLEDランプと、電球用ソケットが配設された拡径部材と、拡径部材に接合されるグローブと、を備える原子力発電施設用LED照明器具。
【請求項12】
グローブがポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂により構成されることを特徴とする請求項10に記載の原子力発電施設用LED照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−3854(P2012−3854A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135041(P2010−135041)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【出願人】(000180313)四国計測工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【出願人】(000180313)四国計測工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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