説明

原子炉に関して臨界実効増倍率Kを予測するシステムと方法

【課題】原子力発電所の定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kを判定するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】この方法は、定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値とドップラー反応度価値とキセノン反応度価値、定格未満の炉心状態を含めた原子炉出力計画、および基準実効増倍率kを判定する工程と、制御棒密度、炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値、ドップラー反応度価値、およびキセノン反応度価値から成る群から選択される2つ以上のパラメータに応答した定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化を計算する工程と、基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化に応答した定格未満の炉心状態に関する臨界実効増倍率kを作り出す工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は原子炉に関し、さらに特定すると原子炉の動作を設計および制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この節の記述は本開示に関連する背景情報を単に提供するものであり、先行技術を構成しなくてもよい。
【0003】
原子力発電所では、炉心監視システムは未加工のプラントデータを最大発熱速度などの運転制限データへと加工するための制御された環境を提供する。そのようなシステムは過去、現在、および将来の燃料性能を査定するための情報を提供するために動作限界までの余裕、軸出力と動径出力、照射線量分布、全炉心出力などの主要な原子炉状態情報をモニタする。付け加えると、そのようなシステムはモニタしたデータに基づいて制御棒配列の交換、起動、および出力操作などの原子炉の将来の運転のための計画を準備するためにしばしば使用される。このシステムは計画された運転に関連するユーザ入力を受けることが可能であり、計画された運転を支持してモデルおよび運転特性および計画を作り出すことが可能である。これは所定および/または計算された運転パラメータおよび特性に基づいて計画された運転のシミュレーションを含むこともあり得る。炉心シミュレータは現在の中性子束、予期される中性子束、および計画された中性子束、出力配分、制御棒位置の関数である熱性能、炉心負荷パターン、冷却液流量、原子炉圧力、および他の運転および設計上の変数を計算することが可能である。
【0004】
報告された最重要原子炉パラメータのうちの1つは中性子損失に対する中性子利得の比であり、ときには実効中性子増倍率、臨界実効増倍率k、または臨界k固有値と称され、本願明細書ではこれらの用語の各々は置き換え可能に使用される。これは吸収と漏出による損失の平均速度に対する原子炉炉心内の核分裂による中性子生成の平均速度の比である。この実効増倍率kは炉心内の連鎖反応または核分裂の現在の状態についての情報を与える定数である。1より小さい実効増倍率kの値は連鎖反応の減少数を示し、それに対して1より大きい実効増倍率kの値は原子炉の現在の状態における連鎖反応の増加数を示す。自律的定常状態の原子炉状態は原子炉の臨界状態と呼ばれ、定常状態では理論的に1に等しい実効増倍率kを有する。残念ながら原子炉データ、および量を計算する方法論に付随する不確実性のせいで、実効増倍率kは常に1に等しいわけではない。実効増倍率kのこの特別の値は臨界実効増倍率kと呼ばれる。
【0005】
原子炉運転の計画段階の期間に、原子炉は全出力の原子炉状態未満の状態(本願明細書ではこれは定格未満の条件と称される)、または原子炉技術者が原子炉運転者のために運転計画を準備する、制御棒配列交換、起動、または出力操作を含む運転を経験する。各々の定格未満の条件は原子炉を複数の定格未満の炉心の状態に置き、ここでは原子炉は全出力時よりも多くの、または少ない中性子を作り出しており、例えば実効増倍率kは1に等しくない。定格未満の条件のための原子炉計画は通常では、目標の出力レベルおよび制御棒パターンに関する運転のすべての段階における冷却液流量の見積もりを計算する工程を含む。この過程は実効増倍率kの計算の殆ど逆である。炉心システムは所定の規則および過去の運転データに基づいた予測を提供することによってこの過程を支援する。計算される冷却液流量の精度は調節された熱限界が許す限り高速で目標の出力レベルに到達するために重要である。流量の粗末な計算は結果として目標出力に到達するのに必要な流量における少量の控え目な増分につながり、これは結果として全出力に達するために時間と費用の増大につながる。定格未満の条件における各々の状態点に関して予期される臨界実効増倍率kの優れた見積もりは冷却液流量および原子炉の最適動作のさらに正確な予測を提供するであろう。
【0006】
しかしながら、予期される臨界実効増倍率kを正確に予測することが現在できないことに起因して、通常では設計ベースの実効増倍率kまたは最新の分かっている定格の実効増倍率kが流量計算に使用される。臨界実効増倍率kは一定値ではないので、原子炉の炉心の運転に影響を及ぼす全部のパラメータの複雑な相互作用の関数であることが理由で予測することが極めて困難であった。臨界実効増倍率kはサイクルが進むにつれて減少することが見込まれ、全出力の定格条件における各々の燃料負荷サイクル寿命の期間に約600pcm(percent−mille−reactivity)で変わることもあり得る。この変化は区分的に殆ど直線的であり、設計ベースの実効増倍率kで予測されることが可能である。臨界実効増倍率kは燃焼の関数として変化するので、これらの定格未満の条件の期間に700pcmと同じくらい変わることもやはりあり得る。設計の実効増倍率kは新たな燃料補給された炉心の設計過程の期間に計算され、200pcmの精度を有すると予期される。しかしながら、設計の実効増倍率kは出力が100%未満である定格未満の条件には対処しない。
【0007】
流量の決定は選択される臨界実効増倍率kに左右され易く、予測された値からの臨界実効増倍率kの50pcmの違いが結果として流量の2%の違いにつながることもあり得る。したがって、設計ベースの実効増倍率kまたは定格条件の臨界実効増倍率kの最新の分かっている値の採用はこれらの定格未満の出力状態の期間の計算された流量と実際の流量との間の25%もの大きさの違いを作り出すこともあり得る。
【特許文献1】米国特許第4077836号公報
【特許文献2】米国特許第4515749号公報
【特許文献3】米国特許第4588547号公報
【特許文献4】米国特許第4990302号公報
【特許文献5】米国特許第5490184号公報
【特許文献6】米国特許第6061412号公報
【特許文献7】米国特許第6801593号公報
【特許文献8】米国特許第6181759号公報
【特許文献9】米国特許第6314327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、望ましい安全度の余裕を維持しながら原子炉の運転を最適化するために、定格未満の状態および条件の期間の正確な臨界実効増倍率kの計算を改善するための予測方法論が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明人は、原子炉の定格未満の運転の期間中の1つまたは複数の定格未満の炉心状態および炉心を通る付随の冷却液の流量に関して臨界実効増倍率k(k固有値)を予測するための向上したシステムおよび方法を設計することに成功した。いくつかの実施形態では、定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kの正確な予測に改善を供給することによって原子炉が設計され、定格未満の原子炉条件の期間にさらに効率的に、かつ高い費用効率で運転されることが可能である。
【0010】
一態様によると、原子力発電所の定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kを判定するための方法は定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値とドップラー反応度価値とキセノン反応度価値、定格未満の炉心状態を含めた原子炉出力計画、および基準の実効増倍率kを判定する工程を含む。この方法は制御棒密度、炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値、ドップラー反応度価値、およびキセノン反応度価値から成る群から選択される定格未満の炉心状態における2つ以上のパラメータに応答した定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化を計算する工程を含む。臨界実効増倍率kは定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化に応答して定格未満の炉心状態に関して作り出される。
【0011】
他の態様によると、定格未満の原子炉運転に付随する定格未満の炉心状態の原子炉内の冷却液流量を決定するための方法は定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値の変化とドップラー反応度価値の変化とキセノン反応度価値の変化、定格未満の炉心状態を含む定格未満の運転を規定する原子炉出力計画、および基準実効増倍率kを決定する工程を含む。定格未満の炉心状態に関する実効増倍率kの基準実効増倍率からの変化は制御棒密度と炉心出力パーセントの変化、ガドリニウム反応度価値の変化、ドップラー反応度価値の変化、キセノン反応度価値の変化、プラントのタイプ、および定格未満の運転のタイプから成る群から選択される2つ以上のパラメータに応答して計算される。定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kは対応する基準実効増倍率kからの実効増倍率kの計算された変化に応答して作り出される。原子炉炉心用の冷却液流量は作り出された臨界実効増倍率kに応答して定格未満の炉心状態に関して決定される。
【0012】
さらに別の態様によると、原子力発電所の原子炉の定格未満の運転における複数の定格未満の炉心状態での臨界実効増倍率kをモデル化するための方法は複数の定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値とドップラー反応度価値とキセノン反応度価値、定格未満の炉心状態を規定する原子炉出力計画、および1つまたは複数の基準の実効増倍率kを見積もる工程を含む。制御棒密度の変化、ガドリニウム反応度価値の変化、ドップラー反応度価値の変化、およびキセノン反応度価値の変化は受け取った対応する基準値に相対し、かつ各々の定格未満の炉心状態に付随する変化で各々計算される。各々の定格未満の炉心状態での原子炉内の中性子の平衡に影響を及ぼす複数の相関は炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値の変化、ドップラー反応度価値の変化、およびキセノン反応度価値の変化、および制御棒密度の変化に応答して判定される。実効増倍率kの変化は各々の定格未満の炉心状態に関して判定された相関に応答して判定される。1つまたは複数の定格未満の炉心状態に関する実際の臨界実効増倍率kは対応する定格未満の炉心状態に関して見積もられた臨界実効増倍率kと比較され、プラントのタイプはこの比較に応答してキセノン稼働型プラントとガドリニウム稼働型プラントから成る群から選択される。判定された相関の各々に関して識別される少なくとも1つの係数を伴なう複数の係数が定格未満の炉心状態、選択されたプラントのタイプ、および定格未満のプラント運転に関するタイプにおける照射線量の関数として識別される。相関と係数のサブセットが選択されたプラントのタイプおよび定格未満のプラント運転のタイプに応答して選択される。
【0013】
なおも別の態様によると、原子炉炉心における定格未満の炉心状態での臨界実効増倍率kを判定するためのシステムはプロセッサ、メモリ、制御棒パターンと原子炉出力計画と基準実効増倍率kを受けるように構成された入力部、および方法を実行するのに適合したコンピュータで実行可能な命令を有するコンピュータを含む。命令を実行可能なコンピュータによって実行可能なこの方法は、定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値とドップラー反応度価値とキセノン反応度価値、定格未満の炉心状態を含めた原子炉出力計画、および基準の実効増倍率kを決定する工程、および制御棒密度、炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値、ドップラー反応度価値、およびキセノン反応度価値から成る群から選択される定格未満の炉心状態における2つ以上のパラメータに応答した定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化を計算する工程を含む。この方法はまた、定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化に応答して定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kを作り出す工程も含む。
【0014】
なおも別の態様では、原子炉炉心における定格未満の炉心状態での臨界実効増倍率kを判定するためのシステムは定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値とドップラー反応度価値とキセノン反応度価値、定格未満の炉心状態を含めた原子炉出力計画、および基準の実効増倍率kを決定するための手段、および制御棒密度、炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値、ドップラー反応度価値、およびキセノン反応度価値から成る群から選択される定格未満の炉心状態における2つ以上のパラメータに応答した定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化を計算するための手段を含む。このシステムはまた、定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化に応答して定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kを作り出すための手段も含む。
【0015】
本発明のさらなる態様は下記で部分的に明らかになり、部分的に指摘されるであろう。本開示の様々な態様が個々に、または他との組合わせで実施され得ることは理解されるはずである。詳細な説明および図面は或る種の実例の実施形態を示しているが単に具体的例示の目的で意図されており、本開示の範囲を限定するように解釈されるべきでないこともやはり理解されるはずである。
【0016】
複数の図面全体にわたって、対応する参照番号が類似した、または対応した部品類および特徴を示すことは理解されるはずである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下の説明は事実上、単に一例であって本開示または本開示の用途もしくは使用例を限定するように意図されていない。
【0018】
定格未満の炉心状態に関して臨界実効増倍率kをモデル化および予測するためのいくつかの方法およびシステムを有する原子炉の一例の実施形態が図1に具体的に示される。図1は沸騰水型原子炉の圧力容器(RPV)10の部分的に切り欠いた断面図である。概して、例示された構成要素および部品は当業者に知られており、原子炉炉心12を含めた原子炉の制御と監視に付随する様々な構成要素を含む。核分裂物質の燃料バンドル14を含む炉心12の中で熱が作り出される。いくつかの実施形態では原子炉炉心12を通る冷却液流量の制御を提供するジェットポンプ16を介して水などの冷却液が炉心12を通って循環させられる。炉心12で作り出される熱の量は中性子吸収物質、例えばハフニウムの複数の制御棒18を挿入することおよび引き出すことによって調節される。制御棒18が燃料バンドル14の中に挿入される量まで、制御棒は別の場合では炉心12内で熱を発生する連鎖反応を促進するために利用可能であろう中性子を吸収する。制御棒18は、燃料バンドル14に相対して制御棒18を移動させ、それにより、炉心12の中の核反応を制御する制御棒駆動部(CRD)20によって制御される。
【0019】
原子炉監視および制御システム22は炉心12の動作を監視するために炉心12内にあって原子炉10に付随するセンサ類(図示せず)から複数の炉心動作センサ信号CCsを受け取る。これは、限定はされないが炉心の原子炉容器圧力、冷却液温度、冷却液流量、原子炉出力、および制御棒位置のデータを含むことがあり得る。原子炉監視および制御システム22は特性の中でもとりわけ炉心12の各々の運転状態の期間の炉心の熱特性、中性子の脱出、中性子の損失、中性子の発生、および実際の実効増倍率k(k固有値)を判定するためにこの入力データを利用する。原子炉監視および制御システム22はまた、原子炉10の1つまたは複数の動作または特性を制御するための制御信号CSを発生させることが可能である。これは制御棒駆動部20(したがって制御棒18)を制御するための制御信号CSCR、および炉心12を通る流体流量を制御するための制御信号CSFRを含む。核エネルギーの発生は、特に原子炉出力の上昇および下降といった、臨界状態よりも下の原子炉運転の期間中に炉心12を制御するために制御棒18と冷却液流量を制御する原子炉監視および制御システム22によって制御される。原子炉監視および制御システム22は所定の計画に基づいてこれらの原子炉動作を制御することもやはり可能であり、この計画は制御棒交換または出力上昇または出力下降の状態といった計画された動作のための所定のアルゴリズムまたはモデルの関数としてシステムに入力されるか、またはシステムによって準備されることが可能である。そのような計画において、時間内の各々の状態に関して予定された原子炉出力レベルおよび/または計画の中の各々の照射線量は原子炉出力計画および原子炉運転のための関連する制御棒制御計画の中に提示されることが可能である。実効増倍率kまたは基準実効増倍率kから実効増倍率kへの変化を含めた他のパラメータ、因子、および相関はシステム22の中で少なくとも部分的に実施される1つまたは複数の所定の方法に基づいて供給されるか、またはシステム22によって開発されることが可能である。
【0020】
一実施形態では、原子力発電所の定格未満の炉心状態における臨界実効増幅率kを判定するための方法は定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値、ドップラー反応度価値、およびキセノン反応度価値を判定する工程を含む。当業者に知られているように、反応度価値はパラメータ、特性、または構成要素が原子炉の反応度または核分裂に対して有する効果である。反応度は臨界からの原子炉の離脱の指標であり、上記で言及されたようにr=(keff−1)/keffで定義され、ここでkeffは実効増倍率kまたは実効増倍因数である。反応度は普通、セント、ドルの単位、および時間で表現される。したがってガドリニウム価値はガドリニウムが特定の原子炉プラントの中で反応度に対して有する効果であり、キセノンおよびドップラーについても同様であり、例えばドップラーは本願明細書では原子炉の中の温度に関係する。これらの各々は制御棒のパターンまたは計画、1つまたは複数の定格未満の炉心状態の識別または指定を含む原子炉出力計画、および基準実効増倍率kの関数として決定されるか、または本願明細書ではこれらに「応答した」と称される。本願明細書で言及される「定格未満」は100%未満である出力状況を意味し、原子炉は臨界状態ではない。基準実効増倍率kは、例を挙げると設計ベースの実効増倍率kまたは最後に記録された定格実効増倍率kなどのいずれかの所定の実効増倍率kであってもよい。
【0021】
この方法は、対応する定格未満の炉心の状態または複数の状態における2つ以上のパラメータに応答した1つまたは複数の定格未満の炉心状態における実効増倍率kの所定の基準実効増倍率kからの変化を計算する工程を含む。これら2つ以上のパラメータは制御棒密度、炉心出力パーセント、ガドリニウム反応度価値、ドップラー反応度価値、およびキセノン反応度価値を含む。臨界実効増倍率kは定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化に応答した各々の所望の定格未満の炉心状態に関して作り出される。例えば、これはいくつかの実施形態では変化による基準実効増倍率kに対する単純な調節であってもよく、あるいは他の実施形態では特定の原子炉プラントまたはプラントのタイプのモデル化によって決定されるような一層複雑な、または拡大縮小された関係によって規定されてもよい。
【0022】
付け加えると、これはこれらのパラメータのうちの2つ以上で原子炉をモデル化する工程、定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化に影響を与えることが可能なパラメータのうちの1つまたは複数で相関を確立する工程を含むこともあり得る。これはまた、1つまたは複数のパラメータの絶対値の単純な決定ではなく、パラメータまたは複数のパラメータの相関の間の基準値からの変化の決定を含むこともあり得る。例えば、これは各々の付随する定格未満の炉心状態に関して、対応する基準値からのガドリニウム、ドップラーおよび/またはキセノン反応度価値の変化、または制御棒密度の変化を含むこともあり得る。そのような実施形態では、実効増倍率kの所定の基準実効増倍率kからの変化はこれらの個別変化値および相関から展開されることが可能である。
【0023】
臨界実効増倍率kまたはデルタ実効増倍率kの変化のモデル化はモデル化に特有である対応する係数の識別および/または判定を含むこともやはりあり得る。これは経験則による相関多項式を少なくとも部分的に使用することによって定格未満の炉心状態に関して実効増倍率kの値の予測を供給する実施形態に特に応用可能であろう。
【0024】
一実施形態は、正確な予測のために実効増倍率kのすべての効果および変化に影響を与えることを試みる相関および係数の略式または広範囲のセットの識別を含むこともあり得る。そのようなケースでは、複雑な関係が判定され、各々およびすべてのパラメータと相関が応用され、計上される。これは実効増倍率kまたはデルタ実効増倍率k、例えば予測された実効増倍率kと基準実効増倍率kとの間の変化または差異の極めて正確な予測を提供することが可能である。
【0025】
いくつかのケースでは、すべてを包含する実施形態は実施することが困難、複雑、かつ高経費であると見込まれる。しかしながら、検討されるであろうが、広範囲のセットのうちのサブセットを利用する単純化された方法は定格未満の炉心運転のタイプ(例えばサイクルの開始時、サイクルの中の起動時、出力操作の出力下降時、出力操作の出力上昇時、制御棒交換配列の出力下降時、制御棒交換配列の出力上昇時など)、本願明細書で検討されるような所定のプラント分類またはタイプ判定、および/または定格未満の炉心状態における照射線量などの1つまたは複数の要因に基づいて定格未満の状況における実効増倍率kを予測するのに極めて効果的になり得る。相関と係数のサブセットの各々は初期のシステム分析と設定において各々の原子炉プラントに関して開発されてもよく、または経験、測定値、もしくはプラント運転中の微調整に基づいて調節されてもよい。
【0026】
1つまたは複数の定格未満の状態に関して実効増倍率kが予測された後、各々の定格未満の炉心状態に関する炉心冷却液速度が予測された実効増倍率k、制御棒パターンもしくは制御棒密度への変化、および(出力パーセントなどの)原子炉出力計画の関数として決定または計算されることが可能である。当該技術で知られているように、制御棒密度はどちらかと言えば誤った呼称である。概して、当該技術で知られているように、制御棒密度はその状態点にある制御棒の集合であり、制御棒が原子炉炉心に挿入されることが可能な最大長さにわたる制御棒の挿入された部分の長さに等しい。
【0027】
いくつかの実施形態では、臨界実効増倍率kは出力パーセント、制御棒密度、ガドリニウム反応度価値、キセノン反応度価値、およびドップラー反応度価値を含む1つまたは複数のパラメータの相関によって定格未満の原子炉状況における各々の定格未満の炉心状態に関してコンピュータで実行可能な命令の中に数学的にモデル化またはプログラムされることが可能である。上記で言及したように、反応度価値パラメータは初期のプラント分析または特性付けの期間中などに各々の原子炉プラントに関して決定されてもよいが、微調整のためにプラント運転中に調節されることも可能である。各々の原子炉プラントはそのプラントに特有の特性を有し、設計または所定の要因に基づいて簡単に予測されることは不可能である。
【0028】
臨界実効増幅率kはこれらのパラメータのうちの1つまたは複数を互いに相関付ける工程を通じて、および係数の決定または相関のうちの1つまたは複数への加重を通じてモデル化されることが可能である。例えば臨界実効増幅率kは規格化係数および各々の相関で乗算された異なる係数としてモデル化されることが可能である。複数のパラメータを有する相関の例は出力パーセント×制御棒密度、出力パーセント×キセノン反応度価値、キセノン反応度価値×制御棒密度、出力パーセント×ガドリニウム反応度価値、制御棒密度×ドップラー反応度価値、制御棒密度×ガドリニウム反応度価値、出力パーセント×ドップラー反応度価値、jの出力対出力パーセント、jの出力対制御棒密度、およびキセノン反応度価値×ガドリニウム価値を含む。
【0029】
言及したように、各々のパラメータまたは相関に関する係数は初期のプラントのモデル化の時間に決定されてもよい。例えば、様々なパラメータと相関を決定した後に、相関の各々のセットはプラント運転中に測定された実際の実効増倍率kに比べられることも可能である。複数の定格未満の状態に関して係数が相関と実際の実効増倍率kとの間の数学的最適適合関係を与えることができるように各々の係数を決定するために、各々のパラメータ、因子、および相関がコンピュータによるモデル化を通じて加重されてもよい。
【0030】
上記で言及したように、臨界実効増倍率kの予測は上述のような絶対評価ではなく基準実効増倍率kからの実効増倍率kの予測された臨界変化の変化で為されることも可能である。そのようなモデル化では、各々の定格未満の炉心状態「i」に関する臨界実効増倍率kの基準実効増倍率kからの変化は規格化係数および以下の相関のうちの1つまたは複数で乗算された係数でモデル化されることが可能であり、各々の定格未満の炉心状態に関して上述のような付随する所定の基準値からの変化として決定される。
【0031】
例を挙げると、一実施形態では定格未満の状況における各々の基準点に関する実効増倍率kの定格の出力基準点の値からの変化は係数およびパラメータの相関で規定される関係式によって記述されることが可能である。例えば1つのそのような関係式は実例の方式で式[1]に例示されるような数式によって記述されることが可能であり、
【0032】
【数1】

【0033】
[1]
ここで各々のパラメータは
【0034】
【表1】

【0035】
Cr:炉心の制御棒密度

P: パーセンテージコア出力

Gd:ガドリニウム価値

Xe:キセノン価値

Dp:ドップラー価値

i 定格未満の状態におけるi番目の状態

を意味する。
【0036】
これらのパラメータ、したがって相関のさらに詳細な定義がここで提供され、
・i番目の出力=定格未満の動作で規定され、100未満の出力パーセンテージと1に等しくない実効増倍率kを有する定格未満の炉心状態であり、
・デルタ=定格未満の状態におけるパラメータの、同じ定格未満の状態におけるこのパラメータの基準値からの変化であり、
【0037】
【数2】

【0038】
の関係式でさらに定義されることが可能であって、ここでY=k、Cr、Gd、Xe、およびDpであり、
・a=規格化係数または付随する相関のための加重係数として決定される係数であり、各々の係数は概して特定の原子力プラントに関して付随するモデル化および加重で決定される正または負の数であってもよく、
・k=臨界実効増倍率kであり、i番目の出力に対するデルタkは定格未満の炉心状態における実効増倍率kの、同じi番目の定格未満の炉心状態における基準実効増倍率kからの変化であり、
・Cr=制御棒密度であり、i番目の出力に対するデルタCrはi番目の定格の炉心状態における制御棒密度の、同じi番目の定格未満の炉心状態における基準制御棒密度からの変化であり、i番目の出力に対するデルタCrはj番目の出力に対しても再びとられ、
・P=合計出力のパーセンテージであり、i番目の出力に対するPはi番目の定格未満の炉心状態における出力のパーセンテージであり、i番目の出力に対するPはj番目の出力に対しても再びとられ、
・Xe=キセノン反応度価値であり、i番目の出力に対するデルタXeはi番目の定格未満の炉心状態におけるキセノン反応度価値の、同じi番目の定格未満の炉心状態における基準キセノン反応度価値からの変化であり、
・Gd=ガドリニウム反応度価値であり、i番目の出力に対するデルタGdはi番目の定格未満の炉心状態におけるガドリニウム反応度価値の、同じi番目の定格未満の炉心状態における基準ガドリニウム反応度価値からの変化であり、
・Dp=ドップラー(温度)反応度価値であり、i番目の出力に対するデルタDpはi番目の定格未満の炉心状態におけるドップラー反応度価値の、同じi番目の定格未満の炉心状態における基準ドップラー反応度価値からの変化である。
【0039】
上記で言及したように、臨界実効増倍率kのモデル化は上記で検討されて式[1]の関係式に例示されたように完全な相関と係数を与えられることが可能であるが、いくつかの実施形態では、定格未満の状態における実効増倍率kのモデル化は単純化および簡素化されることが可能である。いくつかの実施形態では、そのような単純化および簡素化は定格未満の動作のタイプに基づいてもよく、いくつかのケースでは原子力プラント、プラントのタイプの分類または類別に影響を及ぼす一次パラメータまたは要因の所定の識別に基づいてもよい。
【0040】
定格未満の運転についての単純化されたモデル化および予測に関して、原子炉が燃料補給後などの起動モードにあるとき、実効増倍率kの変化の極めて信頼性のある予測を提供し、したがって実効増倍率kを予測するためにこれらのパラメータと相関のサブセットが利用されることが可能である。制御棒操作または制御棒交換配列を含めた他の臨界運転については異なるサブセットが示されている。
【0041】
言及したように、単純化されたモデル化および予測は所定のプラントタイプ分類に基づくこともやはり可能である。この単純化の図式はタイプまたは分類によって原子力プラントを識別する工程を含んでもよく、後に定格未満の状態における臨界実効増倍率kのモデル化と予測に使用されることによって可能になる。例えば、いくつかの原子力プラントは臨界実効増倍率kの予測に影響を与える一次の最重要のパラメータおよび付随する相関と係数が定格の出力基準点、出力パーセント、およびキセノン反応度価値から由来する制御棒密度の変化、または少なくとも、定格の出力基準点から由来するキセノン反応度価値の変化であるキセノン稼働型プラントとして識別されることもあり得る。そのようなキセノン稼働型プラントでは、ドップラー反応度価値とガドリニウム反応度価値に基づく相関は臨界実効増倍率kを正確に予測する工程に重要な影響を与えず、それ自体、モデル化と予測の過程で無視されてもよい。どちらかと言えば、定格未満の炉心状態の各々において臨界実効増倍率k、または基準実効増倍率kに相対したその変化を正しくかつ正確に予測するためにキセノン反応度価値、出力パーセント、および制御棒密度が決定および/または調節された相関および係数に単独で使用される可能性が高い。
【0042】
プラントタイプの識別または選択は要因および方法の多様性を利用するモデル化または比較から為されることが可能である。例えば、1つまたは複数の定格未満の炉心状態に関する予測された絶対値または基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化の、その後の実際の原子力プラントの運転中に測定された定格未満の炉心状態に関する実効増倍率kに対する比較が使用されることが可能である。相関の多様性を比較およびモデル化すること、およびこれに対する係数を識別することによって、プラントの特定の運転に最も適するプラントのタイプが識別されることが可能である。例えば、本発明者らは多くのプラントが比較および/またはモデル化に基づいて、キセノン稼働型プラントまたはガドリウム稼動型プラントに分類されることができることを識別した。そのようなケースでは、サイクル起動の開始時といったプラントの運転は、プラントがガドリニウム稼働型プラントまたはキセノン稼働型プラントのどちらかであるという先決に基づいてパラメータと相関のサブセットを利用することによって単純化および簡素化されることが可能である。
【0043】
もちろん、プラントタイプの分類もやはり、上述のパラメータ、相関、係数決定、および実際もしくは実測のパラメータと特性への比較の初期のモデル化と分析の期間中に可能である。これは、限定はされないがドップラー反応度稼働型プラント、制御棒密度稼働型プラントを含んでもよい。
【0044】
そのような単純化されたモデル化および予測は他の方法に影響を与えることもやはりあり得る。例えば、一例の実施形態ではキセノン反応度稼働型またはガドリニウム反応度稼働型としてのプラントタイプの識別および分類は、初期の原子炉起動時(例えばサイクルの開始時(BOC))などの1つまたは複数の定格未満の炉心運転にのみ当てはまることが可能であり、例えば制御棒交換配列を含めた出力上昇または出力下降のサイクル中操作、またはサイクル中の起動時に当てはまることはあり得ない。それ自体、特定の所定のプラントタイプによる原子力プラントの識別によって与えられる臨界実効増倍率kの単純化されたモデル化および予測が非BOCの定格未満の運転に当てはまることはあり得ない。
【0045】
しかしながら、それらの非BOCの定格未満の運転では、他のプラント分類に基づいて、および/または定格未満の運転のタイプに基づいて臨界実効増倍率kの他の単純化されたモデル化および予測が当てはまることがあり得る。サイクル中の起動および/または出力上昇と出力下降の操作はいくつかのシナリオで上記のパラメータと相関のサブセットを使用して各々モデル化されることが可能である。例えば、いくつかの実施形態では出力上昇操作に関して1つの単純化されたモデル化と予測の方法が、出力下降操作に関して別の方法が開発されることも可能である。単純化されたモデル化および予測は他の定格未満の運転に関して開発されることもやはり可能である。
【0046】
臨界実効増倍率kのモデル化および予測の1つのそのような単純化された実施形態では、プラントがキセノン稼働型のプラントとして識別されることが可能である。そのような例の実施形態では、サイクル起動の開始時における特定の定格未満の炉心状態に関する臨界実効増倍率k、または基準実効増倍率kに相対した臨界実効増倍率kの変化の判定は式[2]で例証される関係式に実例の方式で例示されるように要約されることができる。
【0047】
【数3】

【0048】
そのようなモデル化および予測の方法の一例の実施形態では、係数の選択は式[2]で例示される関係式に当てはめられることが可能であり、式[2B]に実例の方式で例示される。
【0049】
【数4】

【0050】
図2はガドリニウム稼働型プラントとして前に識別されたプラントのサイクル起動の開始時における定格未満の炉心状態に関して予測されたデルタ実効増倍率kの値を例示している。図2に示されるように、予測されたデルタ実効増倍率kの値は、40パーセントから100パーセントの出力パーセンテージに関する状態に付随する複数の照射線量についてゼロに関連して例示される。予測されたデルタまたは実効増倍率kの値の変化は出力40パーセント付近で0未満もしくは負で出発し、42パーセントから65パーセントの出力パーセンテージで約0.005に増加する。出力が約65パーセントに増加すると、予測された実効増倍率kは0.005から出力約80パーセントでゼロへと減少し、次いで出力100パーセントまででゼロよりも下に落ちる。実効増倍率kへの変化に関するこれらの値は、例を挙げると定格未満の出力運転に関する定格未満の状態の各々における最適化された冷却液流量などといった原子炉の運転を計画するための向上した予測実効増倍率kを提供するために基準実効増倍率kと併せて使用されることが可能である。この例の予測の向上した精度は下記で図6を参照して扱われるであろう。
【0051】
他の実例の実施形態として、原子力プラント運転および炉心内の中性子衝突因子/パラメータの原子炉プラント分析は、プラントがガドリニウム稼働型プラントタイプとしてさらに正確に分類されなければならないことを確認することが可能である。キセノン型のプラントに関して上記で扱われたのと同様に、プラントは制御棒密度および出力パーセントに加えてガドリニウム反応度価値が支配的因子であると判定されるガドリニウムプラントタイプとして分類または識別されることが可能である。いくつかの実施形態では、式[3]の関係式に一例の方式で例示されるように、ガドリニウム型のプラントは式[1]に例示された関係式に比べて単純化された方式で係数、パラメータ、および相関のサブセットとして炉心の起動に関してモデル化されることが可能である。
【0052】
【数5】

【0053】
示されるように、式[1]に実例の方式で要約された関係式は単に規格化係数、制御棒密度への変化、出力パーセント、ガドリニウム反応度価値の変化;ドップラー反応度価値のパーセントへの変化、出力パーセント×制御棒密度への変化、出力パーセント×ガドリニウム反応度価値への変化、制御棒密度への変化×ドップラー反応度価値への変化、制御棒密度への変化×ガドリニウム反応度価値の変化およびjの出力への出力パーセントを含むように単純化されることが可能である。
【0054】
相関関係の各々に関する係数aと同様に規格化係数も初期のシステム分析とモデル化の時間に決定されることが可能であり、その後、定格未満の状況の計画に使用されることが可能である。付け加えると、プラント運転の期間に係数aのうちの1つまたは複数が連続分析、または定格未満の炉心状態における予測臨界実効増倍率kと運転時の測定値に応答して判定された実際の臨界実効増倍率とのさらなる比較に基づいて関係式および/またはモデルを微調整または調節するために変更または調節されることもあり得る。式[3]の関係係数aの一例が式[3B]に例示される。
【0055】
【数6】

【0056】
上記で言及したように、定格未満の状態における臨界実効増倍率kのモデル化および予測は定格未満のプラント運転の分類または識別に基づいて単純化されることもやはり可能である。上記で言及したように、プラントのタイプ、例えばキセノン稼働型、ガドリニウム稼働型、またはドップラー稼働型の分類はサイクルの原子炉起動の開始時に関して単純化されて向上した予測を与えることができる。しかしながら、非起動時の定格未満の操作では、いくつかの実施形態でこれらのプラントタイプ分類は応用可能ではないこともあり得る。
【0057】
サイクル起動の開始時に付随しない出力上昇と出力下降の操作についてのいくつかの実施形態では、臨界実効増倍率kの単純化されたモデル化および予測は規格化係数、制御棒密度の変化、出力パーセント、ガドリニウム反応度価値の変化、ドップラー反応度価値の変化、キセノン反応度価値の変化、出力パーセント×制御棒密度の変化、出力パーセント×キセノン反応度価値の変化、キセノン反応度価値の変化×制御棒密度の変化、出力パーセント×ガドリニウム反応度価値の変化、制御棒密度の変化×ドップラー反応度価値の変化、制御棒密度の変化×ガドリニウム反応度価値の変化、出力パーセント×ドップラー反応度価値の変化、jの出力への出力パーセント、jの出力への制御棒密度の変化、およびキセノン反応度価値の変化×ガドリニウム反応度価値の変化を含む係数、パラメータ、および相関のサブセットとしてモデル化されることが可能である。
【0058】
【数7】

【0059】
しかしながらサイクル中の出力上昇操作の期間では、いくつかの実施形態において関係は上記で検討されて式[4]の一例の関係式に示されるようなキセノン反応度価値の変化×ドップラー反応度価値の相関を異なる相関で置き換えることによって調節されることもあり得る。出力上昇の操作については、どちらかと言えば関係は異なる相関のキセノン反応度価値の変化×ガドリニウム反応度価値で置き換えられてもよい。そのような関係はサイクルの出力上昇操作の非開始時に関して式[5]に例示されるような関係式で、実例の方式で具体的に示されることが可能である。
【0060】
【数8】

【0061】
範例となる係数を伴なって式[5]に例示された関係の一実施形態は実例の方式で式[5B]に具体的に示される。
【0062】
【数9】

【0063】
ここで図3を参照すると、フローチャート50は2段階のプラントのモデル化の一実施形態を具体的に示す。点線よりも上に例示された段階Aは通常では初期の分析およびシステムと方法の実践の期間に遂行される。段階Aは1つまたは複数のプラントのタイプ分けまたは分類の選択および/または識別を提供する。付け加えると、1つまたは複数の反応度価値を含むパラメータが決定され、上述のような臨界実効増倍率kの予測パラメータおよび相関に付随する係数が規定または決定される。段階Bは通常では第2または引き続く定格未満の炉心運転の期間に、後の定格未満の炉心運転において規定される各々の定格未満の状態に関する基準実効増倍率kからの実効増倍率kへの変化の予測のために遂行される。
【0064】
段階Aは処理52から制御棒計画、処理54から原子炉出力計画、および処理56から1つまたは複数の基準値を受け取ることで始まってもよい。処理58はガドリニウム反応度価値、キセノン反応度価値、およびドップラー反応度価値の決定、およびさらにそれらの決定された価値への与えられた基準値からの変化を与える。これは通常では処理54の原子炉出力計画内の複数の定格未満の炉心状態の各々に関して実行される。基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化は述べられたような複数の相関または実例の方式で上記で式[1]に例示されたような相関のサブセットと共に処理60で決定される。実測された、または実際の実効増倍率kは処理64によって処理62から受け取られる。これらの実際の実効増倍率kは原子炉出力計画と制御棒計画に基づいた実際の原子炉プラントの運転から決定されてもよい。処理64はこれらの実際の実効増倍率kを相関および予測実効増倍率kと比較し、通常では係数が調節および精緻化され、この比較に基づいて1つまたは複数のプラントタイプが選択または識別される。
【0065】
段階Bは処理66において処理64から段階Aの結果を受け取る。引き続く定格未満の出力計画が処理68で供給され、付随する制御棒構成計画が処理70で供給され、これらの各々が、これに対して臨界実効増倍率kの予測が望まれる工程に受け取られる。運転は処理72で上述のようにタイプによって識別され、処理74で供給される1つまたは複数の基準値が運転のために識別される。これらの基準値は運転のタイプまたはプラントのタイプに基づいた基準実効増倍率kを含んでもよく、または最新の定格実効増倍率kの値もしくは設計ベースの実効増倍率kの値に基づいてもよい。プラントのタイプ、運転のタイプ、与えられたパラメータと相関に基づいて、基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化が処理76で判定される。臨界実効増倍率kに関する絶対値は概して上記で述べられたように、かつ処理76の出力と処理74からの基準実効増倍率kを利用することによって処理78で判定される。その後、引き続く定格未満の出力計画68における各々の定格未満の炉心状態に関する冷却液流量が処理80で作成されることが可能である。もちろん、当業者に知られているように、他の定格未満の処理が処理76からの予測された実効増倍率kの変化または処理78の予測された実効増倍率kに基づいて調節されることもやはり可能である。
【0066】
上記で言及したように、本願明細書に述べられるいくつかの方法は、段階Aとして図3に例示された内容で示されるように特定の原子力プラントで実施されるときの初期の分析およびプラントタイプの選択を提供する。付け加えると、これらの初期の決定への調節が、ガドリニウム、キセノン、およびドップラー反応度価値の初期のセット、および初期の係数を含む初期のモデル化を概して精緻化するためにプラント運転中に為されることもやはりあり得る。付け加えると、新規または異なるプラントタイプがさらなるモデル化、または設計もしくは運転による経時的なプラントの変化に基づいて作られることもやはり可能である。それ自体、方法または処理の各々は段階Aとして識別されるものでさえ第1の工程または操作として、あるいは引き続いて1つまたは複数の第2の操作として見られてもよい。そのような第2の操作は第2の制御棒パターンによって規定される1つまたは複数の定格未満のプラント運転、計画された照射線量を上回る定格未満の炉心状態を規定する定格未満の原子炉運転の特定のタイプに関して第2の複数の定格未満の炉心状態を規定する第2の原子炉出力計画、第2の複数の基準実効増倍率k、第2の基準制御棒密度、および第2の基準反応度価値を含むこともあり得る。これらの各々は第2の原子炉出力計画における定格未満の炉心状態に関して臨界実効増倍率kまたはその変化を予測するために利用されるであろう。
【0067】
ここで図4を参照すると、引き続く第2の操作の追加的な一例の実施形態が述べられている。処理82では、運転のタイプ72が最初に識別される第1の工程が識別される。この例では、動作がサイクル起動の開始時であるか否かが処理84で最初に判定される。サイクル起動の開始時であれば、処理86から得られる設計ベースの実効増倍率kが処理74のための基準実効増倍率kとして識別される。しかしながらサイクル起動の開始時でなければ、処理88から得られる最新の定格実効増倍率kが74における基準実効増倍率kとして使用される。
【0068】
分析処理66は基準実効増倍率kを処理74から、計画された出力計画もしくはプロファイルを処理68から、および計画された制御棒構成を処理70から受け取る。ガドリニウム、キセノン、およびドップラーに関する反応度価値が処理92で判定され、それらの反応度価値への変化は処理94で判定される。次に、定格未満の運転が起動運転であれば、前に識別されたプラントタイプが処理98で考慮される。プラントがキセノン稼働型であると識別されれば、例えば上記の式[2]で規定される単純化された関係式によって処理100が臨界実効増倍率kの値の判定を与える。プラントがガドリニウム稼働型であると識別されれば、例えばの式[3]で規定されるような異なる単純化された関係式によって処理102が臨界実効増倍率kの値の判定を与える。しかしながら、運転は起動運転ではないが出力下降運転であれば、例えば式[4]で規定される単純化された関係式によって臨界実効増倍率kの値が判定されることを処理104が与える。運転は起動運転ではないが出力上昇運転であれば、例えば式[5]で規定される単純化された関係式によって臨界実効増倍率kの値が判定されることを処理104が与える。
【0069】
もちろん、当業者によって理解されるように、図3および4のフローで例示されていないが他の処理のフロー、モデルまたは式もやはり可能であり、それでもなお本開示の範囲内にある。
【0070】
いくつかの実施形態は、プロセッサ、メモリ、制御棒パターンと原子炉出力計画と基準実効増倍率kを受け取るように構成された入力部、および方法を実行するのに適したコンピュータで実行可能な命令を有するコンピュータを含む、原子炉炉心における定格未満の炉心状態での臨界実効増倍率kを判定するためのシステムを含む。コンピュータで実行可能な命令によって実行可能なこの方法は上述の方法のうちの1つまたは複数、および本開示を精査した後に当業者によって理解されるような上述の方法の変形例を含む。
【0071】
価値と相関を判定するため、実効増倍率kの値と変化実効増倍率kの値のデルタを予測するため、および調節された実効増倍率kの値と冷却液流量を決定するための1つまたは複数の実施形態に関する一例のコンピュータ動作環境が実例の方式で図5に例示されている。原子炉炉心監視および計画もしくは予測システム22のためのこの動作環境は、少なくとも1つのバス構造116、入力部118、および出力部122と相互接続されたメモリーシステム114と共に少なくとも1つの高速処理装置(CPU)112を有するコンピュータ112を含んでもよい。
【0072】
入力部118および出力部122は見慣れたものであり、例えば局所および遠隔ユーザインターフェースならびに制御器、遠隔操作システムおよび操作システムに付随して導入されることが可能である。入力部118は例えばキーボード、マウス、物理的変換器(例えばマイクロフォン)、または通信インターフェースもしくはポートを含んでもよく、入力インターフェース120を介してコンピュータ110と相互接続される。出力部122はディスプレイ、プリンタ、変換器(例えばスピーカ)、出力通信インターフェースもしくはポートなどを含んでもよく、出力インターフェース124を介してコンピュータ110と相互接続される。ネットワークアダプタまたはモデムなどのいくつかの装置が入力および/または出力装置として使用されることもあり得る。
【0073】
例示されたCPU112は見慣れた設計であり、計算を実行するための算術論理演算ユニット(ALU)126、データと命令の一時的な保存のためのレジスタの収集物128、およびシステム110の動作を制御するための制御ユニット130を含む。少なくともDigital Equipment社、Sun社、MIPS社、Motorola/Freescale社、NEC社、Intel社、Cyrix社、AMD社、HP社、およびNexgen社から得られるプロセッサを含めた多様なプロセッサのいずれもがCPU112にとって同等に好ましい。例示された本開示の実施形態はこれらの処理用プラットホームのいずれにも移動できるように設計されたオペレーティングシステム上で動作する。
【0074】
メモリーシステム114は概して、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリROM)半導体デバイスなどの媒体の形の高速メインメモリ132、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、テープ、CD−ROM、フラッシュメモリなどの長期間記憶媒体の形の二次記憶部134、および電気的、磁気的、光学的、または他の記録媒体を使用してデータを保存する他の装置を含む。メインメモリ132はディスプレイ装置を通じて画像を表示するためのビデオディスプレイメモリを含むこともやはりあり得る。メモリーシステム114が多様な記憶容量を有する多様な代替部品を含み得ることを当業者は認識するであろう。
【0075】
当業者によく知られているが、システム22はオペレーティングシステムと少なくとも1つのアプリケーションプログラム(図示せず)をさらに含むこともあり得る。このオペレーティングシステムはコンピュータシステムの動作とリソースの割り当てを制御するソフトウェアのセットである。このアプリケーションプログラムはオペレーティングシステムを通じて利用可能に為されたコンピュータリソースを使用してユーザによって望まれる作業を実行するソフトウェアのセットである。例示されたメモリーシステム114内に両方が常駐している。当業者に知られているように、本願明細書に述べられた方法、処理、および/または機能のうちのいくつかはソフトウェアとして実施され、コンピュータで読み取り可能な様々なタイプの媒体にコンピュータで実行可能な命令として保存されることが可能である。本願明細書に実例で述べられる安定型放射能測定システムの様々な実施形態で、コンピュータシステムは上記の処理のうちの1つまたは複数を実行するためのコンピュータで実行可能な命令を有する強固なオペレーションプログラムとアプリケーションプログラムを含んでもよい。付け加えると、局所および遠隔のユーザインターフェース、操作システムおよび遠隔操作システムのうちの1つまたは複数がとりわけ、例えばコンピュータで実行可能な命令を備えたアプリケーションソフトウェアプログラム、上述のような1つまたは複数の制御器と通信または相互作用で動作するための小型軽量クライアントアプリケーションを含むこともあり得る。
【0076】
当業者のコンピュータプログラミングの実践に従って、本開示はシステム22によって実行される動作の象徴的な表現に関連して下記で述べられる。そのような動作はときにはコンピュータで実行されると称される。象徴的に表現される動作がデータビットを表わす電気信号のCPU112による操作およびメモリーシステム114内のメモリ位置におけるデータビットの保持、ならびに信号のその他の処理を含むことは理解されるであろう。データビットが保持されるメモリ位置はそのデータビットに対応する特定の電気的、磁気的、または光学的特性を有する物理的位置である。本開示はコンピュータで読み取り可能な媒体に保存された一連の命令を含むプログラムまたは複数プログラム内に導入されることが可能である。コンピュータで読み取り可能な媒体はメモリーシステム114との関連で上述された装置のいずれか、または装置の組合わせであってもよい。
【0077】
本願明細書に述べられるような、定格未満の炉心状況における臨界実効増倍率kを予測するため、または冷却液流量を決定するためのシステムまたは部品類のいくつかの実施形態がさらに多い、またはさらに少ないコンピュータ処理システム部品を有することも可能であり、それでもなお本開示の範囲内にあることは当業者に理解されるはずである。
【0078】
本願明細書に述べられたような処理および相関の様々な実施形態がいくつかの異なる定格未満の出力操作、制御棒交換配列、および起動時で試験され、定格未満の状態における臨界実効増倍率kの予測に大幅な向上を提供すると示された。概して、この向上した予測の精度が重要となる運転状況は原子炉の起動運転のために原子炉が40%定格出力と100%定格出力との間にある場合である。起動後の出力操作については、この向上した精度は60%と100%の間の出力定格に関して最重要である。
【0079】
本願明細書に述べられた1つまたは複数の実施形態は、冷却液流量計算の決定を含めて、定格未満の状況に関する原子炉炉心計画に使用される臨界実行増倍率kまたはk固有値の向上した予測を提供するように示されてきた。本願明細書に述べられたいくつかの実例の実施形態は、殆どのケースで臨界k固有値の予測の誤差を70から80pcmに下げるように示されてきた。これは700pcmのオーダーの予測誤差を与えた先行技術の方法およびシステムを上回る精度の注目に値する上昇である(例えば定格未満の状況における臨界実効増倍率kの値(例えばk固有値)の通常の見積もりは700pcmのオーダーであった)。結果として、これらの定格未満の状況および状態における冷却液流量の決定は大幅に改善された。
【0080】
図6は本願明細書に述べられた方法およびシステムの一実施形態の試験の結果を具体的に示している。図6は図2に例示されるような通常の原子力発電所のサイクル起動の開始時に関して予測された臨界実効増倍率kと実際にモニタされた臨界実効増倍率kとの比較を含む。予測された値と実際の値との間の差異もやはり示されている。本願明細書に述べられた方法およびシステムのうちのいくつかは40パーセント出力から100パーセント出力の好ましい適用領域のみでなく、他の範囲(図6に示されていない)においても臨界実効増倍率kの予測に向上を提供することが可能である。本開示の適用は先行技術の方法およびシステムを上回る大幅な向上を提供することが可能であり、定格未満の原子炉運転を最適化する工程に向上を提供するように示されてきた。
【0081】
要素または特徴および/またはそれらの実施形態を述べるとき、「或る」、「この」、および「前記」という項目は1つまたは複数の要素または特徴があることを意味するように意図される。「から成る」、「含む」、および「有する」という語句は包含的であることを意図され、特定して述べられたものを超える追加的な要素または特徴があり得ることを意味する。
【0082】
本開示の範囲から逸脱することなく上述の実例の実施形態および実践に様々な変形が為され得ることを当業者は認識するであろう。したがって、上記の記述に含まれる、および添付の図面に示されるすべての事項は具体的例示として解釈されるべきであって限定の意味ではない。
【0083】
さらに、本願明細書に述べられた処理または工程が検討または例示された特定の順序でそれらの実行を必然的に要求すると解釈されるべきではないことも理解されるはずである。追加的または代替の処理または工程が採用され得ることもやはり理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明のいくつかの実例の実施形態について沸騰水型原子炉を部分的に切り取って示す断面図である。
【図2】一例の実施形態による、出力パーセンテージに相対したサイクル運転の定格未満の開始時に関して予測される実効増倍率kを照射線量の関数として示すグラフである。
【図3】一例の実施形態による、定格未満の状態における臨界実効増倍率kを予測する方法を示すフローチャートである。
【図4】別の例の実施形態による、定格未満の状態における臨界実効増倍率kを予測する別の方法を示すフローチャートである。
【図5】定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kを予測および/またはモデル化するためのシステムおよび/または方法のいくつかの実施形態または構成要素を実施するために使用され得る一例のコンピュータシステムを示すブロック図である。
【図6】実際の実効増倍率kの値を図2に例示されるような本発明の一実施形態に従って予測される定格未満の実効増倍率kの値との比較として具体的に示す定格未満のサイクル運転の開始時を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
10 原子炉
12 原子炉炉心
14 燃料バンドル
14 ジェットポンプ
18 制御棒
20 制御棒駆動部
22 制御システム
112 コンピュータ
114 メモリーシステム
116 バス構造
118 入力部
120 インターフェース
122 出力部
124 インターフェース
126 算術論理演算ユニット(ALU)
128 レジスタ
130 制御ユニット
132 メインメモリ
134 二次記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の定格未満の炉心状態における臨界実効増倍率kを判定するための方法であって、
前記定格未満の炉心状態に関して制御棒密度、炉心出力パーセント、制御棒パターンに応答したガドリニウム反応度価値とドップラー反応度価値とキセノン反応度価値、前記定格未満の炉心状態を含めた原子炉出力計画、および基準実効増倍率kを判定する工程と、
前記制御棒密度、前記炉心出力パーセント、前記ガドリニウム反応度価値、前記ドップラー反応度価値、および前記キセノン反応度価値から成る群から選択される前記定格未満の炉心状態における2つ以上のパラメータに応答した前記定格未満の炉心状態における前記基準実効増倍率kからの実効増倍率kの変化を計算する工程と、
前記定格未満の炉心状態における前記基準実効増倍率kからの前記実効増倍率kの前記変化に応答した前記定格未満の炉心状態における前記臨界実効増倍率kを作り出す工程とを含む方法。
【請求項2】
前記定格未満の炉心状態における前記基準実効増倍率kからの前記実効増倍率kの前記変化に影響を与える複数の相関を判定する工程をさらに含み、前記定格未満の炉心状態に関して各々の相関を判定する工程が、炉心出力パーセント、前記ガドリニウム反応度価値の変化、前記ドップラー反応度価値の変化、前記キセノン反応度価値の変化、および前記制御棒密度の変化から成る群から選択される前記定格未満の炉心状態に関して1つまたは複数のパラメータを決定する工程を含み、前記原子炉出力計画が少なくとも部分的に前記定格未満の炉心状態を規定する照射線量を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記定格未満の炉心状態において前記基準実効増倍率kに付随する基準のガドリニウム反応度価値からの前記ガドリニウム反応度価値の変化を判定する工程と、
前記定格未満の炉心状態において前記基準実効増倍率kに付随する基準のドップラー反応度価値からの前記ドップラー反応度価値の変化を判定する工程と、
前記定格未満の炉心状態において前記基準実効増倍率kに付随する基準のキセノン反応度価値からの前記キセノン反応度価値の変化を判定する工程と、
前記定格未満の炉心状態において前記基準実効増倍率kに付随する基準の制御棒密度からの前記制御棒密度の変化を判定する工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
各々の相関に関して係数を前記定格未満の炉心状態における照射線量、プラントタイプ、および定格未満のプラント運転のタイプの関数として識別する工程と、
前記定格未満の炉心状態における前記基準実効増倍率kからの前記実効増倍率kの前記変化に影響を与える複数の相関と係数の略式セットを含めた経験則による相関多項式を識別する工程とをさらに含み、前記経験則による相関多項式が原子炉炉心の様々な定格未満の炉心状態について実効増倍率kへの変化に関するモデルを提供することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記経験則による多項式相関の中の前記相関のサブセットを前記定格未満の炉心状態、所定のプラントタイプ、および前記定格未満の炉心状態に付随する定格未満のプラント運転のタイプの関数として選択する工程をさらに含み、前記実効増倍率kの変化を計算する処理が前記選択された相関のサブセットに応答しており、前記相関のサブセットを選択する工程がサイクルの開始時、サイクル中の起動時、出力操作の出力下降時、出力操作の出力上昇時、制御棒交換配列の出力下降時、および制御棒交換配列の出力上昇時から成る群から選択される定格未満の運転のタイプに応答しており、相関のサブセットを選択する工程が前記基準実効増倍率kからの前記実効増倍率kの前記変化を各々の定格未満の炉心状態について定格未満のプラント運転のタイプに基づいて、および起動時の定格未満のプラント運転について前記所定のプラントタイプにもやはり基づいて計算するための別のモデルを作成する工程を含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
定格未満の炉心状態の期間の実効増倍率kを測定する工程と、
前記判定された臨界実効増倍率kを前記測定された実効増倍率kと比較する工程と、
前記比較に応答して、キセノン稼働型およびガドリニウム稼働型から成る群からプラントタイプを選択する工程とをさらに含み、
前記相関のサブセットを選択する工程が前記選択されたプラントタイプに応答していることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記原子力発電所が第1の原子力発電所であり、前記第1の原子力発電所のための発電プラントタイプを選択する工程が前記第1の原子力発電所の炉心のモデル化の期間に実行され、第2の原子力発電所をさらに含み、前記第2の原子力発電所のための発電プラントタイプを選択する工程が前記第2の原子力発電所の炉心のモデル化の期間であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記定格未満のプラント運転、前記定格未満の炉心状態、前記所定のプラントタイプ、および前記選択された相関のサブセットが、
a.前記定格未満の炉心状態に付随する前記定格未満のプラント運転がサイクルの開始時であり、前記所定のプラントタイプがキセノン稼働型であり、前記選択された相関のサブセットが前記制御棒密度の前記変化、前記炉心出力パーセント、およびキセノン反応度価値の前記変化から成るパラメータのセットに応答していること、
b.前記定格未満の炉心状態に付随する前記定格未満のプラント運転がサイクルの開始時であり、前記所定のプラントタイプがキセノン稼働型プラントタイプであり、前記選択された相関のサブセットが前記制御棒密度の前記変化、前記炉心出力パーセント、前記ガドリニウム反応度価値の前記変化、および前記ドップラー反応度価値の前記変化から成るパラメータのセットに応答していること、
c.前記定格未満のプラント運転が出力下降操作であり、前記選択された相関のサブセットが前記制御棒密度の前記変化、前記炉心出力パーセント、前記キセノン反応度価値の前記変化、前記ドップラー反応度価値の変化、および前記ガドリニウム反応度価値の変化から成るパラメータのセットに応答していること、ならびに
d.前記定格未満のプラント運転が出力上昇操作であり、前記選択された相関のサブセットが前記制御棒密度の前記変化、前記炉心出力パーセント、前記キセノン放射活性度価値の前記変化、前記ガドリニウム反応度価値の前記変化、および前記ドップラー反応度価値の前記変化から成るパラメータのセットに応答していること、
から成る群から選択されることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記作り出された臨界実効増倍率k、前記制御棒パターン、および前記原子炉出力計画に応答した前記定格未満の炉心状態に関する炉心冷却液速度を判定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記制御棒密度、前記炉心出力パーセント、前記制御棒パターンに応答した複数の定格未満の炉心状態の各々に関する前記ガドリニウム反応度価値と前記ドップラー反応度価値と前記キセノン反応度価値、前記複数の定格未満の炉心状態を含めた前記原子炉出力計画、および前記複数の定格未満の炉心状態に付随する1つまたは複数の基準実効増倍率kを判定する工程と、
前記制御棒密度、前記炉心出力パーセント、前記ガドリニウム反応度価値、前記ドップラー反応度価値、および前記キセノン反応度価値から成る群から選択される前記定格未満の炉心状態における2つ以上のパラメータに応答した前記複数の定格未満の炉心状態の各々における付随する基準実効増倍率kからの前記実効増倍率kの変化を計算する工程と、
各々の定格未満の炉心状態に関する前記実効増倍率kの付随する変化に応答した前記定格未満の炉心状態の各々における前記臨界実効増倍率kを作り出す工程と、
各々の定格未満の炉心状態に関する前記作り出された臨界実効増倍率k、前記制御棒パターン、および前記原子炉出力計画に応答して炉心冷却液速度を決定する工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−139308(P2008−139308A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303925(P2007−303925)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】