原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法
【課題】ブレードガイドを使用することなく原子炉の燃料交換を1セル単位で行うことができ、燃料の交換にかかる時間を短縮すること。
【解決手段】本発明では、上記課題を解決するために、4体の燃料集合体が装荷され、十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、この状態から残り2体の前記燃料集合体を引き抜き、その後、新しい燃料集合体の2体を互いに対角になるように装荷し、次に、十字型制御棒を全挿入し、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷することを特徴とする。
【解決手段】本発明では、上記課題を解決するために、4体の燃料集合体が装荷され、十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、この状態から残り2体の前記燃料集合体を引き抜き、その後、新しい燃料集合体の2体を互いに対角になるように装荷し、次に、十字型制御棒を全挿入し、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法に係り、特に、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子(セル)の集合により構成され、沸騰水型原子炉に好適な原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図3に本発明の適用対象である沸騰水型原子炉の概略構成を示す。
【0003】
該図に示す如く、沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器1内に設置された円筒形状の原子炉シュラウド2と、この原子炉シュラウド2の内部に格納された炉心3と、原子炉シュラウド2の上部に設置された気水分離器4と、この気水分離器4の更に上部に設置された蒸気乾燥器5とを備えて概略構成されている。
【0004】
炉心3は、上部格子板6と炉心支持板7に設置した燃料支持金具(図示せず)との間に、四角柱をした複数(図2では872体)の燃料集合体9が所定間隔で配置されている。これら燃料集合体9の間には、原子炉圧力容器1の下部に設置された制御棒駆動機構10で駆動される複数(燃料集合体9の4体に対し1本程度の割合であり、図2では205本)の十字型制御棒11が配置されている。この十字型制御棒11は、制御棒案内管12をガイドにして上下方向(図1の上下方向)に抜き差し可能で、これにより炉心3の出力を制御できる。
【0005】
原子炉圧力容器1内の冷却水(軽水)は、原子炉圧力容器1の下部に設けた再循環ポンプ(インターナルポンプ)14によって、炉心3下部の下部プレナム15に流入し、ここから上昇して炉心3内に流入するようになっている。炉心3内の冷却水は、燃料集合体9に備えられた燃料棒16に含まれる核分裂性物質の核分裂反応により加熱され、蒸気と飽和水の気液混合流となって上昇しシュラウドヘッド17に流入する。
【0006】
その後、気水分離器4によって水と分離された蒸気は、蒸気乾燥器5で乾燥され、原子炉圧力容器1の主蒸気管18から流出してタービン(図示せず)に供給され、タービンの回転動力によって発電機(図示せず)が駆動されて発電する。タービンを通過した蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮され、再び冷却水となって給水管19ら原子炉圧力容器1に環流するようになっている。
【0007】
図4は、上述した燃料集合体9の全体構造を、図5は、その燃料集合体9の配置を上部格子板6とともに表すものである。
【0008】
これら図4、図5及び上述の図3において、燃料集合体9は、核分裂性物質からなる円筒形状の燃料ペレットを封入した複数の燃料棒16と、内部に冷却水が流れる2本の水ロッド20とを備えている。但し、図4及び図5に示した燃料集合体は一例であり、本発明は、燃料棒数、水ロッド水及びそれらの配置や形状が異なる場合でも適用可能である。
【0009】
これら燃料棒16及び水ロッド20がn行n列(図3中ではn=9)の正方格子状に配列され、軸方向(図4の上下方向)に所定間隔をおいて配設された複数のスペーサ21により燃料棒16及び水ロッド20の間隔が適切に保持されて、燃料バンドルとしている。また、燃料集合体9は、その燃料バンドルの上端及び下端をそれぞれ支持する上部タイプレート22及び下部タイプレート23と、燃料バンドルの周囲を取り囲み燃料集合体9の外壁を形成する四角筒形状のチャンネルボックス24とを備えている。
【0010】
このような燃料集合体9は、4体を1組として燃料支持金具内に設置されている。また、燃料集合体9の上部タイプレート22は、上部格子板6に通されると共に、上部タイプレート22の上方側(図5の紙面に向かって手前側)に設けられたチャンネルファスナ25が互いに作用して、位置決めされるようになっている。このとき、上部タイプレート22と上部格子板6との間、又はチャンネルファスナ25の相互間には、燃料集合体9の装荷時の作業性を考慮して隙間(遊び)が設けられている。
【0011】
全挿入された十字型制御棒11は、囲まれた燃料集合体9に寄りかかることで自立している。対角の2体の燃料集合体9を引き抜いても、十字型制御棒11は残った対角2体の燃料集合体9に寄りかかり、倒れることはない。しかし、隣り合う2体の燃料集合体9を引き抜いたときは、十字型制御棒11がその引き抜いた燃料集合体9側への支えを失い、そちらに倒れてしまう可能性がある。
【0012】
即ち、沸騰水型原子炉に用いられている十字型制御棒11は、隣り合う2体の燃料集合体9を引き抜いたときは、自立できない。
【0013】
そのため、燃料交換時及び燃料装荷時には、ブレードガイドと呼ばれる十字型制御棒が倒れないように固定するための治具を用いている。このブレードガイドは、対角2体の燃料集合体を装荷する場所にまたがるように設置されている。
【0014】
このブレードガイドを用いて十字型制御棒が倒れないように固定されている従来の燃料交換について、図6を用いて説明する。
【0015】
該図に示すように、従来の燃料交換は、4体の燃料集合体9が装荷され、十字型制御棒11が全挿入(30)されている状態から、先ずセルの対角2体の燃料集合体9を引き抜き(31)、次に、十字型制御棒11が倒れないようにブレードガイド28を設置(32)して固定し、残り2体の燃料集合体9を引き抜き(33)、その後、十字型制御棒11を全引き抜き(34)、最後にブレードガイド28を取り外す(35)という順番で行われている。
【0016】
なお、燃料交換については、例えば、特許文献1に記載されているような、市松模様方式の燃料取り出し方法が広く知られている。この市松模様方式の燃料取り出し方法は、炉心中のすべてのセルについて燃料交換を適用する方法で、燃料交換の始めに炉心中の約半数の燃料集合体を、市松模様状に抜き取り出すものである。この状態では、制御棒を全て引き抜いても臨界にならないことが確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平9−304580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述した従来の沸騰水型原子炉における定期点検中の燃料交換作業時又は燃料装荷時においては、十字型制御棒が倒れないようにするためにブレードガイドを用いる必要があり、その取り付け取り外し作業に時間がかかるという問題があった。また、炉心のすべての燃料集合体配置を市松模様にすればブレードガイドを用いずに燃料交換できる可能性があるが、例え少数だけ燃料交換する時でも、まず燃料集合体の半数以上を取り出す必要があり作業時間がかかるという問題がある。
【0019】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ブレードガイドを使用することなく原子炉の燃料交換を1セル単位で行うことができ、燃料の交換にかかる時間を短縮することのできる原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の原子炉の燃料取出し方法は、上記目的を達成するために、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルから、前記燃料集合体を取出す原子炉の燃料取出し方法であって、4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、最後に残り2体の燃料集合体を引き抜くことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の原子炉の燃料交換方法は、上記目的を達成するために、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を交換する原子炉の燃料交換方法であって、4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、この状態から残り2体の前記燃料集合体を引き抜き、その後、新しい燃料集合体の2体を互いに対角になるように装荷し、次に、十字型制御棒を全挿入し、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷することを特徴とする。
【0022】
更に、本発明の原子炉の燃料装荷方法は、上記目的を達成するために、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を装荷する原子炉の燃料装荷方法であって、前記燃料集合体が装荷されておらず、かつ、前記十字型制御棒が全て引き抜きされている状態から、まず、前記十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、前記セルに2体の燃料集合体を互いに対角になるように装荷し、その後、十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの対角2体の燃料集合体を装荷するか、若しくは炉心の全ての前記燃料集合体が引き抜かれ、かつ、全ての前記十字型制御棒が全引き抜きされている状態から、先ず、全てのセルで十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、全てのセルで、対角2体の燃料集合体を装荷し、その後、全てのセルの十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの全ての燃料集合体を装荷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、現行の原子炉に変更を加えることなく、しかも、ブレードガイドを使用することなく原子炉の燃料交換を1セル単位で行うことができ、燃料の交換にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法の適用対象である沸騰水型原子炉の概略構成を示す図である。
【図2】図1における炉心全体の水平断面図である。
【図3】図1における4体の燃料集合体及び十字型制御棒の水平断面図である。
【図4】図1における燃料集合体の全体構造を示す垂直断面図である。
【図5】図1における4体の燃料集合体の配置を上部格子板と共に示す水平断面図である。
【図6】従来の原子炉の燃料交換方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の原子炉の燃料交換方法における炉停止余裕の満足を確認するため、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心体系で計算機シミュレーション結果の燃料集合体の装荷パターン(横軸)と実効中性子増倍率(縦軸)の関係を示す特性図である。
【図8】本発明の実施例1である原子炉の燃料交換方法及ぶ燃料取出し方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施例1における十字型制御棒の部分引き抜き状態を示す部分断面図である。
【図10】本発明の実施例1における十字型制御棒の全挿入状態を示す部分断面図である。
【図11】本発明の実施例2である原子炉の燃料装荷方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施例3である原子炉の燃料装荷方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法では、燃料集合体が装荷されているときに十字型制御棒が部分的に抜けている状態(十字型制御棒が部分的に引き抜き或いは挿入された状態)を手段の一つとしている。そのため、その状態でも炉心が臨界にならないことを保証しなければならない。
【0026】
臨界性を示すパラメータは、実効中性子増倍率と呼ばれる。炉心は、実効中性子増倍率が1に達したときに臨界となる。炉心は、冷温状態において、全ての十字型制御棒を全挿入しているときに、いかなる1本の十字型制御棒が誤作動などにより挿入されなかったとしても、余裕をもって未臨界を保てるように設計されている。これを炉停止余裕という。
【0027】
本発明者等は、以下に示す実施例について、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心と、9行9列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心の2種類の体系で計算機シミュレーションを行った。どちらの体系でも、炉停止余裕を満足することを確認した。
【0028】
以下では、前者の体系での検討結果を、図7を用いて説明する。図7は、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心体系で計算機シミュレーション結果の燃料集合体の装荷パターン(横軸)と実効中性子増倍率(縦軸)の関係を示すものである。
【0029】
図7中の項目は、以下の通り、冷温時の炉心の実効中性子増倍率の値である。即ち、図7中の「CRfullin」は、燃料集合体が全て装荷され十字型制御棒も全挿入の状態、「CRfullout」は、燃料集合体が全て装荷され十字型制御棒が全引き抜きの状態、「1stack」は、燃料集合体が装荷、十字型制御棒が全挿入されているとき、炉心中ただ1本の十字型制御棒が全引き抜きの状態、「1cell」は、燃料集合体が装荷、十字型制御棒が全挿入されているとき、炉心中ただ1つのセルにおいて対角2体の燃料集合体だけが装荷されており、十字型制御棒が全引き抜きである状態、「1/4Core」は、炉心中1/4のセルについて対角2体の燃料集合体だけが装荷されており、十字型制御棒が全引き抜きである状態、「FullCore」は、炉心中全てのセルについて、対角2体の燃料集合体だけが装荷されており、十字型制御棒が全引き抜きである状態をそれぞれ示す。
【0030】
尚、図7中の白い点は、炉心中で制御棒価値が最も高い十字型制御棒1本が抜けた状態の実効中性子増倍率を示す。
【0031】
図7において、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた冷温時の炉心において、全ての燃料集合体が装荷され、全ての十字型制御棒が全挿入されている状態「CRfullin」の実効中性子増倍率は、今回の計算例では0.947である。この状態からいずれか1本の十字型制御棒が抜けた時の実効中性子増倍率のうち、最大のものは、今回の計算例では、「1stack」で示してある値0.978である。この値が検討を行う上での設計目標となる。一般的に、「1stack」の状態では、炉停止余裕は満足されている。
【0032】
本発明者等らの原子炉の燃料交換方法の過程で、最も実効中性子増倍率が高くなるのは、セル中の対角2体の燃料集合体を引き抜き、セル中の十字型制御棒を引き抜いたときである。このときでも設計目標である「1stack」の値を超えないこと、即ち、炉停止余裕を満足することを確認しなくてはならない。
【0033】
図7中の「1cell」の黒い点は、炉心中あるただ1つのセルにおいて、対角2体の燃料集合体を引き抜き、十字型制御棒を全引き抜きした状態を示しており、その値は、今回の計算例では0.947となった。白い点は、そのとき対象セル以外の場所で十字型制御棒が引き抜かれた場合のうち、実効中性子増倍率が最も高くなる場合で、その値は、今回の計算例では0.978となり、炉停止余裕を満足した。他の各々のセルについても同様の計算を行い、常に炉停止余裕を満足していることを確認した。
【0034】
つまり、本発明者等は、冷温時の炉心において、燃料集合体2体を抜いたあとの水領域が中性子を吸収する価値が、十字型制御棒の価値と同等以上であることが分かった。
【0035】
1つのセルに操作を行なっても実効中性子増倍率は、図7の「CRfullin」以下になるため、複数のセルについて行なっても、常に図7の「CRfullin」以下となる。そして、炉停止余裕も常に満足する。また、図7の「fullCore」に示すように、炉心中全てのセルについて対角2体の燃料集合体を引き抜き、十字型制御棒を全引き抜きした場合は、実効中性子増倍率が特に小さくなることも確認した。
【0036】
本検討では、十字型制御棒が全引き抜きの状態を扱った。一方、本発明では、十字型制御棒の部分引き抜き及び部分挿入を用いる。この場合の実効中性子増倍率は、全引き抜きの場合よりも小さくなるので、炉停止余裕は満足される。
【0037】
部分引き抜き、部分挿入の範囲(上限)は、十字型制御棒が中性子吸収の効果を発揮でき、かつ単独で自立できる範囲であることが望ましい。即ち、十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒を挿入したとき十字型制御棒が倒れず、十字型制御棒が傾いたとしても燃料集合体の取り出し及び装荷に干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であることが望ましい。例えば、十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態が適する。
【0038】
また、本発明での部分引き抜き、部分挿入の下限は、十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域の上端が、燃料集合体の有効領域に差し掛かる位置とする。
【0039】
以上の検討結果を反映した本発明の原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法の実施例について、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0040】
図8に、4体の燃料集合体9が装荷され、十字型制御棒11が全挿入されているあるセルから、燃料集合体9を交換する過程の実施例のフローチャートを示す。
【0041】
該図に示す如く、4体の燃料集合体9が装荷され、十字型制御棒11が全挿入(40)されている状態から、まず、セルの対角2体の燃料集合体9を引き抜く(41)。次に、十字型制御棒11を部分引き抜き(42)する。即ち、十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、例え十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の取り出しに干渉しない状態に十字型制御棒11を部分引き抜きする。
【0042】
この十字型制御棒11を部分引き抜きした状態を図9に示す。該図の如く、燃料支持金具13に支持されている燃料集合体9間及び燃料支持金具13に形成された制御棒挿入孔8に配置された十字型制御棒11は、図10に示す十字型制御棒11の全挿入状態から制御棒駆動機構10(図1参照)により下方に引き抜かれ、図9に示す部分引き抜き位置まで駆動される。
【0043】
この図9に示す部分引き抜き位置は、上述した十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の取り出しに干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であり、例えば、十字型制御棒11の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ引き抜きされている状態である。
【0044】
次に、上記の状態から残り2体の燃料集合体9を引き抜き(43)、その後、新しい燃料集合体9の2体を互いに対角になるように装荷(44)する。次に、十字型制御棒11を図10に示す如く、上部格子板6の位置まで制御棒駆動機構10(図1参照)により全挿入(45)する。そして、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷(46)して、このセルの燃料交換作業が完了する。
【0045】
上述では燃料交換方法について説明したが、図8のフローチャートで、工程(40)−(41)−(42)−(43)は、燃料取出し方法を示す。
【0046】
このような本実施例の燃料取出し及び燃料交換作業により、ブレードガイドを使用することなく燃料を引き抜くことができ、燃料交換時間を短縮することができる。また、制御棒を部分引き抜きすることにより、制御棒の効果が表れ中性子増倍率が低下し、全引き抜き時より安全に作業できる。
【実施例2】
【0047】
図11に、燃料集合体9が装荷されておらず、十字型制御棒11が全引き抜きされたあるセルに、燃料集合体9を装荷する(初装荷)過程の実施例のフローチャートを示す。
【0048】
該図に示す如く、燃料集合体9が装荷されておらず、十字型制御棒11が全て引き抜き(50)されている状態から、まず、矢印(a)のように、十字型制御棒11を自立できる範囲まで部分挿入(51)し、即ち、十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、例え十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の挿入に干渉しない状態に十字型制御棒11を部分挿入する(本実施例での十字型制御棒11の部分挿入状態は、図9と同一位置である)。
【0049】
この十字型制御棒11の部分挿入位置は、上述した十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の挿入に干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であり、例えば、十字型制御棒11の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態である。
【0050】
次に、上記の状態からセルに2体の燃料集合体9を互いに対角になるように装荷(52)し、その後、矢印(b)のように、十字型制御棒11を図10と同様に全挿入(53)する。そして、最後に残りの対角2体の燃料集合体9を装荷(54)する。
【0051】
このような本実施例の燃料装荷作業により、ブレードガイドを使用することなく燃料を挿入することができ、燃料交換時間を短縮することができる。
【実施例3】
【0052】
図12に、本発明の実施例3である原子炉の燃料装荷方法のフローチャートを示す。
【0053】
該図に示す如く、炉心の全ての燃料集合体9が引き抜かれ、全十字型制御棒11が全引き抜き(60)されている状態から、先ず、全てのセルで十字型制御棒11を自立できる範囲まで部分挿入(61)する。即ち、十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、例え十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の装荷に干渉しない状態に十字型制御棒11を部分挿入する(本実施例での十字型制御棒11の部分挿入状態は、図9と同一位置である)。
【0054】
この十字型制御棒11の部分挿入位置は、上述した十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の挿入に干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であり、例えば、十字型制御棒11の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態である。
【0055】
次に、上記の状態から全てのセルで、対角2体の燃料集合体9を装荷(62)し、その後、全てのセルの十字型制御棒11を図10と同様に全挿入(63)する。そして、最後に残りの全ての燃料集合体9を装荷する。
【0056】
このような本実施例の燃料装荷作業により、炉心中の全ての燃料集合体9を挿入することができる。また、全ての十字型制御棒11を同時に挿入することにより、燃料交換時間を短縮することができる。また、このときの実効中性子増倍率は特に低く、核特性上、安全性に大きな余裕をもって効率よく作業できる。
【符号の説明】
【0057】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉シュラウド、3…炉心、4…気水分離器、5…蒸気乾燥器、6…上部格子板、7…炉心支持板、8…制御棒挿入孔、9…燃料集合体、10…制御棒駆動機構、11…十字型制御棒、12…制御棒案内管、13…燃料支持金具、14…インターナルポンプ、15…下部プレナム、16…燃料棒、17…シュラウドヘッド、18…主蒸気管、19…給水管、20…水ロッド、21…スペーサ、22…上部タイプレート、23…下部タイプレート、24…チャンネルボックス、25…チャンネルファスナ、27a…挿入部の外周面、28…ブレードガイド。
【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法に係り、特に、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子(セル)の集合により構成され、沸騰水型原子炉に好適な原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図3に本発明の適用対象である沸騰水型原子炉の概略構成を示す。
【0003】
該図に示す如く、沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器1内に設置された円筒形状の原子炉シュラウド2と、この原子炉シュラウド2の内部に格納された炉心3と、原子炉シュラウド2の上部に設置された気水分離器4と、この気水分離器4の更に上部に設置された蒸気乾燥器5とを備えて概略構成されている。
【0004】
炉心3は、上部格子板6と炉心支持板7に設置した燃料支持金具(図示せず)との間に、四角柱をした複数(図2では872体)の燃料集合体9が所定間隔で配置されている。これら燃料集合体9の間には、原子炉圧力容器1の下部に設置された制御棒駆動機構10で駆動される複数(燃料集合体9の4体に対し1本程度の割合であり、図2では205本)の十字型制御棒11が配置されている。この十字型制御棒11は、制御棒案内管12をガイドにして上下方向(図1の上下方向)に抜き差し可能で、これにより炉心3の出力を制御できる。
【0005】
原子炉圧力容器1内の冷却水(軽水)は、原子炉圧力容器1の下部に設けた再循環ポンプ(インターナルポンプ)14によって、炉心3下部の下部プレナム15に流入し、ここから上昇して炉心3内に流入するようになっている。炉心3内の冷却水は、燃料集合体9に備えられた燃料棒16に含まれる核分裂性物質の核分裂反応により加熱され、蒸気と飽和水の気液混合流となって上昇しシュラウドヘッド17に流入する。
【0006】
その後、気水分離器4によって水と分離された蒸気は、蒸気乾燥器5で乾燥され、原子炉圧力容器1の主蒸気管18から流出してタービン(図示せず)に供給され、タービンの回転動力によって発電機(図示せず)が駆動されて発電する。タービンを通過した蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮され、再び冷却水となって給水管19ら原子炉圧力容器1に環流するようになっている。
【0007】
図4は、上述した燃料集合体9の全体構造を、図5は、その燃料集合体9の配置を上部格子板6とともに表すものである。
【0008】
これら図4、図5及び上述の図3において、燃料集合体9は、核分裂性物質からなる円筒形状の燃料ペレットを封入した複数の燃料棒16と、内部に冷却水が流れる2本の水ロッド20とを備えている。但し、図4及び図5に示した燃料集合体は一例であり、本発明は、燃料棒数、水ロッド水及びそれらの配置や形状が異なる場合でも適用可能である。
【0009】
これら燃料棒16及び水ロッド20がn行n列(図3中ではn=9)の正方格子状に配列され、軸方向(図4の上下方向)に所定間隔をおいて配設された複数のスペーサ21により燃料棒16及び水ロッド20の間隔が適切に保持されて、燃料バンドルとしている。また、燃料集合体9は、その燃料バンドルの上端及び下端をそれぞれ支持する上部タイプレート22及び下部タイプレート23と、燃料バンドルの周囲を取り囲み燃料集合体9の外壁を形成する四角筒形状のチャンネルボックス24とを備えている。
【0010】
このような燃料集合体9は、4体を1組として燃料支持金具内に設置されている。また、燃料集合体9の上部タイプレート22は、上部格子板6に通されると共に、上部タイプレート22の上方側(図5の紙面に向かって手前側)に設けられたチャンネルファスナ25が互いに作用して、位置決めされるようになっている。このとき、上部タイプレート22と上部格子板6との間、又はチャンネルファスナ25の相互間には、燃料集合体9の装荷時の作業性を考慮して隙間(遊び)が設けられている。
【0011】
全挿入された十字型制御棒11は、囲まれた燃料集合体9に寄りかかることで自立している。対角の2体の燃料集合体9を引き抜いても、十字型制御棒11は残った対角2体の燃料集合体9に寄りかかり、倒れることはない。しかし、隣り合う2体の燃料集合体9を引き抜いたときは、十字型制御棒11がその引き抜いた燃料集合体9側への支えを失い、そちらに倒れてしまう可能性がある。
【0012】
即ち、沸騰水型原子炉に用いられている十字型制御棒11は、隣り合う2体の燃料集合体9を引き抜いたときは、自立できない。
【0013】
そのため、燃料交換時及び燃料装荷時には、ブレードガイドと呼ばれる十字型制御棒が倒れないように固定するための治具を用いている。このブレードガイドは、対角2体の燃料集合体を装荷する場所にまたがるように設置されている。
【0014】
このブレードガイドを用いて十字型制御棒が倒れないように固定されている従来の燃料交換について、図6を用いて説明する。
【0015】
該図に示すように、従来の燃料交換は、4体の燃料集合体9が装荷され、十字型制御棒11が全挿入(30)されている状態から、先ずセルの対角2体の燃料集合体9を引き抜き(31)、次に、十字型制御棒11が倒れないようにブレードガイド28を設置(32)して固定し、残り2体の燃料集合体9を引き抜き(33)、その後、十字型制御棒11を全引き抜き(34)、最後にブレードガイド28を取り外す(35)という順番で行われている。
【0016】
なお、燃料交換については、例えば、特許文献1に記載されているような、市松模様方式の燃料取り出し方法が広く知られている。この市松模様方式の燃料取り出し方法は、炉心中のすべてのセルについて燃料交換を適用する方法で、燃料交換の始めに炉心中の約半数の燃料集合体を、市松模様状に抜き取り出すものである。この状態では、制御棒を全て引き抜いても臨界にならないことが確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平9−304580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述した従来の沸騰水型原子炉における定期点検中の燃料交換作業時又は燃料装荷時においては、十字型制御棒が倒れないようにするためにブレードガイドを用いる必要があり、その取り付け取り外し作業に時間がかかるという問題があった。また、炉心のすべての燃料集合体配置を市松模様にすればブレードガイドを用いずに燃料交換できる可能性があるが、例え少数だけ燃料交換する時でも、まず燃料集合体の半数以上を取り出す必要があり作業時間がかかるという問題がある。
【0019】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ブレードガイドを使用することなく原子炉の燃料交換を1セル単位で行うことができ、燃料の交換にかかる時間を短縮することのできる原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の原子炉の燃料取出し方法は、上記目的を達成するために、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルから、前記燃料集合体を取出す原子炉の燃料取出し方法であって、4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、最後に残り2体の燃料集合体を引き抜くことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の原子炉の燃料交換方法は、上記目的を達成するために、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を交換する原子炉の燃料交換方法であって、4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、この状態から残り2体の前記燃料集合体を引き抜き、その後、新しい燃料集合体の2体を互いに対角になるように装荷し、次に、十字型制御棒を全挿入し、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷することを特徴とする。
【0022】
更に、本発明の原子炉の燃料装荷方法は、上記目的を達成するために、十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を装荷する原子炉の燃料装荷方法であって、前記燃料集合体が装荷されておらず、かつ、前記十字型制御棒が全て引き抜きされている状態から、まず、前記十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、前記セルに2体の燃料集合体を互いに対角になるように装荷し、その後、十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの対角2体の燃料集合体を装荷するか、若しくは炉心の全ての前記燃料集合体が引き抜かれ、かつ、全ての前記十字型制御棒が全引き抜きされている状態から、先ず、全てのセルで十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、全てのセルで、対角2体の燃料集合体を装荷し、その後、全てのセルの十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの全ての燃料集合体を装荷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、現行の原子炉に変更を加えることなく、しかも、ブレードガイドを使用することなく原子炉の燃料交換を1セル単位で行うことができ、燃料の交換にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法の適用対象である沸騰水型原子炉の概略構成を示す図である。
【図2】図1における炉心全体の水平断面図である。
【図3】図1における4体の燃料集合体及び十字型制御棒の水平断面図である。
【図4】図1における燃料集合体の全体構造を示す垂直断面図である。
【図5】図1における4体の燃料集合体の配置を上部格子板と共に示す水平断面図である。
【図6】従来の原子炉の燃料交換方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の原子炉の燃料交換方法における炉停止余裕の満足を確認するため、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心体系で計算機シミュレーション結果の燃料集合体の装荷パターン(横軸)と実効中性子増倍率(縦軸)の関係を示す特性図である。
【図8】本発明の実施例1である原子炉の燃料交換方法及ぶ燃料取出し方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施例1における十字型制御棒の部分引き抜き状態を示す部分断面図である。
【図10】本発明の実施例1における十字型制御棒の全挿入状態を示す部分断面図である。
【図11】本発明の実施例2である原子炉の燃料装荷方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施例3である原子炉の燃料装荷方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法では、燃料集合体が装荷されているときに十字型制御棒が部分的に抜けている状態(十字型制御棒が部分的に引き抜き或いは挿入された状態)を手段の一つとしている。そのため、その状態でも炉心が臨界にならないことを保証しなければならない。
【0026】
臨界性を示すパラメータは、実効中性子増倍率と呼ばれる。炉心は、実効中性子増倍率が1に達したときに臨界となる。炉心は、冷温状態において、全ての十字型制御棒を全挿入しているときに、いかなる1本の十字型制御棒が誤作動などにより挿入されなかったとしても、余裕をもって未臨界を保てるように設計されている。これを炉停止余裕という。
【0027】
本発明者等は、以下に示す実施例について、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心と、9行9列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心の2種類の体系で計算機シミュレーションを行った。どちらの体系でも、炉停止余裕を満足することを確認した。
【0028】
以下では、前者の体系での検討結果を、図7を用いて説明する。図7は、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた炉心体系で計算機シミュレーション結果の燃料集合体の装荷パターン(横軸)と実効中性子増倍率(縦軸)の関係を示すものである。
【0029】
図7中の項目は、以下の通り、冷温時の炉心の実効中性子増倍率の値である。即ち、図7中の「CRfullin」は、燃料集合体が全て装荷され十字型制御棒も全挿入の状態、「CRfullout」は、燃料集合体が全て装荷され十字型制御棒が全引き抜きの状態、「1stack」は、燃料集合体が装荷、十字型制御棒が全挿入されているとき、炉心中ただ1本の十字型制御棒が全引き抜きの状態、「1cell」は、燃料集合体が装荷、十字型制御棒が全挿入されているとき、炉心中ただ1つのセルにおいて対角2体の燃料集合体だけが装荷されており、十字型制御棒が全引き抜きである状態、「1/4Core」は、炉心中1/4のセルについて対角2体の燃料集合体だけが装荷されており、十字型制御棒が全引き抜きである状態、「FullCore」は、炉心中全てのセルについて、対角2体の燃料集合体だけが装荷されており、十字型制御棒が全引き抜きである状態をそれぞれ示す。
【0030】
尚、図7中の白い点は、炉心中で制御棒価値が最も高い十字型制御棒1本が抜けた状態の実効中性子増倍率を示す。
【0031】
図7において、10行10列の燃料棒構成をもつ燃料集合体を用いた冷温時の炉心において、全ての燃料集合体が装荷され、全ての十字型制御棒が全挿入されている状態「CRfullin」の実効中性子増倍率は、今回の計算例では0.947である。この状態からいずれか1本の十字型制御棒が抜けた時の実効中性子増倍率のうち、最大のものは、今回の計算例では、「1stack」で示してある値0.978である。この値が検討を行う上での設計目標となる。一般的に、「1stack」の状態では、炉停止余裕は満足されている。
【0032】
本発明者等らの原子炉の燃料交換方法の過程で、最も実効中性子増倍率が高くなるのは、セル中の対角2体の燃料集合体を引き抜き、セル中の十字型制御棒を引き抜いたときである。このときでも設計目標である「1stack」の値を超えないこと、即ち、炉停止余裕を満足することを確認しなくてはならない。
【0033】
図7中の「1cell」の黒い点は、炉心中あるただ1つのセルにおいて、対角2体の燃料集合体を引き抜き、十字型制御棒を全引き抜きした状態を示しており、その値は、今回の計算例では0.947となった。白い点は、そのとき対象セル以外の場所で十字型制御棒が引き抜かれた場合のうち、実効中性子増倍率が最も高くなる場合で、その値は、今回の計算例では0.978となり、炉停止余裕を満足した。他の各々のセルについても同様の計算を行い、常に炉停止余裕を満足していることを確認した。
【0034】
つまり、本発明者等は、冷温時の炉心において、燃料集合体2体を抜いたあとの水領域が中性子を吸収する価値が、十字型制御棒の価値と同等以上であることが分かった。
【0035】
1つのセルに操作を行なっても実効中性子増倍率は、図7の「CRfullin」以下になるため、複数のセルについて行なっても、常に図7の「CRfullin」以下となる。そして、炉停止余裕も常に満足する。また、図7の「fullCore」に示すように、炉心中全てのセルについて対角2体の燃料集合体を引き抜き、十字型制御棒を全引き抜きした場合は、実効中性子増倍率が特に小さくなることも確認した。
【0036】
本検討では、十字型制御棒が全引き抜きの状態を扱った。一方、本発明では、十字型制御棒の部分引き抜き及び部分挿入を用いる。この場合の実効中性子増倍率は、全引き抜きの場合よりも小さくなるので、炉停止余裕は満足される。
【0037】
部分引き抜き、部分挿入の範囲(上限)は、十字型制御棒が中性子吸収の効果を発揮でき、かつ単独で自立できる範囲であることが望ましい。即ち、十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒を挿入したとき十字型制御棒が倒れず、十字型制御棒が傾いたとしても燃料集合体の取り出し及び装荷に干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であることが望ましい。例えば、十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態が適する。
【0038】
また、本発明での部分引き抜き、部分挿入の下限は、十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域の上端が、燃料集合体の有効領域に差し掛かる位置とする。
【0039】
以上の検討結果を反映した本発明の原子炉の燃料取出し方法及び燃料装荷方法並びに燃料交換方法の実施例について、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0040】
図8に、4体の燃料集合体9が装荷され、十字型制御棒11が全挿入されているあるセルから、燃料集合体9を交換する過程の実施例のフローチャートを示す。
【0041】
該図に示す如く、4体の燃料集合体9が装荷され、十字型制御棒11が全挿入(40)されている状態から、まず、セルの対角2体の燃料集合体9を引き抜く(41)。次に、十字型制御棒11を部分引き抜き(42)する。即ち、十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、例え十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の取り出しに干渉しない状態に十字型制御棒11を部分引き抜きする。
【0042】
この十字型制御棒11を部分引き抜きした状態を図9に示す。該図の如く、燃料支持金具13に支持されている燃料集合体9間及び燃料支持金具13に形成された制御棒挿入孔8に配置された十字型制御棒11は、図10に示す十字型制御棒11の全挿入状態から制御棒駆動機構10(図1参照)により下方に引き抜かれ、図9に示す部分引き抜き位置まで駆動される。
【0043】
この図9に示す部分引き抜き位置は、上述した十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の取り出しに干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であり、例えば、十字型制御棒11の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ引き抜きされている状態である。
【0044】
次に、上記の状態から残り2体の燃料集合体9を引き抜き(43)、その後、新しい燃料集合体9の2体を互いに対角になるように装荷(44)する。次に、十字型制御棒11を図10に示す如く、上部格子板6の位置まで制御棒駆動機構10(図1参照)により全挿入(45)する。そして、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷(46)して、このセルの燃料交換作業が完了する。
【0045】
上述では燃料交換方法について説明したが、図8のフローチャートで、工程(40)−(41)−(42)−(43)は、燃料取出し方法を示す。
【0046】
このような本実施例の燃料取出し及び燃料交換作業により、ブレードガイドを使用することなく燃料を引き抜くことができ、燃料交換時間を短縮することができる。また、制御棒を部分引き抜きすることにより、制御棒の効果が表れ中性子増倍率が低下し、全引き抜き時より安全に作業できる。
【実施例2】
【0047】
図11に、燃料集合体9が装荷されておらず、十字型制御棒11が全引き抜きされたあるセルに、燃料集合体9を装荷する(初装荷)過程の実施例のフローチャートを示す。
【0048】
該図に示す如く、燃料集合体9が装荷されておらず、十字型制御棒11が全て引き抜き(50)されている状態から、まず、矢印(a)のように、十字型制御棒11を自立できる範囲まで部分挿入(51)し、即ち、十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、例え十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の挿入に干渉しない状態に十字型制御棒11を部分挿入する(本実施例での十字型制御棒11の部分挿入状態は、図9と同一位置である)。
【0049】
この十字型制御棒11の部分挿入位置は、上述した十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の挿入に干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であり、例えば、十字型制御棒11の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態である。
【0050】
次に、上記の状態からセルに2体の燃料集合体9を互いに対角になるように装荷(52)し、その後、矢印(b)のように、十字型制御棒11を図10と同様に全挿入(53)する。そして、最後に残りの対角2体の燃料集合体9を装荷(54)する。
【0051】
このような本実施例の燃料装荷作業により、ブレードガイドを使用することなく燃料を挿入することができ、燃料交換時間を短縮することができる。
【実施例3】
【0052】
図12に、本発明の実施例3である原子炉の燃料装荷方法のフローチャートを示す。
【0053】
該図に示す如く、炉心の全ての燃料集合体9が引き抜かれ、全十字型制御棒11が全引き抜き(60)されている状態から、先ず、全てのセルで十字型制御棒11を自立できる範囲まで部分挿入(61)する。即ち、十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、例え十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の装荷に干渉しない状態に十字型制御棒11を部分挿入する(本実施例での十字型制御棒11の部分挿入状態は、図9と同一位置である)。
【0054】
この十字型制御棒11の部分挿入位置は、上述した十字型制御棒11中の中性子吸収材を含む領域が、燃料集合体9の有効領域と重なっており、かつ十字型制御棒11を挿入したとき十字型制御棒11が倒れず、十字型制御棒11が傾いたとしても燃料集合体9の挿入に干渉しない状態(約1度の傾きが許容でき、長さにすると2.1mまで挿入可能)であり、例えば、十字型制御棒11の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態である。
【0055】
次に、上記の状態から全てのセルで、対角2体の燃料集合体9を装荷(62)し、その後、全てのセルの十字型制御棒11を図10と同様に全挿入(63)する。そして、最後に残りの全ての燃料集合体9を装荷する。
【0056】
このような本実施例の燃料装荷作業により、炉心中の全ての燃料集合体9を挿入することができる。また、全ての十字型制御棒11を同時に挿入することにより、燃料交換時間を短縮することができる。また、このときの実効中性子増倍率は特に低く、核特性上、安全性に大きな余裕をもって効率よく作業できる。
【符号の説明】
【0057】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉シュラウド、3…炉心、4…気水分離器、5…蒸気乾燥器、6…上部格子板、7…炉心支持板、8…制御棒挿入孔、9…燃料集合体、10…制御棒駆動機構、11…十字型制御棒、12…制御棒案内管、13…燃料支持金具、14…インターナルポンプ、15…下部プレナム、16…燃料棒、17…シュラウドヘッド、18…主蒸気管、19…給水管、20…水ロッド、21…スペーサ、22…上部タイプレート、23…下部タイプレート、24…チャンネルボックス、25…チャンネルファスナ、27a…挿入部の外周面、28…ブレードガイド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルから、前記燃料集合体を取出す原子炉の燃料取出し方法であって、
4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、最後に残り2体の燃料集合体を引き抜くことを特徴とする原子炉の燃料取出し方法。
【請求項2】
請求項1に記載の原子炉の燃料取出し方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、前記燃料集合体の有効領域と重なり、かつ前記十字型制御棒を挿入したとき該十字型制御棒が倒れず、該十字型制御棒が傾いても前記燃料集合体の取り出しに干渉しない状態であることを特徴とする原子炉の燃料取出し方法。
【請求項3】
請求項1に記載の原子炉の燃料取出し方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ引き抜きされている状態であることを特徴とする原子炉の燃料取出し方法。
【請求項4】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を交換する原子炉の燃料交換方法であって、
4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、この状態から残り2体の前記燃料集合体を引き抜き、その後、新しい燃料集合体の2体を互いに対角になるように装荷し、次に、十字型制御棒を全挿入し、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷することを特徴とする原子炉の燃料交換方法。
【請求項5】
請求項4に記載の原子炉の燃料交換方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、前記燃料集合体の有効領域と重なり、かつ前記十字型制御棒を挿入したとき該十字型制御棒が倒れず、該十字型制御棒が傾いても前記燃料集合体の取り出しに干渉しない状態であることを特徴とする原子炉の燃料交換方法。
【請求項6】
請求項4に記載の原子炉の燃料交換方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ引き抜きされている状態であることを特徴とする原子炉の燃料交換方法。
【請求項7】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を装荷する原子炉の燃料装荷方法であって、
前記燃料集合体が装荷されておらず、かつ、前記十字型制御棒が全て引き抜きされている状態から、まず、前記十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、前記セルに2体の燃料集合体を互いに対角になるように装荷し、その後、十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの対角2体の燃料集合体を装荷することを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項8】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を装荷する原子炉の燃料装荷方法であって、
炉心の全ての前記燃料集合体が引き抜かれ、かつ、全ての前記十字型制御棒が全引き抜きされている状態から、先ず、全てのセルで十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、全てのセルで、対角2体の燃料集合体を装荷し、その後、全てのセルの十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの全ての燃料集合体を装荷することを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の原子炉の燃料装荷方法において、
前記十字型制御棒の部分挿入とは、前記十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、前記燃料集合体の有効領域と重なり、かつ前記十字型制御棒を挿入したとき該十字型制御棒が倒れず、該十字型制御棒が傾いても前記燃料集合体の挿入に干渉しない状態であることを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の原子炉の燃料装荷方法において、
前記十字型制御棒の部分挿入とは、前記十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態であることを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項1】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルから、前記燃料集合体を取出す原子炉の燃料取出し方法であって、
4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、最後に残り2体の燃料集合体を引き抜くことを特徴とする原子炉の燃料取出し方法。
【請求項2】
請求項1に記載の原子炉の燃料取出し方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、前記燃料集合体の有効領域と重なり、かつ前記十字型制御棒を挿入したとき該十字型制御棒が倒れず、該十字型制御棒が傾いても前記燃料集合体の取り出しに干渉しない状態であることを特徴とする原子炉の燃料取出し方法。
【請求項3】
請求項1に記載の原子炉の燃料取出し方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ引き抜きされている状態であることを特徴とする原子炉の燃料取出し方法。
【請求項4】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を交換する原子炉の燃料交換方法であって、
4体の前記燃料集合体が装荷され、前記十字型制御棒が全挿入されている状態から、まず、セルの対角2体の前記燃料集合体を引き抜き、次に、前記十字型制御棒を部分引き抜き、この状態から残り2体の前記燃料集合体を引き抜き、その後、新しい燃料集合体の2体を互いに対角になるように装荷し、次に、十字型制御棒を全挿入し、最後に残り2体の新しい燃料集合体9の2体を対角に装荷することを特徴とする原子炉の燃料交換方法。
【請求項5】
請求項4に記載の原子炉の燃料交換方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、前記燃料集合体の有効領域と重なり、かつ前記十字型制御棒を挿入したとき該十字型制御棒が倒れず、該十字型制御棒が傾いても前記燃料集合体の取り出しに干渉しない状態であることを特徴とする原子炉の燃料交換方法。
【請求項6】
請求項4に記載の原子炉の燃料交換方法において、
前記十字型制御棒の部分引き抜きとは、前記十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ引き抜きされている状態であることを特徴とする原子炉の燃料交換方法。
【請求項7】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を装荷する原子炉の燃料装荷方法であって、
前記燃料集合体が装荷されておらず、かつ、前記十字型制御棒が全て引き抜きされている状態から、まず、前記十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、前記セルに2体の燃料集合体を互いに対角になるように装荷し、その後、十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの対角2体の燃料集合体を装荷することを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項8】
十字型制御棒と、それを囲む2行2列、4体の燃料集合体の組とで構成される単位格子のセルの前記燃料集合体を装荷する原子炉の燃料装荷方法であって、
炉心の全ての前記燃料集合体が引き抜かれ、かつ、全ての前記十字型制御棒が全引き抜きされている状態から、先ず、全てのセルで十字型制御棒を自立できる範囲まで部分挿入し、次に、全てのセルで、対角2体の燃料集合体を装荷し、その後、全てのセルの十字型制御棒を全挿入し、最後に残りの全ての燃料集合体を装荷することを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の原子炉の燃料装荷方法において、
前記十字型制御棒の部分挿入とは、前記十字型制御棒中の中性子吸収材を含む領域が、前記燃料集合体の有効領域と重なり、かつ前記十字型制御棒を挿入したとき該十字型制御棒が倒れず、該十字型制御棒が傾いても前記燃料集合体の挿入に干渉しない状態であることを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の原子炉の燃料装荷方法において、
前記十字型制御棒の部分挿入とは、前記十字型制御棒の長さを24分割したとき、24分の1以上、2分の1以下の長さ分だけ挿入されている状態であることを特徴とする原子炉の燃料装荷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−44538(P2013−44538A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180237(P2011−180237)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
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