原子炉格納容器
【課題】炉心溶融物保持装置の設置後の位置のずれを抑制する。
【解決手段】原子炉格納容器に、炉心溶融物保持装置と、スペーサ26とを備える。炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床の上に載せられてペデスタル側壁11の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ち、その外周面の内側に上に開いた保持容器と保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えている。炉心溶融物保持装置の外周面とペデスタル側壁11の内面との間の間隙から給水容器には、給水流路が延びる。給水容器から保持容器の下面に沿って、冷却流路が延びる。スペーサ26は、炉心溶融物保持装置の外側ライザー20の上端に引掛り、外側ライザー20の外側とペデスタル側壁11の内面との間に延びていて、炉心溶融物保持装置の偏心を防止する。
【解決手段】原子炉格納容器に、炉心溶融物保持装置と、スペーサ26とを備える。炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床の上に載せられてペデスタル側壁11の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ち、その外周面の内側に上に開いた保持容器と保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えている。炉心溶融物保持装置の外周面とペデスタル側壁11の内面との間の間隙から給水容器には、給水流路が延びる。給水容器から保持容器の下面に沿って、冷却流路が延びる。スペーサ26は、炉心溶融物保持装置の外側ライザー20の上端に引掛り、外側ライザー20の外側とペデスタル側壁11の内面との間に延びていて、炉心溶融物保持装置の偏心を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水冷却型原子炉では、原子炉圧力容器内への給水の停止や、原子炉圧力容器に接続された配管の破断により冷却水が喪失すると、原子炉水位が低下し炉心が露出して冷却が不十分になる可能性がある。このような場合を想定して、水位低下の信号により自動的に原子炉は非常停止され、非常用炉心冷却装置(ECCS)による冷却材の注入によって炉心を冠水させて冷却し、炉心溶融事故を未然に防ぐようになっている。
【0003】
しかしながら、極めて低い確率ではあるが、上記非常用炉心冷却装置が作動せず、かつ、その他の炉心への注水装置も利用できない事態も想定され得る。このような場合、原子炉水位の低下により炉心は露出し、十分な冷却が行われなくなり、原子炉停止後も発生し続ける崩壊熱によって燃料棒温度が上昇し、最終的には炉心溶融に至ることが考えられる。
【0004】
このような事態に至った場合、高温の炉心溶融物が原子炉圧力容器下部に溶け落ち、さらに原子炉圧力容器下鏡を溶融貫通して、格納容器内の床上に落下するに至る。炉心溶融物は格納容器床に張られたコンクリートを加熱し、接触面が高温状態になるとコンクリートと反応し、二酸化炭素、水素等の非凝縮性ガスを大量に発生させるとともにコンクリートを溶融浸食する。発生した非凝縮性ガスは格納容器内の圧力を高め、原子炉格納容器を破損させる可能性がある。また、コンクリートの溶融浸食により、格納容器バウンダリが破損したり、格納容器構造強度が低下する可能性がある。結果的に、炉心溶融物とコンクリートの反応が継続すると、格納容器破損に至り、格納容器内の放射性物質が外部環境へ放出させるおそれがある。
【0005】
この炉心溶融物とコンクリートの反応を抑制するためには、炉心溶融物を冷却し、炉心溶融物底部のコンクリートとの接触面の温度を浸食温度以下(一般的なコンクリートで1500K以下)に冷却するか、炉心溶融物とコンクリートが直接接触しないようにする必要がある。そこで、炉心溶融物が落下した場合に備えて様々な対策が提案されている。代表的なものがコアキャッチャーと呼ばれるもので、落下した炉心溶融物を耐熱材で受け止めて、注水手段と組み合わせて炉心溶融物の冷却を図る設備である。
【0006】
原子炉格納容器床に落下した炉心溶融物の上面に冷却水を注水しても、炉心溶融物の底部での除熱量が小さいと、崩壊熱によって炉心溶融物底部の温度が高温のまま維持され、格納容器床のコンクリート侵食を停止することができない可能性がある。そこで、炉心溶融物を底面から冷却するという方法がある。
【0007】
炉心溶融物へ注水することにより炉心溶融物上面の水の沸騰により冷却する場合、上面だけからの冷却では、炉心溶融物堆積厚さが厚いと炉心溶融物底部まで十分に冷却できない。その結果、床面積を広くとり、炉心溶融物の堆積厚さを冷却可能な厚さ以下にする必要がある。しかし、十分大きな床面積を確保することは、格納容器構造設計上困難である。
【0008】
たとえば、典型的な炉心溶融物の崩壊熱は、定格熱出力の約1%程度であり、定格熱出力4000MWの炉の場合には、40MW程度の発熱量になる。上面の沸騰熱伝達量には炉心溶融物上面の状態により幅があるが、小さい場合には0.4MW/m2程度の熱流束が想定される。この場合には、炉心溶融物の発熱量を上面の熱伝達のみで取るとすると、100m2程度(円直径で11.3m)の床面積が必要になる。これまでの格納容器構造を考慮すると、この面積を確保することは困難である。
【0009】
これに対し、炉心溶融物堆積床面の下方に冷却水流路を設け、ここに冷却水を導くことによって炉心溶融物を底面から除熱する方法がある。流路上面が加熱面となっている状態では、加熱面で発生したボイドが加熱面に沿って滞留し、蒸気膜を形成することで伝熱を妨げるという問題がある。そこで、伝熱面に傾斜をつけ、発生したボイドを速やかに冷却流路から排出する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−232529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
炉心溶融物保持装置を既設プラントの格納容器内に設置する場合、据付け現場にて部品を順次組立てる方法が想定される。一方、新設プラントに炉心溶融物保持装置を設置する場合、モジュール工法の採用が望ましい。モジュール工法は、建築分野で一般的な建設方法である。モジュール工法では、たとえば、炉心溶融物保持装置を工場や工事現場近くで一体化製造し、その後クレーンを使用して吊り込み、据付け現場であるペデスタル床に設置する。このようなモジュール工法では、プラント全体の建設工期の短縮、作業性や工事の安全性、さらに炉心溶融物保持装置の品質管理の面で利点がある。
【0012】
しかし、単に炉心溶融物保持装置をペデスタル床上に置いただけでは、航空機落下事故や地震時の振動に対して、炉心溶融物保持装置がペデスタル床上を移動する可能性がある。このような場合、炉心溶融物保持装置とペデスタル側壁の間の注水流路の断面形状が、周方向で不均一になり、複数ある冷却流路への流量配分が乱される可能性がある。
【0013】
そこで、本発明は、炉心溶融物保持装置の設置後の位置のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、前記外周面の周方向位置が異なる少なくとも3か所で前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間に配置された偏心防止体と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、前記炉心溶融物保持装置下端に固定された前記外周面よりも鉛直方向の投影面積が大きいフランジと、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、を備えて、前記ペデスタル床および前記炉心溶融物保持装置の下面のいずれか一方に窪みが形成されており、前記窪みに嵌め合わされた突起が前記炉心溶融物保持装置の下面および前記ペデスタル床のいずれか一方に形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、前記ペデスタル床から前記外周面に沿って立ち上がり上端に切り欠きが形成された管状支持構造体と、前記炉心溶融物保持装置に固定されて前記外周面から前記ペデスタル側壁に向かって突出して前記切り欠きに係合した回転防止用突出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、炉心溶融物保持装置の設置後の位置のずれが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態の一部拡大斜視図である。
【図2】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態を収容した格納容器の立断面図である。
【図3】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図4】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態における水チャンネル集合体の上面図である。
【図5】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態における水チャンネルおよび耐熱材の斜視図である。
【図6】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第2の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図7】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第3の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図8】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第4の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図9】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態を格納容器の水平断面とともに示す上面図である。
【図10】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例を格納容器の断面とともに示す上面図である。
【図11】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【図12】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【図13】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例における板状突起物近傍の吊り込み途中での立断面図である。
【図14】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図15】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部の斜視図である。
【図16】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部を格納容器の断面とともに示す水平断面図である。
【図17】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第7の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図18】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第7の実施の形態の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【図19】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第8の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図20】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第8の実施の形態の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【図21】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第9の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図22】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第9の実施の形態の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【図23】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第10の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図24】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第10の実施の形態の変形例における炉心溶融物保持装置近傍の立断面図である。
【図25】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第11の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI矢視立断面とともに示す本発明に係る炉心溶融物保持装置の第11の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図27】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第12の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。
【図28】図27のXXVIII−XXVIII矢視立断面とともに示す本発明に係る炉心溶融物保持装置の第12の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図29】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第13の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。
【図30】図29のXXX−XXX矢視立断面とともに示す本発明に係る炉心溶融物保持装置の第13の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図31】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態の吊り込み時におけるペデスタル床近傍の一部を断面で示す斜視図である。
【図32】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態の近傍の一部を断面で示す斜視図である。
【図33】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態における支持板近傍の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る炉心溶融物保持装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態を収容した格納容器の立断面図である。
【0022】
炉心51は、原子炉圧力容器1の内部に収められている。原子炉圧力容器1は、格納容器2の内部に設けられている。格納容器2は、ペデスタル床12およびペデスタル床12から上方に延びる円筒状のペデスタル側壁11を有している。
【0023】
原子炉圧力容器1は、ペデスタル側壁11に支持されている。原子炉圧力容器1の下方のペデスタル床12およびペデスタル側壁11で囲まれる空間は下部ドライウェル7と呼ばれる。つまり、原子炉圧力容器1は、下部ドライウェル7の上方に設けられている。また、格納容器2の内部には、ペデスタル側壁11の外周面を取り囲むように、サプレッションプール4が形成されている。
【0024】
原子炉圧力容器1の下方の下部ドライウェル7には、炉心溶融物保持装置9が設けられている。炉心溶融物保持装置9と原子炉圧力容器1との間には、サンプ床8が設けられている。
【0025】
また、格納容器2は、水槽5を有している。水槽5から炉心溶融物保持装置9には、注水配管16が延びている。注水配管16の途中には、弁52が設けられている。さらに、格納容器2は、格納容器冷却器6を有している。格納容器冷却器6は、ドライウェルに開口した端部から水中に沈められた熱交換器を通って水槽5に延びる配管を有している。格納容器冷却器6とは、静的格納容器冷却設備やドライウェルクーラーなどである。
【0026】
図3は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。図4は、本実施の形態における水チャンネル集合体の上面図である。図5は、本実施の形態における水チャンネルおよび耐熱材の斜視図である。
【0027】
炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル床12の上に設置されている。炉心溶融物保持装置9は、支持台21、給水容器14、水チャンネル22、耐熱材15を有している。支持台21は、ペデスタル側壁11の内径よりも小さい外径を持ち、ペデスタル床12の上に載置されている。支持台21の上面は、上に開いた円錐面の下端部を切り取った形状に形成されている。支持台21の中央部には、中空の円盤状に形成された給水容器14が配置される。支持台21の外周面とペデスタル側壁11の内面との間には、給水流路鉛直部17が形成されている。
【0028】
支持台21の下端には、たとえば給水容器14から放射状に延びる足が設けられていて、それらの足の間は給水流路水平部18となっている。給水流路鉛直部17の下端は、給水流路水平部18と連通している。給水流路鉛直部17の上端は、開口している。給水流路水平部18の給水流路鉛直部17との連通部分と反対側の端部は、給水容器14に連通している。注水配管16は、ペデスタル床12の近傍の注水配管出口孔28で開口している。
【0029】
支持台21の上面には、水チャンネル集合体23が固定されている。水チャンネル集合体23は、傾斜伝熱面を持った中空の水チャンネル22を円周方向に密に並べ、全体として上に開いた略円錐形状に形成されている。給水容器14の周りに放射状に延びる複数の水チャンネル22を組み合わせたものである。それぞれの水チャンネル22の投影形状は扇形をしていて、水チャンネル22の間は隙間なく接触している。
【0030】
水チャンネル22は、中空に形成されている。水チャンネル22の給水容器14に接続している下部入口部24は、開口している。また、水チャンネル22の外周部は鉛直に立ち上がっていて、上端の上部出口部25で開口している。その結果、給水容器14からペデスタル側壁11に向かって放射状に広がりながら傾きを持って上昇し、外周部で鉛直に立ち上がった冷却水流路13が形成されている。水チャンネル集合体23のうち、冷却水流路13の鉛直に立ち上がる部分を囲む外側の部分を外側ライザー20と、冷却水流路13の鉛直に立ち上がる部分を囲む内側の部分を内側ライザー19と呼ぶこととする。給水容器14の上面と水チャンネル集合体23の上面と内側ライザー19の中央に向かう方の面とには、その全体を覆うように、耐熱材15が配設されている。
【0031】
炉心溶融事故が発生し、炉心溶融物が原子炉圧力容器1の下部ヘッド3を貫通すると炉心溶融物保持装置9上に落下する。炉心溶融物の落下後すぐに弁52が開き、水槽5の冷却水が重力落下により、注水配管16を介して炉心溶融物保持装置9へ供給される。注水配管16を落下した冷却水は、注水配管出口孔28から放出され、給水流路水平部18を通過して給水容器14に到達する。給水容器14に到達した冷却水は、冷却水流路13に流れ込む。
【0032】
弁52は、たとえば原子炉圧力容器1の下部ヘッド3の破損を検知する信号により開放される。原子炉圧力容器1の下部ヘッド3の破損を検知する信号とは、たとえば下部ヘッド温度高やペデスタル雰囲気温度高の信号である。このようにして炉心溶融物の落下後すぐに給水容器14への初期の給水が行われ、冷却水流路13に冷却水が供給される。
【0033】
冷却水流路13に供給された水は、内側ライザー19と外側ライザー20とで挟まれるライザー部上端の開口部から、炉心溶融物保持装置9の炉心溶融物を保持する容器部分へ溢れ出る。さらに、炉心溶融物保持装置9の全体は、水没する。
【0034】
初期注水終了後は、炉心溶融物保持装置9の炉心溶融物を保持する容器部分へ溢水した水が、冷却水流路13内の沸騰による生じる自然循環によって給水流路鉛直部17と給水流路水平部18とが連結した給水流路を通って給水容器14に供給される。
【0035】
炉心溶融物の冷却により生じた蒸気は、格納容器2上部の格納容器冷却器6で凝縮され、凝縮水は水槽5に戻される。このようにして、水が自然循環することにより炉心溶融物の冷却が継続される。高温の炉心溶融物の熱は耐熱材15に伝わり、さらに水チャンネル22を介して冷却水に伝えられる。これにより、炉心溶融物が冷却される。
【0036】
図1は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部拡大斜視図である。
【0037】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、さらに、スペーサ26を有している。スペーサ26は、外側ライザー20の上端に引っ掛かる部分と、この外側ライザー20の上端に引っ掛かった部分に固定されて外側ライザー20の外面とペデスタル側壁11の内面との間の隙間に延びる部分とを備えている。スペーサ26の外側ライザー20の上端に引っ掛かった部分に固定されて外側ライザー20の外面とペデスタル側壁11の内面との間の隙間に延びる部分の径方向の幅は、外側ライザー20の外面とペデスタル側壁11の内面との間の幅とほぼ等しい。
【0038】
このようなスペーサ26は、炉心溶融物保持装置9の周方向の少なくとも3か所に、これらの3か所を頂点とする三角形の内部に炉心溶融物保持装置9の中心が位置するように設けられる。スペーサ26は、図示しないボルトなどによって、外側ライザー20あるいはペデスタル側壁11に固定されてもよい。
【0039】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、スペーサ26以外の部分を設置場所である格納容器2の外部の、たとえば工場で組み立てられる。一体として組み立てられた炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、スペーサ26が所定の位置に配置されて、炉心溶融物保持装置9が完成する。さらに、その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0040】
このような炉心溶融物保持装置9では、航空機落下事故や地震などによって振動が発生しても、炉心溶融物保持装置9に取り付けたスペーサ26とペデスタル側壁11とが接触することにより、炉心溶融物保持装置の位置がずれる可能性を小さくすることができる。つまり、ペデスタル側壁11の間に形成される給水流路鉛直部17に、くさび状のスペーサ26を後付けした構造とすることにより、スペーサ26などが炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能する。
【0041】
炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置9の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分を先にペデスタル側壁11に囲まれる空間に吊り込んでいる。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0043】
炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分を設置した後の作業空間としては、上方の限られた空間しか残されていない。しかし、本実施の形態での位置ずれ防止構造は、炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分の設置後に、その上方からスペーサ26を嵌め込むことによって容易に形成することができる。
【0044】
このようにモジュール工法を採用することで、建設工期の短縮、作業性や工事の安全性さらに炉心溶融物保持装置9の品質向上が可能となる。さらに、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0045】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第2の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0046】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、下端にフランジ27が設けられている。このフランジ27は、ペデスタル側壁11の内径とほぼ同じ外径の円板である。フランジ27は、たとえばその上面を脚部53の下端と溶接することによって支持台21に固定されている。
【0047】
フランジ27は鋼材、鉄筋コンクリートあるいはコンクリート表面に鋼板を施した構造体などによって形成される。本実施の形態では、フランジ27の外周部分が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0048】
ペデスタル側壁11の内部に設けられた注水配管16の出口である注水配管出口孔28は、フランジ27の上方に配置される。このため、炉心溶融物保持装置9のたとえばフランジ27などが注水配管出口孔28を塞ぐことがない。よって、炉心溶融物保持装置9の設置時の位置決めが容易であり、また、航空機落下事故や地震などによる振動によって、炉心溶融物保持装置9が水平方向に回転しても、注水配管出口孔28は給水流路に向かって開いているため、炉心溶融事故時に注水が阻害される可能性は小さい。
【0049】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0050】
さらに、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9の大部分をペデスタル床12上に据え付けた後に、第1の実施の形態のようにスペーサ26(図1参照)などを取り付ける必要がない。このため、設置現場での作業が削減される。また、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0051】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第3の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0052】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、下端に設けられた脚部53に固定された突起物29を有している。脚部53は、それぞれ扇形に形成されて炉心溶融物保持装置9の下端に設けられている。脚部53は、複数であって、給水容器14の外周から放射状に、互いに周方向に間隔を置いて配置されている。
【0053】
隣り合う脚部53の間は、給水流路水平部18となっている。また、注水配管16は、ペデスタル側壁11に形成された注水配管出口孔28で開口している。この注水配管出口孔28が脚部53の隣り合う突起物29の間に位置するように、炉心溶融物保持装置9は配置される。
【0054】
突起物29は、脚部53の外周側からペデスタル側壁11に向かって突出している。突起物29の脚部53からの突出長さは、給水流路鉛直部17の径方向の幅にほぼ等しい。この突起物29は、脚部53と一体として形成されていてもよいし、脚部53とは別に製造して脚部53に固定してもよい。
【0055】
脚部53に固定された突起物29は鋼材、鉄筋コンクリート、コンクリート表面に鋼板を施した構造体などによって形成される。ペデスタル側壁11の内部に設けられた注水配管16の出口である注水配管出口孔28は、炉心溶融物保持装置9が回転した場合にも、突起物29が注水配管出口孔28を塞がないように、突起物29よりも上方に配置される。突起物29は、給水流路水平部18入口部の全てに設ける必要は無く、その数は耐震設計により適宜増減してもよい。
【0056】
本実施の形態では、脚部53に固定された突起物29が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0057】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0058】
さらに、本実施の形態では、炉心余裕物保持装置9の大部分をペデスタル床12上に据え付けた後に、第1の実施の形態のようにスペーサ26(図1参照)などを取り付ける必要がない。このため、設置現場での作業が削減される。また、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0059】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第4の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0060】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、外側ライザー20の外面に固定された突起物30を有している。突起物30は、外側ライザー20の外面からペデスタル側壁11に向かって突出している。突起物30の外側ライザー20の外面からの突出長さは、給水流路鉛直部17の径方向の幅にほぼ等しい。突起物30は、炉心溶融物保持装置9の周方向の少なくとも3か所に、これらの3か所を頂点とする三角形の内部に炉心溶融物保持装置9の中心が位置するように設けられる。
【0061】
本実施の形態では、突起物30が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。突起物30は、ペデスタル側壁11に固定されていてもよい。突起物30の数は、耐震設計により適宜増減してもよい。
【0062】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9の大部分をペデスタル床12上に据え付けた後に、第1の実施の形態のようにスペーサ26(図1参照)などを取り付ける必要がない。このため、設置現場での作業が削減される。また、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0064】
[第5の実施の形態]
図9は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態を格納容器の水平断面とともに示す上面図である。
【0065】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、外側ライザー20の外面に固定された板状突起物32を有している。板状突起物32は、外側ライザー20の外面からペデスタル側壁11に向かって突出している。板状突起物32の外側ライザー20の外面からの突出長さは、給水流路鉛直部17の径方向の幅にほぼ等しい。板状突起物32は、炉心溶融物保持装置9の周方向の少なくとも3か所に、これらの3か所を頂点とする三角形の内部に炉心溶融物保持装置9の中心が位置するように設けられる。本実施の形態では、板状突起物32は、周方向に等間隔に8個設けられている。
【0066】
外側ライザー20に固定されたそれぞれの板状突起物32に対応して、一対の板状突起物31がペデスタル側壁11に固定されている。ペデスタル側壁11に固定された一対の板状突起物31は、外側ライザー20に固定された板状突起物32を挟み込むように設けられている。外側ライザー20に固定された板状突起物32とペデスタル側壁11に固定された板状突起物31とは、炉心溶融物保持装置9をペデスタル床12の上に設置した時に、ほぼ同じ高さとなるような位置に設置される。
【0067】
本実施の形態では、ペデスタル側壁11が形成された後、板状突起物32が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル側壁11に固定される板状突起物32以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置9は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、板状突起物32がペデスタル側壁11に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0068】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、外側ライザー20に固定された板状突起物32およびペデスタル側壁11に固定された板状突起物31がそれぞれ炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。また、外側ライザー20に固定された板状突起物32がペデスタル側壁11に固定された板状突起物31で挟みこまれているため、炉心溶融物保持装置9の周方向への回転が抑制される。
【0069】
図10は、本実施の形態の変形例を格納容器の断面とともに示す上面図である。
【0070】
この変形例では、ペデスタル側壁11に固定されたそれぞれの板状突起物32に対応して、一対の板状突起物31が外側ライザー20に固定されている。外側ライザー20に固定された一対の板状突起物31は、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32を挟み込むように設けられている。
【0071】
この変形例では、外側ライザー20に固定された板状突起物32およびペデスタル側壁11に固定された板状突起物31が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。また、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32が外側ライザー20に固定された板状突起物31で挟みこまれているため、炉心溶融物保持装置9の周方向への回転が抑制される。
【0072】
図11は、本実施の形態の他の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【0073】
この変形例では、外側ライザー20に固定された板状突起物31には、吊り冶具用孔44が形成されている。吊り冶具用孔44は、外側ライザー20に固定された板状突起物31を板厚方向に貫通している。
【0074】
吊り冶具用孔44は、外側ライザー20に固定された板状突起物31の上端部近傍に形成されていて、炉心溶融物保持装置9がペデスタル床12に着床した状態でペデスタル側壁11に固定された板状突起物32と重ならないようになっている。また、板状突起物31は、外側ライザー20の上端近傍に固定されている。
【0075】
このような炉心溶融物保持装置9は、吊り冶具用孔44にワイヤーロープを掛けて、クレーンによってペデスタル側壁11内へ吊り込まれる。ワイヤーロープを掛けられる構造であれば、吊り冶具用孔44の代わりにフック状の切り欠きを形成しておいてもよい。
【0076】
このように、この変形例では、炉心溶融物保持装置9自体に、吊り治具機能を持たせているため、別途吊り込み前に吊り治具を固定し、吊り込み後に取り外す必要がない。よって、部品数が削減され、また、溶接などの作業に要する時間・コストを低減できる。また、他の実施の形態においても、ワイヤーロープを掛けられる構造を設けることにより、本変形例と同様の効果が得られる。
【0077】
炉心溶融物保持装置9の据付け後であっても、炉心溶融物保持装置9の上方には作業空間が確保されている。このため、吊り冶具用孔44を外側ライザー20の上端近傍に配置しておくことにより、炉心溶融物保持装置9の据付け後に、ワイヤーロープを容易に取り外すことができる。
【0078】
図12は、本実施の形態の他の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【0079】
この変形例では、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32は、緩衝体45を備えている。緩衝体45は、たとえばゴム、板ばねなど、衝撃力を吸収可能な材料で形成される。緩衝体45は、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32の外側ライザー20に固定された板状突起物31と対向する面に設けられている。
【0080】
このように、本変形例では、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分に緩衝体45を設けている。このため、航空機落下事故や地震などによって振動が発生した場合に、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触しても、その時発生する衝撃力は、緩衝体によって緩和される。緩衝体45によってこのような衝撃力を緩和することから、位置ずれを防止する機構部の破損や破壊を防止できる。その結果、炉心溶融物保持装置9の信頼性が向上する。
【0081】
緩衝体は、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分であればどのような部分に設けてもよい。また、他の実施の形態においても、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分に緩衝体を設けることにより、本変形例と同様の効果が得られる。
【0082】
図13は、本実施の形態の他の変形例における板状突起物近傍の吊り込み途中での立断面図である。
【0083】
この変形例では、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物31の下端外側にテーパー部46が形成されている。つまり、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分において、吊り込み時に固定側の構造体近傍を最初に通過する部分にテーパー部46が形成されている。
【0084】
炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際に、位置ずれ防止構造体のうち最初に固定部分を通過する最狭部分をテーパー構造とすることにより、炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まる。炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まることから、容易に炉心溶融物保持装置9を設置可能でき作業性が向上する。また、他の実施の形態においても、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分において、吊り込み時に固定側の構造体近傍を最初に通過する部分にテーパー部を形成することにより、本変形例と同様の効果が得られる。
【0085】
このように、本実施の形態およびその変形例においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の位置の設置後のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0086】
[第6の実施の形態]
図14は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図15は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部の斜視図である。図16は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器の断面とともに示す水平断面図である。
【0087】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル床12に固定されたブロック状構造体33を有している。ブロック状構造体33は、ペデスタル側壁11に固定されていてもよい。ブロック状構造体33は、ペデスタル側壁11の周方向の複数の位置に設けられている。ブロック状構造体33の周方向長さは、支持台21の脚部53の外周側の周方向長さとほぼ同じである。ブロック状構造体33の径方向幅は、給水流路鉛直部17(図3参照)の径方向幅とほぼ同じである。注水配管16の出口である注水配管出口孔28は、ブロック状構造体33の間に位置している。
【0088】
支持台21の脚部53の最外周部分には、周方向の両端部からペデスタル側壁11に向かって板状突起物34が突出している。炉心溶融物保持装置9は、一つの脚部53に固定された一対の板状突起物34がペデスタル床12上に設けられたブロック状構造体33を挟むように配置される。
【0089】
本実施の形態では、ペデスタル側壁11が形成された後、ブロック状構造体33が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル側壁11に固定されるブロック状構造体33以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置9は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、ブロック状構造体33がペデスタル床12およびペデスタル側壁11に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0090】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ブロック状構造体33が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。また、支持台21の脚部53に固定された板状突起物34がペデスタル床12およびペデスタル側壁11に固定されたブロック状構造体33を挟みこんでいるため、炉心溶融物保持装置9の周方向への回転が抑制される。
【0091】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0092】
[第7の実施の形態]
図17は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第7の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図18は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【0093】
本実施の形態の炉心用溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定されて鉛直に起立した板状突起物35を有している。板状突起物35は、ペデスタル床12の中央部分から放射状に延びている。板状突起物35の間には、周方向に一つ置きに支持台の脚部53が配置される。板状突起物35は、支持台の脚部53のそれぞれの両側面に沿って延びている。
【0094】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、板状突起物35が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定される板状突起物35以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、板状突起物35がペデスタル床12に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0095】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に固定された板状突起物35に、炉心溶融物保持装置の支持台の脚部53が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの板状突起物35および支持台の脚部53が炉心溶融物保持装置の位置ずれ防止構造として機能している。
【0096】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0097】
本実施の形態では、給水流路水平部18の水平断面が扇状となっているが、たとえば直線形状でも良く、その場合、板状突起物35は給水流路水平部18の形状に合わせて径方向へ平行に複数配置される。
【0098】
また、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9の板状突起物35をペデスタル床12に固定した後、それ以外の部分をペデスタル側壁11に囲まれる空間に吊り込んでいる。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9のペデスタル床12に固定された板状突起物35以外の部分とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9のペデスタル床12に固定された板状突起物35以外の部分とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0099】
このようにモジュール工法を採用することで、建設工期の短縮、作業性や工事の安全性さらに炉心溶融物保持装置9の品質向上が可能となる。さらに、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0100】
[第8の実施の形態]
図19は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第8の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図20は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【0101】
本実施の形態の炉心用溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定されて鉛直に起立した嵌合突起物36を有している。嵌合突起物36は、ペデスタル側壁11の内周面に沿って間隔を置いてペデスタル床12に配置されている。嵌合突起物36は、ペデスタル側壁11の内周面に沿った部分と、この部分の両端から径方向内側に突出した部分とからなっている。支持台の脚部53の外周側の端部は、嵌合突起物36に嵌め合わされている。注水配管出口孔28は、嵌合突起物36の間に配置される。
【0102】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、嵌合突起物36が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定される嵌合突起物36以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、嵌合突起物36がペデスタル床12に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0103】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に固定された嵌合突起物36に、炉心溶融物保持装置の支持台の脚部53が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの嵌合突起物36および支持台の脚部53が炉心溶融物保持装置の位置ずれ防止構造として機能している。
【0104】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0105】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0106】
本実施の形態の嵌合突起物36は、周方向の両端で径方向に突出した部分を持っているが、たとえば周方向の一端で径方向に突出した部分を持つ突起物を、突出する端部が左右交互になるように並べるなどして、炉心溶融物保持装置9の回転を防止することもできる。
【0107】
[第9の実施の形態]
図21は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第9の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図22は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【0108】
本実施の形態の炉心用溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定されて鉛直に起立した嵌合突起物36を有している。嵌合突起物37は、給水容器14の外周に沿って間隔を置いてペデスタル床12に配置されている。嵌合突起物37は、給水容器14の外周に沿った部分と、この部分の両端から径方向外側に突出した部分とからなっている。支持台の脚部53の内周側の端部は、嵌合突起物36に嵌め合わされている。
【0109】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、嵌合突起物37が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定される嵌合突起物37以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、嵌合突起物37がペデスタル床12に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0110】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に固定された嵌合突起物37に、炉心溶融物保持装置の支持台の脚部53が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの嵌合突起物37および支持台の脚部53が炉心溶融物保持装置の位置ずれ防止構造として機能している。
【0111】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0112】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0113】
本実施の形態の嵌合突起物36は、周方向の両端で径方向に突出した部分を持っているが、たとえば周方向の一端で径方向に突出した部分を持つ突起物を、突出する端部が左右交互になるように並べるなどして、炉心溶融物保持装置9の回転を防止することもできる。
【0114】
[第10の実施の形態]
図23は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第10の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0115】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、支持台21の下端に底板54を有している。底板54の上面には中央から放射状に水平に延びる脚部53が設けられている。隣り合う脚部53の間には、底板54の上面に沿った冷却水流路13が形成されている。
【0116】
ペデスタル床12には、内径が底板54の外径とほぼ同じ窪み55が形成されている。窪み55の深さは、底板54の厚さとほぼ同じである。
【0117】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、嵌合突起物37が所定の場所に固定される。
【0118】
炉心溶融物保持装置は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、所定の窪み55を持つペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支持台21の底板54がペデスタル床12の窪み55に嵌合されるように、据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0119】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に形成された窪み55に、支持台21に固定された底板54が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向への移動が制限されている。つまり、これらの窪み55および支持台21の底板54が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0120】
図24は、本実施の形態の変形例における炉心溶融物保持装置近傍の立断面図である。
【0121】
この変形例では、支持台21の下端に固定された底板54の外周部にテーパー部46が形成されている。つまり、位置ずれを防止する構造体の固定側である窪み55と可動側である底板54が接触する部分において、吊り込み時に固定側の構造体近傍を最初に通過する部分にテーパー部46が形成されている。
【0122】
炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際に、位置ずれ防止構造体のうち最初に固定部分を通過する最狭部分をテーパー構造とすることにより、炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まる。炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まることから、容易に炉心溶融物保持装置9を設置可能でき作業性が向上する。
【0123】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置9の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0124】
また、本実施の形態では、支持台21の底板54がペデスタル床12の窪み55に嵌め合わされると、支持台21の脚部53や底板54が注水配管16の出口である注水配管出口孔28(図6参照)を塞ぐことがない。このため、炉心溶融物保持装置9の回転方向の位置ずれは、炉心溶融物の保持・冷却性能にほとんど影響せず、据付け作業が容易である。
【0125】
さらに、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0126】
[第11の実施の形態]
図25は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第11の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。図26は、図25のXXVI−XXVI矢視立断面とともに示す本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。
【0127】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、鉛直上方に延びる支柱38が設けられている。この支柱38は、ペデスタル床12に固定されている。支柱38は、複数であって、たとえば給水容器14とペデスタル側壁11との中間に、周方向に間隔を置いて、8個設けられている。支持台21の下端には、これらの支柱38と嵌合される窪み39が形成されている。
【0128】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12、ペデスタル床12上の支柱38およびペデスタル側壁11が形成され後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支柱38が支持台21の窪み39と嵌合されるように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0129】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造が形成されている。つまり、ペデスタル床12上の支柱38が、支持台21の下端に形成された窪み39に嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの支柱38および支持台21の窪み39が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0130】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0131】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0132】
[第12の実施の形態]
図27は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第12の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。図28は、図27のXXVIII−XXVIII矢視立断面とともに示す本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。
【0133】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、鉛直下方に窪んだ窪み39が形成されている。窪み39は、複数であって、たとえば給水容器14とペデスタル側壁11との中間に、周方向に間隔を置いて、8か所に形成されている。支持台21の下端には、これらの窪み39と嵌合する支柱38が固定されている。
【0134】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、窪み39を持つペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支柱38がペデスタル床12に形成された窪み39と嵌合されるように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0135】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造が形成されている。つまり、支持台21の下端に設けられた支柱38が、ペデスタル床12に形成された窪み39に嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの支柱38および窪み39が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0136】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0137】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0138】
[第13の実施の形態]
図29は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第13の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。図30は、図29のXXX−XXX矢視立断面とともに示す本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。
【0139】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、鉛直下方に窪んだ窪み39が形成されている。窪み56は、水平断面が多角形に形成されている。窪み56は、たとえばペデスタル床12の中央部に形成された水平断面が正方形の非貫通穴である。窪み56は、多角形であれば、正方形でなくてもよい。支持台21の下端には、この窪み56と嵌合する支柱41が固定されている。
【0140】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、窪み56を持つペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支柱41がペデスタル床12に形成された窪み56と嵌合されるように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0141】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造が形成されている。つまり、支持台21の下端に設けられた支柱41が、ペデスタル床12に形成された窪み56に嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの支柱41および窪み56が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0142】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0143】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0144】
さらに、支柱41および窪み56を多角形に形成することにより、支柱41および窪み56はそれぞれ1つであっても、炉心溶融物保持装置9の回転を制限することができる。
【0145】
[第14の実施の形態]
図31は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態の吊り込み時におけるペデスタル床近傍の一部を断面で示す斜視図である。図32は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の一部を断面で示す斜視図である。図33は、本実施の形態における支持板近傍の斜視図である。
【0146】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、円管状支持構造体42が固定されている。円管状支持構造体42は、ペデスタル側壁11の内径よりも小さい径の円管である。円管状支持構造体42の下端には、円管状支持構造体42の外側から内側へ冷却水が流れるように隙間が形成されている。円管状支持構造体42の上端には、切り欠き57が形成されている。切り欠き57は、円管状支持構造体42の周方向の複数の位置に形成されている。
【0147】
炉心溶融物保持装置9の外側ライザー20には、ペデスタル側壁11に向かって突出した支持板43が固定されている。外側ライザー20に固定された支持板43は、円管状支持構造体42の切り欠き57に係合している。
【0148】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、ペデスタル床12に円管状支持構造体42が固定された後に、クレーンを使用して吊り込まれる。クレーンで吊り込まれた炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル床12上に、外側ライザー20に固定された支持板43が円管状支持構造体42に形成された切り欠き57に係合するように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0149】
本実施の形態では、外側ライザー20に固定された支持板43が、ペデスタル床12に固定された円管状支持構造体42の切り欠き57に係合することにより、炉心溶融物保持装置9の径方向および周方向への移動が制限されている。つまり、これらの支持板43および円管状支持構造体42の切り欠き57が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0150】
また、円管状支持構造体42のように周方向に連続した構造体でなくても、支持板43と係合する切り欠き部を持っていて、耐震などの強度が保たれれば、周方向に分割された構造体の集合または柱上の構造体の集合体でもよい。
【0151】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0152】
外側ライザー20に固定された支持板43は、円管状支持構造体42の切り欠き57に係合されていれば、位置ずれ防止構造としての機能を果たす。このため、この支持板43の端部は、ペデスタル側壁11にそれほど近付ける必要がない。よって、炉心溶融物保持装置9の吊り込み時には、ペデスタル側壁11と炉心溶融物保持装置9との間にある程度の隙間を設けることができる。このため、吊り込みが容易になる。
【0153】
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0154】
1…原子炉圧力容器、2…格納容器、3…下部ヘッド、4…サプレッションプール、5…水槽、6…格納容器冷却器、7…下部ドライウェル、8…サンプ床、9…炉心溶融物保持装置、11…ペデスタル側壁、12…ペデスタル床、13…冷却水流路、14…給水容器、15…耐熱材、16…注水配管、17…給水流路鉛直部、18…給水流路水平部、19…内側ライザー、20…外側ライザー、21…支持台、22…水チャンネル、23…水チャンネル集合体、24…下部入口部、25…上部出口部、26…スペーサ、27…フランジ、28…注水配管出口孔、29…突起物、30…突起物、31…板状突起物、32…板状突起物、33…ブロック状構造体、34…板状突起物、35…板状突起物、36…嵌合突起物、37…嵌合突起物、38…支柱、39…窪み、41…支柱、42…円管状支持構造体、43…支持板、44…吊り冶具用孔、45…緩衝体、46…テーパー部、51…炉心、52…弁、53…脚部、54…底板、55…窪み、56…窪み、57…切り欠き
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水冷却型原子炉では、原子炉圧力容器内への給水の停止や、原子炉圧力容器に接続された配管の破断により冷却水が喪失すると、原子炉水位が低下し炉心が露出して冷却が不十分になる可能性がある。このような場合を想定して、水位低下の信号により自動的に原子炉は非常停止され、非常用炉心冷却装置(ECCS)による冷却材の注入によって炉心を冠水させて冷却し、炉心溶融事故を未然に防ぐようになっている。
【0003】
しかしながら、極めて低い確率ではあるが、上記非常用炉心冷却装置が作動せず、かつ、その他の炉心への注水装置も利用できない事態も想定され得る。このような場合、原子炉水位の低下により炉心は露出し、十分な冷却が行われなくなり、原子炉停止後も発生し続ける崩壊熱によって燃料棒温度が上昇し、最終的には炉心溶融に至ることが考えられる。
【0004】
このような事態に至った場合、高温の炉心溶融物が原子炉圧力容器下部に溶け落ち、さらに原子炉圧力容器下鏡を溶融貫通して、格納容器内の床上に落下するに至る。炉心溶融物は格納容器床に張られたコンクリートを加熱し、接触面が高温状態になるとコンクリートと反応し、二酸化炭素、水素等の非凝縮性ガスを大量に発生させるとともにコンクリートを溶融浸食する。発生した非凝縮性ガスは格納容器内の圧力を高め、原子炉格納容器を破損させる可能性がある。また、コンクリートの溶融浸食により、格納容器バウンダリが破損したり、格納容器構造強度が低下する可能性がある。結果的に、炉心溶融物とコンクリートの反応が継続すると、格納容器破損に至り、格納容器内の放射性物質が外部環境へ放出させるおそれがある。
【0005】
この炉心溶融物とコンクリートの反応を抑制するためには、炉心溶融物を冷却し、炉心溶融物底部のコンクリートとの接触面の温度を浸食温度以下(一般的なコンクリートで1500K以下)に冷却するか、炉心溶融物とコンクリートが直接接触しないようにする必要がある。そこで、炉心溶融物が落下した場合に備えて様々な対策が提案されている。代表的なものがコアキャッチャーと呼ばれるもので、落下した炉心溶融物を耐熱材で受け止めて、注水手段と組み合わせて炉心溶融物の冷却を図る設備である。
【0006】
原子炉格納容器床に落下した炉心溶融物の上面に冷却水を注水しても、炉心溶融物の底部での除熱量が小さいと、崩壊熱によって炉心溶融物底部の温度が高温のまま維持され、格納容器床のコンクリート侵食を停止することができない可能性がある。そこで、炉心溶融物を底面から冷却するという方法がある。
【0007】
炉心溶融物へ注水することにより炉心溶融物上面の水の沸騰により冷却する場合、上面だけからの冷却では、炉心溶融物堆積厚さが厚いと炉心溶融物底部まで十分に冷却できない。その結果、床面積を広くとり、炉心溶融物の堆積厚さを冷却可能な厚さ以下にする必要がある。しかし、十分大きな床面積を確保することは、格納容器構造設計上困難である。
【0008】
たとえば、典型的な炉心溶融物の崩壊熱は、定格熱出力の約1%程度であり、定格熱出力4000MWの炉の場合には、40MW程度の発熱量になる。上面の沸騰熱伝達量には炉心溶融物上面の状態により幅があるが、小さい場合には0.4MW/m2程度の熱流束が想定される。この場合には、炉心溶融物の発熱量を上面の熱伝達のみで取るとすると、100m2程度(円直径で11.3m)の床面積が必要になる。これまでの格納容器構造を考慮すると、この面積を確保することは困難である。
【0009】
これに対し、炉心溶融物堆積床面の下方に冷却水流路を設け、ここに冷却水を導くことによって炉心溶融物を底面から除熱する方法がある。流路上面が加熱面となっている状態では、加熱面で発生したボイドが加熱面に沿って滞留し、蒸気膜を形成することで伝熱を妨げるという問題がある。そこで、伝熱面に傾斜をつけ、発生したボイドを速やかに冷却流路から排出する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−232529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
炉心溶融物保持装置を既設プラントの格納容器内に設置する場合、据付け現場にて部品を順次組立てる方法が想定される。一方、新設プラントに炉心溶融物保持装置を設置する場合、モジュール工法の採用が望ましい。モジュール工法は、建築分野で一般的な建設方法である。モジュール工法では、たとえば、炉心溶融物保持装置を工場や工事現場近くで一体化製造し、その後クレーンを使用して吊り込み、据付け現場であるペデスタル床に設置する。このようなモジュール工法では、プラント全体の建設工期の短縮、作業性や工事の安全性、さらに炉心溶融物保持装置の品質管理の面で利点がある。
【0012】
しかし、単に炉心溶融物保持装置をペデスタル床上に置いただけでは、航空機落下事故や地震時の振動に対して、炉心溶融物保持装置がペデスタル床上を移動する可能性がある。このような場合、炉心溶融物保持装置とペデスタル側壁の間の注水流路の断面形状が、周方向で不均一になり、複数ある冷却流路への流量配分が乱される可能性がある。
【0013】
そこで、本発明は、炉心溶融物保持装置の設置後の位置のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、前記外周面の周方向位置が異なる少なくとも3か所で前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間に配置された偏心防止体と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、前記炉心溶融物保持装置下端に固定された前記外周面よりも鉛直方向の投影面積が大きいフランジと、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、を備えて、前記ペデスタル床および前記炉心溶融物保持装置の下面のいずれか一方に窪みが形成されており、前記窪みに嵌め合わされた突起が前記炉心溶融物保持装置の下面および前記ペデスタル床のいずれか一方に形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、前記ペデスタル床から前記外周面に沿って立ち上がり上端に切り欠きが形成された管状支持構造体と、前記炉心溶融物保持装置に固定されて前記外周面から前記ペデスタル側壁に向かって突出して前記切り欠きに係合した回転防止用突出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、炉心溶融物保持装置の設置後の位置のずれが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態の一部拡大斜視図である。
【図2】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態を収容した格納容器の立断面図である。
【図3】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図4】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態における水チャンネル集合体の上面図である。
【図5】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態における水チャンネルおよび耐熱材の斜視図である。
【図6】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第2の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図7】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第3の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図8】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第4の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図9】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態を格納容器の水平断面とともに示す上面図である。
【図10】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例を格納容器の断面とともに示す上面図である。
【図11】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【図12】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【図13】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態の変形例における板状突起物近傍の吊り込み途中での立断面図である。
【図14】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図15】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部の斜視図である。
【図16】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部を格納容器の断面とともに示す水平断面図である。
【図17】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第7の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図18】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第7の実施の形態の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【図19】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第8の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図20】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第8の実施の形態の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【図21】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第9の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図22】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第9の実施の形態の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【図23】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第10の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【図24】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第10の実施の形態の変形例における炉心溶融物保持装置近傍の立断面図である。
【図25】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第11の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI矢視立断面とともに示す本発明に係る炉心溶融物保持装置の第11の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図27】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第12の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。
【図28】図27のXXVIII−XXVIII矢視立断面とともに示す本発明に係る炉心溶融物保持装置の第12の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図29】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第13の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。
【図30】図29のXXX−XXX矢視立断面とともに示す本発明に係る炉心溶融物保持装置の第13の実施の形態の近傍の立断面図である。
【図31】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態の吊り込み時におけるペデスタル床近傍の一部を断面で示す斜視図である。
【図32】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態の近傍の一部を断面で示す斜視図である。
【図33】本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態における支持板近傍の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る炉心溶融物保持装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第1の実施の形態を収容した格納容器の立断面図である。
【0022】
炉心51は、原子炉圧力容器1の内部に収められている。原子炉圧力容器1は、格納容器2の内部に設けられている。格納容器2は、ペデスタル床12およびペデスタル床12から上方に延びる円筒状のペデスタル側壁11を有している。
【0023】
原子炉圧力容器1は、ペデスタル側壁11に支持されている。原子炉圧力容器1の下方のペデスタル床12およびペデスタル側壁11で囲まれる空間は下部ドライウェル7と呼ばれる。つまり、原子炉圧力容器1は、下部ドライウェル7の上方に設けられている。また、格納容器2の内部には、ペデスタル側壁11の外周面を取り囲むように、サプレッションプール4が形成されている。
【0024】
原子炉圧力容器1の下方の下部ドライウェル7には、炉心溶融物保持装置9が設けられている。炉心溶融物保持装置9と原子炉圧力容器1との間には、サンプ床8が設けられている。
【0025】
また、格納容器2は、水槽5を有している。水槽5から炉心溶融物保持装置9には、注水配管16が延びている。注水配管16の途中には、弁52が設けられている。さらに、格納容器2は、格納容器冷却器6を有している。格納容器冷却器6は、ドライウェルに開口した端部から水中に沈められた熱交換器を通って水槽5に延びる配管を有している。格納容器冷却器6とは、静的格納容器冷却設備やドライウェルクーラーなどである。
【0026】
図3は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。図4は、本実施の形態における水チャンネル集合体の上面図である。図5は、本実施の形態における水チャンネルおよび耐熱材の斜視図である。
【0027】
炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル床12の上に設置されている。炉心溶融物保持装置9は、支持台21、給水容器14、水チャンネル22、耐熱材15を有している。支持台21は、ペデスタル側壁11の内径よりも小さい外径を持ち、ペデスタル床12の上に載置されている。支持台21の上面は、上に開いた円錐面の下端部を切り取った形状に形成されている。支持台21の中央部には、中空の円盤状に形成された給水容器14が配置される。支持台21の外周面とペデスタル側壁11の内面との間には、給水流路鉛直部17が形成されている。
【0028】
支持台21の下端には、たとえば給水容器14から放射状に延びる足が設けられていて、それらの足の間は給水流路水平部18となっている。給水流路鉛直部17の下端は、給水流路水平部18と連通している。給水流路鉛直部17の上端は、開口している。給水流路水平部18の給水流路鉛直部17との連通部分と反対側の端部は、給水容器14に連通している。注水配管16は、ペデスタル床12の近傍の注水配管出口孔28で開口している。
【0029】
支持台21の上面には、水チャンネル集合体23が固定されている。水チャンネル集合体23は、傾斜伝熱面を持った中空の水チャンネル22を円周方向に密に並べ、全体として上に開いた略円錐形状に形成されている。給水容器14の周りに放射状に延びる複数の水チャンネル22を組み合わせたものである。それぞれの水チャンネル22の投影形状は扇形をしていて、水チャンネル22の間は隙間なく接触している。
【0030】
水チャンネル22は、中空に形成されている。水チャンネル22の給水容器14に接続している下部入口部24は、開口している。また、水チャンネル22の外周部は鉛直に立ち上がっていて、上端の上部出口部25で開口している。その結果、給水容器14からペデスタル側壁11に向かって放射状に広がりながら傾きを持って上昇し、外周部で鉛直に立ち上がった冷却水流路13が形成されている。水チャンネル集合体23のうち、冷却水流路13の鉛直に立ち上がる部分を囲む外側の部分を外側ライザー20と、冷却水流路13の鉛直に立ち上がる部分を囲む内側の部分を内側ライザー19と呼ぶこととする。給水容器14の上面と水チャンネル集合体23の上面と内側ライザー19の中央に向かう方の面とには、その全体を覆うように、耐熱材15が配設されている。
【0031】
炉心溶融事故が発生し、炉心溶融物が原子炉圧力容器1の下部ヘッド3を貫通すると炉心溶融物保持装置9上に落下する。炉心溶融物の落下後すぐに弁52が開き、水槽5の冷却水が重力落下により、注水配管16を介して炉心溶融物保持装置9へ供給される。注水配管16を落下した冷却水は、注水配管出口孔28から放出され、給水流路水平部18を通過して給水容器14に到達する。給水容器14に到達した冷却水は、冷却水流路13に流れ込む。
【0032】
弁52は、たとえば原子炉圧力容器1の下部ヘッド3の破損を検知する信号により開放される。原子炉圧力容器1の下部ヘッド3の破損を検知する信号とは、たとえば下部ヘッド温度高やペデスタル雰囲気温度高の信号である。このようにして炉心溶融物の落下後すぐに給水容器14への初期の給水が行われ、冷却水流路13に冷却水が供給される。
【0033】
冷却水流路13に供給された水は、内側ライザー19と外側ライザー20とで挟まれるライザー部上端の開口部から、炉心溶融物保持装置9の炉心溶融物を保持する容器部分へ溢れ出る。さらに、炉心溶融物保持装置9の全体は、水没する。
【0034】
初期注水終了後は、炉心溶融物保持装置9の炉心溶融物を保持する容器部分へ溢水した水が、冷却水流路13内の沸騰による生じる自然循環によって給水流路鉛直部17と給水流路水平部18とが連結した給水流路を通って給水容器14に供給される。
【0035】
炉心溶融物の冷却により生じた蒸気は、格納容器2上部の格納容器冷却器6で凝縮され、凝縮水は水槽5に戻される。このようにして、水が自然循環することにより炉心溶融物の冷却が継続される。高温の炉心溶融物の熱は耐熱材15に伝わり、さらに水チャンネル22を介して冷却水に伝えられる。これにより、炉心溶融物が冷却される。
【0036】
図1は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部拡大斜視図である。
【0037】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、さらに、スペーサ26を有している。スペーサ26は、外側ライザー20の上端に引っ掛かる部分と、この外側ライザー20の上端に引っ掛かった部分に固定されて外側ライザー20の外面とペデスタル側壁11の内面との間の隙間に延びる部分とを備えている。スペーサ26の外側ライザー20の上端に引っ掛かった部分に固定されて外側ライザー20の外面とペデスタル側壁11の内面との間の隙間に延びる部分の径方向の幅は、外側ライザー20の外面とペデスタル側壁11の内面との間の幅とほぼ等しい。
【0038】
このようなスペーサ26は、炉心溶融物保持装置9の周方向の少なくとも3か所に、これらの3か所を頂点とする三角形の内部に炉心溶融物保持装置9の中心が位置するように設けられる。スペーサ26は、図示しないボルトなどによって、外側ライザー20あるいはペデスタル側壁11に固定されてもよい。
【0039】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、スペーサ26以外の部分を設置場所である格納容器2の外部の、たとえば工場で組み立てられる。一体として組み立てられた炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、スペーサ26が所定の位置に配置されて、炉心溶融物保持装置9が完成する。さらに、その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0040】
このような炉心溶融物保持装置9では、航空機落下事故や地震などによって振動が発生しても、炉心溶融物保持装置9に取り付けたスペーサ26とペデスタル側壁11とが接触することにより、炉心溶融物保持装置の位置がずれる可能性を小さくすることができる。つまり、ペデスタル側壁11の間に形成される給水流路鉛直部17に、くさび状のスペーサ26を後付けした構造とすることにより、スペーサ26などが炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能する。
【0041】
炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置9の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分を先にペデスタル側壁11に囲まれる空間に吊り込んでいる。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0043】
炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分を設置した後の作業空間としては、上方の限られた空間しか残されていない。しかし、本実施の形態での位置ずれ防止構造は、炉心溶融物保持装置9のスペーサ26以外の部分の設置後に、その上方からスペーサ26を嵌め込むことによって容易に形成することができる。
【0044】
このようにモジュール工法を採用することで、建設工期の短縮、作業性や工事の安全性さらに炉心溶融物保持装置9の品質向上が可能となる。さらに、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0045】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第2の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0046】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、下端にフランジ27が設けられている。このフランジ27は、ペデスタル側壁11の内径とほぼ同じ外径の円板である。フランジ27は、たとえばその上面を脚部53の下端と溶接することによって支持台21に固定されている。
【0047】
フランジ27は鋼材、鉄筋コンクリートあるいはコンクリート表面に鋼板を施した構造体などによって形成される。本実施の形態では、フランジ27の外周部分が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0048】
ペデスタル側壁11の内部に設けられた注水配管16の出口である注水配管出口孔28は、フランジ27の上方に配置される。このため、炉心溶融物保持装置9のたとえばフランジ27などが注水配管出口孔28を塞ぐことがない。よって、炉心溶融物保持装置9の設置時の位置決めが容易であり、また、航空機落下事故や地震などによる振動によって、炉心溶融物保持装置9が水平方向に回転しても、注水配管出口孔28は給水流路に向かって開いているため、炉心溶融事故時に注水が阻害される可能性は小さい。
【0049】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0050】
さらに、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9の大部分をペデスタル床12上に据え付けた後に、第1の実施の形態のようにスペーサ26(図1参照)などを取り付ける必要がない。このため、設置現場での作業が削減される。また、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0051】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第3の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0052】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、下端に設けられた脚部53に固定された突起物29を有している。脚部53は、それぞれ扇形に形成されて炉心溶融物保持装置9の下端に設けられている。脚部53は、複数であって、給水容器14の外周から放射状に、互いに周方向に間隔を置いて配置されている。
【0053】
隣り合う脚部53の間は、給水流路水平部18となっている。また、注水配管16は、ペデスタル側壁11に形成された注水配管出口孔28で開口している。この注水配管出口孔28が脚部53の隣り合う突起物29の間に位置するように、炉心溶融物保持装置9は配置される。
【0054】
突起物29は、脚部53の外周側からペデスタル側壁11に向かって突出している。突起物29の脚部53からの突出長さは、給水流路鉛直部17の径方向の幅にほぼ等しい。この突起物29は、脚部53と一体として形成されていてもよいし、脚部53とは別に製造して脚部53に固定してもよい。
【0055】
脚部53に固定された突起物29は鋼材、鉄筋コンクリート、コンクリート表面に鋼板を施した構造体などによって形成される。ペデスタル側壁11の内部に設けられた注水配管16の出口である注水配管出口孔28は、炉心溶融物保持装置9が回転した場合にも、突起物29が注水配管出口孔28を塞がないように、突起物29よりも上方に配置される。突起物29は、給水流路水平部18入口部の全てに設ける必要は無く、その数は耐震設計により適宜増減してもよい。
【0056】
本実施の形態では、脚部53に固定された突起物29が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0057】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0058】
さらに、本実施の形態では、炉心余裕物保持装置9の大部分をペデスタル床12上に据え付けた後に、第1の実施の形態のようにスペーサ26(図1参照)などを取り付ける必要がない。このため、設置現場での作業が削減される。また、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0059】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第4の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0060】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、外側ライザー20の外面に固定された突起物30を有している。突起物30は、外側ライザー20の外面からペデスタル側壁11に向かって突出している。突起物30の外側ライザー20の外面からの突出長さは、給水流路鉛直部17の径方向の幅にほぼ等しい。突起物30は、炉心溶融物保持装置9の周方向の少なくとも3か所に、これらの3か所を頂点とする三角形の内部に炉心溶融物保持装置9の中心が位置するように設けられる。
【0061】
本実施の形態では、突起物30が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。突起物30は、ペデスタル側壁11に固定されていてもよい。突起物30の数は、耐震設計により適宜増減してもよい。
【0062】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9の大部分をペデスタル床12上に据え付けた後に、第1の実施の形態のようにスペーサ26(図1参照)などを取り付ける必要がない。このため、設置現場での作業が削減される。また、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0064】
[第5の実施の形態]
図9は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第5の実施の形態を格納容器の水平断面とともに示す上面図である。
【0065】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、外側ライザー20の外面に固定された板状突起物32を有している。板状突起物32は、外側ライザー20の外面からペデスタル側壁11に向かって突出している。板状突起物32の外側ライザー20の外面からの突出長さは、給水流路鉛直部17の径方向の幅にほぼ等しい。板状突起物32は、炉心溶融物保持装置9の周方向の少なくとも3か所に、これらの3か所を頂点とする三角形の内部に炉心溶融物保持装置9の中心が位置するように設けられる。本実施の形態では、板状突起物32は、周方向に等間隔に8個設けられている。
【0066】
外側ライザー20に固定されたそれぞれの板状突起物32に対応して、一対の板状突起物31がペデスタル側壁11に固定されている。ペデスタル側壁11に固定された一対の板状突起物31は、外側ライザー20に固定された板状突起物32を挟み込むように設けられている。外側ライザー20に固定された板状突起物32とペデスタル側壁11に固定された板状突起物31とは、炉心溶融物保持装置9をペデスタル床12の上に設置した時に、ほぼ同じ高さとなるような位置に設置される。
【0067】
本実施の形態では、ペデスタル側壁11が形成された後、板状突起物32が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル側壁11に固定される板状突起物32以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置9は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、板状突起物32がペデスタル側壁11に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0068】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、外側ライザー20に固定された板状突起物32およびペデスタル側壁11に固定された板状突起物31がそれぞれ炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。また、外側ライザー20に固定された板状突起物32がペデスタル側壁11に固定された板状突起物31で挟みこまれているため、炉心溶融物保持装置9の周方向への回転が抑制される。
【0069】
図10は、本実施の形態の変形例を格納容器の断面とともに示す上面図である。
【0070】
この変形例では、ペデスタル側壁11に固定されたそれぞれの板状突起物32に対応して、一対の板状突起物31が外側ライザー20に固定されている。外側ライザー20に固定された一対の板状突起物31は、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32を挟み込むように設けられている。
【0071】
この変形例では、外側ライザー20に固定された板状突起物32およびペデスタル側壁11に固定された板状突起物31が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。また、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32が外側ライザー20に固定された板状突起物31で挟みこまれているため、炉心溶融物保持装置9の周方向への回転が抑制される。
【0072】
図11は、本実施の形態の他の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【0073】
この変形例では、外側ライザー20に固定された板状突起物31には、吊り冶具用孔44が形成されている。吊り冶具用孔44は、外側ライザー20に固定された板状突起物31を板厚方向に貫通している。
【0074】
吊り冶具用孔44は、外側ライザー20に固定された板状突起物31の上端部近傍に形成されていて、炉心溶融物保持装置9がペデスタル床12に着床した状態でペデスタル側壁11に固定された板状突起物32と重ならないようになっている。また、板状突起物31は、外側ライザー20の上端近傍に固定されている。
【0075】
このような炉心溶融物保持装置9は、吊り冶具用孔44にワイヤーロープを掛けて、クレーンによってペデスタル側壁11内へ吊り込まれる。ワイヤーロープを掛けられる構造であれば、吊り冶具用孔44の代わりにフック状の切り欠きを形成しておいてもよい。
【0076】
このように、この変形例では、炉心溶融物保持装置9自体に、吊り治具機能を持たせているため、別途吊り込み前に吊り治具を固定し、吊り込み後に取り外す必要がない。よって、部品数が削減され、また、溶接などの作業に要する時間・コストを低減できる。また、他の実施の形態においても、ワイヤーロープを掛けられる構造を設けることにより、本変形例と同様の効果が得られる。
【0077】
炉心溶融物保持装置9の据付け後であっても、炉心溶融物保持装置9の上方には作業空間が確保されている。このため、吊り冶具用孔44を外側ライザー20の上端近傍に配置しておくことにより、炉心溶融物保持装置9の据付け後に、ワイヤーロープを容易に取り外すことができる。
【0078】
図12は、本実施の形態の他の変形例における板状突起物近傍の立断面図である。
【0079】
この変形例では、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32は、緩衝体45を備えている。緩衝体45は、たとえばゴム、板ばねなど、衝撃力を吸収可能な材料で形成される。緩衝体45は、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物32の外側ライザー20に固定された板状突起物31と対向する面に設けられている。
【0080】
このように、本変形例では、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分に緩衝体45を設けている。このため、航空機落下事故や地震などによって振動が発生した場合に、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触しても、その時発生する衝撃力は、緩衝体によって緩和される。緩衝体45によってこのような衝撃力を緩和することから、位置ずれを防止する機構部の破損や破壊を防止できる。その結果、炉心溶融物保持装置9の信頼性が向上する。
【0081】
緩衝体は、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分であればどのような部分に設けてもよい。また、他の実施の形態においても、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分に緩衝体を設けることにより、本変形例と同様の効果が得られる。
【0082】
図13は、本実施の形態の他の変形例における板状突起物近傍の吊り込み途中での立断面図である。
【0083】
この変形例では、ペデスタル側壁11に固定された板状突起物31の下端外側にテーパー部46が形成されている。つまり、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分において、吊り込み時に固定側の構造体近傍を最初に通過する部分にテーパー部46が形成されている。
【0084】
炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際に、位置ずれ防止構造体のうち最初に固定部分を通過する最狭部分をテーパー構造とすることにより、炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まる。炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まることから、容易に炉心溶融物保持装置9を設置可能でき作業性が向上する。また、他の実施の形態においても、位置ずれを防止する構造体の固定側と可動側が接触する部分において、吊り込み時に固定側の構造体近傍を最初に通過する部分にテーパー部を形成することにより、本変形例と同様の効果が得られる。
【0085】
このように、本実施の形態およびその変形例においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の位置の設置後のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0086】
[第6の実施の形態]
図14は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第6の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図15は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部の斜視図である。図16は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器の断面とともに示す水平断面図である。
【0087】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル床12に固定されたブロック状構造体33を有している。ブロック状構造体33は、ペデスタル側壁11に固定されていてもよい。ブロック状構造体33は、ペデスタル側壁11の周方向の複数の位置に設けられている。ブロック状構造体33の周方向長さは、支持台21の脚部53の外周側の周方向長さとほぼ同じである。ブロック状構造体33の径方向幅は、給水流路鉛直部17(図3参照)の径方向幅とほぼ同じである。注水配管16の出口である注水配管出口孔28は、ブロック状構造体33の間に位置している。
【0088】
支持台21の脚部53の最外周部分には、周方向の両端部からペデスタル側壁11に向かって板状突起物34が突出している。炉心溶融物保持装置9は、一つの脚部53に固定された一対の板状突起物34がペデスタル床12上に設けられたブロック状構造体33を挟むように配置される。
【0089】
本実施の形態では、ペデスタル側壁11が形成された後、ブロック状構造体33が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル側壁11に固定されるブロック状構造体33以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置9は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、ブロック状構造体33がペデスタル床12およびペデスタル側壁11に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0090】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ブロック状構造体33が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。また、支持台21の脚部53に固定された板状突起物34がペデスタル床12およびペデスタル側壁11に固定されたブロック状構造体33を挟みこんでいるため、炉心溶融物保持装置9の周方向への回転が抑制される。
【0091】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0092】
[第7の実施の形態]
図17は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第7の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図18は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【0093】
本実施の形態の炉心用溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定されて鉛直に起立した板状突起物35を有している。板状突起物35は、ペデスタル床12の中央部分から放射状に延びている。板状突起物35の間には、周方向に一つ置きに支持台の脚部53が配置される。板状突起物35は、支持台の脚部53のそれぞれの両側面に沿って延びている。
【0094】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、板状突起物35が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定される板状突起物35以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、板状突起物35がペデスタル床12に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0095】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に固定された板状突起物35に、炉心溶融物保持装置の支持台の脚部53が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの板状突起物35および支持台の脚部53が炉心溶融物保持装置の位置ずれ防止構造として機能している。
【0096】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0097】
本実施の形態では、給水流路水平部18の水平断面が扇状となっているが、たとえば直線形状でも良く、その場合、板状突起物35は給水流路水平部18の形状に合わせて径方向へ平行に複数配置される。
【0098】
また、本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9の板状突起物35をペデスタル床12に固定した後、それ以外の部分をペデスタル側壁11に囲まれる空間に吊り込んでいる。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9のペデスタル床12に固定された板状突起物35以外の部分とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9のペデスタル床12に固定された板状突起物35以外の部分とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0099】
このようにモジュール工法を採用することで、建設工期の短縮、作業性や工事の安全性さらに炉心溶融物保持装置9の品質向上が可能となる。さらに、既存のペデスタル構造を採用することから、新たにペデスタル構造を設計する必要がない。
【0100】
[第8の実施の形態]
図19は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第8の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図20は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【0101】
本実施の形態の炉心用溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定されて鉛直に起立した嵌合突起物36を有している。嵌合突起物36は、ペデスタル側壁11の内周面に沿って間隔を置いてペデスタル床12に配置されている。嵌合突起物36は、ペデスタル側壁11の内周面に沿った部分と、この部分の両端から径方向内側に突出した部分とからなっている。支持台の脚部53の外周側の端部は、嵌合突起物36に嵌め合わされている。注水配管出口孔28は、嵌合突起物36の間に配置される。
【0102】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、嵌合突起物36が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定される嵌合突起物36以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、嵌合突起物36がペデスタル床12に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0103】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に固定された嵌合突起物36に、炉心溶融物保持装置の支持台の脚部53が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの嵌合突起物36および支持台の脚部53が炉心溶融物保持装置の位置ずれ防止構造として機能している。
【0104】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0105】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0106】
本実施の形態の嵌合突起物36は、周方向の両端で径方向に突出した部分を持っているが、たとえば周方向の一端で径方向に突出した部分を持つ突起物を、突出する端部が左右交互になるように並べるなどして、炉心溶融物保持装置9の回転を防止することもできる。
【0107】
[第9の実施の形態]
図21は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第9の実施の形態の一部を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。図22は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の一部を格納容器とともに示す斜視図である。
【0108】
本実施の形態の炉心用溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定されて鉛直に起立した嵌合突起物36を有している。嵌合突起物37は、給水容器14の外周に沿って間隔を置いてペデスタル床12に配置されている。嵌合突起物37は、給水容器14の外周に沿った部分と、この部分の両端から径方向外側に突出した部分とからなっている。支持台の脚部53の内周側の端部は、嵌合突起物36に嵌め合わされている。
【0109】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、嵌合突起物37が所定の場所に固定される。また、炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12に固定される嵌合突起物37以外は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、格納容器2のペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、嵌合突起物37がペデスタル床12に固定された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0110】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に固定された嵌合突起物37に、炉心溶融物保持装置の支持台の脚部53が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの嵌合突起物37および支持台の脚部53が炉心溶融物保持装置の位置ずれ防止構造として機能している。
【0111】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0112】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0113】
本実施の形態の嵌合突起物36は、周方向の両端で径方向に突出した部分を持っているが、たとえば周方向の一端で径方向に突出した部分を持つ突起物を、突出する端部が左右交互になるように並べるなどして、炉心溶融物保持装置9の回転を防止することもできる。
【0114】
[第10の実施の形態]
図23は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第10の実施の形態を格納容器とともに一部を断面で示す斜視図である。
【0115】
本実施の形態の炉心溶融物保持装置9は、支持台21の下端に底板54を有している。底板54の上面には中央から放射状に水平に延びる脚部53が設けられている。隣り合う脚部53の間には、底板54の上面に沿った冷却水流路13が形成されている。
【0116】
ペデスタル床12には、内径が底板54の外径とほぼ同じ窪み55が形成されている。窪み55の深さは、底板54の厚さとほぼ同じである。
【0117】
本実施の形態では、ペデスタル床12が形成された後、嵌合突起物37が所定の場所に固定される。
【0118】
炉心溶融物保持装置は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、所定の窪み55を持つペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支持台21の底板54がペデスタル床12の窪み55に嵌合されるように、据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0119】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造体が設けられている。つまり、ペデスタル床12に形成された窪み55に、支持台21に固定された底板54が嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向への移動が制限されている。つまり、これらの窪み55および支持台21の底板54が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0120】
図24は、本実施の形態の変形例における炉心溶融物保持装置近傍の立断面図である。
【0121】
この変形例では、支持台21の下端に固定された底板54の外周部にテーパー部46が形成されている。つまり、位置ずれを防止する構造体の固定側である窪み55と可動側である底板54が接触する部分において、吊り込み時に固定側の構造体近傍を最初に通過する部分にテーパー部46が形成されている。
【0122】
炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際に、位置ずれ防止構造体のうち最初に固定部分を通過する最狭部分をテーパー構造とすることにより、炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まる。炉心溶融物保持装置9を吊り下げる際の接触部分の挿入性が高まることから、容易に炉心溶融物保持装置9を設置可能でき作業性が向上する。
【0123】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置9に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置9の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0124】
また、本実施の形態では、支持台21の底板54がペデスタル床12の窪み55に嵌め合わされると、支持台21の脚部53や底板54が注水配管16の出口である注水配管出口孔28(図6参照)を塞ぐことがない。このため、炉心溶融物保持装置9の回転方向の位置ずれは、炉心溶融物の保持・冷却性能にほとんど影響せず、据付け作業が容易である。
【0125】
さらに、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0126】
[第11の実施の形態]
図25は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第11の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。図26は、図25のXXVI−XXVI矢視立断面とともに示す本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。
【0127】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、鉛直上方に延びる支柱38が設けられている。この支柱38は、ペデスタル床12に固定されている。支柱38は、複数であって、たとえば給水容器14とペデスタル側壁11との中間に、周方向に間隔を置いて、8個設けられている。支持台21の下端には、これらの支柱38と嵌合される窪み39が形成されている。
【0128】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12、ペデスタル床12上の支柱38およびペデスタル側壁11が形成され後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支柱38が支持台21の窪み39と嵌合されるように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0129】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造が形成されている。つまり、ペデスタル床12上の支柱38が、支持台21の下端に形成された窪み39に嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの支柱38および支持台21の窪み39が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0130】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0131】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0132】
[第12の実施の形態]
図27は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第12の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。図28は、図27のXXVIII−XXVIII矢視立断面とともに示す本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。
【0133】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、鉛直下方に窪んだ窪み39が形成されている。窪み39は、複数であって、たとえば給水容器14とペデスタル側壁11との中間に、周方向に間隔を置いて、8か所に形成されている。支持台21の下端には、これらの窪み39と嵌合する支柱38が固定されている。
【0134】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、窪み39を持つペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支柱38がペデスタル床12に形成された窪み39と嵌合されるように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0135】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造が形成されている。つまり、支持台21の下端に設けられた支柱38が、ペデスタル床12に形成された窪み39に嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの支柱38および窪み39が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0136】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0137】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0138】
[第13の実施の形態]
図29は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第13の実施の形態におけるペデスタル床近傍の水平断面図である。図30は、図29のXXX−XXX矢視立断面とともに示す本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の立断面図である。
【0139】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、鉛直下方に窪んだ窪み39が形成されている。窪み56は、水平断面が多角形に形成されている。窪み56は、たとえばペデスタル床12の中央部に形成された水平断面が正方形の非貫通穴である。窪み56は、多角形であれば、正方形でなくてもよい。支持台21の下端には、この窪み56と嵌合する支柱41が固定されている。
【0140】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、窪み56を持つペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成された後に、クレーンを使用して吊り込み、ペデスタル床12上に、支柱41がペデスタル床12に形成された窪み56と嵌合されるように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0141】
本実施の形態では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル床12の双方に互いに干渉しあい接触する、位置ずれを防止する構造が形成されている。つまり、支持台21の下端に設けられた支柱41が、ペデスタル床12に形成された窪み56に嵌め合わされることにより、炉心溶融物保持装置の径方向および周方向への移動が制限されている。これらの支柱41および窪み56が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0142】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0143】
また、本実施の形態において、炉心溶融物保持装置9の外径は、ペデスタル側壁11の内径よりも給水流路鉛直部17の分だけ小さい。このため、吊り込みの途中では、炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11との間には、給水流路鉛直部17の幅に相当する間隙が存在している。その結果、吊り込み時に炉心溶融物保持装置9とペデスタル側壁11が干渉し難くなり、吊り込み作業が容易になる。
【0144】
さらに、支柱41および窪み56を多角形に形成することにより、支柱41および窪み56はそれぞれ1つであっても、炉心溶融物保持装置9の回転を制限することができる。
【0145】
[第14の実施の形態]
図31は、本発明に係る炉心溶融物保持装置の第14の実施の形態の吊り込み時におけるペデスタル床近傍の一部を断面で示す斜視図である。図32は、本実施の形態における炉心溶融物保持装置の近傍の一部を断面で示す斜視図である。図33は、本実施の形態における支持板近傍の斜視図である。
【0146】
本実施の形態において、ペデスタル床12には、円管状支持構造体42が固定されている。円管状支持構造体42は、ペデスタル側壁11の内径よりも小さい径の円管である。円管状支持構造体42の下端には、円管状支持構造体42の外側から内側へ冷却水が流れるように隙間が形成されている。円管状支持構造体42の上端には、切り欠き57が形成されている。切り欠き57は、円管状支持構造体42の周方向の複数の位置に形成されている。
【0147】
炉心溶融物保持装置9の外側ライザー20には、ペデスタル側壁11に向かって突出した支持板43が固定されている。外側ライザー20に固定された支持板43は、円管状支持構造体42の切り欠き57に係合している。
【0148】
炉心溶融物保持装置9は、格納容器2(図2参照)の外部の、たとえば工場で組み立てられる。外部で組み立てられた炉心溶融物保持装置は、ペデスタル床12およびペデスタル側壁11が形成され、ペデスタル床12に円管状支持構造体42が固定された後に、クレーンを使用して吊り込まれる。クレーンで吊り込まれた炉心溶融物保持装置9は、ペデスタル床12上に、外側ライザー20に固定された支持板43が円管状支持構造体42に形成された切り欠き57に係合するように据え付けられる。その後、原子炉圧力容器1などが据え付けられる。
【0149】
本実施の形態では、外側ライザー20に固定された支持板43が、ペデスタル床12に固定された円管状支持構造体42の切り欠き57に係合することにより、炉心溶融物保持装置9の径方向および周方向への移動が制限されている。つまり、これらの支持板43および円管状支持構造体42の切り欠き57が炉心溶融物保持装置9の位置ずれ防止構造として機能している。
【0150】
また、円管状支持構造体42のように周方向に連続した構造体でなくても、支持板43と係合する切り欠き部を持っていて、耐震などの強度が保たれれば、周方向に分割された構造体の集合または柱上の構造体の集合体でもよい。
【0151】
このように、本実施の形態においても、炉心溶融物保持装置に位置ずれ防止構造を備えることにより、炉心溶融物保持装置9をアンカーボルトなどでペデスタル床12などに固定しなくとも、航空機落下事故や地震などによる振動に対して、炉心溶融物保持装置の設置中心軸が大きくずれることがない。つまり、炉心溶融物保持装置9の設置後の位置のずれが抑制される。その結果、複数ある冷却水流路13への冷却水流流量配分が乱されることを抑えることができる。
【0152】
外側ライザー20に固定された支持板43は、円管状支持構造体42の切り欠き57に係合されていれば、位置ずれ防止構造としての機能を果たす。このため、この支持板43の端部は、ペデスタル側壁11にそれほど近付ける必要がない。よって、炉心溶融物保持装置9の吊り込み時には、ペデスタル側壁11と炉心溶融物保持装置9との間にある程度の隙間を設けることができる。このため、吊り込みが容易になる。
【0153】
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0154】
1…原子炉圧力容器、2…格納容器、3…下部ヘッド、4…サプレッションプール、5…水槽、6…格納容器冷却器、7…下部ドライウェル、8…サンプ床、9…炉心溶融物保持装置、11…ペデスタル側壁、12…ペデスタル床、13…冷却水流路、14…給水容器、15…耐熱材、16…注水配管、17…給水流路鉛直部、18…給水流路水平部、19…内側ライザー、20…外側ライザー、21…支持台、22…水チャンネル、23…水チャンネル集合体、24…下部入口部、25…上部出口部、26…スペーサ、27…フランジ、28…注水配管出口孔、29…突起物、30…突起物、31…板状突起物、32…板状突起物、33…ブロック状構造体、34…板状突起物、35…板状突起物、36…嵌合突起物、37…嵌合突起物、38…支柱、39…窪み、41…支柱、42…円管状支持構造体、43…支持板、44…吊り冶具用孔、45…緩衝体、46…テーパー部、51…炉心、52…弁、53…脚部、54…底板、55…窪み、56…窪み、57…切り欠き
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
前記外周面の周方向位置が異なる少なくとも3か所で前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間に配置された偏心防止体と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項2】
前記偏心防止体は前記外周面の上端に引っ掛かって前記外周面と前記ペデスタル側壁との間に延びるスペーサを備えることを特徴とする請求項1に記載の原子炉格納容器。
【請求項3】
前記スペーサと前記ペデスタル側壁との対向部に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の原子炉格納容器。
【請求項4】
前記偏心防止体は前記炉心溶融物保持装置に固定されて前記外周面から前記ペデスタル側壁に向かって突出した突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の原子炉格納容器。
【請求項5】
前記炉心溶融物保持装置は前記給水容器から前記外周面に向かって延びる脚部を下端に備え、前記突出部は前記脚部の前記ペデスタル側壁に対向する端部に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の原子炉格納容器。
【請求項6】
前記注水出口は、前記突起部の上端よりも高い位置に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の原子炉格納容器。
【請求項7】
前記炉心溶融物保持装置は前記ペデスタル床に載置される支持台と前記支持台の上端から上方に延びる管状の外側ライザーとを備え、前記突出部は前記外側ライザーの外面に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の原子炉格納容器。
【請求項8】
前記突起物には水平方向に貫通する吊り冶具用孔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の原子炉格納容器。
【請求項9】
前記ペデスタル側壁に固定されて前記外周面に沿った異なる二方向で前記突出部にそれぞれ対向する回転防止体をさらに有することを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
【請求項10】
前記突起物の下端外側には下方から上方に向かって前記ペデスタル側壁からの距離が小さくなるテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の原子炉格納容器。
【請求項11】
前記回転防止体と前記突出部との対向部に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の原子炉格納容器。
【請求項12】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
前記炉心溶融物保持装置下端に固定された前記外周面よりも鉛直方向の投影面積が大きいフランジと、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項13】
前記注水出口は前記フランジの上面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項12に記載の原子炉格納容器。
【請求項14】
前記フランジの側面と前記ペデスタル側壁の内面との対向部に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の原子炉格納容器。
【請求項15】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
を備えて、前記ペデスタル床および前記炉心溶融物保持装置の下面のいずれか一方に窪みが形成されており、前記窪みに嵌め合わされた突起が前記炉心溶融物保持装置の下面および前記ペデスタル床のいずれか一方に形成されている、
ことを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項16】
前記窪みおよび前記突起はそれぞれ複数であることを特徴とする請求項15に記載の原子炉格納容器。
【請求項17】
前記窪みおよび前記突起はそれぞれ多角形に形成されていることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の原子炉格納容器。
【請求項18】
前記突起の先端外側にはその先端から遠ざかるにしたがって前記窪みからの距離が小さくなるテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
【請求項19】
前記窪みの内側面と前記突起の外側面との対向部の間に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項15ないし請求項18のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
【請求項20】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
前記ペデスタル床から前記外周面に沿って立ち上がり上端に切り欠きが形成された管状支持構造体と、
前記炉心溶融物保持装置に固定されて前記外周面から前記ペデスタル側壁に向かって突出して前記切り欠きに係合した回転防止用突出部と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項21】
前記炉心溶融物保持装置の下端の外周部にはその下端から遠ざかるにしたがって前記管状支持構造体からの距離が小さくなるテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項20に記載の原子炉格納容器。
【請求項1】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
前記外周面の周方向位置が異なる少なくとも3か所で前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間に配置された偏心防止体と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項2】
前記偏心防止体は前記外周面の上端に引っ掛かって前記外周面と前記ペデスタル側壁との間に延びるスペーサを備えることを特徴とする請求項1に記載の原子炉格納容器。
【請求項3】
前記スペーサと前記ペデスタル側壁との対向部に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の原子炉格納容器。
【請求項4】
前記偏心防止体は前記炉心溶融物保持装置に固定されて前記外周面から前記ペデスタル側壁に向かって突出した突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の原子炉格納容器。
【請求項5】
前記炉心溶融物保持装置は前記給水容器から前記外周面に向かって延びる脚部を下端に備え、前記突出部は前記脚部の前記ペデスタル側壁に対向する端部に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の原子炉格納容器。
【請求項6】
前記注水出口は、前記突起部の上端よりも高い位置に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の原子炉格納容器。
【請求項7】
前記炉心溶融物保持装置は前記ペデスタル床に載置される支持台と前記支持台の上端から上方に延びる管状の外側ライザーとを備え、前記突出部は前記外側ライザーの外面に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の原子炉格納容器。
【請求項8】
前記突起物には水平方向に貫通する吊り冶具用孔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の原子炉格納容器。
【請求項9】
前記ペデスタル側壁に固定されて前記外周面に沿った異なる二方向で前記突出部にそれぞれ対向する回転防止体をさらに有することを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
【請求項10】
前記突起物の下端外側には下方から上方に向かって前記ペデスタル側壁からの距離が小さくなるテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の原子炉格納容器。
【請求項11】
前記回転防止体と前記突出部との対向部に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の原子炉格納容器。
【請求項12】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
前記炉心溶融物保持装置下端に固定された前記外周面よりも鉛直方向の投影面積が大きいフランジと、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項13】
前記注水出口は前記フランジの上面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項12に記載の原子炉格納容器。
【請求項14】
前記フランジの側面と前記ペデスタル側壁の内面との対向部に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の原子炉格納容器。
【請求項15】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
を備えて、前記ペデスタル床および前記炉心溶融物保持装置の下面のいずれか一方に窪みが形成されており、前記窪みに嵌め合わされた突起が前記炉心溶融物保持装置の下面および前記ペデスタル床のいずれか一方に形成されている、
ことを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項16】
前記窪みおよび前記突起はそれぞれ複数であることを特徴とする請求項15に記載の原子炉格納容器。
【請求項17】
前記窪みおよび前記突起はそれぞれ多角形に形成されていることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の原子炉格納容器。
【請求項18】
前記突起の先端外側にはその先端から遠ざかるにしたがって前記窪みからの距離が小さくなるテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
【請求項19】
前記窪みの内側面と前記突起の外側面との対向部の間に設けられた緩衝体をさらに有することを特徴とする請求項15ないし請求項18のいずれか1項に記載の原子炉格納容器。
【請求項20】
炉心を収める原子炉容器を格納する原子炉格納容器において、
前記原子炉容器の下方に設けられたペデスタル床と、
前記ペデスタル床から鉛直に立ち上がり冷却水が排出される注水出口が形成されたペデスタル側壁と、
前記ペデスタル床の上に載せられて前記ペデスタル側壁の内面と間隙を挟んで向かい合う外周面を持ちその外周面の内側に上に開いた保持容器と前記保持容器の下方に設けられた給水容器とを備えて前記外周面と前記ペデスタル側壁の内面との間の間隙から前記給水容器に延びる給水流路と前記給水容器から前記保持容器の下面に沿って延びる冷却流路とが形成された炉心溶融物保持装置と、
前記ペデスタル床から前記外周面に沿って立ち上がり上端に切り欠きが形成された管状支持構造体と、
前記炉心溶融物保持装置に固定されて前記外周面から前記ペデスタル側壁に向かって突出して前記切り欠きに係合した回転防止用突出部と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器。
【請求項21】
前記炉心溶融物保持装置の下端の外周部にはその下端から遠ざかるにしたがって前記管状支持構造体からの距離が小さくなるテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項20に記載の原子炉格納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−247584(P2011−247584A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117521(P2010−117521)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]