説明

原水圧力により逆流洗浄を行なう透過膜ろ過装置

【目的】 精密ろ過膜、限外ろ過膜等の透過膜を利用し、水処理用のろ過操作を行なう装置に関する。
【構成】 精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜などの透過膜を使用した水処理用ろ過装置において、原水の圧力によりエゼクタで透過膜一次側に負圧を発生させ、逆流洗浄を行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜等の透過膜を利用し、水処理用のろ過操作を行なう装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、精密ろ過膜、限外ろ過膜等の透過膜を利用して、水処理用ろ過操作が行なわれてきたが、透過膜は、一般に数十分ごとに逆流洗浄を行なわなくてはならず、このために逆流洗浄ポンプもしくは加圧ポンプなどが必要であつた。しかし、洗浄ポンプや加圧ポンプには動力が必要であり、さらに原水をろ過するための原水加圧ポンプとは性能が異なるため、別々のポンプを設備する必要があつた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】透過膜を逆流洗浄するのに必要な圧力は1kg/cm2以下で十分であり、透過膜二次側から加圧しなくとも、透過膜一次側を負圧にすれば同様の逆流洗浄が実施可能である。
【0004】透過膜でろ過するには、一般に原水に0.1〜2.0kg/cm2程度の圧力をかける必要があり、原水への加圧方式としては、一般にポンプを用いているが、原水の取水点の位置が高い場合などではポンプを必要としないこともある。一方、透過膜は透過を続けることにより、膜表面に除去対象物質が付着し、透過性能を低下させる。
【0005】このため、一般的には数分〜数十分ごとに透過膜二次側より透過水の一部を逆送し、透過膜一次側表面に付着した物質を逆流洗浄しており、この逆流洗浄のためには専用のポンプを設けるのが一般であつた。なお逆流洗浄を行なうには、透過膜二次側より透過膜一次側が相対的に低圧であればよく、その必要圧力差は1kg/cm2以下で十分である。
【0006】
【課題を解決するための手段】ここにおいてこの発明は、精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜などの透過膜を使用した水処理用ろ過装置において、原水の圧力によりエゼクタで透過膜一次側に負圧を発生させ、逆流洗浄を行なうことを特徴とする水処理用ろ過装置を提案するものである。
【0007】
【作用】原水は1kg/cm2以上の圧力を持つていることも多く、原水の圧力を利用してエゼクタにより負圧を発生させれば、逆流洗浄用のポンプを用いずに逆流洗浄できる。特に、原水の取水点が高く、原水に必要な圧力がある場合、この方式を用いれば原水加圧ポンプも逆流洗浄ポンプも不要となり、切替弁の操作だけの動力で処理ができることになる。
【0008】次にこの発明を添付図面にしたがつて説明する。すなわち、図1はこの発明の一実施例で、限外ろ過膜を使用した水道用ろ過装置であつて、原水の取水点が高く、1.5kg/cm2の圧力がある。
【0009】原水は、取水点1から原水管2及び原水弁3を経由して、透過膜6に流入し、除去対象物質を分離除去したのち、透過水は処理水管7を経由して、逆流洗浄水槽8に流入する。この時、エゼクタ起動弁4及び逆流洗浄弁5は閉じている。
【0010】逆流洗浄水槽は一回の逆流洗浄に必要な容量を確保し、それを越えた分は処理水槽9に流出し、処理水管10により配水される。この状態を継続していると、透過膜6は目詰まりしてくるので定期的に逆流洗浄する必要があり、逆流洗浄は、原水弁3を閉め、エゼクタ起動弁4及び逆流洗浄弁5を開けることにより、原水はエゼクタ11を通過し、透過膜一次側に負圧を発生させる。
【0011】このため、逆流洗浄水槽中の処理水は透過膜二次側より透過膜一次側に逆流し、透過膜一次側表面に付着した物質を剥離させ、排水管12を経由して系外に排出される。一定時間経過後、再度エゼクタ起動弁4及び逆流洗浄弁5を閉じ、原水弁3を開けることによりろ過が再開される。因みにこの実施例では、一切のポンプ類が不要となる。
【0012】
【発明の効果】上述の構成からなるこの発明の水処理用ろ過装置によれば、原水の圧力によつてエゼクタで透過膜の一次側に負圧を発生させて逆流洗浄が行なえるため、逆流洗浄ポンプもしくは加圧ポンプが不必要となり、装置の構成を簡略化しうると共に、設備費を大幅に軽減できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】透過膜として限外ろ過膜を使用した水道用ろ過装置の構成図である。
【符号の説明】
6 透過膜
8 逆流洗浄水槽
11 エゼクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜などの透過膜を使用した水処理用ろ過装置において、原水の圧力によりエゼクタで透過膜一次側に負圧を発生させ、逆流洗浄を行なうことを特徴とする水処理用ろ過装置。

【図1】
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【公開番号】特開平6−205948
【公開日】平成6年(1994)7月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−17842
【出願日】平成5年(1993)1月11日
【出願人】(000193508)水道機工株式会社 (50)