説明

反射型偏光板並びに液晶表示体の製造方法

【課題】 本発明は文字等の表示を可及的に明るく視認し得る反射型偏光板を提供することを目的とする。
【解決手段】 表面マット加工を施した反射材4の該マット加工面に偏光板3を積層した反射型偏光板であって、反射材4のマット加工面に銀4bを蒸着形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は文字等の表示をより明るく視認することができる反射型偏光板並びに液晶表示体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来から液晶セル1を偏光板2(透過型偏光板)と反射材4付きの偏光板3(反射型偏光板)とで挾持して成る反射型の液晶表示体が種々提案されている(本実施例と同一構成部分には同一符号を付した。)。
【0003】このような反射型の液晶表示体に使用される反射材4付きの偏光板3の該反射材4には、一般的にポリエステルフィルムにアルミ箔を貼り合わせたもの、又は、マット加工したポリエステルフィルムにアルミを蒸着したものが採用されている。
【0004】ところで、文字等の表示をより明るく視認するためには反射材の反射率を高め、外光を有効利用することが必須となる。
【0005】本発明は所定の構造の反射材を採用することで反射率を高め、よって、文字等の表示を可及的に明るく視認し得る反射型偏光板並びに液晶表示体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】表面マット加工を施した反射材4の該マット加工面に偏光板3を積層した反射型偏光板であって、反射材4のマット加工面に銀4bを蒸着形成したことを特徴とする反射型偏光板に係るものである。
【0008】表面マット加工を施した反射材4の該マット加工面に偏光板3を積層した反射型偏光板であって、反射材4のマット加工面にアクリル系樹脂によるアンダーコート4c、銀4bの蒸着層、アクリル系樹脂によるトップコート4dをこの順序で積層形成したことを特徴とする反射型偏光板に係るものである。
【0009】液晶セル1を偏光板2と反射材4付きの偏光板3とで挾持して成る液晶表示体の製造方法であって、反射材4付きの偏光板3の該反射材4として、マット加工を施したポリエステルフィルム4aを採用し、このポリエステルフィルム4aのマット加工面に銀4bを蒸着することを特徴とする液晶表示体の製造方法に係るものである。
【0010】液晶セル1を偏光板2と反射材4付きの偏光板3とで挾持して成る液晶表示体の製造方法であって、反射材4付きの偏光板3の該反射材4として、マット加工を施したポリエステルフィルム4aを採用し、このポリエステルフィルム4aのマット加工面にアクリル系樹脂によりアンダーコート4cを施し、続いて、このアンダーコート面上に銀4bを蒸着し、続いて、この銀蒸着面にアクリル系樹脂によりトップコート4dを施すことを特徴とする液晶表示体の製造方法に係るものである。
【0011】
【発明の作用並びに効果】表面マット加工した反射材4の該マット加工面に銀4bを蒸着すると、また、表面マット加工した反射材4の該マット加工面にアクリル系樹脂によるアンダーコート4c、銀4bの蒸着層、アクリル系樹脂によるトップコート4dをこの順序で積層形成すると、該反射材4の反射率が高まることを実験により確認した。本発明はこの実験結果を請求項としてまとめたものである。
【0012】本発明は上述のようにしたから、文字等の表示をより明るく視認することができる反射型偏光板並びに液晶表示体の製造方法を提供し得ることになる。
【0013】
【実施例】第一実施例について説明する。
【0014】厚さ50μmのポリエステルフィルム4aの表面にマット加工(練り込みタイプ)を施し、このマット加工面に銀4bを厚さ1200オングストロームで蒸着(真空蒸着)する。
【0015】このポリエステルフィルム4aの銀蒸着面に直接粘着剤5(アクリル系)を厚さ15〜20μmで塗布乾燥後、公知の偏光板3(PVAフィルムをTACフィルムで挾持した偏光板3)を貼り合わせる。
【0016】続いて、この偏光板3の上面に液晶セル1を粘着剤5(アクリル系)を介して貼り合わせ、更に上記と同構造の偏光板2を粘着剤5(アクリル系)を介して貼り合わせて液晶表示体とする。
【0017】第二実施例について説明する。
【0018】厚さ50μmのポリエステルフィルム4aの表面にマット加工(練り込みタイプ)を施し、このマット加工面にアクリル系樹脂により厚さ1〜2μmのアンダーコート4cを施し、続いて、このアンダーコート面上に厚さ1200オングストロームで銀4bを蒸着し、続いて、この銀蒸着面にアクリル系樹脂により厚さ1〜2μmのトップコート4dを施す。
【0019】このポリエステルフィルム4aのトップコート面に直接粘着剤5(アクリル系)を厚さ15〜20μmで塗布乾燥後、公知の偏光板3(PVAフィルムをTACフィルムで挾持した偏光板3)を貼り合わせる。
【0020】続いて、この偏光板3の上面に液晶セル1を粘着剤5(アクリル系)を介して貼り合わせ、更に上記と同構造の偏光板2を粘着剤5(アクリル系)を介して貼り合わせて液晶表示体とする。
【0021】第一,第二実施例ともに反射率が向上することを実験により確認した。以下に第一,第二実施例の特性を記す。
【0022】具体的には、分光光度計に積分球を設けて第一,第二実施例の反射率を測定した。
【0023】第一実施例〈反射材4単体の場合〉銀蒸着反射フィルム(第一実施例)・・・反射率:90.1%アルミ蒸着反射フィルム(従来例)・・・反射率:84.0%〈上記反射材4に偏光板3を貼り合わせた反射型偏光板〉上記銀蒸着反射フィルムと偏光板3とを貼り合わせた反射型偏光板(第一実施例)・・・反射率:39.4%上記アルミ蒸着反射フィルムと偏光板3とを貼り合わせた反射型偏光板(従来例)・・・反射率33.5%尚、この反射型偏光板に使用した偏光板3の光学特性は透過率42.7%、偏光度97.78%である。
【0024】第二実施例〈反射材4単体の場合〉銀蒸着反射フィルム(第二実施例)・・・反射率:91.2%アルミ蒸着反射フィルム(従来例)・・・反射率:84.0%〈上記反射材4に偏光板3を貼り合わせた反射型偏光板〉上記銀蒸着反射フィルムと偏光板3とを貼り合わせた反射型偏光板(第二実施例)・・・反射率:38.4%上記アルミ蒸着反射フィルムと偏光板3とを貼り合わせた反射型偏光板(従来例)・・・反射率33.5%尚、この反射型偏光板に使用した偏光板3の光学特性は透過率42.7%、偏光度97.78%である。
【0025】この実験結果により、第一実施例は反射材4単体で約6.1%、反射材4に偏光板3を貼り合わせた反射型偏光板で約5.9%、反射率が向上していることが確認できる。
【0026】また、第二実施例は反射材4単体で約7%、反射材4に偏光板3を貼り合わせた反射型偏光板で約5%、反射率が向上していることが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の説明図である。
【図2】第二実施例の説明図である。
【符号の説明】
1 液晶セル
2 偏光板
3 偏光板
4 反射材
4b 銀
4c アンダーコート
4d トップコート

【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面マット加工を施した反射材の該マット加工面に偏光板を積層した反射型偏光板であって、反射材のマット加工面に銀を蒸着形成したことを特徴とする反射型偏光板。
【請求項2】 表面マット加工を施した反射材の該マット加工面に偏光板を積層した反射型偏光板であって、反射材のマット加工面にアクリル系樹脂によるアンダーコート、銀の蒸着層、アクリル系樹脂によるトップコートをこの順序で積層形成したことを特徴とする反射型偏光板。
【請求項3】 液晶セルを偏光板と反射材付きの偏光板とで挾持して成る液晶表示体の製造方法であって、反射材付きの偏光板の該反射材として、マット加工を施したポリエステルフィルムを採用し、このポリエステルフィルムのマット加工面に銀を蒸着することを特徴とする液晶表示体の製造方法。
【請求項4】 液晶セルを偏光板と反射材付きの偏光板とで挾持して成る液晶表示体の製造方法であって、反射材付きの偏光板の該反射材として、マット加工を施したポリエステルフィルムを採用し、このポリエステルフィルムのマット加工面にアクリル系樹脂によりアンダーコートを施し、続いて、このアンダーコート面上に銀を蒸着し、続いて、この銀蒸着面にアクリル系樹脂によりトップコートを施すことを特徴とする液晶表示体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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