説明

反射安全服

【課題】 着用者に適合した着丈に調節可能にして、着用時の機動性を高めると共に、反射性能の低減のない反射安全服を提供する。
【解決手段】 反射シート8を付設した略チョッキ型の反射安全服1において、反射安全服1の身頃は肩部を境に前身頃7と後身頃6とに分離して形成し、前身頃7と後身頃6とはその上端部7a、6a同士を面接触状に重ね合わせられるよう適宜長さに形成すると共に、これらのうち一方にはその表面に上下方向に適宜間隔毎に雌雄係合手段の雌雄の一方を複数配設し、他方にはその裏面の少なくとも端部近傍に前記雌雄係合手段の一方に対応する他方を配設して着脱自在に係合可能に形成した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、主に検問や交通整理作業等を行う際に着用する反射安全服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の反射安全服は、実用新案登録第3009265号公報に開示されているもののように反射シートの帯体を左右前身頃帯として胸元でV字状に合わせると共に、これらの下方部同士をファスナーで開閉自在にしたチョッキ型のものが各種提供されている。
【0003】
そして、こうした反射安全服は、胴回り部を前側ベルトと後側ベルトとで構成し、前側ベルト表面と後側ベルト裏面とに夫々係合手段を設けて前側ベルトと後側ベルトとを着脱自在に止着可能にすることで、胴回りを着用者のウエストに合わせて調節できるようになっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、従来の反射安全服では、胴回りは任意に調節できるものの、着丈を調節することはできないので、着丈が合わないものを着用した場合に種々の不都合が生じた。
【0005】
すなわち、着丈が合わない安全服を着用すると見栄えが悪いばかりでなく、着丈の長い安全服では、誘導灯を振ったり、走ったりする際に動きにくくなったり、安全服に皺や弛みができやすくなり、それによって反射シートの反射性能が低減してしまうという問題が生じた。
【0006】
そこで、本考案は、上述した不都合な点等に鑑み、着用者に適合した着丈に調節可能にして、着用時の機動性を高めると共に、反射性能の低減のない反射安全服の提供を課題として案出されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため本考案は、反射シートを付設した略チョッキ型の反射安全服において、反射安全服の身頃は肩部を境に前身頃と後身頃とに分離して形成し、前身頃と後身頃とはその上端部同士を面接触状に重ね合わせられるよう適宜長さに形成すると共に、これらのうち一方にはその表面に上下方向に適宜間隔毎にスナップ係合手段の雌雄の一方を複数配設し、他方にはその裏面の少なくとも端部近傍に前記スナップ係合手段の雌雄の一方に対応する他方を配設して着脱自在に係合可能に形成したことにより上記課題を解決する。
【0008】
また、前記スナップ係合手段のうち、少なくとも前身頃及び後身頃の最も先端側に形成したスナップ係合手段の雌雄双方の周囲又は近傍にはスナップ係合手段の係合時に同時に係合する面ファスナー係合手段を設けてもよい。
【0009】
また、本考案は、反射シートを付設した略チョッキ型の反射安全服において、反射安全服の身頃は肩部を境に前身頃と後身頃とに分離して形成し、前身頃と後身頃とはその上端部同士を面接触状に重ね合わせられるよう適宜長さに形成すると共に、これらのうち一方にはその表面に面ファスナー係合手段の雌雄の一方を配設し、他方にはその裏面に前記面ファスナー係合手段の雌雄の一方に対応する他方を配設して着脱自在に係合可能に形成したことにより上記課題を解決する。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照して本考案の実施例を説明すると次の通りである。
図1乃至図2は、本考案の第1の実施例を示すもので、符号1は、チョッキ型に形成した反射安全服であり、反射安全服1は通気性のよいメッシュ状の基布2を用いて全体を形成し、腹にあたる部分を前開き部3として面ファスナー4で開閉自在に形成している。
【0011】
また、反射安全服1には、胴回り部5と、後身頃6の腰部から両肩、前身頃7の両肩から胸、胸から前開き部3に沿った部分、さらに後身頃6の中央とに適宜幅の帯状の反射シート8が縫い付けられており、胴回り部5を除くと、正面からは略V字状、背面からは上向きの三本の放射線状に反射シート8が見えるように形成されている。
【0012】
胴回り部5は、帯状の反射シート8が縫い付けられた適宜長さの腹側ベルト9及び背中側ベルト10から構成されており、これら腹側ベルト9と背中側ベルト10とは端部同士を面接触状に重ね合わせられ、その接触面同士はスナップ係合手段11と面ファスナー係合手段12とによって着脱自在に係合可能に形成されて環状に胴を一周するようになっている。
【0013】
反射安全服1の身頃は肩部を境に分離された前身頃7と後身頃6とで構成されており、前身頃と後身頃とはその上端部7a、6a同士を面接触状に重ね合わせられるよう適宜長さに形成されている。そして、前身頃7と後身頃6のうち一方には重ね合わせられる表面に上下方向に適宜間隔毎に係合手段の雌雄の一方である雌部を複数配設し、他方にはその裏面の少なくとも端部近傍に前記係合手段の雌雄の一方に対応する他方を配設して着脱自在に係合可能に形成されている。
【0014】
しかして、この実施例では、前身頃7及び後身頃6の上端部7a、6a同士の係合手段としてスナップ係合手段13を採用したものであり、後身頃6の表面に30ミリ間隔毎にスナップ雌部13Yを複数配設し、前身頃7の裏面の端部近傍に前記スナップ雌部13Yに対応するスナップ雄部13Xを配設して、前身頃7のスナップ雄部13Xを後身頃6のいずれかのスナップ雌部13Yに係合させて前身頃7及び後身頃6の上端部7a、6a同士を面接触状に着脱自在に係合可能に形成した。
【0015】
したがって、この反射安全服1によれば、後身頃6の複数のスナップ雌部13Yに対し、前身頃7のスナップ雄部13Xを選択した位置で係合させることで、.30ミリ毎に着丈を調節することが可能である。
【0016】
尚、この実施例では、前身頃7の裏面の端部近傍のみにスナップ雄部13Xを配設しているが、単一のスナップ雄部13Xをスナップ雌部13Yに係合させただけでは、そのスナップ雄部13Xとスナップ雌部13Yを中心に前身頃7と後身頃6とが回転して曲がることもあるので、スナップ雄部13Xをスナップ雌部13Yと同間隔に複数配設して、これらを2カ所以上で係合させれば、回転によるずれは防止できる。
【0017】
また、スナップ雄部13Xとスナップ雌部13Yとを複数配設した場合でも、着丈を最も長く調節した時には、スナップ雄部13Xとスナップ雌部13Yとの係合は前身頃7及び後身頃6の先端側の1カ所だけになり、この際にスナップ係合手段を中心に回転によって曲がりやすくなるので、その最先端のスナップ雄部13X及びスナップ雌部13Yの周囲又は近傍に面ファスナー係合手段を併設すれば、面ファスナーの係合によってその回転を防止できる。
【0018】
次ぎに、本考案の他の実施例を図5に基いて説明する。
この実施例は、前身頃7と後身頃6との係合手段以外は上述した実施例と同じ構成となっており、前身頃7と後身頃6との係合手段として面ファスナー係合手段14を採用している。
【0019】
すなわち、その面ファスナー係合手段14は、後身頃6の上端部6a近傍の表面に長さ90ミリで適宜幅の面ファスナー雄部14Xを配設し、且つ、前身頃7の裏面に長さ220ミリの面ファスナー雌部14Yを配設したもので、前身頃7の面ファスナー雌部14Yに対し、後身頃6の面ファスナー雄部14Xを適宜選択した位置で係合させることで、前身頃7及び後身頃6の上端部7a、6a同士を面接触状に着脱自在に係合可能に形成した。
【0020】
したがって、この反射安全服1によれば、面ファスナー雌部14Yに対し、面ファスナー雄部14Xを適宜選択した位置で係合させることで、着丈を自在に調節することが可能である。
【0021】
尚、前述した各実施例では、前後各身頃7、6の重ね合わせられる上端部7a、6aの略中央にスナップ係合手段13や面ファスナー係合手段14を配設しているが、何等これに限定されるものではなく、例えば、上端部の左右側縁に沿って係合手段を配設すれば、身頃部分の反射シート8の反射面積が少なくなるようなことがないし、係合手段によって見栄えが悪くなることがない。
【0022】
また、上述した各実施例では、後身頃6の表面にスナップ雌部13Yを配設すると共に、前身頃7の裏面にスナップ雄部13Xを配設し、一方、後身頃6の表面に面ファスナー雄部14Xを配設すると共に、前身頃7の裏面に面ファスナー雌部14Yを配設しているが、係合手段の雌雄は逆にしてもよいし、更に前身頃7の上に後身頃6を重ね合わせるように形成して、これらの間に係合手段を配設してもよく、また、スナップ係合手段13と面ファスナー係合手段14とを組み合わせて形成してもよい。
【0023】
更に、前身頃7及び後身頃6の寸法、形状、材質、構成、スナップ係合手段13の数、寸法、形状、構成、面ファスナー係合手段14の寸法、形状、構成等は、上述した各実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0024】
【考案の効果】
上述のごとく構成した本考案によれば、係合手段の係合位置を変えることにより、反射安全服1の着丈を着用者のサイズに合わせて適宜調節することが可能であり、それによって着用時の機動性を高めることができる。
【0025】
そして、着用者に丈を適合させたことで皺や弛みができなくなり、それによって、反射シート1の持つ反射性能を十分に生かして、ドライバーから視認されやすく、優れた安全性を具備したものとなった。
【0026】
また、少なくとも前記前身頃及び後身頃の最も先端側に形成したスナップ係合手段の雌雄双方の周囲又は近傍にスナップ係合手段の係合時に同時に係合する面ファスナー係合手段を設けた場合には、着丈を最も長く調節すべく前身頃及び後身頃の最先端のスナップ係合手段のみを係合させた場合でも面ファスナーの係合によって前身頃及び後身頃がスナップ係合手段を中心に回転して曲がるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1の実施例を示す展開図である。
【図2】第1の実施例を示す正面図である。
【図3】第1の実施例を示す背面図である。
【図4】第1の実施例の前身頃と後身頃との係合状態を示す要部断面図である。
【図5】第2の実施例を示す展開図である。
【符号の説明】
1 反射安全服 2 基布
3 前あき部 4 面ファスナー
5 胴回り部 6 後身頃
6a 上端部 7 前身頃
7a 上端部 8 反射シート
9 腹側ベルト 10 背中側ベルト
11 スナップ係合手段 12 面ファスナー係合手段
13 スナップ係合手段 13X スナップ雄部
13Y スナップ雄部 14 面ファスナー係合手段
14X 面ファスナー雄部 14Y 面ファスナー雌部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 反射シートを付設した略チョッキ型の反射安全服において、反射安全服の身頃は肩部を境に前身頃と後身頃とに分離して形成し、前身頃と後身頃とはその上端部同士を面接触状に重ね合わせられるよう適宜長さに形成すると共に、これらのうち一方にはその表面に上下方向に適宜間隔毎にスナップ係合手段の雌雄の一方を複数配設し、他方にはその裏面の少なくとも端部近傍に前記スナップ係合手段の雌雄の一方に対応する他方を配設して着脱自在に係合可能に形成したことを特徴とする反射安全服。
【請求項2】 前記スナップ係合手段のうち、少なくとも前身頃及び後身頃の最も先端側に形成したスナップ係合手段の雌雄双方の周囲又は近傍にはスナップ係合手段の係合時に同時に係合する面ファスナー係合手段を設けた請求項1記載の反射安全服。
【請求項3】 反射シートを付設した略チョッキ型の反射安全服において、反射安全服の身頃は肩部を境に前身頃と後身頃とに分離して形成し、前身頃と後身頃とはその上端部同士を面接触状に重ね合わせられるよう適宜長さに形成すると共に、これらのうち一方にはその表面に面ファスナー係合手段の雌雄の一方を配設し、他方にはその裏面に前記面ファスナー係合手段の雌雄の一方に対応する他方を配設して着脱自在に係合可能に形成したことを特徴とする反射安全服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3029342号
【登録日】平成8年(1996)7月10日
【発行日】平成8年(1996)9月27日
【考案の名称】反射安全服
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−3045
【出願日】平成8年(1996)3月22日
【出願人】(594148357)株式会社武田商店 (4)