説明

反復練習支援装置およびその装置を用いた反復練習支援方法

【課題】練習者のすばやい反応を培うための反復練習支援装置および方法の提供。
【解決手段】練習者のポジションから正面視可能な離れた位置に指示用点灯ボード1を配置し、この指示用点灯ボード1に対応させて練習者が操作する操作用点灯ボード2をポジションPから所定の方向に離れた位置に配置し、指示用点灯ボード1と操作用点灯ボード2のそれぞれのランプを反復練習プログラムに従って同時に点灯制御し、当該練習者が指示用点灯ボードのランプの点灯に反応して操作用点灯ボード2に移動し当該ランプを消灯させ、ホームポジションPに戻る動作を繰り返し行う。これによりコーチが出す反復練習における指示の早さの限界によらずに練習者のすばやい反応を培う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練習者のすばやい反応を培うための反復練習支援装置およびその装置を用いた反復練習支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種スポーツでは、繰り返し(反復)練習が非常に重要である。たとえば、一般に良く知られている、「反復横跳び」は定められた区間を一定の時間内に何回移動できるかを繰り返す練習で、横移動への俊敏性を高める目的をもった練習である。
また、どのスポーツの練習でも取り入れられている一般的名称の“ダッシュ”は、一定の距離を全速力で走り抜ける動きの練習で、加速度を高める練習である。
目標を高めにおき、厳しい練習を目指すのであれば、おのずと、反復の回数は増え、移動する時間、距離は増えることになる。
【0003】
しかし、実際のスポーツの試合(実戦)の選手の動きは、単純な反復運動では無く、緩急を付けた動きがほとんどである。よって、練習の反復運動(練習)において、選手は緩急を付けた動きを取り入れるのが大変に望ましい。
より実践的な緩急を付けた練習を実行するには、運動する人へ的確な指示をだす人(一般的にはコーチ、インストラクター)の手助けが必要となる。例えば、“ダッシュ”を例にとり、緩急を付けた練習を説明する。
【0004】
運動する人は、コーチの合図で、ダッシュを行う。所定の距離をダッシュした時点で、コーチが何らかの合図を出す。合図は、笛を吹く、手を叩くが一般的である。合図が出された時点で、運動する人は、後ろ向きで、あるいは方向を変えてこれまでダッシュしてきた方向とは逆の方向へダッシュを行う。又は、これまでの進行方向に対して、45度の方向、あるいは真横(90度の方向)へダッシュを行う。
【0005】
更に、所定の距離までダッシュした時、再度、コーチは合図を出す。運動する人は、再び、方向を変え、ダッシュする。この動きを繰り返す。運動する人からすれば、コーチからの合図でこれまでダッシュしていた方向とは逆の方向や異なる方向へ進むことより、緩急が生まれる事になる。
この練習は、バスケットボールの競技において、相手選手に合わせて、移動する速さを自在に合わせられる事、ボールの動きに自在に合わせられる事、を目的とした非常に重要な練習となる。
【0006】
さて、ボール(羽・球)に対して、すばやい対応を要求されるスポーツに卓球、バドミントン、テニス等がある。ボール(球)に対するすばやい反応の実現には、コーチが指示した方向へすばやく動く動作を繰り返し行う練習で培われる。例えば、バドミントンの練習では、コート中心のホームポジションより、コーチが指示した方向へすばやく動き、その後、ホームポジションへ戻り、再度、コーチが指示した方向へ動くという、反復練習が一般的に行なわれている。
【0007】
コーチは、ホームポジションに練習者が戻る少し前に、次に移動する方向を指示する。練習者はホームポジションへ戻ると同時に、次の方向へ移動を開始する。このすばやい反応を培う反復練習は、ボール(球)に反応する事を必要とされる競技では大変に重要な練習である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−79667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
練習者が定められた位置(以下、ポジションと称す)からコーチの指示した方向へすばやく反応し、移動し、再度、ポジションに戻る反復練習において、重要なのは、指示が出てから移動、あるいは反応するまでの時間である。このような練習の基本は、指示に対して、すばやく反応し、移動する距離をすばやく動き、ポジションへ戻る。従って、練習者は、すばやくこれらの動作が出来るよう、何度も反復して練習を行う。
【0010】
解決しようとする問題点は、上述の練習において、コーチが出す指示の早さには、人であるが故の反射の限界がある点である。
本発明は、練習者のすばやい反応を培うための反復練習支援装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の反復練習支援装置は、ケース上面にランプが配置され、前記ランプをランプカバーにより覆い、該ランプカバーへのタッチまたは押圧を感知する応動スイッチを設けた点灯ボードと、内蔵された反復練習用ソフトウェアを実行し、反復練習条件として設定された点灯回数、点灯時間間隔に基づいて前記ランプの点灯を制御し、前記点灯ボードの応動スイッチからの操作信号に基づいて反復練習データを演算するコントロール部とを備え、
前記点灯ボードが、練習者に指示する指示用点灯ボードと、練習者がポジションから移動して操作する操作用点灯ボードから成り、前記指示用点灯ボードは、練習者がポジションにおいて当該練習者がほぼ正視可能な位置に配置され、前記操作用点灯ボードは前記ポジションから所定の方向に離れた反復練習の為の位置に配置されるとともに、前記コントロール部は、前記指示用点灯ボードと前記操作用点灯ボードのランプを同時に点灯制御することを特徴とする。
【0012】
本発明は、次の構成を包含する。
(1)コントロール部が、応動スイッチからの操作信号とは無関係に、点灯ボードのランプの点灯・消灯を制御するフェイントを備え、フェイント時間幅を設定し、点灯時間間隔の前の所定の時間内にフェイントを入れること。
(2)点灯ボードが、有線または無線によりコントロール部に接続されていること。
(3)反復練習データが、点灯ボードのランプの点灯から練習者の操作による消灯までに要した時間であること。
(4)コントロール部が、反復練習条件の設定部、反復練習の開始・停止の指示部、反復練習データの表示部および反復練習データを出力するプリンタを備えていること。
(5)指示用点灯ボードが、点灯制御されるランプのみで構成されていること。
(6)コントロール部が、反復練習データを外部記憶媒体へ出力する端子を備えていること。
【0013】
他の本発明は、請求項1に記載の反復練習支援装置を用いた反復練習方法であって、指示用点灯ボードを練習者が所定のポジションにおいてほぼ正面視可能な位置に配置し、前記ポジションから所定の方向に離れた位置に操作用点灯ボードを配置し、練習者が前記ポジションに立ち、指示用点灯ボードのランプの点灯に反応して操作用点灯ボードへ移動し操作して消灯し、前記ポジションに戻る動作を繰り返し行うことを特徴とする。
バトミントンの反復練習支援方法であって、指示用点灯ボードは、対戦相手のコート上に配置し、複数の操作用点灯ボードはバトミントンコートの異なる位置に配置し、それぞれの操作用点灯ボードを1または2名の練習者に割り当てて行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明の反復練習支援装置によれば、簡素で大掛かりでない装置構成により、コーチが出す反復練習における指示の早さの限界によらずに練習者のすばやい反応を培うことができる。
本発明の反復練習支援方法によれば、コーチが居なくても反復練習を行うことができるとともに、反復練習条件を変えることで段階的にすばやい反応を培うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る反復練習支援装置の点灯ボードを設置した説明図である。
【図2】図2は、点灯ボードの外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、点灯ボードの構成を示す図である。
【図4】図4は、コントロール部の外観を示す斜視図である。
【図5】図5は、コントロール部のブロック図である。
【図6】図6は、十字のセットスイッチを持ったコントロール部の構成を示す図である。
【図7A】図7Aは、反復練習用ソフトウェアのフロー図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに続くフロー図である。
【図8】図8は、印字例を示す図である。
【図9】図9は、バトミントンコートにおける点灯ボードの設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
反復練習支援装置は、点灯ボードと、反復練習用ソフトウェアにより点灯ボードの点灯を制御し、練習者の点灯・消灯の反応を演算して反復練習結果を出力するコントロール部によって構成されている。図1は、本発明に係る反復練習支援装置の点灯ボードを設置した説明図である。
点灯ボード3は、練習者に指示する指示用点灯ボード1(A−1,B−1)と、練習者がポジション(P)から移動して操作する操作用点灯ボード2(A−2,B−2)により構成される。指示用点灯ボードA−1,B−1は、練習者がポジション(P)において、ほぼ正面視可能であり、かつポジション(P)から前方に所定距離の位置に配置される。操作用点灯ボードA−2,B−2は、指示用点灯ボード1に対応して練習者のポジション(P)から所定の方向に離れた位置に配置される。本実施例は、指示用点灯ボード1および操作用点灯ボード2を同じ構成であるが、指示用点灯ボードはランプ指示機能のみを備えた構成にすることもできる。
【0018】
図1(1)に示す例は、ポジション(P)の正面前方に左右の動きを指示する一対の指示用点灯ボードA−1,B−1を配置し、ポジション(P)の斜め前方かつ指示用点灯ボードA−2,B−2より近い所定距離に、それぞれの指示用点灯ボードA−1,B−1に対応させて配置する。本例によれば、ポジション(P)から前方へのすばやい動きが鍛えられる。
【0019】
図1(2)に示す例は、ポジション(P)の正面前方に左右の動きを指示する一対の指示用点灯ボードA−1,B−1を配置し、ポジション(P)の左右横方向の所定距離に、それぞれの指示用点灯ボードA−1,B−1に対応させて配置する。本例によれば、ポジション(P)から左右横方向へのすばやい動きが鍛えられる。
【0020】
図1(3)に示す例は、ポジション(P)の正面前方に左右の動きを指示する一対の指示用点灯ボードA−1,B−1を配置し、ポジション(P)の斜め後方の所定距離に、それぞれの指示用点灯ボードA−1,B−1に対応させて配置する。本例によれば、ポジション(P)から後方へのすばやい動きが鍛えられる。
【0021】
図2は、点灯ボードの外観図、図3は点灯ボードの構成を示す図である。
点灯ボードは、ケース31にランプ(LED)32、スイッチ33が組み込まれ、ケース上面にはランプ32の点灯・消灯を目視確認する透光性のランプカバー341からなる操作部材34が設けられている。スイッチ33は、ランプ32へのタッチを検知するタッチセンサまたは押圧を感知する圧力スイッチからなり、コントロール部5の制御に基づいてランプ32が設定された点灯時間間隔・点灯回数・フェイント時間(以下、「反復練習条件」と称す)に従って点灯し、スイッチ33の操作により消灯する。他の実施形態として、ランプ32の点灯・消灯を赤外線センサにより光検出し、この光信号をコントロール部5で処理するよう構成することもできる。図3に示す例では、操作部材341の上下動によりスイッチ33が操作されるように構成されている。
【0022】
図4は、コントロール部の外観を示す斜視図、図5はコントロール部のブロック図である。コントロール部5は、反復練習条件を液晶(LCD)表示する液晶表示部51、反復練習条件の設定を操作するとともに、反復練習の開始・停止を指示するセットスイッチ52、計測データおよび演算データを出力するプリンタ53およびデータ出力用端子54、セットスイッチ52の操作・指示に基づいて内蔵された反復練習用ソフトウェアを実行する演算部55を備えている。
【0023】
演算部55は、操作用点灯ボード2のスイッチ33の操作信号に基づいて各種の反復練習データとして、点灯から消灯までの時間t1,t2,・・tn(n:点灯回数)、tnの平均値などを演算し、計測結果として出力する。また演算部55は、操作用点灯ボード2のスイッチ33を押してから、次にランプが点灯するまでの時間(反復時間)において、ランプが点灯する直前の短時間点灯(フェイント点灯)の動作を行う。フェイント点灯は、フェイント点灯する時間の反復時間に対する割合をフェイント時間幅として、この時間を最大値としてランダムな時間点灯する。フェイント後の消灯時間は一定とする。
【0024】
図6は、十字のセットスイッチを持ったコントロール部の構成を示す。セットスイッチ52は、十字のセットスイッチにより構成され、左右キーを操作して液晶表示部51に表示される項目を選択してセンタキー52aで決定し、上下キーを操作して液晶表示部51に表示される数値を設定してセンタキー52aで決定する。十字のセットスイッチ52を、テンキーに換えて構成することもできる。この場合、反復練習条件をテンキー操作により直接数値を入力し、決定ボタンにより入力値を確定するように構成することもできる。
【0025】
(設定項目の選択)
設定項目は、左右キーを操作して選択する。左右キーは、項目「1:カイスウ」,「2:ジカン」,「3:Fジカン」が選択できる。「1:カイスウ」は、ランプの点灯回数(反復回数)、「2:ジカン」は、ランプ−ランプ点灯時間間隔、「3:Fジカン」は、フェイント時間である。ここで、フェイント時間は、ランプが正規の点灯前、すなわち設定された点灯時間間隔の間に1回以上の点灯/消灯を行う。
【0026】
(項目内容の設定)
左右キーで選択した項目に対して上下キーを使用して項目内容を設定する。「1:カイスウ」の場合は、5,10,15,20,25,30の固定数字を1操作毎に変えて設定する。「2:ジカン」の場合は、0.1s〜10.0sの数字を1操作毎に変えて設定する。具体例として、0.1s〜3.0sの数字は0.1s毎、4.0s〜10.0sの数字は0.5s毎にそれぞれ設定する。「3:Fジカン」は、「2:ジカン」で設定された時間の10%,20%,30%前を設定する。例えば、「2:ジカン」を0.2s設定、「3:Fジカン」を10%設定の場合は、0.18s〜0.2sの間でフェイントが1回以上入る。また20%の場合は、0.16s0.2sの間でフェイントが1回以上入る。
【0027】
(反復回数の設定)
左右キーを操作して「1:カイスウ」を選択し、センタキーで決定すると、表示器41に“1:カイスウ=?”(?点滅)が表示される。反復回数は、上下キーを操作して数字、例えば“10”をセンタキーで決定する。続いて、反復回数が決定されると“2:ジカン=?”
(?点滅)が表示され、同様に上下キーを操作して反復時間を設定する。
【0028】
(点灯時間間隔の設定)
左右キーを操作して「2:ジカン」を選択し、センタキーで決定すると、表示器41に“2:ジカン=?”(?点滅)が表示される。点灯時間間隔は、上下キーを操作して秒数、例えば“2:ジカン=0.2s”まで進めてセンタキーで決定する。
【0029】
(フェイント時間の設定)
点灯時間間隔が決定されると“3:Fジカン=?” (?点滅)が表示され、同様に上下キーを操作して、例えば“3:Fジカン=10%”を、センタキーで決定する。
【0030】
(設定数字の変更)
設定された反復練習条件の変更は、左右キーを操作して変更したい項目を選択し、センタキーで決定すると設定されている数値が点滅するのを確認し、上下キーを操作して数値を変更し、センタキーで確定する。
【0031】
コントロール部5の機能について、図7Aと図7Bを参照しながら説明する。
点灯ボードのランプの点灯回数に相当する反復回数(S101)と点灯時間間隔(反復時間)(S102)と擬似的点灯時間(フェイント時間幅)(S103)をそれぞれ設定する。
例えば、点灯間隔を1.5秒に設定するには、表示部の秒の位を選択し、“1”と表示し、次に、1/100秒の位を選択し、“5”(=0.5秒)と表示し、センタキーで決定する。
【0032】
S103において、設定された点灯時間間隔の何秒前に、ランプを点灯・消灯(フェイント)させる時間を設定する。例えば、設定された時間間隔が1.5秒の場合で、点灯・消灯(フェイント)させる時間、例えば0.2秒を設定するには、表示部に1/100秒の位を選択し、“2”(=0.2秒)と表示し、センタキーで決定する。続いて、LEDの点灯回数を設定する。
【0033】
スタートボタンが押されると(S104)、点灯と同時に開始合図音を出力して反復練習が開始される(S105)。0.1秒から設定フェイント時間幅の間の乱数を発生し、反復時間より減算しフェイント開始時間を決める(S106)。続いてタイマ−計測を開始する(S107)。本実施例では、スタートボタンがセットスイッチの決定ボタンによって構成されており、必要な反復条件の設定終了後に、決定ボタンを押すと、指示用点灯ボード1のランプが点灯し、練習者が操作用点灯ボード2の操作部としてランプカバー341を押すと、所定の時間、例えば3秒後に設定された内容で点灯ボードのランプが点灯し、点滅が開始される。これによって、練習の計測が開始される。
【0034】
“タイマ−=フェイント開始時間”を判断し(S108)、フェイント開始時間になると乱数により右または左のランプを点灯する(S109)。“タイマ−=反復時間―0.1秒”を判断し(S110)、「反復時間―0.1秒」になると左右のランブを消灯する(S111)。“タイマ−=反復時間”になると(S112)、乱数により右又は左を決定する(S113)。“右”が決定されると(S114)、右ランブを点灯し(S115)、タイマ−計測を開始させ(S116)、“右スイッチが押されたか?”を判断し(S117)、押されると計時を停止する(S121)。一方、S114において“左”が決定されると(S114)、左ランブを点灯し(S118)、タイマ−計測を開始させ(S119)、“左スイッチが押されたか?”を判断し(S120)、押されると計時を停止する(S121)。上記操作において、左右スイッチのいずれかのスイッチが押されると計時を停止し、結果を記憶する(S122)。これを設定された反復回数を行い(S123)、反復回数に達すると終了合図音を出力して終了する(S124)。計測結果は、表示部に反応時間の平均値を表示し(S125)、プリンタで反復練習データを印字し、反復練習を終了する。
【0035】
図8は、印字例を示す。印字例において、2010/6/5:2010年6月5日測定、SEC.:点灯時間間隔(秒)、times:点灯回数、1−1:点灯ボード1のランプが点灯してから消灯するまでの時間(秒)、2−1:点灯ボード2のランプが点灯してから消灯するまでの時間(秒)である。
【0036】
図9は、バトミントンコートにおける点灯ボードの設置例である。対戦相手のコート中央に左右一対の指示用点灯ボード1L,1Rおよびネットに近い両サイドライン側の位置に操作用点灯ボード2FL,2FR、ホームポジション(HP)のほぼ真横のサイドラインに近い両サイドライン側の位置に操作用点灯ボード2ML,2MR、バックラインに近い両サイドライン側の位置に操作用点灯ボード2BL,2BRがコントロール部5に有線又は無線接続される。
【0037】
図示のコート上の右側と左側に配置される指示用点灯ボードおよび操作用点灯ボードは、単体で、独立して各々点灯、消灯する。1名の練習者につき左側または右側の点灯ボードを1台使用し、2名の練習者が前・後および真横に移動する。コントロール部は、左側に配置された各点灯ボードのランプLと右側に配置された各点灯ボードに対してそれぞれの反復練習条件を設定する。設定された時間毎にランプL,Rが点灯し、ホームポジション(HP)に左右に並んだ練習者が瞬時に移動してランプを押して消灯させる。
【0038】
バドミントンにおいて、前後のフットワーク練習を支援する練習モードを、1名の練習者だけの動きで説明する。点灯する時間は、ホームポジション(HP)が一番後ろの位置の場合と、コートの一番後ろ位置の場合とで移動距離が異なるので、その移動距離の違いによって設定する。
HPに待機の練習者は、練習開始合図で、点灯しているランプLを消灯するため前へ移動し、ランプLを操作し消灯を確認した後、練習者は前向きで後ろへフットワークする。HPまたはコートの一番後ろまで下がってから、前に向かって移動を開始する。ランプLは設定された時間で再度点灯するので、練習者はすばやく前後のフットワークをして、ランプLを消灯に動く。この動きを設定された回数分反復する。
【0039】
HPより前だけへ移動する練習モードであって、フェイント機能ありの練習モードを説明する。
【0040】
(事例1)
HPを前後に移動する、1コートに1名若しくは2名入れる練習モードP−1若しくはP−2である。以下、1コートに1名入れる練習モードP−1で説明するが、P−2も基本的に同じ練習内容である。
P−1の反復練習条件を設定した練習モードP−1が、インターバル(休息)時間を設けて、任意回数繰り返して実施される。例えば、P−1の練習設定で、インターバル時間を10秒、繰り返し回数を21回と設定する。練習者は、P−1の反復練習を終えた後、10秒間休息する。この休息の間に、練習者は呼吸、心拍を整える。上級者になるにしたがって、このインターバル時間は短くする。インターバル時間10秒となると、自動的に2回目の P−1練習が始まる。この練習を21回繰り返します。この練習モードは、ラリーポイント制ルールを採用しているスポーツでは大いに実践的である。
【0041】
(事例2)
2つの点灯ボードを直線上に配置する。練習者は、各々点灯ボードから同距離で、左右に点灯ボードを見る位置に立つ。立ち位置から点灯ボードまでの移動する時間を練習者に合わせて、設定する。点灯する点灯ボードを操作して、消灯させるよう、練習者は左右に移動を繰り返す。ランプは点灯/消灯のフェイント動きをする。練習者は、フェイントで集中し、左右の移動を繰り返す。
【0042】
【表1】


表は、各グループの練習者の計測した平均値である。ここで、n:練習者の人数、MODE:練習者が移動する方向で、「サイド」は横方向である。ラリー階数:点灯回数で、表では10回点灯、点灯時間: 点灯したLEDを練習者が消してから、再度、点灯するまでの時間、インターバル:休憩時間で、10回の点灯回数操作終了後、10秒間休憩し、次の反復練習に入る。繰り返し回数:設定値回数を繰返す。F(%):フェイントの時間幅、平均値(秒):点灯回数を分母に、移動に掛かった時間の平均値、L(秒):左への移動に掛かった時間の平均値、R(秒):右への移動に掛かった時間の平均値。
【0043】
他のスポーツの反復練習について説明する。
テニスでも応用(同じ練習)できる。テニスは移動距離が長いので点灯間隔は長めに設定する。
バスケットではディフェンスの練習に本機を利用しての事例を提示する。実際の試合では、相手のフェイントに揺さぶられながらも、相手正面位置を確保してディフェンスは行わなければならない。点灯ボードは床に置くのではなく、1mから1.5mの高さの台、すなわち練習者に対して、ある程度の角度が与えられる台に設置する。点灯ボードが置かれた台は、練習者がディフェンスする距離(2m〜3m)に合わせて、その距離だけ離れて置かれる。
練習者は、点灯ボードのランプの点灯に反応し、点灯したランプのスイッチを操作し、ランプを消灯し、ディフェンスする距離に反応するために予め決めた位置(基準点)へ戻る。練習者は、本機の“フェイント機能”に揺さぶられながら、確実にすばやく基準点へ戻り、すばやく反応し点灯したランプを消灯する。
この動作は、設定した任意の点灯回数、設定した任意の点灯間隔で繰り返し練習する。
【符号の説明】
【0044】
1 指示用点灯ボード
2 操作用点灯ボード
3 点灯ボード
5 コントロール部
31 ケース
32 ランプ
33 スイッチ
34 操作部材
341 ランプカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース上面にランプが配置され、前記ランプをランプカバーにより覆い、該ランプカバーへのタッチまたは押圧を感知する応動スイッチを設けた点灯ボードと、内蔵された反復練習用ソフトウェアを実行し、反復練習条件として設定された点灯回数、点灯時間間隔に基づいて前記ランプの点灯を制御し、前記点灯ボードの応動スイッチからの操作信号に基づいて反復練習データを演算するコントロール部とを備え、
前記点灯ボードが、練習者に指示する指示用点灯ボードと、練習者がポジションから移動して操作する操作用点灯ボードから成り、前記指示用点灯ボードは、練習者がポジションにおいて当該練習者がほぼ正視可能な位置に配置され、前記操作用点灯ボードは前記ポジションから所定の方向に離れた反復練習の為の位置に配置されるとともに、前記コントロール部は、前記指示用点灯ボードと前記操作用点灯ボードのランプを同時に点灯制御することを特徴とする反復練習支援装置。
【請求項2】
前記コントロール部が、前記応動スイッチからの操作信号とは無関係に、前記点灯ボードのランプの点灯・消灯を制御するフェイントを備え、前記フェイント時間幅を設定し、前記点灯時間間隔の前の所定の時間内に前記フェイントを入れることを特徴とする請求項1に記載の反復練習支援装置。
【請求項3】
前記点灯ボードが、有線または無線により前記コントロール部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の反復練習支援装置。
【請求項4】
前記反復練習データが、前記点灯ボードのランプの点灯から練習者の操作による消灯までに要した時間であることを特徴とする請求項1に記載の反復練習支援装置。
【請求項5】
前記コントロール部が、反復練習条件の設定部、反復練習の開始・停止の指示部、反復練習データの表示部および反復練習データを出力するプリンタを備えていることを特徴とする請求項1に記載に反復練習支援装置。
【請求項6】
練習者のポジションにおいて当該練習者がほぼ正視可能な位置に配置される指示用点灯ボードが、点灯制御されるランプのみで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の反復練習支援装置。
【請求項7】
前記コントロール部が、反復練習データを外部記憶媒体へ出力する端子を備えていることを特徴とする請求項1に記載に反復練習支援装置。
【請求項8】
前記反復練習支援装置を用いた反復練習方法であって、前記指示用点灯ボードを練習者が所定のポジションにおいてほぼ正面視可能な位置に配置し、前記ポジションから所定の方向に離れた位置に操作用点灯ボードを配置し、練習者が前記ポジションに立ち、前記指示用点灯ボードのランプの点灯に反応して操作用点灯ボードへ移動し操作して消灯し、前記ポジションに戻る動作を繰り返し行うことを特徴とする反復練習支援方法。
【請求項9】
前記指示用点灯ボードは対戦相手のコート上に配置し、複数の操作用点灯ボードはバトミントンコートの異なる位置に配置し、それぞれの操作用点灯ボードを1または2名の練習者に割り当てて行うバトミントンの請求項8に記載の反復練習支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−245071(P2012−245071A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117495(P2011−117495)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(511127597)有限会社アイナ (1)