説明

反転式蓋兼漏斗

【課題】 水槽等の蓋の開口部に取り付け、給餌の際には漏斗となり、且つ本体を反転させ蓋として使用する反転式蓋兼漏斗を提供する。
【解決手段】 擂鉢状の受皿からなる本体の底端に開口部を設け、本体の一端に、板片状の蓋部を延設した構造を特徴とする反転式蓋兼漏斗。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽等の蓋の開口部に取り付け、給餌の際には漏斗となり、且つ本体を反転させ蓋として使用する反転式蓋兼漏斗に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の漏斗としては擂鉢状本体の底端に開口部を設けた漏斗が知られている。また、厚紙等の原料コストが安く小型でかさばらない漏斗も存在する(特許文献1)。また、1枚のシートを円錐状に丸め、本体の先端を本体切込みに係止させ円錐形の形状を保つシート式漏斗も存在する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−157509号公報
【特許文献2】特開2006−312483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのために次のような問題点があった。
(イ)水槽に載置し角隅部に三角状の餌投入口を形成する蓋を使用する場合、乾燥粒状餌を三角状の餌投入口より水槽内に手作業で投入しようとすると、餌投入口が小さいため粒状餌が水槽外にこぼれ落ちやすい。
(ロ)水槽に載置し角隅部に三角状の餌投入口を形成する蓋を使用する場合、水槽内壁や蓋内面が結露した状態になると、その餌投入口付近にたまった水滴により、給餌の際乾燥粒状餌が濡れた餌投入口に付着しやすく、その状態を放置しておくと腐敗しやすくなる。
(ハ)水槽に載置し角隅部に三角状の餌投入口を形成する蓋を使用する場合、飼育生体の動きにより発生する飛沫が餌投入口より飛び出し、水槽周辺を濡らし汚損させる場合がある。
(ニ)従来の漏斗を水槽角隅部の餌投入口に挿入し使用することで(イ)の問題は解決されるが、挿入した状態をそのままにしておくと、漏斗の底開口部周辺が結露したり、生体の動きにより発生する飛沫による水滴付着により、乾燥粒状餌が付着し塊状に開口部を塞ぎ、粒状餌の水槽内への投入を妨げる。また、上方を向いた漏斗開口部がむき出しのため漏斗の内面にホコリや水滴が付着しやすい。
(ホ)従来の漏斗を、水槽角隅部の餌投入口に挿入し使用する場合、挿入した状態そのままでは鑑賞の際に体裁が悪い印象を与える。
(ヘ)従来の漏斗を、水槽角隅部の餌投入口に挿入し使用した後外して収納する場合、漏斗を収納する空間を別に確保する必要があり、また水槽と別に保管するため紛失の恐れもある。また、その場合水槽の餌投入口は開いた状態となるため(ハ)の問題は解決されない。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
擂鉢状の受皿からなる本体の底端に開口部を設け、本体の一端に、板片状の蓋部を延設した構造を特徴とする反転式蓋兼漏斗である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、水槽に載置し水槽角隅部に餌投入口を形成する蓋に取付けて使用することにより効果を発揮する反転式蓋兼漏斗である。水槽内飼育生体に手作業で給餌する際、水槽角隅部の餌投入口に取付けた本体の広い面積の受皿に粒状餌を投下することにより、粒状餌が水槽外こぼれ落ちにくくなる。水槽角隅部に形成された三角状の狭い餌投入口から給餌する場合でも、給餌作業を効率的に行うことが可能となる。そして餌投入口周辺が結露や水滴により濡れている場合でも、受皿内部が常に乾燥することにより粒状餌が餌投入口付近に付着することなく水槽内に流れ落ちる。又本発明を収納する際は、本体を裏表反転させることにより、本体に延設した板片状の蓋部が水槽餌投入口の蓋となり、水槽餌投入口からの水の飛び散りを防ぐ。さらに、受皿が水槽蓋の上方に伏せる状態に載置されるため、受皿内部が直接水槽内に面することなく、結露や飼育生体の動きによる飛沫、さらに埃等が受皿内部に付着せず、常に乾燥状態を保つことが可能となる。また、本発明は水槽と一体に載置収納されるため紛失しないか、又は紛失しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態の使用状況を示す斜視図
【図2】本発明の斜視図
【図3】本発明の裏面斜視図
【図4】本発明の使用状況を示すA−A端面図
【図5】本発明の使用状況を示す斜視図
【図6】本発明の使用状況を示すB−B端面図
【図7】本発明の第2の実施形態を示す斜視図
【図8】本発明の第2の実施形態の使用状況を示す斜視図
【図9】本発明の第2の実施形態の使用状況を示すC−C端面図
【図10】本発明の第2の実施形態の使用状況を示す斜視図
【図11】本発明の第2の実施形態の使用状況を示すD−D端面図
【図12】本発明の第3の実施形態の斜視図
【図13】本発明の第3の実施形態の斜視図
【図14】本発明の第3の実施形態の使用状況を示す斜視図
【図15】本発明の第3の実施形態の使用状況を示すE−E端面図
【図16】本発明の第3の実施形態の使用状況を示す斜視図
【図17】本発明の第3の実施形態の使用状況を示すF−F端面図
【図18】本発明の第3の実施形態の使用状況を示す斜視図
【図19】本発明の第3の実施形態の使用状況を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0008】
本発明は、略三角形又は長楕円形の擂鉢状の受皿(1)からなる本体(2)の底端に開口部(3)を設け、本体(2)の一端に、板片状の蓋部(4)を延設した構造を特徴とする蓋兼漏斗の発明である。
【実施例1】
【0009】
本発明の第1の実施の形態について図1から図6を用いて説明する。
(イ)樹脂又は可撓性樹脂等からなる擂鉢状受皿(1)を本体(2)とし、受皿(1)の底端に、開口部(3)を設ける。このとき開口部(3)は受皿(1)の前方に偏った位置に貫設する。
(ロ)受皿(1)の口縁の前方辺から前方に向けて、板片状の蓋部(4)を延設する。図1・図5に示すように水槽(5)に載置する上蓋(6a)の角隅に形成される三角状の餌投入口(7)に使用する場合、蓋部(4)の形状は前方方向を頂点とする三角状とするものが最適である。また餌投入口(7)が方形状の場合は蓋部(4)の形状は餌投入口(7)の大きさ・形に合わせた方形状とするものが最適である。
(ハ)受皿(1)の口縁の前方辺上端から後方に向けて、板片状の係止片(8a)を延設する。このとき係止片(8a)は、受皿(2)の口縁面を水平とした場合、やや上方へ向けて角度つけて延設する。
(ニ)受皿(1)の開口部(3)の上辺から前方に向けて、板片状の係止片(8b)を延設する。これにより、蓋部(4)と受皿(2)の前壁と係止辺(8b)により略コの字状の隙間(9)が形成される
本発明は以上の構成からなっている。
本発明を漏斗として使用するときは図1・図4に示すように、水槽(5)に載置された上蓋(6a)角隅の餌投入口(7)の斜端辺を、略コの字状の隙間(9)に差込み、蓋部(4)と係止辺(8b)により上蓋(6a)の縁を挟持する状態で受皿(1)の底部を水槽(5)角端に載置する。このとき漏斗状の受皿(1)は開口部(3)を底端として前方に傾斜した状態となり、本体(2)は水槽(5)角隅の餌投入口(7)に安定した状態に載置される。給餌の際は受皿(1)に乾燥粒状餌を投入することにより、開口部(3)から乾燥粒状餌が水槽(5)内に流れ落ちる。このとき、受皿(1)が餌投入口(7)と比較し大きな面積で乾燥粒状餌を受けるため、水槽(5)外に乾燥粒状餌がこぼれ落ちにくくなる。本発明を蓋として使用するときは、図5・図6に示すように、本体を表裏反転させ、係止辺(8a)と受皿(1)により上蓋(6a)斜端辺を挟持するように載置する。このとき蓋部(4)は餌投入口(7)を塞ぎ、生体の動きによる餌投入口(7)からの水(10)の飛沫飛び出しを防ぐ構造となる。またこのとき、受皿(1)内面は直接水槽(5)内部に面することがなく、結露による水滴(11)や生体の動きによる水(10)の飛沫が付着せず常に乾燥し、また埃などもたまりにくい構造となる。
【実施例2】
【0010】
本発明の第2の実施の形態について図7から図11を用いて説明する。
(イ)樹脂又は可撓性樹脂等からなる擂鉢状受皿(1)を本体(2)とし、受皿(1)の底端に、開口部(3)を設ける。このとき開口部(3)は受皿(1)の前方に偏った位置に貫設する。
(ロ)受皿(1)の口縁の前方辺から前方に向けて、板片状の蓋部(4)を延設する。図8・図10に示すように水槽(5)に載置する上蓋(6a)により形成される三角状の餌投入口(7)に使用する場合、蓋部(4)の形状は前方方向を頂点とする三角状とするものが最適である。また餌投入口(7)が方形状の場合は蓋部(4)の形状は餌投入口(7)の大きさ・形に合わせた方形状とするものが最適である。
(ハ)受皿(1)の口縁の前方辺上端から後方に向けて、板片状の覆片(12)を延設する。
(ニ)蓋部(4)と覆片(12)の境界部に水平に蝶番(13)を設け、蝶番(13)の水平軸(14)に上下方向に回動するクリップ(15)を設ける。このときクリップ(15)は水平軸(14)と一体に回動可能となり、対象物を上下に挟む向きに蝶番(13)に軸着する。
本発明は以上の構成からなっている。
本発明を使用するときは、図8から図11に示すように水槽(5)に載置されたの上蓋(6a)の斜端辺をクリップ(15)により挟持し、本体(2)を上蓋(6a)に固定する。本発明を漏斗として使用するときは、受皿(1)を開き、受皿(1)の底部を水槽(5)の角端に載置し、開口部(3)を底端として本体(2)が前方に傾斜した状態とする。給餌の際は受皿(1)に乾燥粒状餌を投入することにより、開口部(3)から乾燥粒状餌が水槽(5)内に流れ落ちる。このとき、受皿(1)が餌投入口(7)と比較し大きな面積で乾燥粒状餌を受けるため、水槽(5)外に乾燥粒状餌がこぼれ落ちにくくなる。本発明を蓋として使用するときは、図10並びに図11に示すように、本体(2)を回動させ表裏反転し、受皿(1)が上蓋(6a)の上に伏せる状態にする。このとき蓋部(4)は餌投入口(7)を塞ぎ、生体の動きによる餌投入口(7)からの水(10)の飛沫飛び出しを防ぐ構造となる。またこのとき、受皿(1)内面は直接水槽(5)内部に面することがなく、結露による水滴(11)や生体の動きによる水(10)の飛沫が付着せず常に乾燥し、また埃などもたまりにくい構造となっている。
【実施例3】
【0011】
本発明の第3の実施の形態について図12から図19を用いて説明する。
(イ)方形平板状の透明樹脂または強化ガラス等からなる上蓋(6b)の一端に、餌投入口(7)を貫設する。餌投入口(7)の形状は上蓋(6b)の一端を頂点とする三角状の例を図12から図17まで示しているが、図18並びに図19に示すような方形状や、又は円形状等様々な形状が構造的に可能である。また餌投入口(7)の先端面は図15並びに図17に示すように上が狭く下方向に広い構造とする。
(ロ)上蓋(6b)の餌投入口(7)の内側斜端辺に水平に水平軸(14)を接合するか、又は延設する。
(ハ)樹脂等からなる擂鉢状受皿(1)を本体(2)とし、受皿(1)の底端に、開口部(3)を設ける。このとき開口部(3)は受皿(1)の前方に偏った位置に貫設する。
(ニ)受皿(1)の口縁の前方辺から前方に向けて、板片状の蓋部(4)を延設する。図12から図15に示すように上蓋(6b)の餌投入口(7)を三角状とする場合蓋部(4)の形状は、餌投入口(7)の大きさ・形状に合わせて前方方向を頂点とする三角状とするものが最適である。また図18並びに図19に示すように、餌投入口(7)が方形状の場合は蓋部(4)の形状は餌投入口(7)の大きさ・形状に合わせて方形状とするなど、餌投入口(7)の形状に対応した蓋(4)形状とする。また蓋部(4)の端面は、図15並びに図17に示すように本体(2)を上向きにした場合上端が迫出し縦面が斜になった構造とする。これにより、図17に示すように、蓋部(4)を閉じた際に蓋部(4)先端面と餌投入口(7)先端面とが隙間なく契合する構造となる。
(ホ)受皿(1)の口縁の前方辺上端から後方に向けて、板片状の覆片(12)を延設する。
(ヘ)蓋部(4)と覆片(12)の境界部に、水平に蝶番(13)を設ける。
(ト)蝶番(13)と水平軸(14)を組み合せ、蓋(6b)の餌投入口(7)の内側斜端辺に、本体(2)を回動可能に軸着する。
本発明は以上の構成からなっている。
本発明を使用するときは、図14並びに図15に示すように水槽(5)の上部に、本体(2)を軸着した上蓋(6b)を載置する。本発明を漏斗として使用する時は、図14に示すように受皿(1)を開き、受皿(1)の底部を水槽(5)の角端に載置し、開口部(3)を底端として本体(2)が前方に傾斜した状態とする。給餌の際は受皿(1)に乾燥粒状餌を投入することにより、開口部(3)から乾燥粒状餌が水槽(5)内に流れ落ちる。このとき、受皿(1)が餌投入口(7)と比較し大きな面積で乾燥粒状餌を受けるため、水槽(5)外に乾燥粒状餌がこぼれ落ちにくくなる。本発明を蓋として使用するときは、図15に示すように、本体(2)を表裏反転させ受皿(1)が上蓋(6b)の上に伏せる状態にする。このとき蓋部(4)は餌投入口(7)を塞ぎ、生体の動きによる餌投入口(7)からの水(10)の飛沫飛び出しを防ぐ構造となる。またこのとき、受皿(1)内面は直接水槽(5)内部に面することがなく、結露による水滴(11)や生体の動きによる水(10)の飛沫が付着せず常に乾燥し、また埃などもたまりにくい構造となっている。
【符号の説明】
【0012】
1 受皿
2 本体
3 開口部
4 蓋部
5 水槽
6 上蓋
7 餌投入口
8 係止片
9 隙間
10 水
11 水滴
12 覆片
13 蝶番
14 水平軸
15 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
擂鉢状の受皿からなる本体の底端に開口部を設け、本体の一端に、板片状の蓋部を延設した構造を特徴とする反転式蓋兼漏斗。
【請求項2】
擂鉢状の受皿からなる本体の、一方に偏った底端に開口部を設け、開口部を中心とし受皿と対向した一方に板片状の蓋部を延設した構造を特徴とする反転式蓋兼漏斗。
【請求項3】
受皿の口縁の前方辺上端から後方に向けて係止片を延設し、受皿底端の開口部の口縁から前方に向けて係止片を延設する構造を特徴とする、請求項1又は請求項2の反転式蓋兼漏斗。
【請求項4】
本体と、本体より延設された蓋部との境界部に、回動するクリップを蝶番を介し設けた事を特徴とする請求項1又は請求項2の反転式蓋兼漏斗。
【請求項5】
本体と、本体より延設された蓋部との境界部に、回動する平板状の蓋を蝶番を介し設けた事を特徴とする、請求項1又は請求項2の反転式蓋兼漏斗。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−93607(P2011−93607A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265625(P2009−265625)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(506257607)
【Fターム(参考)】