説明

収穫機

【課題】土落し用空間部に小石が挟まることを防止できるとともに、土落し用空間部から土を適切に落すことができる収穫機を提供する。
【解決手段】収穫機1は、農作物を搬送する搬送手段20と、搬送手段20からの農作物を収容可能な収容体17を載置する載置台18とを備える。搬送手段20は、第1ベルトコンベヤ91および第2ベルトコンベヤ92を有する。第1ベルトコンベヤ91の搬送終端部と第2ベルトコンベヤ92の搬送始端部との間には土落し用空間部93を形成する。土落し用空間部93内には棒状部材94を配設する。棒状部材94は、土落し用空間部93の水平方向中央より第1ベルトコンベヤ91側寄りに位置しかつ土落し用空間部93の上下方向中央より上方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土落し用空間部に小石が挟まることを防止できるとともに、土落し用空間部から土を適切に落すことができる収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られている。
【0003】
この従来の収穫機は、農作物を圃場から収穫して搬送する搬送手段と、搬送手段からの農作物が収容される収容体が載置された載置台とを備えている。また、搬送手段は、農作物を搬送する第1搬送コンベヤと、第1搬送コンベヤからの農作物を受け入れこの受け入れた農作物を搬送する第2搬送コンベヤと、第1搬送コンベヤの搬送終端部と第2搬送コンベヤの搬送始端部との間の空間部に配設された昇降調整可能なガイドローラとを有している。
【特許文献1】特開平11−196640号公報(図7等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の収穫機では、ガイドローラの高さ位置によっては、第1搬送コンベヤの搬送終端部と第2搬送コンベヤの搬送始端部との間の空間部に小石が挟まる不具合や、第1搬送コンベヤの搬送終端部と第2搬送コンベヤの搬送始端部との間の空間部がガイドローラにて略閉塞された状態となってその空間部から土が落ちにくくなる不具合等が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土落し用空間部に小石が挟まることを防止できるとともに、土落し用空間部から土を適切に落すことができる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の収穫機は、農作物を搬送する搬送手段と、この搬送手段からの農作物が収容される収容体が載置された載置台とを備え、前記搬送手段は、農作物を搬送する第1搬送コンベヤと、この第1搬送コンベヤからの農作物を受け入れ、この受け入れた農作物を搬送する第2搬送コンベヤと、前記第1搬送コンベヤの搬送終端部と前記第2搬送コンベヤの搬送始端部との間に形成され、前記第1搬送コンベヤにて農作物とともに搬送されてきた土を落すための土落し用空間部と、この土落し用空間部内に配設され、前記土落し用空間部の水平方向中央より前記第1搬送コンベヤ側寄りに位置しかつ前記土落し用空間部の上下方向中央より上方に位置する棒状部材とを有するものである。
【0007】
請求項2記載の収穫機は、請求項1記載の収穫機において、第1搬送コンベヤは、無端状の搬送ベルトを有し、前記搬送ベルトの搬送終端部と棒状部材との間には、指の入らない小さな隙間が形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、土落し用空間部内に配設され土落し用空間部の水平方向中央より第1搬送コンベヤ側寄りに位置しかつ土落し用空間部の上下方向中央より上方に位置する棒状部材を有するため、土落し用空間部に小石が挟まることを防止できるとともに、土落し用空間部から土を適切に落すことができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、第1搬送コンベヤの搬送ベルトの搬送終端部と棒状部材との間には指の入らない小さな隙間が形成されているため、安全性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の収穫機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1および図2において、1は収穫機で、この収穫機1は、圃場に生育した根菜類等の農作物A、すなわち例えばさつまいもを収穫する自走式収穫機である。なお、収穫対象物である農作物Aは、圃場の畝の土中では、複数個(例えば4〜6個)ずつ主茎部である茎部(蔓等)Bで繋がった状態となっている。
【0012】
収穫機1は、前後方向長手状の機体2を備え、機体2の後側下部にはクローラ3が設けられ、クローラ3はエンジン4から出力される動力に基づいて駆動する。
【0013】
機体2の前側には、茎部Bで繋がった農作物Aを圃場の畝の土中から収穫して斜め後上方に向けて搬送する掘取コンベヤ等の第1搬送手段6と、茎部Bを農作物Aから分離除去してその茎部Bを圃場上に落下させることにより農作物Aをばらす、すなわち例えば圃場から収穫された複数個の農作物Aの略全部を1個ずつばらばらにする茎部分離手段7と、茎部分離手段7にてばらされた農作物Aを斜め後上方に向けて持上搬送する持上コンベヤ等の第2搬送手段8とが設けられている。
【0014】
また、機体2の前端部には先金等の掘取刃11が設けられている。さらに、機体2から取付アーム12が前方に向って突出し、取付アーム12の前端部にはゲージ輪13が取り付けられている。また、第1搬送手段6の上方には、茎部Bで繋がった農作物Aをゴム板等の弾性板15で掻き込んで後方に送る掻込コンベヤ等の掻込手段14が配設されている。
【0015】
さらに、機体2の後側には、第2搬送手段8の搬送終端部から搬出される農作物Aを受け入れこの受け入れた農作物Aを後方に向けて水平に搬送する選別作業用の選別コンベヤ等の第3搬送手段16と、上方に向って開口する柔軟な袋状のフレキシブルコンテナ等の収容袋等の収容体17が載置された載置台18とが設けられている。載置台18上の収容体17内には、第3搬送手段16の搬送終端部から搬出される農作物Aが落下して収容される。また、機体2には、作業用ステップ19が設けられており、作業用ステップ19上には、第3搬送手段16にて搬送中の農作物A等に対して選別作業をする作業者が乗る。
【0016】
なお、第1搬送手段6、第2搬送手段8および第3搬送手段16にて、農作物Aを圃場から収穫して機体2の後端位置まで搬送して収容体17の上方に向けて搬出する搬送手段20が構成されている。
【0017】
ここで、第1搬送手段6は、所定方向に回行して茎部Bで繋がった農作物Aを圃場の畝の土中から収穫して搬送するとともに搬送途中で土等を間隙21から圃場上に落下させるロッド式の無端状の搬送体22を有している。搬送体22の搬送始端部は、機体2に回転可能に設けられた従動回転体23に巻き掛けられ、搬送体22の搬送終端部は、機体2に回転可能に設けられ搬送体22を所定方向に回行させる駆動回転体24に巻き掛けられている。駆動回転体24は、エンジン4から出力される動力をチェーン25等からなる動力伝達手段を介して受けて駆動回転する。
【0018】
搬送体22は、互いに離間対向する左右一対の無端部材26と、両無端部材26に架設され両無端部材26とともに回行して農作物Aを圃場の畝の土中から収穫して搬送する左右方向長手状の複数本のロッド27とを有している。隣り合うロッド27間に間隙21が形成され、この間隙21を通って土等が圃場上に落下する。
【0019】
駆動回転体24は、図3および図4に示されるように、左右方向の軸部材31と、軸部材31の外周側に固着され軸部材31の軸方向に間隔をおいて並んだ複数のスプロケット32とを有し、これら複数のスプロケット32に搬送体22の搬送終端部が巻き掛けられている。各スプロケット32は、外周側に周方向に間隔をおいて並んだ山形状の複数の凸部33を有している。そして、隣り合う凸部33間には、搬送体22の搬送終端部に位置するロッド27が嵌まり込んでいる。すなわち、図3から明らかなように、隣り合うロッド27間の間隙21にスプロケット32の凸部33が挿通され、凸部33の先端部33aが間隙21からスプロケット32の径方向外方に突出している。
【0020】
第2搬送手段8は、所定方向に回行して茎部分離手段7にてばらばらにされた農作物Aを持上搬送する無端状の搬送体41を有している。搬送体41の搬送始端部は、機体2の下部に回転可能に設けられた従動回転体42に巻き掛けられ、搬送体41の搬送終端部は、機体2の上部に回転可能に設けられ搬送体41を所定方向に回行させる駆動回転体43に巻き掛けられている。駆動回転体43は、エンジン4から出力される動力に基づいて駆動回転する。
【0021】
搬送体41は、互いに離間対向する左右一対の無端部材44と、両無端部材44に架設された左右方向長手状の複数本の棒状部材45と、これら複数本の棒状部材45の中から選択された所定の棒状部材45に固着され農作物Aを持上搬送する爪部材46とを有している。
【0022】
茎部分離手段7は、第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部の下方に回転可能に配設され駆動回転時に第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部とともに茎部Bを挟持して農作物Aから引き抜くように分離するゴムローラ等の駆動ローラ体51と、第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部の上方に上下回転可能に配設され茎部Bで繋がった農作物Aを押えながら駆動ローラ体51側に向けて案内する押えバー等の押え体52とを有している。
【0023】
また、茎部分離手段7は、駆動ローラ体51の軸方向両端部を回転可能に支持する上下回動可能な回動アーム53と、回動アーム53を駆動ローラ体51が上動する方向である一方向(図2中、a方向)に付勢する弾性変形可能な付勢体であるコイルばね54と、回動アーム53との当接により回動アーム53の一方向への回動を規制し駆動ローラ体51の外周と第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部との間の距離を設定する設定体である調整ボルト55とを有し、調整ボルト55にて設定される距離が調整ボルト55の回動操作により調整可能となっている。
【0024】
駆動ローラ体51は、駆動回転体24の下方にこの駆動回転体24と対向して配設され、エンジン4から出力される動力をチェーン25等からなる動力伝達手段を介して受けて駆動回転体24の回転方向とは反対の方向に駆動回転する。
【0025】
また、駆動ローラ体51は、左右方向の軸部材57と、軸部材57の外周側に固着された弾性変形可能な略円筒状のゴム製或いは樹脂製の等のローラ部材58とを有している。ローラ部材58の外周部のうち駆動回転体24の各スプロケット32と対向する部分には、各スプロケット32を通過させる略円形環状の溝部59が形成されている。そして、図3に示すように、駆動ローラ体51と第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部との間の距離が最小値に設定された状態時には、駆動回転体24のスプロケット32の凸部33の先端部33aは駆動ローラ体51の溝部59内に入り込んでこの溝部59内を通過し、スプロケット32と駆動ローラ体51とは接触しないようになっている。
【0026】
回動アーム53は、前後方向長手状に形成され、前後方向略中央部が機体2に固着された左右方向の支軸61に回動可能に取り付けられている。そして、回動アーム53の後端部にて、駆動ローラ体51が回転可能に支持されている。また、回動アーム53の前端部には、機体2に固着した突出板62の孔63に摺動可能に挿通された連結ロッド64の上端部が回動可能に連結されている。連結ロッド64の下端部にはばね当接板65が固着され、ばね当接板65と突出板62との間にコイルばね54が圧縮された状態で配設され、コイルばね54の一端部が突出板62に当接し、コイルばね54の他端部がばね当接板65に当接している。そして、回動アーム53は、コイルばね54にて連結ロッド64およびばね当接板65を介して常に一方向(図2中、a方向)に付勢され、茎部Bの挟持時にコイルばね54の付勢力に抗して一方向とは反対の他方向に若干回動する。
【0027】
調整ボルト55は、軸部66および頭部67を有し、軸部66が機体2に固着されたナット68に螺合され、頭部67が回動アーム53の前側下部に当接している。
【0028】
押え体52は、図2に示されるように、第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部の上方で、前端部を中心として後端部が上下動するように上下回動可能に配設されている。そして、押え体52は、この押え体52に茎部Bで繋がった農作物Aを所定の押圧力をもって押えさせるための付勢体であるコイルばね71にて後端部が下動する方向に常に付勢され、第1搬送手段6の搬送体22にて搬送されてくる農作物Aとの接触によりコイルばね71の付勢力に抗して後端部が上動する方向に回動する。すなわち、農作物Aは、押え体52にて搬送体22の搬送終端部に押え付けられたまま、駆動ローラ体51側に案内される。
【0029】
また、押え体52は、例えば前後方向長手状の複数本(例えば4本)の棒状部材72にて構成されている。各棒状部材72の前端部の取付部77が機体2に固着された左右方向の支軸73に回動可能に取り付けられている。支軸73のうち隣り合う棒状部材72の取付部77間の部分には、略円筒状のカラー等のスペーサ(図示せず)が取り付けられている。そして、スペーサの大きさの変更等により、棒状部材72の本数を変えることが可能である。また、各棒状部材72は、直線状部75と、この直線状部75の後端に連設された略円弧状の円弧状部76とを有している。すなわち、各棒状部材72は、後端部に円弧状部76を有し、この円弧状部76は、スプロケット32の回転中心を略中心とする略円弧状に形成されている。そして、棒状部材72の円弧状部76は、農作物Aとの非接触時には搬送体22の搬送終端部と近接対向し、棒状部材72の後端は駆動ローラ体51の上端と略同じ高さに位置する(図2参照)。
【0030】
さらに、棒状部材72の前端部には、機体2に固着された支持板78の孔79に摺動可能に挿通された連結ロッド80の下端部が回動可能に連結されている。連結ロッド80には複数の孔80aが形成され、これら複数の孔80aの中から選択された1つの孔80aにピン70が挿通されている。そして、支持板78とピン70との間にコイルばね71が圧縮された状態で配設され、コイルばね71の一端部が支持板78に当接し、コイルばね71の他端部がピン70に当接している。ピン70を挿通する孔80aの変更によりコイルばね71の付勢力を調整可能である。
【0031】
また一方、第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部と第2搬送手段8の搬送体41の搬送始端部との間には、茎部分離手段7にてばらばらにされた複数の農作物Aを下方から支持して一時的に滞留させる滞留手段である滞留板81が配設されている。すなわち、駆動ローラ体51の後端と第2搬送手段8の搬送体41の搬送始端部に位置する爪部材46の前端との間には空間部82があり、この空間部82にステップ部である滞留板81が前高後低の傾斜状に配設されている。
【0032】
滞留板81は、第2搬送手段8の搬送体41の搬送始端部を覆う側面視略円弧状の覆い部であるガード83の前端部から斜め前上方に向って傾斜状に突出している。ガード83には、土等を圃場に落下させるための間隙が形成されている。
【0033】
また、滞留板81の上面には、例えばゴム製或いは樹脂製のクッション板84がナット85にボルト(図示せず)を螺合して取り付けられ、このクッション板84にて滞留板81の上面の略全体が覆われている。クッション板84の前端側は滞留板81より前方に突出し、このクッション板84の前端は駆動ローラ体51に近接して位置する。
【0034】
また一方、図1および図4に示すように、搬送手段20の第3搬送手段16は、農作物Aを後方に向けて搬送する略水平状の第1搬送コンベヤである第1ベルトコンベヤ91と、第1ベルトコンベヤ91の後方にこの第1ベルトコンベヤ91と同じ高さ位置に配設され第1ベルトコンベヤ91からの農作物Aを受け入れこの受け入れた農作物Aを後方に向けて搬送する略水平状の第2搬送コンベヤである第2ベルトコンベヤ92とを有している。すなわち第3搬送手段16は、前後に並んだ2つの分割コンベヤであるベルトコンベヤ91,92にて構成されている。
【0035】
そして、第1ベルトコンベヤ91の略円弧状の搬送終端部と第2ベルトコンベヤ92の略円弧状の搬送始端部との間には、第1ベルトコンベヤ91にて農作物Aとともに搬送されてきた土を落すための土落し用空間部93が形成されており、この土落し用空間部93内には左右方向長手状で断面略円形状の1本の丸棒である棒状部材94が土落し用空間部93の全幅にわたって配設されている。
【0036】
棒状部材94は、土落し用空間部93の水平方向中央である前後方向中央より第1ベルトコンベヤ91側寄りに位置し、かつ、土落し用空間部93の上下方向中央より上方に位置している。すなわち、棒状部材94は、土落し用空間部93のうちこの土落し用空間部93の中央位置より前方かつ上方の領域内に水平状に位置している。
【0037】
第1ベルトコンベヤ91は、所定方向に回行して農作物Aを後方に搬送する無端状の搬送ベルト96を有している。搬送ベルト96の搬送始端部は機体2に軸97を中心として回転可能に設けられた略円筒状の従動回転体98に巻き掛けられ、搬送ベルト96の搬送終端部は機体2に軸99を中心として回転可能に設けられ搬送ベルト96を所定方向に回行させる略円筒状の駆動回転体100に巻き掛けられている。駆動回転体100は、エンジン4から出力される動力を動力伝達手段(図示せず)を介して受けて駆動回転する。また、搬送ベルト96の上側の往路面部101は支持部材102にて下方から支持され、この往路面部101の上面が搬送面101aとなっている。
【0038】
また、第2ベルトコンベヤ92は、所定方向に回行して農作物Aを後方に搬送する無端状の搬送ベルト106を有している。搬送ベルト106の搬送始端部は機体2に軸107を中心として回転可能に設けられた略円筒状の従動回転体108に巻き掛けられ、搬送ベルト106の搬送終端部は機体2に軸109を中心として回転可能に設けられ搬送ベルト106を所定方向に回行させる略円筒状の駆動回転体110に巻き掛けられている。駆動回転体110は、エンジン4から出力される動力を動力伝達手段(図示せず)を介して受けて駆動回転する。また、搬送ベルト106の上側の往路面部111は支持部材112にて下方から支持され、この往路面部111の上面が搬送面111aとなっている。
【0039】
さらに、図4に示されるように、棒状部材94は第1ベルトコンベヤ91の搬送ベルト96の搬送面101aと略同じ高さ位置に配設され、この棒状部材94と搬送ベルト96の略円弧状の搬送終端部との間には、作業者の指の入らない小さな隙間113が形成されている。
【0040】
なお、棒状部材94は、図5に示す斜線が施された領域R内に配設されるが、好ましくは、第1ベルトコンベヤ91の搬送面101aと略同じ高さ位置に配設する。この領域Rは、側面視で、土落し用空間部93のうちこの土落し用空間部93の中央位置Pより前方かつ上方の領域である。中央位置Pは、軸99と軸107と結んだ直線X上の位置であって、両軸99,107から等距離の位置である。また、直線Xに対して直交する直線Yは中央位置Pを通り、側面視で直線Xと直線Yと搬送ベルト96の搬送終端部の円弧状の外周線と搬送ベルト96の搬送面101aを延長した直線X1とで囲まれた部分が領域Rとなっている。なお、第1ベルトコンベヤ91の搬送面101aと第2ベルトコンベヤ91の搬送面111aとは同じ高さでなくてもよく、例えば搬送面111aの高さが搬送面101aに比べて若干低くてもよい。
【0041】
次に、上記収穫機1の作用等を説明する。
【0042】
クローラ3の駆動により収穫機1が圃場上を前方に走行すると、茎部Bで繋がった農作物Aは、掘取刃11にて掘り上げられた後、第1搬送手段6の搬送体22および掻込手段14にて圃場から収穫されて搬送される。この搬送途中で、土、小石等の雑物は、ロッド27間に間隙21から圃場上に落下する。
【0043】
そして、茎部Bで繋がった農作物Aは、第1搬送手段6の搬送終端付近で、茎部分離手段7の押え体52と接触し、この押え体52にて押えられながら駆動ローラ体51側に向けて誘導案内される。
【0044】
すると、茎部Bは、駆動回行する搬送体22の搬送終端部のロッド27と駆動回転する駆動ローラ体51のローラ部材58とにて挟持されて引っ張られることにより、農作物Aから分離される。こうして農作物Aから引き抜かれた茎部Bは、圃場上に落下する。この際、茎部Bのほか、農作物Aの根部や、農作物Aとともに搬送されてきた草等の雑物も搬送体22の搬送終端部と駆動ローラ体51とにて挟持されて分離処理され、圃場上に落下する。
【0045】
そして、茎部Bが農作物Aから分離されると、農作物Aは1個1個ばらばらの状態になり、滞留板81上のクッション板84上に一時的に滞留する。
【0046】
続いて、ばらばらの状態の農作物Aは、第2搬送手段8の搬送体41にて持上搬送され、その後、第3搬送手段16に乗り移り、この第3搬送手段16の第1ベルトコンベヤ91および第2ベルトコンベヤ92にて水平搬送され、これら前後2つのベルトコンベヤ91,92上において作業用ステップ19に乗った作業者によって選別される。例えば傷付いた不要な農作物Aや、土塊、小石等の雑物は圃場に戻され、それ以外の農作物Aは、第2ベルトコンベヤ92の搬送終端部から搬出され、収容体17内に落下して収容される。また、第1ベルトコンベヤ91にて農作物Aとともに搬送されてきた土等は、第1ベルトコンベヤ91と第2ベルトコンベヤ92との間の土落し用空間部93から落下して圃場に戻される。
【0047】
そして、このような収穫機1によれば、土落し用空間部93内に配設され土落し用空間部93の水平方向中央より第1ベルトコンベヤ91側寄りに位置しかつ土落し用空間部93の上下方向中央より上方に位置する棒状部材94を有するため、土落し用空間部93に小石が挟まることを防止できるとともに、土落し用空間部93から土を圃場に向けて適切に落すことができる。
【0048】
すなわち例えば図6に示すように、第1ベルトコンベヤ91と第2ベルトコンベヤ92との間の土落し用空間部93に棒状部材94が配設されていない構成では、土落し用空間部93に小石Cが挟まり、ベルトコンベヤ91,92の停止や搬送ベルト96,106の損傷等の不具合が生じるおそれがあるが、図4に示すように、土落し用空間部93の所定位置に棒状部材94が配設された構成では、小石Cは棒状部材94と当接するため、小石Cには、第1ベルトコンベヤ91の搬送ベルト96から巻き込み方向の力が加わらず、第2ベルトコンベヤ92側への送り方向の力のみが加わることとなり、土落し用空間部93に小石が挟まることを確実に防止できる。
【0049】
また、第1ベルトコンベヤ91の搬送ベルト96の搬送終端部と棒状部材94との間には指の入らない小さな隙間113が形成されているため、作業用ステップ19に乗って選別作業する作業者が隙間113に指を挟むことがなく、安全性が良好である。
【0050】
さらに、駆動ローラ体51および押え体52を有する茎部分離手段7にて茎部Bが農作物Aから分離されて圃場に落下し、その分離除去された茎部Bが第2搬送手段8にて搬送されることがないため、作業者が手作業で農作物Aと茎部Bとを選別して茎部Bを除去する必要がなく、効率よく収穫作業ができる。
【0051】
また、駆動ローラ体51と第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部との間の距離が調整ボルト55の操作により調整可能となっているため、例えば太さ等の異なる茎部Bに適切に対応できる。
【0052】
さらに、駆動ローラ体51の外周部のうち駆動回転体24のスプロケット32と対向する部分には、スプロケット32を通過させる環状の溝部59が形成されているため、駆動ローラ体51とスプロケット32との干渉を防止できる。
【0053】
また、押え体52は前端部を中心として後端部が上下動するように上下回動可能に配設され、茎部分離手段7は押え体52をこの押え体52の後端部が下動する方向に付勢するコイルばね71を有するため、農作物Aの大きさ等に拘わらず、茎部Bで繋がった農作物Aを駆動ローラ体51側に向けて適切に案内できる。
【0054】
さらに、第1搬送手段6の搬送始端部と第2搬送手段8の搬送始端部との間に配設され農作物Aを滞留させる滞留板81を備えるため、駆動ローラ体51と第1搬送手段6の搬送体22の搬送終端部とで茎部Bを挟持して農作物Aから適切に分離できる。
【0055】
なお、収穫機1は、クローラ3を有する自走式の構成には限定されず、例えば走行車であるトラクタの後部に連結する牽引式の構成でもよい。
【0056】
また、農作物Aは、さつまいもには限定されず、じゃがいも等でもよい。
【0057】
さらに、棒状部材94は、土落し用空間部93のうちこの土落し用空間部93の中央位置より前方かつ上方の領域内において位置調整可能であってもよい。
【0058】
また、第2ベルトコンベヤ92の前後位置が調整可能な構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の側面図である。
【図2】同上収穫機の部分側面図である。
【図3】同上収穫機のスプロケットが駆動ローラ体の溝部内に入り込んだ状態の説明図である。
【図4】同上収穫機の要部側面図である。
【図5】棒状部材を配設される領域を示す説明図である。
【図6】小石が土落し用空間部に挟まった状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 収穫機
17 収容体
18 載置台
20 搬送手段
91 第1搬送コンベヤである第1ベルトコンベヤ
92 第2搬送コンベヤである第2ベルトコンベヤ
93 土落し用空間部
94 棒状部材
96 搬送ベルト
113 隙間
A 農作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を搬送する搬送手段と、
この搬送手段からの農作物が収容される収容体が載置された載置台とを備え、
前記搬送手段は、
農作物を搬送する第1搬送コンベヤと、
この第1搬送コンベヤからの農作物を受け入れ、この受け入れた農作物を搬送する第2搬送コンベヤと、
前記第1搬送コンベヤの搬送終端部と前記第2搬送コンベヤの搬送始端部との間に形成され、前記第1搬送コンベヤにて農作物とともに搬送されてきた土を落すための土落し用空間部と、
この土落し用空間部内に配設され、前記土落し用空間部の水平方向中央より前記第1搬送コンベヤ側寄りに位置しかつ前記土落し用空間部の上下方向中央より上方に位置する棒状部材とを有する
ことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
第1搬送コンベヤは、無端状の搬送ベルトを有し、
前記搬送ベルトの搬送終端部と棒状部材との間には、指の入らない小さな隙間が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−296937(P2009−296937A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154805(P2008−154805)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】