説明

収穫機

【課題】容易に清掃作業および点検作業ができる収穫機を提供する。
【解決手段】収穫機1は、自走式の収穫機本体3を備え、この収穫機本体3には、圃場の収穫物Wを取り入れて搬送する搬送手段4を設ける。搬送手段4の選別搬送部12は、互いに離間対向する対をなす側板31と、両側板31間に回転可能に設けた従動軸体および駆動軸体とを有する。また、選別搬送部12は、両軸体間に掛け渡した搬送ベルト35と、側板31の軸体の近傍で搬送ベルト35の一部と対向する部分に形成した点検清掃用開口と、点検清掃用開口を開閉する透明な開閉蓋51,52とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に清掃作業および点検作業ができる収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば圃場に生育したさつまいも、じゃがいも等の根菜類(農作物)を収穫する収穫機として、下記の特許文献1に記載された自走式の収穫機が知られている。この従来の収穫機は、クローラ部を下部に有する自走式の収穫機本体と、この収穫機本体に設けられ圃場の収穫物を取り入れて搬送する搬送手段と、この搬送手段からの収穫物を収容するコンテナが載置されたコンテナ載置台と、このコンテナ載置台を昇降させる昇降手段とを備えている。
【0003】
また、搬送手段は、互いに離間対向する対をなす側板と、これら両側板間に回転可能に設けられた駆動軸体および従動軸体と、これら駆動軸体および従動軸体間に掛け渡され所定方向へ回転して収穫物を搬送する無端搬送体とを有している。
【特許文献1】特開2004−257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の収穫機では、無端搬送体と駆動軸体との間、無端搬送体と従動軸体との間等に、土塊、茎、根等が詰まった場合に、それら土塊等を取り除く清掃作業がやりずらく、また日常の点検作業もやりずらいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、容易に清掃作業および点検作業ができる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の収穫機は、収穫機本体と、この収穫機本体に設けられ、圃場の収穫物を取り入れて搬送する搬送手段とを備え、前記搬送手段は、互いに離間対向する対をなす側板と、これら両側板間に回転可能に設けられた回転軸体と、この回転軸体に一部が巻き掛けられ、所定方向へ回転して収穫物を搬送する無端帯状の搬送ベルトと、前記側板のうち前記回転軸体の近傍で前記搬送ベルトの一部と対向する部分に形成された点検清掃用開口と、この点検清掃用開口を開閉する透明な開閉蓋とを有するものである。
【0007】
請求項2記載の収穫機は、請求項1記載の収穫機において、点検清掃用開口は、少なくとも作業者の手が入る大きさに形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、搬送ベルトと回転軸体との間等に土塊、茎、根等が詰まった場合でも、点検清掃用開口を利用してそれら土塊等を取り除くことができるため、容易に清掃作業ができ、また、点検清掃用開口を開閉する開閉蓋が透明であることから、点検清掃用開口が開閉蓋にて閉じられた状態でも、無端帯状の搬送ベルトと回転軸体との間等に土塊、茎、根等が詰まっていないかどうかを確認できるため、日常の点検作業も容易にできる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、点検清掃用開口が少なくとも作業者の手が入る大きさに形成されているため、搬送ベルトと回転軸体との間等に土塊、茎、根等が詰まった場合に、作業者が手を点検清掃用開口に入れてそれら土塊等を容易かつ確実に取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の収穫機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1において、1は収穫機で、この収穫機1は、圃場に生育した収穫物W、すなわち例えば圃場の土中で生育したさつまいも、じゃがいも等の根菜類を収穫する自走式収穫機である。
【0012】
この収穫機1は、図1に示されるように、下部にクローラ部2を有する自走式の収穫機本体3と、この収穫機本体3に設けられ圃場の収穫物Wを掘り取りにより取り入れて後方に向けて搬送する搬送手段4とを備えている。
【0013】
収穫機本体3は、機体6を有し、この機体6の下部に圃場上を走行可能なクローラ部2が設けられている。また、機体6には、圃場の収穫物Wを掘り取って後方に向けて搬送する搬送手段4と、この搬送手段4からの収穫物Wを収容する上面開口状のコンテナ7が載置されたコンテナ載置台8とが設けられている。さらに、機体6には、複数の操作レバー9等を有する操作手段10が設けられている。
【0014】
そして、搬送手段4は、圃場の土中で生育した収穫物Wを土中から掘り取って斜め後上方に向けて搬送する掘取搬送部(第1コンベヤ)11と、この掘取搬送部11の搬送終端部から搬出される収穫物Wを受け入れこの受け入れた収穫物Wを後方に向けて水平に搬送する選別搬送部(第2コンベヤ)12と、この選別搬送部12の搬送終端部から搬出される収穫物Wを受け入れこの受け入れた収穫物Wをコンテナ7の上面開口7aに向けて滑落させるシュート部13とを有している。なお、機体に乗った作業者は収穫物Wが選別搬送部12上を移動する間に収穫物Wの選別作業を行う。
【0015】
掘取搬送部11は、互いに離間対向する対をなす側板21を有し、この側板21の下端に先金等の掘取刃22が設けられている。また、両側板21の下端部間には従動ローラ等の従動軸体23が回転可能に設けられ、両側板21の上端部間には駆動ローラ等の駆動軸体24が回転可能に設けられている。これら駆動軸体24および従動軸体23間には、所定方向へ回転して収穫物Wを斜め後上方に向けて搬送する例えばゴム製で無端帯状の搬送ベルト25が掛け渡されている。さらに、側板21から前方に向って突出した突出アーム26の先端にはゲージ輪27が回転可能に設けられている。
【0016】
選別搬送部12は、図2および図3にも示すように、互いに離間対向する左右一対のコンベヤフレーム等の側板31を有し、この各側板31は前後方向にやや長手状に形成され、前側が側面視略三角形状に形成されている。両側板31の前端部間には左右水平方向の軸線X1を中心として従動回転する従動ローラ等の従動軸体(回転軸体)32が回転可能に設けられ、両側板31の後端部間には図示しない駆動手段からの駆動力に基づいて左右水平方向の軸線X2を中心として駆動回転する駆動ローラ等の駆動軸体(回転軸体)33が回転可能に設けられている。
【0017】
そして、これら互いに離間対向する前後一対の従動軸体32および駆動軸体33間には、これら軸体32,33の回転に応じて所定方向へ回転して収穫物Wを上面の搬送面34に載せて搬送する無端帯状の搬送ベルト35が所望のテンションがかかった状態に掛け渡されている。すなわち例えばゴム製の搬送ベルト35の前端側が従動軸体32に巻き掛けられ、搬送ベルト35の後端側が駆動軸体33に巻き掛けられている。
【0018】
なお、搬送ベルト35の幅寸法は、互いに離間対向する左右一対の側板31間の離間距離より少し小さく、搬送ベルト35の幅方向端部と側板31の内面との間に間隙(図示せず)がある。
【0019】
また、左右一対の側板31のうちのいずれか一方、例えば左側の側板31には、側方に向って開口する複数、例えば2つの点検清掃用開口(窓)41,42がその側板31の板厚方向に貫通して形成されている。すなわち例えば左側の側板31の前部のうち従動軸体32の近傍でかつその従動軸体32より後方にずれて搬送ベルト35の一部、すなわち例えば少なくとも復路面部35bの一部と対向する部分に点検清掃用開口41が形成され、また左側の側板31の後部のうち駆動軸体33の近傍でかつその駆動軸体33より前方にずれて搬送ベルト35の一部、すなわち例えば少なくとも復路面部35bの一部と対向する部分に点検清掃用開口42が形成されている。
【0020】
各点検清掃用開口41,42は、いずれも比較的大きな略矩形状で、少なくとも作業者の1つの手が入る大きさに形成されている。各点検清掃用開口41,42の上下方向寸法は、搬送ベルト35の往路面部35aおよび復路面部35b間の離間距離より少し大きく、図3に示されるように側面視で点検清掃用開口41,42から往路面部35aおよび復路面部35bが見えるようになっている。なお、図示しないが側面視で点検清掃用開口41,42から復路面部35bの一部のみが見える構成でもよい。
【0021】
さらに、左側の側板31のうち点検清掃用開口41,42の上辺中央部に臨んだ部分には略三角形状の凸状部43,44がそれぞれ形成され、凸状部43,44にはねじ孔45,46がそれぞれ形成されている。そして、図1および図2に示すように、固定具であるノブボルト47,48が凸状部43,44のねじ孔45,46に螺合されることにより板状で透明な開閉蓋51,52が側板31に脱着可能に取り付けられ、この開閉蓋51,52にて点検清掃用開口41,42の全体が閉じられる。各開閉蓋51,52は、いずれも透明な樹脂材料等にて矩形板状に形成され、上端部の前後方向中央にボルト挿通用孔部(図示せず)が形成されている。
【0022】
また、図3に示すように、ノブボルト47,48を緩めてこのノブボルト47,48および開閉蓋51,52を側板31から取り外すと、点検清掃用開口41,42が開き、この点検清掃用開口41,42を介して搬送ベルト35の往路面部35aおよび復路面部35bの一部、つまり点検清掃用開口41,42と対向する部分が露出する。なお、側板31の前部に脱着可能に取り付けられる開閉蓋51が点検清掃用開口41に対応した矩形板状に形成され、側板2の後部に脱着可能に取り付けられる開閉蓋52が点検清掃用開口42に対応した矩形板状に形成されている。
【0023】
次に、上記収穫機1の作用等を説明する。
【0024】
クローラ部2の駆動により収穫機本体3が圃場上を進行方向前方に走行すると、圃場の土中の収穫物Wは掘取搬送部11の掘取刃22にて掘り上げられ、この掘り上げられた収穫物Wは搬送ベルト25にて斜め後上方に向って搬送される。
【0025】
続いて、その収穫物Wは、掘取搬送部11の搬送ベルト25上から選別搬送部12の搬送ベルト35上に乗り移り、この搬送ベルト35にて後方に向って水平搬送され、この搬送ベルト35上において選別される。例えば傷付いた不要な収穫物Wは圃場に戻され、それ以外の収穫物Wは搬送ベルト35上からシュート部13上を経てコンテナ7内に落下して収容される。
【0026】
ここで、例えば搬送ベルト35と従動軸体32との間、および搬送ベルト35と駆動軸体33との間に、土塊、茎、根等が収穫物Wとともに搬送されて搬送ベルト35および側板31間の間隙から入り込んで詰まった場合には、作業者は、図3に示すように、ノブボルト47,48を緩めてこのノブボルト47,48および開閉蓋51,52を側板31から取り外すことにより、点検清掃用開口41,42を開口させる。そして、作業者は、その開口した点検清掃用開口41,42に手を入れて、詰まった土塊、茎、根等を点検清掃用開口41,42から外部に取り出して清掃作業を行う。
【0027】
清掃作業が完了すると、作業者は、図2に示すように、ノブボルト47,48を側板13の凸状部43,44のねじ孔45,46にねじ込んで透明な開閉蓋51,52を側板31に取り付けて、この点検清掃用開口41,42を閉じる。つまり、開閉蓋51,52で点検清掃用開口41,42を覆う。しかし、開閉蓋51,52は透明であるため、作業者は、点検清掃用開口41,42から、搬送ベルト35と従動軸体32との間の様子や、搬送ベルト35と駆動軸体33との間の様子、搬送ベルト35の往路面部35aおよび復路面部35b間の様子等を見れる。
【0028】
このように収穫機1によれば、搬送ベルト35と従動軸体32との間、および搬送ベルト35と駆動軸体33との間に土塊、茎、根等が詰まった場合でも、開閉蓋51,52を取り外して開いた点検清掃用開口41,42を利用してそれら土塊等を取り除くことができるため、容易に清掃作業ができる。
【0029】
また、点検清掃用開口41,42を開閉する開閉蓋51,52が透明であることから、点検清掃用開口41,42が開閉蓋51,52にて閉じられた状態でも、所定幅を有する無端帯状の搬送ベルト35と従動軸体32との間等に土塊、茎、根等が詰まっていないかどうかを一見して確認できるため、日常の点検作業も容易であり、例えば土詰まり等が原因でテンションがかかり過ぎて搬送ベルト35の寿命が短くなる等の不具合を防止できる。
【0030】
しかも、点検清掃用開口41,42が少なくとも作業者の手が入る大きさに形成されているため、搬送ベルト35と従動軸体32との間等に土塊、茎、根等が詰まった場合に、作業者が手を点検清掃用開口41,42に入れてそれら土塊等を容易かつ確実に取り除くことができる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、搬送手段4の選別搬送部12の側板31における従動軸体32および駆動軸体33の近傍に点検清掃用開口41,42を形成した構成について説明したが、例えば側板31の従動軸体32の近傍のみに点検清掃用開口41を形成した構成、側板31の駆動軸体33の近傍のみに点検清掃用開口42を形成した構成等でもよい。
【0032】
また、例えば搬送手段4の掘取搬送部11の側板21における従動軸体23および駆動軸体24の近傍に点検清掃用開口を形成した構成、従動軸体23の近傍のみに点検清掃用開口を形成した構成、駆動軸体24の近傍のみに点検清掃用開口を形成した構成等でもよい。
【0033】
さらに、収穫機1は、クローラ部2を有する自走式の構成には限定されず、例えば走行車であるトラクタの後部に連結する牽引式の構成でもよい。
【0034】
また、開閉蓋51,52の側板31に対する脱着により点検清掃用開口41,42が開閉する構成には限定されず、例えば開閉蓋51,52の側板31に対する回動、或いはスライド移動等により点検清掃用開口が開閉するようにしてもよい。
【0035】
さらに、例えば図示しないが、複数の点検清掃用開口を同一形状にして、いずれの点検清掃用開口も開閉可能な同一構成の開閉蓋を備えるようにすることで、部品の共通化を図ることができる。
【0036】
また、左右一対の側板31中の左側の側板31のみに点検清掃用開口を回転軸体の近傍位置に形成してこの点検清掃用開口を開閉蓋で開閉する構成には限定されず、右側の側板31のみに点検清掃用開口を回転軸体の近傍位置に形成してこの点検清掃用開口を開閉蓋で開閉する構成、左右両方の側板31に点検清掃用開口を回転軸体の近傍位置に形成してこの点検清掃用開口を開閉蓋で開閉する構成等でもよい。
【0037】
さらに、収穫機1の搬送手段4は、圃場の土中の収穫物Wを掘り取りにより取り入れて搬送するものには限定されず、圃場の表面にある収穫物Wを拾い上げにより取り入れて搬送するもの等でもよい。
【0038】
また、搬送ベルト35の前端側が従動軸体32に巻き掛けられ搬送ベルト35の後端側が駆動軸体33に巻き掛けられた構成には限定されず、駆動軸体と従動軸体の位置を逆にして、搬送ベルト35の前端側が駆動軸体に巻き掛けられ搬送ベルトの後端側が従動軸体に巻き掛けられた構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の側面図である。
【図2】同上収穫機の蓋閉状態の要部側面図である。
【図3】同上収穫機の蓋開状態の要部側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 収穫機
3 収穫機本体
4 搬送手段
31 側板
32 回転軸体である従動軸体
33 回転軸体である駆動軸体
35 搬送ベルト
41,42 点検清掃用開口
51,52 開閉蓋
W 収穫物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫機本体と、
この収穫機本体に設けられ、圃場の収穫物を取り入れて搬送する搬送手段とを備え、
前記搬送手段は、
互いに離間対向する対をなす側板と、
これら両側板間に回転可能に設けられた回転軸体と、
この回転軸体に一部が巻き掛けられ、所定方向へ回転して収穫物を搬送する無端帯状の搬送ベルトと、
前記側板のうち前記回転軸体の近傍で前記搬送ベルトの一部と対向する部分に形成された点検清掃用開口と、
この点検清掃用開口を開閉する透明な開閉蓋とを有する
ことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
点検清掃用開口は、少なくとも作業者の手が入る大きさに形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate