説明

収納ケース

【課題】収納ケースが、上下や左右へ任意に隣接して連結され、高く重ねたり、複雑に隣接連結でき、複雑な機構なしに連結のための部材が突出しないで済むようにする。
【解決手段】収納ケース1は、略直方体で、高さ:奥行き:幅の寸法比が、1:1:2であり、表面を構成する全6面で突出部分が無い。出し入れ面3から直角方向へ伸びる4つの辺部に、連結ポケット25が形成される。隣接したこの連結ポケット25に、連結挿入材27が跨って挿入され、連結を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣服やその他の日用品などを収納する収納ケースの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
以上の収納ケースは、略直方体をなすことが多く、一般には使用時に、上下に重ねられたり、左右に接したりして、複数が隣接して使用される。
特許文献1には、略直方体ではないものの、上下に重ねられた収納ケースが、溝や、ポケットに部材が嵌合することで、連結する構造が開示される。
【特許文献1】米国公開特許2003/94362
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、収納ケースが、単に略直方体をなすだけでは、上下に重ねられたり、左右に接したりして、複数が隣接して使用される場合に、不安定であり、高く重ねたり、複雑に隣接させて使用することはできない。
また、前記特許文献1は、連結の方向は上下に限られ、異なる方向への連結ができない。よって、複雑に隣接させ連結して使用することはできない。また、隣接する収納ケースのポケットに嵌合する部材が、もとの収納ケースから突出しないように、その部材が出没可能になるように複雑な機構を有し、コスト高になる。
【0004】
この発明は、以上の問題点を解決するために、収納ケースが、上下や左右の異なる方向へ任意に隣接して連結され、安定して使用され、高く重ねたり、さらには複雑に隣接連結させて使用することができ、複雑な機構なしに連結のための部材が突出しないで済む収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一発明は、略直方体の収納ケースにおいて、高さ:奥行き:幅の寸法比が、1:1:2であり、表面を構成する全6面で突出部分が無く、収納物の出し入れ面は開口し、この開口に設けられる扉と、前記出し入れ面から直角方向へ伸びる4つの辺部に形成される連結ポケットと、前記収納ケースが隣接した状態で隣接した前記連結ポケットに跨って挿入されることで収納ケースの連結を行う分離した連結挿入材と、を有することを特徴とする収納ケースである。
【0006】
第二発明は、さらに、前記連結ポケットは、前記辺部を構成し直交する2面に沿って形成される袋状で断面L字状の空間と、この空間のうち前記L字状の角部に形成される挿入口部と、を有して構成され、前記連結挿入材は、前記連結ポケットを構成する前記袋状の空間のうち前記L字状の一方の辺側の空間に、略半分が挿入されることで、この収納ケースがいずれの面で隣接した状態であっても、隣接した前記連結ポケットに跨って挿入されうることを特徴とする収納ケースである。
第三発明は、さらに、前記扉は、前記開口に設けられ開口の両端部から嵌め込まれる突き合わせ式2枚のスライド扉であり、このスライド扉は、基部の縁部に沿って立ち上がる取手が形成され、突き合わせられる2枚のうち一方の先端部には、裏面に沿って突設される裏面材が設けられることを特徴とする収納ケースである。
【発明の効果】
【0007】
第一、第二、又は第三発明によれば、略直方体の収納ケースの高さ:奥行き:幅の寸法比が、1:1:2であり、表面を構成する全6面で突出部分が無いから、上下や左右の異なる方向へ任意に隣接させ、複雑に隣接でき、さらに隣接した状態でまとまった形にできる。
【0008】
また、出し入れ面から直角方向へ伸びる4つの辺部に、それぞれ連結ポケットが形成され、収納ケースが隣接した状態で、隣接したこの連結ポケットに跨って、連結挿入材が挿入されることで、収納ケースの連結を行う。この連結により、隣接する収納ケースは、安定して使用され、高く重ねたり、さらには複雑に隣接連結させて使用することができる。
【0009】
また、連結挿入材は収納ケースから物理的に分離しており、分離して扱えるので、収納ケースから突出しない。よって、複雑な機構は不要となる。
さらに、第二、又は第三発明によれば、連結ポケットの単純な構造により本発明が実施でき、収納ケースの製造コストを抑えられる。
さらに、第三発明によれば、スライド扉は、基部の縁部に沿って立ち上がる取手が形成され、この取手により開閉が容易である。また、突き合わせられる2枚のうち一方の先端部には、裏面に沿って突設される裏面材が設けられ、突き合わ部分の隙間を無くすことができ、埃の侵入などを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施形態にかかる収納ケースを、図1から図7に示す。
図1、図2に示すように、収納ケース1は、略直方体であり、6つの面と12の辺部を有する。そして、高さ:奥行き:幅の寸法比が、1:1:2である。略直方体の表面を構成する全6面で、凹み部分はあるものの、突出部分が無い。図1の上面である収納物の出し入れ面3は、開口し、この開口5に扉が設けられる。
【0011】
扉は、開口5に設けられ、開口5の両端部から嵌め込まれる突き合わせ式2枚のスライド扉7である。すなわち、開口5の図1中の上下二つの縁部には、内側に水平にスライド溝9が形成させる。このスライド溝9に、スライド扉7の上下二つの縁端部11が、嵌め込まれスライド可能になる。これらのスライド扉7には、基部の縁部に沿って直角に立ち上がる取手13が形成される。
【0012】
また、図3に示すように、突き合わせられる2枚のうち一方の先端部には、裏面に沿って突設される裏面材15が設けられる。裏面材15はゴム板からなる。
また、図4に示すように、扉が誤って開くことがないように、ストッパー17が設けられる。すなわち、L字状のストッパー部材19の先端が挿入されるように、扉には、ストッパー孔21が形成される。そして、扉が閉じた状態で、このストッパー孔21に対応する位置において、収納ケース1の内部に、ストッパー部材19の先端が挿入される挿入ポケット23が設けられる。
【0013】
また、図1、図2に示すように、出し入れ面3から直角方向へ伸びる4つの辺部に、連結ポケット25が形成される。そして、この収納ケース1が複数隣接した状態で、隣接したこの連結ポケット25に跨って、連結挿入材27が挿入される。この挿入により収納ケース1の連結を行う。連結挿入材27は、収納ケース1から物理的に分離している。形状は平たい直方体で、プラスチックなどで頑丈に作る。
【0014】
また、連結挿入材27は、収納ケース1をずらして連結する場合にも、異なる形にすることで容易に実施できる。すなわち、例えば図7(B)に示すように、形状は平たい短い二つの直方体がずれて合体した略Z状をなし、ずれた連結ポケット25へ挿入され、ずれた連結状態を固定できる。
【0015】
図5,図6に示すように、連結ポケット25は、辺部を構成し直交する2面に沿って形成される袋状で、断面L字状の空間29である。この空間29のうちL字状の角部に挿入口部31が形成される。連結挿入材27は、選択的に、任意に、L字状の一方の辺側の空間29に、略半分が挿入される。この選択的で任意であることから、収納ケース1がいずれの面で隣接した状態であっても、隣接した前記連結ポケット25に跨って、連結挿入材27が挿入され、よって、連結が可能である。
なお、使用されない連結ポケット25には、その空間を埋めるために、L字状の空間に類似の形状を有するダミーの挿入材を用いる。
【0016】
「使用状態」
この実施形態によれば、図2のように、収納ケース1を単独で、出し入れ面3を上にして使用することもできる。内部に収納物33である衣類などを入れる。
図5のように、出し入れ面3を横にし、横長にして使用することもできる。上下に重ねて使用できる。重ねられ隣接する収納ケース1は連結される。すなわち、隣接した二つの連結ポケット25に、連結挿入材27が跨って挿入され、連結を行う。その際、連結ポケット25の挿入口部31から連結挿入材27が挿入されるが、一方の連結ポケット25に、略半分が挿入され、他方の連結ポケット25に、残りの略半分が挿入される。
【0017】
図6のように、出し入れ面3を横にし、縦長にして使用することもできる。連結ポケット25がL字状なので、収納ケース1がいずれの面で隣接した状態でも、連結できる。
また、図7(A)のように、横長と縦長の使用を組み合わせて複雑に隣接連結させて、使用することもできる。その際、スライド扉7のスライド方向に、隣接する収納ケース1が存在しても、扉のスライドが可能なように、収納ケース1を少しずらして連結することができる。
【0018】
すなわち、図7(B)に示すように、連結挿入材27は、形状は平たい短い二つの直方体が合体した略Z状をなし、位置がずれた連結ポケット25へ挿入され、収納ケース1のずれた連結状態を固定できる。
このように、ずらして連結すれば、中央の二つの縦長にした二つの収納ケース1のスライド扉7は、上下の横長の収納ケース1に接触することなく、開閉が可能になる。
【0019】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、略直方体の収納ケース1の高さ:奥行き:幅の寸法比が、1:1:2であり、表面を構成する全6面で突出部分が無いから、上下の方向(図5,図6)や、図示しないものの左右の方向へ任意に隣接させられる。また、例えば図7に示すように複雑に隣接でき、隣接した状態で、中央の二つの収納ケース1が前方にややずれているものの、全体として略直方体(図7)であり、まとまった形にできる。
【0020】
また、出し入れ面3から直角方向へ伸びる4つの辺部に、それぞれ連結ポケット25が形成される。もっとも、他の4つの辺部(図1下側)にも形成し、合計8つの辺部に形成することもできる。これらの連結ポケット25に対して、収納ケース1が隣接した状態で、隣接したこの連結ポケット25に跨って、連結挿入材27が挿入されることで、収納ケース1の連結を自在に行う。この連結により、隣接する収納ケース1は、安定して使用され、高く重ねたり、さらには複雑に隣接連結させて使用することができる。
【0021】
また、連結挿入材27は、収納ケース1とは物理的に分離しており、分離して扱えるので、収納ケース1から突出しない。よって、複雑な機構は不要となる。
さらに、連結ポケット25の単純な構造により本発明が実施でき、収納ケース1の製造コストを抑えられる。
さらに、開口5の両端部から嵌め込まれる突き合わせ式2枚のスライド扉7が設けられ、このスライド扉7は、基部の縁部に沿って立ち上がる取手13が形成される。この取手13に指がかかりやすいことから、扉の開閉が容易である。また、突き合わせられる2枚のうち一方の先端部には、裏面に沿って突設される裏面材15が設けられ、突き合わせ部分の隙間を無くすことができ、埃の侵入などを防止できる。
【0022】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、扉はスライド扉7 であったが、他の実施形態では、観音開きの扉でも良い。また、通常のドアのような片開きの扉でもよい。
以上の実施形態では、扉は、基部の縁部に沿って立ち上がる取手13が設けられるものであったが、他の実施形態では、別体の取手金具や凹んだ取手が設けられるものでもよい。
以上の実施形態では、連結挿入材27は、平たい直方体であったが、他の実施形態では、他の形状でもかまわない。例えば左右に弾性爪を有し、挿入の際に弾性爪が縮み、連結ポケット25の内部に拡張して形成される爪スペースに嵌合し広がる構成としてもよい。
以上の実施形態では、扉の裏面に沿って突設される裏面材15が設けられたが、他の実施形態では、裏面材15を設けなくてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態を示す収納ケースの斜視図である。
【図2】(A)は図1の収納ケースの平面図、(B)は図1の収納ケースの正面図、(C)は図1の収納ケースの側面図、(D)は図1の収納ケースの断面図である。
【図3】(A)は図1の収納ケースの扉を示す斜視図、(B)は(A)の扉の動作を示す図である。
【図4】(A)は図1の収納ケースの扉に設けられるストッパー付近の縦断面図、(B)は(A)のストッパー部材の斜視図である。
【図5】(A)は図1の収納ケースを、出し入れ面を横にし、横長にして上下に重ねて連結し使用する状態を示す部分的な斜視図、(B)は(A)の一部を分解拡大し連結の動作を示す図である。
【図6】(A)は図1の収納ケースを、出し入れ面を横にし、縦長にして上下に重ねて連結し使用する状態を示す部分的な斜視図、(B)は(A)の一部を分解拡大し連結の動作を示す図である。
【図7】(A)は4つの収納ケースを、図5の横長と図6の縦長の使用を組み合わせて、複雑に隣接連結し使用する状態を示す斜視図、(B)は(A)の一部を分解拡大し連結の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1…収納ケース、3…出し入れ面、5…開口、7…スライド扉、9…スライド溝、11…縁端部、13…取手、15…裏面材、17…ストッパー、19…ストッパー部材、21…ストッパー孔、23…挿入ポケット、25…連結ポケット、27…連結挿入材、29…空間、31…挿入口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体の収納ケースにおいて、高さ:奥行き:幅の寸法比が、1:1:2であり、表面を構成する全6面で突出部分が無く、収納物の出し入れ面は開口し、この開口に設けられる扉と、前記出し入れ面から直角方向へ伸びる4つの辺部に形成される連結ポケットと、前記収納ケースが隣接した状態で隣接した前記連結ポケットに跨って挿入されることで収納ケースの連結を行う分離した連結挿入材と、を有することを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
前記連結ポケットは、前記辺部を構成し直交する2面に沿って形成される袋状で断面L字状の空間と、この空間のうち前記L字状の角部に形成される挿入口部と、を有して構成され、前記連結挿入材は、前記連結ポケットを構成する前記袋状の空間のうち前記L字状の一方の辺側の空間に、略半分が挿入されることで、この収納ケースがいずれの面で隣接した状態であっても、隣接した前記連結ポケットに跨って挿入されうることを特徴とする請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記扉は、前記開口に設けられ開口の両端部から嵌め込まれる突き合わせ式2枚のスライド扉であり、このスライド扉は、基部の縁部に沿って立ち上がる取手が形成され、突き合わせられる2枚のうち一方の先端部には、裏面に沿って突設される裏面材が設けられることを特徴とする請求項1、または2に記載の収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−132297(P2010−132297A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308029(P2008−308029)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【特許番号】特許第4309959号(P4309959)
【特許公報発行日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(508356766)
【Fターム(参考)】