説明

収納奥行き体験装置

【課題】 どの程度の奥行きであればどのような収納物が収納できるかを、実際に異なる奥行きを有する複数の収納棚に色々な収納物を収納してみて、収納棚の奥行きを体験させ、住宅建築予定者が所望する収納棚の奥行きと住宅が完工して出来上がった実際の収納棚の奥行きとを一致させるべく構成したものである。
【解決手段】 住宅内に備え付ける収納棚を異なった奥行きに構成して一箇所に纏めて複数配置し、該収納棚11・12・13・14・15に様々な収納物を収納して展示し、該収納棚11・12・13・14・15を左右一列に並設し、該各収納棚11・12・13・14・15の近傍に、該収納棚11・12・13・14・15の奥行き深さを示す表示板19を配設した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅建築予定者が住宅の設計段階において、住宅設計情報提供施設等の住宅設計に関する知識を習得する場所に出向き、収納棚がどの程度の奥行きを有していれば、どのような収納物が収納できるかを実際に体験した後に、住宅内に予め備え付けられる収納棚の奥行きを決定できるようにするための収納奥行き体験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、住宅建築予定者が住宅を建設する際に、住宅内にできた余分な空間を有効に利用するため、この空間に収納棚を備え付ける場合がある。このような場合においては、住宅の設計段階で、住宅展示場等に建設されたモデル住宅内の収納棚を基にして、収納棚の構成、特に奥行きの深さを設計図面上で色々と検討した上で決定していた。
【0003】しかし、モデル住宅には一般的な奥行きに構成された収納棚が備え付けられているのみで、この収納棚を基に設計図面上で奥行きを深くしたり浅くしたりして検討して決定したのでは、住宅建築予定者が想像する奥行き深さと、住宅が完工して実際に出来上がった奥行き深さとが異なる場合が多く、住宅建築予定者が収納したり飾ってみようと考えていた収納物や装飾品等が、実際には収納できなかったり置けなかったりという不具合が発生して、不満やクレームの原因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこのような不具合を解消するために構成したものであり、どの程度の奥行きであれば、どのような収納物が収納できるかを、実際に異なる奥行きを有する複数の収納棚に色々な収納物を収納してみて、収納棚の奥行きを体験させ、住宅建築予定者が所望する収納棚の奥行きと、住宅が完工して出来上がった実際の収納棚の奥行きとを一致させるものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、住宅内に備え付ける収納棚において、収納棚がどの程度の奥行きを有していれば、どのような収納物が収納できるかを体験するために、お互いに異なった奥行きの収納棚を一箇所に纏めて複数配置したことである。
【0006】また、前記収納棚に様々な収納物を収納して展示したことである。
【0007】また、前記収納棚を左右一列に並設したことである。
【0008】また、前記各収納棚の近傍に、該収納棚の奥行き寸法を示す表示板を配設したことである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の収納奥行き体験装置を配置した住宅設計情報提供施設等の住宅設計に関する知識を習得する場所を示す平面図、図2は同じく収納奥行き体験装置の部分の拡大平面図、図3は収納奥行き体験装置を示す斜視図、図4は同じく正面図、図5は同じく平面図である。
【0010】まず、本発明の収納奥行き体験装置を配置した住宅設計情報提供施設の全体構成について説明する。図1に示す住宅設計情報提供施設においては、住宅建築予定者が住宅設計の際に見ておく必要のある住宅建設に関する様々な情報が配置され、展示されている。
【0011】例えば、本発明の収納奥行き体験装置1をはじめとして、その他に吊り戸の高さが体験できる装置2や、キッチンの大きさが体験できる装置や、通路間隔を体験できる装置3や、外壁材の防火性能が体験できる装置や、多数の外壁材から所望の外壁材を選択することができる選択装置4や、内装設備を実際に手に取って体験できる装置や、基礎工事から内装工事までの構造を体験できる装置等が配置されている。また、本住宅設計情報提供施設には、打ち合わせを行う打ち合わせ室5や、来訪者が寛いだり、色々なイベントを催すことができるサロン6等も併設されている。
【0012】このように、住宅設計のために必要な情報をシミュレーションしながら様々な設備を体験して、最も適切な大きさ、形状、及び、材質等を確認・決定できるように、この住宅設計情報提供施設が構成されている。この中の一つとして、本発明の収納奥行き体験装置1が配置されているのである。
【0013】図2に示すように、収納奥行き体験装置1は複数の収納棚11・12・13・14、及び扉付収納棚15により構成されている。収納棚11・12・13・14はそれぞれ異なった奥行きを有した収納棚であり、扉付収納棚15は扉が付設された収納棚である。
【0014】図3乃至図5に示すように、収納棚11・12・13・14は、お互いに異なった奥行きを有しており、収納棚11、収納棚12、収納棚13、収納棚14の順に奥行きが深くなるように配置して、収納棚11・12・13・14、及び、扉付収納棚15が左右一列に並設されている。該収納棚11・12・13・14、及び、扉付収納棚15の幅寸法と高さ寸法とは、同一に構成されている。
【0015】また、収納棚11・12・13・14、及び、扉付収納棚15にはそれぞれ複数の棚板が配設されて、収納物を収納し易いように、これらの収納棚内を仕切っている。この棚板は、配設する高さや枚数を任意に設定することができ、収納棚内に収納する収納物の形態によって配設高さや配設枚数を適宜設定するように構成している。
【0016】そして、各収納棚11・12・13・14・15の側方の壁面には、それぞれの収納棚の奥行き深さを表示する奥行き深さ表示板19が貼設されており、例えば、本実施例の場合においては、各奥行き深さ表示板19に各収納棚11・12・13・14及び扉付収納棚15の奥行き寸法21・22・23・24・24が表示されている。各奥行き深さ表示板19には、該奥行き深さ表示板19の左方に位置する収納棚又は右方に位置する収納棚の奥行き寸法が表示されているのである。
【0017】本実施例においては、例えば、収納棚11の奥行き深さ寸法21を15cm、収納棚12の奥行き深さ寸法22を30cm、収納棚13の奥行き深さ寸法23を50cm、収納棚14の奥行き深さ寸法24を60cmに構成しているが、この寸法に限るものではなく、各収納棚の奥行き深さ寸法がお互いに異なっていれば、それぞれ適宜寸法に設定すればよい。また、扉付収納棚15の奥行き深さ寸法は本実施例では収納棚14と同じに構成しているが、これに限らず任意の寸法に設定すればよい。尚、扉付収納棚は複数配置して、それぞれの扉付収納棚をお互いに異なった奥行き深さに構成することもできる。
【0018】そして、収納棚11・12・13・14、及び、扉付収納棚15には、様々な収納物や装飾品が収納・載置されたり、飾られたりしている。例えば、比較的奥行きが浅い収納棚11・12には、文庫本・辞典等の書籍や、コンパクトカセットテープや、ビデオカセットテープや、コンパクトディスクや、小物入れや、小型の観葉植物や、編み物籠や、アイロンや、飾り物や、その他雑貨等、比較的小さなものを収納して、比較的奥行きが深い収納棚13・14には、衣類収納ケースや、収納籠や、保存箱や、小物整理箱や、その他雑貨等、比較的大きなものを収納している。さらに、扉付収納棚15には、例えば、スーツやコートといった衣類等を収納している。また、この収納棚11・12・13・14、及び、扉付収納棚15には、住宅建築予定者が収納したい収納物等を、色々と持参して直接収納してみることも可能である。
【0019】このように、それぞれ奥行き深さが異なった収納棚11・12・13・14や扉付収納棚15を一箇所に纏めて配置することで、住宅建設予定者が、一箇所の住宅設計情報提供施設等の住宅設計に関する知識を習得する場所に出向くだけで、どの程度の奥行き深さを有した収納棚が、実際にはどのような奥行き深さに感じられるかを素早く簡単に体験して認識することができるので、自分が所望する収納棚の構成と、住宅が完工して出来上がった収納棚の構成とが食い違うことを防止することができるのである。
【0020】また、一箇所に纏めて配置した収納棚11・12・13・14や扉付収納棚15に様々な収納物や装飾品を収納して展示したり、住宅建築予定者が持参した収納物等を直接収納してみたりすることで、住宅建築予定者が、どの程度の奥行きがあれば、どのような収納物を収納することができるかを実際に体験することができるのである。そして、これにより、収納する収納物等に応じた奥行き深さの収納棚を認識することができ、住宅建築予定者が本当に希望する収納棚の奥行き深さに決定することができるのである。
【0021】そして、収納棚11・12・13・14及び扉付収納棚15は左右一列に並設されているので、これらの収納棚を一望することができ、どの程度の奥行きであれば、どのような収納物を収納することができるかを直ぐさま認識することができ、素早く簡単に収納棚の奥行き深さを決定することができるのである。
【0022】さらに、それぞれの収納棚11・12・13・14及び扉付収納棚15の近傍には、該収納棚の奥行き深さを示す奥行き深さ表示板19が配設されているので、住宅建築予定者はどの収納棚がどれだけの奥行きを有しているかを一見して簡単に認識することができるのである。
【0023】尚、収納奥行き体験装置は、収納棚11等を奥行き深さが変更できるように構成してもよい。即ち、収納棚の背面板を手動、又は、電動等により可動に構成して、該背面板の位置を変更することで収納棚の奥行き深さを段階的に、また、無断階的に変更することができるように構成するのである。この場合、収納棚の奥行き深さを表示する奥行き深さ表示板は、収納棚の背面板の位置を位置検出手段により読み取るとともに、この検出位置を演算手段で演算して奥行き深さを算出するように構成することで、現在の収納棚の奥行き深さを表示させればよい。これにより、住宅建設予定者は、背面板を可動に構成した収納棚の奥行き深さを変更させながら、自分が所望する奥行き深さを体験して決定することができるのである。
【0024】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1記載の如く、住宅内に備え付ける収納棚を異なった奥行きに構成して一箇所に纏めて複数配置したので、住宅建設予定者が、一箇所の住宅設計情報提供施設等の住宅設計に関する知識を習得する場所に出向くだけで、どの程度の奥行き深さを有した収納棚が、実際にはどのような奥行き深さに感じられるかを素早く簡単に体験して認識することができるので、自分が所望する収納棚の構成と、住宅が完工して出来上がった収納棚の構成とが食い違うことを防止することができた。
【0025】更に、請求項2記載の如く、前記収納棚に様々な収納物を収納して展示したので、住宅建築予定者が、どの程度の奥行きがあれば、どのような収納物を収納することができるかを実際に体験することができて、収納する収納物等に応じた奥行き深さの収納棚を認識することができ、住宅建築予定者が本当に希望する収納棚の奥行き深さを決定できるようになった。
【0026】更に、請求項3記載の如く、前記収納棚を左右一列に並設したので、複数配置した収納棚を一望することができ、どの程度の奥行きであれば、どのような収納物を収納することができるかを直ぐさま認識することができて、素早く簡単に収納棚の奥行き深さを決定することができるようになった。
【0027】更に、請求項4記載の如く、前記各収納棚の近傍に、該収納棚の奥行き深さを示す表示板を配設したので、住宅建築予定者が、どの収納棚がどれだけの奥行きを有しているかを一見して簡単に認識することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の収納奥行き体験装置を配置した住宅設計情報提供施設等の住宅設計に関する知識を習得する場所を示す平面図である。
【図2】同じく収納奥行き体験装置の部分の拡大平面図である。
【図3】収納奥行き体験装置を示す斜視図である。
【図4】同じく正面図である。
【図5】同じく平面図である。
【符号の説明】
1 収納奥行き体験装置
11・12・13・14 収納棚
15 扉付収納棚
19 奥行き深さ表示板
21・22・23・24 奥行き深さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】 住宅内に備え付ける収納棚において、収納棚がどの程度の奥行きを有していれば、どのような収納物が収納できるかを体験するために、お互いに異なった奥行きの収納棚を一箇所に纏めて複数配置したことを特徴とする収納奥行き体験装置。
【請求項2】 前記収納棚に様々な収納物を収納して展示したことを特徴とする請求項1に記載の収納奥行き体験装置。
【請求項3】 前記収納棚を左右一列に並設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納奥行き体験装置。
【請求項4】 前記各収納棚の近傍に、該収納棚の奥行き深さを示す表示板を配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の収納奥行き体験装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開平11−153943
【公開日】平成11年(1999)6月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−320141
【出願日】平成9年(1997)11月20日
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)