説明

収納容器セット及びこれを備えた収納容器付引出

【課題】収納容器を高さの異なる仕切体や側面構成体にも取り付けることができる収納容器セット及びこれを備えた収納容器付引出を提供する。
【解決手段】引出1内に格納される収納容器3の上辺に断面逆U字状のフック部13が形成される。引出1に備えた引出1内を区画分離する仕切体2、もしくは引出1の側面構成体9の上部が、前記フック部13の被取付部となる。被取付部とフック部13の間に介在して収納容器3に着脱自在に装着可能な高さ調整具15を備える。高さ調整具15は、フック部13が掛合される被掛合部19と、被取付部に係止される係止部20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納容器セット及びこれを備えた収納容器付引出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家具、キッチン等に設けられる引出には、特許文献1のように引出内に小物を収納するための収納容器を備えたものがある。この種の収納容器は、断面逆U字状のフック部を有し、該フック部を引出内を仕切る仕切体や引出の側面を構成する側面構成体の上部に引っ掛けることにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4363876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、家具、キッチン等に設けられる引出は、使用目的に応じて、引出の深さが数種類存在し、すなわち、引出の仕切体や側面構成体の上面と引出の物品載置部の底面との高さ寸法が異なることで、仕切体や側面構成体の上部が引出内に格納された収納容器のフック部よりも低位置に存在することがあり、この際にはフック部を仕切体や側面構成体に引っ掛けて固定することができない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、仕切体や側面構成体が引出内に格納された収納容器のフック部よりも低位置に存在する場合にも、収納容器を仕切体や側面構成体の上部に取り付けることができる収納容器セット及びこれを備えた収納容器付引出を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の収納容器セット及びこれを備えた収納容器付引出は、引出1内に格納される収納容器3の上辺に断面逆U字状のフック部13が形成され、引出1に備えた引出1内を区画分離する仕切体2、もしくは引出1の側面構成体9の上部が、前記フック部13の被取付部となる収納容器セットにおいて、前記被取付部とフック部13の間に介在して収納容器3に着脱自在に装着可能な高さ調整具15を備え、該高さ調整具15は、フック部13が掛合される被掛合部19と、被取付部に係止される係止部20とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成を有することで、収納容器3のフック部13を高さ調整具15の被掛合部19に掛合すると共に係止部20を被取付部に係止することで、収納容器3を高さ調整具15を介して被取付部に保持することができる。このため用途毎の引出1の高さ等によりフック部13の高さが掛合の相手となる被取付部よりも低い場合にも、収納容器3を被取付部に取り付けることができる。
【0008】
また前記係止部20が形状の異なる複数種の被取付部に係止可能な形状を有することが好ましい。この場合、形状の異なる複数種の被取付部に係止部20の対応する係止部分を確実に係止することができる。またこのような係止部20を有することで高さ調整具15の種類を少なくすることができる。
【0009】
また高さ調整具15を介して被取付部に取り付けられた収納容器3を引出1から取り出した場合に、高さ調整具15が被取付部に取り付けたままの状態で引出1側に残ってしまうと、この高さ調整具15も被取付部から取り外す必要があり不便である。そこで、前記フック部13と被掛合部19の保持力が、被取付部と係止部20の保持力よりも大きくなるよう構成されることが好ましい。この場合、収納容器3を引出1から取り出した場合に、フック部13で被掛合部19が保持されたままの状態で係止部20の被取付部に対する係止を外すことができ、収納容器3に対する高さ調整具15の着脱も引出1から取り外して手元で行うことができ、取扱利便性が優れる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、引出の仕切体や側面構成体の上面と引出の物品載置部の底面との高さ寸法が異なることで、仕切体や側面構成体が引出内に格納された収納容器のフック部よりも低位置に存在する場合にも、収納容器を仕切体や側面構成体に取り付けることができ、収納容器の汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の一例を示し、収納容器を高さ調整具を介して棒状の仕切体に取り付けた収納容器付引出を示す斜視図である。
【図2】(a)は同上の側断面図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図3】収納容器及び高さ調整具の断面斜視図である。
【図4】実施形態の他例を示し、収納容器を高さ調整具を介して板状の仕切体に取り付けた収納容器付引出を示す斜視図である。
【図5】(a)は同上の側断面図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図6】実施形態の更に他例を示し、収納容器を直接仕切体に取り付けた収納容器付引出を示す斜視図である。
【図7】(a)は同上の側断面図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施形態を図1乃至7の添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態の収納容器セットを有する収納容器付引出は、キッチン床面に設置されるキッチンキャビネットに設けられるものであるが、その他の家具等に設けられるものであってもよい。
【0013】
図1及び図2のように本実施形態の収納容器付引出は、引出1と、引出1に備えた引出1内を区画分離する仕切体2と、引出1内に格納される小物を収納するための収納容器3とを備えている。
【0014】
引出1は、底面を構成する底面構成体6上に、前面、後面、両側面の夫々を構成する前面構成体7、後面構成体8、及び側面構成体9が設けられて上方に開口する箱状に形成され、これら構成体6〜9で囲まれた空間が前記仕切体2により仕切られる収納空間5となっている。
【0015】
図示例では側面構成体9が、底面構成体6上に立設された側壁9aと、前面構成体7と後面構成体8の間に架設されて前記側壁9a上方に位置する棒状の側面ガード体9bとで構成されている。
【0016】
仕切体2は両側の側面構成体9の間に架設された棒状仕切体2aからなり、これにより収納空間5は前後に仕切られている。
【0017】
収納容器3は、符号3aを付した縦長箱状で様々な小物を収容できるものや、符号3bを付した横長トレイ状でボトルを収容するもの等からなる。
【0018】
各収納容器3の上辺には、仕切体2に取り付けるためのフック部13が形成されている。つまり本実施形態では仕切体2がフック部13を取り付ける被取付部を構成している。なお、フック部13は仕切体2及び側面構成体9のうち両者に掛合可能なものであってもよいし、側面構成体9だけに掛合可能なものであってもよい。
【0019】
フック部13は各収納容器3の一壁部の上縁に亘って断面略U字状に形成され、収納容器3の外側において下方に向けて開口している。図3、図7(b)に示されるようにフック部13の長手方向に間隔を介した2箇所の対向する内面には上下に長い突条16が一体に形成されている。
【0020】
ここで収納容器3を仕切体2に取り付けるにあたって、用途毎の引出1の高さ等により、フック部13の高さが掛合の相手となる仕切体2に対して適切である場合と、それよりも低い位置である場合がある。
【0021】
後者の場合には、例えば図1及び図2の例、あるいは図4及び図5の例のようにフック部13が高さ調整具15を介して仕切体2に取り付けられる。図1及び図2の例では本実施形態の収納容器3が高さ調整具15を介して棒状仕切体2aに取り付けられた例が示されている。また、図4及び図5の例では、収納容器3が高さ調整具15を介して板状仕切体2bに取り付けられた例が図示されている。図4に示す例では、側面構成体9が底面構成体6上に立設された側壁9cで構成され、引出1内が両側の側面構成体9の間に架設された板状仕切体2bにより仕切られている。なお、図1及び図4の例では、いずれも引出1の前部に配設された仕切体2と前面構成体7との間に形成された空間に収納容器3a、3bが配置されている。
【0022】
図3に示される高さ調整具15は略縦板状の合成樹脂成形品からなり、引出1内に格納された収納容器3のフック部13と、この下方に位置する仕切体2との間に介在し、該高さ調整具15を介して収納容器3は仕切体2に取り付けられる。
【0023】
高さ調整具15の上端部はフック部13に挿嵌される被掛合部19となっている。被掛合部19の厚み寸法αはフック部13内に形成された下方に開口する溝幅以上の寸法となっていて、フック部13が被掛合部19に掛合したとき、フック部13内に嵌め込まれた被掛合部19がフック部13の対向する内面の間に挟持されるようになっている。また、フック部13内面のうち収納容器3の外側に位置する内面には、突部18が一体に形成されている。一方、高さ調整具15の被掛合部19の片側には、前記突部18と凹凸嵌合する凹部26が形成されている。なお、フック部13は図示例のように収納容器3の一壁部にのみ形成されるものであってもよいし、複数の壁部に形成されるものであってもよい。
【0024】
高さ調整具15の下端部には、仕切体2に係止可能な係止部20が形成されている。係止部20は下方に開口する溝部20aで構成されている。溝部20aの長手方向の複数箇所には略逆U字状に形成されたリブ22が突設され、各リブ22の内側には下方に開口する差込溝23が形成されている。
【0025】
各差込溝23は、下嵌込部24と、これに連続する上嵌込部25とで構成され、下嵌込部24のリブ対向幅は、棒状仕切体2aの幅と略同じであり、また、上嵌込部25のリブ対向幅は、板状仕切体2bの厚みと略同じであって下嵌込部24のリブ対向幅よりも小さくなっている。下嵌込部24が形成された各リブ22の下部は、内方で棒状仕切体2aを挟み込みする形態となり、上嵌込部25が形成された各リブ22の上部は内方で板状仕切体2bを挟み込みする形態となっている。
【0026】
高さ調整具15を用いて収納容器3を仕切体2に取り付けるには、収納容器3のフック部13を、高さ調整具15の被掛合部19に掛合すると共に係止部20を仕切体2に係止する。
【0027】
収納容器3と高さ調整具15を結合するにあたって、収納容器3のフック部13に高さ調整具15の被掛合部19を掛合するには、高さ調整具15の被掛合部19を収納容器3のフック部13内の長手方向に間隔を介して配置された突条16間に下方から差し込み、高さ調整具15の凹部26を収納容器3の突部18に嵌合させる。これによって被掛合部19がフック部13の対向する内面で挟持されると共に、前記の凹部26と突部18が嵌合することで、フック部13と被掛合部19との掛合が維持される。さらに被掛合部19がフック部13の長手方向両側の突条16に当たってフック部13の長手方向における位置決めがなされる。これらによって被掛合部19はフック部13の内方の所定位置に強固に保持される。
【0028】
収納容器3を仕切体2に係止させるには、図2あるいは図5に示されるように、高さ調整具15の係止部20を、仕切体2に嵌め付けるべく、仕切体2の上方から、高さ調整具15と一体になった収納容器3からなる収納容器セットを落とし込み装着する。
【0029】
仕切体2が、棒状仕切体2aである場合は、図2に示すように、棒状仕切体2aの外周面が、係止部20内の差込溝23に形成された下嵌込部24にあって、上嵌込部25と、上嵌込部25と下嵌込部24の間に形成された段差部27に囲まれるようにして、高さ調整具15すなわち収納容器3が仕切体2に固定保持される。
【0030】
また、仕切体2が板状仕切体2bである場合には、図4に示すように、板状仕切体2bの上面部が、係止部20内の差込溝23の奥方に形成された上嵌込部25に位置するようになり、高さ調整具15すなわち収納容器3が仕切体2に固定保持される。
【0031】
このように本実施形態の高さ調整具15の係止部20は下嵌込部24と上嵌込部25との2種類の係止部分を備えるので、棒状仕切体2aとこれと形状が異なる板状仕切体2bとの両者に取り付けることができ、係止部20を異形状の仕切体2等に確実に係止することができ、また高さ調整具15の種類を少なくすることができる。また、本実施形態では仕切体2a、2bの形状の違いに加えて、棒状仕切体2aと板状仕切体2bの各々の上面高さに違いがあり、これに係止できるよう係止部20の形状を工夫した例を示したが、係止部20は高さが同じで形状の異なる被取付部に係止可能な形状を有するものであってもよいものとする。
【0032】
なお本実施形態の係止部20は形状の異なる2種類の被取付部に係止可能な形状を有するものであるが、3種類以上の被取付部に係止可能な形状を有するものであってもよい。
【0033】
ここで前記上嵌込部25や下嵌込部24に嵌め込まれた仕切体2は、リブ22によって挟持されない、あるいはフック部13によって被掛合部19が挟持される力よりも小さい力で挟持されるものである。このためフック部13と被掛合部19の保持力が、仕切体2と係止部20の保持力よりも大きくなっている。従って高さ調整具15を介して仕切体2に取り付けられた収納容器3を引出1から取り外すにあたって、収納容器3を上方に持ち上げた場合には、フック部13に被掛合部19が保持されたままの状態で、高さ調整具15が仕切体2から外れ、すなわち溝部20aから仕切体2が外れる。よって引出1内の清掃や収納容器3の配置を変更等するにあたって収納容器3を取り外す際には、高さ調整具15を収納容器3と一緒に取り出すことができて、収納容器3の取り扱い性は優れたものとなる。
【0034】
また、収納容器3単体にあって、フック部13の高さと、この掛合相手となる仕切体2の高さ(すなわち引出1の深さ)とが、適切な組合わせの場合は、図6及び図7に示されるように、収納容器3は、フック部13を介して高さ調整具15を用いることなく、直接仕切体2に取り付けられる。図6及び図7の例では、図1の例と同様に仕切体2が棒状仕切体2aからなり、フック部13は対向する両突条16間に形成された嵌込溝17に棒状仕切体2aが嵌め込まれた状態で棒状仕切体2aに掛合されて、収納容器3は引出1内に格納装着される。
【0035】
以上説明した本実施形態にあっては、収納容器3がフック部13と仕切体2との間に配置された高さ調整具15を介して低位置に設けられた仕切体2に取り付けることができ、収納容器3の汎用性が向上する。
【0036】
また、収納容器3は仕切体2に係止されて引出1内に格納される例を示したが、図1に示す引出1の側面構成体9は、側壁9aと、前面構成体7と後面構成体8の間に架設されて前記側壁9a上方に位置する棒状の側面ガード体9bとで構成されており、且つ、側面ガード体9bの高さ位置は、棒状仕切体9aの高さ位置と同じであるので、前述の構成と同じく、高さ調整具15を嵌め付けした収納容器3は、引出1の側面構成体9に係止して格納することもできる。
【0037】
また、収納容器3が高さ調整具15を介して取り付けられる仕切体2は、前面構成体7と後面構成体8の間に架設されて収納空間5を左右に仕切る棒材や板材からなるものや、前後又は左右に並設された仕切体2間に架設されて仕切体2間の空間をさらに仕切るもの等であってもよい。
【0038】
また、引出1の構成としては、前述の実施例では、底面、側面、前面、背面ともに板状に形成された部品で構成されたものを示したが、例えば、線材で形成された籠のような箱体であっても、収納容器3が安定して底面載置されるものであれば、何ら支障はない。
【符号の説明】
【0039】
1 引出
2 仕切体
3 収納容器
9 側面構成体
13 フック部
15 高さ調整具
20 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出内に格納される収納容器の上辺に断面逆U字状のフック部が形成され、引出に備えた引出内を区画分離する仕切体、もしくは引出の側面構成体の上部が、前記フック部の被取付部となる収納容器セットにおいて、前記被取付部とフック部の間に介在して収納容器に着脱自在に装着可能な高さ調整具を備え、該高さ調整具は、フック部が掛合される被掛合部と、被取付部に係止される係止部とを有することを特徴とする収納容器セット。
【請求項2】
前記係止部が形状の異なる複数種の被取付部に係止可能な形状を有することを特徴とする請求項1に記載の収納容器セット。
【請求項3】
前記フック部と被掛合部の保持力が、被取付部と係止部の保持力よりも大きくなるよう構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納容器セット。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の高さ調整具と収納容器を一体にする収納容器セットを備えたことを特徴とする収納容器付引出。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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