説明

収納袋

【課題】液状あるいはゲル状の内容物を収納することができ、外面フィルムを剥がすことによって液状あるいはゲル状の内容物の有効成分を外部に放出することができる包装袋を提供する。
【解決手段】芳香剤、防虫忌避剤などの内容物7を収納する収納袋1であって、外面を構成するフィルム4をガスバリア性を備えるように構成し、この外面フィルム4の内側に重なる内面フィルム5は芳香剤などの有効成分を通気させる性質を持つ非保香性フィルムの材料で構成され、収納袋1の少なくとも一方の面において外面フィルム4と内面フィルム5とは剥離強度0.01N/15mm〜10N/15mmで接合されているので、液状あるいはゲル状の内容物7を収納することができ、外面フィルム4を剥がすことによって液状あるいはゲル状の内容物7の有効成分を外部に放出することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納袋に関し、より詳細には液状またはゲル状の芳香剤、脱臭剤、殺虫剤などを収納する収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、外面フィルムとしてガスバリア性を有するフィルムを用い、内面フィルムとして有孔フィルムあるいは不織布を用い、あるいは内面フィルムとして有孔フィルムと不織布との双方をラミネートしたものを用い、外面フィルムと内面フィルムとをラミネートした材料で構成した収納袋が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の収納袋は、ガスバリア性を有する外面フィルムが剥がされ、有孔フィルムあるいは不織布が露出した状態で用いられるのであって、収納袋の内部に収納された防虫剤、芳香剤などの有効成分は、有孔フィルムあるいは不織布を通して外部に放出されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−86568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の収納袋では内面フィルムを有孔フィルムあるいは不織布としているので、収納袋に収納する内容物はマットなどの固体あるいは粉体などに限定され、液状あるいはゲル状のものを内容物として収納することができない。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、液状あるいはゲル状のものであっても内容物として収納することができ、外面フィルムを剥がすことによって液状あるいはゲル状の内容物の有効成分を外部に放出することができる収納袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の収納袋は、芳香剤、防虫忌避剤などの内容物を収納する収納袋であって、外面を構成するフィルムをガスバリア性を備えるように構成し、この外面フィルムの内側に重なる内面フィルムは芳香剤などの有効成分を通気させる性質を持つ非保香性フィルムの材料で構成され、収納袋の少なくとも一方の面において外面フィルムと内面フィルムとは剥離強度0.01N/15mm〜10N/15mmで接合されている。
【0007】
請求項2に記載の収納袋は、収納袋の周辺部の少なくとも1箇所以上に摘み片としての未シール部分を設け、外面フィルムを内面フィルムから剥離するように構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、外面フィルムの内側に位置する内面ファイルは芳香剤などの有効成分を通気させる性質を持つ非保香性フィルムの材料で構成されているので、内容物が液状あるいはゲル状のものであっても内容物として収納することができ、外面フィルムを剥がすことによって液状あるいはゲル状の内容物の有効成分を外部に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】収納袋の外観図である。
【図2】収納袋のA−A断面図である。
【図3】摘み片の要部拡大断面図である。
【図4】摘み片を摘んで外面フィルムが剥離し始めた状態の要部拡大断面図である。
【図5】外面フィルムが途中まで剥離した状態の収納袋の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図1〜図5に基づいて説明する。収納袋1は、一方の面を構成する表面シート2と、他方の面を構成する裏面シート3とを備え、表面シート2と裏面シート3との周縁部6がヒートシールされて平面形状が長方形などの矩形に作られている。収納袋1の内部には芳香剤などの液状内容物7が収納される。表面シート2と裏面シート3とは同一のフィルム構成となっており、ともに外面フィルム4と内面フィルム5とを備えている。
【0011】
詳しくは、外面フィルム4は外面側から内面側に向かって順番に、透明蒸着2軸延伸ポリエステルで形成された最外層のフィルム層8と、2軸延伸ナイロンフィルムで形成された中間層のフィルム層9と、エチレンビニルアルコール共重合体で形成された最内層のフィルム層10とを備えており、各フィルム層は接着剤層で接合されている。内面フィルム5は芳香剤などの液状内容物7の有効成分を通気させる性質を持つ非保香性のポリエチレンのフィルム層で構成されており、外面フィルム4と内面フィルム5とは接着性樹脂で易剥離可能に接合されている。実際の製造工程では、外面フィルム4のエチレンビニルアルコール共重合体からなる最内層のフィルム層10とポリエチレンの内面フィルム5は共押し出しにより形成されている。この外面フィルム4と内面フィルム5との剥離強度は0.01N/15mm〜10N/15mmが好ましい。
【0012】
表面シート2の内面フィルム5と裏面シート3の内面フィルム5とが収納袋1の外形に沿って一定の幅でヒートシールされており、3つのコーナー部11a,11b,11cにおいては各コーナー部11a,11b,11cに沿った一定の幅で直角にヒートシールされている。残りの1つのコーナー部11dにおいては、コーナー部11dを形成する直角に交わる2つの辺12,12と斜辺13とで形成される三角形部分の表面シート2の内面フィルム5と裏面シート3の内面フィルム5とはヒートシールされていない。このヒートシールされていない三角形部分のうち表面シート2側の三角形部分が摘み片14とされる。このコーナー部11dにおいては、摘み片14に隣接した状態で斜辺13に沿ってヒートシールされる。このように摘み片14を残した状態で表面シート2と裏面シート3との周縁部6がヒートシールされて収納袋1が形成される。
【0013】
なお、外面フィルム4と内面フィルム5との剥離強度は、前述のように0.01N/15mm〜10N/15mmとされるので、小さい力で容易に内面フィルム5から外面フィルム4を剥がすことができる。剥離強度を0.01N/15mm未満とした場合には外面フィルム4が不用意に剥がれることがあり、また剥離強度を10N/15mmよりも高くした場合には外面フィルム4を剥がすために大きな力が必要となり適当でない。
【0014】
図4に示すように使用者が表面シート2側の摘み片14を摘んで剥がしていくと、摘み片14を構成する内面フィルム5が斜辺13において破断するとともに、斜辺13を起点として、エチレンビニルアルコール共重合体の最内層のフィルム層10と、内面フィルム5のポリエチレンのフィルム層との間が剥離する。このとき表面シート2の内面フィルム5と裏面シート3の内面フィルム5とのヒートシールは保持されている。
【0015】
そして、摘み片14をさらに引っ張ると、周縁のヒートシールが保持された状態で、エチレンビニルアルコール共重合体の最内層のフィルム層10を含んだ外面フィルム4が、ポリエチレンの内面フィルム5から剥がれていく。
【0016】
図5に示すように摘み片14を摘んでさらに剥がしていくと、周縁のヒートシールが保持された状態で、表面シート2側の外面フィルム4が剥ぎ取られていく。外面フィルム4が剥ぎ取られた部分は、内面フィルム5が露出した状態となる。内面フィルム5は芳香剤などの有効成分を通気させる性質を持つ非保香性のフィルムであるので、芳香剤などの有効成分を外部に放出することができる。このとき芳香剤などの有効成分は内面フィルム5から滲み出るように放出されるので、内容物7が液状であっても収納袋1の外部に漏れ出すことはない。
【0017】
芳香剤の有効成分は、内面フィルム5を介して外部に放出されるので、外面フィルム4を剥ぎ取った収納袋1を室内などに設置して簡便に芳香剤として用いることができる。また外面フィルム4を完全に剥ぎ取らず、外面フィルム4の剥がし代を調整して外部に露出する内面フィルム5の面を制限することができ、放出される芳香剤の有効成分の強さを細かく調整することができる。収納袋1の内容物7は芳香剤に限定されるものではなく、蚊などを退治するための殺虫剤、あるいはタンスに衣類とともに収納して衣類に虫が付くことを防止する防虫忌避剤や脱臭剤などであってもよい。また、芳香剤などの内容物7が液状の場合について説明したが、これに限定されるものではなく内容物7がゲル状のものでもよい。
【0018】
また、本実施の形態においては表面シート2の外面フィルム3のみを剥がすようにしているが、これに限定されるものではなく、表面シート2と裏面シート3との外面フィルム3を剥がすようにしても良い。この場合には、たとえば収納袋1を吊り下げて、収納袋1の両面から芳香剤などの有効成分を放出させるようにすることができる。
【0019】
なお、本実施の形態では、外面フィルム4が3層のフィルム層により構成されているが、これに限定されるものではなく、たとえば外面フィルム4が1層または2層のフィルム層により構成されるものでも良い。
【0020】
また、本実施の形態では外面フィルム4のうち最外層のフィルム層8である透明蒸着2軸延伸ポリエステルがガスバリア性を備えているが、ガスバリア性を備えるフィルム層は最外層のフィルム層8に限定されるものではなく、中間層あるいは最内層のフィルム層9,10であっても良い。また、ガスバリア性を有するものは透明蒸着に限定するものではなく、アルミ箔など他の材質を用いても良い。
【0021】
このように、芳香剤、防虫忌避剤などの内容物7を収納する収納袋1であって、外面フィルム4をガスバリア性を備えるように構成し、この外面フィルム4の内側に重なる内面フィルム5は芳香剤などの有効成分を通気させる性質を持つ非保香性の材料で構成され、収納袋1の少なくとも一方の面において外面フィルム4と内面フィルム5とは剥離強度0.01N/15mm〜10N/15mmで接合されているので、内容物7が液状あるいはゲル状のものであっても収納することができ、外面フィルム4を剥がすことによって液状あるいはゲル状の内容物7の有効成分を外部に放出することができる。
【0022】
さらに、収納袋1の1つのコーナー部において、内容物7を収納する内面フィルム5同士がヒートシールされていない未接着な状態であり、その部分を摘み片14として外面フィルム4を内面フィルム5から剥離するように構成しているので、摘み片14を摘んで容易に外面フィルム4を内面フィルム5から剥離することができる。なお、摘み片14の位置は収納袋1の1つのコーナー部に限定されるものではなく、収納袋1の周辺部の少なくとも1箇所以上にあれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、収納袋の技術に関し、より詳細には液状またはゲル状の芳香剤、脱臭剤、殺虫剤などを収納する収納袋に関する。
【符号の説明】
【0024】
1 収納袋
2 表面シート
3 裏面シート
4 外面フィルム
5 内面フィルム
6 周縁部
7 内容物
8 最外層のフィルム層
9 中間層のフィルム層
10 最内層のフィルム層
11a,11b,11c,11d コーナー部
12 辺
13 斜辺
14 摘み片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香剤、防虫忌避剤などの内容物を収納する収納袋であって、
外面を構成するフィルムをガスバリア性を備えるように構成し、この外面フィルムの内側に重なる内面フィルムは芳香剤などの有効成分を通気させる性質を持つ非保香性フィルムの材料で構成され、収納袋の少なくとも一方の面において外面フィルムと内面フィルムとは剥離強度0.01N/15mm〜10N/15mmで接合されていることを特徴とする収納袋。
【請求項2】
収納袋の周辺部の少なくとも1箇所以上に摘み片としての未シール部分を設け、外面フィルムを内面フィルムから剥離するように構成したことを特徴とする請求項1記載の収納袋。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−86871(P2012−86871A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235022(P2010−235022)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】