説明

収納装置

【課題】可動収納体に収納容器を安定して取付けることができる。
【解決手段】収納家具1の格納部2の開口24から出し入れされる可動収納体3と、この可動収納体3に装着される収納容器4とを備えた収納装置25である。前記可動収納体3に、2この可動収納体3を前後方向に区画区分する仕切り体5が設けられると共に、前記格納部の前記開口24を遮蔽するための前記可動収納体3の前板6の裏側に被引掛部7が設けられる。前記収納容器4の後端部に、前記仕切り体5に引掛け可能なフック部8が設けられると共に、前記収納容器4の前端部に前記被引掛部7に引掛け可能な第2フック部9が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家具、キッチン等に設けられる引出などの可動収納体に、小物を収納するための収納容器を取付けた収納装置として特許文献1が従来から知られている。
【0003】
特許文献1に示された収納装置は、収納容器の後端に断面逆U字状のフック部を設け、該フック部を可動収納体である引出内を仕切る仕切体に引っ掛けることで取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4363876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示された収納容器は、後端に設けたフック部のみを仕切体に引っ掛けることで取付けているので、取付けが不安定で、収納容器に上方からの荷重が作用すると、後端のフック部の引っ掛け部分を中心に前下がりに傾いたり、回動したりしやすい。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、可動収納体に収納容器を安定して取付けることができる収納装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収納装置は、収納家具の格納部の開口から出し入れされる可動収納体と、この可動収納体に装着される収納容器とを備えた収納装置であって、前記可動収納体に、この可動収納体を前後方向に区画区分する仕切り体が設けられると共に、前記格納部の前記開口を遮蔽するための前記可動収納体の前板の裏側に被引掛部が設けられ、前記収納容器の後端部に、前記仕切り体に引掛け可能なフック部が設けられると共に、前記収納容器の前端部に前記被引掛部に引掛け可能な第2フック部が設けられることを特徴とする。
【0008】
また、前記可動収納体に前記収納容器が取付けられた状態で、前記収納容器の底面が、前記可動収納体の底面と非接触となることが好ましい。
【0009】
また、前記仕切り体及び前記被引掛部が前記可動収納体の略全巾方向にわたって設けられ、前記可動収納体の巾方向の任意の位置に、前記収納容器が配置可能となっていることも好ましい。
【0010】
また、前記フック部に装着可能な係合部を有すると共に、前記被引掛部に前記第2フック部を引掛けたときに、下端が前記可動収納体の底面に接触可能なアジャスターを別体として備えられていることも好ましい。
【0011】
また、前記フック部、前記第2フック部が同じ高さで且つ同じ断面形状であることも好ましい。
【0012】
また、前記前板の上辺に左右方向にわたって把手体が備えられ、この把手体の裏側の一部に前記被引掛部が設けられることも好ましい。
【0013】
また、前記被引掛部は、一部又は全部が前記前板の厚み内に位置していることも好ましい。
【0014】
また、前記収納容器は、浅い容器部と深い容器部が一体に形成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、可動収納体に備わっている前板、仕切り体を用いて、収納容器を可動収納体に安定して取付けができて、収納容器が前下がりに傾いたり、回動したりするのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の断面図である。
【図2】同上の可動収納体に収納容器を取付けた状態の一部省略斜視図である。
【図3】同上に用いる収納容器を示し、(a)は斜視図であり、(b)は上下逆にした状態の斜視図である。
【図4】同上の他の実施形態を示し、(a)は一部破断した斜視図であり、(b)は断面図である。
【図5】同上の更に他の実施形態を示し、(a)は一部破断した斜視図であり、(b)は断面図である。
【図6】同上のアジャスターで支持した例を示す断面図である。
【図7】(a)は同上の収納容器とアジャスターを示す分解斜視図であり、(b)は同上のアジャスターを装着した状態の斜視図である。
【図8】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【図9】同上の一部省略した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
収納装置25は、図1に示すように収納家具1の格納部2の開口24から出し入れされる可動収納体3と、この可動収納体3に装着される収納容器4とを備えている。
【0019】
収納家具1としては、例えば、キッチン床面に設置されるキッチンキャビネットを例示できるが、その他の家具であってもよい。
【0020】
可動収納体3は収納家具1に設けた格納部2に出し入れ自在に収納される。可動収納体3には前板6が設けてあり、この前板6は可動収納体3を格納部2に収納した状態で、格納部2の前面の開口24を遮蔽する扉を構成している。
【0021】
可動収納体3は、引出し、開き扉の裏面にバスケットなどの収納部を備えたもの、手前回動式昇降収納体等、収納家具1に設けた格納部2に出し入れ自在に収納されるものであれば、特に限定されない。
【0022】
以下の実施形態においては、可動収納体3として引出しを例として説明する。
【0023】
引出しを構成する可動収納体3は、図1、図2に示すように、底面を構成する底面構成体15の前後、左右に前面構成体、後面構成体16、側面構成体17を設けて上方に開口する箱状に形成している。
【0024】
前面構成体は前板6で構成しており、前板6は後面構成体16、側面構成体17より背が高くなっている。
【0025】
この前板6は、背面上部に被引掛部7を設けている。図1、図2に示す実施形態では前板本6の背面上部にフック金具21を取付けて被引掛部7を構成している。
【0026】
側面構成体17は、底面構成体15上に立設された側壁19と、前面構成体である前板6の左右両端と後面構成体16の左右両端間にそれぞれ架設されて前記側壁19の上方に位置する棒状の側面ガード体20とで構成している。
【0027】
仕切り体5は両側の側面構成体17間に架設されるもので、添付図面に示す実施形態は棒状をした仕切り体5の例を示しており、仕切り体5を架設することで可動収納体3内を前後方向に仕切って区画区分している。
【0028】
収納容器4は、左右方向の巾寸法が可動収納体3の左右両側面構成体17間の寸法と略同じ、又は、短く構成している。図1には収納容器4の左右方向の巾寸法が可動収納体3の左右両側面構成体17間の寸法より短い例を示している。
【0029】
この収納容器4には、図3に示すように、後端(図の実施形態では後端下部)に前記仕切り体5に引掛け可能なフック部8を設けており、このフック部8は断面逆L状をしている。また、収納容器4には、前端(図の実施形態では前端上部)に前板6の背面上部に設けた被引掛部7に引掛け可能な第2フック部9を設けており、この第2フック部9は、断面逆U状をしている。
【0030】
また、図3に示す実施形態では、フック部8は収納容器4の後面から後方に突出して形成しており、また、第2フック部9は収納容器4の前面から前方に突出して形成している。
【0031】
収納容器4は可動収納体3に上方から着脱自在に装着する。
【0032】
収納容器4を可動収納体3に装着するには、図1に示すように、フック部8を仕切り体5に引掛けると共に第2フック部9を前板6背面に設けた被引掛部7に引掛けることで装着する。
【0033】
このように、収納容器4の前後をそれぞれ引掛けて支持するので、収納容器4に荷重が作用しても収納容器4が傾いたり、回動したりすることなく、安定して装着できる。
【0034】
また、収納容器4の前端部を前板6で支持できるので、部材の簡略化が図れると共に、可動収納体3の形状を保持する構造部材の一つである前板6で収納容器4からの荷重を受けることができて、収納容器4の支持が安定する。
【0035】
また、前板6と収納容器4の前端との間に隙間が生じないように支持することが可能となり、収まりが良くなると共に、前記隙間からゴミなどがこぼれ落ちるのを抑制することが可能となる。
【0036】
ここで、仕切り体5及び被引掛部7を可動収納体3の略全巾方向にわたって設け、収納容器4の左右方向の巾寸法が可動収納体3の左右両側面構成体17間の寸法よりも短い場合は、可動収納体3の左右方向(巾方向)の任意の位置に、収納容器4を配置できる。
【0037】
前記のように収納容器4を可動収納体3に装着した状態で、収納容器4の底面が、可動収納体3の底面を構成する底面構成体に非接触となり、可動収納体3内の収納容器4の底面より下方に容器下収納空所23が形成されることになる。
【0038】
したがって、可動収納体3内に、収納容器4が上の収納部となり、容器下収納空所23が下の収納部となる上下2段収納構造を構成できる。
【0039】
これにより、頻繁に使用する収納物を上の収納部である収納容器4に収納し、あまり頻繁に使用しない小物を下の収納部である容器下収納空所23に収納するといった利用形態が可能となる。
【0040】
また、収納容器4の左右方向の巾寸法が可動収納体3の左右両側面構成体17間の寸法よりも短い場合、可動収納体3の前板6のすぐ後ろの収納容器4を配設していない部分においては、収容容器4の底面上に背の高い収納物を収納することができる。
【0041】
ここで、図1に示すように、被引掛部7を、仕切り体5より上方に位置させ、第2フック部9をフック部8より上方に位置させた構成にすると、収納容器4の上部又は大部分を側面構成体17よりも上方に配設することができる。
【0042】
この結果、収納容器4の下方の容器下収納空所23の上下高さが高くなり、収納量を増やすことができる。
【0043】
図4には前板6の背側に被引掛部7を設ける他の実施形態を示している。
【0044】
本実施形態においては、前板本体18の上端辺に左右方向の全長にわたって把手体10を設け、この把手体10の背側の一部に被引掛部7を設けている。
【0045】
把手体10はアルミニウムの押し出し成形により形成され、把手体10の背面下部に上方が開口する溝状をした被引掛部7が把手体10の全長にわたって(左右方向にわたって)把手体10と一体に形成される。
【0046】
このように、把手体10に被引掛部7を一体に設けることで、前述の実施形態のようなフック金具21を別途必要とせず、部品の共用化が図れ、コストダウンが図れる。
【0047】
図5には前板6の背側に被引掛部7を設ける他の実施形態を示している。本実施形態は、溝状に形成された被引掛部7を前板6の背側に設けるに当り、被引掛部7の一部又は全部を前板6の厚み内に位置するように構成している。これにより、被引掛部7の前板6の背面からの出っ張りをゼロ、又は、短くでき、前板6裏の掃除等の利便性が向上する。
【0048】
図5の実施形態は、溝状に形成された被引掛部7の全部が前板6の厚み内に位置して被引掛部7が前板6の背面から張り出さないよう形成した例を示している。
【0049】
本例においては、把手体10の前後巾内に背面側に開口する掘り込み溝形状の被引掛部7を左右方向の全長にわたって形成した例を示している。もちろん、前板本体18の上部に上部が背面側に開口する掘り込み溝形状の被引掛部7を左右方向の一部又は全長にわたって形成してもよい。
【0050】
前記各実施形態においては、フック部8を仕切り体5に引掛けると共に第2フック部9を前板6背面に設けた被引掛部7に引掛けた例を示している。しかし、仕切り体5による可動収納体3内の前後方向の仕切り位置を変更すると、フック部8を仕切り体5に引掛けることができず、収納容器4が前端部の第2フック部9部分でしか支持されない場合が生じる。
【0051】
そこで、このような場合は、図6、図7示すような別体のアジャスター12を用いて収納容器4の後端部を支持するようにするのが好ましい。
【0052】
アジャスター12は、フック部8に装着可能な係合部11を上端部に設けている。そして、係合部11をフック部8に装着した状態で被引掛部7に前記第2フック部9を引掛けることで、アジャスター12の下端が可動収納体3の底面に接触するように構成している。
【0053】
これにより、収納容器4は前端部が第2フック部9を介して前板6で支持され、後端部がフック部8、アジャスター12を介して可動収納体3の底面構成体15で支持され、収納容器4の前端部、後端部が安定して支持されることになる。
【0054】
ところで、収納容器4は全体が同じ深さに形成してもよいが、図8、図9のように、浅い容器部13と深い容器部14を一体に形成して収納容器4を構成してもよい。図8、図9の実施形態では浅い容器部13と深い容器部14を左右方向に並設している。
【0055】
この実施形態においては、浅い容器部13に背の低い収納物を収納し、深い容器部14に背の高い収納部を収納することができる。
【0056】
この場合、浅い容器部13、深い容器部14とも、下部又は全体が液体が漏れないような非孔あき構造とすることで、収納物から汚れ汁等がこぼれても、浅い容器部13、深い容器部14の底部で受けて、底面構成体15に汚れ汁垂れが直接付着しないようにできる。
【0057】
また、被引掛部7と仕切り体5を同じ高さとすると共に、第2フック部9とフック部8を同じ高さとしてもよい。
【0058】
この場合、第2フック部9、フック部8の断面形状を同じ形状にすると、収納容器4を前後逆にしても装着でき、収納容器4の装着方向を問わない。
【0059】
特に、図8、図9のように浅い容器部13と深い容器部14を左右方向に並設して構成した収納容器4においては、収納容器4を前後逆に装着することで、浅い容器部13と深い容器部14の位置関係を左右逆にできる。
【0060】
本実施形態は、浅い容器部13と深い容器部14の左右位置の選択が自由になるので、利用者の使い勝手を向上できる。
【符号の説明】
【0061】
1 収納家具
2 格納部
3 可動収納体
4 収納容器
5 仕切り体
6 前板
7 被引掛部
8 フック部
9 第2フック部
10 把手体
11 係合部
12 アジャスター
13 浅い容器部
14 深い容器部
24 開口
25 収納装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納家具の格納部の開口から出し入れされる可動収納体と、この可動収納体に装着される収納容器とを備えた収納装置であって、
前記可動収納体に、この可動収納体を前後方向に区画区分する仕切り体が設けられると共に、前記格納部の前記開口を遮蔽するための前記可動収納体の前板の裏側に被引掛部が設けられ、
前記収納容器の後端部に、前記仕切り体に引掛け可能なフック部が設けられると共に、前記収納容器の前端部に前記被引掛部に引掛け可能な第2フック部が設けられることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記可動収納体に前記収納容器が取付けられた状態で、前記収納容器の底面が、前記可動収納体の底面と非接触となることを特徴とする請求項1記載の収納装置。
【請求項3】
前記仕切り体及び被引掛部が前記可動収納体の略全巾方向にわたって設けられ、前記可動収納体の巾方向の任意の位置に、前記収納容器が配置可能となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の収納装置。
【請求項4】
前記フック部に装着可能な係合部を有すると共に、前記被引掛部に前記第2フック部を引掛けたときに、下端が前記可動収納体の底面に接触可能なアジャスターを別体として備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記フック部、前記第2フック部が同じ高さで且つ断面形状が同じであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項6】
前記前板の上辺に左右方向にわたって把手体が備えられ、この把手体の裏側の一部に前記被引掛部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項7】
前記被引掛部は、一部又は全部が前記前板の厚み内に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項8】
前記収納容器は、浅い容器部と深い容器部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の収納装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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