説明

収納部付き墓参用ローソク立て

【課題】ローソクへの着火容易性と物品の収納性を併せ持った収納部付きの墓参用ローソク立てを提供する。
【解決手段】開閉可能な蓋板を有する中空箱体よりなる台箱を設け、一方、ローソク立て保持部を有する下板周囲に、適宜支持部材にて通気孔を有する複数枚の風防板を上方に向けて配設するとともに、選択した風防板を上下にスライド可能に設けて風防ケースを構成し、該風防ケースを台箱上面適所に取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、墓参時に使用して便利なる収納部付きの墓参用ローソク立てに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、墓参時には墓石に装備されているローソク立て、線香立てや花立てなどを用いて各々対応していることが多い。また、ローソク立て周囲に取り付けて使用する風よけのための透明ケースや、ローソク立て部分と透明ケースが着脱可能に構成された墓参灯も市販されているが、本発明にて示すように、ローソク立て部分と風よけ部分を有するとともに、物品収納部分も有する物品は現在のところ見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
墓参時は一般に墓を清掃し、ローソクと線香を立てて各々に着火し、花を立てて墓参りするのが慣例となっている。この着火時においてライターやマッチを用いることが多いが、風が吹くとこの着火がスムースに行われず、何度も着火を行って時間がかかることがある。
そのため、手や物品にて風をさえぎることも行われるが、それでも着火に手間取るものである。そのために墓参灯なる商品が市販されている。
これは、ローソク立て部分の周囲に透明な風防板を着脱可能に設けたものであり、ローソクの火は着火後は風が当たらず安定して燃え続ける。しかし、問題はその着火時である。
つまり、この風防板を取り外して着火し、着火したらすみやかに風防板をセットするのであるが、この着火時に風が吹くとやはり着火に手間取ることとなる。また、線香に着火する場合も同様のことがいえる。そして、このローソクや線香は墓参の度に持参しなければならない。
本発明は、以上のような従来からの墓参に関わる課題を解決するために発明されたもので、ローソク等の容易なる着火と着火後の安定燃焼が得られるとともに、墓参時に用いる物品の収納保管を可能とする新規かつ有用なる物品を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は、蓋板を有する台箱上面にスライド可能な可動透明板を有するケースを設けてその主要部を構成した。
すなわち、開閉可能な蓋板を有する中空箱体よりなる台箱を設け、一方、ローソク立て保持部を有する下板周囲に、適宜支持部材にて通気孔を有する複数枚の風防板を上方に向けて配設するとともに、選択した風防板を上下にスライド可能に設けて風防ケースを構成し、該風防ケースを台箱上面適所に取り付ける。
本発明は以上の構成よりなる収納部付き墓参用ローソク立てである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、下記の効果を有する。
1.可動透明板を上方にスライドさせてローソクに着火できるため、着火時の風による着火不良を防ぐことができ、風防板を有するため着火後のローソク安定燃焼を得ることができる。
2.蓋板を有する台箱によりローソクや線香等を収納保管することができる。
3.墓石に固定することにより、ローソクその他の物品を墓参の度に持参する必要がない。
4.台箱とケースを着脱可能形式とすれば、各々独立して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は木箱による台箱で、複数枚の木板固着にて形成され、その前面には蝶番2により開閉可能となる蓋板3が設けられる。4は市販の止め金具で、板体に環体が回動可能に設けられた雄片と、板体に対し蝶番方式にて回動可能であるとともに適宜形状の穴を有する湾曲板体を有する雌片とにより構成されたもので、蓋板上部にこの雌片の固定部が螺着され、雄片の固定部は台箱前面上部と、台箱前部上面に固着される細長木板による当て板5にかけて螺着される。この止め金具は環体の位置によって係止および係止解除が可能であり、この止め金具の係止にて蓋板は台箱に固定され、係止解除にて蓋板は蝶番を回動中心として回動可能となり、蓋を開けることができる。6は台箱下面に固着される細長板体による脚板である。
10は台箱上面に固着される風防ケースである。この風防ケースは四角板による下板11の四隅をL形に切除し、この切除部分に接して細長四角棒による柱体12を4本固着立設し、この柱体上面に四角枠状の枠板13を固着し、この枠板上に、金属板を側面視略三角状に折曲してなる天板14を固着して主要部が構成される。また、図7にて示すように、柱体には断面小四角状の溝15が上部から下部に向けて刻設され、この溝内に透明合成樹脂板による風防板16が挿入保持される。この風防板のうち、前方に位置する板は可動透明板17としてやや長く形成され、その上部は柱体より上方に突出し、溝に沿って上下にスライド可能である。なお、前記の下板の所定部分にも溝が刻設され、各風防板の下端が当接している。また、各柱体の上部は横木18にて固着接続される。
【0007】
各風防板の上部と下部には複数個の円形孔による通気孔として、上部通気孔19および下部通気孔20が各々設けられる。また、天板には四角状の切除部による通気部21が設けられる。なお、図8においては、図の煩雑を避けるため、後方の通気孔は省略して表現した。22は下板中央部分に四等配に突設される木ねじによるローソク立て保持部であり、この木ねじをガイドとして市販のローソク立て30が保持載置される。
このローソク立ては、図2〜図3にて示すように、段部を有する円形体で合成樹脂製であり、その中心にローソクを保持するための芯棒が立設し、芯棒より少し距離を持って円形孔31が四等配にて上下に貫通位置したものであるが、本実施形態においてはこの芯棒を取り外し、木ねじ32を立設固定している。
以上が本発明の実施形態構成である。なお、図5の仮想線にて示すように市販の上部開放の器を物品収納体40として用い、これにローソクや線香その他の物品を収納して台箱内に収納保管することができる。
【0009】
本発明の使用に際しては、まず図13にて示すように台箱下部の脚板を接着剤にて墓石適所に固着しておき、台箱内にローソクと線香およびライターなどの着火具を収納する。
また、風防ケース所定位置にローソク立てをセットしておく。このセットはローソク立ての円形孔に、下板から突出している木ねじによるローソク立て保持部を挿入することにより行われる。墓参時は、まず止め金具係止を解除して必要物品を取り出し、可動透明板の上部をつまんでやや上方に引き上げ、ローソク立ての芯棒すなわち木ねじにローソク下部の穴を一致させて少しねじりながら挿入する。木ねじには螺旋状の凸部があり、このねじ込みにてローソクは凸部にくい込んで安定保持される。
次ぎにライター等にて起火し、その炎にてローソクに着火する。この着火時においては正面の可動透明板下端がやや上方に位置するのみでその他の方向については風防板が位置し、着火時に風が吹いても着火の妨げになることはない。着火後は可動透明板を下げて初期位置とし、墓参することができる。また、ローソク着火後に可動透明板を下げずに、このローソクの炎を利用して線香に着火してもよい。墓参後は上述と逆の操作にて墓参前状態に戻して終了する。なお、盗難に配慮して止め金具に施錠してもよい。
本例においては風防板の上下部に通気孔を有し、天板にも通気部を有するので燃焼に必要な空気流通が得られ、また天板は三角形状のため風防ケース内への雨水の直接的な侵入を防ぎ、その形状から天板を取っ手代わりに用いることができる。
【0010】
図8〜図12は本発明の他の実施形態を示すもので、台箱と風防ケースを分離可能に構成したものである。すなわち、台箱上面と風防ケースの下板下面に対応個所に正面視L形の金属板による取り付け板41と42を各々固着したものである。これらの取り付け板はその折曲方向を違えて設けられ、図12にて示すように互いに押圧接触可能に形成される。
従って、台箱後方からこれらの取り付け板がはまり込むように風防ケースをスライドさせ、風防ケース前面が当て板に当接するまで押しこむことにより前例と同様形状となる。
本例は台箱と風防ケースを各々単独に使用できることに特徴があり、例えば台箱のみを墓石に固着しておき、風防ケースは墓参時に持参する、あるいは台箱を用いずに風防ケースのみを使用することも可能である。
以上本発明について記したが、既述の実施形態は実施の一例であり、近似の他の構成としてもよい。以上のごとく、本発明によってローソク等への着火容易性と着火後の安定燃焼が得られ、かつ必要物品の収納保管も可能とする墓参用の物品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の平面図
【図2】本発明のローソク立ての拡大平面図
【図3】本発明のローソク立ての拡大正面図
【図4】本発明の正面図
【図5】本発明の右側面図
【図6】A−A拡大断面図(一部略)
【図7】B−B拡大断面図
【図8】本発明の他例における風防ケースの正面図
【図9】本発明の他例における台箱の正面図
【図10】本発明の他例における風防ケースの右側面図
【図11】本発明の他例における台箱の右側面図
【図12】本発明の要部構造説明図(風防ケースと台箱の取付部左方)
【図13】本発明の使用状態図(正面視)
【符号の説明】
【0012】
1 台箱
2 蝶番
3 蓋板
4 止め金具
5 当て板
6 脚板
10 風防ケース
11 下板
12 柱体
13 枠板
14 天板
15 溝
16 風防板
17 可動透明板
18 横木
19 上部通気孔
20 下部通気孔
21 通気部
22 ローソク立て保持部
30 ローソク立て
31 円形孔
32 木ねじ
40 物品収納体
41 取り付け板
42 取り付け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な蓋板を有する中空箱体よりなる台箱を設け、一方、ローソク立て保持部を有する下板周囲に、適宜支持部材にて通気孔を有する複数枚の風防板を上方に向けて配設するとともに、選択した風防板を上下にスライド可能に設けて風防ケースを構成し、該風防ケースを台箱上面適所に取り付けたことを特徴とする収納部付き墓参用ローソク立て。
【請求項2】
台箱と風防ケースを着脱可能に設けてなる請求項1記載の収納部付き墓参用ローソク立て。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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