取り出し装置および取り出し装置を備えた物品払い出し装置
【課題】本発明の取り出し装置は、すべての球状体をかき混ぜること、球状体が外部から見えること、球状体を補充することが容易であること、球状体を傷つけないこと、確実に1つの球状体を取り出すことを目的とする。
【解決手段】本発明の取り出し装置は、多数の同一形状の球状体を格納する円筒形のドラムと、ドラムを覆うドラムカバーを備えている。ドラムは、円筒形かつ透明な筒部と、筒部の中心線が回転軸となるように形成された軸部と、球状体を入れるための挿入口と、挿入部と円筒の軸方向にずれた位置にある球状体を出すための排出口と、排出口との間に球状体を1つのみ保持できる排出口カバーと、ドラムの回転に伴って球状体を排出口カバーに導くためのドラムガイドシートとを有する。ドラムカバーは、球状体を出すための取り出し口を持つドラムバックカバーと、ドラムバックカバーと分離可能かつ透明なドラムフロントカバーとを有する。
【解決手段】本発明の取り出し装置は、多数の同一形状の球状体を格納する円筒形のドラムと、ドラムを覆うドラムカバーを備えている。ドラムは、円筒形かつ透明な筒部と、筒部の中心線が回転軸となるように形成された軸部と、球状体を入れるための挿入口と、挿入部と円筒の軸方向にずれた位置にある球状体を出すための排出口と、排出口との間に球状体を1つのみ保持できる排出口カバーと、ドラムの回転に伴って球状体を排出口カバーに導くためのドラムガイドシートとを有する。ドラムカバーは、球状体を出すための取り出し口を持つドラムバックカバーと、ドラムバックカバーと分離可能かつ透明なドラムフロントカバーとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納された多数の同一形状の球状の物等の中から1つをランダムに取り出す取り出し装置および取り出し装置を備えた物品払い出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、おもちゃ等が入ったカプセル(球に近い形状の物(以下、「球状体」という。))を多数入れておき、ハンドルを回すことで、1つの球状体のみを取り出す装置がある(特許文献1)。特許文献1の装置では、物品収納ケースの底部に、回転盤が回転自在に設けられ、回転盤の周囲にはカプセル等を収容するいくつかの収容孔が設けられている。そして、ハンドルを回すと、ハンドルに連結された回転盤が回転することで、カプセル等が1つ取り出される。
【0003】
このような取り出し装置に蓄えられるカプセルは、一般的には透明なものが用いられており、内部のおもちゃ等が見える構造となっている。カプセル内部が見えることは、どんなおもちゃが取り出されるのかを知ると同時に、取り出そうとする人に期待を持たせる効果がある。しかし、従来の構造の場合、物品収納ケース内のカプセルをかき混ぜる(攪拌する)機能はない。また、物品収納ケースの上部や外壁に近いカプセルは見ることができるが、取り出されそうなカプセルを見ることができない。したがって、取り出そうとする人の気持ちを高める効果を得ることが難しかった。
また、このような取り出し装置には、球状体(カプセルなど)を補充することが容易であること、球状体を傷つけないこと、確実に1つの球状体を取り出すことが求められる。
【0004】
一方、番号が付されたボールや着色された玉を多数格納しておき、格納された物全体をかき混ぜながら1つを取り出す装置として、ビンゴゲーム用や福引用の玉(ボール)を取り出す装置が従来からある。このように格納されている物全体をかき混ぜれば、ゲーム性を高めることができる。しかし、これらの取り出し装置では、取り出される物が商品ではない。また、ほぼ完全な球形である。したがって、これらの装置を用いておもちゃ等が入ったカプセルを取り出そうとすると、傷を付けないこと、確実に1つ取り出すことなどの条件を満足できない。また、カプセルやボールは、格納されたドラムから直接外部に取り出されるため、常に確実に同じ方向に排出されることが困難であり、取り出されたカプセルやボールを受ける大きな受け皿等が必要であった。
【特許文献1】特開2004−334911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、格納されているすべての球状体(カプセルなど)をかき混ぜること、取り出される可能性のある球状体(カプセルなど)が外部から見えること、球状体(カプセルなど)を補充することが容易であること、球状体を傷つけないこと、確実に1つの球状体を取り出すこと、確実に同じ方向に取り出すことを満足する取り出し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の取り出し装置および物品払い出し装置は、多数の同一形状の球状の物(以下、「球状体」という。)を格納する円筒形のドラムと、ドラムを覆うドラムカバーを備えている。ドラムは、円筒形かつ透明な筒部と、筒部の側面を塞ぐ2つの側部と、筒部の中心線が回転軸となるように形成された軸部と、筒部の一部に形成された球状体を入れるための挿入口と、筒部の一部であって挿入部と円筒の軸方向にずれた位置に形成された球状体を出すための排出口と、筒部の内側に形成され、排出口との間に球状体を1つのみ保持できる排出口カバーと、ドラムの回転に伴って球状体を排出口カバー内に導くための湾曲した板状のドラムガイドシートとを有する。ドラムカバーは、排出口と重なったときに球状体を出すための取り出し口を持つドラムバックカバーと、ドラムバックカバーと分離可能かつ透明なドラムフロントカバーとを有する。
【0007】
また、ドラムガイドシートは、筒部の内側と接触し、球状体をすくい上げる筒接触部と、排出口カバーと接し、球状体を前記排出口カバー内に入れる排出口カバー接触部と、排出口カバーから回転軸の方向に最も遠い位置にある先端部とを有し、ドラムガイドシートを前記回転軸と垂直な面で切った時のドラムガイドシートの曲率半径は、排出口カバー接触部では、前記球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上の大きさであり、先端部に近づくほど、曲率半径が小さくなる。さらに、取り出し口から球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部と、ドラムの回転を停止させる停止部も備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、球状体を格納している円筒形のドラムを回転させるので、すべての球状体をかき混ぜることができる。円筒形のドラムの筒部が透明であり、ドラムカバーのドラムフロントカバーが透明なので、取り出される可能性のある球状体(カプセルなど)が外部から見える。ドラムフロントカバーが分離可能であり、回転自在のドラムが挿入口を有しているので、球状体(カプセルなど)を補充することが容易である。ドラムの回転によって球状体をかき混ぜるだけなので、球状体を傷つけにくい。排出口カバーが排出口との間に球状体を1つのみ保持できるので、確実に1つの球状体を取り出せ、確実に同じ方向に取り出すことができる。さらには、取り出し口から球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部とドラムの回転を停止させる停止部を備えることによって、より確実に1つの球状体を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1実施形態]
構造
図1に本発明の取り出し装置の構成例を示す。本発明の取り出し装置は、商品等の物品を払い出す装置に組み込まれ、物品を取り出す手段として機能する。物品を払い出す装置とは、例えば、コイン等を挿入したことを検出し、コイン等の挿入を条件にハンドルの回転を止めるロックが外れ、ハンドルを回転させる等によって機械的に商品を払い出す商品販売装置や、コイン等の挿入を条件に電気的機構により商品を払い出す商品販売装置、ビンゴゲームや福引用のボール等を取り出す抽選装置である。取り出し装置100は、少なくとも球状体などの物品(例えば、おもちゃが入ったカプセルなど)を複数個格納できるドラム200と、ドラム200を覆うドラムバックカバー310とドラムフロントカバー350を備えている。
【0010】
図2は、ドラム200の構成例を示す図である。ドラム200は、円筒形(円柱状)かつ透明な筒部210、筒部210の側面を塞ぐ2つの側部220、225、筒部210の中心線が回転軸となるように形成された軸部230、235、筒部の一部に形成された球状体を入れるための挿入口240、筒部の一部であって、挿入部と筒部210の軸方向にずれた位置に形成された球状体を出すための排出口250、筒部の内側に形成され、排出口250との間に球状体を1つのみ保持できる排出口カバー260、ドラム200の回転に伴って、球状体を排出口カバー260内に導くために、筒部210の内側に形成された湾曲した板状のドラムガイドシート270から構成される。図3に、ドラムガイドシート270と排出口カバー260の詳細な形状の例を示す。ドラムガイドシート270には、筒部210の内側と接触し、球状体をすくい上げる筒接触部271、排出口カバー260と接し、球状体を排出口カバー内に入れる排出口カバー接触部272、排出口カバー260から回転軸の方向に最も遠い位置にある先端部273がある。ドラムガイドシート270を回転軸と垂直な面で切った場合、排出口カバー接触部272での曲率半径は、球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上大きい。そして、先端部273に近づくほど、曲率半径が小さくなる。このように、曲率半径が、先端部273ほど小さくなっているので、すくい上げられた球状体は、排出口カバー260の方向に転がる。また、排出口カバー260の内部には、球状体が1つのみ入る。その他の球状体はドラム200の底に転がり落ちる。なお、排出口カバー260は、球状体等の物品を1つのみではなく、1つ以上保持できる大きさでもよい。また、ドラムガイドシート270を有さず、ドラム200が回転して排出口カバー260が最下部付近に位置したときに、物品が転がることまたは他の物品に押されることにより、排出口カバー260内に挿入され、排出口カバー260が物品を保持する物品保持部として機能してもよい。
【0011】
図1に示したドラムバックカバー310とドラムフロントカバー350の両方で、ドラムカバー300が構成される(ただし、図1中に、番号300は示されていない。)。ドラムバックカバー310は、ドラム200の筒部210の中心線がほぼ水平となるように、ドラム保持部380に保持されている。図1の例では、ドラムバックカバーとドラム保持部とは、別々の構成部としているが、ドラム保持部を一体化したドラムバックカバーでもよい。ドラムバックカバー310は、球状体を取り出す取り出し口320を有している。取り出し口320の法線方向は、水平よりもあらかじめ定めた角度だけ下を向いている。これは、球状体が取り出し口320の位置に来た時に、重力によって取り出されるためである。「あらかじめ定めた角度」は、排出口カバー260や球状体の材質によって、個別に定める必要があるが、重力によって取り出せればよい。取り出された球状体は、図示されていないが、パイプ、ガイドレールなどによって人が取りやすい位置に導かれるようにすればよい。なお、機械的に取り出す手段を付加すれば、取り出し口320の法線方向を水平または水平よりも上に向けてもよい。
【0012】
ドラムフロントカバー350は、透明であり、ドラムバックカバー310から分離可能になっている。ただし、分離可能とは、完全に分離できることを意味するだけでなく、ヒンジ等によってドラムフロントカバー350が開くことも含む。図1の例では、ドラム200は、ターンベルト410を介してモータ部400によって回転するが、ドラム200を手で回すこととしても良く、他の方法で回転させてもよい。このように、球状体を格納しているドラム200を回転させるので、すべての球状体をかき混ぜる(攪拌する)ことができる。
【0013】
ドラム200とドラムフロントカバー350とは透明な材質(例えば、アクリルやABS)でできており、ドラム200全体が回る構造なので、ドラムフロントカバー350側から、取り出される可能性のある球状体が目視可能となっている。
【0014】
取り出し装置100は、この装置単体として用いるだけでなく、コンピュータなどの制御装置と接続してモータ部400を制御してもよい。また、1つのコンピュータで複数の取り出し装置を制御してもよい。また、図1のLED部510、520のように、取り出し装置100を装飾するための構成部を取り付けてもよい。
【0015】
球状体を取り出す方法
図4から図10を用いて、ドラム200内から、1つの球状体のみが取り出される方法を説明する。図4、図5、図6A、図7A、図8は、ドラム200とドラムカバー300を、取り出し口320付近で回転軸と垂直な面で切った場合の断面図に、ドラムガイドシート270を付加した図である。図6Bと図7Bは、ドラム200とドラムカバー300を、ドラムフロントカバー350とドラムバックカバー310の境界部分で切り、ドラムフロントカバー側から見た図である。図9と図10は、ドラム200とドラムカバー300を、取り出し口320付近で回転軸と垂直な面で切った場合の断面図である。各図には球状体900が4つ示されているが、4つに限る必要はなく、筒部210の直径を大きくすれば、多数の球状体を格納することができる。
【0016】
図4は、ドラムガイドシート270が上にある場合の様子を示す断面図である。球状体900は筒部210の底にある。図5は、ドラムガイドシート270の筒接触部271が、下に来た場合の断面図である。筒接触部271が、球状体900をすくい上げている。
【0017】
図6Aと図6Bは、ドラムガイドシート270がすくい上げた球状体900を排出口カバー260側に転がしている様子を示す断面図である。構造の説明で示したように、ドラムガイドシート270を回転軸と垂直な面で切った場合、排出口カバー接触部272での曲率半径は、球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上大きい。そして、先端部273に近づくほど、曲率半径が小さくなる。このように、曲率半径が、先端部273に近づくほど小さくなっているので、排出口カバー接触部272側の方が、先端部273側よりも低くなる。よって、すくい上げられた球状体は、排出口カバー260の方向に転がる。一般的に球状体は、曲率半径が大きい方向と垂直の方向に転がる。したがって、球状体900を転がりやすくするために、球状体900とドラムガイドシート270とを1点で接触させようとすれば、ドラムガイドシート270の曲率半径を球状体の最も大きい曲率半径よりも大きくしなければならない。しかし、実際の転がりやすさは、ドラムガイドシート270、球状体900の材質などによって異なるので、ドラムガイドシート270の曲率半径の方が、球状体900の最も大きい曲率半径よりも小さい場合でも、十分に転がる場合もある。このような理由で、上記の「排出口カバー接触部272での曲率半径は、球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上大きい。」の「あらかじめ定めた値」とは、ドラムガイドシート270、球状体900の材質などから個別に設計し、定めればよい。また、「あらかじめ定めた値」とは、正の値(排出口カバー接触部272での曲率半径の方が、球状体の最も大きい曲率半径より大きくなる値)とは限らず、負の値(排出口カバー接触部272での曲率半径の方が、球状体の最も大きい曲率半径より小さくなる値)の場合もある。
【0018】
図7Aと図7Bは、ドラムガイドシート270が1つの球状体900を排出口カバー260内に導くと共に、他の球状体900が転がり落ちている様子を示している。ドラム200が回転し、ドラムガイドシート270が上の方に移動すると、ドラムガイドシート270が傾く。したがって、排出口カバー260に誘導されなかった球状体900は、ドラム200の底に転がり落ちる。このように、ドラム200の回転による球状体900に加わる衝撃は、ドラムガイドシート200から転がり落ちる程度なので、球状体900を傷つける可能性が低い。なお、後述するように、排出口250と取り出し口320とが重なった場合には、取り出し口320から球状体900が重力によって取り出される。2つ以上の球状体900が取り出されないようにするためには、排出口250と取り出し口320とが重なる位置では、ドラムガイドシート270が、球状体900を保持できない程度に傾いている方がよい。
【0019】
図8は、排出口250と取り出し口320とが重なり、排出口カバー260内に誘導された球状体900が、取り出し口320から取り出される様子を示している。図9に示すように、排出口250が取り出し口320と重なっていない時には、ドラムカバー300があるので、球状体900を取り出すことはできない。図10に示すように、排出口250が、ドラムカバー300の取り出し口320と重なった時に球状体900が重力によって取り出される。なお、上述したように取り出し口320を上向きにした場合には重力では取り出すことができないので、取り出し手段を別途用意する必要がある。
【0020】
また、図9、図10に示すように、取り出し口320の近傍に取り出し検出部510を取り付け、球状体900が取り出されたか否かを識別することができる。このように、取り出し検出部510を取り付けた場合には、以下のようにして、確実に1つのみの球状体900を取り出すことができる。コンピュータなどの制御部(図示されていない)からの指示によって、モータ部400に電流が供給され、ドラム200が回転を始める。取り出し検出部510によって球状体900が取り出されたことが検出されるまでは、モータ部400によって、ドラム200は回転し続ける。そして、取り出し検出部510によって球状体900が取り出されたことが検出された場合に、モータ部400への給電を止め、ドラム200の回転を止める。このように制御すれば、確実に1つのみの球状体900を取り出すことができる。なお、この制御の例ではモータ部400への給電の停止によってドラム200の回転を停止させたが、機械的な手段によってドラム200をロックさせてもよい。例えば、ドラム200を回転させる手段が人手の場合には、機械的な手段で停止させる必要がある。
【0021】
球状体を入れる方法
図11と図12を用いて、球状体900をドラム200内に入れる方法について示す。図11は、ドラムカバー300を軸受部330側から見た図である。この図では軸受部330はドラムバックカバー310に備えられている。また、ドラムバックカバー310とドラムフロントカバー350とはヒンジ360でつながっている。ドラムフロントカバー350は、ヒンジ360を中心に回転することができ、点線で示す位置まで回転すれば、ドラムカバー300の中に手を入れることができる。なお、ヒンジではなくレール等によってドラムフロントカバー350がスライドするようにしてもよいし、フック等を設け、ドラムフロントカバー350を着脱可能にしてもよい。また、取り出し装置100もしくは取り出し装置100が組み込まれている商品を払い出す装置と、ドラムフロントカバー350をヒンジ、レールもしくはフックでつなぐ方法もある。このようにすることで、ドラムフロントカバー350は、ドラムバックカバー310または取り出し装置100に対して着脱または移動可能となる。
【0022】
図12Aは、ドラムフロントカバー350を開いた状態で軸受部330側から見た図である。図12Bは、ドラムフロントカバー350側からドラムカバー300とドラム200を見た図であり、ドラムガイドシート270と排出口カバー260とは省略している。図12Aに示すように、ドラム200を、挿入口240が開口された部分に来るように回転させると、挿入口240から球状体900を容易に入れることができる。したがって、上述の構造であれば、球状体(カプセルなど)を補充することが容易である。また、図12Bに示すように、挿入口240は、排出口250や取り出し口320と、回転軸の方向にずれた位置にある。したがって、ドラム200の回転によって挿入口240が移動しても、挿入口240が取り出し口320と重なることはない。つまり、挿入口240があるために球状体900がドラム200から出てきてしまうことはない。なお、挿入口240と排出口250は別々に開口部として設けてもよいが、1つの開口部で構成し、その開口部の一部または全てが取り出し口320と重なるようにしてもよい。
【0023】
上述のような構造、動作であるので、本発明の取り出し装置によれば、球状体を格納している円筒形のドラムを回転させるので、すべての球状体をかき混ぜることができ、ゲーム性を高めることができる。円筒形のドラムの筒部が透明であり、ドラムカバーのドラムフロントカバーが透明なので、取り出される可能性のある球状体(カプセルなど)が外部から見える。ドラムフロントカバーが分離可能であり、回転自在のドラムが挿入口を有しているので、球状体(カプセルなど)を補充することが容易である。ドラムの回転によって球状体をかき混ぜるだけなので、球状体を傷つけにくい。排出口カバーが排出口との間に球状体を1つのみ保持できるので、確実に1つの球状体を取り出せる。また、排出口と取り出し口が重なった時に取り出されるため、確実に同じ位置で、同じ方向に球状体を取り出すことができる。さらには、取り出し口から球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部とドラムの回転を停止させる停止部を備えることによって、より確実に1つの球状体を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の取り出し装置の構成例を示す図。
【図2】ドラム200の構成例を示す図。
【図3】ドラムガイドシート270と排出口カバー260の詳細な形状の例を示す図。
【図4】ドラムガイドシート270が上にある場合の様子を示す図。
【図5】ドラムガイドシート270の筒接触部271が、下に来た場合の図。
【図6】ドラムガイドシート270がすくい上げた球状体900を排出口カバー260側に転がしている様子を示す図。
【図7】ドラムガイドシート270が1つの球状体900を排出口カバー260内に導くと共に、他の球状体900が転がり落ちている様子を示す図。
【図8】排出口250と取り出し口320とが重なり、排出口カバー260内に誘導された球状体900が、取り出し口320から取り出される様子を示す図。
【図9】排出口250が取り出し口320と重なっていない時には、球状体900を取り出すことはできないことを示す図。
【図10】排出口250が、ドラムカバー300の取り出し口320と重なった時に球状体900が取り出されることを示す図。
【図11】ドラムカバー300を軸受部330側から見た図。
【図12】挿入口240、排出口250、取り出し口320の位置関係を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納された多数の同一形状の球状の物等の中から1つをランダムに取り出す取り出し装置および取り出し装置を備えた物品払い出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、おもちゃ等が入ったカプセル(球に近い形状の物(以下、「球状体」という。))を多数入れておき、ハンドルを回すことで、1つの球状体のみを取り出す装置がある(特許文献1)。特許文献1の装置では、物品収納ケースの底部に、回転盤が回転自在に設けられ、回転盤の周囲にはカプセル等を収容するいくつかの収容孔が設けられている。そして、ハンドルを回すと、ハンドルに連結された回転盤が回転することで、カプセル等が1つ取り出される。
【0003】
このような取り出し装置に蓄えられるカプセルは、一般的には透明なものが用いられており、内部のおもちゃ等が見える構造となっている。カプセル内部が見えることは、どんなおもちゃが取り出されるのかを知ると同時に、取り出そうとする人に期待を持たせる効果がある。しかし、従来の構造の場合、物品収納ケース内のカプセルをかき混ぜる(攪拌する)機能はない。また、物品収納ケースの上部や外壁に近いカプセルは見ることができるが、取り出されそうなカプセルを見ることができない。したがって、取り出そうとする人の気持ちを高める効果を得ることが難しかった。
また、このような取り出し装置には、球状体(カプセルなど)を補充することが容易であること、球状体を傷つけないこと、確実に1つの球状体を取り出すことが求められる。
【0004】
一方、番号が付されたボールや着色された玉を多数格納しておき、格納された物全体をかき混ぜながら1つを取り出す装置として、ビンゴゲーム用や福引用の玉(ボール)を取り出す装置が従来からある。このように格納されている物全体をかき混ぜれば、ゲーム性を高めることができる。しかし、これらの取り出し装置では、取り出される物が商品ではない。また、ほぼ完全な球形である。したがって、これらの装置を用いておもちゃ等が入ったカプセルを取り出そうとすると、傷を付けないこと、確実に1つ取り出すことなどの条件を満足できない。また、カプセルやボールは、格納されたドラムから直接外部に取り出されるため、常に確実に同じ方向に排出されることが困難であり、取り出されたカプセルやボールを受ける大きな受け皿等が必要であった。
【特許文献1】特開2004−334911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、格納されているすべての球状体(カプセルなど)をかき混ぜること、取り出される可能性のある球状体(カプセルなど)が外部から見えること、球状体(カプセルなど)を補充することが容易であること、球状体を傷つけないこと、確実に1つの球状体を取り出すこと、確実に同じ方向に取り出すことを満足する取り出し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の取り出し装置および物品払い出し装置は、多数の同一形状の球状の物(以下、「球状体」という。)を格納する円筒形のドラムと、ドラムを覆うドラムカバーを備えている。ドラムは、円筒形かつ透明な筒部と、筒部の側面を塞ぐ2つの側部と、筒部の中心線が回転軸となるように形成された軸部と、筒部の一部に形成された球状体を入れるための挿入口と、筒部の一部であって挿入部と円筒の軸方向にずれた位置に形成された球状体を出すための排出口と、筒部の内側に形成され、排出口との間に球状体を1つのみ保持できる排出口カバーと、ドラムの回転に伴って球状体を排出口カバー内に導くための湾曲した板状のドラムガイドシートとを有する。ドラムカバーは、排出口と重なったときに球状体を出すための取り出し口を持つドラムバックカバーと、ドラムバックカバーと分離可能かつ透明なドラムフロントカバーとを有する。
【0007】
また、ドラムガイドシートは、筒部の内側と接触し、球状体をすくい上げる筒接触部と、排出口カバーと接し、球状体を前記排出口カバー内に入れる排出口カバー接触部と、排出口カバーから回転軸の方向に最も遠い位置にある先端部とを有し、ドラムガイドシートを前記回転軸と垂直な面で切った時のドラムガイドシートの曲率半径は、排出口カバー接触部では、前記球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上の大きさであり、先端部に近づくほど、曲率半径が小さくなる。さらに、取り出し口から球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部と、ドラムの回転を停止させる停止部も備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、球状体を格納している円筒形のドラムを回転させるので、すべての球状体をかき混ぜることができる。円筒形のドラムの筒部が透明であり、ドラムカバーのドラムフロントカバーが透明なので、取り出される可能性のある球状体(カプセルなど)が外部から見える。ドラムフロントカバーが分離可能であり、回転自在のドラムが挿入口を有しているので、球状体(カプセルなど)を補充することが容易である。ドラムの回転によって球状体をかき混ぜるだけなので、球状体を傷つけにくい。排出口カバーが排出口との間に球状体を1つのみ保持できるので、確実に1つの球状体を取り出せ、確実に同じ方向に取り出すことができる。さらには、取り出し口から球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部とドラムの回転を停止させる停止部を備えることによって、より確実に1つの球状体を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1実施形態]
構造
図1に本発明の取り出し装置の構成例を示す。本発明の取り出し装置は、商品等の物品を払い出す装置に組み込まれ、物品を取り出す手段として機能する。物品を払い出す装置とは、例えば、コイン等を挿入したことを検出し、コイン等の挿入を条件にハンドルの回転を止めるロックが外れ、ハンドルを回転させる等によって機械的に商品を払い出す商品販売装置や、コイン等の挿入を条件に電気的機構により商品を払い出す商品販売装置、ビンゴゲームや福引用のボール等を取り出す抽選装置である。取り出し装置100は、少なくとも球状体などの物品(例えば、おもちゃが入ったカプセルなど)を複数個格納できるドラム200と、ドラム200を覆うドラムバックカバー310とドラムフロントカバー350を備えている。
【0010】
図2は、ドラム200の構成例を示す図である。ドラム200は、円筒形(円柱状)かつ透明な筒部210、筒部210の側面を塞ぐ2つの側部220、225、筒部210の中心線が回転軸となるように形成された軸部230、235、筒部の一部に形成された球状体を入れるための挿入口240、筒部の一部であって、挿入部と筒部210の軸方向にずれた位置に形成された球状体を出すための排出口250、筒部の内側に形成され、排出口250との間に球状体を1つのみ保持できる排出口カバー260、ドラム200の回転に伴って、球状体を排出口カバー260内に導くために、筒部210の内側に形成された湾曲した板状のドラムガイドシート270から構成される。図3に、ドラムガイドシート270と排出口カバー260の詳細な形状の例を示す。ドラムガイドシート270には、筒部210の内側と接触し、球状体をすくい上げる筒接触部271、排出口カバー260と接し、球状体を排出口カバー内に入れる排出口カバー接触部272、排出口カバー260から回転軸の方向に最も遠い位置にある先端部273がある。ドラムガイドシート270を回転軸と垂直な面で切った場合、排出口カバー接触部272での曲率半径は、球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上大きい。そして、先端部273に近づくほど、曲率半径が小さくなる。このように、曲率半径が、先端部273ほど小さくなっているので、すくい上げられた球状体は、排出口カバー260の方向に転がる。また、排出口カバー260の内部には、球状体が1つのみ入る。その他の球状体はドラム200の底に転がり落ちる。なお、排出口カバー260は、球状体等の物品を1つのみではなく、1つ以上保持できる大きさでもよい。また、ドラムガイドシート270を有さず、ドラム200が回転して排出口カバー260が最下部付近に位置したときに、物品が転がることまたは他の物品に押されることにより、排出口カバー260内に挿入され、排出口カバー260が物品を保持する物品保持部として機能してもよい。
【0011】
図1に示したドラムバックカバー310とドラムフロントカバー350の両方で、ドラムカバー300が構成される(ただし、図1中に、番号300は示されていない。)。ドラムバックカバー310は、ドラム200の筒部210の中心線がほぼ水平となるように、ドラム保持部380に保持されている。図1の例では、ドラムバックカバーとドラム保持部とは、別々の構成部としているが、ドラム保持部を一体化したドラムバックカバーでもよい。ドラムバックカバー310は、球状体を取り出す取り出し口320を有している。取り出し口320の法線方向は、水平よりもあらかじめ定めた角度だけ下を向いている。これは、球状体が取り出し口320の位置に来た時に、重力によって取り出されるためである。「あらかじめ定めた角度」は、排出口カバー260や球状体の材質によって、個別に定める必要があるが、重力によって取り出せればよい。取り出された球状体は、図示されていないが、パイプ、ガイドレールなどによって人が取りやすい位置に導かれるようにすればよい。なお、機械的に取り出す手段を付加すれば、取り出し口320の法線方向を水平または水平よりも上に向けてもよい。
【0012】
ドラムフロントカバー350は、透明であり、ドラムバックカバー310から分離可能になっている。ただし、分離可能とは、完全に分離できることを意味するだけでなく、ヒンジ等によってドラムフロントカバー350が開くことも含む。図1の例では、ドラム200は、ターンベルト410を介してモータ部400によって回転するが、ドラム200を手で回すこととしても良く、他の方法で回転させてもよい。このように、球状体を格納しているドラム200を回転させるので、すべての球状体をかき混ぜる(攪拌する)ことができる。
【0013】
ドラム200とドラムフロントカバー350とは透明な材質(例えば、アクリルやABS)でできており、ドラム200全体が回る構造なので、ドラムフロントカバー350側から、取り出される可能性のある球状体が目視可能となっている。
【0014】
取り出し装置100は、この装置単体として用いるだけでなく、コンピュータなどの制御装置と接続してモータ部400を制御してもよい。また、1つのコンピュータで複数の取り出し装置を制御してもよい。また、図1のLED部510、520のように、取り出し装置100を装飾するための構成部を取り付けてもよい。
【0015】
球状体を取り出す方法
図4から図10を用いて、ドラム200内から、1つの球状体のみが取り出される方法を説明する。図4、図5、図6A、図7A、図8は、ドラム200とドラムカバー300を、取り出し口320付近で回転軸と垂直な面で切った場合の断面図に、ドラムガイドシート270を付加した図である。図6Bと図7Bは、ドラム200とドラムカバー300を、ドラムフロントカバー350とドラムバックカバー310の境界部分で切り、ドラムフロントカバー側から見た図である。図9と図10は、ドラム200とドラムカバー300を、取り出し口320付近で回転軸と垂直な面で切った場合の断面図である。各図には球状体900が4つ示されているが、4つに限る必要はなく、筒部210の直径を大きくすれば、多数の球状体を格納することができる。
【0016】
図4は、ドラムガイドシート270が上にある場合の様子を示す断面図である。球状体900は筒部210の底にある。図5は、ドラムガイドシート270の筒接触部271が、下に来た場合の断面図である。筒接触部271が、球状体900をすくい上げている。
【0017】
図6Aと図6Bは、ドラムガイドシート270がすくい上げた球状体900を排出口カバー260側に転がしている様子を示す断面図である。構造の説明で示したように、ドラムガイドシート270を回転軸と垂直な面で切った場合、排出口カバー接触部272での曲率半径は、球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上大きい。そして、先端部273に近づくほど、曲率半径が小さくなる。このように、曲率半径が、先端部273に近づくほど小さくなっているので、排出口カバー接触部272側の方が、先端部273側よりも低くなる。よって、すくい上げられた球状体は、排出口カバー260の方向に転がる。一般的に球状体は、曲率半径が大きい方向と垂直の方向に転がる。したがって、球状体900を転がりやすくするために、球状体900とドラムガイドシート270とを1点で接触させようとすれば、ドラムガイドシート270の曲率半径を球状体の最も大きい曲率半径よりも大きくしなければならない。しかし、実際の転がりやすさは、ドラムガイドシート270、球状体900の材質などによって異なるので、ドラムガイドシート270の曲率半径の方が、球状体900の最も大きい曲率半径よりも小さい場合でも、十分に転がる場合もある。このような理由で、上記の「排出口カバー接触部272での曲率半径は、球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上大きい。」の「あらかじめ定めた値」とは、ドラムガイドシート270、球状体900の材質などから個別に設計し、定めればよい。また、「あらかじめ定めた値」とは、正の値(排出口カバー接触部272での曲率半径の方が、球状体の最も大きい曲率半径より大きくなる値)とは限らず、負の値(排出口カバー接触部272での曲率半径の方が、球状体の最も大きい曲率半径より小さくなる値)の場合もある。
【0018】
図7Aと図7Bは、ドラムガイドシート270が1つの球状体900を排出口カバー260内に導くと共に、他の球状体900が転がり落ちている様子を示している。ドラム200が回転し、ドラムガイドシート270が上の方に移動すると、ドラムガイドシート270が傾く。したがって、排出口カバー260に誘導されなかった球状体900は、ドラム200の底に転がり落ちる。このように、ドラム200の回転による球状体900に加わる衝撃は、ドラムガイドシート200から転がり落ちる程度なので、球状体900を傷つける可能性が低い。なお、後述するように、排出口250と取り出し口320とが重なった場合には、取り出し口320から球状体900が重力によって取り出される。2つ以上の球状体900が取り出されないようにするためには、排出口250と取り出し口320とが重なる位置では、ドラムガイドシート270が、球状体900を保持できない程度に傾いている方がよい。
【0019】
図8は、排出口250と取り出し口320とが重なり、排出口カバー260内に誘導された球状体900が、取り出し口320から取り出される様子を示している。図9に示すように、排出口250が取り出し口320と重なっていない時には、ドラムカバー300があるので、球状体900を取り出すことはできない。図10に示すように、排出口250が、ドラムカバー300の取り出し口320と重なった時に球状体900が重力によって取り出される。なお、上述したように取り出し口320を上向きにした場合には重力では取り出すことができないので、取り出し手段を別途用意する必要がある。
【0020】
また、図9、図10に示すように、取り出し口320の近傍に取り出し検出部510を取り付け、球状体900が取り出されたか否かを識別することができる。このように、取り出し検出部510を取り付けた場合には、以下のようにして、確実に1つのみの球状体900を取り出すことができる。コンピュータなどの制御部(図示されていない)からの指示によって、モータ部400に電流が供給され、ドラム200が回転を始める。取り出し検出部510によって球状体900が取り出されたことが検出されるまでは、モータ部400によって、ドラム200は回転し続ける。そして、取り出し検出部510によって球状体900が取り出されたことが検出された場合に、モータ部400への給電を止め、ドラム200の回転を止める。このように制御すれば、確実に1つのみの球状体900を取り出すことができる。なお、この制御の例ではモータ部400への給電の停止によってドラム200の回転を停止させたが、機械的な手段によってドラム200をロックさせてもよい。例えば、ドラム200を回転させる手段が人手の場合には、機械的な手段で停止させる必要がある。
【0021】
球状体を入れる方法
図11と図12を用いて、球状体900をドラム200内に入れる方法について示す。図11は、ドラムカバー300を軸受部330側から見た図である。この図では軸受部330はドラムバックカバー310に備えられている。また、ドラムバックカバー310とドラムフロントカバー350とはヒンジ360でつながっている。ドラムフロントカバー350は、ヒンジ360を中心に回転することができ、点線で示す位置まで回転すれば、ドラムカバー300の中に手を入れることができる。なお、ヒンジではなくレール等によってドラムフロントカバー350がスライドするようにしてもよいし、フック等を設け、ドラムフロントカバー350を着脱可能にしてもよい。また、取り出し装置100もしくは取り出し装置100が組み込まれている商品を払い出す装置と、ドラムフロントカバー350をヒンジ、レールもしくはフックでつなぐ方法もある。このようにすることで、ドラムフロントカバー350は、ドラムバックカバー310または取り出し装置100に対して着脱または移動可能となる。
【0022】
図12Aは、ドラムフロントカバー350を開いた状態で軸受部330側から見た図である。図12Bは、ドラムフロントカバー350側からドラムカバー300とドラム200を見た図であり、ドラムガイドシート270と排出口カバー260とは省略している。図12Aに示すように、ドラム200を、挿入口240が開口された部分に来るように回転させると、挿入口240から球状体900を容易に入れることができる。したがって、上述の構造であれば、球状体(カプセルなど)を補充することが容易である。また、図12Bに示すように、挿入口240は、排出口250や取り出し口320と、回転軸の方向にずれた位置にある。したがって、ドラム200の回転によって挿入口240が移動しても、挿入口240が取り出し口320と重なることはない。つまり、挿入口240があるために球状体900がドラム200から出てきてしまうことはない。なお、挿入口240と排出口250は別々に開口部として設けてもよいが、1つの開口部で構成し、その開口部の一部または全てが取り出し口320と重なるようにしてもよい。
【0023】
上述のような構造、動作であるので、本発明の取り出し装置によれば、球状体を格納している円筒形のドラムを回転させるので、すべての球状体をかき混ぜることができ、ゲーム性を高めることができる。円筒形のドラムの筒部が透明であり、ドラムカバーのドラムフロントカバーが透明なので、取り出される可能性のある球状体(カプセルなど)が外部から見える。ドラムフロントカバーが分離可能であり、回転自在のドラムが挿入口を有しているので、球状体(カプセルなど)を補充することが容易である。ドラムの回転によって球状体をかき混ぜるだけなので、球状体を傷つけにくい。排出口カバーが排出口との間に球状体を1つのみ保持できるので、確実に1つの球状体を取り出せる。また、排出口と取り出し口が重なった時に取り出されるため、確実に同じ位置で、同じ方向に球状体を取り出すことができる。さらには、取り出し口から球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部とドラムの回転を停止させる停止部を備えることによって、より確実に1つの球状体を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の取り出し装置の構成例を示す図。
【図2】ドラム200の構成例を示す図。
【図3】ドラムガイドシート270と排出口カバー260の詳細な形状の例を示す図。
【図4】ドラムガイドシート270が上にある場合の様子を示す図。
【図5】ドラムガイドシート270の筒接触部271が、下に来た場合の図。
【図6】ドラムガイドシート270がすくい上げた球状体900を排出口カバー260側に転がしている様子を示す図。
【図7】ドラムガイドシート270が1つの球状体900を排出口カバー260内に導くと共に、他の球状体900が転がり落ちている様子を示す図。
【図8】排出口250と取り出し口320とが重なり、排出口カバー260内に誘導された球状体900が、取り出し口320から取り出される様子を示す図。
【図9】排出口250が取り出し口320と重なっていない時には、球状体900を取り出すことはできないことを示す図。
【図10】排出口250が、ドラムカバー300の取り出し口320と重なった時に球状体900が取り出されることを示す図。
【図11】ドラムカバー300を軸受部330側から見た図。
【図12】挿入口240、排出口250、取り出し口320の位置関係を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の同一形状の球状の物(以下、「球状体」という。)の中から1つを取り出す取り出し装置であって、
前記球状体を格納する円筒形のドラムと、前記ドラムを覆うドラムカバーを備え、
前記ドラムは、
円筒形かつ透明な筒部と、
筒部の側面を塞ぐ2つの側部と、
前記筒部の中心線が回転軸となるように形成された軸部と、
前記筒部の一部に形成された前記球状体を入れるための挿入口と、
前記筒部の一部であって、前記挿入口と回転軸方向にずれた位置に形成された前記球状体を出すための排出口と、
前記筒部の内側に形成され、前記排出口との間に前記球状体を1つのみ保持できる排出口カバーと、
当該ドラムの回転に伴って、前記球状体を前記排出口カバー内に導くために、前記筒部の内側に形成された湾曲した板状のドラムガイドシートと
を有し、
前記ドラムカバーは、
前記排出口と重なったときに前記球状体を出すための取り出し口を持つドラムバックカバーと、
前記ドラムバックカバーから分離可能かつ透明なドラムフロントカバーと
を有する
取り出し装置。
【請求項2】
請求項1記載の取り出し装置であって、
前記ドラムガイドシートは、
前記筒部の内側と接触し、前記球状体をすくい上げる筒接触部と、
前記排出口カバーと接し、前記球状体を前記排出口カバー内に入れる排出口カバー接触部と、
前記排出口カバーから前記回転軸の方向に最も遠い位置にある先端部と
を有し、
ドラムガイドシートを前記回転軸と垂直な面で切った時のドラムガイドシートの曲率半径は、
前記排出口カバー接触部では、前記球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上の大きさであり、
前記先端部に近づくほど、曲率半径が小さくなる
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の取り出し装置であって、
前記取り出し口は、あらかじめ定めた角度以上、下に向いている
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項4】
請求項3記載の取り出し装置であって、
前記排出口が前記取り出し口と重なるときに、当該ドラムガイドシートは、前記球状体を保持できない
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の取り出し装置であって、
前記取り出し口から前記球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部と、
前記ドラムの回転を停止させる停止部も
備えることを特徴とする取り出し装置。
【請求項6】
請求項5記載の取り出し装置であって、
前記ドラムを回転させるモータも備え、
前記停止部は、モータへの供給電力を停止させる手段である
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項7】
多数の略同一形状の物品の中から1つ以上の該物品を取り出す取り出し装置を有する物品払い出し装置であって、
前記取り出し装置は、
前記物品を格納する円柱状のドラムと、前記ドラムを覆うドラムカバーを備え、
前記ドラムは、
円筒形かつ透明な筒部と、
筒部の側面を塞ぐ2つの側部と、
前記側部の中心に設けられた軸部と、
前記筒部の一部に形成された開口部と、
前記筒部の内側かつ前記開口部に面して設けられ、前記開口部との間に前記物品を1つ以上保持する物品保持部と、
を有し、
前記ドラムカバーは、
前記開口部と重なったときに前記物品を排出する取り出し口を持つドラムバックカバーと、
前記ドラムバックカバーまたは当該物品払い出し装置に対して着脱または移動可能に構成されたドラムフロントカバーと、
を有することを特徴とする物品払い出し装置。
【請求項1】
多数の同一形状の球状の物(以下、「球状体」という。)の中から1つを取り出す取り出し装置であって、
前記球状体を格納する円筒形のドラムと、前記ドラムを覆うドラムカバーを備え、
前記ドラムは、
円筒形かつ透明な筒部と、
筒部の側面を塞ぐ2つの側部と、
前記筒部の中心線が回転軸となるように形成された軸部と、
前記筒部の一部に形成された前記球状体を入れるための挿入口と、
前記筒部の一部であって、前記挿入口と回転軸方向にずれた位置に形成された前記球状体を出すための排出口と、
前記筒部の内側に形成され、前記排出口との間に前記球状体を1つのみ保持できる排出口カバーと、
当該ドラムの回転に伴って、前記球状体を前記排出口カバー内に導くために、前記筒部の内側に形成された湾曲した板状のドラムガイドシートと
を有し、
前記ドラムカバーは、
前記排出口と重なったときに前記球状体を出すための取り出し口を持つドラムバックカバーと、
前記ドラムバックカバーから分離可能かつ透明なドラムフロントカバーと
を有する
取り出し装置。
【請求項2】
請求項1記載の取り出し装置であって、
前記ドラムガイドシートは、
前記筒部の内側と接触し、前記球状体をすくい上げる筒接触部と、
前記排出口カバーと接し、前記球状体を前記排出口カバー内に入れる排出口カバー接触部と、
前記排出口カバーから前記回転軸の方向に最も遠い位置にある先端部と
を有し、
ドラムガイドシートを前記回転軸と垂直な面で切った時のドラムガイドシートの曲率半径は、
前記排出口カバー接触部では、前記球状体の最も大きい曲率半径よりもあらかじめ定めた値以上の大きさであり、
前記先端部に近づくほど、曲率半径が小さくなる
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の取り出し装置であって、
前記取り出し口は、あらかじめ定めた角度以上、下に向いている
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項4】
請求項3記載の取り出し装置であって、
前記排出口が前記取り出し口と重なるときに、当該ドラムガイドシートは、前記球状体を保持できない
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の取り出し装置であって、
前記取り出し口から前記球状体が1つ取り出されたことを検出する取り出し検出部と、
前記ドラムの回転を停止させる停止部も
備えることを特徴とする取り出し装置。
【請求項6】
請求項5記載の取り出し装置であって、
前記ドラムを回転させるモータも備え、
前記停止部は、モータへの供給電力を停止させる手段である
ことを特徴とする取り出し装置。
【請求項7】
多数の略同一形状の物品の中から1つ以上の該物品を取り出す取り出し装置を有する物品払い出し装置であって、
前記取り出し装置は、
前記物品を格納する円柱状のドラムと、前記ドラムを覆うドラムカバーを備え、
前記ドラムは、
円筒形かつ透明な筒部と、
筒部の側面を塞ぐ2つの側部と、
前記側部の中心に設けられた軸部と、
前記筒部の一部に形成された開口部と、
前記筒部の内側かつ前記開口部に面して設けられ、前記開口部との間に前記物品を1つ以上保持する物品保持部と、
を有し、
前記ドラムカバーは、
前記開口部と重なったときに前記物品を排出する取り出し口を持つドラムバックカバーと、
前記ドラムバックカバーまたは当該物品払い出し装置に対して着脱または移動可能に構成されたドラムフロントカバーと、
を有することを特徴とする物品払い出し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−330554(P2007−330554A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166593(P2006−166593)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
[ Back to top ]