取付構造体
【課題】耐久性の低下を抑制しながら、タイヤの内面からの剥離を抑制することを可能とする取付構造体を提供する。
【解決手段】取付構造体は、タイヤの内面に接着される台座下面211と、台座下面211の反対側に設けられる台座上面212と、台座下面211の端部から台座上面212の端部に連続する台座斜面213を有する台座210を備える。台座斜面213は、タイヤ周方向において台座210の中心に向けて凹む形状を有する。
【解決手段】取付構造体は、タイヤの内面に接着される台座下面211と、台座下面211の反対側に設けられる台座上面212と、台座下面211の端部から台座上面212の端部に連続する台座斜面213を有する台座210を備える。台座斜面213は、タイヤ周方向において台座210の中心に向けて凹む形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品をタイヤの内面に取り付ける取付構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1対のビードコアと、1対のビードコア間に跨るトロイダル形状を有するカーカス層と、カーカス層に隣接して配置されるベルト層と、ビードコア、カーカス層及びベルト層を被覆するゴム層とを備えるタイヤが知られている。
【0003】
タイヤは、ビードコアを有するビード部と、タイヤ踏み面を有するトレッド部と、タイヤの側面を形成するサイドウォール部と、サイドウォール部とトレッド部との間に跨って設けられるショルダー部とを備える。
【0004】
また、タイヤの内面を構成するゴム層(インナーライナー)に取り付けられる機能部品が知られている。機能部品は、例えば、タイヤの内部の温度や圧力などを計測するセンサモジュールである。一般的には、機能部品は、ゴムパッチなどによってインナーライナーに取り付けられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-055347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タイヤが路面に接地している状態(接地状態)とタイヤが路面に接地していない状態(非接地状態)との間で、インナーライナーの形状が異なる。すなわり、接地状態では、インナーライナーは平坦形状であり、非接地状態では、インナーライナーは円弧形状である。
【0007】
このようなインナーライナーの変形を吸収するために、ゴムパッチなどを構成する材料として、比較的に柔らかいゴムを用いることが考えられる。しかしながら、比較的に柔らかいゴムを用いると、耐久性が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、耐久性の低下を抑制しながら、タイヤの内面からの剥離を抑制することを可能とする取付構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る取付構造体は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品を前記タイヤの内面に取り付ける構造体である。取付構造体は、弾性部材によって構成されており、前記タイヤの内面に接着される台座下面と、前記台座下面の反対側に設けられる台座上面と、前記タイヤ周方向における前記台座下面の端部から前記タイヤ周方向における前記台座上面の端部に連続する台座斜面とを有する台座を備える。前記台座斜面は、前記タイヤ周方向において前記台座の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有する。前記タイヤ周方向に沿った断面において、aは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面から最も離れた点であり、bは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面に接する点であり、cは、前記台座下面のうち、前記bから前記台座下面に下ろした垂線と交わる交点であり、acは、前記aと前記cとを結ぶ線分であり、bcは、前記bとc前記とを結ぶ線分であり、Aは、前記acと前記bcのうち、短い方の長さであり、Bは、前記acと前記bcのうち、長い方の長さである。前記A及び前記Bが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。
【0010】
第1の特徴において、前記窪み部分は、前記台座斜面のうち、前記台座下面と接する部分を含む。
【0011】
第1の特徴において、前記A及び前記BがA<1/30.5×Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たす。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐久性の低下を抑制しながら、タイヤの内面からの剥離を抑制することを可能とする取付構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1実施形態に係るタイヤ100を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るタイヤ100を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る取付構造体200を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る挿入片250を示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る挿入片250を示す図である。
【図9】図9は、第1実施形態に係る台座210を示す図である。
【図10】図10は、第1実施形態に係る台座210を示す図である。
【図11】図11は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【図12】図12は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【図13】図13は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【図14】図14は、変更例1に係る台座210を示す図である。
【図15】図15は、変更例1に係る台座210を示す図である。
【図16】図16は、変更例1に係る台座210を示す図である。
【図17】図17は、台座210とタイヤ100との間に生じる応力を説明するための図である。
【図18】図18は、台座210とタイヤ100との間に生じる応力を説明するための図である。
【図19】図19は、台座斜面213の曲率半径とせん断応力との関係を説明するための図である。
【図20】図20は、評価結果を説明するための図である。
【図21】図21は、評価結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明の実施形態に係る取付構造体について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0015】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
[実施形態の概要]
実施形態に係る取付構造体は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品を前記タイヤの内面に取り付ける構造体である。取付構造体は、弾性部材によって構成されており、前記タイヤの内面に接着される台座下面と、前記台座下面の反対側に設けられる台座上面と、前記タイヤ周方向における前記台座下面の端部から前記タイヤ周方向における前記台座上面の端部に連続する台座斜面とを有する台座を備える。前記台座斜面は、前記タイヤ周方向において前記台座の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有する。前記タイヤ周方向に沿った断面において、aは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面から最も離れた点であり、bは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面に接する点であり、cは、前記台座下面のうち、前記bから前記台座下面に下ろした垂線と交わる交点であり、acは、前記aと前記cとを結ぶ線分であり、bcは、前記bとc前記とを結ぶ線分であり、Aは、前記acと前記bcのうち、短い方の長さであり、Bは、前記acと前記bcのうち、長い方の長さである。前記A及び前記Bが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。
【0017】
実施形態では、台座斜面は、タイヤ周方向において台座の中心に向けて凹む窪み部分を有するため、タイヤの内面からの剥離が抑制される。また、柔らかいゴムを利用する必要性がないため、台座の耐久性の低下が抑制される。
【0018】
また、A及びBが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。従って、台座斜面の曲率半径Rを適切に定めることができる。
【0019】
[第1実施形態]
(タイヤの構成)
以下において、第1実施形態に係るタイヤの構成について説明する。図1及び図2は、第1実施形態に係るタイヤ100を示す図である。
【0020】
第1に、タイヤ100は、図1に示すように、ビード部10と、サイドウォール部20と、ショルダー部30と、トレッド部40とを有する。
【0021】
ビード部10は、タイヤ100を構成する部位のうち、タイヤ径方向において、最も内側に設けられる。ビード部10は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。ビード部10は、タイヤ100をリムに固定するための部位である。なお、ビード部10は、ゴムによって被覆されている。
【0022】
サイドウォール部20は、タイヤ100を構成する部位のうち、タイヤ径方向において、ビード部10よりも外側に設けられる。サイドウォール部20は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。サイドウォール部20は、タイヤ100の側面を構成する。なお、サイドウォール部20は、ゴムによって被覆されている。
【0023】
ショルダー部30は、タイヤ100を構成する部位のうち、サイドウォール部20とトレッド部40との間に跨って設けられる。ショルダー部30は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。なお、ショルダー部30は、ゴムによって被覆されている。
【0024】
トレッド部40は、タイヤ100を構成する部位のうち、路面に接地するタイヤ踏み面を構成する部位である。トレッド部40は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。トレッド部40のタイヤ踏み面には、例えば、タイヤ周方向に沿って延びる溝(周方向溝)やタイヤ幅方向に沿って延びる(幅方向溝)などによって形成されるトレッドパターンが設けられている。
【0025】
第2に、タイヤ100は、図1及び図2に示すように、ビードコア110と、カーカス層120と、ベルト層130とを有する。
【0026】
ビードコア110は、ビードコア110A及びビードコア110Bを有しており、ビード部10を構成する。ビードコア110は、リング状形状を有しており、ビードワイヤー(不図示)によって構成される。
【0027】
カーカス層120は、ビードコア110Aとビードコア110Bとの間に跨るトロイダル形状を有する。カーカス層120は、例えば、タイヤ径方向(或いは、タイヤ幅方向)に沿って延びる複数のカーカスコード(不図示)によって構成される。カーカス層120は、ビードコア110でタイヤ幅方向の外側に向けて折り返されている。
【0028】
ベルト層130は、ベルト層130A及びベルト層130Bを有しており、トレッド部40を構成する。ベルト層130は、カーカス層120に対して、タイヤ径方向の外側に配置される。ベルト層130は、ベルトコードがゴムで被覆された構成を有する。ベルト層130Aに設けられるベルトコードは、ベルト層130Bに設けられるベルトコードと交錯していてもよい。
【0029】
(取付構造体の構成)
以下において、第1実施形態に係る取付構造体の構成について説明する。図3は、第1実施形態に係る取付構造体200を示す図である。ここで、取付構造体200は、タイヤ100の内面に接着されることに留意すべきである。詳細には、取付構造体200は、タイヤ周方向に沿って延びるタイヤ100の内面、すなわち、トレッド部40を構成するタイヤ100の内面に接着される。
【0030】
図3に示すように、取付構造体200は、台座210と、枠体220と、基体230と、機能部品240と、挿入片250とを有する。
【0031】
台座210は、弾性部材(エラストマー)によって構成される。例えば、台座210は、天然ゴムや合成ゴムによって構成される。台座210は、タイヤ100の内面に接着される台座下面と、台座下面の反対側に設けられる台座上面とを有する。例えば、台座210は、加硫接着によってタイヤ100の内面に接着される。台座210の台座上面には、枠体220及び基体230を介して機能部品240が設けられる。
【0032】
なお、台座210を構成する弾性部材のヤング率は、30MPa以下であることが好ましい。外形が小さいタイヤ100の内面に台座210を接着する場合には、トレッド部40の曲率半径変化が大きくなるため、台座210を構成する弾性部材のヤング率は、1MPa以上7MPa以下であることが好ましい。
【0033】
枠体220は、所定の剛性を有する部材によって構成される。枠体220は、台座210の台座上面に配置される。例えば、枠体220の表面には、真鍮メッキが施されており、台座210は、コバルトを含んでおり、枠体220は、加硫接着によって台座210に接着される。
【0034】
第1実施形態では、枠体220は、基体230を収容する箱形形状を有する。なお、枠体220の詳細については後述する(図4〜図6を参照)。
【0035】
基体230は、所定の剛性を有する部材によって構成される。基体230には、機能部品240が載置される。第1実施形態では、基体230は、略直方体形状を有しており、枠体220に収容される。
【0036】
機能部品240は、タイヤ100の状態を検出する機能を有する。機能部品240は、例えば、タイヤ100の内圧を検出する圧力センサ、タイヤ100の内部温度を検出する温度センサ、タイヤ100の回転速度を検出する加速度センサなどである。
【0037】
挿入片250は、所定の剛性を有する部材によって構成される。挿入片250は、枠体220に挿入され、枠体220に収容される基体230の動きを規制する。第1実施形態では、挿入片250は、U字形状を有しており、タイヤ100の内面に対する垂直方向において基体230の動きを規制する。なお、挿入片250の詳細については後述する(図7及び図8を参照)。
【0038】
(枠体の構成)
以下において、第1実施形態に係る枠体の構成について説明する。図4は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【0039】
図4に示すように、枠体220は、底板221と、1対の第1壁体222(第1壁体222A及び第1壁体222B)と、1対の側壁係止片223(側壁係止片223A及び側壁係止片223B)と、第2壁体224と、第2壁体225とを有する。
【0040】
底板221は、台座上面に配置される枠体下面及び枠体下面の反対側に設けられる枠体上面を有する。枠体上面は、第1方向と、第1方向に交差する第2方向とによって定義される。底板221の枠体上面上には、基体230が載置される。なお、第1実施形態では、底板221は、板状形状を有しており、矩形形状の枠体上面を有する。
【0041】
第1壁体222A及び第1壁体222Bは、底板221に設けられる。第1壁体222A及び第1壁体222Bは、底板221に対する垂直方向に立設する形状を有する。第1壁体222A及び第1壁体222Bは、第1方向に沿って延びる。第1壁体222A及び第1壁体222Bは、第1方向に交差する第2方向において間隔を空けて設けられる。
【0042】
第1実施形態において、第1壁体222Aは、底板221に対する垂直方向の先端として、第2方向において第1壁体222B側に向けて曲がる側壁係止片223Aを構成する。側壁係止片223Aは、第1方向に沿って延びる。同様に、第1壁体222Bは、底板221に対する垂直方向の先端として、第2方向において第1壁体222A側に向けて曲がる側壁係止片223Bを構成する。側壁係止片223Bは、第1方向に沿って延びる。
【0043】
第2壁体224は、底板221に設けられる。第2壁体224は、底板221に対する垂直方向に立設する形状を有する。第2壁体224は、第2方向に沿って延びる。第1実施形態では、第2壁体224は、板状形状を有しており、第1方向において底板221の一端に設けられる。
【0044】
第2壁体225は、底板221に設けられる。第2壁体225は、底板221に対する垂直方向に立設する形状を有する。第2壁体225は、第2方向に沿って延びる。第1実施形態では、第2壁体225は、板状形状を有しており、第1方向において底板221の他端に設けられる。
【0045】
なお、第2壁体224及び第2壁体225は、第1方向において間隔を空けて設けられる。第1実施形態では、第1方向に沿って基体230を挿入するために、垂直方向において、第2壁体224及び第2壁体225のうち、少なくとも一方の高さは、第1壁体222の高さよりも小さいことが好ましい。
【0046】
このように、第1実施形態では、底板221、第1壁体222、第2壁体224及び第2壁体225によって箱形形状が構成される。
【0047】
第1実施形態では、第1方向がタイヤ幅方向となるように、取付構造体200がタイヤ100に接着されるケースについて例示する。以下においては、説明を明確にするために、第1方向をタイヤ幅方向と称し、第2方向をタイヤ周方向と称し、垂直方向をタイヤ径方向と称する。
【0048】
(枠体の寸法)
以下において、第1実施形態に係る枠体の寸法について説明する。図5及び図6は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。なお、図5及び図6は、基体230が枠体220に収容された状態を示している。
【0049】
図5に示すように、タイヤ径方向において、枠体220の枠体上面から側壁係止片223までの高さはH223である。タイヤ径方向において、基体230の高さはH230である。高さH223と高さH230との差分は、D1である。タイヤ周方向において、基体230の長さは、L230である。
【0050】
第1実施形態において、タイヤ周方向において、1対の第1壁体222の間隔は、基体230の長さL230と等しい。従って、1対の第1壁体222によって、タイヤ周方向に対する基体230の動きが規制される。言い換えると、基体230は、1対の第1壁体222の間に嵌合するように枠体220の枠体上面に配置される。
【0051】
なお、後述するように、タイヤ径方向において、差分D1は、挿入片250に設けられる1対のアーム部の高さと等しい。従って、1対のアーム部によって、タイヤ径方向に対する基体230の動きが規制される。
【0052】
図6に示すように、タイヤ径方向において、第2壁体224及び第2壁体225の高さは、H225である。タイヤ幅方向において、基体230の幅は、W230である。
【0053】
第1実施形態において、タイヤ幅方向において、第2壁体224及び第2壁体225の間隔は、基体230の幅W230と等しい。従って、第2壁体224及び第2壁体225によって、タイヤ幅方向に対する基体230の動きが規制される。
【0054】
第1実施形態では、高さH223と高さH225との差分は、基体230の高さH230よりも大きいことが好ましい。これによって、タイヤ幅方向に沿って基体230を枠体220内に挿入することが容易である。
【0055】
(挿入片の構成)
以下において、第1実施形態に係る挿入片の構成について説明する。図7及び図8は、第1実施形態に係る挿入片250を示す図である。なお、図7は、枠体220に挿入片250を取り付けた後の状態を示しており、図8は、枠体220に挿入片250を取り付ける前の状態を示している。
【0056】
図7及び図8に示すように、挿入片250は、1対のアーム部251(アーム部251A及びアーム部251B)と、1対の先端折返し片252(先端折返し片252A及び先端折返し片252B)と、連結部253と、1対の張り出し部分254(張り出し部分254A及び張り出し部分254B)とを有する。
【0057】
アーム部251A及びアーム部251Bは、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、アーム部251A及びアーム部251Bは、タイヤ周方向において可撓性を有する。例えば、アーム部251A及びアーム部251Bは、タイヤ周方向の厚みがタイヤ径方向の厚みよりも小さい平板形状を有する。
【0058】
アーム部251Aの先端は、タイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる先端折返し片252Aを構成する。同様に、アーム部251Bの先端は、タイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる先端折返し片252Bを構成する。
【0059】
アーム部251の本体と先端折返し片252とによって形成される角度θ1は、鋭角であることが好ましい。すなわち、角度θ1が鋭角となるようにアーム部251の先端(先端折返し片252)が折り返される。
【0060】
先端折返し片252は、枠体220に挿入片250を取り付けた後において、第1壁体222に引っ掛かるように構成される。すなわち、先端折返し片252は、タイヤ幅方向に沿って挿入片250が抜けることを防止する機能を有する。
【0061】
先端折返し片252は、枠体220に挿入片250を取り付けた後において、挿入片250がタイヤ幅方向のA側に抜けることを抑制する。
【0062】
連結部253は、アーム部251A及びアーム部251Bの根本を連結する部位である。連結部253は、アーム部251Aの根本からタイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる張り出し部分254Aを有する。同様に、連結部253は、アーム部251Bの根本からタイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる張り出し部分254Bを有する。
【0063】
アーム部251の本体の延長線と張り出し部分254とによって形成される角度θ2は、鋭角であることが好ましい。すなわち、角度θ2が鋭角となるように、アーム部251の根本に連続する部位(張り出し部分254)が折曲げられる。
【0064】
張り出し部分254は、枠体220に挿入片250を取り付けた後において、挿入片250がタイヤ幅方向のB側に入り込むことを防止する機能を有する。一方で、枠体220から挿入片250を外す際には、タイヤ幅方向のB側に挿入片250を動かすことによって、先端折返し片252の引っ掛かりを外すことができる。
【0065】
ここで、タイヤ周方向において先端折返し片252の長さはL252である。タイヤ周方向において張り出し部分254の長さはL254である。長さL252は、長さL254と等しいことが好ましい。これによって、枠体220から挿入片250が抜けにくい。
【0066】
また、タイヤ幅方向において、アーム部251の長さは、W251である。アーム部251の長さW251は、タイヤ幅方向における第1壁体222の長さと等しいことが好ましい。これによって、枠体220から挿入片250が抜けにくい。
【0067】
なお、図8に示すように、枠体220に挿入片250を取り付ける前において、アーム部251の先端の間隔Gtipは、アーム部251の根本の間隔Grootよりも大きいことが好ましい。アーム部251が有する可撓性によって、枠体220から挿入片250が抜けにくい。
【0068】
(台座の構成)
以下において、第1実施形態に係る台座の構成について説明する。図9は、第1実施形態に係る台座210を示す図である。なお、図9では、枠体220及び基体230が省略されていることに留意すべきである。
【0069】
図9に示すように、台座210は、タイヤ100の内面に接着される台座下面211と、台座下面211の反対側に設けられる台座上面212と、タイヤ周方向における台座下面211の端部からタイヤ周方向における台座上面212の端部に連続する台座斜面213とを有する。
【0070】
台座斜面213は、タイヤ周方向において台座210の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有する。窪み部分は、台座斜面213のうち、台座下面211と接する部分を含む。言い換えると、台座斜面213は、台座下面211と接する部分において、窪み部分を有する。
【0071】
なお、第1実施形態では、台座斜面213の全体が窪み部分によって構成されているケースについて例示する。
【0072】
ここで、タイヤ周方向の断面において、各略号の意味は、以下の通りである。
【0073】
aは、台座斜面213(窪み部分)のうち、タイヤ100の内面から最も離れた点
bは、台座斜面213(窪み部分)のうち、タイヤ100の内面に接する点
cは、台座下面211のうち、bから台座下面211に下ろした垂線と交わる交点であり、
abは、aとbとを結ぶ線分
acは、aとcとを結ぶ線分
bcは、bとcとを結ぶ線分
Aは、acとbcのうち、短い方の長さ
Bは、acとbcのうち、長い方の長さ
ここで、後述するように、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rが小さいほど、タイヤ100の内面と台座下面211との間に生じるせん断応力が低減する。特に、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいと、前後入力によって生じる応力が低減する。従って、曲率半径Rの最大値は、(A2+B2)0.5であることが好ましい。
【0074】
但し、1/30.5×B=Aである場合には、(A2+B2)/(2×A)=(A2+B2)0.5という関係が満たされる。このようなケースでは、図10に示すように、曲率半径Rの円は、bを通る水平線に接する円である。このようなケースにいて、“(A2+B2)/(2×A)”の値よりも曲率半径Rを小さくすることができない。
【0075】
従って、1/30.5×B<Aの条件が満たされるケース(1)と、A<1/30.5×Bの条件が満たされるケース(2)とに分けて考える必要がある。
【0076】
ケース(1)では、(A2+B2)/(2×A)<(A2+B2)0.5の関係が成り立つため、曲率半径Rの最小値は、(A2+B2)/(2×A)である。従って、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。
【0077】
ケース(2)では、(A2+B2)0.5<(A2+B2)/(2×A)の関係が成り立つため、曲率半径Rの最小値は、(A2+B2)/(2×A)である。従って、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たす。
【0078】
(取付構造体の組み付け)
以下において、第1実施形態に係る取付構造体の組み付けについて説明する。図11〜図13は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【0079】
図11に示すように、機能部品240が載置された基体230を台座210の台座上面に取り付けられた枠体220に配置する。続いて、タイヤ幅方向に沿って挿入片250を挿入する。詳細には、挿入片250は、第1壁体222と機能部品240との間においてアーム部251がタイヤ幅方向に沿って挿入されるように配置される。これによって、図12に示すように、取付構造体200の組み付けが完了する。
【0080】
なお、図13に示すように、タイヤ径方向において、底板221に設けられる底面から側壁係止片223までの高さH223は、基体230の高さH230及びアーム部251の高さH251の合計と等しいことが好ましい。すなわち、アーム部251の高さH251は、高さH223と高さH230との差分D1と等しい。
【0081】
(作用及び効果)
第1実施形態では、台座斜面213は、タイヤ周方向において台座210の中心に向けて凹む窪み部分を有するため、タイヤ100の内面からの剥離が抑制される。また、柔らかいゴムを利用する必要性がないため、台座210の耐久性の低下が抑制される。
【0082】
また、1/30.5×B<A<Bの条件が満たされるケース(1)に、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。従って、台座斜面の窪み部分の曲率半径Rを適切に定めることができる。
【0083】
同様に、A<1/30.5×Bの条件が満たされるケース(2)において、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たす。従って、台座斜面の窪み部分の曲率半径Rを適切に定めることができる。
【0084】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0085】
変更例1では、台座斜面213の形状のバリエーションについて説明する。具体的には、図14に示すように、台座斜面213の全体が曲率半径Rの曲率で構成されていてもよい。或いは、図15に示すように、台座斜面213は、複数の直線によって構成されており、近似的に曲率半径Rの曲線を構成してもよい。或いは、図16に示すように、台座斜面213は、曲率半径が異なる複数の曲線によって構成されてもよい。
【0086】
なお、図16に示すケースでは、曲率半径Rの曲率を有する窪み部分は、台座斜面213のうち、台座下面211と接する部分を含む部位であることに留意すべきである。
【0087】
[台座とタイヤの内面との間に生じる応力]
以下において、台座210(台座下面)とタイヤ100の内面(インナーライナー)との間に生じる応力について説明する。
【0088】
(首振り運動)
以下において、首振り運動について図17を参照しながら説明する。図17に示すように、タイヤ100の内面に取付構造体200が接着された状態において、タイヤ100が路面に接地した際に、タイヤ100の回転に伴って生じる向心力が取付構造体200の部位によって異なる。
【0089】
具体的には、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200の前部分に相当するタイヤ100が路面に接地しており、取付構造体200の後部分に相当するタイヤ100が路面に接地していないケースについて考える。このようなケースにおいて、取付構造体200の前部分において向心力は、取付構造体200の後部分の向心力に比べて小さい。従って、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200に対して前側に倒れ込む応力が加わる。
【0090】
同様に、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200の前部分に相当するタイヤ100が路面に接地しておらず、取付構造体200の後部分に相当するタイヤ100が路面に接地しているケースについて考える。このようなケースにおいて、取付構造体200の後部分において向心力は、取付構造体200の前部分の向心力に比べて小さい。従って、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200に対して後側に倒れ込む応力が加わる。
【0091】
タイヤ100の回転に伴って、前側に倒れ込む応力や後側に倒れ込む応力(すなわち、前後応力)が取付構造体200に対して繰り返し加わると、取付構造体200が前後に首を振るような挙動が生じる。これによって、台座210(台座下面)とタイヤ100の内面(インナーライナー)との間に生じる応力(前後入力によって生じる応力)が生じる。
【0092】
(インナーライナーの変形)
以下において、インナーライナーの変形について図18を参照しながら説明する。図18に示すように、タイヤ100が路面に接地している状態(接地状態)とタイヤ100が路面に接地していない状態(非接地状態)との間で、インナーライナーの形状が異なる。すなわり、接地状態では、インナーライナーは平坦形状であり、非接地状態では、インナーライナーは円弧形状である。
【0093】
タイヤ100の回転に伴って、接地状態(平坦形状)及び非接地状態(円弧形状)が繰り返されると、台座210(台座下面)とタイヤ100の内面(インナーライナー)との間に生じる応力(曲げ入力によって生じる応力)が生じる。
【0094】
[窪み部分の曲率半径]
以下において、窪み部分の曲率半径について、図19を参照しながら説明する。図19に示すように、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rが小さいほど、タイヤ100の内面と台座下面211との間に生じるせん断応力が低減する。
【0095】
なお、図19に示す測定では、各部材の寸法は、以下の通りである。
【0096】
台座210の接着長=41mm
台座210の接着幅=35mm
台座210の厚み=6mm
機能部品240の取付長さ=26mm
機能部品240の取付幅=35mm
bc=8.5mm(B)
ac=6.0mm(A)
ab=(A2+B2)0.5=10.4mm
図19に示すように、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rが10mm以下である場合に、前後入力によって生じる応力が低減する。従って、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいことが好ましい。
【0097】
[評価結果1]
以下において、評価結果1について、図20を参照しながら説明する。具体的には、実施例1、比較例1〜比較例3を準備した。詳細には、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rを変更して、前後入力によって生じる応力(前後入力時)及び曲げ入力によって生じる応力(曲げ入力時)を測定した。
【0098】
ここで、前後入力によって生じる応力については、機能部品240(重心X)に作用する慣性力fとして300Nを加えて、タイヤ周方向における台座210(台座下面211)の端部に生じる応力を測定した。曲げ入力によって生じる応力については、タイヤ周方向において台座下面211(タイヤ100の内面)の曲率半径Rが300mmとなるように台座下面211を擬似的に変形して、タイヤ周方向における台座210(台座下面211)の端部に生じる応力を測定した。
【0099】
(共通条件)
台座210の接着長=41mm
台座210の接着幅=35mm
台座210の厚み=3mm
機能部品240の取付長さ=26mm
機能部品240の取付幅=35mm
台座210を構成する弾性部材のヤング率=7MPa
bc=8.5mm(B)
ac=6.0mm(A)
ab=(A2+B2)0.5=10.4mm
図20に示すように、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減する。一方で、曲率半径Rが小さいほど、曲げ入力によって生じる応力が増加している。従って、前後入力によって生じる応力及び曲げ入力によって生じる応力のバランスを考えると、曲率半径Rの最適値が(A2+B2)0.5=10.4mmであることが確認された。
【0100】
なお、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減するため、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいことが好ましいことが好ましいことが確認された。
【0101】
[評価結果2]
以下において、評価結果2について、図21を参照しながら説明する。具体的には、実施例2、比較例4〜比較例6を準備した。詳細には、評価結果1と同様に、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rを変更して、前後入力によって生じる応力(前後入力時)及び曲げ入力によって生じる応力(曲げ入力時)を測定した。
【0102】
(共通条件)
台座210の接着長=41mm
台座210の接着幅=35mm
台座210の厚み=6mm
機能部品240の取付長さ=21mm
機能部品240の取付幅=35mm
台座210を構成する弾性部材のヤング率=7MPa
bc=10mm(B)
ac=9mm(A)
ab=(A2+B2)0.5=13.45mm
図21に示すように、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減する。一方で、曲率半径Rが小さいほど、曲げ入力によって生じる応力が増加している。従って、前後入力によって生じる応力及び曲げ入力によって生じる応力のバランスを考えると、曲率半径Rの最適値が(A2+B2)0.5=10.4mmであることが確認された。
【0103】
なお、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減するため、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいことが好ましいことが好ましいことが確認された。
【0104】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0105】
実施形態では、取付構造体200は、枠体220、基体230及び挿入片250を有するケースを例示したが、実施形態は、これに限定されるものではない。取付構造体200は、枠体220、基体230及び挿入片250を有していなくてもよい。すなわち、取付構造体200は、台座210のみによって構成されていてもよい。
【0106】
実施形態では、寸法の表現として、「等しい」という用語を用いたが、寸法誤差を許容することが可能であることは勿論である。
【0107】
実施形態で用いる「所定の剛性」は、台座を構成する部材(弾性部材)の剛性よりも少なくとも大きいことに留意すべきである。
【0108】
実施形態では、枠体220の枠体上面の形状は、矩形形状である。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。具体的には、枠体220の枠体上面の形状は、三角形状や他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
10…ビード部、20…サイドウォール部、30…ショルダー部、40…トレッド部、100…タイヤ、110…ビードコア、120…カーカス層、130…ベルト層、200…取付構造体、210…台座、211…台座下面、212…台座上面、213…台座斜面、220…枠体、221…底板、222…第1壁体、223…側壁係止片、224…第2壁体、225…第2壁体、230…基体、240…機能部品、250…挿入片、251…アーム部、252…先端折返し片、253…連結部、254…張り出し部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品をタイヤの内面に取り付ける取付構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1対のビードコアと、1対のビードコア間に跨るトロイダル形状を有するカーカス層と、カーカス層に隣接して配置されるベルト層と、ビードコア、カーカス層及びベルト層を被覆するゴム層とを備えるタイヤが知られている。
【0003】
タイヤは、ビードコアを有するビード部と、タイヤ踏み面を有するトレッド部と、タイヤの側面を形成するサイドウォール部と、サイドウォール部とトレッド部との間に跨って設けられるショルダー部とを備える。
【0004】
また、タイヤの内面を構成するゴム層(インナーライナー)に取り付けられる機能部品が知られている。機能部品は、例えば、タイヤの内部の温度や圧力などを計測するセンサモジュールである。一般的には、機能部品は、ゴムパッチなどによってインナーライナーに取り付けられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-055347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タイヤが路面に接地している状態(接地状態)とタイヤが路面に接地していない状態(非接地状態)との間で、インナーライナーの形状が異なる。すなわり、接地状態では、インナーライナーは平坦形状であり、非接地状態では、インナーライナーは円弧形状である。
【0007】
このようなインナーライナーの変形を吸収するために、ゴムパッチなどを構成する材料として、比較的に柔らかいゴムを用いることが考えられる。しかしながら、比較的に柔らかいゴムを用いると、耐久性が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、耐久性の低下を抑制しながら、タイヤの内面からの剥離を抑制することを可能とする取付構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る取付構造体は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品を前記タイヤの内面に取り付ける構造体である。取付構造体は、弾性部材によって構成されており、前記タイヤの内面に接着される台座下面と、前記台座下面の反対側に設けられる台座上面と、前記タイヤ周方向における前記台座下面の端部から前記タイヤ周方向における前記台座上面の端部に連続する台座斜面とを有する台座を備える。前記台座斜面は、前記タイヤ周方向において前記台座の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有する。前記タイヤ周方向に沿った断面において、aは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面から最も離れた点であり、bは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面に接する点であり、cは、前記台座下面のうち、前記bから前記台座下面に下ろした垂線と交わる交点であり、acは、前記aと前記cとを結ぶ線分であり、bcは、前記bとc前記とを結ぶ線分であり、Aは、前記acと前記bcのうち、短い方の長さであり、Bは、前記acと前記bcのうち、長い方の長さである。前記A及び前記Bが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。
【0010】
第1の特徴において、前記窪み部分は、前記台座斜面のうち、前記台座下面と接する部分を含む。
【0011】
第1の特徴において、前記A及び前記BがA<1/30.5×Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たす。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐久性の低下を抑制しながら、タイヤの内面からの剥離を抑制することを可能とする取付構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1実施形態に係るタイヤ100を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るタイヤ100を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る取付構造体200を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る挿入片250を示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る挿入片250を示す図である。
【図9】図9は、第1実施形態に係る台座210を示す図である。
【図10】図10は、第1実施形態に係る台座210を示す図である。
【図11】図11は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【図12】図12は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【図13】図13は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【図14】図14は、変更例1に係る台座210を示す図である。
【図15】図15は、変更例1に係る台座210を示す図である。
【図16】図16は、変更例1に係る台座210を示す図である。
【図17】図17は、台座210とタイヤ100との間に生じる応力を説明するための図である。
【図18】図18は、台座210とタイヤ100との間に生じる応力を説明するための図である。
【図19】図19は、台座斜面213の曲率半径とせん断応力との関係を説明するための図である。
【図20】図20は、評価結果を説明するための図である。
【図21】図21は、評価結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明の実施形態に係る取付構造体について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0015】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
[実施形態の概要]
実施形態に係る取付構造体は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品を前記タイヤの内面に取り付ける構造体である。取付構造体は、弾性部材によって構成されており、前記タイヤの内面に接着される台座下面と、前記台座下面の反対側に設けられる台座上面と、前記タイヤ周方向における前記台座下面の端部から前記タイヤ周方向における前記台座上面の端部に連続する台座斜面とを有する台座を備える。前記台座斜面は、前記タイヤ周方向において前記台座の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有する。前記タイヤ周方向に沿った断面において、aは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面から最も離れた点であり、bは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面に接する点であり、cは、前記台座下面のうち、前記bから前記台座下面に下ろした垂線と交わる交点であり、acは、前記aと前記cとを結ぶ線分であり、bcは、前記bとc前記とを結ぶ線分であり、Aは、前記acと前記bcのうち、短い方の長さであり、Bは、前記acと前記bcのうち、長い方の長さである。前記A及び前記Bが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。
【0017】
実施形態では、台座斜面は、タイヤ周方向において台座の中心に向けて凹む窪み部分を有するため、タイヤの内面からの剥離が抑制される。また、柔らかいゴムを利用する必要性がないため、台座の耐久性の低下が抑制される。
【0018】
また、A及びBが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。従って、台座斜面の曲率半径Rを適切に定めることができる。
【0019】
[第1実施形態]
(タイヤの構成)
以下において、第1実施形態に係るタイヤの構成について説明する。図1及び図2は、第1実施形態に係るタイヤ100を示す図である。
【0020】
第1に、タイヤ100は、図1に示すように、ビード部10と、サイドウォール部20と、ショルダー部30と、トレッド部40とを有する。
【0021】
ビード部10は、タイヤ100を構成する部位のうち、タイヤ径方向において、最も内側に設けられる。ビード部10は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。ビード部10は、タイヤ100をリムに固定するための部位である。なお、ビード部10は、ゴムによって被覆されている。
【0022】
サイドウォール部20は、タイヤ100を構成する部位のうち、タイヤ径方向において、ビード部10よりも外側に設けられる。サイドウォール部20は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。サイドウォール部20は、タイヤ100の側面を構成する。なお、サイドウォール部20は、ゴムによって被覆されている。
【0023】
ショルダー部30は、タイヤ100を構成する部位のうち、サイドウォール部20とトレッド部40との間に跨って設けられる。ショルダー部30は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。なお、ショルダー部30は、ゴムによって被覆されている。
【0024】
トレッド部40は、タイヤ100を構成する部位のうち、路面に接地するタイヤ踏み面を構成する部位である。トレッド部40は、タイヤ周方向に沿って連続的に設けられる。トレッド部40のタイヤ踏み面には、例えば、タイヤ周方向に沿って延びる溝(周方向溝)やタイヤ幅方向に沿って延びる(幅方向溝)などによって形成されるトレッドパターンが設けられている。
【0025】
第2に、タイヤ100は、図1及び図2に示すように、ビードコア110と、カーカス層120と、ベルト層130とを有する。
【0026】
ビードコア110は、ビードコア110A及びビードコア110Bを有しており、ビード部10を構成する。ビードコア110は、リング状形状を有しており、ビードワイヤー(不図示)によって構成される。
【0027】
カーカス層120は、ビードコア110Aとビードコア110Bとの間に跨るトロイダル形状を有する。カーカス層120は、例えば、タイヤ径方向(或いは、タイヤ幅方向)に沿って延びる複数のカーカスコード(不図示)によって構成される。カーカス層120は、ビードコア110でタイヤ幅方向の外側に向けて折り返されている。
【0028】
ベルト層130は、ベルト層130A及びベルト層130Bを有しており、トレッド部40を構成する。ベルト層130は、カーカス層120に対して、タイヤ径方向の外側に配置される。ベルト層130は、ベルトコードがゴムで被覆された構成を有する。ベルト層130Aに設けられるベルトコードは、ベルト層130Bに設けられるベルトコードと交錯していてもよい。
【0029】
(取付構造体の構成)
以下において、第1実施形態に係る取付構造体の構成について説明する。図3は、第1実施形態に係る取付構造体200を示す図である。ここで、取付構造体200は、タイヤ100の内面に接着されることに留意すべきである。詳細には、取付構造体200は、タイヤ周方向に沿って延びるタイヤ100の内面、すなわち、トレッド部40を構成するタイヤ100の内面に接着される。
【0030】
図3に示すように、取付構造体200は、台座210と、枠体220と、基体230と、機能部品240と、挿入片250とを有する。
【0031】
台座210は、弾性部材(エラストマー)によって構成される。例えば、台座210は、天然ゴムや合成ゴムによって構成される。台座210は、タイヤ100の内面に接着される台座下面と、台座下面の反対側に設けられる台座上面とを有する。例えば、台座210は、加硫接着によってタイヤ100の内面に接着される。台座210の台座上面には、枠体220及び基体230を介して機能部品240が設けられる。
【0032】
なお、台座210を構成する弾性部材のヤング率は、30MPa以下であることが好ましい。外形が小さいタイヤ100の内面に台座210を接着する場合には、トレッド部40の曲率半径変化が大きくなるため、台座210を構成する弾性部材のヤング率は、1MPa以上7MPa以下であることが好ましい。
【0033】
枠体220は、所定の剛性を有する部材によって構成される。枠体220は、台座210の台座上面に配置される。例えば、枠体220の表面には、真鍮メッキが施されており、台座210は、コバルトを含んでおり、枠体220は、加硫接着によって台座210に接着される。
【0034】
第1実施形態では、枠体220は、基体230を収容する箱形形状を有する。なお、枠体220の詳細については後述する(図4〜図6を参照)。
【0035】
基体230は、所定の剛性を有する部材によって構成される。基体230には、機能部品240が載置される。第1実施形態では、基体230は、略直方体形状を有しており、枠体220に収容される。
【0036】
機能部品240は、タイヤ100の状態を検出する機能を有する。機能部品240は、例えば、タイヤ100の内圧を検出する圧力センサ、タイヤ100の内部温度を検出する温度センサ、タイヤ100の回転速度を検出する加速度センサなどである。
【0037】
挿入片250は、所定の剛性を有する部材によって構成される。挿入片250は、枠体220に挿入され、枠体220に収容される基体230の動きを規制する。第1実施形態では、挿入片250は、U字形状を有しており、タイヤ100の内面に対する垂直方向において基体230の動きを規制する。なお、挿入片250の詳細については後述する(図7及び図8を参照)。
【0038】
(枠体の構成)
以下において、第1実施形態に係る枠体の構成について説明する。図4は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。
【0039】
図4に示すように、枠体220は、底板221と、1対の第1壁体222(第1壁体222A及び第1壁体222B)と、1対の側壁係止片223(側壁係止片223A及び側壁係止片223B)と、第2壁体224と、第2壁体225とを有する。
【0040】
底板221は、台座上面に配置される枠体下面及び枠体下面の反対側に設けられる枠体上面を有する。枠体上面は、第1方向と、第1方向に交差する第2方向とによって定義される。底板221の枠体上面上には、基体230が載置される。なお、第1実施形態では、底板221は、板状形状を有しており、矩形形状の枠体上面を有する。
【0041】
第1壁体222A及び第1壁体222Bは、底板221に設けられる。第1壁体222A及び第1壁体222Bは、底板221に対する垂直方向に立設する形状を有する。第1壁体222A及び第1壁体222Bは、第1方向に沿って延びる。第1壁体222A及び第1壁体222Bは、第1方向に交差する第2方向において間隔を空けて設けられる。
【0042】
第1実施形態において、第1壁体222Aは、底板221に対する垂直方向の先端として、第2方向において第1壁体222B側に向けて曲がる側壁係止片223Aを構成する。側壁係止片223Aは、第1方向に沿って延びる。同様に、第1壁体222Bは、底板221に対する垂直方向の先端として、第2方向において第1壁体222A側に向けて曲がる側壁係止片223Bを構成する。側壁係止片223Bは、第1方向に沿って延びる。
【0043】
第2壁体224は、底板221に設けられる。第2壁体224は、底板221に対する垂直方向に立設する形状を有する。第2壁体224は、第2方向に沿って延びる。第1実施形態では、第2壁体224は、板状形状を有しており、第1方向において底板221の一端に設けられる。
【0044】
第2壁体225は、底板221に設けられる。第2壁体225は、底板221に対する垂直方向に立設する形状を有する。第2壁体225は、第2方向に沿って延びる。第1実施形態では、第2壁体225は、板状形状を有しており、第1方向において底板221の他端に設けられる。
【0045】
なお、第2壁体224及び第2壁体225は、第1方向において間隔を空けて設けられる。第1実施形態では、第1方向に沿って基体230を挿入するために、垂直方向において、第2壁体224及び第2壁体225のうち、少なくとも一方の高さは、第1壁体222の高さよりも小さいことが好ましい。
【0046】
このように、第1実施形態では、底板221、第1壁体222、第2壁体224及び第2壁体225によって箱形形状が構成される。
【0047】
第1実施形態では、第1方向がタイヤ幅方向となるように、取付構造体200がタイヤ100に接着されるケースについて例示する。以下においては、説明を明確にするために、第1方向をタイヤ幅方向と称し、第2方向をタイヤ周方向と称し、垂直方向をタイヤ径方向と称する。
【0048】
(枠体の寸法)
以下において、第1実施形態に係る枠体の寸法について説明する。図5及び図6は、第1実施形態に係る枠体220を示す図である。なお、図5及び図6は、基体230が枠体220に収容された状態を示している。
【0049】
図5に示すように、タイヤ径方向において、枠体220の枠体上面から側壁係止片223までの高さはH223である。タイヤ径方向において、基体230の高さはH230である。高さH223と高さH230との差分は、D1である。タイヤ周方向において、基体230の長さは、L230である。
【0050】
第1実施形態において、タイヤ周方向において、1対の第1壁体222の間隔は、基体230の長さL230と等しい。従って、1対の第1壁体222によって、タイヤ周方向に対する基体230の動きが規制される。言い換えると、基体230は、1対の第1壁体222の間に嵌合するように枠体220の枠体上面に配置される。
【0051】
なお、後述するように、タイヤ径方向において、差分D1は、挿入片250に設けられる1対のアーム部の高さと等しい。従って、1対のアーム部によって、タイヤ径方向に対する基体230の動きが規制される。
【0052】
図6に示すように、タイヤ径方向において、第2壁体224及び第2壁体225の高さは、H225である。タイヤ幅方向において、基体230の幅は、W230である。
【0053】
第1実施形態において、タイヤ幅方向において、第2壁体224及び第2壁体225の間隔は、基体230の幅W230と等しい。従って、第2壁体224及び第2壁体225によって、タイヤ幅方向に対する基体230の動きが規制される。
【0054】
第1実施形態では、高さH223と高さH225との差分は、基体230の高さH230よりも大きいことが好ましい。これによって、タイヤ幅方向に沿って基体230を枠体220内に挿入することが容易である。
【0055】
(挿入片の構成)
以下において、第1実施形態に係る挿入片の構成について説明する。図7及び図8は、第1実施形態に係る挿入片250を示す図である。なお、図7は、枠体220に挿入片250を取り付けた後の状態を示しており、図8は、枠体220に挿入片250を取り付ける前の状態を示している。
【0056】
図7及び図8に示すように、挿入片250は、1対のアーム部251(アーム部251A及びアーム部251B)と、1対の先端折返し片252(先端折返し片252A及び先端折返し片252B)と、連結部253と、1対の張り出し部分254(張り出し部分254A及び張り出し部分254B)とを有する。
【0057】
アーム部251A及びアーム部251Bは、タイヤ幅方向に沿って延びる。また、アーム部251A及びアーム部251Bは、タイヤ周方向において可撓性を有する。例えば、アーム部251A及びアーム部251Bは、タイヤ周方向の厚みがタイヤ径方向の厚みよりも小さい平板形状を有する。
【0058】
アーム部251Aの先端は、タイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる先端折返し片252Aを構成する。同様に、アーム部251Bの先端は、タイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる先端折返し片252Bを構成する。
【0059】
アーム部251の本体と先端折返し片252とによって形成される角度θ1は、鋭角であることが好ましい。すなわち、角度θ1が鋭角となるようにアーム部251の先端(先端折返し片252)が折り返される。
【0060】
先端折返し片252は、枠体220に挿入片250を取り付けた後において、第1壁体222に引っ掛かるように構成される。すなわち、先端折返し片252は、タイヤ幅方向に沿って挿入片250が抜けることを防止する機能を有する。
【0061】
先端折返し片252は、枠体220に挿入片250を取り付けた後において、挿入片250がタイヤ幅方向のA側に抜けることを抑制する。
【0062】
連結部253は、アーム部251A及びアーム部251Bの根本を連結する部位である。連結部253は、アーム部251Aの根本からタイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる張り出し部分254Aを有する。同様に、連結部253は、アーム部251Bの根本からタイヤ周方向において挿入片250の外側に曲がる張り出し部分254Bを有する。
【0063】
アーム部251の本体の延長線と張り出し部分254とによって形成される角度θ2は、鋭角であることが好ましい。すなわち、角度θ2が鋭角となるように、アーム部251の根本に連続する部位(張り出し部分254)が折曲げられる。
【0064】
張り出し部分254は、枠体220に挿入片250を取り付けた後において、挿入片250がタイヤ幅方向のB側に入り込むことを防止する機能を有する。一方で、枠体220から挿入片250を外す際には、タイヤ幅方向のB側に挿入片250を動かすことによって、先端折返し片252の引っ掛かりを外すことができる。
【0065】
ここで、タイヤ周方向において先端折返し片252の長さはL252である。タイヤ周方向において張り出し部分254の長さはL254である。長さL252は、長さL254と等しいことが好ましい。これによって、枠体220から挿入片250が抜けにくい。
【0066】
また、タイヤ幅方向において、アーム部251の長さは、W251である。アーム部251の長さW251は、タイヤ幅方向における第1壁体222の長さと等しいことが好ましい。これによって、枠体220から挿入片250が抜けにくい。
【0067】
なお、図8に示すように、枠体220に挿入片250を取り付ける前において、アーム部251の先端の間隔Gtipは、アーム部251の根本の間隔Grootよりも大きいことが好ましい。アーム部251が有する可撓性によって、枠体220から挿入片250が抜けにくい。
【0068】
(台座の構成)
以下において、第1実施形態に係る台座の構成について説明する。図9は、第1実施形態に係る台座210を示す図である。なお、図9では、枠体220及び基体230が省略されていることに留意すべきである。
【0069】
図9に示すように、台座210は、タイヤ100の内面に接着される台座下面211と、台座下面211の反対側に設けられる台座上面212と、タイヤ周方向における台座下面211の端部からタイヤ周方向における台座上面212の端部に連続する台座斜面213とを有する。
【0070】
台座斜面213は、タイヤ周方向において台座210の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有する。窪み部分は、台座斜面213のうち、台座下面211と接する部分を含む。言い換えると、台座斜面213は、台座下面211と接する部分において、窪み部分を有する。
【0071】
なお、第1実施形態では、台座斜面213の全体が窪み部分によって構成されているケースについて例示する。
【0072】
ここで、タイヤ周方向の断面において、各略号の意味は、以下の通りである。
【0073】
aは、台座斜面213(窪み部分)のうち、タイヤ100の内面から最も離れた点
bは、台座斜面213(窪み部分)のうち、タイヤ100の内面に接する点
cは、台座下面211のうち、bから台座下面211に下ろした垂線と交わる交点であり、
abは、aとbとを結ぶ線分
acは、aとcとを結ぶ線分
bcは、bとcとを結ぶ線分
Aは、acとbcのうち、短い方の長さ
Bは、acとbcのうち、長い方の長さ
ここで、後述するように、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rが小さいほど、タイヤ100の内面と台座下面211との間に生じるせん断応力が低減する。特に、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいと、前後入力によって生じる応力が低減する。従って、曲率半径Rの最大値は、(A2+B2)0.5であることが好ましい。
【0074】
但し、1/30.5×B=Aである場合には、(A2+B2)/(2×A)=(A2+B2)0.5という関係が満たされる。このようなケースでは、図10に示すように、曲率半径Rの円は、bを通る水平線に接する円である。このようなケースにいて、“(A2+B2)/(2×A)”の値よりも曲率半径Rを小さくすることができない。
【0075】
従って、1/30.5×B<Aの条件が満たされるケース(1)と、A<1/30.5×Bの条件が満たされるケース(2)とに分けて考える必要がある。
【0076】
ケース(1)では、(A2+B2)/(2×A)<(A2+B2)0.5の関係が成り立つため、曲率半径Rの最小値は、(A2+B2)/(2×A)である。従って、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。
【0077】
ケース(2)では、(A2+B2)0.5<(A2+B2)/(2×A)の関係が成り立つため、曲率半径Rの最小値は、(A2+B2)/(2×A)である。従って、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たす。
【0078】
(取付構造体の組み付け)
以下において、第1実施形態に係る取付構造体の組み付けについて説明する。図11〜図13は、第1実施形態に係る取付構造体200の組み付けを説明するための図である。
【0079】
図11に示すように、機能部品240が載置された基体230を台座210の台座上面に取り付けられた枠体220に配置する。続いて、タイヤ幅方向に沿って挿入片250を挿入する。詳細には、挿入片250は、第1壁体222と機能部品240との間においてアーム部251がタイヤ幅方向に沿って挿入されるように配置される。これによって、図12に示すように、取付構造体200の組み付けが完了する。
【0080】
なお、図13に示すように、タイヤ径方向において、底板221に設けられる底面から側壁係止片223までの高さH223は、基体230の高さH230及びアーム部251の高さH251の合計と等しいことが好ましい。すなわち、アーム部251の高さH251は、高さH223と高さH230との差分D1と等しい。
【0081】
(作用及び効果)
第1実施形態では、台座斜面213は、タイヤ周方向において台座210の中心に向けて凹む窪み部分を有するため、タイヤ100の内面からの剥離が抑制される。また、柔らかいゴムを利用する必要性がないため、台座210の耐久性の低下が抑制される。
【0082】
また、1/30.5×B<A<Bの条件が満たされるケース(1)に、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たす。従って、台座斜面の窪み部分の曲率半径Rを適切に定めることができる。
【0083】
同様に、A<1/30.5×Bの条件が満たされるケース(2)において、曲率半径Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たす。従って、台座斜面の窪み部分の曲率半径Rを適切に定めることができる。
【0084】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0085】
変更例1では、台座斜面213の形状のバリエーションについて説明する。具体的には、図14に示すように、台座斜面213の全体が曲率半径Rの曲率で構成されていてもよい。或いは、図15に示すように、台座斜面213は、複数の直線によって構成されており、近似的に曲率半径Rの曲線を構成してもよい。或いは、図16に示すように、台座斜面213は、曲率半径が異なる複数の曲線によって構成されてもよい。
【0086】
なお、図16に示すケースでは、曲率半径Rの曲率を有する窪み部分は、台座斜面213のうち、台座下面211と接する部分を含む部位であることに留意すべきである。
【0087】
[台座とタイヤの内面との間に生じる応力]
以下において、台座210(台座下面)とタイヤ100の内面(インナーライナー)との間に生じる応力について説明する。
【0088】
(首振り運動)
以下において、首振り運動について図17を参照しながら説明する。図17に示すように、タイヤ100の内面に取付構造体200が接着された状態において、タイヤ100が路面に接地した際に、タイヤ100の回転に伴って生じる向心力が取付構造体200の部位によって異なる。
【0089】
具体的には、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200の前部分に相当するタイヤ100が路面に接地しており、取付構造体200の後部分に相当するタイヤ100が路面に接地していないケースについて考える。このようなケースにおいて、取付構造体200の前部分において向心力は、取付構造体200の後部分の向心力に比べて小さい。従って、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200に対して前側に倒れ込む応力が加わる。
【0090】
同様に、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200の前部分に相当するタイヤ100が路面に接地しておらず、取付構造体200の後部分に相当するタイヤ100が路面に接地しているケースについて考える。このようなケースにおいて、取付構造体200の後部分において向心力は、取付構造体200の前部分の向心力に比べて小さい。従って、タイヤ周方向(回転方向)において、取付構造体200に対して後側に倒れ込む応力が加わる。
【0091】
タイヤ100の回転に伴って、前側に倒れ込む応力や後側に倒れ込む応力(すなわち、前後応力)が取付構造体200に対して繰り返し加わると、取付構造体200が前後に首を振るような挙動が生じる。これによって、台座210(台座下面)とタイヤ100の内面(インナーライナー)との間に生じる応力(前後入力によって生じる応力)が生じる。
【0092】
(インナーライナーの変形)
以下において、インナーライナーの変形について図18を参照しながら説明する。図18に示すように、タイヤ100が路面に接地している状態(接地状態)とタイヤ100が路面に接地していない状態(非接地状態)との間で、インナーライナーの形状が異なる。すなわり、接地状態では、インナーライナーは平坦形状であり、非接地状態では、インナーライナーは円弧形状である。
【0093】
タイヤ100の回転に伴って、接地状態(平坦形状)及び非接地状態(円弧形状)が繰り返されると、台座210(台座下面)とタイヤ100の内面(インナーライナー)との間に生じる応力(曲げ入力によって生じる応力)が生じる。
【0094】
[窪み部分の曲率半径]
以下において、窪み部分の曲率半径について、図19を参照しながら説明する。図19に示すように、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rが小さいほど、タイヤ100の内面と台座下面211との間に生じるせん断応力が低減する。
【0095】
なお、図19に示す測定では、各部材の寸法は、以下の通りである。
【0096】
台座210の接着長=41mm
台座210の接着幅=35mm
台座210の厚み=6mm
機能部品240の取付長さ=26mm
機能部品240の取付幅=35mm
bc=8.5mm(B)
ac=6.0mm(A)
ab=(A2+B2)0.5=10.4mm
図19に示すように、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rが10mm以下である場合に、前後入力によって生じる応力が低減する。従って、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいことが好ましい。
【0097】
[評価結果1]
以下において、評価結果1について、図20を参照しながら説明する。具体的には、実施例1、比較例1〜比較例3を準備した。詳細には、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rを変更して、前後入力によって生じる応力(前後入力時)及び曲げ入力によって生じる応力(曲げ入力時)を測定した。
【0098】
ここで、前後入力によって生じる応力については、機能部品240(重心X)に作用する慣性力fとして300Nを加えて、タイヤ周方向における台座210(台座下面211)の端部に生じる応力を測定した。曲げ入力によって生じる応力については、タイヤ周方向において台座下面211(タイヤ100の内面)の曲率半径Rが300mmとなるように台座下面211を擬似的に変形して、タイヤ周方向における台座210(台座下面211)の端部に生じる応力を測定した。
【0099】
(共通条件)
台座210の接着長=41mm
台座210の接着幅=35mm
台座210の厚み=3mm
機能部品240の取付長さ=26mm
機能部品240の取付幅=35mm
台座210を構成する弾性部材のヤング率=7MPa
bc=8.5mm(B)
ac=6.0mm(A)
ab=(A2+B2)0.5=10.4mm
図20に示すように、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減する。一方で、曲率半径Rが小さいほど、曲げ入力によって生じる応力が増加している。従って、前後入力によって生じる応力及び曲げ入力によって生じる応力のバランスを考えると、曲率半径Rの最適値が(A2+B2)0.5=10.4mmであることが確認された。
【0100】
なお、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減するため、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいことが好ましいことが好ましいことが確認された。
【0101】
[評価結果2]
以下において、評価結果2について、図21を参照しながら説明する。具体的には、実施例2、比較例4〜比較例6を準備した。詳細には、評価結果1と同様に、台座斜面213の窪み部分の曲率半径Rを変更して、前後入力によって生じる応力(前後入力時)及び曲げ入力によって生じる応力(曲げ入力時)を測定した。
【0102】
(共通条件)
台座210の接着長=41mm
台座210の接着幅=35mm
台座210の厚み=6mm
機能部品240の取付長さ=21mm
機能部品240の取付幅=35mm
台座210を構成する弾性部材のヤング率=7MPa
bc=10mm(B)
ac=9mm(A)
ab=(A2+B2)0.5=13.45mm
図21に示すように、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減する。一方で、曲率半径Rが小さいほど、曲げ入力によって生じる応力が増加している。従って、前後入力によって生じる応力及び曲げ入力によって生じる応力のバランスを考えると、曲率半径Rの最適値が(A2+B2)0.5=10.4mmであることが確認された。
【0103】
なお、曲率半径Rが小さいほど、前後入力によって生じる応力が低減するため、曲率半径Rが(A2+B2)0.5よりも小さいことが好ましいことが好ましいことが確認された。
【0104】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0105】
実施形態では、取付構造体200は、枠体220、基体230及び挿入片250を有するケースを例示したが、実施形態は、これに限定されるものではない。取付構造体200は、枠体220、基体230及び挿入片250を有していなくてもよい。すなわち、取付構造体200は、台座210のみによって構成されていてもよい。
【0106】
実施形態では、寸法の表現として、「等しい」という用語を用いたが、寸法誤差を許容することが可能であることは勿論である。
【0107】
実施形態で用いる「所定の剛性」は、台座を構成する部材(弾性部材)の剛性よりも少なくとも大きいことに留意すべきである。
【0108】
実施形態では、枠体220の枠体上面の形状は、矩形形状である。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。具体的には、枠体220の枠体上面の形状は、三角形状や他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
10…ビード部、20…サイドウォール部、30…ショルダー部、40…トレッド部、100…タイヤ、110…ビードコア、120…カーカス層、130…ベルト層、200…取付構造体、210…台座、211…台座下面、212…台座上面、213…台座斜面、220…枠体、221…底板、222…第1壁体、223…側壁係止片、224…第2壁体、225…第2壁体、230…基体、240…機能部品、250…挿入片、251…アーム部、252…先端折返し片、253…連結部、254…張り出し部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品を前記タイヤの対面に取り付ける取付構造体であって、
弾性部材によって構成されており、前記タイヤの内面に接着される台座下面と、前記台座下面の反対側に設けられる台座上面と、タイヤ周方向における前記台座下面の端部から前記タイヤ周方向における前記台座上面の端部に連続する台座斜面とを有する台座を備え、
前記台座斜面は、前記タイヤ周方向において前記台座の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有しており、
前記タイヤ周方向に沿った断面において、
aは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面から最も離れた点であり、
bは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面に接する点であり、
cは、前記台座下面のうち、前記bから前記台座下面に下ろした垂線と交わる交点であり、
acは、前記aと前記cとを結ぶ線分であり、
bcは、前記bとc前記とを結ぶ線分であり、
Aは、前記acと前記bcのうち、短い方の長さであり、
Bは、前記acと前記bcのうち、長い方の長さであり、
前記A及び前記Bが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たすことを特徴とする取付構造体。
【請求項2】
前記窪み部分は、前記台座斜面のうち、前記台座下面と接する部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の取付構造体。
【請求項3】
前記タイヤ周方向に沿った断面において、
前記A及び前記BがA<1/30.5×Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の取付構造体。
【請求項1】
タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品を前記タイヤの対面に取り付ける取付構造体であって、
弾性部材によって構成されており、前記タイヤの内面に接着される台座下面と、前記台座下面の反対側に設けられる台座上面と、タイヤ周方向における前記台座下面の端部から前記タイヤ周方向における前記台座上面の端部に連続する台座斜面とを有する台座を備え、
前記台座斜面は、前記タイヤ周方向において前記台座の中心に向けて、曲率半径Rの曲率で凹む窪み部分を有しており、
前記タイヤ周方向に沿った断面において、
aは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面から最も離れた点であり、
bは、前記窪み部分のうち、前記タイヤの内面に接する点であり、
cは、前記台座下面のうち、前記bから前記台座下面に下ろした垂線と交わる交点であり、
acは、前記aと前記cとを結ぶ線分であり、
bcは、前記bとc前記とを結ぶ線分であり、
Aは、前記acと前記bcのうち、短い方の長さであり、
Bは、前記acと前記bcのうち、長い方の長さであり、
前記A及び前記Bが1/30.5×B<A<Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<R<(A2+B2)0.5の関係を満たすことを特徴とする取付構造体。
【請求項2】
前記窪み部分は、前記台座斜面のうち、前記台座下面と接する部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の取付構造体。
【請求項3】
前記タイヤ周方向に沿った断面において、
前記A及び前記BがA<1/30.5×Bの条件を満たす場合に、前記Rは、(A2+B2)/(2×A)<Rの関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の取付構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−250666(P2012−250666A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126441(P2011−126441)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
[ Back to top ]