説明

取引データ処理装置およびプログラム

【課題】比較的に簡素な構成の取引データ処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態の取引データ処理装置は、基部と、可動部と、検出部と、表示制御部と、を備える。前記可動部は、情報を表示面に表示する表示器を有し、前記表示面の向きを変更可能に前記基部に連結されている。前記検出部は、前記表示面の向きを検出する。前記表示制御部は、第1の操作部の規定の操作が行われたと判定し、且つ前記検出部の検出結果を用いて前記表示面の規定の向きの変化があったと判定した場合に、前記表示面の表示内容を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS端末を使用して、電気やガス、水道料金等の公共料金の支払いが可能なコンビニエンスストア等がある。
【0003】
このように公共料金の支払いに用いられるPOS端末は、店員用のタッチパネル付き表示器と客用のタッチパネル付き表示器とを備え、客用のタッチパネル付き表示器に公共料金の支払いに関する情報と確認ボタンとを表示して、客に確認ボタンのタッチ操作を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、店員専用および客専用の2つのタッチパネル付き表示器がPOS端末に設けられているため、POS端末が大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の取引データ処理装置は、基部と、可動部と、検出部と、表示制御部と、を備える。前記可動部は、情報を表示面に表示する表示器を有し、前記表示面の向きを変更可能に前記基部に連結されている。前記検出部は、前記表示面の向きを検出する。前記表示制御部は、第1の操作部の規定の操作が行われたと判定し、且つ前記検出部の検出結果を用いて前記表示面の規定の向きの変化があったと判定した場合に、前記表示面の表示内容を切り替える。
【0006】
実施形態のプログラムは、基部と、情報を表示面に表示する表示器を有し、前記表示面の向きを変更可能に前記基部に連結された可動部と、前記表示面の向きを検出する検出部と、を備える取引データ処理装置のコンピュータを、第1の操作部の規定の操作が行われたと判定し、且つ前記検出部の検出結果を用いて前記表示面の規定の向きの変化があったと判定した場合に、前記表示面の表示内容を切り替える表示制御部として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態にかかる取引データ処理装置としてのPOS端末を示す図であって、タッチパネル付き表示器が第1の位置に位置した状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるPOS端末を示す図であって、タッチパネル付き表示器が第2の位置に位置した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態にかかる連結部を示す図であって、タッチパネル付き表示器が第1の回動範囲に位置した状態での連結部を示す水平断面図である。
【図4】図4は、実施形態にかかる連結部を示す図であって、タッチパネル付き表示器が第1の回動範囲に位置した状態での連結部を示す縦断正面図である。
【図5】図5は、実施形態にかかる連結部を示す図であって、タッチパネル付き表示器が第2の回動範囲に位置した状態での連結部を示す縦断正面図である。
【図6】図6は、実施形態にかかるPOS端末の電気的接続を示すブロック図である。
【図7】図7は、実施形態にかかるPOS端末が行う公共料金の会計処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施形態にかかる店員用画面を示す図である。
【図9】図9は、実施形態にかかるメッセージが表示された店員用画面を示す図である。
【図10】図10は、実施形態にかかる支払内容確認画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して、実施形態にかかる取引データ処理装置およびプログラムを詳細に説明する。
【0009】
図1に示すように、POS(Point of Sales:販売時点管理)端末1は、キーボード11、レシートプリンタ12、および表示操作部13を備えている。これらのキーボード11、レシートプリンタ12、表示操作部13は、筐体10に取り付けられている。本実施形態では、筐体10が基部に相当し、表示操作部13が可動部に相当する。キーボード11は、筐体10の前部の上面を含む部分に配置されている。表示操作部13は、キーボード11の後方であって筐体10の後部の上面に配置されて、筐体10に回動可能に連結されている。レシートプリンタ12は、表示操作部13の側方において筐体10の上面に配置されている。また、筐体10の背面(後面)には、客用の第2の表示器14(図6参照)が設けられている。筐体10、キーボード11、レシートプリンタ12は、本体部16を構成している。また、POS端末1は、スキャナ17を備えており、スキャナ17は、本体部16に接続されている。
【0010】
キーボード11は、操作者である店員が操作入力を行うための各種の操作キーを有している。操作キーは、数値を入力するための置数キー、小計キー、預/現計キー(締めキー)、公共料金支払キー、実行キー、等である。キーボード11は、操作されたキーに応じた信号を後述する制御部18(図6)に入力する。
【0011】
第2の表示器14は、例えば液晶表示器であり、制御部18に制御されて客用の各種情報を表示する。この第2の表示器14は、表示操作部13が有する第1の表示器20に比べて小さく、一度に表示できる情報量も第1の表示器20に比べて少ない。
【0012】
レシートプリンタ12は、制御部18に駆動されて、取引単位でレシートを印字発行する。
【0013】
スキャナ17は、バーコード等のコードシンボルを光学的に読み取るものである。コードシンボルは、商品や各種公共料金の請求書に付されている。コードシンボルには、例えば商品コードや公共機関コード等の情報が含まれる。スキャナ17は、読み取ったコードシンボルの情報を制御部18に入力する。スキャナ17は、ハンディータイプである。店員がスキャナ17を把持して読み取り対象のコードシンボルへ近接させるスキャン操作を行うと、スキャナ17がコードシンボルを読み取る。スキャナ17は、第1の操作部の一つに相当し、スキャン操作は、規定の操作の一つに相当する。
【0014】
表示操作部13は、第2の筐体19と、情報を表示面20aに表示する第1の表示器20と、タッチパネル21と、を有している。第1の表示器20とタッチパネル21とは、表示操作部13の第2の筐体19に固定されている。第2の筐体19には、開口部19aが形成されており、この開口部19aから第1の表示器20の表示面20aが露出している。また、タッチパネル21は、表示面20a上に積層配置されて、開口部19aから露出している。第1の表示器20は、例えば液晶表示器であり、制御部18に制御されて各種情報を表示する。タッチパネル21は、操作としてタッチ操作を受ける第2の操作部であり、タッチ操作に応じた信号を制御部18に入力する。また、タッチパネル21は、第1の操作部の一つにも相当し、タッチ操作は、規定の操作の一つに相当する。
【0015】
表示操作部13は、表示面20aの向きを変更可能に筐体10に連結されている。詳細には、表示操作部13は、連結部22によって、筐体10に回動可能に連結されている。表示操作部13は、表示面20aが筐体10(本体部16)の前後方向での前方に向く第1の位置(図1)と、第1の位置と表示面20aが逆を向く位置であって表示面20aが筐体10(本体部16)の前後方向での後方に向く第2の位置(図2)とを含む範囲で、鉛直方向に沿った回転軸心回りに回動可能となっている。本実施形態では、表示操作部13の回動範囲は、180度となっており、表示操作部13の回動範囲以外への回動は、表示操作部13と当接するストッパ(図示せず)によって規制されるようになっている。なお、表示操作部13の回動範囲は、180度に限るものではなく、180度以外の他の角度であってもよい。第1の位置に位置した表示面20aは、筐体10(本体部16)の前方に位置した店員と対面する。第2の位置に位置した表示面20aは、筐体10(本体部16)の後方に位置した客と対面する。
【0016】
図3および図4に示すように、連結部22は、筐体10に設けられた凸状の支持部22aと、表示操作部13の第2の筐体19に設けられた筒状の係合部22bと、を含んでいる。支持部22aには、係合部22bが回動可能に嵌合しており、これにより連結部22は、表示操作部13を筐体10に回動可能に連結している。
【0017】
また、図3、図4および図5に示すように、POS端末1は、検出部としての検出スイッチ23と、被検出部24と、を備えている。検出スイッチ23は、筐体10に設けられ、被検出部24は、表示操作部13に設けられている。なお、検出スイッチ23が表示操作部13に設けられ、被検出部24が筐体10に設けられていてもよい。即ち、被検出部24が筐体10と表示操作部13との一方に設けられ、検出スイッチ23が筐体10と表示操作部13との他方に設けられていればよい。
【0018】
検出スイッチ23は、筐体の10の支持部22aに設けられている。検出スイッチ23は、被検出部24を検出することで、表示面20aの向きを検出するものである。検出スイッチ23は、基部23aと、この基部23aに対して上下にスライド可能に支持された可動ピン23bと、を備えている。可動ピン23bは、図示しないばねによって基部23aから突出する方向(上方)に向けて付勢されているとともに、ストッパによって基部23aからの抜け止めがなされている。基部23aの下部は、支持部22aに埋め込まれている。検出スイッチ23は、例えばマイクロスイッチによって構成されている。
【0019】
図3に示すように、被検出部24は、円板状に形成されている。被検出部24は、表示操作部13の係合部22bの筒内に固定されており、係合部22bと一体となって回動する。被検出部24には、回動方向に沿った弧状の孔24aが形成されており、この孔24aに、検出スイッチ23の可動ピン23bが挿脱可能となっている。孔24aに可動ピン23bが挿入された状態で、孔24aと可動ピン23bとは相対移動可能となっている。孔24aは、表示操作部13の回動中心回りに角度αの範囲で形成されている。本実施形態では、角度αは60度となっている。
【0020】
ここで、表示操作部13の回動範囲は、上述のとおり、一例として第1の位置から第2の位置までの180度の範囲である。そして、第1の位置と第2の位置との間の表示操作部13の回動位置の一つに、規定の切替位置が設定されている。切替位置は、第1の表示器20が表示する内容が店員用と客用とに切り替わるときの位置である。切替位置は、表示操作部13が第1の位置から規定角度だけ回動したときの位置であり、規定角度は、本実施形態では、60度となっている。そして、第1の位置と切替位置との間の回動範囲が、表示操作部13の第1の回動範囲であり、切替位置と第2の位置との間の回動範囲が、表示操作部13の第2の回動範囲となっている。そして、表示操作部13が第1の回動範囲内に位置したときの表示面20aの向きが第1の向き(第1の規定の向き)とされ、表示操作部13が第2の回動範囲内に位置したときの表示面20aの向きが第2の向き(第2の規定の向き)とされている。第1の回動範囲内に表示操作部13が位置している場合には、孔24aに可動ピン23bが入り込んでいる。一方、第2の回動範囲内に表示操作部13が位置している場合には、孔24aは、可動ピン23bから外れた位置に位置している。つまり、表示操作部13の第1の回動範囲と孔24aの角度αとが対応している。
【0021】
表示操作部13が第1の回動範囲内に位置している場合(図1)、つまり、表示面20aが店員に向けられている場合には、可動ピン23bが孔24aに入り込んでおり(図4)、可動ピン23bがオフ位置に位置する。この場合、検出スイッチ23は、オフ信号を制御部18に出力する(オフ状態)。この状態から、第1の位置から第2の位置へ向かう方向(図1中の矢印Aの方向)に表示操作部13が回動して、表示操作部13が第2の回動範囲内に位置すると、検出スイッチ23の可動ピン23bは、孔24aの縁部にガイドされながら孔24aから抜けて被検出部24の底面の下側に潜り込み、被検出部24の底面に当接して下方に押された状態となる(図5)。このときの可動ピン23bの位置はオン位置である。この場合、検出スイッチ23は、オン信号を制御部18に出力する(オン状態)。この状態から第1の位置から第2の位置へ向かう方向(図2中の矢印Bの方向)に表示操作部13が回動して表示操作部13が第1の回動範囲内に再び位置すると、可動ピン23bがオフ位置となり、検出スイッチ23が再びオフ信号を制御部18に出力する。つまり、検出スイッチ23は、被検出部24を検出しない場合には、表示操作部13が第1の回動範囲内に位置して表示面20aが第1の向きになっていることを検出する。一方、検出スイッチ23は、被検出部24を検出した場合には、表示操作部13が第2の回動範囲に位置して表示面20aが第2の向きになっていることを検出する。
【0022】
また、図6に示すように、POS端末1は、各部を駆動制御する制御部18を備えている。制御部18は、筐体10内に収容されている。制御部18は、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33を有する。CPU31には、ROM32およびRAM33がバス35を介して接続されている。CPU31は、各種演算やPOS端末1の各部を集中的に制御する。ROM32は、各種プログラムや各種データ等を記憶している。RAM33は、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶する。また、CPU31には、日時を計時する計時部34および通信インタフェース(図面では、通信I/F)36もバス35を介して接続されている。POS端末1は、通信インタフェース36を介してストアサーバ等の上位機器との通信が可能となっている。
【0023】
また、CPU31には、バス35およびI/O機器制御部37を介して、キーボード11、レシートプリンタ12、第2の表示器14、スキャナ17、第1の表示器20、タッチパネル21、検出スイッチ23、記憶装置38およびブザー39等が接続されている。これにより、CPU31による各部の制御が可能となっている。
【0024】
記憶装置38は、例えばハードディスクドライブ装置等から構成された不揮発性のものである。記憶装置38は、CPU31を動作させるプログラムや販売データを記憶する売上ファイル、商品情報を記憶した商品マスタファイル、公共機関マスタファイル、公共料金支払記憶ファイル等を格納している。商品マスタファイルは、商品毎に、商品を特定する商品コード、名称、単価などを記憶している。公共機関ファイルは、各種の公共機関毎に、公共機関を特定する公共機関コード、名称を記憶したファイルである。
【0025】
次に、POS端末1のCPU31がプログラムに従って実行する一取引に係る商品の会計処理について説明する。CPU31は、例えばスキャナ17による商品コードの読み取り入力がなされると、読み取り入力された商品コードに基づいて商品マスタファイルを検索し、該当する商品コードに対応した商品名や単価等の商品情報を読み出し、商品コード及び読み出した商品情報等をRAM33に記憶させて商品の登録を行う。そして、キーボード11の小計キーの押下に応じて当該取引の売上金額を算出してRAM33に記憶させる。次に、客が買上げる商品の登録を終了しその客が現金で代金を支払うことを宣言する締め宣言がキーボード11の預/現計キーの操作により行われたことを検知すると、決済処理(締め処理)を実行する。決済処理では、キーボード11の置数キーによって入力された客からの預かり金額を取得し、その預かり金額からRAM33に記憶させた当該取引の売上金額を減じて釣銭金額を算出し、算出した釣銭金額を第1の表示器20および第2の表示器14に表示させる。また、レシートプリンタ12によるレシートの印字発行等を行う。なお、ここでは、決済として現金決済の例を説明したが、決済としては、電子マネー決済やクレジットカード決済であってもよい。
【0026】
次に、制御部18のCPU31がプログラムに従って実行する一取引に係る公共料金の会計処理について説明する。CPU31は、この公共料金の会計処理において表示制御部として機能する。
【0027】
CPU31は、スキャナ17やタッチパネル21の規定の操作が行われたと判定し、且つ検出スイッチ23の検出結果を用いて第1の表示器20の表示面20aの規定の向きの変化があったと判定した場合に、表示面20aの表示内容を切り替える。一例として、CPU31は、スキャナ17からコードシンボルの情報が入力されることにより、規定のスキャン操作が行われたと判定し、続けて、表示操作部13が第1の回動範囲から第2の回動範囲に回動して検出スイッチ23の出力がオフ信号からオン信号に変化した場合に、第1の表示器20の表示面20aの向きの変化があったと判定する。また、CPU31は、第1の表示器20に支払内容確認画面51(図10参照)が表示された状態でタッチパネル21から規定の信号が入力された場合に、規定のタッチ操作が行われたと判定し、続けて、表示操作部13が第2の回動範囲から第1の回動範囲に回動して検出スイッチ23の出力がオン信号からオフ信号に変化した場合に、第1の表示器20の表示面20aの向きの変化があったと判定する。
【0028】
また、CPU31は、表示面20aの表示内容の切り替えとして、会計処理に関する情報を表示した第1の画面と、タッチパネル21に対するタッチ操作を促す旨の情報を表示した第2の画面と、を切り替える。ここで、第1の画面は、店員用画面50(図9参照)であり、第2の画面は、支払内容確認画面51(図10参照)である。CPU31は、表示操作部13が第1の回動範囲内に位置している場合には、第1の表示器20に店員用画面50を表示させ、表示操作部13が第2の回動範囲内に位置している場合には、第1の表示器20に支払内容確認画面51を表示させる。ここで、上述のとおり第1の回動範囲よりも第2の回動範囲の方が広い。つまり、CPU31が第1の表示器20に店員用画面50を表示させる表示操作部13の第1の回動範囲よりも、CPU31が第1の表示器20に支払内容確認画面51を表示させる表示操作部13の第2の回動範囲の方が広い。
【0029】
次に、公共料金の会計処理について図7に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。公共料金の会計処理は、前提として、表示面20aが店員側に向いている状態で開始される。つまり、検出スイッチ23がオフ信号を出力している状態で開始される。
【0030】
CPU31は、I/O機器制御部37からの出力信号に基づいて、キーボード11の公共料金支払キーが操作されたと判断した場合には(ステップS1のYes)、公共料金の会計処理を開始し、スキャナ17による公共料金支払伝票(図示せず)のコードシンボルのスキャンを待つ(ステップS2のNo)。なお、キーボード11の公共料金支払キーが操作されずに他の操作が行われた場合には(ステップS1のNo)、公共料金の会計処理は行われない。
【0031】
CPU31は、スキャナ17による公共料金支払伝票のコードシンボルのスキャンがなされたと判断した場合には(ステップS2のYes)、スキャナ17が読み取った読取情報に基づいた共料金支払いに関する情報を表示した店員用画面50(図8)を、第1の表示器20に表示させて、規定時間後に表示内容を更新させる(ステップS3)。詳しくは、図8に示すように、店員用画面50には、公共機関の名称や料金の金額等の公共料金支払いに関する情報が表示領域50aに表示されている。公共機関の名称は、本実施形態では、商品名の欄に記載されるようになっており、図8では一例として「XXX」が表示されている。この際、CPU31は、公共料金支払いに関する情報(公共機関の名称、料金の金額等)をRAM33に記憶させて、公共料金の受領代行の登録を行う。CPU31は、図8の店員用画面50を規定時間表示させたならば、その店員用画面50に、図9に示すように、第1の表示器20(表示操作部13)の客側への回動を促すメッセージ50bを第1の表示器20に表示させる。メッセージ50bは、例えば、「表示器をお客様に向けて下さい。」等である。
【0032】
次に、CPU31は、表示面20aが客側に向けられるのを待つ(ステップS4のNo)。そして、店員の操作によって表示操作部13が第1の位置から第2の位置へ回動される過程で、検出スイッチ23がオフ状態からオン状態に変わりオン信号を出力すると、オン信号を受信したCPU31は、表示面20aが客側に向けられたと判断する。つまり、CPU31は、表示面20aの表示内容を切り替える条件としての表示面20aの向きの変化があったと判断する。そして、CPU31は、ステップS5に進む。
【0033】
ステップS5では、CPU31は、図10に示すような支払内容確認画面51を第2の表示器14に表示させる。CPU31は、スキャナ17が読み取った読取情報に基づいた利用情報51aと、表示されている利用情報51aの確認を促すメッセージ51bと、利用情報51aに応じた支払いを行う意志の有無を示すための意思表示キーとしての「はい」ボタン51cおよび「いいえ」ボタン51dとが表示されている。これら「はい」ボタン51cおよび「いいえ」ボタン51dは、タッチパネル21へのタッチ操作によって指定可能となっている。このタッチパネル21に対するタッチ操作は、会計処理における、利用情報51a対する確認行為である。
【0034】
CPU31は、タッチパネル21の出力信号に基づいて、「はい」ボタン51cが操作されたと判断すると(ステップS6のYes)、ブザーに完了音を発生させる(ステップS7)。この完了音は、「はい」ボタン51cが操作されたことを示すものである。即ち完了音は、利用情報51aの確認が客によってなされたことを示す。店員は、完了音を聞くことで、利用情報51aの確認が客によってなされたことが分かる。なお、CPU31は、「いいえ」ボタン51dが操作されたと判断した場合(ステップS6のNo)、当該公共料金の会計処理を中止する。
【0035】
次に、CPU31は、表示面20aが店員側に向けられるのを待つ(ステップS8のNo)。ここで、店員は、完了音を聞いたならば、表示面20aが自分に向くように表示操作部13を回動操作する。そして、店員の操作によって表示操作部13が第2の位置から第1の位置へ回動される過程で、検出スイッチ23がオン状態からオフ状態に変わりオフ信号を出力すると、オフ信号を受信したCPU31は、表示面20aが店員側に向けられたと判断し(ステップS8のYes)、再び店員用画面50(図8)を第1の表示器20に表示させる(ステップS9)。
【0036】
次に、CPU31は、客が支払う料金を現金で支払うことを宣言する締め宣言がキーボード11の預/現計キーの操作により行われたことを検知すると、決済処理(締め処理)を実行する(ステップS10)。決済処理では、キーボード11の置数キーによって入力された客からの預かり金額を取得し、その預かり金額からRAM33に記憶させた当該取り引きの売上金額を減じて釣銭金額を算出し、算出した釣銭金額を第1の表示器20および第2の表示器14に表示させる。また、ステップS2でスキャナ17が読み取ったコードシンボルに基づく利用情報51aを公共料金支払記憶ファイルに記憶させる。また、レシートプリンタ12によるレシートの印字発行等を行う。公共料金支払記憶ファイルに記憶された利用情報51aは、料金受領済みの公共料金として、規定のタイミングで上位機器に送信される。なお、ここでは、決済として現金決済の例を説明したが、決済としては、電子マネー決済やクレジットカード決済であってもよい。
【0037】
以上説明したとおり、本実施形態では、CPU31は、表示面20aの表示内容を切り替える第1の条件としてのスキャナに対するスキャン操作が行われたと判定し、且つ表示面20aの表示内容を切り替える第2の条件としての表示面20aの向きの変化があったと検出スイッチ23の検出結果を用いて判定した場合に、表示面20aの表示内容を切り替える。したがって、一つの第1の表示器20において、表示面20aの向きで表示内容を切り替えることができるので、異なる表示内容を表示するために第1の表示器を複数設ける必要がなく、POS端末1の構成を比較的に簡素にすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、CPU31が第1の表示器20に店員用画面50を表示させる表示操作部13の第1の回動範囲よりも、CPU31が第1の表示器20に支払内容確認画面51を表示させる表示操作部13の第2の回動範囲の方が広い。このようにすることで、店員に比べて立ち位置範囲が広範囲となる客に、支払内容確認画面51を確実に向けることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、検出部として検出スイッチ23の例を説明したが、これに限るものではない。他の実施形態として、検出部は、例えば、光センサや、電磁波センサ等の検出器であってもよい。
【0040】
また、他の実施形態としてレシート発行の要否を客に選択させるレシート発行選択画面を表示操作部13の表示面20aに表示して、客のタッチ操作によってレシート発行の要否の指定を受けるようにしてもよい。この場合には、表示面20aの表示内容を切り替える一つの条件として、会計処理における締めキーの操作を採用してよい。この場合、締めキーの操作の後に、表示操作部13が第1の回動範囲から第2の回動範囲に回動して表示面20aの向きの変化があった場合に、店員用の会計画面から客用のレシート発行選択画面を表示するようにすればよい。
【0041】
以上説明したとおり、上記実施形態によれば、比較的に簡素な構成のPOS端末1(取引データ処理装置)を提供することができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…POS端末(取引データ処理装置)
10…筐体(基部)
13…表示操作部(可動部)
17…スキャナ(第1の操作部)
20a…表示面
21…タッチパネル(第1の操作部、第2の操作部)
23…検出スイッチ(検出部)
24…被検出部
31…CPU(表示制御部)
50…店員用画面(第1の画面)
51…支払内容確認画面(第2の画面)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2002−260106号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
情報を表示面に表示する表示器を有し、前記表示面の向きを変更可能に前記基部に連結された可動部と、
前記表示面の向きを検出する検出部と、
第1の操作部の規定の操作が行われたと判定し、且つ前記検出部の検出結果を用いて前記表示面の規定の向きの変化があったと判定した場合に、前記表示面の表示内容を切り替える表示制御部と、
を備える取引データ処理装置。
【請求項2】
前記可動部は、操作を受ける第2の操作部を有し、
前記表示制御手段は、前記表示面の表示内容の切り替えとして、会計処理に関する情報を表示した第1の画面と、前記第2の操作部に対する操作を促す旨の情報を表示した第2の画面と、を切り替える請求項1に記載の取引データ処理装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記基部に回動可能に連結され、
前記表示制御部が前記表示器に前記第1の画面を表示させる前記可動部の回動範囲よりも、前記表示制御部が前記表示器に前記第2の画面を表示させる前記可動部の回動範囲の方が広い請求項2に記載の取引データ処理装置。
【請求項4】
前記第2の操作部に対する操作は、前記会計処理における確認行為である請求項2または3に記載の取引データ処理装置。
【請求項5】
前記基部と前記可動部との一方に設けられた被検出部を備え、
前記検出部は、前記基部と前記可動部との他方に設けられ、前記被検出部を検出することで前記表示面の向きを検出する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の取引データ処理装置。
【請求項6】
基部と、情報を表示面に表示する表示器を有し、前記表示面の向きを変更可能に前記基部に連結された可動部と、前記表示面の向きを検出する検出部と、を備える取引データ処理装置のコンピュータを、第1の操作部の規定の操作が行われたと判定し、且つ前記検出部の検出結果を用いて前記表示面の規定の向きの変化があったと判定した場合に、前記表示面の表示内容を切り替える表示制御部として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−41460(P2013−41460A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178506(P2011−178506)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】