説明

取引所為替証拠金取引システム及び外貨建て決済損益のコンバージョン方法

【課題】外貨間取引における取引参加者の負担を低減させる。
【解決手段】取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する取引所為替証拠金取引システムは、マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金預託情報及び第1通貨以外の外貨建て証拠金預託情報と、注文者の第1通貨建て証拠金預託情報とを格納する格納部と、ビッド/オファー情報及び注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益をマーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングし、ネッティングされる外貨建て決済損益に相当する第1通貨建て決済損益を、マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金と注文者の第1通貨建て証拠金との間で振替えるコンバージョン処理を遂行するコンバージョン処理部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替証拠金取引に関し、より詳細には、取引所を通じた為替証拠金取引における外貨建て決済損益のコンバージョン方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外国為替取引は、大きく分けて対円取引(円貨を軸とする通貨ペアでの取引、例えばUSD/JPY、EUR/JPYなど)と外貨間取引(外貨(円貨以外の通貨)を軸とする通貨ペアでの取引、例えば、EUR/USD,EUR/GBPなど。クロスカレンシー取引とも称される)があり、様々な通貨ペアでの為替取引が可能である。
【0003】
対円取引では保有するポジションを決済する場合、その決済損益は円貨となるが、外貨間取引では外貨を軸とした為替取引であるため、その決済損益は外貨建てとなる。しかしながら、日本国内の外国為替取引は、原則として円貨を基準とした損益確定処理、証拠金預託等が行われるため、通常、外貨間取引における外貨建て決済損益は、円貨に両替(コンバージョン)される必要がある。
【0004】
図17は、従来の店頭為替証拠金取引における外貨間取引及びコンバージョン方法を説明するための図である。EUR/USD通貨ペアの外貨間取引の場合、その決済損益はドル建てとなり、図17の例では、保有する建玉に対する買い戻し/転売によって外貨建て決済損益(利益)が生じ、外貨建て損益+$600が計上されている。そして、外貨建て決済損益が確定した後、注文者は、別途取引業者が提示する両替レートで600ドルを円貨に両替する両替取引を実施し、最終的に外貨建て損益を円貨建て損益として確定させる(例えば、非特許文献1)。また、取引形態によっては、外貨建て決済損益の確定後に自動的に所定の両替レートで両替取引が実施され、円貨建てで損益が確定される。
【0005】
ここで、取引業者は、注文者からの両替申請に対してカバー先金融機関(カバー先マーケットメーカー)との間で買い取った600ドル(注文者が売り付けた600ドル)に対するカバー取引を行い、カバー取引で得た円貨に基づいて600ドルに相当する円貨を注文者に支払う。このとき、取引業者は、両替レートの変動リスクや人件費等を考慮し、通常、注文者に実際の為替レートよりも上積みされた両替レートが提示される。つまり、図17の例に示すように、注文者との間で105円/ドルの両替レートを約束した取引業者が、為替変動により104.50円/ドルでカバー取引を行わなければならない場合、¥300の損失を蒙ることになるので、取引業者は実際の為替レートよりも高い両替レートの両替取引を注文者に提供する。すなわち、注文者側が両替レートの変動リスクを負わなければならず、両替レートの変動リスクに対する両替コストを徴収されていた。
【0006】
【非特許文献1】株式会社マネーパートナーズホームページ,「取引概要」の「外貨両替(コンバージョン)」ページ,http://www.moneypartners.co.jp/partnersfx/deli_con.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来の外貨間取引では、外貨建て決済損益を円貨に交換する両替取引を行う場合、両替レートの変動リスクや手数料等のコストが発生し、注文者である取引参加者にとって大きな負担となっていた。
【0008】
また、為替証拠金取引において証拠金を円貨建てではなく外貨建てで預託し、外貨建て決済損益を外貨のまま確定させることで両替取引を省略した取引形態も考えられるが、上述の理由とともに、日本の外国為替取引市場に参加する個人投資家等は、通常、外貨を保有しておらず、円貨のみを保有する場合が大多数であるため、外貨建ての証拠金預託が可能であっても、外貨建て証拠金に対する入金や外貨の出金においてコンバージョン負担が必然的に発生する。さらには個人投資家等が円貨建て資金の他に外貨建て資金を保有しなければならない負担が生じてしまい、個人投資家等の負担を低減することができない。
【0009】
一方、店頭為替証拠金取引の相対取引とは異なる取引形態である取引所為替証拠金取引においても同様に取引参加者は外貨間取引における外貨建て決済損益に対するコンバージョンを行わなければならず、その負担は変らない。また、取引所為替証拠金取引では、マーケットメーカー及び注文者(取引業者)の双方において外貨建て決済損益をコンバージョンしなければならず、決済処理及び証拠金預託管理の負担が増えるとともに、処理が複雑となる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、外貨間取引における取引参加者の負担を低減させることが可能な取引所為替証拠金取引システム及び外貨建て決済損益のコンバージョン方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの観点における取引所為替証拠金取引システムは、マーケットメーカーから提示されるビッド/オファー情報を注文者に提供し、注文者からの注文情報に対する取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する取引所為替証拠金取引システムであって、マーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報及び第1通貨以外の外貨建て証拠金預託情報と、注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報とを格納する格納部と、ビッド/オファー情報及び注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益をマーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングし、ネッティングされる外貨建て決済損益に相当する第1通貨(円貨)建て決済損益を、マーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金と注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金との間で振替えるコンバージョン処理を遂行するコンバージョン処理部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記コンバージョン処理部は、上記外貨建て決済損益がプラス損益であるか否かを判別し、プラス損益である場合にマーケットメーカーの外貨建て証拠金に外貨建て決済損益分の外貨を加算し、加算した外貨に相当する第1通貨(円貨)建て決済損益をマーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金から減算し、かつ第1通貨(円貨)建て決済損益を注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金に加算するコンバージョン処理を遂行するように構成することができる。
【0013】
また、上記コンバージョン処理部は、外貨建て決済損益がマイナス損益であるか否かを判別し、マイナス損益である場合にマーケットメーカーの外貨建て証拠金から外貨建て決済損益分の外貨を減算し、減算した外貨に相当する第1通貨(円貨)建て決済損益を注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金から減算し、かつ第1通貨(円貨)建て決済損益をマーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金に加算するコンバージョン処理を遂行するように構成することができる。
【0014】
また、上記格納部は、複数のマーケットメーカー毎に第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報及び外貨建て証拠金預託情報を格納することができ、上記コンバージョン処理部は、マーケットメーカーの外貨建て証拠金預託情報に基づいて各マーケットメーカーの外貨建て証拠金間の差額が最小となるように、外貨建て決済損益に対応する外貨の割り当て額をマーケットメーカー毎に算出し、算出された各外貨割り当て額に相当する第1通貨(円貨)建て決済損益を各マーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金と注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金との間で振り替えるコンバージョン処理を遂行するように構成することができる。
【0015】
また、本発明の他の観点における情報処理装置は、マーケットメーカーから提示されるビッド/オファー情報を注文者に提供し、注文者からの注文情報に対する取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する情報処理装置であって、マーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報及び第1通貨(円貨)以外の外貨建て証拠金預託情報と、注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報とを格納する格納部と、上記ビッド/オファー情報及び注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益をマーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングし、ネッティングされる外貨建て決済損益に相当する第1通貨(円貨)建て決済損益を、マーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金と注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金との間で振り替えるコンバージョン処理を遂行するコンバージョン処理部と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のさらに他の観点における外貨建て決済損益のコンバージョン方法は、マーケットメーカーから提示されるビッド/オファー情報を注文者端末に提供し、注文者端末からの注文情報に対する取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する取引所為替証拠金取引システムにおける外貨建て決済損益のコンバージョン方法であって、マーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報及び第1通貨(円貨)以外の外貨建て証拠金預託情報と注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金預託情報とに基づいて、上記ビッド/オファー情報及び注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益をマーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングするステップと、ネッティングされる外貨建て決済損益に相当する第1通貨(円貨)建て決済損益をマーケットメーカーの第1通貨(円貨)建て証拠金と注文者の第1通貨(円貨)建て証拠金との間で振替えるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明よれば、外貨間取引での外貨建て決済損益を、マーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングするとともに、ネッティングされる注文者の外貨建て決済損益に相当する第1通貨建て決済損益をマーケットメーカー及び注文者の第1通貨建て証拠金間で振り替えることにより、第1通貨−外貨間のコンバージョン処理を遂行する。
【0018】
すなわち、外貨建て決済損益をマーケットメーカーの外貨建ての証拠金でネッティングし、ネッティングされた外貨建て決済損益に相当する第1通貨をマーケットメーカー及び注文者の第1通貨建て証拠金間で直接振替えているため、外貨建て決済損益に対して従来のような両替取引を行う必要がない。このため、両替取引における両替レートの変動リスクに伴うコストの発生を抑制できるとともに、外貨建て決済損益に対する両替取引を行う必要がなく、外貨間取引における負担を低減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン方法が適用された取引所為替証拠金取引システムを一例に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
<システム構成>
図1は、取引所為替証拠金取引システム1のネットワーク構成図である。本実施形態の取引所為替証拠金取引システム1は、取引所為替証拠金取引についての取引所が保有する取引所中央サーバ110を含む取引所システム100と、複数の各取引業者が保有するサーバ200及び取引業者端末201と、個人投資家等の注文者が操作する注文者端末300と、為替取引レートの値付け(建値)をするマーケットメーカー(銀行等の金融機関など)のマーケットメーカー端末(MM端末)400とを含んで構成される。これらはサーバ及び端末装置は、所定の通信回線若しくはインターネット等の通信網を介して取引所システム100に接続可能に構成されている。
【0021】
取引所為替証拠金取引システム1は、複数のマーケットメーカーから提供されるビッド情報/オファー情報に基づいて為替取引レートを生成して注文者端末300に送信し、該取引所に登録された取引業者を介した取引所為替証拠金取引を個人投資家等の注文者に提供する。マーケットメーカー及び取引業者は、取引所に対して登録している銀行等及び取引業者(取引参加者)であり、本実施形態の取引業者は、個人投資家等の注文者(顧客)から注文を受託して取引所為替証拠金取引を遂行する金融庁に登録された取引業者である。マーケットメーカーも同様に取引所に登録している取引参加者であり、注文者に対してオファー情報とビッド情報を提示し、為替取引に応じる者である。
【0022】
図2は、本実施形態の取引所システム100の構成ブロック図であり、取引所中央サーバ110と、取引業者端末201及び注文者端末300が通信網を介して接続するFX用サーバ120と、MM端末400が通信網を介して接続するMM用サーバ130と、MM端末400、取引業者端末201及び個人投資家等の注文者端末300が取引所システム100に接続する際のアクセス認証を行う認証サーバ140で構成されている。
【0023】
取引所中央サーバ110は、取引所システム100内の各サーバ及びネットワークNを介した取引業者端末201、注文者端末300及びMM端末400との通信を行う通信制御部111と、取引業者端末201及び注文者端末300に対して外国為替証拠金取引を遂行するためのASP機能を提供するFX用サーバ120を管理するFX管理部112と、ビッド情報/オファー情報、スワップポイント情報等の情報を取引所システム100に提供するマーケットメーカーに対してASP機能を提供するMM用サーバ130を管理するMM管理部113と、FX用サーバ120のデータベース122に記憶される個人投資家等の顧客情報(個人情報、取引条件情報等)を管理する顧客管理部114と備えている。
【0024】
さらに、取引所中央サーバ110は、注文者端末300から送信される注文情報等を含む取引要求(新規の売り/買い注文、転売・買戻しによる決済注文など)に基づいて、外国為替証拠金取引に関する各種取引処理の管理・制御を行う取引管理部115と、複数のMM端末400からMM用サーバ130に送信されたビッド情報/オファー情報を管理する取引レート管理部116と、複数のMM端末400からMM用サーバ130に送信された各通貨に関するスワップポイント情報を管理するスワップポイント管理部117と、外貨間取引における外貨建て決済損益を円貨(第1通貨)にコンバージョンするコンバージョン処理部118と、注文者毎の取引情報(注文情報、注文履歴情報、建玉情報、約定情報、証拠金情報、入出金情報、相場情報、スワップポイント情報等)とマーケットメーカー毎の取引情報(建玉情報、約定情報、証拠金情報、入出金情報等)を記憶する取引所データベース119を備えている。また、取引管理部115は、決済損益を証拠金に反映する処理、及び注文者やマーケットメーカーが保有する未決済ポジションの評価替え(値洗い処理)も遂行する。
【0025】
なお、本実施形態の取引処理部115は、コンバージョン処理部118の外貨建て決済損益のコンバージョン機能を含むように構成することも可能である。
【0026】
本実施形態の取引所為替証拠金取引システム1(取引所)は、この取引所為替証拠金取引に参加するFX用サーバ120のFX用データベース121に登録された取引業者(取引業者端末201)に対し、取引所取引における外国為替証拠金取引を遂行するためのASP機能を提供する。このFX用データベース121には、取引業者端末201及び注文者端末300に送信される画面プログラムなどの画面情報も記憶されている。
【0027】
FX用サーバ120は、取引業者及び取引業者に取引委託した各個人投資家(注文者)を一元的に管理するための顧客データベース122を有し、取引業者端末201がFX用サーバ120に接続した場合、取引委託して当該取引業者から取引を許諾された個人投資家等の顧客情報を入力するための入力画面等がFX用サーバ120から取引業者端末201に提供され、取引業者端末201の不図示のディスプレイ装置に表示される。取引業者は、表示された入力画面等に個人投資家等の顧客情報を入力し、画面を通じて入力された顧客情報は、取引所システム100に送信され、FX用サーバ120の顧客データベース122に記憶される。
【0028】
この顧客データベース122には、個人投資家等を一意に識別するためのコード(委託者コード、参加者コード等)や、個人投資家等の建玉情報、証拠金状況情報等の顧客取引情報が登録される。例えば、各個人投資家等毎に付与されるユーザコードとともに、参加者コード、ユーザ名、証拠金預託額、売約定数量、買約定数量、売ポジション数量、買ポジション数量などが登録される。
【0029】
そして、本実施形態の複数の各取引業者が保有する取引業者端末201は、FX用サーバ120に接続することで、顧客データベース122に登録されている個人投資家等の氏名、メールアドレス、ログインのためのID及びパスワードなどの情報を取得することができる。つまり、ID及びパスワードの発行処理を始めとする注文者の登録及び取引処理などの主要な処理は、全て取引所システム100で一元的に管理・遂行されるようになっており、各取引業者は、個人投資家等の個人情報や証拠金情報、これらの情報に基づく取引条件等の情報を該取引所システム100に登録し、取引業者が個別に個人投資家等に対して取引についての機能を提供する必要はない。また、個人投資家等は、直接に取引所システム100(FX用サーバ120)に接続することで、委託した取引業者を介した取引所為替証拠金取引を遂行することができる。
【0030】
具体的には、取引業者を通じた取引所への登録により、取引所において注文者が一元管理され、該注文者は、取引業者との間の委託契約に基づき、注文者端末300から取引所システム100のFX用サーバ120に接続し、FX用サーバ120が提供するASP機能により取引所為替証拠金取引を遂行することができる。FX用サーバ120は、注文者端末300からの接続要求に応答して所定のログイン画面を提供し、注文者により入力されたIDとパスワードを用いて認証サーバ140による認証処理が行われる。認証処理の結果、取引所に登録された正当な注文者であると認証され、取引開始を許諾するに場合には、FX用サーバ120は、格納されている画面プログラムを注文者端末300に提供し、個人投資家等は、その表示画面を通じて注文、決済などの取引(注文指示、決済指示、出金指示等)、現在までの取引状況の閲覧(未約定の注文、未決済の建玉、注文履歴、約定履歴、証拠金状況、入金状況、入出金履歴、出金指示履歴等)、取引の各種設定登録を行うことができる。
【0031】
つまり、本実施形態のFX用サーバ120は、取引所中央サーバ110から提供されるマーケットメーカーからのビッド/オファー情報に基づいて個人投資家等が注文した注文情報を受信し、受信した注文情報に基づいて取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する取引業者サーバとして機能する。言い換えれば、FX用サーバ120は、注文者から注文情報を受信した取引業者が、取引所(取引所中央サーバ110)に対して注文等を行う取引業者サーバである。したがって、図2に示すように、FX用サーバ120は、取引処理部123を備え、この取引処理部123が、個人投資家等が要求する注文、決済などの取引要請を取引所中央サーバ110に出力(送信)し、取引所中央サーバ110との間の為替証拠金取引の取引処理を遂行する。
【0032】
MM用サーバ130は、各マーケットメーカーに関する情報を記憶するMM用データベース131を有しており、MM業者コード、MM業者名、連絡先等のMM業者情報が記憶されるとともに、各マーケットメーカーの建玉情報、証拠金情報等の取引情報が記憶される。例えば、マーケットメーカー毎に付与されるMM業者コードとともに、証拠金預託額、提示したビッド/オファー情報に基づく売約定数量、買約定数量、売ポジション数量、買ポジション数量などが記憶される。MM用データベース131(取引所)に登録されているマーケットメーカーは、MM端末400からMM用サーバ130に接続し、ビッド情報、オファー情報、スワップポイント情報等を取引所システム100に提供する。このとき、MM用サーバ130は、FX用サーバ120と同様に、ビッド情報等の入力又は送信するための画面プログラムやMM用データベース131に記憶されている各種情報を閲覧するための画面プログラムをMM端末400に提供することができる。
【0033】
ここで、本実施形態の取引所為替証拠金取引について説明する。取引所を通じた為替証拠金取引では、取引参加者が取引を行うにあたり、証拠金を取引所に預託する。すなわち、個人投資家等の注文者の証拠金は、取引業者を通じて取引所に預託され、また、マーケットメーカーも証拠金を取引所に預託する。この証拠金は、取引の履行を担保するために取引所に差し入れられる保証金であり、日々の取引又は建玉の値洗いで発生した差損益が反映される。
【0034】
また、本実施形態の取引所為替証拠金取引は、対円取引及び外貨間取引(円貨以外の外貨間における為替証拠金取引)を提供し、外貨間取引における保有建玉に係る外貨建て評価損益を日々の清算価格で引き直して円貨建てで評価し管理する。また、個人投資家等により転売・買戻しがなされた建玉に係る外貨建て決済損益(決済為替差金)は、後述するコンバージョン処理により全て円貨建てにコンバージョンされ、円貨建て証拠金へ振り替えられることにより決済がなされる。
【0035】
そして、本実施形態の取引所為替証拠金システム1のマーケットメーカーは、円貨建て証拠金を有するとともに、外貨間取引における証拠金として外貨建て証拠金が発生する(マーケットメーカー別に外貨建て証拠金預託情報を取引所データベース119に格納する)。本実施形態の外貨建て証拠金は、マーケットメーカー側で発生した外貨間取引における外貨建て決済損益が外貨建てのまま振り替えられることで管理され、また、後述する注文者の外貨建て決済損益に対するコンバージョン処理のために用いられるものであり、円貨建て証拠金のように入金又は/及び出金することはできない。
【0036】
すなわち、本実施形態の外貨建て証拠金は、外貨間取引で生じた外貨建て決済損益が外貨建てのまま振り替えられ(外貨建て決済損益が外貨建ての状態で証拠金として振り替えられ)、また注文者のコンバージョン処理のために使用されることから、その額は変動するものの、実際にマーケットメーカーが外貨を取引所に預託する必要はない。言い換えれば、マーケットメーカーが実際に入金等して取引所に預託するのではなく、外貨間取引における外貨建て決済損益が振り替えられ、かつ注文者により転売・買戻しがなされた建玉に係る外貨建て決済損益を円貨建てにコンバージョンするために使用される証拠金であり、実際にマーケットメーカーは、外貨建て証拠金を預託するための外貨建て口座を開設する必要がない。なお、本実施形態では、マーケットメーカーが外貨建て口座を開設しない構成としているが、これに限らず、外貨建て口座を開設するように構成して実際に外貨建て口座に外貨建て決済損益が振り替えられる構成であってもよい。すなわち、本実施形態の外貨建て証拠金は、口座の開設の有無にかかわらず、外貨間取引で生じた外貨建て決済損益を外貨建て証拠金として振り替えるように、各マーケットメーカー毎に外貨建て証拠金(情報)を取引所が保持・管理する構成であればよい。
【0037】
また、外貨建て証拠金は、外貨間取引においてマーケットメーカーが取扱う通貨毎に管理され、各マーケットメーカーは、USD、EUR、GBPなどの各通貨の外貨建ての証拠金情報を有することになる。一方、個人投資家等の注文者は、外貨間取引における決済損益がコンバージョン処理により円貨にコンバージョンされ、円貨建て証拠金へ振り替わることから、外貨建ての証拠金を取引所へ預託する必要はなく、円貨建て証拠金に対して入出金を行う。さらに、上述のようにマーケットメーカーにおいても、外貨建て証拠金を実際の口座に入金等して外貨を預託する必要はなく、円貨建て証拠金のみを取引所に対して預託する。したがって、本実施形態の取引所為替証拠金取引システム1は、証拠金に関する情報として、マーケットメーカーの円貨建て証拠金預託情報及び外貨間取引において発生した外貨建て決済損益を管理するための1つ又は複数の外貨建て証拠金預託情報と、個人投資家等の注文者の円貨建て証拠金預託情報とを取引所データベース119で保持・管理するとともに、外貨間取引において発生した外貨建て決済損益に関する情報を注文者毎及びマーケットメーカー毎に保持・管理している。
【0038】
図6(a)は、マーケットメーカーの証拠金情報の一例を示しており、図6(b)は、注文者の証拠金情報の一例を示している。本実施形態の証拠金情報は、同図に示すようにコンバージョン処理前の外貨建て決済損益を含んで構成されている。なお、これらの証拠金は、後述のように注文者は、所定の円貨建て口座を開設して取引規模に応じて所定の証拠金を入金することによって預託し、マーケットメーカーは、円貨建て口座を開設し、円貨建て証拠金を入金することで取引所に円貨建ての証拠金を預託している。また、外貨建て決済損益に関する情報は、証拠金情報とは別途に保持することもできる。
【0039】
このように本実施形態のマーケットメーカーの外貨建て決済損益は、外貨建て証拠金に振り替えられることで管理されるが、注文者と同様にその評価は円貨建てで行われる。したがって、図6(a)に示すようにマーケットメーカーは、外貨建て証拠金に相当する清算価格に基づいた円貨と、円貨建て証拠金預託額の円貨とを合算した円貨建て評価額を用いてその証拠金預託額が評価され、円貨建て証拠金のみに対して入金又は/及び出金を行えばよい。
【0040】
また、本実施形態の取引所為替証拠金取引では、ビッド情報又はオファー情報を提供した該当のマーケットメーカーと取引業者との間で約定した為替取引を、マーケットメーカーと取引所との間で約定した第1の取引と取引業者と取引所との間で約定した第2の取引の2つの独立した為替取引として処理する。つまり、取引業者及びマーケットメーカーの各取引当事者の取引の相手方を、すべて取引所に置き換えた取引として処理することで、取引業者とマーケットメーカーとの間で成立した為替取引の債権債務が、取引業者と取引所間の債権債務と取引所とマーケットメーカー間の債権債務とに置き換わり、取引業者(注文者)及びマーケットメーカーは、それぞれ取引所を直接の相手方として取引を履行する。
【0041】
図3及び図4は、本実施形態の取引所為替証拠金取引システム1の処理フローを示した図である。
【0042】
まず、個人投資家等は、自身のコンピュータ(注文者端末300)から取引所為替証拠金取引を取扱う取引業者が保有するサーバ200に接続し、サーバ200が提供する所定の取引申込画面を通じて個人情報を登録するとともに、為替証拠金取引のための口座を開設する。サーバ200では、登録された個人情報に基づく与信審査を経て、個人投資家等の与信情報が取引条件に適合すると判断した場合、取引業者は、取引業者端末201から取引所システム100のFX用サーバ120に接続し、当該個人投資家等の顧客情報、口座開設情報等をFX用サーバ120に登録する。サーバ200は、例えば、取引業者が運営するWEBサイトを提供するWEBサーバである。
【0043】
取引所中央サーバ110の顧客管理部114は、取引業者端末201からFX用サーバ120への顧客情報登録処理に伴って、個人投資家等の個人情報、取引金額、各種取引条件を所定の基準と比較してチェックし、取引所に対する個人投資家等の登録処理を行う。そして、顧客管理部114は、顧客登録処理の登録完了後、認証サーバ140に対してID及びパスワードの発行要求を出力し、発行されたID及びパスワードは認証データベース141に登録される。発行されて登録されたIDとパスワードは、顧客管理部114又はFX管理部112によりFX用サーバ120の顧客データベース122に反映(格納)されるとともに、取引業者端末201に送信される。取引業者は、取引所システム100から取得したID、パスワード情報を注文者端末300に通知するとともに、必要な証拠金情報を含む口座開設通知等を行う。
【0044】
注文者端末300では、口座開設通知に対して必要な証拠金の入金処理を行う。取引業者は、取引業者端末201を通じて証拠金の入金確認処理を行い、取引所システム100のFX用サーバ120に確認した入金情報を送信する。取引所中央サーバ110の顧客管理部114は、受信した入金情報を顧客データベース122に格納する。取引所中央サーバ110の顧客管理部114は、FX用サーバ120の顧客データベース122への入金登録処理の完了後に、注文者端末300に対して直接に外国為替証拠金取引の開始許諾通知を行う。
【0045】
個人投資家等(注文者端末300)は、取引開始許諾に基づいて取引システム100にネットワークNを通じて直接接続すると(ステップS101)、取引所中央サーバ110のFX用サーバ120は、注文者端末300に所定のログイン画面を提供し、注文者は、取引業者を介して取得したID及びパスワードを用いてログインする。注文者端末300に表示されたログイン画面において入力されたID及びパスワードは、FX用サーバ120を経由して又は認証サーバ140に直接送信され、認証サーバ140において認証処理が遂行される(ステップS301)。
【0046】
認証処理後、顧客管理部114は、注文者端末300での外国為替取引を遂行するため取引開始処理を実行し、FX用サーバ120に対してFX用データベース121に格納されている所定の画面プログラムを注文者端末300に送信する命令を出力する。FX用サーバ120は、注文者端末300に当該画面用プログラムを送信する。
【0047】
一方、マーケットメーカーは、MM端末400を介して取引通貨(EUR/USD,EUR/GBP等)毎のビッド情報/オファー情報を入力して取引所システム100に送信する(ステップS501)。マーケットメーカーから送信されたビッド情報/オファー情報は、MM用サーバ130を通じて取引レート管理部116に入力され、取引レート管理部116によって各取引通貨の為替取引レート情報が生成される。そして、注文者端末300には外国為替取引用の所定の画面が表示されるとともに、取引中央サーバ110は、生成した為替取引レート情報を注文者端末300にリアルタイムで提供する(ステップS302)。注文者端末300では、この所定の画面に表示されたリアルタイムに変動する為替取引レート情報(レート及びその取引可能数量)を参照し、所定の注文フォームから買い又は売りの注文情報を入力して取引所システム100に送信する。また、注文の変更や取り消し等についても、所定の変更/取り消しフォームから入力し、取引所システム100に送信する(ステップS102)。
【0048】
例えば、FX用サーバ120(取引処理部123)は、注文者端末300から注文情報を受信すると、取引管理部115に受信した注文情報を出力し(ステップS303)、取引管理部115は、該注文情報に含まれる詳細な情報(注文者が指定するビッドレートやオファーレート、取引数量等についての条件など)に基づいて、注文方式(単一注文、OCO注文、IfDone注文、IfDoneOCO注文、ストリーミング注文)を特定し、該注文方式及び注文者が指定するビッドレートやオファーレートに則った取引処理を遂行する。具体的には、取引管理部115は、受信した注文情報の受付処理、及び注文内容及びビッド値或いはオファーの値に従った注文の成否の決定、注文成立時における新規注文の約定処理、保有するポジションに対する転売・買戻しに対する決済処理などの各種処理を行い(ステップS304)、これら処理結果をFX用サーバ120及びMM用サーバ130に送信する(ステップS305)。
【0049】
このとき、取引管理部115は、保有するポジションに対する転売・買戻しに対する決済処理を注文者及びマーケットメーカーの各々に対して個別に遂行し(ステップS304a、S304b)、FIFO方式、指定決済方式等での差金決済処理を遂行する。処理結果を受信したFX用サーバ120の取引処理部123は、処理結果に基づいて該当の個人投資家等の顧客データベース122に格納されたデータ(注文情報、建玉情報、約定情報、証拠金情報等)を更新するとともに、当該処理結果を注文者端末300に送信する(ステップS306)。一方、処理結果を受信したMM用サーバ130においても、処理結果に基づいて該当の各マーケットメーカーのMM用データベース131に格納されたデータ(建玉情報、約定情報、証拠金情報等)を更新するとともに、当該処理結果をMM端末400に送信する(ステップS306)。また、このとき取引管理部115は、これらの処理結果を取引所データベース119にも同様に記憶する。
【0050】
なお、取引所システム100のFX用サーバ120における取引処理部123は、ステップS303において注文者端末300からの注文情報を受信した際、FX用サーバ120の顧客データベース122に登録されている顧客情報に基づく与信処理、例えば、注文内容が証拠金情報等に基づく取引条件と合致するかなどの与信処理を行うことができる。この与信処理の結果、注文者端末300から送信された注文情報が取引条件等に合致しない場合には、注文情報にエラー情報が含まれるとして、注文者端末300に対して注文情報エラー通知を送信する。例えば、証拠金及びレバレッジの関係等から設定される取引可能上限金額を超えている場合、その注文を受け付けないようにする。
【0051】
取引管理部115は、注文者の注文情報に対して取引が成立すると、ビッド情報又はオファー情報を提供した該当のマーケットメーカーと取引業者との間で取引を約定(成立)させ、約定情報、建玉情報等を取引所データベース119に格納する。
【0052】
また、注文者及びマーケットメーカーは、注文者端末300及びMM端末400を通じて取引状況照会を行うことができる。例えば、個人投資家等が注文者端末300に表示された表示画面の所定の照会ボタンを押下することによって、注文者端末300から取引所システム100のFX用サーバ120に照会要求が送信され、FX用サーバ120は、注文者からの照会要求に基づいて取引所中央サーバ110に照会要請を出力する。取引所中央サーバ110の取引管理部115は、この照会要請に応答して取引所データベース119の注文情報テーブル、注文履歴テーブル、約定情報テーブル、証拠金情報テーブルから対応する各種のデータを抽出する取引状況取得処理を行い、例えば、建玉照会の要求が成された場合、建玉一覧情報(約定日、約定番号、商品、売買区分、建玉数量、約定価格等)を生成してFX用サーバ120に送信する。FX用サーバ120は、受信した建玉一覧情報を含む所定の画面(建玉一覧画面)を注文者端末300に送信することができる。また、取引管理部115は、その他に照会要求(照会要請)に基づいて、注文一覧情報(注文状況、注文方法、商品名、売買区分、執行条件、注文価格、注文数量、約定価格、約定数量、注文日時、注文受付番号等)、注文履歴情報、約定情報、証拠金情報等を生成して、FX用サーバ120を通じて注文者端末300に送信することもできる。同様にMM用サーバ130もMM端末400からの照会要求に基づいて取引所システム(取引所)に照会要請を出力し、取引所中央サーバ110から受信した照会要求に基づく情報をMM端末400に送信する取引状況照会や証拠金状況照会などを遂行する。
【0053】
図5は、取引所データベース119に格納された取引参加者の建玉(ポジション)情報の一例を示す図であり、図5(a)は、注文者の建玉情報、図5(b)は、マーケットメーカーの建玉情報の一例である。このように注文者は、新規注文、保有する建玉に対する転売・買戻しを行うことで為替取引を行い、注文者及びマーケットメーカーは、決済された損益を受け取る(支払う)ことになる。
【0054】
また、取引所によって任意に定められた取引時間終了(マーケットクローズ)時刻になった場合、取引所システム100は、外貨間取引のマーケットクローズ処理を遂行する(S307)。このマーケットクローズ処理は、日々の市場価格の変化により評価損が発生した場合、証拠金の積み増しが必要となるため、取引開始時間から取引終了時間までに取引された未決済の建玉を確定させ、各注文者の未決済建玉(取引日当日前に約定した未決済建玉を含む)の評価替え(値洗い)を行うための処理である。このため、取引所システム100は、未決済建玉の評価替えを行うための基準価格となる外貨間取引における各取引通貨の清算価格を生成する(ステップS308)。
【0055】
具体的には、取引管理部115は、取引所データベース119に格納されている取引終了直近の各取引通貨ペアの約定価格(為替取引レート)を用いて生成する。なお、この清算価格は、取引所が任意に決定することができ、例えば、取引終了直近の各取引通貨ペアの約定価格(為替取引レート)と売り/買いの取引数量とから該当の取引通貨ぺアの清算価格を生成することができる。続いて取引所システム100は、外貨間取引のマーケットクローズ後、所定の時間が経過した後に、対円取引の各取引通貨ペア(USD/JPY、EUR/JPYなど)のマーケットクローズ処理を遂行し(ステップS309)、取引開始時間から取引終了時間までに取引された対円取引の未決済の建玉を確定させ、未決済建玉の評価替えを行うための基準価格となる対円取引における各取引通貨の清算価格を生成する(ステップS310)。
【0056】
外貨間取引における各取引通貨の清算価格及び対円取引における各取引通貨の清算価格が生成されると、コンバージョン処理部118は、外貨間取引の外貨建て決済損益のコンバージョン処理を遂行する(ステップS311)。コンバージョン処理部118は、取引所データベース119に格納された注文者の証拠金情報から外貨間取引において決済された外貨建て決済損益情報を取得し、該当する外貨と円貨を取引通貨ペアとする清算価格を用いて後述するコンバージョン処理を遂行し、外貨建て決済損益に相当する円貨を注文者の円貨建て証拠金及びマーケットメーカーの円貨建て証拠金に反映する(ステップS312)。
【0057】
この時点で、注文者及びマーケットメーカーの決済損益及び証拠金は、円貨ベースでの把握することができ、取引管理部115は、取引所データベース119から各注文者及び各マーケットメーカーの未決済建玉に関する情報(約定価格、約定数量)を取得して清算価格に基づく値洗い処理を円貨ベースで行う(ステップS313)。具体的には、保有する未決済建玉の清算価格に基づく評価損益を算出する処理を遂行し、外貨建て決済損益を含む証拠金額から算出された未決済建玉の評価損益を差し引いた金額が、取引参加者に取引所が要求する必要証拠金額を満たしているか否かを判別する。そして、満たしていない場合には、証拠金に不足が生じている旨(追証通知)とともに、値洗い処理の結果(値洗い情報)をFX用サーバ120及びMM用サーバ130を介して注文者端末300及びMM端末400に送信する(ステップS314)。
【0058】
また、取引所中央サーバ110のスワップポイント管理部117は、複数のマーケットメーカーのMM端末400から送信される売り建玉、買い建玉に関するスワップポイント情報(複数のマーケットメーカーから提供される通貨に関するスワップポイント情報)に基づいて、スワップポイント値を算出する処理を行う。このスワップポイント値は、ステップS314において値洗い情報とともに、注文者端末300に送信される。
【0059】
<コンバージョン処理及び平準化処理>
図7から図16は、本実施形態の取引所為替証拠金取引における外貨建て決済損益のコンバージョン処理を説明するための図であり、本実施形態のコンバージョン処理は、外貨間取引の決済処理において発生する外貨建て決済損益をマーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティング(相殺)し、ネッティングされた外貨建て決済損益に相当する円貨であって、外貨建て決済損益が確定した日の円貨−外貨間の所定の基準価格である清算価格に基づく円貨を、マーケットメーカー及び注文者の円貨建て証拠金間で振り替える。これらの処理は、上述のコンバージョン処理部118により遂行される。
【0060】
ここで、本実施形態では、外貨建て決済損益を円貨にコンバージョンする円貨(第1通貨)−外貨間のコンバージョン方法を一例に説明するが、本実施形態の外貨建て決済損益のコンバージョン方法は、円貨以外の他の通貨間のコンバージョンについても適用可能である。例えば、ドル貨ベースでの決済処理及び証拠金管理がなされる場合、外貨は、ドル貨以外の円貨を含む通貨となる。この場合の外貨建て決済損益は、ドル貨以外の外貨(円貨を含む)となり、ドル貨を第1通貨とするドル貨−外貨間のコンバージョン処理として本実施形態のコンバージョン処理を適用することが可能である。
【0061】
また、本実施形態のコンバージョン処理は、注文者の外貨建て決済損益を複数のマーケットメーカーのうち、少なくとも1つのマーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティング(相殺)し、ネッティングされた外貨建て決済損益に相当する円貨を当該マーケットメーカー及び注文者の円貨建て証拠金間で振り替えるように構成される。以下の説明では、注文者の外貨建て決済損益に対するコンバージョン処理の対象となるマーケットメーカー、言い換えれば、本実施形態のコンバージョン処理に応じるマーケットメーカーを特定マーケットメーカー(特定MM)と称して説明する。そして、複数のマーケットメーカーのうち少なくとも特定MMについては、証拠金として円貨(第1通貨)建て証拠金を有するとともに外貨建て証拠金が発生し、特定MM以外のマーケットメーカーについては、外貨建て証拠金が発生せずに、注文者と同様の円貨建て証拠金のみを有する。
【0062】
図7(a)は、本実施形態の外貨建て決済損益のコンバージョン方法において注文者がプラス(利益)の外貨建て決済損益を有する場合のコンバージョン処理の一例であり、図7(b)は、注文者がマイナス(損失)の外貨建て決済損益を有する場合のコンバージョン処理の一例である。
【0063】
図7(a)に示すように、注文者が外貨間取引においてプラス500ドルの外貨建て決済損益を得た場合、特定MMの外貨建て証拠金にプラス500ドルを割り当ててプラス500ドルの決済損益を外貨建て証拠金でネッティング(相殺)する。つまり、特定MMの外貨建て証拠金にプラス500ドルを加算し、注文者の外貨建て決済損益を0にする。そして、加算された外貨500ドルの外貨建て決済損益に相当する円貨(500ドル×100円(円貨−外貨間の清算価格))を算出し、算出した円貨を同一特定MMの円貨建て証拠金から減算(控除)するとともに、特定MMの円貨建て証拠金から減算した円貨を注文者の円貨建て証拠金に加算する。このとき、特定MMの円貨建て証拠金及び外貨建て証拠金全体の清算価格に基づく円貨建て評価額は、コンバージョン処理の前後において変動しない。
【0064】
また、図7(b)に示すように、注文者が外貨間取引においてマイナス500ドルの外貨建て決済損益を得た場合、特定MMの外貨建て証拠金にマイナス500ドルを割り当ててマイナス500ドルの決済損益を外貨建て証拠金でネッティングする。つまり、特定MMの外貨建て証拠金から500ドルを減算し、注文者の外貨建て決済損益を0にする。そして、減算された外貨500ドルの外貨建て決済損益に相当する円貨(−500ドル×100円(円貨−外貨間の清算価格))を算出し、算出した円貨を注文者の円貨建て証拠金から減算(控除)するとともに、注文者の円貨建て証拠金から減算した円貨を特定MMの円貨建て証拠金に加算する。このときも同様に、特定MMの円貨建て証拠金及び外貨建て証拠金全体の清算価格に基づく円貨建て評価額は、コンバージョン処理の前後において変動しない。
【0065】
このように本実施形態の外貨建て決済損益のコンバージョン方法は、外貨間取引での外貨建て決済損益を、特定MMの外貨建て証拠金でネッティングするとともに(外貨建て決済損益のネッティング処理)、ネッティングされる注文者の外貨建て決済損益に相当する円貨を特定MM及び注文者の円貨建て証拠金間で振替えることにより(円貨振り替え処理)、円貨−外貨間のコンバージョン処理を遂行する。
【0066】
より具体的には、本実施形態の取引所為替証拠金取引における外貨建て決済損益のコンバージョン方法は、注文者において発生した外貨建て決済損益が、上述のように取引業者と取引所間の債権債務に置き換わり、取引業者(注文者)は、取引所を直接の相手方としてマーケットメーカーと独立したコンバージョン処理を遂行する。そして、取引所は、各々独立した、特定MMで発生した外貨建て証拠金(特定MMと取引所間の債権債務)と注文者である取引業者の外貨建て決済損益(注文者と取引所間の債権債務)とをネッティング(相殺)し、当該相殺に相応する円貨を特定MMの円貨建て証拠金と注文者の円貨建て証拠金との間で振り替えるコンバージョン処理を遂行する。
【0067】
すなわち、外貨建て決済損益をマーケットメーカーの対応する外貨建ての証拠金でネッティングし、ネッティングされた外貨建て決済損益に相当する円貨を特定MM及び注文者の円貨建て証拠金間で直接振替えているため、外貨建て決済損益に対して従来のような両替取引を行う必要がない。このため、両替取引における両替レートの変動リスクに伴うコストの発生を抑制できるとともに、注文者自身が外貨建て決済損益に対する両替取引を行う必要がなく、外貨間取引における注文者の負担を低減させることが可能となる。
【0068】
さらに、本実施形態のコンバージョン方法は、注文者の外貨建て決済損益を特定MMの外貨建て証拠金でネッティングしているため、注文者は外貨建て決済損益に対する別途の外貨用の取引口座の開設や外貨資金管理などの負担を負うことなく、かつ円貨以外の外貨の入出金等の処理が発生しないため、円貨建て証拠金のみで外貨間取引を好適に行うことができる。また、マーケットメーカーも外貨間取引で発生した外貨建て決済損益がそのまま外貨建て証拠金に振り替えられることにより管理されるため、別途外貨資金の調達等の負担が軽減される。また、取引所側にとっても外貨間取引で発生した外貨建て決済損益を円滑に円貨ベースで管理することができる。
【0069】
次に、特定MMが複数ある場合の本実施形態のコンバージョン方法について説明する。
【0070】
図8に示すように、複数の特定MM_A、特定MM_B及び特定MM_Cが、注文者の外貨建て決済損益に対するコンバージョンに応じる場合、本実施形態では、注文者A、注文者B及び注文者Cの各外貨建て決済損益をこれら特定MM_A、特定MM_B、特定MM_Cに対して均等に割り当てて、割り当てられる外貨額に応じたネッティング処理及び円貨の振り替え処理を遂行するのではなく、複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が、0(ゼロ)に近づけるように注文者の外貨建て決済損益を割り当てるとともに、特定MM間の各外貨建て差額が最小となるように注文者の外貨建て決済損益を割り当てる平準化処理を伴うコンバージョン処理を遂行する。
【0071】
具体的には、コンバージョン処理部118は、注文者A、注文者B及び注文者Cの各外貨建て決済損益を取引所データベース119から取得し、コンバージョンを行う外貨建て決済損益の合計外貨建て決済損益(各外貨建て決済損益の合計額)を算出する。言い換えれば、コンバージョン処理部118は、注文者(取引業者)−取引所間の外貨建て決済損益の債権債務の合計を算出する。図8の例では、合計外貨建て決済損益としてプラス5000ドルが算出されている。次に、コンバージョン処理部118は、外貨建て証拠金預託額の少ない順(降順)に特定MM_A、特定MM_B、特定MM_Cをソートし、証拠金預託額が一番少ない特定MMと2番目に少ない特定MMを特定してこれらの外貨建て証拠金預託額の差額(差分)を算出する。
【0072】
図9に示すように、合計外貨建て決済損益が5000ドルであり、外貨建て証拠金預託額が一番少ない特定MMが特定MM_C、2番目に少ない特定MMが特定MM_Aとして特定される。そして、外貨建て決済損益の合計額がプラスであり、特定MM_Cの外貨建て証拠金預託額がマイナスであるので、まず、特定MM_Cの外貨建て証拠金預託を0に近づけるように(0にするように)、プラスの外貨建て決済損益を当該特定MM_Cに割り当てる。コンバージョン処理部118は、合計外貨建て決済損益5000ドルのうち、3000ドル(0−(−3000)ドル)を特定MM_Cに割り当てる(第1割り当て処理)。この割り当て処理により、特定MM_Cの外貨建て証拠金預託額は、0となる。
【0073】
さらにコンバージョン処理部118は、合計外貨建て決済損益の残りの2000ドルを複数の各特定MMに割り当てるために、第1割り当て後の外貨建て証拠金預託額の少ない順に特定MM_A、特定MM_B、特定MM_Cをソートし、割り当て後の外貨建て証拠金預託額が一番目に少ない特定MMと2番目に少ない特定MMとを特定し、特定されたこれらの外貨建て証拠金預託額の差額を算出する。図9に示すように、第1割り当て後の外貨建て証拠金預託額は、少ない順に特定MM_C、特定MM_A、特定MM_Bとなり、一番目に少ない特定MM_Cと2番目に少ない特定MM_A間の外貨建て証拠金預託額の差額は10000ドルである。コンバージョン処理部118は、第1割り当て後の残りの未割り当て分である外貨建て決済損益2000ドルのうち、1000ドルを特定MM_Cに割り当てる(第2割り当て処理)。この割り当て処理により、特定MM_Cと特定MM_Aの外貨建て証拠金預託額の差額は0となり、同額となる。
【0074】
また、コンバージョン処理部118は、第2割り当て後の残りの未割り当て分である計外貨建て決済損益1000ドルを複数の各特定MMに割り当てるために、第2割り当て後の外貨建て証拠金預託額の少ない順に特定MM_A、特定MM_B、特定MM_Cをソートし、割り当て後の外貨建て証拠金預託額が一番目に少ない特定MMと2番目に少ない特定MMとを特定し、特定されたこれらの外貨建て証拠金預託額の差額を算出する。具体的には、特定MM_A及び特定MM_Cの2つの特定MMが同額で一番少ない特定MMと特定され、特定MM_Bが2番目に少ない特定MMと特定される。そして、第2割り当て後の特定MM_A及び特定MM_Cの外貨建て証拠金預託額は同額となっており、特定MM_Bとの間の各差額も同額となっていることから、特定MM_Bと特定MM_Aとの外貨建て証拠金預託額の差額と特定MM_Bと特定MM_Cとの外貨建て証拠金預託額の差額とが同額となるように、言い換えれば、特定MM_Aと特定MM_Cとの間の差額が最小(差額0)となるように合計外貨建て決済損益の残りの1000ドルを500ドルずつ均等に割り当てる(第3割り当て処理)。
【0075】
そして、コンバージョン処理部118は、最終的に各特定MMに割り当てられる外貨(外貨割り当て総額)を、特定MM_Aが500ドル、特定MM_Bは0、特定MM_Cが4500ドルと決定する。コンバージョン処理部118は、決定した外貨割り当て額を各特定MMの外貨建て証拠金でネッティングし、外貨割り当て額に相当する円貨を各特定MMの円貨建て証拠金預託額から控除し、円貨建て控除総額を注文者の外貨建て決済損益に基づいて各注文者の円貨建て証拠金に振り替える(図10の下段参照)。このとき、図8の例では、注文者Cの外貨建て決済損益がマイナス(損失)となっているので、コンバージョン処理部118は、注文者Cの円貨建て証拠金から振替えられる円貨と特定MMから振替えられる円貨とを、プラスの外貨建て決済損益である注文者A及び注文者Bの円貨建て証拠金に振替える。
【0076】
図10は、平準化処理によって割り当てられた外貨割り当て額に基づいたコンバージョン処理結果の一例であり、特定MM_Aと特定MM_Cとの間の外貨建て証拠金預託額の差額が最小(差額0)となっている。また、特定MM_Bに対する特定MM_A及び特定MM_Cの各々の差額は、同額となっており、特定MM間で外貨建て証拠金預託額の平準化が図られていることがわかる。
【0077】
なお、上記説明において合計外貨建て決済損益が、マイナスの外貨建て証拠金預託額よりも少ない場合、コンバージョン処理部118は、マイナスの外貨建て証拠金預託額を有する特定MMに合計外貨建て決済損益全額を割り当てて平準化処理を終了する。また、合計外貨建て決済損益が、外貨建て証拠金預託額の一番少ない特定MMと2番目に少ない特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額よりも少ない場合は、コンバージョン処理部118は、合計外貨建て決済損益全額を一番少ない特定MMに割り当てて平準化処理を終了する。
【0078】
なお、合計外貨建て決済損益が、マイナスである場合、図9の例では、特定MM_B及び又は特定MM_Aのプラスの外貨建て証拠金預託額を0に近づけるようにマイナスの外貨建て決済損益を割り当てつつ、特定MM間の証拠金預託額の絶対値の差額が最小となるようにマイナスの外貨建て決済損益を割り当てる。
【0079】
このように本実施形態のコンバージョン方法は、特定MMが複数ある場合に各特定MM間で外貨建て証拠金預託額を0に近づけつつ、特定MM間で各外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるように注文者の外貨建て決済損益を割り当てることで、以下のような特定MMに対する利便性を提供することができる。
【0080】
すなわち、特定MMの外貨間取引における外貨建て決済損益がマイナスである場合、上述のように円貨建てで証拠金管理がなされることから新たに外貨を預託するのではなく、外貨建て決済損益に対して証拠金所要額を満たすための円貨を別途預託しなければならない。このため、円貨の資金に対するコストが発生する。つまり、特定MMが、外貨を他から借入して預託した場合、借入先に対して金利等を支払うこととなり、また、余剰資金を預託した場合は、本来運用で得られるはずの金利がもらえないが、本実施形態のように平準化を行うことで、円資金に対する負担が低減され資金を効率よく運用することができる。
【0081】
また、特定MMの外貨間取引における外貨建て決済損益がプラスである場合であって、円貨建て証拠金預託額及び外貨建て証拠金預託額の合計円貨建て評価額が証拠金所要額を満たしている場合、外貨建て証拠金預託額>円建て証拠金所要額であるにもかかわらず、その外貨建て証拠金に対する円貨の余剰額が引き出せないことになるが、本実施形態の平準化処理により、外貨建て決済損益に対する余剰額(資金)を円滑に運用することができる。
【0082】
また、取引所為替証拠金取引における市場全体の取引の累計通算では、プラスマイナスゼロとなることから、特定MM間で平準化することにより、特定MMの資金の効率化が図れ、また、特定MMの破綻によるリスクの低減することもできる。
【0083】
図11〜図16は、本実施形態の平準化処理を含むコンバージョン処理のフローチャートである。図12及び図13は、図11に続くコンバージョン処理対象である注文者の外貨建て決済損益の合計がプラスである場合のコンバージョン処理を示したフローチャートであり、図14及び図15は、注文者の外貨建て決済損益の合計がマイナスである場合のコンバージョン処理を示したフローチャートである。
【0084】
コンバージョン処理部118は、取引所データベース119に格納された注文者の証拠金情報から外貨間取引において決済された外貨建て決済損益情報を取得するとともに、決済損益の外貨の対円清算価格を取得する(ステップS1101)。このとき、コンバージョン処理部118は、外貨建て決済損益が格納されていない(外貨間取引が行われておらず、外貨建て決済損益が発生していない)場合、コンバージョン処理を終了する(ステップS1102)。
【0085】
ステップS1102において外貨建て決済損益情報を取得できた場合、コンバージョン処理部118は、複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額を取引所データベース119から取得する(ステップS1103)。そして、コンバージョン処理部118は、各注文者の外貨建て決済損益の合計額が、プラスであるか、マイナスであるかを判別し(ステップS1104)、プラスであると判別された場合はステップS1105へ、マイナスと判別された場合は、ステップS1109に進む。
【0086】
まず、外貨建て決済損益の合計額がプラスである場合の平準化処理を伴うコンバージョン処理について図11から図13を参照して説明する。
【0087】
コンバージョン処理部118は、ステップS1103で取得した特定MMの外貨建て証拠金預託額がマイナスである特定MMが存在するか否かを判別する(ステップS1105)。そして、判別されたマイナスの外貨建て証拠金預託額を有する特定MMに対して、マイナスの預託額を0に近づけるようにプラスの外貨建て決済損益を割り当てる処理を遂行する(ステップS1106)。
【0088】
図12は、ステップS1106におけるマイナスの預託額を0に近づけるようにプラスの外貨建て決済損益を割り当てる処理の詳細な処理フローを示したフローチャートである。図12に示すように、コンバージョン処理部118は、マイナス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMの数を把握(カウント)する(ステップS1201)。マイナス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMの数が1(複数でない)場合には、1つの特定MMのマイナス外貨建て証拠金預託額を0にするように(0に近づけるように)プラス外貨建て決済損益を割り当てる。例えば、−3000ドルの外貨建て証拠金預託額である場合、0−(−3000)ドル分のプラス外貨建て決済損益を割り当てる(ステップS1202)。
【0089】
一方、ステップ1201においてマイナス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMの数が複数であると判別された場合、コンバージョン処理部118は、マイナス外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MMを特定し(ステップS1203)、一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額を算出する(ステップS1204)。例えば、一番目に多い特定MMが−5000ドル、2番目に多い特定MMが−3000の外貨建て証拠金預託額を有する場合、その差額(差分)は、2000ドルとなる。
【0090】
コンバージョン処理部118は、マイナス外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の差額を算出すると、次に外貨建て決済損益の合計額を一番目に多い特定MM数で除算した割り当て額を算出する(ステップS1205)。一番目に多い特定MM数が1である場合、割り当て額=外貨建て決済損益となる。コンバージョン処理部118は、算出された割り当て額と算出された差額とを絶対値で比較し、算出された割り当て額が算出された差額よりも小さいか否かを判別し(ステップS1206)、小さい場合は、ステップS1205で算出された割り当て額をマイナス外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMに割り当てる(ステップS1207)。一方、ステップS1206で算出された割り当て額が算出された差額よりも大きいと判別された場合は、割り当て額のうちステップS1204で算出された差額分に相当するプラス外貨建て決済損益を一番目に多い特定MMに割り当てる(ステップS1208)。
【0091】
図11に戻り、コンバージョン処理部118は、ステップS1106におけるマイナスの預託額を0に近づけるようにプラスの外貨建て決済損益を割り当てる処理後に、割り当て可能な未割り当て分のプラス外貨建て決済損益が0か否かを判別する(ステップS1107)。割り当て可能な未割り当て分のプラス外貨建て決済損益が0であると判別された場合、すなわち、特定MMに対して割り当て可能なプラスの外貨建て決済損益がない場合は、図16のネッティング処理、振替え処理及び証拠金反映処理に進む。
【0092】
ステップ1107において割り当て可能な未割り当て分のプラス外貨建て決済損益が0ではないと判別された場合、すなわち、特定MMに対して割り当て可能なプラスの外貨建て決済損益が残っている場合、ステップS1105に戻り、再度、マイナス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMが存在するか否かを判別する。ここで、マイナス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMが存在すると判別された場合には、ステップS1106を再度行い、マイナスの外貨建て証拠金預託額を有する特定MMに対して優先的に残りのプラス外貨建て決済損益を割り当てる処理を遂行する。
【0093】
ステップS1105において、マイナス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMが存在しないと判別され、かつ割り当て可能な未割り当て分のプラス外貨建て決済損益がある場合、ステップS1108に進み、プラスの外貨建て証拠金預託額を有する全ての特定MMに対して割り当て可能な未割り当て分のプラス外貨建て決済損益を、特定MM間の各外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるように割り当てる処理を遂行する。
【0094】
図13は、ステップS1108における特定MM間の各プラスの外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるようにプラス外貨建て決済損益を割り当てる処理の詳細な処理フローを示したフローチャートである。図13に示すように、コンバージョン処理部118は、複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額か否かを判別し(ステップS1301)、同額の場合は、ステップS1302に進む。ステップS1302では、外貨建て決済損益を特定MM数で除算した均等割り当て額を算出する。そして、ステップS1303において算出された均等割り当て額を各特定MMに割り当てる。
【0095】
一方、ステップS1301において、複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額でないと判別された場合には、ステップS1304に進む。ステップS1304では、外貨建て証拠金預託額の少ない順(降順)に複数の特定MMをソートし、外貨建て証拠金預託額が一番少ない特定MMと2番目に少ない特定MMを特定する。そして、特定した一番少ない特定MMと2番目に少ない特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額(差分)を算出する(ステップS1305)。
【0096】
コンバージョン処理部118は、外貨建て証拠金預託額が一番目に少ない特定MM数を把握し、外貨建て決済損益の合計額を特定MM数で除算した割り当て額を算出する(ステップS1306)。
【0097】
次に、コンバージョン処理部118は、ステップS1306で算出した割り当て額が、ステップS1304で特定した一番目に少ない特定MMと2番目に少ない特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額よりも少ないか否かを判別し(ステップS1307)、少ないと判別された場合には、ステップS1306で算出した割り当て額を外貨建て証拠金預託額が一番目に少ない特定MMに割り当てる(ステップS1308)。
【0098】
一方、ステップ1307において、ステップS1306で算出した割り当て額が、ステップS1304で特定した一番目に少ない特定MMと2番目に少ない特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額よりも多いと判別された場合には、ステップS1309に進み、外貨建て決済損益のうちの当該差額分を割り当て額として外貨建て証拠金預託額が一番目に少ない特定MMに割り当てる。そして、ステップS1309における割り当て処理後の割り当て可能な未割り当ての外貨建て決済損益が0か否かを判別し(ステップS1310)、割り当て可能な未割り当ての外貨建て決済損益がないと判別された場合には、特定MM間の各プラスの外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるようにプラス外貨建て決済損益を割り当てる処理を終了させ、図16のネッティング処理、振替え処理及び証拠金反映処理に進む。
【0099】
一方、ステップS1310において割り当て可能な未割り当ての外貨建て決済損益が0でないと判別された場合、コンバージョン処理部118は、外貨建て決済損益の合計額から差額を減算した残りの外貨建て決済損益をさらに複数の特定MMに割り当てるために、ステップ1309の割り当て処理後の複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額を参照する(ステップS1311)。このとき、コンバージョン処理部118は、ステップ1309の割り当て処理(第1割り当て処理)後の複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額であるか否かを判別し(ステップS1312)、同額の場合は、ステップS1313に進む。ステップS1313では、残りの外貨建て決済損益を特定MM数で除算した均等割り当て額を算出する。そして、ステップS1314において算出された均等割り当て額を各特定MMに割り当てる。
【0100】
一方、ステップS1312において、ステップS1309における割り当て処理後の複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額でないと判別された場合、ステップS1315に進む。ステップS1315では、割り当て処理後の外貨建て証拠金預託額の少ない順(降順)に複数の特定MMをソートし、割り当て処理後の外貨建て証拠金預託額が一番目に少ない特定MMと2番目に少ない特定MMを特定する。そして、特定した一番目に少ない特定MMと2番目に少ない特定MM間の割り当て後の外貨建て証拠金預託額の差額(差分)を算出する(ステップS1316)。
【0101】
コンバージョン処理部118は、ステップS1315で特定された割り当て後の一番目に少ない外貨建て証拠金預託額を有する特定MM数を把握し、残りの外貨建て決済損益の合計額を一番目に少ない特定MM数で除算して得られる割り当て額を算出する(ステップS1317)。その後、コンバージョン処理部118は、ステップS1307に戻り、全ての外貨建て決済損益が特定MMに割り当てられるまで、繰り返しステップS1309からステップS1317の処理を遂行する。
【0102】
そして、コンバージョン処理部118は、上述の外貨建て決済損益の平準化処理による割り当て処理の後に、図16に示すように各特定MMに割り当てられた外貨割り当て額を、各特定MMの外貨建て証拠金でネッティングし(ステップS1601)、外貨割り当て額に相当する清算価格に基づく円貨を特定MMの円貨建て証拠金から控除し(ステップS1602)、控除された円貨を注文者の円貨建て証拠金に当該各注文者の外貨建て決済損益に応じて振替える(ステップS1603)
【0103】
次に、外貨建て決済損益の合計額がマイナスである場合の平準化処理を伴うコンバージョン処理について図11、図14及び図15を参照して説明する。
【0104】
コンバージョン処理部118は、ステップS1103で取得した特定MMの外貨建て証拠金預託額がプラスである特定MMが存在するか否かを判別する(ステップS1109)。そして、判別されたプラスの外貨建て証拠金預託額を有する特定MMに対して、プラスの預託額を0に近づけるようにマイナスの外貨建て決済損益を割り当てる処理を遂行する(ステップS1110)。
【0105】
図14は、ステップS1110におけるプラスの預託額を0に近づけるようにマイナスの外貨建て決済損益を割り当てる処理の詳細な処理フローを示したフローチャートである。図14に示すように、コンバージョン処理部118は、プラス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMの数を把握(カウント)する(ステップS1401)。プラス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMの数が1(複数でない)場合には、1つの特定MMのプラス外貨建て証拠金預託額を0にするように(0に近づけるように)マイナス外貨建て決済損益を割り当てる。例えば、+3000ドルの外貨建て証拠金預託額である場合、0−(+3000)ドル分のマイナス外貨建て決済損益を割り当てる(ステップS1402)。
【0106】
一方、ステップ1401においてプラス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMの数が複数であると判別された場合、コンバージョン処理部118は、プラス外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MMを特定し(ステップS1403)、一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額を算出する(ステップS1404)。例えば、一番目に多い特定MMが+5000ドル、2番目に多い特定MMが+3000の外貨建て証拠金預託額を有する場合、その差額(差分)は、2000ドルとなる。
【0107】
コンバージョン処理部118は、プラス外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の差額を算出すると、次に外貨建て決済損益の合計額を一番目に多い特定MM数で除算した割り当て額を算出する(ステップS1405)。一番目に多い特定MM数が1である場合、割り当て額=外貨建て決済損益となる。コンバージョン処理部118は、算出された割り当て額と算出された差額とを絶対値で比較し、算出された割り当て額が算出された差額よりも小さいか否かを判別し(ステップS1406)、小さい場合は、ステップS1405で算出された割り当て額をプラス外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMに割り当てる(ステップS1407)。一方、ステップS1406で算出された割り当て額が算出された差額よりも大きいと判別された場合は、割り当て額のうちステップS1404で算出された差額分に相当するマイナス外貨建て決済損益を一番目に多い特定MMに割り当てる(ステップS1408)。
【0108】
図11に戻り、コンバージョン処理部118は、ステップS1110におけるプラスの預託額を0に近づけるようにマイナスの外貨建て決済損益を割り当てる処理後に、割り当て可能な未割り当て分のマイナス外貨建て決済損益が0か否かを判別する(ステップS1111)。割り当て可能な未割り当て分のマイナス外貨建て決済損益が0であると判別された場合、すなわち、特定MMに対して割り当て可能なマイナスの外貨建て決済損益がない場合は、図16のネッティング処理、振替え処理及び証拠金反映処理に進む。
【0109】
ステップ1111において割り当て可能な未割り当て分のマイナス外貨建て決済損益が0ではないと判別された場合、すなわち、特定MMに対して割り当て可能なマイナスの外貨建て決済損益が残っている場合、ステップS1109に戻り、再度、プラス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMが存在するか否かを判別する。ここで、プラス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMが存在すると判別された場合には、ステップS1110を再度行い、プラスの外貨建て証拠金預託額を有する特定MMに対して優先的に残りのマイナス外貨建て決済損益を割り当てる処理を遂行する。
【0110】
ステップS1109において、プラス外貨建て証拠金預託額を有する特定MMが存在しないと判別され、かつ割り当て可能な未割り当て分のマイナス外貨建て決済損益がある場合、ステップS1112に進み、マイナスの外貨建て証拠金預託額を有する全ての特定MMに対して割り当て可能な未割り当て分のマイナス外貨建て決済損益を、特定MM間の各外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるように割り当てる処理を遂行する。
【0111】
図15は、ステップS1112における特定MM間の各マイナスの外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるようにプラス外貨建て決済損益を割り当てる処理の詳細な処理フローを示したフローチャートである。図15に示すように、コンバージョン処理部118は、複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額か否かを判別し(ステップS1501)、同額の場合は、ステップS1502に進む。ステップS1502では、外貨建て決済損益を特定MM数で除算した均等割り当て額を算出する。そして、ステップS1503において算出された均等割り当て額を各特定MMに割り当てる。
【0112】
一方、ステップS1501において、複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額でないと判別された場合には、ステップS1504に進む。ステップS1504では、外貨建て証拠金預託額の多い順(昇順)に複数の特定MMをソートし、外貨建て証拠金預託額が一番多い特定MMと2番目に多い特定MMを特定する。そして、特定した一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額(差分)を算出する(ステップS1505)。例えば、−5000ドルの外貨建て証拠金預託額を有する特定MM_1と、−3000ドルの外貨建て証拠金預託額を有する特定MM_2が存在する場合、外貨建て証拠金預託額が一番多い特定MMは、特定MM_2であり、2番目に多い特定MMは、特定MM_1と特定される。
【0113】
コンバージョン処理部118は、外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MM数を把握し、外貨建て決済損益の合計額を特定MM数で除算した割り当て額を算出する(ステップS1506)。
【0114】
次に、コンバージョン処理部118は、ステップS1506で算出した割り当て額が、ステップS1504で特定した一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額よりも少ないか否かを判別し(ステップS1507)、少ないと判別された場合には、ステップS1506で算出した割り当て額を外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMに割り当てる(ステップS1508)。
【0115】
一方、ステップ1507において、ステップS1506で算出した割り当て額が、ステップS1504で特定した一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の外貨建て証拠金預託額の差額よりも多いと判別された場合には、ステップS1509に進み、外貨建て決済損益のうちの当該差額分を割り当て額として外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMに割り当てる。そして、ステップS1509における割り当て処理後の割り当て可能な未割り当ての外貨建て決済損益が0か否かを判別し(ステップS1510)、割り当て可能な未割り当ての外貨建て決済損益がないと判別された場合には、特定MM間の各マイナスの外貨建て証拠金預託額の差額が最小となるようにマイナス外貨建て決済損益を割り当てる処理を終了させ、図16のネッティング処理、振替え処理及び証拠金反映処理に進む。
【0116】
一方、ステップS1510において割り当て可能な未割り当ての外貨建て決済損益が0でないと判別された場合、コンバージョン処理部118は、外貨建て決済損益の合計額から差額を減算した残りの外貨建て決済損益をさらに複数の特定MMに割り当てるために、ステップ1509の割り当て処理後の複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額を参照する(ステップS1511)。このとき、コンバージョン処理部118は、ステップ1509の割り当て処理後の複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額であるか否かを判別し(ステップS1512)、同額の場合は、ステップS1513に進む。ステップS1513では、残りの外貨建て決済損益を特定MM数で除算した均等割り当て額を算出する。そして、ステップS1514において算出された均等割り当て額を各特定MMに割り当てる。
【0117】
一方、ステップS1512において、ステップS1509における割り当て処理後の複数の特定MMの各外貨建て証拠金預託額が同額でないと判別された場合、ステップS1515に進む。ステップS1515では、割り当て処理後の外貨建て証拠金預託額の多い順(昇順)に複数の特定MMをソートし、割り当て処理後の外貨建て証拠金預託額が一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MMを特定する。そして、特定した一番目に多い特定MMと2番目に多い特定MM間の割り当て後の外貨建て証拠金預託額の差額(差分)を算出する(ステップS1516)。
【0118】
コンバージョン処理部118は、ステップS1515で特定された割り当て後の一番目に多い外貨建て証拠金預託額を有する特定MM数を把握し、残りの外貨建て決済損益の合計額を一番目に多い特定MM数で除算して得られる割り当て額を算出する(ステップS1517)。その後、コンバージョン処理部118は、ステップS1507に戻り、全ての外貨建て決済損益が特定MMに割り当てられるまで、繰り返しステップS1509からステップS1517の処理を遂行する。
【0119】
そして、コンバージョン処理部118は、上述の外貨建て決済損益の平準化処理による割り当て処理の後に、図16に示すように各特定MMに割り当てられた外貨割り当て額を、各特定MMの外貨建て証拠金でネッティングし(ステップS1601)、外貨割り当て額に相当する清算価格に基づく円貨を特定MMの円貨建て証拠金から控除し(ステップS1602)、控除された円貨を注文者の円貨建て証拠金に当該各注文者の外貨建て決済損益に応じて振替える(ステップS1603)
【0120】
以上、上記実施形態において、本発明の取引所為替証拠金取引における外貨建て決済損益のコンバージョン方法(各ステップ)は、コンピュータ(CPU)で実行されるプログラムとして実現でき、本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン方法をプログラムの形態で提供することも可能である。これらのプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、又は所定の通信網又は通信回線を通じて提供することが可能であり、コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。
【0121】
また、上記実施形態における各サーバは、ハードウェア構成として上述以外にも、キーボード、マウス、スキャナー等の操作入力手段、液晶ディスプレイ等の表示手段、プリンタ、スピーカなどの出力手段、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えることが可能であり、各端末においてもこれらの手段を備えることができる。各手段に制御は、サーバ又はコンピュータ全体の制御を司る制御手段(CPU)により遂行される。
【0122】
なお、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形できる。よって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明を適用した取引所為替証拠金取引システムのシステム構成図。
【図2】本発明を適用した取引所為替証拠金取引システムの取引所中央サーバの構成ブロック図。
【図3】本発明を適用した取引所為替証拠金取引システムの処理フローを説明するためのフローチャート図。
【図4】本発明を適用した取引所為替証拠金取引システムの処理フローを説明するための、図3に続くフローチャート図。
【図5】本発明を適用した取引所為替証拠金取引システムにおける建玉情報の一例を示した図。
【図6】本発明を適用した取引所為替証拠金取引システムにおける証拠金情報の一例を示した図。
【図7】本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン方法を説明するための図。
【図8】本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン方法を説明するための図。
【図9】本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン処理における平準化処理を説明するための図。
【図10】本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン処理後の証拠金情報の一例を示した図。
【図11】本発明の外貨建て決済損益の平準化処理を含むコンバージョン方法を説明するためのフローチャート図。
【図12】本発明の外貨建て決済損益の平準化処理を含むコンバージョン方法を説明するためのフローチャート図。
【図13】本発明の外貨建て決済損益の平準化処理を含むコンバージョン方法を説明するためのフローチャート図。
【図14】本発明の外貨建て決済損益の平準化処理を含むコンバージョン方法を説明するためのフローチャート図。
【図15】本発明の外貨建て決済損益の平準化処理を含むコンバージョン方法を説明するためのフローチャート図。
【図16】本発明の外貨建て決済損益のコンバージョン方法を説明するためのフローチャート図。
【図17】従来の店頭為替証拠金取引における外貨建て決済損益のコンバージョン方法を示した図。
【符号の説明】
【0124】
100 取引所システム
110 取引所中央サーバ
111 通信制御部
112 FX管理部
113 MM管理部
114 顧客管理部
115 取引管理部
116 取引レート管理部
117 スワップポイント管理部
118 コンバージョン処理部
119 取引所データベース
120 FX用サーバ(取引業者サーバ)
121 FX用データベース
122 顧客データベース
123 取引処理部
130 MM用サーバ
131 MM用データベース
200 サーバ
201 取引業者端末
300 注文者端末
400 マーケットメーカー端末(MM端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーケットメーカーから提示されるビッド/オファー情報を注文者に提供し、前記注文者からの注文情報に対する取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する取引所為替証拠金取引システムであって、
前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金預託情報及び第1通貨以外の外貨建て証拠金預託情報と、前記注文者の第1通貨建て証拠金預託情報とを格納する格納部と、
前記ビッド/オファー情報及び前記注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングし、前記ネッティングされる外貨建て決済損益に相当する第1通貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金と前記注文者の第1通貨建て証拠金との間で振替えるコンバージョン処理を遂行するコンバージョン処理部と、
を有することを特徴とする取引所為替証拠金取引システム。
【請求項2】
前記コンバージョン処理部は、前記外貨建て決済損益がプラス損益であるか否かを判別し、前記プラス損益である場合に前記マーケットメーカーの外貨建て証拠金に前記外貨建て決済損益分の外貨を加算し、前記加算した外貨に相当する前記第1通貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金から減算し、かつ前記第1通貨建て決済損益を前記注文者の第1通貨建て証拠金に加算するコンバージョン処理を遂行することを特徴とする請求項1に記載の取引所為替証拠金取引システム。
【請求項3】
前記コンバージョン処理部は、前記外貨建て決済損益がマイナス損益であるか否かを判別し、前記マイナス損益である場合に前記マーケットメーカーの外貨建て証拠金から前記外貨建て決済損益分の外貨を減算し、前記減算した外貨に相当する前記第1通貨建て決済損益を前記注文者の第1通貨建て証拠金から減算し、かつ前記第1通貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金に加算するコンバージョン処理を遂行することを特徴とする請求項1に記載の取引所為替証拠金取引システム。
【請求項4】
前記格納部は、複数のマーケットメーカー毎に前記第1通貨建て証拠金預託情報及び前記外貨建て証拠金預託情報を格納し、
前記コンバージョン処理部は、前記マーケットメーカーの外貨建て証拠金預託情報に基づいて各マーケットメーカーの外貨建て証拠金間の差額が最小となるように、前記外貨建て決済損益に基づく外貨の割り当て額をマーケットメーカー毎に算出し、算出された各外貨割り当て額に相当する前記第1通貨建て決済損益を各マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金と前記注文者の第1通貨建て証拠金との間で振替えるコンバージョン処理を遂行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の取引所為替証拠金システム。
【請求項5】
マーケットメーカーから提示されるビッド/オファー情報を注文者に提供し、前記注文者からの注文情報に対する取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する情報処理装置であって、
前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金預託情報及び第1通貨以外の外貨建て証拠金預託情報と、前記注文者の第1通貨建て証拠金預託情報とを格納する格納部と、
前記ビッド/オファー情報及び前記注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングし、前記ネッティングされた外貨建て決済損益に相当する第1通貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金と前記注文者の第1通貨建て証拠金との間で振替えるコンバージョン処理を遂行するコンバージョン処理部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
マーケットメーカーから提示されるビッド/オファー情報を注文者端末に提供し、前記注文者端末からの注文情報に対する取引所を通じた為替証拠金取引を遂行する取引所為替証拠金取引システムにおける外貨建て決済損益のコンバージョン方法であって、
前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金預託情報及び第1通貨以外の外貨建て証拠金預託情報と前記注文者の第1通貨建て証拠金預託情報とに基づいて、前記ビッド/オファー情報及び前記注文情報に基づく外貨間為替取引における外貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの外貨建て証拠金でネッティングするステップと、
前記ネッティングされた外貨建て決済損益に相当する第1通貨建て決済損益を前記マーケットメーカーの第1通貨建て証拠金と前記注文者の第1通貨建て証拠金との間で振替えるステップと、
を含むことを特徴とする外貨建て決済損益のコンバージョン方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−97503(P2010−97503A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269088(P2008−269088)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(501167611)株式会社東京金融取引所 (8)