説明

受粉促進剤

植物における種子の品質を改善するために好適な組成物であって、(i)オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体から選択される化合物;(ii)アセトアミノフェン又はその誘導体を含み;(iii)〜(v)から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含み、ここで、(iii)は、サイトカイニンであり、(iv)は、別の農業化学的に許容される添加剤であり、(v)は、チオスルフェートである上記組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定されないが、特にアントラニル酸、アセトアミノフェン及び少なくとも1種のサイトカイニン、さらなる農業化学的に許容される添加剤及びチオスルフェートを含む組成物で植物を処理することによって種をつける植物において種子の品質を改善するための方法及び組成物に関する。
【0002】
発明の背景
特に穀粒を生産する作物における、種子の品質及び/又は種子の数量を改善する方法を提供することの継続的なニーズが存在することは理解されよう。このような方法は、経済的に有利でなければならず、即ち、収量及び/又は品質は、経済的に利益になり有意な量だけ増加しなければならない。理想的には、処理は、著しく余分な作業、即ち、散布を生じるべきではなく、機械、装置又はスペースにおける新たな投資を必要とすべきではない。
【0003】
本発明は、これらのニーズに対応することを意図する。
【0004】
発明の概要
本発明は、作物品質を改善するための、言い換えれば受粉を改善するための、アントラニル酸又はその誘導体の、アセトアミノフェン又はその誘導体及び少なくとも1種のサイトカイニン、さらなる農業化学的に許容される添加剤及びチオスルフェートと組み合わせた新たな使用に関する。
【0005】
アントラニル酸は、染料、顔料及びサッカリンの製造用の中間体として使用される。アントラニル酸及びそのエステルは、ジャスミン及びオレンジを模倣した香料、医薬品(フロセミドなどのループ利尿薬)及び紫外線吸収剤、並びに金属の腐食防止剤及び醤油のかび防止剤の調製においても使用される。種子の品質の改善におけるその有用性は驚くべきものである。
【0006】
アセトアミノフェンは、市販鎮痛剤及び解熱剤として広く使用されている。種子の品質の改善のためのパッケージの一部としてのその効能は驚くべきものであることは理解されよう。
【0007】
発明の説明
本発明は、植物の種子の品質を改善するための、受粉又は開葯の時期における又はその直後における、アセトアミノフェン及びその類似体及び誘導体及び少なくとも1種のサイトカイニン、及びさらなる農業化学的に許容される添加剤、及びチオスルフェートと組み合わせた、有効量のオーキシン及び有効なその塩、エステル及びアミドの類似体を包含する、オーキシン又は有効なその塩、エステル、又はアミドによる植物の処理を対象とする。
【0008】
類似体によって、本発明者らは、例えば、オーキシンと類似の構造、即ち、同じ又は類似の活性部分、及び類似の化学特性を有し、種子の品質を改善し得る化合物を包含する。
【0009】
本発明の一態様によれば、
(i)オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体から選択される化合物;
(ii)アセトアミノフェン又はその類似体若しくは誘導体を含み;
さらに場合によるが、好ましくは、(iii)〜(v)から選択される少なくとも1種の化合物を含み、ここで、
(iii)は、サイトカイニンであり、
(iv)は、a)D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース、D−マンノース及びD−ガラクトースなどの、グルコース、加水分解デンプン、スクロース、フルクトース、グリセロール、グリセルアルデヒド、エリスロース、リブロース、キシルロース若しくはアラビノース、アルドースを包含する単糖類;D−リブロース及びD−フルクトースなどのケトース;2−デオキシ−D−リボース、L−フコースなどのデオキシアルドース;N−アセチル−D−グルコサミン及びN−アセチル−D−ガラクトサミンなどのアセチル化アミノ糖;D−グルクロン酸、L−イズロン酸及びN−アセチルノイラミン酸などの酸性単糖類、D−ソルビトール及びD−マンニトールなどの糖アルコール、マルトース、ラクトース及びスクロースを包含する二糖類、若しくはこのような炭水化物のエステル若しくはグリコシド若しくは代謝等価物;b)Krebsトリカルボン酸サイクルの有機酸若しくはその代謝前駆体;c)ビタミン若しくは補酵素、若しくはその前駆体;d)プリン若しくはピリミジンヌクレオシド、ヌクレオチド若しくはその代謝前駆体;e)自然発生の脂肪若しくは油;又はf)アミノ酸から選択される少なくとも1種の化合物を含む農業化学的に許容される添加剤であり、(v)は、チオスルフェートである、植物における種子の品質を改善するために好適な組成物が提供される。
【0010】
参照を容易にするために、本発明者らは、オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体を、「オーキシン関連化合物」と呼ぶ。
【0011】
一態様において、オーキシン関連化合物は、インドール環に基づく。別の態様において、オーキシン関連化合物は、フェノール環に基づく。
【0012】
一態様において、誘導体は、オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物の酸、コンジュゲート、塩、エステル、又はアミドである。
【0013】
一態様において、誘導体は、コンジュゲートの形態にあり、例えば、糖、アルコール、アミノ酸、ペプチド又はタンパク質にコンジュゲートされている。
【0014】
一態様において、オーキシン前駆体は、コリスメート、アントラニル酸、ホスホリボシルアントラニレート、1−(O−カルボキシフェニルアミノ)−1−デオキシリブロース−5−ホスフェート、インドール−3−グリセロール−ホスフェート、インドール、インドール−3−酢酸、トリプトファン、トリプタミン、N−ヒドロキシトリプタミン、インドール−3−アセトアルドキシム、1−アシ−ニトロ−2−インドリルエタン、インドールグルコシノレート、インドール−3−アセトニトリル(IAN)、インドール−3−アセトアルデヒド、インドール−3−乳酸、インドール−3−ピルビン酸、又はインドール−3−エタノールである。
【0015】
オーキシン関連化合物は、海草又は藻類から得られるもののように天然、又は合成オーキシンであってよい。
【0016】
一態様において、天然オーキシンは、インドール−3−酢酸(IAA)、4−クロロ−インドール−3−酢酸(4−Cl−IAA)、フェニル酢酸(PAA)、インドール−3−酪酸(IBA)、インドール−3−アセチル−1−O−β−D−グルコース(IAAglc)である。
【0017】
一態様において、天然オーキシンのコンジュゲートは、IAA−イノシトール、IAA−イノシトール−アラビノース、IAP1、IAA−ペプチド、IAA−糖タンパク質、IAA−グルカン、IAA−アスパルテート、IAA−グルコース、IAA−1−O−グルコース、IAA−ミオ−イノシトール、IAA−4−O−グルコース、IAA−6−O−グルコース、IAA−イノシトール−ガラクトース、IAAアミドコンジュゲート、又はIAA−アミノ酸コンジュゲートである。
【0018】
一態様において、合成オーキシンは、1−ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、2−メトキシ−3,6−ジクロロ安息香酸(ジカンバ)、4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸(トルドン)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5−T)、2,3,6−トリクロロ安息香酸、4−クロロ−2メチルフェノキシ酢酸(MCPA)又はN,N−ジメチルエチルチオカルバメートである。
【0019】
一態様において、オーキシン代謝産物は、インドール−3−乳酸又はインドール−3−エタノールである。
【0020】
好ましい一態様において、オーキシン前駆体は、アントラニル酸(本明細書で「AN」とも呼ばれる)又はその誘導体である。より好ましい一態様において、ANが使用される。
【0021】
一態様において、AN又はその類似体の誘導体は、この酸の塩、エステル、若しくはアミド、又は前述のもののいずれかのコンジュゲートである。
【0022】
一態様において、本発明において使用される誘導化合物はコンジュゲートの形態にある、例えば、糖、アルコール、アミノ酸、ペプチド又はタンパク質にコンジュゲートされている。
【0023】
一態様において、ANの類似体は、図1に示された構造を有する化合物である。
【0024】
参照を容易にするために、本発明者らは、上述されたAN、その類似体及び誘導体の全てを、「AN関連化合物」と呼ぶ。
【0025】
一態様において、アセトアミノフェン誘導体は、図3に示された化合物である。
【0026】
好ましい一態様において、アセトアミノフェンが使用される。
【0027】
本発明者らは、構成成分(i)及び(ii)を含む組成物を記載する。
【0028】
一態様によれば、構成成分(i)、(ii)及び(iii)を含む組成物が提供される。
【0029】
別の態様によれば、構成成分(i)、(ii)及び(iv)を含む組成物が提供される。
【0030】
さらなる一態様によれば、構成成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む組成物が提供される。
【0031】
さらなる一態様によれば、構成成分(i)、(ii)及び(v)を含む組成物が提供される。
【0032】
請求の範囲に記載され本明細書に記載されている組合せは、作物/種子の品質に関して相乗効果を生じ得る。
【0033】
「農業化学的に許容される添加剤」によって、本発明者らは、植物に耐性があり、理想的には植物に有益な構成成分を包含する。
【0034】
好ましくは、農業化学的に許容される構成成分は、c)ビタミン若しくは補酵素、若しくはその前駆体;d)プリン若しくはピリミジンヌクレオシド、ヌクレオチド若しくはその代謝前駆体;又はf)アミノ酸から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0035】
好ましい一態様において、本発明の組成物は、チオスルフェートをさらに含む。
【0036】
本発明の別の態様において、種子/作物の品質を改善するための使用のための本発明の組成物が提供される。
【0037】
本発明者らは、(i)オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体から選択される化合物;
(ii)アセトアミノフェン又はその類似体若しくは誘導体を含み;
(iii)及び(iv)から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含み、ここで、
(iii)は、サイトカイニンであり、
(iv)は、a)D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース、D−マンノース及びD−ガラクトースなどの、グルコース、加水分解デンプン、スクロース、フルクトース、グリセロール、グリセルアルデヒド、エリスロース、リブロース、キシルロース又はアラビノース、アルドースを包含する単糖類;D−リブロース及びD−フルクトースなどのケトース;2−デオキシ−D−リボース、L−フコースなどのデオキシアルドース;N−アセチル−D−グルコサミン及びN−アセチル−D−ガラクトサミンなどのアセチル化アミノ糖;D−グルクロン酸、L−イズロン酸及びN−アセチルノイラミン酸などの酸性単糖類、D−ソルビトール及びD−マンニトールなどの糖アルコール、マルトース、ラクトース及びスクロースを包含する二糖類、又はこのような炭水化物のエステル若しくはグリコシド若しくは代謝等価物;b)Krebsトリカルボン酸サイクルの有機酸又はその代謝前駆体;c)ビタミン又は補酵素、又はその前駆体;d)プリン又はピリミジンヌクレオシド、ヌクレオチド又はその代謝前駆体;e)自然発生の脂肪又は油;或いはf)アミノ酸から選択される少なくとも1種の化合物を含む農業化学的に許容される添加剤である、植物において種子の収量を改善するために好適な組成物も記載する。
【0038】
本発明者らは、(i)オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体から選択される化合物;
(ii)アセトアミノフェン又はその類似体若しくは誘導体をさらに含み;
(iii)及び(iv)から選択される少なくとも1種の化合物を含み、ここで、
(iii)は、サイトカイニンであり、
(iv)は、a)D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース、D−マンノース及びD−ガラクトースなどの、グルコース、加水分解デンプン、スクロース、フルクトース、グリセロール、グリセルアルデヒド、エリスロース、リブロース、キシルロース若しくはアラビノース、アルドースを包含する単糖類;D−リブロース及びD−フルクトースなどのケトース;2−デオキシ−D−リボース、L−フコースなどのデオキシアルドース;N−アセチル−D−グルコサミン及びN−アセチル−D−ガラクトサミンなどのアセチル化アミノ糖;D−グルクロン酸、L−イズロン酸及びN−アセチルノイラミン酸などの酸性単糖類、D−ソルビトール及びD−マンニトールなどの糖アルコール、マルトース、ラクトース及びスクロースを包含する二糖類、若しくはこのような炭水化物のエステル若しくはグリコシド若しくは代謝等価物;b)Krebsトリカルボン酸サイクルの有機酸若しくはその代謝前駆体;c)ビタミン若しくは補酵素、若しくはその前駆体;d)プリン若しくはピリミジンヌクレオシド、ヌクレオチド若しくはその代謝前駆体;e)自然発生の脂肪若しくは油;又はf)アミノ酸から選択される少なくとも1種の化合物を含む農業化学的に許容される添加剤である、種子の収量を改善するための使用のための組成物も記載する。
【0039】
本発明の別の態様によれば、本発明の組成物を、植物、その種子又はその周囲に施用するステップを含む、種子の品質を改善する方法が提供される。
【0040】
本発明の組成物を、植物、その種子又はその周囲に施用するステップを含む、種子の収量を改善する方法も記載される。
【0041】
植物は、栽培種又は園芸種であってよい。栽培作物の限定されない例には、大麦、小麦、アブラナ、白インゲンマメ又は大豆が包含される。
【0042】
本発明のさらに別の態様によれば、構成成分(i)及び(ii)を、構成成分(iii)から(v)の少なくとも1つと混合するステップを含む、本発明の組成物を調製する方法が提供される。
【0043】
より詳しく以下に記載されるように、本発明において使用される構成成分は、同時又は異なる時間に施用し得る。したがって、本発明者らは、別々の容器に少なくともいくつかの構成成分を含有するキットを提供する。
【0044】
利点
本発明者らは、これが有用であると考えられる限り、他の農業化学的に許容される化合物との組合せとして又はそれらと混合して、アセトアミノフェン又はその類似体若しくは誘導体及び農業化学的に許容される添加剤と共に施用される場合、オーキシン関連化合物、より具体的にはAN関連化合物、さらにより具体的にはANは、種子/作物の品質の改善において(植物にいくつかある利点の中で特に)有効であることを見出した。
【0045】
本発明者らは、上記の組成物は、一連の種に添加される場合、種子/作物の品質を改善することを見出した。
【0046】
本発明者らは、本発明の組成物は、驚くべきことに、高/低pH、高/低温度、高/低塩分、干ばつ又は他の不利な植物生長条件などの潜在的又は実際の植物ストレスの条件下の植物に生長及び/又は活力における増加を提供し得ることを見出した。
【0047】
本発明者らは、これが有用であると考えられる限り、本発明の組成物は、最終の種子収量及び種子/作物数量の改善において有効であることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1(1)】アントラニル酸の類似体の例の構造を示した図である。
【図1(2)】アントラニル酸の類似体の例の構造を示した図である。
【図1(3)】アントラニル酸の類似体の例の構造を示した図である。
【図1(4)】アントラニル酸の類似体の例の構造を示した図である。
【図1(5)】アントラニル酸の類似体の例の構造を示した図である。
【図1(6)】アントラニル酸の類似体の例の構造を示した図である。
【図2】自然発生のオーキシン及びコンジュゲートの例の構造を示した図である。
【図3(1)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図3(2)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図3(3)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図3(4)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図3(5)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図3(6)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図3(7)】アセトアミノフェンの誘導体の例の構造を示した図である。
【図4】コリスメートからIAA及びトリプトファンを導く反応の概要を示した図である。
【図5】いくつかの合成オーキシンの構造を示した図である。
【0049】
発明の詳細な説明
ここで、本発明の様々な好ましい特徴及び態様を、限定されない例を用いて記載する。
【0050】
本発明は、種子/作物の品質を改善するための方法及び組成物を提供する。本発明の方法は、有効量の組成物を植物又はその周囲に施用するステップを包含する。
【0051】
「有効量」によって、本発明者らは、所望の「受粉反応」を達成するために十分な本発明の組成物の量を包含する。一般的に、「受粉反応」によって、本発明者らは、対照と比較した最終の種子収量及び種子/作物品質の少なくとも1つにおける改善を意味する。
【0052】
1000穀粒重量、比重量及びスクリーニング%は、作物品質の異なる側面である。例えば、比重量(ブッシェル重量)は、kg/hlで表される所与の体積の穀粒の重量である。例えば、栽培者は、最小品質要求を満たすために、小麦について76の標準及び大麦について64の標準を満たさなければならない。最も高い値を有する品種は、許容される穀粒ロットを最も生産しやすい品種である。作物の様々な品種についての作物品質の側面は、The Pocket Guide to Varieties of Cereals、Oilseeds and Pulses(NIAB Association)に見出される。他の品質標準には、それだけには限らないが、内胚乳テクスチャー、タンパク質含有量(%)、Hagberg落下数、Zeleny体積(cc)、Chopinアルベオグラフ、麦芽エキス、IBD承認−醸造、IBD承認−蒸留、IBD承認−穀粒蒸留、ふるい分け%<2.25mm、ふるい分け%<2.5mm、窒素含有量、カーネル含有量、ふるい分け%<2.0mm、含油量(%)、油タイプ、臍色、海外麦芽製造法、熱水抽出、及び種子色が包含される。スクリーニング%の例は、2.2mm及び2.5mmである。このような尺度を、本発明によってもたらされる効果の測定に使用することができる。
【0053】
本発明は、オーキシンの使用を含んでよい。
【0054】
オーキシンは、あるクラスの植物生長ホルモンである。オーキシンファミリーの最も研究されているメンバーは、インドール−3−酢酸(IAA)である。IAAに加えて、これまで記載されているいくつかの自然発生のオーキシン:即ち、IAA、IBA、PAA及び4−Cl−IAAがある。自然発生のオーキシンは、遊離酸として及びコンジュゲート形態で植物中に見出される。
【0055】
オーキシンは、草の子葉鞘湾曲(又は生長)試験において湾曲を生じさせる化合物として定義されている。このような検定は、1926年及び1928年にFritz Wentによって記載されている。この生物検定において、草の苗の子葉鞘の先を、検定する物質を含有する寒天プレート上に置く。オーキシン応答が存在する場合、子葉鞘が暗闇で曲がり、湾曲の角度を測定することができる。Wentの結果は、茎の湾曲は寒天中の生長物質の量に比例することを示した。この試験は、アベナ湾曲試験とも称される。オーキシン活性を決定するために使用し得る他の機能試験は、茎挿しで発根を生じさせる能力及び組織又は細胞培養において細胞分裂を促進する能力を包含する。
【0056】
オーキシンの概要、それらの合成及び代謝は、例えば、Normanly、Slovin及びCohen「Plant Hormones,Biosynthesis,Signal Transduction and Action!」、Peter J.Davies編、[2004年]章「B1.オーキシン生合成及び代謝(B1.Auxin Biosynthesis and Metabolism)」36〜62頁に見出すことができる。
【0057】
インドールオーキシンに加えて、様々なフェノールオーキシンがオーキシン活性を有する。
【0058】
本発明で使用し得る自然発生のオーキシンのいくつかの例及び低分子量コンジュゲートのいくつかの例が図2に示されている。
【0059】
本発明は、コンジュゲートも使用することができる。植物は、貯蔵目的及び/又は植物中で利用可能な遊離オーキシンの量を調節するためにコンジュゲートを使用すると考えられる。IAAは、主としてアミノ酸アスパルテートにコンジュゲートされている。
【0060】
IAA−Inos、IAA−Inos−アラビノース及び他のアミノ酸とのコンジュゲートなどの関連の低分子量コンジュゲート、並びにIAAタンパクIAP1、IAA−ペプチド、IAA糖タンパク質及びIAA−グルカンなどの高分子量コンジュゲートも植物から単離されている。
【0061】
IAA及びその前駆体は、インドール−3−乳酸、インドール−3−エタノール及びIBAへの代謝変換を受ける。いくつかの参考文献は、それを合成オーキシンと称するが、IBAは植物中に自然発生することが見出されている。いくらかの解説者は、それ自体オーキシンと称するが、他はIAAの前駆体と称する。
【0062】
コンジュゲート形態の1つの一般的なクラスは、炭素−酸素−炭素架橋を介して連結されたものから構成される。1−O−IAA−Glucなどのいくつかの1−O糖コンジュゲートは、アシルアルキルアセタール結合で実際に連結されているが、これらの化合物は、一般的に「エステル連結された」と称されている。一般的なエステル連結された部分には、6−O−IAGluc、IAA−Inos、IAA−糖タンパク質、IAA−グルカン及び単純なメチル及びエチルエステルが包含される。植物に存在する他のタイプのコンジュゲートは、IAA−アミノ酸及びタンパク質及びペプチドコンジュゲート(図2参照)におけるように、炭素−窒素−炭素アミド結合(「アミド連結された」と称される)を介して連結されている。
【0063】
植物組織内のIAA生成をもたらす生化学経路には、(A)トリプトファン[Trp依存性(Trp−D)IAA合成と称される]からの、又はTrpのインドール前駆体[これらの経路はTrpを回避するので、Trp非依存性(Trp−I)IAA合成と称される]からのデノボ合成;(B)アミド結合IAAコンジュゲート及びエステル連結IAAコンジュゲートの両方の加水分解;(C)植物のある部位から別の部位への移動;並びに(D)IBAのIAAへの変換が包含される。IAA代謝回転の機構には、(E)酸化的代謝、(F)コンジュゲート合成、(G)所与の部位からの移動、及び(H)IAAのIBAへの変換が包含される。本発明は、この経路に沿ってこのような前駆体及び代謝物を使用する。本発明は、オーキシンの異化から生じるもののような不活性代謝物を使用しない。
【0064】
通常、本発明は、トリプトファン依存性経路を使用する。コリスメートからIAA及びトリプトファンを導く反応−インドール代謝の最初に明らかにされたステップ−の概要は、図4に示されている。
【0065】
本発明は、合成オーキシンの使用も含んでいる。合成オーキシンのいくつかの例は、図5に示されている。
【0066】
オーキシン活性を有する化合物の比較は、中性pHにおいて、それらは全て、環構造上のより弱い正電荷から約0.5nmの距離で隔てられている側鎖のカルボキシル基に強い負電荷を有することを明らかにしている。インドールは活性に必須ではないが、類似の大きさの芳香族又は縮合芳香族環であってよいことが提案されている。平面の芳香族環結合プラットフォーム、カルボン酸結合部位及び2つの結合部位を隔てる疎水性移行領域であるモデルが提案されている。
【0067】
好ましい一態様において、本発明は、アントラニル酸(AN)の使用を含む。
【化1】

【0068】
アントラニレートとしても知られているANは、CAS番号118−92−3を有する。
【0069】
本発明者らは、上記ANの有用な誘導体を記載している。好ましくは、このような誘導体は水溶性である。代表的な塩には、アンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウム塩などの無機塩並びにトリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びエタノールアミン塩などの有機アミン塩が包含される。
【0070】
本発明は、アセトアミノフェンの使用を含んでよい。
【0071】
アセトアミノフェンは、IUPAC名称、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドを有し、一般的にパラセタモールと呼ばれる。アセトアミノフェンは、CAS番号103−90−2を有する。
【化2】

【0072】
上述のように、アセトアミノフェンの誘導体も、本発明において有用である。
【0073】
本発明は、農業化学的に許容される添加剤の使用も含んでよい。
【0074】
好ましい一態様において、同じ又は異なるクラスにおける2種又は3種以上のこのような添加剤が使用され得るが、1つのこのような構成成分は、以下のクラス(a)から(f):
(a)D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース、D−マンノース及びD−ガラクトースなどの、グルコース、加水分解デンプン、スクロース、フルクトース、グリセロール、グリセルアルデヒド、エリスロース、キシルロース又はアラビノース、アルドースを包含する単糖類;D−リブロース及びD−フルクトースなどのケトース;2−デオキシ−D−リボース、L−フコースなどのデオキシアルドース;N−アセチル−D−グルコサミン及びN−アセチル−D−ガラクトサミンなどのアセチル化アミノ糖;D−グルクロン酸、L−イズロン酸及びN−アセチルノイラミン酸などの酸性単糖類、D−ソルビトール及びD−マンニトールなどの糖アルコール、マルトース、ラクトース及びスクロースを包含する二糖類、又はこのような炭水化物のエステル若しくはグリコシド若しくは代謝等価物の1種又は2種以上に属するとして定義された添加剤であってよく、これらは、通常、10から10,000g/ha(ヘクタール当たりグラム)で施用される。いかなる理論によっても拘束されることを望まないが、上記構成成分は、
(1)アデノシン三リン酸(ATP)産生におけるような高エネルギー結合の産生の供給源、
(2)還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)及び還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)の形成のため及び
(3)アミノ酸及びヌクレオチドの前駆体として;
(b)通常、炭水化物源と同様の施用量で施用され炭水化物源と類似した機能のために使用される、Krebsトリカルボン酸サイクルの有機酸又はその代謝前駆体(クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酢酸及びフマル酸を包含する);
(c)酵素作用に依存する代謝プロセスを刺激するために、通常、0.01から500g/haで施用される、ビタミン又は補酵素、例えば、チアミン、リボフラビン、ピリドジン(pyridozine)、ピリドキサミン、ピリドキサール、ニコチンアミド、葉酸、又はニコチン酸を包含するそれらの前駆体;
(d)通常、核酸合成のための構造前駆体として作用するために1から500g/haで施用される、プリン又はピリミジンヌクレオシド、そのヌクレオチド又は代謝前駆体、例えば、アデニン、アデノシン、チミン、チミジン、シトシン、グアニン、グアノシン、ヒポキサンチン、ウラシル、ウリジン又はイノシン;
(e)生きている微生物によって脂肪酸に分解され得る、通常、10から10,000g/haで施用される、オリーブ油、大豆油、ヤシ油及びトウモロコシ油を包含する天然脂肪又は油;
(f)通常、新しく形成されたタンパク質のための構造単位として作用するために、又はその分解によって脂肪酸及び炭水化物と同様に機能するために1から500g/haで施用される、植物タンパク質に自然発生するタイプのアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン又はヒドロキシプロリン
として機能し得る。
【0075】
好ましい一態様において、本発明の組成物は、サイトカイニンをさらに含む。
【0076】
サイトカイニンは、細胞分裂を促進するあるクラスの植物生長物質(植物ホルモン)である。それらは、細胞生長、分化、及び他の生理的プロセスに主として関与する。
【0077】
2つのタイプのサイトカイニン:即ち、キネチン、ゼアチン及び6−ベンジルアミノプリンによって代表されるアデニン型サイトカイニン、並びにジフェニル尿素又はチジアズロン(TDZ)のようなフェニル尿素型サイトカイニンが存在する。海草又は藻類から得られるものを包含する、全てのタイプのサイトカイニンを、本発明において使用することができる。
【0078】
好ましい一態様において、本発明の組成物は、チオスルフェートをさらに含む。
【0079】
チオスルフェートは、金属又は他の陽イオンの任意の好適な塩であってよい。好ましくは、チオスルフェートは、アンモニウム、ナトリウム又はカリウムチオスルフェート又はこれらの混合物である。より好ましくは、チオスルフェートは、アンモニウム又はカリウムチオスルフェート((NH又はK)のいずれかの形態にある。
【0080】
チオスルフェートの最も一般的な形態は、アンモニウムチオスルフェートであり、これは、約7.5のpH及び約1.32の比重の60%重量/重量溶液として容易に市販入手可能である。より高い割合のカリウムが、最終葉面肥料に求められる場合、アンモニウムチオスルフェートを、カリウムチオサレフェートで部分的に又は全体的に代用することができる。
【0081】
本発明の組成物は、必要に応じて、他の構成成分と一緒に使用することができる。
【0082】
アジュバントなどの他の成分を、本発明の組成物を含む溶液に添加してよい。アジュバントは、展着及び効能を促進し、組成物の接着性を改善する場合があり、一般的に油、消泡剤及び界面活性剤を包含する。本発明において有用であるこのような構成成分には、それだけには限らないが、テルペン、Uniqema(Castle、DE)製のBrijファミリー(ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル);Uniqema(Castle、DE)製のTweenファミリー(ポリオキシエチレンソルビタンエステル)の界面活性剤;Union Carbide(Lisle、IL)製のSilwetファミリー(オルガノシリコーン);The Dow Chemical Company(Midland、MI)製のTritonファミリー(オクチルフェノールエトキシレート);Tomah3 Products,Inc.(Milton、WI)製のTomadolファミリー(エトキシル化直鎖アルコール);Uniqema(Castle、DE)製のMyrjファミリー(ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル);Uniqema(Castle、DE)製のSpanファミリー(ソルビタンエステル);及びCognis Corporation(Cincinnati、OH)製のTryloxファミリー(エトキシル化ソルビトール及びエトキシル化ソルビトールエステル)及びRohm & Haas(Philadelphia、PA)製の市販の界面活性剤Latron B−1956(77.0%変性フタル酸/グリセロールアルキル樹脂及び23.0%ブチルアルコール);Aquatrols(Paulsboro、NJ)製のCaspil(ポリエーテル−ポリメチルシロキサン共重合体及び非イオン性界面活性剤のブレンド);Norac Concept,Inc.(Orleans、Ontario、Canada)製のAgral 90(ノニルフェノールエトキシレート);Setre Chemical Company(Memphis、TN)製のKinetic(99.00%ポリアルキレンオキシドで改変されたポリジメチルシロキサン及び非イオン性界面活性剤の独自ブレンド);及びKALO,Inc.(Overland Park、KS)製のRegulaid(90.6% 2−ブトキシエタノール、ポロキサレン、モノプロピレングリコール)が包含される。
【0083】
最終溶液が、それらの毛で覆われた又は蝋の多い表面のために、濡らすのが難しいことがある植物に施用される場合、界面活性剤、湿潤剤、展着剤及び粘着剤などの、農業化学産業で一般的に知られている他の添加剤を包含することが特に有利であり得る。(湿潤剤の例には、シリコーン界面活性剤、アルキルエトキシレートなどの非イオン性界面活性剤、リン酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤及び脂肪酸アミドアルキルベタインなどの両性又は陽イオン界面活性剤が包含される。)
【0084】
本発明の組成物を形成する化合物は、単独の活性成分であってもよく、又はそれらを、適切な場合に、殺線虫剤、殺虫剤、共力剤、除草剤、殺菌剤、肥料又は植物生長調節剤などの1種又は2種以上の追加の活性成分と混合することもできる。
【0085】
1つの特に好ましい態様において、本発明の1種又は2種以上の化合物は、場合によって1種又は2種以上の活性剤と一緒に投与される。このような場合、本発明の化合物は、互いに又は1種若しくは2種以上の活性剤と共に、連続的に、同時に又は逐次的に投与することができる。化合物を組み合わせることの主要な利点は、それが、例えば生化学的相互作用によって付加的な又は可能な相乗効果を促進し得ることである。有益な組合せは、試験化合物の活性を研究することによって提案することができる。この手法は、薬剤の投与の順序、即ち、投与前、投与と同時又は投与後を決定するためにも使用することができる。
【0086】
有利には、本発明の組成物は、受粉段階において又はおおよそ受粉段階において施用し得る。これは、現在の結果を与え得るのみならず、上記組成物は、この段階で使用される他の処理と共に有用に施用することもできる。
【0087】
植物又は植物の周囲に本発明の上記組成物を施用するために、上記組成物を、濃厚物として使用することもでき、又はより一般的には、好適な不活性希釈剤、担体物質及び/又は界面活性剤と一緒に、本発明の組成物の有効量を包含する組成物に配合する。好ましくは、上記組成物は、濃厚物から調製され得る水溶液の形態にある。有効量によって、本発明者らは、上記組成物(及び/又はその個別の構成成分)が最終の種子収量及び作物品質の改善を提供することを意味する。
【0088】
作物散布について、本発明の組成物は、好ましくは実質的に水溶液である製剤で施用される。本発明の組成物を含む溶液は、散布タンク中において現場で混合し、又は水溶液で送り、貯蔵して、必要に応じて適切な混合及び希釈を確実にすることができる。
【0089】
本発明の組成物の施用濃度は、植物に施用される水の体積並びに植物齢及びサイズなどの他の要因、及び最終の種子収量及び作物品質の改善剤に対する植物の感受性に応じて広く変わり得る。オーキシン関連化合物の一般的な施用量は、1〜10g/haであり(好ましくは、及びこれらのトライアルでは、1ヘクタール当たり1gが施用された)、アセトアミノフェン又はその誘導体の一般的な施用量は、1〜10g/haであり(好ましくは、及びこれらのトライアルでは、1ヘクタール当たり3gが施用された)、本発明の農業化学的に許容される添加剤の一般的な施用量は、1〜10g/haである(好ましくは、及びこれらのトライアルでは、1ヘクタール当たり3g未満が施用された)。展着剤及び粘着剤などの他の構成成分の施用量は、1ha当たり50〜200mlであり得る。サイトカイニンの施用量は、一般的に、製剤の0.001から1.0パーセントであってよい。一般的に、チオスルフェートの施用量は、1ヘクタール当たり250gから1ヘクタール当たり6kgである。
【0090】
施用の用量及びタイミングは、種のタイプなどの当業者に知られている多数の要因によって決まる。必要に応じて、第二の又はさらなる施用(単数又は複数)を行うことができる。各施用の間のタイミングは、5日以上の近辺であってよい。
【0091】
本発明は、植物又はその部位に本発明の化合物/組成物の制御有効量を施用するステップを含む、作物の品質の改善方法に関する。
【0092】
本発明の組成物は、保護すべき土壌、植物、種子、又は他の区域に施用することができる。好ましくは、本発明は、植物の茎葉に施用される。上記組成物は、散布剤、水和剤、粒剤(持続放出又は急速放出)、水分散性粒剤、乳濁又は懸濁濃厚物、溶液、乳濁液、種子粉衣、又はマイクロカプセル化された粒剤又は懸濁液などの制御放出製剤、土壌潅注、潅水構成成分、又は好ましくは葉面散布の形態で施用することができる。
【0093】
散布剤は、活性成分を、1種又は2種以上の微粉砕された固体担体及び/又は希釈剤、例えば、自然粘土、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、多孔質珪藻土、チョーク、珪藻土、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、硫黄、石灰、小麦粉、タルク並びに他の有機及び無機固体担体と混合することによって製剤化される。
【0094】
粒剤は、多孔質の粒状物質、例えば、軽石、アタパルジャイトクレイ、フラー土、多孔質珪藻土、珪藻土、トウモロコシ穂軸粉などに、又は砂、ケイ酸塩、鉱物炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの硬い心材に活性成分を吸収するステップによって形成される。活性成分で固体担体を含浸、結合又は被覆するのを助けるために一般的に使用される薬剤には、脂肪族及び芳香族石油系溶剤、アルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、エーテル、ケトン、エステル、デキストリン、砂糖及び植物油が包含される。乳化剤、湿潤剤又は分散剤などの他の添加剤も包含され得る。
【0095】
マイクロカプセル化された製剤(マイクロカプセル懸濁液 CS)又は他の制御放出製剤を、特にある期間にわたる持続放出のために、及び種子処理のために使用することもできる。
【0096】
別法として好ましくは、上記組成物は、一般的に1種又は2種以上の既知の湿潤剤、分散剤又は乳化剤(界面活性剤)の存在下の活性成分の水性分散液又は乳濁液である、浸液、潅水添加剤又は散布液として使用される液体配合剤の形態であり得る。水性分散液又は乳濁液の形態で使用される組成物は、一般的に、高い割合の活性成分(単数又は複数)を含有する乳濁濃厚物(EC)又は懸濁濃厚物(SC)の形態で供給される。ECは、一般的に、実質的に不揮発性の有機溶媒に溶解された活性成分を含有する均一な液体組成物である。SCは、水中の固体活性成分の微細な粒径の分散液である。上記濃厚物を施用するためには、それらは、水に希釈され、一般的に、処理すべき区域に散布を用いて施用される。
【0097】
ECに適した液体溶媒には、メチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、パラフィン、ケロセン、ホワイトオイル、アルコール(例えば、ブタノール)、メチルナフタレン、トリメチルベンゼン、トリクロロエチレン、N−メチル−2−ピロリドン及びテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)が包含される。
【0098】
これらの濃厚物は、長期間の貯蔵に耐えること、及びこのような貯蔵後に、それらが通常の散布機器によって施用されるようにするために十分な時間、均一なままでいる水性配合物を形成するための水による希釈が可能であることがしばしば求められる。上記濃厚物は、1〜85重量%の活性成分(単数又は複数)を含有し得る。水性配合物を形成するために希釈された場合、このような配合物は、それらが使用される目的に応じて様々な量の活性成分を含有し得る。
【0099】
上記組成物は、種子処理における使用のために、粉末(乾燥種子処理DS若しくは水和剤WS)又は液体(流動性濃厚剤FS、液体種子処理LS)、又はマイクロカプセル懸濁液CSとしても製剤化し得る。上記製剤は、標準の技術で、従来の種子処理装置によって種子に施用することができる。使用に際して、上記組成物は、肥料組成物の施用の既知の手段、例えば、散粉、散布、又は粒剤の混和のいずれかで、植物に、植物の部位に施用される。
【0100】
上に示されたように、本発明により製造された肥料を、通常、植物の茎葉に施用するが、土壌に施用し、又は潅漑用水に添加することもできる。
【0101】
本発明は、全ての園芸種及び栽培種に施用し得ることは理解されよう。
【0102】
本発明は、作物に関して特に有用である。作物には穀類が包含され得る。
【0103】
穀類、又は穀物粒は、大部分はそれらの食用ふすま又は果実の種子(植物学的に、穀果と称されるあるタイプの果実)のために栽培されるイネ科草本(イネ科(Poaceae)又はイネ科(Gramineae))である。穀物粒は、大量に栽培され、いかなる他のタイプの作物よりも世界的に多くのエネルギーを提供しており、したがって、それらは、主要作物である。それらは、炭水化物の豊富な供給源でもある。いくつかの発展途上国において、米、小麦、又はトウモロコシの形態の穀粒は、日常の食物の大部分を構成している。先進国において、穀類消費は、より適度であり多様であるが、依然として大量である。したがって、穀粒の収量及び/又は品質を改善しようとする本発明は、実質的な経済的利益をもたらし得ることは理解されよう。
【0104】
穀物粒は、単子葉植物ファミリーイネ科(Poaceae)のメンバーである。本発明の組成物を有用に施用し得る穀類の例には、トウモロコシ、米、小麦、大麦、モロコシ、アワ、エンバク、ライ麦、ライコムギ、ソバ、フォニオ、キノア、テフ、及びマコモが包含される。本発明は、このような穀類の冬品種にも適用され得る。
【0105】
本発明は、アブラナ並びに茅及びコショウソウなどのイネ科草本を包含する油科種子作物にも適用され得る。
【0106】
本発明は、豆類作物にも有用に適用され得る。「豆」という用語は、もともとはソラマメの種子を意味したが、インゲンマメ(白インゲンマメ)及びベニバナインゲンなどのインゲンマメ属(Phaseolus)、並びに関連のウィグナ属(Vigna)のメンバーを包含するよう後に拡大された。現在、この用語は、一般的に、大豆、エンドウ豆、レンズマメ、インゲンマメ、ヒヨコマメ(ガルバンゾ)、カラスノエンドウ及びルピナスなどの多くの他の関連植物に適用される。
【0107】
「豆類(pulse)」という用語は、一般的に、それらの乾燥牧草のために収穫されるマメ科作物(leguminous crop)のものであり、主として油抽出に使用される(大豆及びラッカセイのような)作物又は(クローバー及びアルファルファなどの)もっぱら播種目的で使用されるものを一般的に除外するが、「豆(bean)」は、「豆類(pulse)」、食用のマメ科植物の類義語として使用することができる。スナップエンドウ、サヤエンドウなどの食用に青いまま収穫されるマメ科作物は、野菜作物として分類される。
【0108】
英語用法において、「豆(bean)」という用語は、マメ科(Leguminosae)ファミリーに入らないが、本当の豆に表面的に似ている植物の種子又はサヤ、例えば、コーヒー豆、トウゴマの実及びカカオ豆(豆の種子に似ている)、及びバニラビーン(サヤに似ている)を意味するためにもしばしば使用される。
【0109】
本発明の化合物又は組成物の次の混合物に特に言及される:
1.アントラニル酸(AN)、アセトアミノフェン(AC)及び添加剤(iv)(ADD)の添加。
2.アントラニル酸(AN)、アセトアミノフェン(AC)、添加剤(iv)(ADD)及びチオスルフェートの添加。
3.アントラニル酸(AN)、アセトアミノフェン(AC)及びサイトカイニンの添加。
4.アントラニル酸(AN)、アセトアミノフェン(AC)、サイトカイニン及びチオスルフェートの添加。
5.アントラニル酸(AN)、アセトアミノフェン(AC)、添加剤(iv)(ADD)、サイトカイニン及びチオスルフェートの添加。
【0110】
本発明によるこれら及び他の組合せは、付加的又は相乗的効果を生じ得る。
【0111】
添加剤は、上記のクラス(a)から(f)として記載されたものであってよい。
【0112】
添加剤が、クラス(a)から選択される場合、それは、好ましくは、1種又は2種以上のグルコース、スクロース、フルクトース又はグリセロールである。
【0113】
添加剤が、クラス(b)から選択される場合、それは、好ましくは、1種又は2種以上のクエン酸又はコハク酸である。
【0114】
添加剤が、クラス(c)から選択される場合、それは、好ましくは、1種又は2種以上のチアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ニコチンアミド、葉酸、アスコルビン酸、ビオチン又はビタミンB12である。
【0115】
添加剤が、クラス(d)から選択される場合、それは、好ましくは、アデニン、チミジン、シトシン又はウラシルである。
【0116】
添加剤が、クラス(e)から選択される場合、それは、好ましくは、トウモロコシ油である。
【0117】
添加剤が、アミノ酸から選択される場合、それは、好ましくは、1種又は2種以上のグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、トレオニン、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン又はリシンである。
【0118】
以下の例は、本発明をさらに明らかにするが、本発明を制限するものではない。
【0119】
実験結果:
これらの実験におけるTAMPF製剤例には、1ヘクタール当たり1リットルの施用量で施用されたAN+AC+ADDが包含された。ADD=それぞれ<3g/lにおけるクラス(f)から少なくとも1つの添加剤、加えてクラス(c)から少なくとも1つの添加剤。
【0120】
1000穀粒重量
トライアル情報:
冬大麦:cv Carat、9cmポット当たり5/6個の種子で、pH6.5の標準の多目的の苗床用の土に2008年5月8日に播種した。6月12日(T1);6月19日(T2)に散布した。7月28日に収穫した。
【0121】
冬小麦:cv Limerick、9cmポット当たり6/7個の種子で、pH6.5の標準の多目的の苗床用の土に2008年5月8日に播種した。6月15日(T1);6月25日(T2)に散布した。7月28日に収穫した。
【0122】
白インゲンマメ:cv Primel、9cmポット当たり1個の種子で、pH6.5の標準の多目的の苗床用の土に2008年5月5日に播種した。6月22日(T1);7月18日(T2)に散布した。8月28日に収穫した。
【0123】
大豆:9cmポット当たり1個の種子で、pH6.5の標準の多目的の苗床用の土に2008年5月5日に播種した。6月24日(T1);7月16日(T2)に散布した。8月28日に収穫した。
【0124】
統計設計:温室条件下の完全乱塊法、英国。
【0125】
表1についての統計解析(最小有意差、5%レベル)
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5−1】


【表5−2】


【表5−3】


【表6−1】


【表6−2】


【表6−3】


【表7−1】


【表7−2】


【表7−3】


【表8−1】


【表8−2】


【表8−3】

【0126】
穀粒品質改善
トライアル情報:9cmポット当たり6/7個の種子(冬小麦)又は9cmポット当たり5/6個の種子(冬大麦)で、pH6.5の標準の多目的の苗床用の土で、ポット中で栽培した。開葯生長段階の初め(=穂の出現の直後:GS60)に散布した。
【表9】


【表10】

【0127】
冬小麦及び冬大麦で開葯生長段階の初め(=穂の出現の直後:GS60)に散布された本発明の組成物の施用は、AN+AC単独、又は未処理の施用を上回って増加した穀粒品質をもたらした。冬小麦及び冬大麦の両方について比重量特性への相乗的利益が存在する。
【0128】
上記の明細書に記載された全ての刊行物は、本明細書に参照により組み込まれている。記載された本発明の方法及びシステムの様々な改変及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかになろう。本発明が、特定の好ましい態様に関連して記載されたが、請求の範囲に記載されている本発明は、このような特定の態様に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、当業者に明らかである、本発明を実施する記載された様式の様々な変更は、以下の特許請求の範囲に含まれるよう意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)オーキシン、オーキシン前駆体、オーキシン代謝産物又は前記オーキシン、オーキシン前駆体若しくはオーキシン代謝産物の誘導体から選択される化合物;
(ii)アセトアミノフェン又はその誘導体を含み;
(iii)〜(v)から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含み、ここで、
(iii)は、サイトカイニンであり、
(iv)は、a)D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース、D−マンノース及びD−ガラクトースなどの、グルコース、加水分解デンプン、スクロース、フルクトース、グリセロール、グリセルアルデヒド、エリスロース、リブロース、キシルロース又はアラビノース、アルドースを包含する単糖類;D−リブロース及びD−フルクトースなどのケトース;2−デオキシ−D−リボース、L−フコースなどのデオキシアルドース;N−アセチル−D−グルコサミン及びN−アセチル−D−ガラクトサミンなどのアセチル化アミノ糖;D−グルクロン酸、L−イズロン酸及びN−アセチルノイラミン酸などの酸性単糖類、D−ソルビトール及びD−マンニトールなどの糖アルコール、マルトース、ラクトース及びスクロースを包含する二糖類、又はこのような炭水化物のエステル若しくはグリコシド若しくは代謝等価物;b)Krebsトリカルボン酸サイクルの有機酸又はその代謝前駆体;c)ビタミン又は補酵素、又はその前駆体;d)プリン又はピリミジンヌクレオシド、ヌクレオチド又はその代謝前駆体;e)天然の脂肪又は油;或いはf)アミノ酸から選択される少なくとも1種の化合物を含む農業化学的に許容される添加剤であり、(v)は、チオスルフェートである、植物における種子の品質を改善するために好適な組成物。
【請求項2】
構成成分(i)、(ii)及び(iii)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構成成分(i)、(ii)及び(iv)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構成成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
構成成分(i)、(ii)及び(v)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
農業化学的に許容される添加剤(iv)が、c)ビタミン若しくは補酵素、若しくはその前駆体;d)プリン若しくはピリミジンヌクレオシド、ヌクレオチド若しくはその代謝前駆体、又はf)アミノ酸から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項7】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
構成成分(ii)が、アセトアミノフェンである、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
アセトアミノフェンの誘導体が、図3に示された化合物の1つである、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
オーキシンが、インドールオーキシン又はフェノールオーキシンである、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
誘導体が、オーキシン、又はアルキル化若しくはハロゲン化オーキシンの酸、コンジュゲート、塩、エステル、又はアミドである、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
オーキシンが、糖、アルコール、アミノ酸又はタンパク質にコンジュゲートされている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前駆体が、コリスメート、アントラニル酸、ホスホリボシルアントラニレート、1−(O−カルボキシフェニルアミノ)−1−デオキシリブロース−5−ホスフェート、インドール−3−グリセロール−ホスフェート、インドール、インドール−3−酢酸、トリプトファン、トリプタミン、N−ヒドロキシトリプタミン、インドール−3−アセトアルドキシム、1−アシ−ニトロ−2−インドリルエタン、インドールグルコシノレート、インドール−3−アセトニトリル(IAN)、インドール−3−アセトアルデヒド、インドール−3−乳酸、インドール−3−ピルビン酸、又はインドール−3−エタノールである、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前駆体が、アントラニル酸である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アントラニル酸の誘導体が、図1に示された化合物の1つである、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
オーキシンが、天然又は合成オーキシンである、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
天然オーキシンが、インドール−3−酢酸(IAA)、4−クロロ−インドール−3−酢酸(4−Cl−IAA)、フェニル酢酸(PAA)、インドール−3−酪酸(IBA)、インドール−3−アセチル−1−O−β−D−グルコース(IAAglc)である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
天然オーキシンのコンジュゲートが、IAA−イノシトール、IAA−イノシトール−アラビノース、IAP1、IAA−ペプチド、IAA−糖タンパク質、IAA−グルカン、IAA−アスパルテート、IAA−グルコース、IAA−1−O−グルコース、IAA−ミオ−イノシトール、IAA−4−O−グルコース、IAA−6−O−グルコース、IAA−イノシトール−ガラクトース、IAAアミドコンジュゲート、又はIAA−アミノ酸コンジュゲートである、請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
合成オーキシンが、1−ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、2−メトキシ−3,6−ジクロロ安息香酸(ジカンバ)、4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸(トルドン)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5−T)、2,3,6−トリクロロ安息香酸、又はN,N−ジメチルエチルチオカルバメートである、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
代謝産物が、インドール−3−乳酸又はインドール−3−エタノールである、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
種子の品質を改善するための使用のための、請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の組成物を、植物、その種子又はその周囲に施用するステップを含む種子の品質を改善する方法。
【請求項23】
植物が、作物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
構成成分(i)及び(ii)を、構成成分(iii)〜(v)の少なくとも1つと混合するステップを含む、請求項1〜21のいずれかに記載の組成物を調製する方法。

【図1(1)】
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【図1(2)】
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【図1(3)】
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【図1(4)】
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【図1(5)】
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【図1(6)】
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【図2】
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【図3(1)】
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【図3(2)】
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【図3(3)】
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【図3(4)】
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【図3(5)】
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【図3(6)】
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【図3(7)】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−522833(P2012−522833A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504097(P2012−504097)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000978
【国際公開番号】WO2010/116260
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(507416850)
【Fターム(参考)】