説明

口元止水装置、口元止水装置用弾性体及び口元止水装置用弾性体の製造方法

【課題】作業性に優れながら、破損して止水効果が得られなくなるおそれがない口元止水装置用弾性体とする。
【解決手段】対象地盤を削孔する削孔ロッド50と、この削孔ロッド50をガイドする外管51の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置に組み込まれる弾性体20であって、削孔ロッド50を貫通可能とした円筒状で、上面21a及び下面21bは内周側に向かうに従っていずれも下側に傾斜し、上方から押圧されると内周側に突出して削孔ロッド50の外周面に圧着する構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口元止水装置、口元止水装置用弾性体及び口元止水装置用弾性体の製造方法に関するものである。より詳しくは、削孔又は引き抜きの際に削孔口元から土砂及び水等が噴出するのを防止するための口元止水装置、この口元止水装置に組み込まれる弾性体、及び、この弾性体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラウンドアンカー等のアンカー工事においてはアンカーの建て込みのために削孔機による削孔が行われる。また、トンネル掘削等の水平方向掘削の場合に切羽安定や透水性の低減等を目的として、トンネル切羽面前方又はその周辺を薬液注入によって地盤改良するために削孔機による削孔がなされる。さらに、根切り工事において周辺の建物への影響を無くすことを目的として、その土留め矢板又は土留め壁の背面部分を薬液注入によって地盤改良するためにも削孔機による削孔がなされる。
【0003】
従来から、被圧水下すなわち地下水圧の影響を受ける地盤において外管を介して削孔ロッドにより削孔を行った場合に、削孔口元より水及び土砂等が噴出するという問題が生じていた。かかる土砂等の噴出によって、対象地盤の地態が悪化すること、既に注入されている隣接注入剤が流出してしまうこと等を防ぐため、外管の口元において止水する口元止水装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この口元止水装置は、外管の口元に内周部が開放された円環状のパッキング保持枠を設け、このパッキング保持枠内に円環状の軟弾性材からなる止水パッキングを装填し、その外周部をエアや液体などの流体により加圧して内周側に膨出させることによって削孔ロッドに圧着させて止水するものである。
【0005】
しかしながら、上記発明では、止水パッキングの外周部をエアや水、油などの流体が直接押圧するため気密性が低く、エアの場合には、パッキング保持枠内の密度が変化して調整しにくいため止水性が悪く、また、水、油などの液体では、押圧力を任意に調整することが難しく、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明者は、特許文献2に示すように、エア又は液体からなる流体が供給されるシリンダー部と、削孔ロッドを貫通可能とし、かつシリンダー部のピストン部材により上方及び/又は下方から押圧され、内部に中空部が形成された環状の弾性体と、この弾性体を保持する保持部と、を備え、押圧された弾性体は、内周側に膨出して削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされた、ことを特徴とする口元止水装置を提案した。この口元止水装置によると、止水性を向上させることができると共に、押圧力の調整が容易であるため作業性に優れ、特に、弾性体の内部に中空部が形成されているため、押圧力が小さくても容易に弾性体を内周側に膨出させることができ、この点でも作業性に優れるとの利点を有する。
【0007】
しかしながら、この口元止水装置は、当該装置に組み込まれた環状の弾性体について、更なる改善が検討された。
すなわち、当該弾性体は、内部に中空部が形成されているため前述した意味において作業性に優れるが、中空部が形成されていない場合と比較して、相対的に強度が弱くなり、使用頻度によっては、例えば押圧時に破損して止水効果が得られなくなる可能性がある。また、環状の弾性体の内部に中空部を形成するのは、製造するに容易でない。
【特許文献1】特開2001−20700号公報
【特許文献2】特開2007−169893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする主たる課題は、作業性に優れながら、破損して止水効果が得られなくなるおそれがなく、好ましくは製造容易な口元止水装置用弾性体及びその製造方法並びに当該弾性体が組み込まれた口元止水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも下側に傾斜する上側弾性体と、前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも上側に傾斜する下側弾性体と、が備えられ、
前記上側弾性体及び前記下側弾性体が、
前記上側弾性体下面の内周部と前記下側弾性体上面の内周部とが当接した状態で配置され、かつ上方及び下方の少なくとも一方から押圧されるといずれも内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされている、
ことを特徴とする口元止水装置。
【0010】
〔請求項2記載の発明〕
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも下側に傾斜する上側弾性体と、前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも上側に傾斜する下側弾性体と、上側平板部を有し前記上側弾性体を保持する上側保持部材と、下側平板部を有し前記下側弾性体を保持する下側保持部材と、この下側保持部材から前記上側保持部材までの距離を変化させる手段と、が備えられ、
前記上側弾性体及び前記下側弾性体が、
前記上側弾性体下面の内周部と前記下側弾性体上面の内周部とが当接し、かつ外周側に向かうに従って前記上側弾性体下面と前記下側弾性体上面との間の第1の間隙が広まり、前記上側弾性体上面の外周部と前記上側平板部下面とが当接し、かつ内周側に向かうに従って前記上側弾性体上面と前記上側平板部下面との間の第2の間隙が広まり、前記下側弾性体下面の外周部と前記下側平板部上面とが当接し、かつ内周側に向かうに従って前記下側弾性体下面と前記下側平板部上面との間の第3の間隙が広まる状態で配置され、前記下側保持部材から前記上側保持部材までの距離が近まると、前記第1から第3の間隙が狭まり前記上側弾性体及び前記下側弾性体のいずれも内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされている、
ことを特徴とする口元止水装置。
【0011】
〔請求項3記載の発明〕
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置に組み込まれる弾性体であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で、上面及び下面は内周側に向かうに従っていずれも下側に、又はいずれも上側に傾斜し、上方及び下方の少なくとも一方から押圧されると内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされている、
ことを特徴とする口元止水装置用弾性体。
【0012】
〔請求項4記載の発明〕
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置に組み込まれる弾性体の製造方法であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状の部材を用意し、この部材の上面及び下面を内周側に向かうに従っていずれも下側に、又はいずれも上側に傾斜するように切り欠いて、上方及び下方の少なくとも一方から押圧されると内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とする、
ことを特徴とする口元止水装置用弾性体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、作業性に優れながら、破損して止水効果が得られなくなるおそれがなく、製造容易な口元止水装置用弾性体及びその製造方法並びに当該弾性体が組み込まれた口元止水装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態に係る口元止水装置は、図1に非止水時の状態を、図2に止水時の状態を示すように、対象地盤を削孔する削孔ロッド50をガイドする外管51の口元部分に取り付けられ、削孔ロッド50と外管51の口元部分との間を封止して止水を図るものである。この口元止水装置は、後述する下側保持部材32から上側保持部材31までの距離を変化させる手段たるシリンダー部10と、このシリンダー部10によって押圧される弾性体20と、この弾性体20を保持する保持部30と、を備えている。
【0015】
シリンダー部10は、削孔ロッド50を貫通可能とした環状とされ、上端に鍔11Aが設けられた内周壁11と、この内周壁11の外周側に同軸的に配置された鍔11Aの外周部と繋がる外周壁12と、を備えている。また、外周壁12の内周側には、円筒状の筒体33が内接した状態で設けられており、この筒体33と内周壁11との間にシリンダー室13が形成されていると共に、このシリンダー室13内に環状のピストン部材14が上下方向に関して摺動自在に設けられている。
【0016】
内周壁11の鍔11Aは、シリンダー室13の上壁を構成する。この内周壁11の鍔11Aには、シリンダー室13と連通し、エア、又は水や油等の液体などの流体を供給する供給管16が接続具16Aを介して取り付けられており、コンプレッサー(図示せず)又はポンプ(図示せず)から供給される流体が、管路(図示せず)を介して供給管16からシリンダー室13内に送られ、当該流体によってピストン部材14が下方に押し下げられ、図2に示すように、後述する弾性体20を下方に押圧するようになっている。
【0017】
従来の口元止水装置では、気密性が低い等の理由で、削孔作業中は、常にコンプレッサーやポンプで圧力をかけていなければならなかったが、本形態では、止水性を向上させることができると共に、押圧力の調整が容易であるため作業性に優れている。特に、気密性の高いシリンダー室13を設け、ピストン部材14で弾性体20を押圧する構成であることにより、削孔作業中は、管路途中に設けたバルブ(図示せず)を締めることで、常にコンプレッサーやポンプで圧力をかける必要がなくなり、弾性体20を削孔ロッド50の外周面に圧着させることができるため作業性に優れる。
【0018】
ピストン部材14は、環状の部材であり、図1及び図2に示すように、その環状の断面が略逆L字状になっており、縮外径部分14Aが、内周壁11の鍔11Aに当接するようになっている。
【0019】
本形態の弾性体20は、削孔ロッド50を貫通可能とした円筒状の上側弾性体21と下側弾性体22とで構成されている。上側弾性体21は、図3の(1)にも示すように、上面21a及び下面21bが内周側に向かうに従っていずれも下側に傾斜する。また、下側弾性体22は、上面22a及び下面22bが内周側に向かうに従っていずれも上側に傾斜する。
【0020】
他方、本形態の保持部30は、上側弾性体21を保持する上側保持部材31と下側弾性体22を保持する下側保持部材32とで構成される。上側保持部材31は、上側弾性体21の上端部に外接し、かつ前述した筒体33に内接する上側円筒部31Bと、この上側円筒部31Bの上端部から内周側に延出するレコード盤状の上側平板部31Aとで断面略L字状に構成されている。また、下側保持部材32は、下側弾性体22の下端部に外接し、かつ前述した筒体33に内接する下側円筒部32Bと、この下側円筒部32Bの下端部から内周側に延出するレコード盤状の下側平板部32Aとで断面略L字状に構成されている。
【0021】
以上のようにしてなる本形態の口元止水装置においては、上側弾性体21及び下側弾性体22が、以下に示すように配置された状態で組み込まれている。
すなわち、図3に示すように、まず、上側弾性体下面21bの内周部と下側弾性体上面22aの内周部とが当接し、かつ外周側に向かうに従って上側弾性体下面21bと下側弾性体上面22aとの間の第1の間隙C1が広まった状態となるように配置されている。また、上側弾性体上面21aの外周部と上側平板部31Aの下面31aとが当接し、かつ内周側に向かうに従って上側弾性体上面21aと上側平板部下面31aとの間の第2の間隙C2が広まった状態となるように配置されている。さらに、下側弾性体下面22bの外周部と下側平板部32Aの上面32bとが当接し、かつ内周側に向かうに従って下側弾性体下面22bと下側平板部上面32bとの間の第3の間隙C3が広まった状態となるように配置されている。
【0022】
そして、上側弾性体21及び下側弾性体22は、上方及び下方の少なくとも一方から押圧されると、特に本形態では、前述したようにシリンダー部10を動作させて(流体を供給してピストン部材14を下方に移動させて)、上側保持部材31が下方に移動することにより、下側保持部材32から上側保持部材31までの距離が近まると、図2や図3の(2)に示すように、第1から第3の間隙C1〜3が狭まり、好ましくは第1から第3の間隙C1〜3が存在しなくなり、これにより上側弾性体21及び下側弾性体22のいずれも内周側に突出して削孔ロッド50の外周面に圧着する構成とされている。この圧着によって、止水効果が得られる。
【0023】
本形態においては、弾性体20の内部に中空部が形成されず、相対的に強度が弱くなるといったことがないため、強度の低下を原因とする破損によって止水効果が得られなくなるといった問題が生じない。しかも、上側弾性体21及び下側弾性体22の一方が破損しても、他方の上側弾性体21又は下側弾性体22によって止水効果が維持されるため、止水効果が得られなくなる可能性は、極めて小さなものとなる。さらに、本形態においては、弾性体20の内部に中空部が形成されていなくとも、第1から第3の間隙C1〜3を有するため、小さな押圧力で容易に各弾性体21,22を内周側に突出させることができる。特に、押圧によって第1から第3の間隙C1〜3が存在しななくなる形態としておけば、押圧時の密度変化がなくなり、内周側へ突出した弾性体21,22と削孔ロッド50との密着性が向上する。加えて、本形態においては、弾性体20の内部に中空部を形成する必要がないため、製造容易である。具体的には、例えば、削孔ロッド50を貫通可能とした円筒状の部材(弾性体)を用意し、この部材の上面及び下面を内周側に向かうに従っていずれも下側に、又はいずれも上側に傾斜するように切り欠くのみで製造することができる。本形態の口元止水装置において、上側弾性体21と下側弾性体22との違いは、配置方向が上下逆である点のみなので、当該製造方法によって製造した弾性体を、適宜上下を逆にして組み込めば、上側弾性体21又は下側弾性体22となる。
【0024】
〔その他〕
(1)本形態において、上側弾性体21の上面21a,下面21bや、下側弾性体22の上面22a,下面22bの下側又は上側への傾斜角(以下、単に「傾斜角」ともいう。)は特に限定されない。ただし、上側弾性体21の場合を例にすると、図3の(1)に示すように、上面21aの傾斜角αと下面21bの傾斜角βとは同じであるのが好ましい。傾斜角α及び傾斜角βを同じとしておけば、上側弾性体21を押圧して削孔ロッド50の外周面に圧着させた際の安定性に優れる。
【0025】
(2)本形態においては、傾斜角αや傾斜角β等の傾斜角を大きくすれば、弾性体21,22の内周側への突出量が増える。したがって、傾斜角を適宜調節することによって、弾性体21,22の削孔ロッド50に対する密着強度を調節することができる。
【0026】
(3)本形態においては、弾性体20が、1つの上側弾性体21と1つの下側弾性体22とで構成された形態を示したが、この形態に限定する趣旨ではない。上側弾性体21及び下側弾性体22を、それぞれ複数用意し、上下方向に関して交互に上側弾性体21又は下側弾性体22を順に配置した形態とすることもできる。ただし、組み込まれた弾性体20の安定性という観点からは、上側弾性体21及び下側弾性体22がそれぞれ1つずつであるのが好ましい。
【0027】
(4)本形態において、弾性体21,22の素材は、特に限定されず、削孔ロッド50と密着して止水効果が得ることができる程度の弾性を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、ゴム等の軟質樹脂や、ウレタン、テフロン(登録商標)等の可塑性樹脂などを使用することができる。
【0028】
(5)本形態において、弾性体21,22の内周面は、さまざまな形状に変形することができる。具体的には、例えば、当該内周面に歯型状の溝や鋸状の溝を形成し、あるいは緩やかな窪み(凹部)を形成することなどができる。これらの変形形状によって、削孔ロッド50との圧着面積を減らし、削孔ロッド50の回転による摩擦抵抗を少なくし、もって削孔効率を悪化させることなく、止水を行うことができる。
【0029】
(6)本形態の口元止水装置は、シリンダー部10が上部に位置し、その下方に弾性体20を保持する保持部30が位置した形態となっているが、これに換えて、図示はしないが、保持部30を上部に位置させ、その下方にシリンダー部10を位置させ、下方から流体を供給してピストン部材14を上昇させ、下方から弾性体20を押圧し内周側に突出させる構成にしてもよい。また、保持部30の上方及び下方にそれぞれシリンダー部10を設けて、弾性体20を上方及び下方から押圧してもよい。
【0030】
(7)本形態の口元止水装置は、削孔方向が下方向である場合も、水平方向である場合も使用することができる。したがって、本明細書において、「上」とは削孔方向手前側を、「下」とは削孔方向奥側を意味することになる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、削孔又は引き抜きの際に削孔口元から土砂及び水等が噴出するのを防止するための口元止水装置、この口元止水装置に組み込まれる弾性体、及び、この弾性体の製造方法として、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】口元止水装置の断面図である(非止水時)。
【図2】口元止水装置の断面図である(止水時)。
【図3】弾性体の動きを説明するための図である。
【符号の説明】
【0033】
10…シリンダー部、11…内周壁、11A…鍔、12…外周壁、13…シリンダー室、14…ピストン部材、16…供給管、20…弾性体、21…上側弾性体、22…下側弾性体、30…保持部、31…上側保持部材、31A…上側平板部、32…下側保持部材、32A…下側平板部、50…削孔ロッド、51…外管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも下側に傾斜する上側弾性体と、前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも上側に傾斜する下側弾性体と、が備えられ、
前記上側弾性体及び前記下側弾性体が、
前記上側弾性体下面の内周部と前記下側弾性体上面の内周部とが当接した状態で配置され、かつ上方及び下方の少なくとも一方から押圧されるといずれも内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされている、
ことを特徴とする口元止水装置。
【請求項2】
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも下側に傾斜する上側弾性体と、前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で上面及び下面が内周側に向かうに従っていずれも上側に傾斜する下側弾性体と、上側平板部を有し前記上側弾性体を保持する上側保持部材と、下側平板部を有し前記下側弾性体を保持する下側保持部材と、この下側保持部材から前記上側保持部材までの距離を変化させる手段と、が備えられ、
前記上側弾性体及び前記下側弾性体が、
前記上側弾性体下面の内周部と前記下側弾性体上面の内周部とが当接し、かつ外周側に向かうに従って前記上側弾性体下面と前記下側弾性体上面との間の第1の間隙が広まり、前記上側弾性体上面の外周部と前記上側平板部下面とが当接し、かつ内周側に向かうに従って前記上側弾性体上面と前記上側平板部下面との間の第2の間隙が広まり、前記下側弾性体下面の外周部と前記下側平板部上面とが当接し、かつ内周側に向かうに従って前記下側弾性体下面と前記下側平板部上面との間の第3の間隙が広まる状態で配置され、前記下側保持部材から前記上側保持部材までの距離が近まると、前記第1から第3の間隙が狭まり前記上側弾性体及び前記下側弾性体のいずれも内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされている、
ことを特徴とする口元止水装置。
【請求項3】
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置に組み込まれる弾性体であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状で、上面及び下面は内周側に向かうに従っていずれも下側に、又はいずれも上側に傾斜し、上方及び下方の少なくとも一方から押圧されると内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とされている、
ことを特徴とする口元止水装置用弾性体。
【請求項4】
対象地盤を削孔する削孔ロッドと、この削孔ロッドをガイドする外管の口元と、の間を封止して止水を図る口元止水装置に組み込まれる弾性体の製造方法であって、
前記削孔ロッドを貫通可能とした円筒状の部材を用意し、この部材の上面及び下面を内周側に向かうに従っていずれも下側に、又はいずれも上側に傾斜するように切り欠いて、上方及び下方の少なくとも一方から押圧されると内周側に突出して前記削孔ロッドの外周面に圧着する構成とする、
ことを特徴とする口元止水装置用弾性体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−97155(P2009−97155A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267090(P2007−267090)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)