説明

口腔洗浄装置

【課題】口腔洗浄効果の高い過酸化水素を含む洗浄水を簡便に生成できる口腔洗浄装置を提供する。
【解決手段】口腔洗浄装置(10)には、口腔内へ供給する洗浄水を生成・貯留する洗浄水生成タンク(20)と、一端が洗浄水生成タンク(20)に接続される給水路(31)、洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水を給水路(31)へ搬送する搬送部(32)、及び給水路(31)の流出端に接続されて洗浄水を口腔内へ放出する放出部(33,90,95)とを含む給水機構(30)と、水中でストリーマ放電を生起する電極対(51,52)、及び電極対(51,52)に電圧を印加する電源部(65)とを有し、ストリーマ放電を行って水中で過酸化水素を生成する放電発生機(50)とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内を洗浄する口腔洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、口腔内を洗浄する口腔洗浄装置が知られている。例えば特許文献1に開示される口腔洗浄装置は、タンクと、このタンクに接続されるチューブと、チューブに接続されるポンプと、チューブの流出端に接続される清掃ヘッドとを備えている。タンク内には、口腔内の洗浄・除菌等を行うための所定の洗浄水が生成・貯留される。清掃ヘッドは、通水性の高い多孔質材料で構成されている。
【0003】
ポンプが駆動されると、タンク内の洗浄水はチューブを経由して清掃ヘッドへ供給される。清掃ヘッドへ供給された洗浄水は、複数の流出口を通じて口腔内へ放出される。その結果、口腔内へ洗浄水が供給されて口腔内の洗浄・除菌がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−119147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような口腔洗浄装置においては、口腔洗浄の効果を高めるために、過酸化水素を含む洗浄水を用いることが考えられる。しかしながら、過酸化水素は不安定なため、口腔洗浄効果のある洗浄水を用いる場合には、所定濃度の過酸化水素水を含む洗浄水を調製してタンク内に適宜補充する必要がある。また、例えばタンク内の水中で電気分解を行うことで、過酸化水素を発生させることも考えられる。しかしながら、電気分解によって過酸化水素を生成する方式では、過酸化水素生成能が充分でないことから、所定濃度の過酸化水素を含む洗浄水を得ることは極めて困難である。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、口腔洗浄効果の高い過酸化水素を含む洗浄水を簡便に生成できる口腔洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、口腔洗浄装置を対象とし、口腔内へ供給する洗浄水を貯留する洗浄水生成タンク(20)と、一端が洗浄水生成タンク(20)に接続される給水路(31)と、該洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水を上記給水路(31)へ搬送する搬送部(32)と、上記給水路(31)の流出端に接続されて上記洗浄水を口腔内へ放出する放出部(33,90,95)とを含む給水機構(30)と、上記洗浄水生成タンク(20)内の水中でストリーマ放電を生起するための電極対(51,52)と、該電極対(51,52)に電圧を印加する電源部(65)とを有し、上記ストリーマ放電によって水中で過酸化水素を生成するように構成された放電発生機(50)とを備えていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、放電発生機(50)の電源部(65)から電極対(51,52)へ電圧が印加されることにより、水中でストリーマ放電が行われる。ストリーマ放電が行われると、水中では水酸化ラジカル等の活性種が生成される。この活性種は、水分子と反応することにより、多量の過酸化水素が生成される。その結果、洗浄水生成タンク(20)内では、過酸化水素を含む洗浄水が簡便に得られる。洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水は、搬送部(32)によって洗浄水生成タンク(20)から給水路(31)へ搬送される。給水路(31)を流れた洗浄水は、放出部(33,90,95)から使用者の口腔内へ供給される。その結果、口腔内の洗浄・除菌がなされる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記電源部(65)は、上記電極対(51,52)に直流電圧を印加する直流電源(65)で構成され、上記放電発生機(50)は、上記電極対(51,52)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部材(55)を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、直流電源(65)から電極対(51,52)に直流電圧が印加されることで、電極対(51,52)の間でストリーマ放電が行われる。一方、このように電極対(51,52)に直流電圧を印加すると、例えばパルス電圧を印加する場合と比較して、電極対(51,52)の間の漏れ電流が大きくなり、放電を行うことが困難となる。そこで、第2の発明の放電発生機(50)には、電極対(51,52)の電流密度を上昇させる電流密度集中部材(55)を設けている。この電流密度集中部材(55)により、電極対(51,52)の間の電流密度が上昇するため、電源部(65)として直流電源を用いても放電を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記放出部(33)は、上記洗浄水が放出される流出口(36)が形成される本体部(34)と、該本体部(34)の表面に形成されるブラシ部(35)とを含んでいることを特徴とする。
【0012】
第3の発明の放出部(33)では、本体部(34)の表面にブラシ部(35)が形成される。使用者の口腔内へは、本体部(34)の流出口(36)から洗浄水が供給される。この際、使用者はブラシ部を用いて口腔の内面や歯等を磨くことができる。
【0013】
第4の発明は、請求項1乃至3において、上記放出部(95)は、上記洗浄水を噴霧する噴霧部(95)を含んでいることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、噴霧部(95)からミスト状の洗浄水が口腔内へ供給される。これにより、洗浄水は口腔内へ比較的広範囲且つ均一に供給される。
【0015】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、上記口腔内の洗浄水を吸引して外部に排出する吸引部(41)を含む排水機構(40)を備えていることを特徴とする。
【0016】
第5の発明では、口腔内の洗浄・除菌に利用された洗浄水が、吸引部(41)に吸引されて口腔の外部に排出される。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、上記口腔内への上記洗浄水の給水動作と、該口腔内からの洗浄水の排水動作とを所定時間毎に交互に行うように、又は上記給水動作と排水動作とが同時に行われるように、上記給水機構(30)及び上記排水機構(40)を制御する制御部(70)を備えていることを特徴とする。
【0018】
第6の発明では、給水機構(30)と排水機構(40)とが制御部(70)によって制御されることで、給水動作と排水動作とが所定時間毎に交互に行われるか、或いは給水動作と排水動作とが同時に行われる。
【0019】
給水動作と排水動作とを交互に行う場合には、まず、例えば給水動作が行われると、放出部(33,90,95)から口腔内へ洗浄水が供給される。その後、給水動作が終了すると、排水動作が行われ、口腔内の洗浄水が吸引部(41)に吸引されて口腔の外部へ排出される。排水動作が終了すると、給水動作が再び行われる。
【0020】
給水動作と排水動作とを同時に行う場合には、放出部(33,90,95)から口腔内へ洗浄水が供給されると同時に、口腔内の洗浄水が吸引部(41)に吸引されて口腔の外部へ排出される。
【0021】
第7の発明は、2乃至6のいずれか1つの発明において、上記電流密度集中部材(55)は、少なくとも1つの開口(58)が向けられた絶縁性の容器状に形成され、上記電極対(51,52)のうちの一方の電極(51)だけを囲むように配置されていることを特徴とする。
【0022】
第7の発明では、絶縁性の容器状の電流密度集中部材(55)の内部に電極(51)が収容される。電流密度集中部材(55)には、少なくとも1つの開口(58)が形成されるため、電極対(51,52)の間では、この開口(58)を通じて放電経路が形成される。この開口(58)によって電極対(51,52)間の電流経路が絞られるため、開口(58)の近傍での電流密度が集中する。その結果、電極対(51,52)の間では、開口(58)を通じて安定したストリーマ放電が行われる。
【0023】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記給水機構(30)には、上記洗浄水生成タンク(20)と上記放出部(33,90,95)との間の給水路(31)に、中継タンク(80)が接続されていることを特徴とする。
【0024】
第8の発明では、洗浄水タンク(20)と放出部(33,90,95)との間に中継タンク(80)が設けられる。このように中継タンク(80)を設けると、例えば他の種類の洗浄水を中継タンク(80)に適宜供給して洗浄水の種類を変えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、洗浄水生成タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成している。このため、洗浄水生成タンク(20)内に過酸化水素水を適宜補充する必要がなく、簡便に過酸化水素を含む洗浄水を得ることができる。また、本願発明のストリーマ放電では、例えば電気分解の方式と比較すると、過酸化水素の生成速度が極めて高い。従って、短時間で多量の過酸化水素を発生でき、口腔内の洗浄・除菌効果を向上できる。
【0026】
第2の発明では、放電発生機(50)の電源部として直流電源(65)を用いている。このため、公知のパルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。また、パルス電源を用いると、放電に伴って水中で発生する衝撃波や騒音が大きくなってしまう。これに対し、直流電源(65)を用いると、このような衝撃波や騒音も低減できる。
【0027】
更に第2の発明では、放電発生機(50)に電流密度集中部材(55)を設けているため、直流電源(65)であっても、水中内で安定したストリーマ放電を行うことができる。従って、洗浄水生成タンク(20)内で過酸化水素を安定的に生成できる。
【0028】
第3の発明は、放出部(33)にブラシ部(35)を設けたので、このブラシ部(35)を使って口腔の内面に付着したバイオフィルムや歯垢等を取り除くことができる。
【0029】
第4の発明では、噴霧部(95)からミスト状の洗浄水を口腔内へ供給しているため、口腔内へ広範囲且つ均一に洗浄水を供給できる。従って、口腔内の洗浄・除菌効果を更に向上できる。
【0030】
第5の発明では、口腔内の洗浄・除菌に利用された洗浄水を吸引部(41)より口腔の外部へ排出できる。このため、口腔内に溜まった洗浄水が口から溢れ出ることを回避できる。
【0031】
第6の発明では、口腔内への洗浄水の給水動作と、口腔内からの洗浄水の排水動作とを交互に行うようにしている。これにより、口腔内の洗浄水を順次入れ替えることができるので、口腔内の洗浄・除菌効果を更に向上できる。また、本発明では、給水動作と排水動作とを同時に行うことで、口腔内の洗浄水が過剰となるのを防止できる。
【0032】
第7の発明では、電極対(51,52)のうちの一方だけを絶縁性の容器状の電流密度集中部材(55)で覆い、開口(58)によって電流経路を絞っている。このため、開口(58)の近傍での電流密度を上昇させることができ、ストリーマ放電を安定させて過酸化水素を生成することができる。
【0033】
第8の発明では、給水路(30)に中継タンク(80)を設けることにより、他の種類の洗浄水を中継タンク(80)に付与し、この洗浄水を放出部(30,90,95)へ供給することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施形態1に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す概略の斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】図3は、放電ユニットの拡大した概略構成図である。
【図4】図4は、絶縁ケースの上面図である。
【図5】図5は、実施形態2に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す概略の斜視図である。
【図6】図6は、実施形態2に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す構成図である。
【図7】図7は、変形例1に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す概略の斜視図である。
【図8】図8は、変形例2に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す概略の斜視図である。
【図9】図9は、変形例3に係る口腔洗浄装置の全体構成を示す概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0036】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る口腔洗浄装置(10)は、使用者の口腔内を洗浄することにより、口腔内の洗浄・除菌を行うものである。本実施形態の口腔洗浄装置(10)は、口腔内へ供給される洗浄水として、過酸化水素(H)を含む洗浄水が用いられる。
【0037】
<口腔洗浄装置の全体構成>
口腔洗浄装置(10)の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。口腔洗浄装置(10)は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)に収容される洗浄水生成タンク(20)及び排出水タンク(25)とを備えている。
【0038】
ケーシング(11)は、前後に扁平な中空の箱形容器で構成されている。ケーシング(11)は、ポリフェニレンオキサイド等のポリエーテル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリアセタール;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ABS樹脂、ハイインパクト・スチロール等のスチレン系樹脂;ポリ−2−メチルペンテン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂から選ばれる不透明もしくは着色により不透明化された樹脂から形成される。
【0039】
ケーシング(11)の前面(12)には、口腔洗浄装置(10)を操作するための操作パネル(13)が設けられている。操作パネル(13)には、主電源のON/OFFスイッチや操作スイッチが設けられている(図示省略)。
【0040】
洗浄水生成タンク(20)には、口腔内へ供給される洗浄水が貯留される。洗浄水生成タンク(20)は、縦長の中空円筒状に形成されている。洗浄水生成タンク(20)の頂部(21)には、水道水を洗浄水生成タンク(20)へ補給するための給水口(22)が形成されている。排出水タンク(25)には、口腔内から排出された排出水が貯留される。排出水タンクは、縦長の中空円筒状に形成されいている。
【0041】
口腔洗浄装置(10)は、口腔内へ洗浄水を供給するための給水機構(30)を備えている。給水機構(30)は、給水チューブ(31)、給水ポンプ(32)、及びブラシユニット(33)を有している。
【0042】
給水チューブ(31)は、洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水が流れる給水路を構成している。給水チューブ(31)は、可撓性を有するチューブであり、例えばフッ素樹脂系、あるいはシリコン系の材料で構成されている。給水チューブ(31)の一端部(流入端部)は、洗浄水生成タンク(20)の外周壁(23)のうち底部(24)寄りの部位に接続している。給水チューブ(31)は、洗浄水生成タンク(20)の外周壁(23)を貫通して洗浄水生成タンク(20)の内部と連通している。
【0043】
給水ポンプ(32)(図1においては図示省略)は、給水チューブ(31)の途中に設けられている。給水ポンプ(32)は、洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水を給水チューブ(31)を経由してブラシユニット(33)へ搬送するための搬送部を構成している。
【0044】
ブラシユニット(33)は、給水チューブ(31)の流出端に接続されている。ブラシユニット(33)は、口腔内へ洗浄水を放出する放出部を構成している。ブラシユニット(33)は、本体部(34)と、本体部(34)の表面に形成されるブラシ部(35)とを有している。本体部(34)には、給水チューブ(31)と連通する複数の流出口(36)が形成されている。この流出口(36)を通じて、口腔内へ洗浄水が供給される。ブラシ部(35)は、複数の繊維が本体部(34)に植毛されて形成されている。ブラシ部(35)は、口腔の内面や歯等を磨くために用いられる。
【0045】
口腔洗浄装置(10)は、口腔内へ供給された洗浄水を排出水として口腔の外部へ排出する排水機構(40)を備えている。排水機構(40)は、吸引部(41)、排水チューブ(42)、空気吸引管(43)、及び空気ポンプ(44)を有している。
【0046】
吸引部(41)には、排水チューブ(42)と連通する複数の吸引口(45)が形成されている。この吸引口(45)を通じて口腔内の洗浄水が外部へ排出される。
【0047】
排水チューブ(42)は、口腔内から流出した排出水が流れる排水路を構成している。排水チューブ(42)は、好ましくは熱可塑性樹脂で可撓性を有するチューブであり、例えばフッ素樹脂系、あるいはシリコン系の材料で構成されている。排水チューブ(42)の一端部(流入端部)は、吸引部(41)に接続している。排水チューブ(42)の他端部(流出端部)は、排出水タンク(25)の頂部(26)に接続している。排水チューブ(42)は、排出水タンク(25)の頂部(26)を貫通して、排出水タンク(25)の内部と連通している。
【0048】
空気吸引管(43)は、排出水タンク(25)の頂部(26)に接続している。空気吸引管(43)は、排出水タンク(25)の頂部(26)を貫通して排出水タンク(25)の内部に連通している。排出水タンク(25)の内部では、空気吸引管(43)の始端の開口の高さが、排出水タンク(25)の頂部(26)寄りに位置している。
【0049】
空気ポンプ(44)は、空気吸引管(43)に接続している。空気ポンプ(44)は、排出水タンク(25)の内部の空気を吸引することで、排出水タンク(25)内を負圧とする空気抜き機構を構成している。排出水タンク(25)内が負圧となると、口腔内からの排出水が、吸引部(41)に吸引される。
【0050】
口腔洗浄装置(10)は、給水機構(30)と排水機構(40)とを制御する制御部(70)を備えている。具体的に、制御部(70)は、マイクロコンピュータなどのCPU、CPUにより実行される装置全体の制御プログラム、各種データを記憶するROM、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAM等を備えている。この制御部(70)は、タイマー設定部(71)とポンプ制御部(72)とを有している。
【0051】
タイマー設定部(71)には、例えば給水時間Tsと排水時間Tdとが設定される。給水時間Tsは、給水機構(30)によって口腔内へ洗浄水を供給する時間である。排水時間Tdは、排水機構(40)によって口腔内から洗浄水を排出する時間である。給水時間Ts及び排水時間Tdは、例えば数秒程度に設定される。
【0052】
ポンプ制御部(72)は、給水時間Ts及び排水時間Tdに基づいて、給水ポンプ(32)と空気ポンプ(44)のON/OFFの制御を行う。より詳細に、本実施形態のポンプ制御部(72)は、給水時間Ts及び排水時間Tdに基づいて、給水ポンプ(32)と空気ポンプ(44)とを交互に運転させる制御を行う。つまり、口腔洗浄装置(10)では、給水ポンプ(32)の運転の開始の時点から給水時間Tsが経過すると、給水ポンプ(32)が停止すると同時に空気ポンプ(44)が運転される。そして、空気ポンプ(44)の運転の開始の時点から排水時間Tdが経過すると、空気ポンプ(44)が停止すると同時に給水ポンプ(32)が再び運転される。これにより、口腔洗浄装置(10)では、口腔内への洗浄水の給水動作と、口腔内からの洗浄水の排水動作とが、タイマー設定部(71)に設定された時間毎に、交互に行われる。
【0053】
<放電ユニットの構成>
図3及び図4に示すように、口腔洗浄装置(10)は、洗浄水生成タンク(20)の水中内でストリーマ放電を行うための放電発生機(50)を備えている。放電発生機(50)は、放電ユニット(50a)と直流電源(65)とを有している。放電ユニット(50a)は、洗浄水生成タンク(20)内の底部寄りに設けられている。放電ユニット(50a)は、電極対(51,52)と、絶縁ケース(55)、及びアースカバー(60)を有している。
【0054】
電極対(51,52)は、放電電極(51)と対向電極(52)とで構成されている。放電電極(51)は、板状の電極であり、対向電極(52)は、複数の孔(53)が形成されたメッシュ状の電極である。なお、対向電極(52)を放電電極(51)と同様に板状に形成してもよい。放電電極(51)と対向電極(52)とは、各々が水平な姿勢で保持されながら、互いに平行となるように対向している。放電電極(51)は、直流電源(65)の正極に接続し、対向電極(52)は、直流電源(65)の負極に接続している。直流電源(65)から電極対(51,52)に電圧が印加されると、両電極(51,52)の間でストリーマ放電が行われる。これにより、水中では、水酸化ラジカル等の活性種が生成され、ひいては過酸化水素が生成される。なお、対向電極(52)には、複数の孔(53)が形成されているため、生成された過酸化水素の拡散が促される。
【0055】
絶縁ケース(55)は、洗浄水生成タンク(20)の底部(24)に設置されている。絶縁ケース(55)は、セラミック等の絶縁材料からなる絶縁部材である。絶縁ケース(55)は、絶縁性の容器状に形成され、上記電極対(51,52)のうちの一方の電極(51)だけを囲むように配置されている。具体的に、絶縁ケース(55)は、容器部材(56)と蓋部材(57)とを有している。容器部材(56)は、一側面(上面)が開放された箱状に形成されている。容器部材(56)の底面には、放電電極(51)が水平な状態で敷設される。蓋部材(57)は、容器部材(56)の上方の開放面を閉塞している。
【0056】
蓋部材(57)には、該蓋部材(57)を上下に貫通する複数の開口(58)が形成されている。即ち、絶縁ケース(55)では、上側(対向電極(52)が設けられる側)に複数の開口(58)が形成されている。本実施形態では、5つの開口(58)が等間隔を置いて配列されている。なお、この開口(58)の数量は単なる例示であり、少なくとも1つの開口(58)が形成されるのであれば、如何なる数量であってもよい。各開口(58)は、円形状に形成されている。なお、各開口(58)の開口幅(口径)Wは、0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0057】
放電電極(51)は、絶縁ケース(55)に囲まれる一方、複数の開口(58)を通じて対向電極(52)側への放電が許容される。これにより、絶縁ケース(55)は、電極対(51,52)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部材として機能する。即ち、放電電極(51)は、絶縁ケース(55)で覆われる一方、ストリーマ放電時の電流経路が上記複数の開口(58)によって絞られる。このため、各開口(58)の近傍では、電流密度が増大する。これにより、ストリーマ放電時における活性種の生成量、ひいては過酸化水素の生成量が多くなる。
【0058】
また、絶縁ケース(55)の内部では、放電電極(51)と蓋部材(57)との間に所定の間隔が確保されている。これにより、蓋部材(57)の耐久性が向上する。即ち、放電電極(51)と蓋部材(57)とを密着させる構造とすると、放電に伴うジュール熱によって蓋部材(57)が溶融、あるいは劣化し易くなる。これに対し、放電電極(51)と蓋部材(57)との間に所定の間隔を確保すると、蓋部材(57)の急激な温度上昇を抑制できる。その結果、放電に伴う蓋部材(57)の溶融や劣化が抑制される。
【0059】
アースカバー(60)は、放電電極(51)と対向電極(52)と絶縁部材(55)とを収容している。アースカバー(60)は、接地された金属製の網状のカバーである。これにより、放電電流が、アースカバー(60)の外部を流れることが抑制されている。また、アースカバー(60)は、網状であるため、アースカバー(60)の内部で生成された過酸化水素は、アースカバー(60)の外側まで拡散する。
【0060】
直流電源(65)は、電極対(51,52)に高圧の直流電圧を印加する電源部を構成している。直流電源(65)の電源電圧は、数キロボルト以下(例えば7kV以下)に設定されている。このように、電源部を直流電源(65)とすることで、例えばパルス状の電圧を印加するパルス電源と比較して、電源部の簡素化、小型化、低コスト化を図ることができる。また、パルス電源であれば、放電に伴って水中内で衝撃波や騒音が生じやすいのに対し、電源部を直流電源(65)とすれば、このような衝撃波は騒音の生成も抑制できる。
【0061】
一方、直流電源(65)は、パルス電源のように瞬時的に大電圧を印加するものではないため、電極対(51,52)の間での漏れ電流が大きくなり易い。しかしながら、放電電極(51)を絶縁部材(55)で覆うことで、この漏れ電流が抑制され、開口(58)の電流経路の電流密度が上昇される。また、この開口(58)内では、電流密度の上昇に起因してジュール熱が発生するため、開口(58)内の水が気化されて気泡が発生する。この気泡は、電極対(51,52)の間の漏れ電流を抑制する抵抗として機能する。以上により、本実施形態の放電発生機(50)では、電極対(51,52)の間の漏れ電流が最小限に抑えられる。その結果、電極対(51,52)の間では、所望とする電位差が確保されてストリーマ放電が行われる。なお、このストリーマ放電は、開口(58)の近傍に形成された気泡内で行われる。
【0062】
また、放電発生機(50)には、ストリーマ放電時の放電電力を一定に制御する定電力制御部(図示省略)が設けられている。このような定電力制御を行うと、運転条件等の影響により洗浄水の導電率が変化しても、一定の放電電力でストリーマ放電を行うことができる。従って、導電率が比較的高い条件下において、放電電力が大きくなり過ぎて消費電力が大きくなってしまうことを回避できる。また、導電率が比較的低い条件下において、放電電力が小さくなり過ぎて、過酸化水素の生成量が小さくなり過ぎることを回避できる。
【0063】
−運転動作−
口腔洗浄装置(10)の運転動作について説明する。口腔洗浄装置(10)の運転が開始されると、直流電源(65)から電極対(51,52)に電圧が印加される。これにより、放電電極(51)から対向電極(52)に向かってストリーマ放電が進展する。この際、電極対(51,52)の間では、絶縁ケース(55)の開口(58)によって放電経路が絞られるため、開口(58)の近傍の電流密度が集中する。これにより、洗浄水生成タンク(20)内の水中では、高濃度の活性種を生成することができる。
【0064】
洗浄水生成タンク(20)において、水酸化ラジカル等の活性種が生成すると、この活性種が水分子と反応して過酸化水素が生成される。その結果、洗浄水生成タンク(20)内では、所望とする過酸化水素濃度の洗浄水が得られる。なお、洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水の過酸化水素濃度の調整は、例えば洗浄水の過酸化水素水濃度をセンサで検出し、検出された過酸化水素濃度が所定の目標値に近づくように直流電源(65)をON/OFFさせたり、直流電源(65)から電極対(52,53)への出力電力を制御したりすることで行われる。
【0065】
このような状態で、給水ポンプ(32)が起動して給水動作が開始されると、洗浄水生成タンク(20)内の洗浄水は、給水チューブ(31)を経由してブラシユニット(33)へ供給される。ブラシユニット(33)へ供給された洗浄水は、本体部(34)の流出口(36)より口腔内へ放出される。これにより、口腔内が湿潤状態となりながら、口腔内の洗浄・除菌(より具体的には、口腔の内面で形成されたバイオフィルムの分解)がなされる。
【0066】
給水動作が開始してから、所定時間(給水時間Ts)が経過すると、給水ポンプ(32)が停止する。同時に、空気ポンプ(44)が起動して排水動作が開始される。排水動作では、口腔内の洗浄・除菌に利用された洗浄水が、排出水として吸引部(41)の吸引口(45)に吸い込まれる。この排出水は、排出チューブ(42)を経由して排出水タンク(25)に流出し、排出水タンク(25)内に貯留される。排水動作が開始してから、所定時間(排水時間Td)が経過すると、空気ポンプ(44)が停止すると同時に給水ポンプ(32)が運転される。以上のようにして、口腔洗浄装置(10)では、使用者の口腔内へ洗浄水を供給する動作と、使用者の口腔内から洗浄水を外部へ排出する動作とが交互に実行される。
【0067】
−実施形態1の効果−
実施形態1では、洗浄水生成タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成するようにしている。このため、洗浄水生成タンク(20)内に過酸化水素水を適宜補充する必要がなく、自動的に過酸化水素を含む洗浄水を得ることができる。また、ストリーマ放電では、例えば電気分解の方式と比較すると、過酸化水素の生成速度が極めて高い。具体的には、実施形態1のストリーマ放電では、電気分解の方式と比較して、約10倍程度の過酸化水素の生成速度が得られる。従って、実施形態1では、短時間で多量の過酸化水素を発生でき、口腔内の洗浄・除菌効果を向上できる。
【0068】
実施形態1では、放電発生機(50)の電源部として直流電源(65)を用いている。このため、パルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。また、パルス電源を用いると、放電に伴って水中で発生する衝撃波や騒音が大きくなってしまう。これに対し、直流電源(65)を用いると、このような衝撃波や騒音も低減できる。
【0069】
実施形態1では、放出部として、ブラシ部(35)を有するブラシユニット(33)を用いている。このため、このブラシ部(35)を使って口腔の内面に付着したバイオフィルムや歯垢等を取り除くことができる。
【0070】
実施形態1では、口腔内へ洗浄水を供給する給水動作と、口腔内の洗浄水を排出する排水動作とを交互に行っている。このため、口腔内の洗浄水を順次入れ替えることができるので、口腔内の洗浄・除菌効果を更に向上できる。また、排水動作を行うことで、口腔内に溜まった洗浄水が口から溢れ出ることも回避できる。
【0071】
実施形態1では、放電電極(51)の一部が開口(58)を通じて外部に露出するように絶縁ケース(55)を配設している。このため、放電電極(51)と対向電極(52)との電流経路は、蓋部材(57)の開口(58)によって絞られる。その結果、開口(58)の近傍では、電流密度が集中されるため、ストリーマ放電の安定化が図られる。これにより、洗浄水生成タンク(20)では、安定的に過酸化水素を生成することができる。
【0072】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る口腔洗浄装置(10)は、上記実施形態1の口腔洗浄装置(10)において、中継タンク(80)を付加したものである。より具体的に、図5及び図6に示す実施形態2の給水機構(30)では、洗浄水生成タンク(20)側からブラシユニット(33)側へ向かって順に、中継流路(37)、中継タンク(80)、給水チューブ(31)が接続されている。
【0073】
中継流路(37)の一端部(流入端部)は、洗浄水生成タンク(20)の外周壁(23)を貫通して、洗浄水生成タンク(20)の内部と連通している。中継流路(37)の他端部(流出端部)は、中継タンク(80)の頂部(81)を貫通して中継タンク(80)の内部と連通している。中継タンク(80)の外周壁(82)には、上記実施形態1と同様の給水チューブ(31)が接続している。中継流路(37)には、中継ポンプ(38)が接続され、給水チューブ(31)には、給水ポンプ(32)が接続される。実施形態2の給水ポンプ(32)には、所定の洗浄水が供給される洗浄水供給ライン(83)にも接続されている。洗浄水供給ライン(83)からは、洗浄水生成タンク(20)で生成される洗浄水とは、異なる種類の洗浄水が供給される。
【0074】
具体的に、洗浄水供給ライン(83)から中継タンク(80)に添加される洗浄剤としては、グルコン酸ヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、アズレンスルホン酸ナトリウム等の薬剤や、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メントール、ハッカ油、ペパーミント油等の精油類、ハチミツ、ヒアルロン酸、キサントン誘導体含有組成物、緑茶抽出物等があげられる。これらは、抗菌効果、口臭防止効果、抗炎症効果が期待される成分で、過酸化水素との併用効果も期待できる。
【0075】
実施形態2の口腔洗浄装置(10)では、中継ポンプ(38)が適宜運転されることで、洗浄水生成タンク(20)の洗浄水が中継ポンプ(38)を流れ、中継タンク(80)内へ適宜供給される。また、実施形態2では、洗浄水供給ライン(83)から、他の種類の洗浄水も適宜供給可能となっている。
【0076】
それ以外の動作は、上記実施形態1と同様である。即ち、給水動作では、中継タンク(80)内の洗浄水が、給水チューブ(31)を経由してブラシユニット(33)へ搬送され、このブラシユニット(33)から口腔内へ洗浄水が放出される。給水動作が終了すると、排水動作が行われ、口腔内の洗浄水が排水チューブ(42)を経由して排出水タンク(25)に回収される。
【0077】
−実施形態2の効果−
実施形態2においても、実施形態1と同様、洗浄水生成タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成するようにしている。このため、洗浄水生成タンク(20)内に過酸化水素水を適宜補充する必要がなく、自動的に過酸化水素を含む洗浄水を得ることができる。また、ストリーマ放電によって、極めて速い生成速度で過酸化水素を得ることができる。
【0078】
実施形態2では、洗浄水生成タンク(20)とブラシユニット(33)の間に中継タンク(80)を設けている。このため、口腔内へ供給される洗浄水の量を充分に確保でき、口腔内へ安定的に洗浄水を供給できる。
【0079】
《その他の実施形態》
上述した実施形態1や2においては、以下のような他の構成とすることもできる。
【0080】
〈放出部及び排出部の構成〉
上述した各実施形態では、口腔内へ洗浄水を放出する放出部として、ブラシユニット(33)を用いているが、放出部として他の構成を採用してもよい。
【0081】
図7に示す例(変形例1)は、口腔内へ洗浄水を放出する放出部として、マウスピース(90)が用いられている。マウスピース(90)は、歯肉に密着するような形状に形成され、且つ給水チューブ(31)と連通する複数の流出口(91)が形成されている。この変形例1では、マウスピース(90)を口腔内に嵌め込むことで、歯肉側まで洗浄水を供給することができる。また、マウスピース(90)を強く噛むことで、口唇や顔面筋の強化を図ることもできる。
【0082】
図8に示す例(変形例2)は、口腔内へ洗浄水を放出する放出部として、噴霧部(95)が用いられている。噴霧部(95)からは、ミスト状の洗浄水が口腔内へ供給する。これにより、口腔内へは、比較的広範囲且つ比較的均一に洗浄水が供給される。その結果、口腔内の洗浄・除菌効果を向上できる。
【0083】
なお、上述した各放出部(33,90,95)は、給水チューブ(31)に対して着脱可能に取り付けられるのが好ましい。これにより、各放出部(33,90,95)を適宜交換することができるので、口腔の衛生を保てる。同様に、吸引部(41)も、排水チューブ(42)に対して着脱自在に取り付けられるのが好ましい。
【0084】
また、上述した放出部(33,90,95)と排出部(41)とは、別体に構成されているが、これらを一体としてユニット化してもよい。
【0085】
〈洗浄水の種類〉
上述した各実施形態では、洗浄水生成タンク(20)に水を補給し、洗浄水生成タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成している。しかしながら、洗浄水生成タンク(20)の水中に食塩水を添加するようにしてもよい。食塩水を含む洗浄水中でストリーマ放電を行うと、食塩を含む水(被電解水)が電気分解されて、次亜塩素酸(HClO)が生成される。この次亜塩素酸は、過酸化水素と比較として殺菌力が高いため、洗浄水による口腔内の除菌効果を更に向上できる。
【0086】
また、それ以外にも洗浄水中に刺激性の低い消毒剤を添加したり、口腔内の洗浄後の後味を改善するためのお茶成分(カテキン成分等)を添加したりしてもよい。
【0087】
〈給水動作及び排水動作〉
上述した各実施形態では、給水動作の終了と同時に排水動作を開始し、排水動作の終了と同時に給水動作を開始するようにして、給水動作と排水動作とを交互に行っている。しかしながら、給水動作と排水動作とを同時に行うようにしてもよい。また、排水機構(40)を省略した構成として、給水動作のみを実行するようしてもよい。この場合は、使用者が口腔内に溜まった洗浄水を適宜吐き出すようにすればよい。
【0088】
〈過酸化水素水の生成〉
上述した各実施形態では、過酸化水素センサの検出値が目標値に近づくように、ストリーマ放電の制御を行い、所望とする過酸化水素濃度の洗浄水を得るようにしている。しかしながら、過酸化水素センサを省略し、ストリーマ放電を所定の設定時間だけ行うようにしてもよい。なお、この設定時間は、所望とする過酸化水素濃度の洗浄水を得るよう経験的に求められた時間であり、例えば水道水の補給量に応じて変化する値であってもよい。
【0089】
〈放電ユニットの構成>
上述した各実施形態では、ストリーマ放電の放電電力を一定に制御する定電力制御部を用いている。しかしながら、定電力制御部に代えて、ストリーマ放電時の放電電流を一定に制御する定電流制御部を設けることもできる。この定電流制御を行うと、洗浄水の導電率によらず放電が安定するため、スパークの発生も未然に回避できる。
【0090】
また、上述した各実施形態では、直流電源(65)の正極に放電電極(51)を接続し、直流電源(65)の負極に対向電極(52)を接続している。しかしながら、直流電源(65)の負極に放電電極(51)を接続し、直流電源(65)の正極に対向電極(52)を接続することで、両電極(51,52)の間でいわゆるマイナス放電を行うようにしてもよい。
【0091】
また、上述した各実施形態において、図9の例(変形例3)に示すように、絶縁性の蓋部材(57)と放電電極(51)とを接触させるように配置してもよい。この構成においても、蓋部材(57)の各開口(58)の近傍において、電流密度を集中させることができる。従って、ストリーマ放電が安定して行われ、過酸化水素の生成速度を促進できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明は、口腔内を洗浄する口腔洗浄装置について有用である。
【符号の説明】
【0093】
10 口腔洗浄装置
20 洗浄水生成タンク(タンク)
30 給水機構
31 給水チューブ(給水路)
32 給水ポンプ(搬送部)
33 ブラシユニット(放出部)
34 本体部
35 ブラシ部
36 流出口
40 排水機構
41 吸引部
50 放電発生機
50a 放電ユニット
51 放電電極(電極対)
52 対向電極(電極対)
55 絶縁ケース(電流密度集中部材)
56 容器部材
57 蓋部材
58 開口
65 直流電源(電源部)
70 制御部
90 マウスピース(放出部)
95 噴霧部(放出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内へ供給する洗浄水を生成・貯留する洗浄水生成タンク(20)と、
一端が洗浄水生成タンク(20)に接続される給水路(31)と、該洗浄水生成タンク(20)(20)内の洗浄水を上記給水路(31)へ搬送する搬送部(32)と、上記給水路(31)の流出端に接続されて上記洗浄水を口腔内へ放出する放出部(33,90,95)とを含む給水機構(30)と、
上記洗浄水生成タンク(20)内の水中でストリーマ放電を生起するための電極対(51,52)と、該電極対(51,52)に電圧を印加する電源部(65)とを有し、上記ストリーマ放電によって水中で過酸化水素を生成するように構成された放電発生機(50)とを備えていることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記電源部(65)は、上記電極対(51,52)に直流電圧を印加する直流電源(65)で構成され、
上記放電発生機(50)は、上記電極対(51,52)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部材(55)を備えていることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記放出部(33)は、上記洗浄水が放出される流出口(36)が形成される本体部(34)と、該本体部(34)の表面に形成されるブラシ部(35)とを含んでいることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項4】
請求項1乃至3において、
上記放出部(95)は、上記洗浄水を噴霧する噴霧部(95)を含んでいることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
上記口腔内の洗浄水を吸引して外部に排出する吸引部(41)を含む排水機構(40)を備えていることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記口腔内への上記洗浄水の給水動作と、該口腔内からの洗浄水の排水動作とが所定時間毎に交互に行われるように、又は上記給水動作と排水動作とが同時に行われるように、上記給水機構(30)と上記排水機構(40)とを制御する制御部(70)を備えていることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項7】
請求項2乃至6において、
上記電流密度集中部材(55)は、少なくとも1つの開口(58)が向けられた絶縁性の容器状に形成され、上記電極対(51,52)のうちの一方の電極(51)だけを囲むように配置されていることを特徴とする口腔洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、
上記給水機構(30)には、上記洗浄水生成タンク(20)と上記放出部(33,90,95)との間の給水路(31)に、中継タンク(80)が接続されていることを特徴とする口腔洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−61145(P2012−61145A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207970(P2010−207970)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)