説明

口金付高圧放電ランプ

【課題】構成が簡単で容易に実現しうる口金付高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】接続導体が外側エンベロープの外側に延在し、この外側エンベロープはガラスより成っており、この外側エンベロープは、ほぼ円筒状であるとともに小径部分を有し、前記小径部分は、前記外側エンベロープとランプ容器とを結合するように、前記外側エンベロープの一部分を加熱して軟化させ、この軟化部分を前記ランプ容器の頸状部の方向に押圧することにより形成され、前記外側エンベロープは、そのそれぞれの小径部分により前記ランプ容器の双方の頸状部と結合され、前記ランプ容器の放電空間の領域と前記外側エンベロープとの最小隙間が8mm以下であり、前記ランプ容器がその第1頸状部及び/又は前記外側エンベロープを以て前記口金に固着されているようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化可能な充填剤が収容され気密に封じられたランプ容器を有する光源であって、前記ランプ容器は、それぞれ封じ部を具え互いに対向している第1及び第2頸状部を有し、第1及び第2電流供給導体がそれぞれ前記封じ部を貫通して前記ランプ容器内に配置された一対の電極まで延在している当該光源と、
絶縁材料の口金であって、前記第1電流供給導体に接続された第1接点部材と、第2接点部材とを有する当該口金と、
前記ランプ容器の側方に沿って前記口金まで延在し、前記第2電流供給導体及び第2接点部材に接続されている接続導体と、
ほぼ同心的な管状外側エンベロープと、
を有している口金付高圧放電ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような口金付高圧放電ランプはドイツ連邦共和国特許出願公開第DE4112911号明細書に記載されており既知である。この既知のランプでは、外側エンベロープはランプ容器や接続導体をおおうドーム状のガラスであり、これが口金に取付けられている。この外側エンベロープの寸法、すなわちその幅や長さが大きく、点灯中温度が高くなる為に、この取付けには厳しい条件が課せられる。ランプの口金は合成樹脂から成っている為、外側エンベロープはまず最初に無機質のセメントによりセラミック体に固着される。このセメントの熱抵抗は実際に大きいも、このセメントの硬化温度も高くする必要がある。次に、このセラミック体が口金の合成樹脂部分に接合される。
【0003】
外側エンベロープが存在することによりランプの寿命が短くなるのを防止するために、口金には数個の通気孔があけられている。外側エンベロープはこれらの通気孔を介して周囲と連通しており、ランプ容器を冷却する対流が生じる。
【0004】
既知のランプは比較的重く、従ってその耐衝撃性及び耐振動性に対する問題を有し、しかも既知のランプの構造は比較的複雑である。上述したランプはビークルのヘッドランプとして用いることができる。
【0005】
同様なランプはオランダ国特許出願公開第9101280号明細書から既知である。この場合も口金に孔が存在し、外側エンベロープが周囲と連通している。外側エンベロープはリムを有し、このリムの周りを合成樹脂リングが把持し、このリングが合成樹脂の口金に超音波溶接されている。この溶接箇所の近くには基準スタッドが存在し、これらの基準スタッドは、ランプをヘッドランプとしてビークルに取付ける際にこのランプを正確に位置決めするためのものであり、従って変形させたり変位させたりしてはならない為、上述した溶接には注意力を要し、危険をともなう。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第DE3743612号明細書には、排気された外側エンベロープがランプ容器を真空気密に囲んでいるビークルヘッドランプとしての高圧放電ランプが開示されている。この外側エンベロープにつまみ封じ部を形成することによりランプの価格を可成り高める。又、ランプの全長も増大する。その理由は、ガラス部と金属部との間の線形熱膨脹の差を吸収する手段を外側エンベロープに存在させる必要がある為である。
【0007】
ビークルのヘッドランプとして機能するシールドビーム形高圧放電ランプは欧州特許出願公開第EP0374846号及び米国特許第4935668号明細書に開示されており既知であり、ランプは前者では軸線方向で、後者では軸線方向又は横方向で密封リフレクタ内に装着されている。ランプ容器はジャケットにより囲まれ、このジャケットが真空気密に封じられている。
【0008】
真空気密に封じられた外側エンベロープを有し、この外側エンベロープにより囲まれたランプ容器を懸垂する電流導体が口金から外部に導出されている高圧放電ランプは特開平3−233853号公報に開示されており既知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、構成が簡単で容易に実現しうる前述した種類の口金付高圧放電ランプを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、イオン化可能な充填剤が収容され気密に封じられたランプ容器を有する光源であって、前記ランプ容器は、それぞれ封じ部を具え互いに対向している第1及び第2頸状部を有し、第1及び第2電流供給導体がそれぞれ前記封じ部を貫通して前記ランプ容器内に配置された一対の電極まで延在している当該光源と、
絶縁材料の口金であって、前記第1電流供給導体に接続された第1接点部材と、第2接点部材とを有する当該口金と、
前記ランプ容器の側方に沿って前記口金まで延在し、前記第2電流供給導体及び第2接点部材に接続されている接続導体と、
ほぼ同心的な管状外側エンベロープと、
を有している口金付高圧放電ランプにおいて、
前記接続導体が前記外側エンベロープの外側に延在し、
この外側エンベロープはガラスより成っており、
この外側エンベロープは、ほぼ円筒状であるとともに小径部分を有し、前記小径部分は、前記外側エンベロープと前記ランプ容器とを結合するように、前記外側エンベロープの一部分を加熱して軟化させ、この軟化部分を前記ランプ容器の頸状部の方向に押圧することにより形成され、
前記外側エンベロープは、そのそれぞれの小径部分により前記ランプ容器の双方の頸状部と結合され、
前記ランプ容器の放電空間の領域と前記外側エンベロープとの最小隙間が8mm以下であり、
前記ランプ容器がその第1頸状部及び/又は前記外側エンベロープを以て前記口金に固着されていることを特徴とする。
【0011】
本発明による口金付高圧放電ランプの特徴的事項は、外側エンベロープが接続導体を囲むことなくランプ容器を囲んでいるということである。このようにした結果、外側エンベロープがランプ容器を、小さな値から極めて小さな値まで所望通りのすき間をあけて囲むようにすることができる。本発明によれば、外側エンベロープが細くなる結果外側エンベロープの質量が小さくなり、従って、衝撃や振動があった場合でも外側エンベロープを容易に適所に保持でき、従って耐衝撃性及び耐振動性が大きくなる。外側エンベロープの質量が小さくなる理由は、この外側エンベロープが細くなる為であるばかりではなく、外側エンベロープが比較的短くなる為である。その理由は、接続導体が外側エンベロープで囲まれておらず、従って接続導体と第2電流供給導体との間の接続部も外側エンベロープの外部に位置する為である。
【0012】
本発明の他の特徴的事項は、外側エンベロープをドーム状端部を以って封じする必要がなく、単に小径にするだけであるということである。この場合、くびれ部を容易に且つ高精度に得ることができる。
【0013】
本発明の第1の例では、前記の小径部分が第2電流供給導体を囲んでいるようにする。この小径部分は、この場合例えば、管を局部的に加熱して引き延ばしてくびれ部を形成することにより得られる。本発明のランプの外側エンベロープはこの第2電流供給導体を囲む気密封じ部を有する必要はない。従って、外側エンベロープはランプ容器とは別々に製造することができる。小径部分を貫通する第2電流供給導体は外側エンベロープを心出しし、この外側エンベロープを口金側とは反対側でランプ容器から分離させる。小径部分は第2電流供給導体を狭いすき間をあけて囲むも、第2電流供給導体の熱膨脹のための空間を依然として残し、温度が上昇した場合に外側エンベロープの不所望なひずみが生じるのを防止しうるようにすることができる。
【0014】
本発明の更に他の特徴的事項は、外側エンベロープが存在しない状態と比べて全く或いは殆ど異ならないようにランプを形成しうるということである。外側エンベロープは所望に応じ、この外側エンベロープのないランプに単に構成素子として加えうるようにすることができる。
【0015】
ランプ容器は口金とは反対側に電気接続部を有し、接続導体により外側エンベロープと一緒に機能的に支持されている。剛固性を必要通りに選択した接続導体はこれを第2電流供給導体に接続することにより、外側エンベロープがその長手方向に変位する可能性を制限する。この変位は反対方向では口金により制限される。口金は外側エンベロープを直接的に且つランプ容器及び接続導体を介して間接的に支持し、従って位置決めする。
【0016】
好適な変形例では、ランプ容器の長さ、外側エンベロープの長さ及び接続導体の長さに関する公差が増大するようにする。それにもかかわらず、この変形例では、外側エンベロープが軸線方向に変位するおそれを所望通りに制限する。この変形例では、第2電流供給導体が外側エンベロープの外側にこの外側エンベロープに対する衝合部材を有するようにする。通常の好ましい衝合部材は前記の第2電流供給導体を囲む金属套管の形態のものとし、この衝合部材上で接続導体を例えば溶接により第2電流供給導体に固着する。
【0017】
本例における外側エンベロープはその両端で支持されている為、この外側エンベロープを口金に剛固に固着させる必要はない。すなわち、外側エンベロープを口金の一部、例えば口金の縁部又は多数の突起部で囲むか或いは外側エンベロープが口金の一部を囲むようにすれば十分である。これらの手段により外側エンベロープを横方向及び長手方向に固定させることができる。
【0018】
第2電流供給導体と接続導体との間を接続する前に、外側エンベロープをランプ容器にかぶせることにより、外側エンベロープがランプ容器を囲むようにすることができる。次に、第2電流供給導体と接続導体との間の接続を行なって固着を達成し、この際場合に応じ衝合部材を設ける。
【0019】
がたがたする異常音を防止するためには、口金と外側エンベロープとが、又第2電流供給導体と外側エンベロープとが適切に共働するようにするのが好ましい。外側エンベロープ中の対流は必要でなく不所望である場合もある為、外側エンベロープは実際には殆どの場合密封させることができる。
【0020】
しかし、口金付高圧放電ランプの組立てに当っては少数の素子のみを互いに連結させるようにするのが有利である。好適な例では、本発明による口金付高圧放電ランプが、ランプ容器の頸状部に結合させた小径部分を有する外側エンベロープを具えるようにする。本例のランプの製造に当っては、ほぼ円筒状のガラス管をランプ容器にかぶせ、このガラス管の一部分を加熱してこの一部分を軟化させる。次に、この軟化部分をつぶし、すなわち工具により、頸状部の方向に押圧し、小径部分を形成する。このようにしてランプ容器との機械的な結合を達成する。この処理は気密で行なう必要はない。
【0021】
例えば、外側エンベロープを、第1頸状部の、一端が開放したほぼ円筒状の部分に押圧してつぶすことにより、外側エンベロープを第1頸状部に結合するのが好ましい。この場合、口金は、ランプ容器を固着させるために外側エンベロープを、又はランプ容器を、又はこれらの双方を押圧するようにしうる。機械的には、口金が頸状部よりも大きな直径を持つ外側エンベロープを押圧するようにするのが好ましい。或いはまた、小径部分が外側エンベロープを、第2頸状部に、例えばその一端が開放したほぼ円筒状の部分に結合させるようにすることができる。この場合、例えば前記の第1の例のように外側エンベロープを口金によって支持することもできる。
【0022】
他の好適例では、2つの頸状部の各々と共働する小径部分を設ける。この場合、光源及びその外側エンベロープが極めて頑状なユニットを構成する。種々に変更を加えた第2の例では、気密、溶融処理を行なうことなく良好な機械的結合を達成しうるという利点を得る。ランプ容器を封じる際このランプ容器を可成りの範囲に亘って局部的に軟化させる必要がある。この場合、実際には避ける必要のある変形がランプ容器に生じるおそれがある。外側エンベロープには空気を充填するのも有利である。このようにすることにより、外側エンベロープ中に他のガスを存在させるか外側エンベロープを真空にする場合に必要となる複雑な製造工程を回避できる。
【0023】
ランプ容器の最大温度を比較的低くするには、外側エンベロープが狭い間隔で、例えばあらゆる側で約0.1mm又はそれ以下のすき間をあけてランプ容器を囲むようにするのが好ましいということを確かめた。或いはまた、外側エンベロープのすき間を10分の数ミリメートルから数ミリメートル、例えば6mmの範囲とすることができる。約2mmまで、特に約1.5mmまでのすき間が好ましい。この場合、ランプの発光出力を外側エンベロープのないランプ又は通気孔のある外側エンベロープを有するランプに比べて高くなるということを確かめた。このような発光出力の増大は、例えばランプ容器の最大温度以外のファクタがランプの寿命を決定する場合に好ましいものとなる。
【0024】
外側エンベロープをほぼ円筒状にすることによる利点は、ランプ容器に結合する以前に外側エンベロープを整形する必要がないということである。放電空間を囲むランプ容器の最も幅広な部分からの外側エンベロープのすき間を小さくするということは、外側エンベロープをランプ容器に結合するのに外側エンベロープがほんのわずかの距離を橋絡する必要があるということを意味する。
【0025】
外側エンベロープは例えば石英ガラス又は溶融温度の高いその他のガラス、例えば95重量%以上のSiOを含むガラスから造ることができる。外側エンベロープは放射選択透過性とするか或いは外側エンベロープがこのような特性、例えばUV吸収、IR反射又は有色光透過特性の被膜を有するようにすることができる。
【0026】
本発明による高圧放電ランプは、キセノン、アルゴンのような希ガス又はこれら希ガスの混合ガスのイオン化可能な充填剤を、例えば室温で数ミリバールから数バールまでの圧力で有するようにしうる。この充填剤は更に水銀及びハロゲン化金属の双方又はいずれか一方をも有するようにしうる。本発明によるランプはビークルのヘッドランプとして用いることができるも、例えば水平位置、特に光学系、例えばリフレクタ中で同軸的とした水平位置以外の位置にする他の分野にも適している。
【0027】
口金は例えば合成樹脂例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリプロピレンオキシド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリブチレンテレフタレートの中から選択した樹脂のような熱可塑性樹脂から造ることができ、これにはチョーク又はガラスのような粉末又は繊維物質を加えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1に示す本発明の口金付高圧放電ランプは、イオン化可能な充填剤が収容され気密に封じられたランプ容器1′を有する光源1を具えており、このランプ容器は、それぞれ封じ部を具え互いに対向している第1及び第2頸状部2及び3を有し、第1及び第2電流供給導体4及び5がそれぞれ前記の封じ部を貫通してランプ容器の放電空間9内に配置されている一対の電極6に到達している。ランプ容器1′はその第1頸状部2を以って絶縁材料、例えば合成樹脂の口金30に固着されている。この目的のために欧州特許出願公開第0478058号(特開平4−233123号公報)に開示された手段を用いることができる。口金は、第1電流供給導体4に接続された第1接点部材35と、第2接点部材36とを有している。接続導体7はランプ容器1′の側方に沿って延在し、第2電流供給導体5及び第2接点部材36に接続されている。ランプ容器1′は、空気が充填されたほぼ同心的な管状外側エンベロープ20を有している。
【0029】
接続導体7は、ほぼ同筒形の外側エンベロープ20の外側に延在し、この外側エンベロープは光源1を囲む小径部分21を有する外側エンベロープ20の外側に延在している。
【0030】
第2電流供給導体5は外側エンベロープ20の外側でこの外側エンベロープに対する衝合部材22、図ではこの第2電流供給導体を挿通させた金属套管を有し、この衝合部材上で接続導体7との溶接が達成されている。
【0031】
図1の導体7は、ランプ容器1′の側方で例えばAl又はステアタイトより成る絶縁体8で囲まれている。或いはまた、導体7自体を絶縁体、例えばZrO又はAlで被覆したり、何も被覆しないようにすることもできる。合成樹脂の口金30は、リム32が設けられた絶縁材料、例えばセラミック材料の蓋31を有する。この蓋は、口金を局部的にすなわち、この口金におけるピン37を超音波変形することにより固着させる。外側エンベロープ20は一方では口金、すなわちその蓋により、他方では第2電流供給導体5及び衝合部材22により心出しされて適所に保持され、接続導体7により支持される。口金30は、リム39の内側の中心に位置する第1接点部材35と、リム39の外側に位置する環状の第2接点部材36とを有する。口金はスタッド38を有し、これらスタッドはコネクタと共働して差込結合を達成しうる。
【0032】
本発明の変形例を示す図2において、図1と同一部分には同じ符号を付してある。外側エンベロープ20′は図1の場合よりも大きなすき間をあけてランプ容器を囲んでいる。口金40はシェル43を有し、このシェルからケーブルが外部に導出される。このシェルは口金の第1接点部材45及び第2接点部材46を有する。口金の蓋41にはランプ容器に対向して溝42が形成されており、この溝内に、接続導体7と第2電流供給導体5との接続部により外側エンベロープ20′が挿入せしめられている。
【0033】
一具体例では、ランプ容器に水銀と希ガスとハロゲン化金属とのイオン化可能な充填剤、例えば水銀と沃化ナトリウム及び沃化スカンジウムとキセノン、例えば室温で7バールの圧力としたキセノンとのイオン化可能な充填剤を入れ、ランプ容器の最大外径を放電空間の領域で6mmとした。高圧放電ランプは点灯中35Wの電力を消費する。このランプには、壁厚が1mmで種々の内径(I.D.)のものから選択した石英ガラス外側エンベロープを設けた。この具体例のランプを定格電力で水平位置にして点灯させた。そして、光束(φ)とランプ容器の最大温度(Tmax )とを測定した。そして、外側エンベロープを有さない同様なランプ(Ex 0)と比較した。その結果を以下の表に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
上記の表は、水平点灯位置での最大温度、すなわち、電極を相互接続する仮想のラインよりも上側の温度と光束とは放電空間9の領域で外側エンベロープの内側にランプ容器1′が有するすき間(0.5×〔I.D.−6〕)に依存するということを示している。
【0036】
放電ランプEx 0に比べた放電ランプEx 1〜Ex 4における光束の増大は、最大温度の箇所よりも下側の箇所におけるランプ容器の最低温度を上昇せしめ、これによりランプ中の蒸気圧を高くすることによるものである。ランプEx 1及びEx 2におけるランプ容器の最大温度は、外側エンベロープ中の対流を可能とする手段を設けていないにもかかわらず、ほんのわずかしか上昇しない。この程度の温度上昇は例えば数千時間の中位の寿命を有するランプにとって欠点となるものではない。光束は、約2mm又はそれ以下の、特に1.5mm又はそれ以下の小さなすき間を有するランプの場合更に増大し(ランプEx 2及びEx 3を参照)、しかも最大温度は比較的低くなる。このことはランプ容器温度の均一化が高程度となることによる。すなわち、ランプ容器の上側部分における最大温度がランプ容器の下側部分における温度に比較的接近する。光束は外側エンベロープのない場合よりも約17%増大し、ランプ容器の熱的負荷はそれほど大きくならない。10分の数mmのすき間では(ランプEx 4)、最大温度が殆ど変化せずに光束が化成り増大する。すき間が極めて狭く、約0.1mm以下(ランプEx 5)の場合には、ランプEx 0の場合よりも温度が低くなって光束は変化しない。このランプは、寿命を比較的長くする必要のあるランプに有効である。光束が同じで最大温度Tmax が低くなることから明らかなように、このランプ中の温度が均一化され、冷却効果が高められたことが分る。
【0037】
図3の本発明放電ランプの例においても前述した例に対応する部分に同じ符号を付した。本例の場合、ほぼ円筒形の外側エンベロープ50がその小径部分52,51によりランプ容器1′の頸状部2,3にそれぞれ結合されている。これらの小径部分52,51はわずかな距離で頸状部2,3に橋絡するようにする必要がある。図3では、外側エンベロープ50が小径部分52より第1頸状部2の、一端が開放したほぼ円筒状の管状部2′に直接結合されているばかりではなく、小径部分51により第2頸状部3に直接結合されている。第1頸状部2には封じ部10が存在する。第2頸状部は同様な封じ部によりほぼ完全に占められており、小さな管状部3′のみを有する。第1頸状部2は封じ部10に続いて、一端が開放したほぼ円筒状の管状部を有し、この管状部上に金属套管53が固着され、この金属套管上で口金に対する固着を達成しうる。しかし、この套管を他の寸法とした場合には、外側エンベロープ50の周りを、或いは小径部分52を越えて延在させるこの外側エンベロープの管状延長部の周りをこの套管が把持するようにすることができる。
外側エンベロープと頸状部との結合を気密にしない場合には大気圧で、結合を気密に行なう場合には大気圧よりも低い圧力で且つ室温で空気を外側エンベロープ50の内側の空間に充填する。結合を達成するのに要するガラスの加熱中に空気が熱を吸収することにより、空気が膨脹する。結合が達成された後、空気は冷却され、大気圧よりも低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の放電ランプの一実施例をその一部を切欠して示す側面図である。
【図2】図1の変形例を示す側面図である。
【図3】本発明の放電ランプの他の実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 光源
1′ ランプ容器
2,3 頸状部
4,5 電流供給導体
6 電極
7 接続導体
8 絶縁体
9 放電空間
10 封じ部
20,20′,50 管状外側エンベロープ
21 小径部分
22 衝合部材
30,40 口金
31,41 蓋
32,39 リム
35,36,45,46 接点部材
37 ピン
38 スタッド
42 溝
43 シェル
51,52 小径部分
53 金属套管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化可能な充填剤が収容され気密に封じられたランプ容器を有する光源であって、前記ランプ容器は、それぞれ封じ部を具え互いに対向している第1及び第2頸状部を有し、第1及び第2電流供給導体がそれぞれ前記封じ部を貫通して前記ランプ容器内に配置された一対の電極まで延在している当該光源と、
絶縁材料の口金であって、前記第1電流供給導体に接続された第1接点部材と、第2接点部材とを有する当該口金と、
前記ランプ容器の側方に沿って前記口金まで延在し、前記第2電流供給導体及び第2接点部材に接続されている接続導体と、
ほぼ同心的な管状外側エンベロープと、
を有している口金付高圧放電ランプにおいて、
前記接続導体が前記外側エンベロープの外側に延在し、
この外側エンベロープはガラスより成っており、
この外側エンベロープは、ほぼ円筒状であるとともに小径部分を有し、前記小径部分は、前記外側エンベロープと前記ランプ容器とを結合するように、前記外側エンベロープの一部分を加熱して軟化させ、この軟化部分を前記ランプ容器の頸状部の方向に押圧することにより形成され、
前記外側エンベロープは、そのそれぞれの小径部分により前記ランプ容器の双方の頸状部と結合され、
前記ランプ容器の放電空間の領域と前記外側エンベロープとの最小隙間が8mm以下であり、
前記ランプ容器がその第1頸状部及び/又は前記外側エンベロープを以て前記口金に固着されていることを特徴とする口金付高圧放電ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の口金付高圧放電ランプにおいて、前記外側エンベロープに空気が充填されていることを特徴とする口金付高圧放電ランプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の口金付高圧放電ランプにおいて、前記外側エンベロープが、頸状部の、一端が開放したほぼ管状部に結合されていることを特徴とする口金付高圧放電ランプ。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の口金付高圧放電ランプにおいて、前記最小隙間が2mm以下であることを特徴とする口金付高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−149700(P2007−149700A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14912(P2007−14912)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【分割の表示】特願2005−276568(P2005−276568)の分割
【原出願日】平成5年5月10日(1993.5.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】