説明

古紙再生処理装置

【課題】装置の小型化を実現しつつ、白水の貯留能力を高めることで装置の停止を招く事態を防止できる古紙再生処理装置を提供する。
【解決手段】白水タンク部70は自己のタンクから給水対象の処理部であるパルパー部10および貯蔵タンク部20に至る循環水経路を有し、制御部1000は、運転停止処理モードで、パルパー部10から貯蔵タンク部20へパルプ懸濁液を供給する最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えて空状態となったパルパー部10に白水タンク部70から循環水経路を通して白水を移送し、パルパー部10に白水を貯留するとともに、白水タンク部70のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙の発生場所であるオフィス等に設置して紙を再生することができる古紙再生処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な製紙工場で古新聞紙等の一度使用した古紙を再生する製紙方法は、古紙パルプ工程、抄紙工程および仕上工程の各処理工程からなる。
古紙パルプ工程では、パルパーにおいて原料である古紙を水に溶解し、機械的な力や薬品を利用して紙繊維以外の異物である金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インク(染料系、顔料系)、コピートナーなどを分離、除去して後に、漂白処理、脱水、乾燥して古紙パルプを得る。
【0003】
抄紙工程では、抄紙機のワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパート、コーターパートを経て製品の紙とする。ワイヤーパートでは調製(再生)されたパルプを抄紙用の網(ワイヤー)に乗せて脱水して紙を抄き、プレスパートではワイヤーパートから出た水分を多く含んだ湿紙の水分を除去する。ドライヤーパートでは蒸気で加熱されたドライヤーに紙を通して乾燥させ、カレンダーパートではロール間に紙を通して表面の凹凸を平滑化し、コーターパートでは原紙に塗料を塗工する。
【0004】
仕上工程のスーパーカレンダーパートでは、コーターパートで塗工した紙面のミクロの凹凸を平滑化して光沢を出し、カッターおよびワインダーパートでは所定の製品寸法にカットし、あるいはロールに巻き取る。
【0005】
小型製紙機においては、処理工程毎に設けた処理部を有しており、複数の処理部で古紙再生処理系を構成している。この処理部には、再生原料を離解して再生パルプを調製するパルパー部、再生パルプを貯蔵する貯蔵タンク部、再生パルプを脱墨し、脱墨されたパルプ懸濁液を調製する脱墨部、脱墨されたパルプ懸濁液から湿紙を抄紙する抄紙部、湿紙を脱水乾燥させる脱水乾燥部、抄紙部から排出する白水を貯留する白水タンク部、排水を処理する排水処理タンク部がある。白水タンク部および排水処理タンク部には、受水対象の処理部から受水経路を通して自己のタンクに白水または排水が流入する。
【0006】
特許文献1には、古紙再生処理装置が記載されている。これは、古紙の裁断紙片を離解して再生パルプを調製する第1再生パルプ部と、再生パルプを漂白して脱墨されたパルプ懸濁液を調製する脱墨パルプ部と、脱墨されたパルプ懸濁液を抄紙して再生紙を調製する抄紙部と、抄紙部で調製した再生紙を所定サイズにカットする仕上げ部と、仕上げ部で生じる余剰紙片を再生パルプに戻す第2再生パルプ部を一体的に備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−299231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
小型製紙機において、通常の運転中には、白水タンク部および排水処理タンク部に、受水対象の処理部から受水経路を通して白水または排水が流入し、白水タンク部の白水はパルパー部や脱墨部に返送して再利用している。
【0009】
しかしながら、運転の終了期においては、最終回のパルパー部の運転が終了すると白水がパルパー部へ返送されなくなり、次に脱墨部の運転が終了すると白水が脱墨部へ返送されなくなり、白水タンク部に貯留する白水の貯留量が次第に増加する。
【0010】
ところで、小型製紙機では、装置を小型化するために排水処理装置およびその他の機構を小型仕様に構成している。そのため、排水処理タンク部も小型化されており、排水の貯留容量も少なく、排水を処理する処理能力も低いものであり、排水の処理に時間を要する。
【0011】
このため、白水タンク部に貯留する白水の貯留量が増加しても白水タンク部から排水処理タンク部へ供給する供給量を増加させることができない。したがって、白水タンク部へ流入する流入量が排水処理能力を超える場合には、白水タンク部に貯留する白水の貯留量が次第に増加し、最後には白水タンク部から白水がオーバーフローする危険があり、装置の運転を途中で停止させねばならなくなる。
【0012】
しかしながら、排水処理タンク部および白水タンク部のタンク容量を増加させることは、装置を小型化する課題と二律背反することになる。
本発明は上記した課題を解決するものであり、装置の小型化を実現しつつ、白水の貯留能力を高めることで装置の停止を招く事態を防止できる古紙再生処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成するパルパー部、貯蔵タンク部、抄紙部、白水タンク部の各処理部とこれらの処理部を制御する制御部を備え、パルパー部で調製したパルプ懸濁液が貯蔵タンク部、抄紙部へ順次に流れ、抄紙部から排出する白水が白水タンク部へ流入する古紙再生処理装置において、白水タンク部は自己のタンクから給水対象の処理部であるパルパー部および貯蔵タンク部に至る循環水経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで行う白水移送制御として、パルパー部から貯蔵タンク部へパルプ懸濁液を供給する最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えて空状態となったパルパー部に白水タンク部から循環水経路を通して白水を移送し、パルパー部に白水を貯留するとともに、白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させることを特徴とする。
【0014】
本発明の古紙再生処理装置において、古紙再生処理系を構成する処理部の一つに脱墨部を備え、パルパー部で調製したパルプ懸濁液が貯蔵タンク部、脱墨部、抄紙部へ順次に流れ、制御部は、運転停止処理モードで行う白水移送制御として、貯蔵タンク部から脱墨部へパルプ懸濁液を供給する最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えて空状態となった貯蔵タンク部に白水タンク部から白水を移送し、貯蔵タンク部に白水を貯留するとともに、白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させることを特徴とする。
【0015】
本発明の古紙再生処理装置において、古紙再生処理系を構成する処理部の一つに脱墨部を備え、パルパー部で調製したパルプ懸濁液が貯蔵タンク部、脱墨部、抄紙部へ順次に流れ、制御部は、運転停止処理モードで行う白水移送制御として、貯蔵タンク部から脱墨部へパルプ懸濁液を供給する最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えて空状態となった貯蔵タンク部にパルパー部から白水を移送し、貯蔵タンク部に白水を貯留するとともに、パルパー部内の空き容量を増加させることを特徴とする。
【0016】
本発明の古紙再生処理装置において、制御部は、運転停止処理モードで、パルパー部が空状態であることと、白水タンク部の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水移送制御を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の古紙再生処理装置において、制御部は、運転停止処理モードで、白水移送制御中に古紙再生処理系がエラー停止した場合には白水移送制御を中断し、エラー解除後に古紙再生処理系が再稼動した場合には中断していた白水移送制御を再開することを特徴とする。
【0018】
本発明の古紙再生処理装置において、古紙再生処理系内にサブタンクを有し、白水タンク部は自己のタンクからサブタンクに至る廃水排出経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで、パルパー部のパルパー部懸濁液配送工程が未完了状態であることと、白水タンク部の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水タンク部からサブタンクに廃水排出経路を通して白水を移送して白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の古紙再生処理装置において、古紙再生処理系内にサブタンクを有し、白水タンク部は自己のタンクからサブタンクに至る廃水排出経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで、パルパー部の白水貯溜量が上限水位に達したこと、貯蔵タンク部の貯蔵タンク部懸濁液配送工程が未完了状態であることと、白水タンク部の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水タンク部からサブタンクに廃水排出経路を通して白水を移送して白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の古紙再生処理装置において、古紙再生処理系を構成する処理部の一つに排水処理タンク部を備え、排水処理タンク部がサブタンクを有することを特徴とする。
本発明の古紙再生処理装置において、パルパー部および貯蔵タンク部は自己のタンクから排水処理タンク部に至る廃水排出経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで、抄紙部が最後の抄紙工程を終えた後に、パルパー部もしくは貯蔵タンク部から白水を排水処理タンク部に移送する白水移送制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、制御部が運転停止処理モードにおいて、パルパー部から貯蔵タンク部へパルプ懸濁液を供給する最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えて空状態となったパルパー部に白水タンク部から白水を移送し、パルパー部に白水を貯留するとともに、白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行うことで、装置の小型化を実現しつつ白水の貯留能力を高め、装置の停止を招く事態を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における古紙再生処理装置を示すブロック図
【図2】同実施の形態における古紙再生処理装置を示す模式図
【図3】同実施の形態における濾過脱水装置を示す概略図
【図4】同実施の形態における濾過脱水装置を示す平面図
【図5】同実施の形態における移送操作手順を示す模式図
【図6】同実施の形態における移送操作手順を示す模式図
【図7】本発明の他の実施の形態における移送操作手順を示す模式図
【図8】本発明の他の実施の形態における古紙再生処理装置を示すブロック図
【図9】本発明の他の実施の形態における古紙再生処理装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施例1
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2において、古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成する複数の処理部を有しており、処理部にはパルパー部10、貯蔵タンク部20、脱墨部30、抄紙部40、脱水乾燥部50、排水処理タンク部60、白水タンク部70があり、各処理部を制御する制御部1000を備えている。各処理部には水位計等の各種のセンサ手段を設けており、制御部1000はセンサ手段により各処理部の運転状態を検知しながら各部の制御を行う。
【0024】
パルパー部10は、紙片を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を調製するものであり、パルパー槽11と、パルパー槽11の内部に設けた攪拌装置12を有している。パルパー部10は第1チューブポンプ101を有する第1再生パルプ供給系102を介して貯蔵タンク部20に接続している。
【0025】
貯蔵タンク部20は、パルパー部10で得られたパルプ懸濁液を貯留する貯蔵タンク21と、貯蔵タンク21の内部に配置した攪拌装置22を有しており、第2チューブポンプ201を有する第2再生パルプ供給系202を介して脱墨部30に接続している。
【0026】
脱墨部30は、貯蔵タンク部20から送られるパルプ懸濁液を脱墨し、脱墨されたパルプ懸濁液を調製するものであり、蛇行した流路をなす脱墨槽31と、脱墨槽31の下部から多数の気泡を放出する散気装置(図示省略)と、脱墨槽31を囲む受泡槽32を備えている。脱墨部30は第3チューブポンプ301を有する第3再生パルプ供給系302を介して抄紙部40に接続している。
【0027】
抄紙部40は、脱墨されたパルプ懸濁液から湿紙を抄紙するものであり、複数のローラ41に巻回されたメッシュ状のベルトからなる抄紙ワイヤー42と、脱墨されたパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー42上に供給するヘッドボックス43を有している。
【0028】
脱水乾燥部50は、湿紙を脱水する脱水部51と脱水した湿紙を乾燥させる乾燥部55からなる。脱水部51は、複数のローラ52に巻回したフェルトの吸水ベルト53からなり、湿紙が抄紙ワイヤー42から吸水ベルト53に転移し、吸水ベルト53が湿紙を吸収脱水する。乾燥部55は、加熱装置を内蔵した乾燥ローラ56と複数のローラ57とに巻回した金属製の搬送ベルト58からなる。
【0029】
排水処理タンク部60は、脱墨部30から流入する脱墨廃液を処理するものであり、濾過脱水装置61と、濾過処理装置62と、排水循環タンク63と、ごみ箱64とを備えている。
【0030】
濾過脱水装置61は、フィルター(メッシュベルト)で繊維、トナーを除去するものであり、受泡槽32から脱墨廃液系303が接続している。その詳細は後述する。
濾過処理装置62は、凝集処理工程を含み、薬剤の添加により中性化して公共下水の下水配管へ排水可能な水質にまで処理するものであり、凝集処理槽65と凝集処理槽65の内部に配置した凝集攪拌装置66を有している。
【0031】
凝集攪拌装置66の攪拌羽根の回転数は排水を泡立てない程度、すなわちキャビテーションが起こらない程度とし、例えば攪拌羽根の直径が315mmで、凝集処理槽65容量が15Lの場合には約60rpmとする。攪拌羽根は水面近くに設けており、その結果、沈殿物が攪拌羽根に絡むことがない。
【0032】
凝集処理槽65は電動ボール弁651を有する凝集廃液供給系652を介して濾過脱水装置61に接続しており、凝集処理排出弁653を有する凝集処理排出系654が凝集処理槽65に接続している。
【0033】
この凝集処理排出系654は外部へ排水する経路であるが、外部への排水経路を備えない装置の場合には、装置内で水を循環させて使用し、水が不足する際に上水を供給する。装置を長期間使用しない場合に水の腐敗防止のために排水する必要があるときには、外部よりポンプなどで水を吸い出すことで対応する。
【0034】
排水処理タンク部60には、自己のタンクである排水循環タンク63から給水対象の処理部である脱墨部30に至る循環水経路をなす第1排水返送系600と、受水対象の処理部である脱墨部30の脱墨槽31、濾過脱水装置61から自己のタンクである排水循環タンク63に至る受水経路をなす脱墨排水系304、濾過排水系305が接続しており、脱墨排水系304は脱墨排水弁306を有している。
【0035】
第1排水返送系600は排水ポンプ602および排水第1弁603を有し、先端が脱墨部30のシャワーヘッド307に接続しており、排水ポンプ602の下流側で第1排水返送系600から分岐する第2排水返送系601が濾過処理装置62に排水第2弁604を介して接続している。また、第1排水返送系600は排水ポンプ602の下流側で第1排水返送系600から分岐する排水リターン系605がリターン水経路として排水循環タンク63に排水第3弁606を介して接続するとともに、排水第3弁606の上流側で排水リターン系605から分岐するワイヤー清掃用水系607が排水第4弁608を介して濾過脱水装置61に接続している。ワイヤー清掃用水系607は後述するメッシュベルト612の洗浄用水を供給するものである。
【0036】
濾過処理装置62は凝集剤を貯留する凝集剤槽660を有し、凝集剤槽660は凝集剤供給ポンプ661を有する凝集剤供給系662を介して凝集処理槽65に接続しており、第2排水返送系601に介装した透過センサー等の濁度計測装置663が制御部1000を介して凝集剤供給ポンプ661に接続している。
【0037】
白水タンク部70は、自己のタンクである白水タンク701から給水対象の処理部であるパルパー部10および脱墨部30に至る循環水経路をなす第1白水返送系711、第2白水返送系712が接続し、受水対象の処理部である抄紙部40および脱水乾燥部50から自己のタンクである白水タンク701に至る受水経路をなし、自然落下による収集を行なう第1白水排水系401と第2白水排水系501が接続している。
【0038】
第1白水返送系711は、白水第1ポンプ713および白水第1弁714を有し、白水第1ポンプ713の下流側で分岐する第1白水リターン系715が白水第2弁716を介してリターン水経路として白水タンク701に接続している。
【0039】
第2再生パルプ供給系202に希釈水717を供給する第2白水返送系712は、白水第2ポンプ718および白水第3弁719を有し、第2チューブポンプ201の下流側で第2再生パルプ供給系202に接続しており、白水第2ポンプ718の下流側で分岐する第2白水リターン系720がリターン水経路として白水タンク701に白水第4弁721を介して接続し、白水第2ポンプ718の下流側で分岐する第3白水返送系722が白水第5弁723を介して脱墨部30に接続している。
【0040】
上水を供給する給水系80は元弁81の下流側で、パルパー部10に接続するパルパー給水系801と、抄紙部40に接続する抄紙部給水系802と、脱水乾燥部50に接続する脱水乾燥部給水系803とに分岐し、パルパー給水系801がさらに貯蔵タンク部20に接続する貯蔵タンク給水系804に分岐している。
【0041】
パルパー給水系801は給水第1弁805および給水第2弁806を有して離解用水およびメンテナンス用水を供給するものであり、貯蔵タンク給水系804は第1弁805と第2弁806の間でパルパー給水系801から分岐して給水第3弁807を有し、メンテナンス用水を供給するものであり、抄紙部給水系802は給水第4弁808を有して抄紙ワイヤー42の洗浄用水を供給するものであり、脱水乾燥部給水系803は給水第5弁809を有して吸水ベルト53の馴染用水および洗浄用水を供給するものである。パルパー給水系801には給水第1弁805および給水第2弁806の間に第1白水返送系711が白水第1弁714を介して接続している。
【0042】
溢れ検知タンク91にはパルパー槽11のパルパーオーバーフロー系911、貯蔵タンク21の貯蔵タンクオーバーフロー系912、濾過処理装置62の濾過処理装置オーバーフロー系913が接続している。
【0043】
パルパー部10、貯蔵タンク部20、白水タンク部70は、廃水排出系として以下の構成を備えている。パルパー部10は第1廃水排出系110を介して排水処理タンク部60の濾過脱水装置61に接続しており、第1廃水排出系110は廃水排出第1弁111および廃水排出第1ポンプ112を有している。貯蔵タンク部20は第2廃水排出系210を介して第1廃水排出系110の廃水排出第1弁111と廃水排出第1ポンプ112との間に接続しており、第2廃水排出系210は廃水排出第2弁211を有している。白水タンク部70は第3廃水排出系730を介して第1廃水排出系110の廃水排出第1ポンプ112より下流側に接続しており、第3廃水排出系730は第2白水返送系712から白水第2ポンプ718の下流側で分岐し、廃水排出第3弁731を有している。
【0044】
図3から図4に示すように、排水循環タンク63の上方に配置した濾過脱水装置61は、複数の回転ローラ611に掛け渡された無端状のメッシュベルト612を備えており、メッシュベルト612の上方には脱墨廃液系303および凝集廃液供給系652に接続する脱墨廃液供給部613と、複数の回転ローラ611のうちの一つに対向配置した圧搾ローラ614と、圧搾ローラ614に転接する転写ローラ615と、転写ローラ615の外周面に摺接するスクレーパー616と、圧搾ローラ614に対向する回転ローラ611に所定の圧力で転接し、回転ローラ611の吸水部材(図示省略)に吸水された水を絞る絞り用ローラ610を備えている。
【0045】
圧搾ローラ614は両端をばね(図示省略)で回転ローラ611に向けて付勢しており、通常運転において生じる厚めの廃繊維層であっても、脱墨槽31のメンテナンス時に生じる薄めの廃繊維層であっても確実に脱水することができる。このばねによる付勢力が作用しない場合には、厚い廃繊維層のときに圧搾ローラ614が退避できないので、詰りが発生する恐れがある。
【0046】
メッシュベルト612の上方であって、脱墨廃液供給部613よりもメッシュベルト612の走行方向の下流側位置には濾滓掻寄部617が設けてある。濾滓掻寄部617は、メッシュベルト612の上面に接触して濾滓を所定量ずつ掻き寄せるものであり、回転軸618と、回転軸618の外周面に突設された2枚の掻き寄せ羽根619と、回転軸618を回転駆動する掻寄駆動部620を備えている。
【0047】
2枚の掻き寄せ羽根619は、回転軸618から放射状に設けており、各掻き寄せ羽根619は略矩形薄板状をなして折れ曲がり部621を有し、その先端部分がPET,PP,PE等の合成樹脂またはアルミ、ステンレス等の金属薄板といった可撓性又は弾性を有する素材からなり、各掻き寄せ羽根619が回転に伴ってメッシュベルト612の上面に所定の回転速度及び接触圧力で接触する。
【0048】
掻き寄せ羽根619は折れ曲がり部621を有することで先端縁線を回転軸618の軸心に対してねじれの位置に配置している。このように、掻き寄せ羽根619の先端縁線と回転軸618の軸心との間に角度を設けることで、掻き寄せ羽根619は一度にメッシュベルト612に当接せず、掻き寄せ羽根619は一端側でメッシュベルト612に当接し、その後に他端側に向けて漸次にメッシュベルト612と当接する。この結果、掻き寄せ羽根619とメッシュベルト612との擦れ音が小さくなり、メッシュベルト612との接触により撓んだ状態の掻き寄せ羽根619が徐々にメッシュベルト612から離間し、掻き寄せ羽根619の撓みが一気に開放されないので、水撥ねを抑制することができる。
【0049】
メッシュベルト612は、脱墨廃液に含有される古紙パルプを濾過可能な網目を有し、網目が10メッシュ〜50メッシュの範囲にあり、20メッシュ〜30メッシュが好ましい。網目を10メッシュ以上にすることで、網目を通過する古紙パルプの量を低減可能であり、50メッシュ以下にすることで古紙パルプ等による網目の目詰まりが生じにくくなり濾過効率を向上させることができる。
【0050】
圧搾ローラ614は、対向する回転ローラ611との間でメッシュベルト612を挟持して脱墨廃液をメッシュベルト612で濾過するとともに、メッシュベルト612に残存している濾滓を圧搾する。圧搾により生じた排水は、圧搾ローラ614に対向する回転ローラ611の吸水部材(図示省略)に吸水される。吸水部材に吸水された排水は、絞り用ローラ610の押圧力を受けて吸水部材から絞り出され、濾過排水系305を通して排水循環タンク63に流入する。圧搾ローラ614の外周面はメッシュベルト612の表面と比較して凹凸の少ない平滑状をなしており、これによりメッシュベルト612上の濾滓の圧搾時に濾滓をメッシュベルト612から圧搾ローラ614へ転写する。
【0051】
そして、圧搾ローラ614に転写した濾滓をさらに転写ローラ615に転写し、スクレーパー616により濾滓を転写ローラ615から剥離させ、ごみ箱64に排出する。
脱墨槽31のメンテナンス時には脱墨廃液系303を通して濾過脱水装置61に流入する排水の量が増加するので、メッシュベルト612の搬送速度を通常時よりも速くし、処理能力を向上させる。
【0052】
制御部1000は、通常運転モードにおいて、パルパー部10、貯蔵タンク部20、脱墨部30、抄紙部40、脱水乾燥部50、排水処理タンク部60、白水タンク部70の各処理部を制御し、各処理部の水位計等の各種のセンサ手段により各処理部の運転状態を検知しながら各部の運転制御を行う。
【0053】
パルパー部10では、紙片を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を調製し、パルプ懸濁液を第1チューブポンプにより第1再生パルプ供給系102を通して貯蔵タンク部20に供給する。貯蔵タンク部20は貯蔵タンク21に貯留したパルプ懸濁液を攪拌装置22で攪拌しながら、第2チューブポンプ201により第2再生パルプ供給系202を通して脱墨部30に供給する。
【0054】
脱墨部30では、蛇行した流路をなす脱墨槽31でパルプ懸濁液を脱墨し、脱墨されたパルプ懸濁液を調製し、脱墨されたパルプ懸濁液を第3チューブポンプ301により第3再生パルプ供給系302を通して抄紙部40に供給する。
【0055】
抄紙部40では、ヘッドボックス43から脱墨されたパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー42上に供給して湿紙を抄紙する。脱水乾燥部50の脱水部51は湿紙を抄紙ワイヤー42から吸水ベルト53に転移させて吸収脱水し、乾燥部55は吸水ベルト53から湿紙を搬送ベルト58に転移させて乾燥ローラ56の加熱装置で乾燥させる。
【0056】
排水処理タンク部60では、濾過脱水装置61のメッシュベルト612で脱墨部30から流入する脱墨廃液中の繊維、インク、トナーを除去し、濾過処理装置62で凝集処理を行う。凝集処理槽65の凝集廃液は凝集廃液供給系652を通して濾過脱水装置61に供給する。
【0057】
排水処理タンク部60では、脱墨槽31から脱墨排水系304を通して脱墨廃液が排水循環タンク63に流入し、濾過脱水装置61から濾過排水系305を通して濾過排水が流入する。また、排水を排水循環タンク63から第1排水返送系600を通して脱墨部30のシャワーヘッド307に供給し、あるいは排水を第2排水返送系601を通して濾過処理装置62に供給する。
【0058】
そして、排水の一部が排水リターン系605を通して排水循環タンク63に戻り、タンク内に流入するリターン水がタンク内の排水を攪拌し、繊維の沈殿を防止する。タンク内に流入するリターン水の水勢は排水ポンプ602の吐出圧に依拠するので、確実な攪拌力を実現できる。また、排水第3弁606の開閉により任意のときに攪拌を行なうことができる。
【0059】
濾過処理装置62は、凝集処理槽65へ流入する排水の濁度を濁度計測装置663により検知し、検知した排水の濁度に応じて凝集剤供給ポンプ661を制御して凝集剤槽660から凝集処理槽65に供給する凝集剤の量を調整する。凝集攪拌装置66で排水を攪拌する状態で凝集剤を投入し、凝集反応を進める。その後、凝集攪拌装置66を一定時間にわたって逆回転させた後に停止し、凝集したごみ(繊維)を沈殿させる。
【0060】
白水タンク部70では、白水が抄紙部40から第1白水排水系401を通して流入し、脱水乾燥部50から第2白水排水系501を通して白水が流入する。また、白水を白水タンク701から第1白水返送系711を通してパルパー部10に供給し、第2白水返送系712を通して白水を第2再生パルプ供給系202または脱墨部30に供給する。
【0061】
そして、白水の一部は、第1白水リターン系715および第2白水リターン系720を通して白水タンク701に戻り、タンク内に流入するリターン水がタンク内の排水を攪拌し、繊維の沈殿を防止する。タンク内に流入するリターン水の水勢は白水第1ポンプ713および白水第2ポンプ718の吐出圧に依拠するので、確実な攪拌力を実現できる。また、白水第2弁716および白水第4弁721の開閉により任意のときに攪拌を行なうことができる。
【0062】
なお、前述の実施の形態では、白水のリターン水経路として第1白水リターン系と第2白水リターン系とを備えていたが、いずれか一方の白水リターン系だけを設けるようにしても良い。また、前述の実施の形態では、排水リターン系605には排水第3弁606を、第1白水リターン系715には白水第2弁716を、第2白水リターン系720には白水第4弁721を備えているが、各リターン系に弁を必ずしも設ける必要はない。各リターン系に弁を設けない場合には、各リターン系の排水ポンプ602、白水第1ポンプ713、白水第2ポンプ718の作動時にのみ、各リターン系を通してリターン水がタンク内に流入し、排水ポンプ602、白水第1ポンプ713、白水第2ポンプ718の非作動時にはリターン水がタンク内に流入しない。
【0063】
各リターン系は、各タンクにおけるリターン水の流入口がタンクの底面近傍で、下向き又は横向きに開口することが好ましい。下向きに流入口を設けた場合には、流入したリターン水は、まずタンク底面に当たった後に、横向き、すなわち底面に沿ってタンク底面付近を流れ、タンク底面付近を流れたリターン水はタンク側面に当たって上向きに流れを変え、次にリターン水は水面付近で横向きに流れを変え、最後にリターン水は流入口に向けて下向きに流れを変えて、タンク内に上下方向に旋回する対流を発生させる。
【0064】
横向きに流入口を設けた場合には、流入したリターン水は、タンク底面に沿ってタンク底面付近を流れ、まずタンク側面に当たった後に、タンク側面に沿って上向きに流れを変える。その後は下向きに流入口を設けた場合と同様に、タンク形状に沿って流れる対流を発生させる。
【0065】
このように流入口を、タンク底面近傍において下向き又は横向きに設けることにより、対流を生じさせることができ、タンク内の排水を攪拌することができる。なお、リターン水の流入口をタンク底面近傍において上向きに設けることも可能ではあるが、流入するリターン水の吐出圧が強いと、水面よりも高く噴出してしまう虞があるため、吐出圧を弱めるなどの配慮が必要である。
【0066】
制御部1000は、古紙再生処理を終える場合には、通常運転モードから運転停止処理モードに移行する。これは以下の理由による。
すなわち、白水タンク部70へ流入する流入量が排水処理タンク部60の排水処理能力を超える場合には、白水タンク部70に貯留する白水の貯留量が次第に増加し、最後には白水タンク部70から白水がオーバーフローする危険があり、装置の運転を途中で停止させねばならなくなる。
【0067】
このため、運転停止処理モードにおいて、制御部1000は、以下の制御を行う。
図5(a)に示すように、パルパー部懸濁液配送工程および貯蔵タンク部懸濁液配送工程を行う。パルパー部懸濁液配送工程では、パルパー部10から貯蔵タンク部20へパルプ懸濁液を、第1チューブポンプにより第1再生パルプ供給系102を通して供給し、貯蔵タンク部懸濁液配送工程では、貯蔵タンク21に貯留したパルプ懸濁液を攪拌装置22で攪拌しながら、第2チューブポンプ201により第2再生パルプ供給系202を通して脱墨部30に供給し、脱墨したパルプ懸濁液が脱墨部30から抄紙部40へ第3チューブポンプ301により第3再生パルプ供給系302を通して供給され、白水タンク部70に白水が流入する。
【0068】
そして、図5(b)に示すように、最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えるとパルパー部10のパルパー槽11は空状態となる。ここで、最後のパルパー部懸濁液配送工程とは、ユーザにより設定された再生紙の処理枚数や処理時間が終了し、次の処理が必要でない場合や、所定回数のパルプ懸濁液作成工程およびパルパー部懸濁液配送工程を行なった後に、装置全体を洗浄する洗浄モードに入る場合における最後のパルパー部懸濁液配送工程である。
【0069】
次に、制御部1000は、図5(b)に示すように、パルパー槽11は空状態であるを条件として、あるいは図5(c)に示すように、パルパー槽11が空状態であることと、白水タンク701の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水移送制御を行う。
【0070】
白水移送制御では、図5(d)に示すように、最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えて空状態となったパルパー部10のパルパー槽11に白水タンク部70の白水タンク701から循環水経路をなす第1白水返送系711を通して白水を移送し、パルパー部10に白水を貯留するとともに、白水タンク部70の白水タンク701の空き容量を増加させる。
【0071】
次に、図5(e)に示すように、最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えると貯蔵タンク部20の貯蔵タンク21は空状態となる。
図6(f)に示すように、制御部1000は、最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えて空状態となった貯蔵タンク部20の貯蔵タンク21に白水タンク701から白水を、貯蔵タンク給水系804を通して移送し、貯蔵タンク部20に白水を貯留するとともに、白水タンク部70の白水タンク701の空き容量を増加させる白水移送制御を行う。
【0072】
この白水移送制御では、他の形態として、白水タンク701から白水を直接に貯蔵タンク部20に移送せずに、空状態となった貯蔵タンク部20の貯蔵タンク21に第1再生パルプ供給系102を通して、パルパー部10から白水を移送して貯蔵タンク部20に白水を貯留することも可能であり、この形態でもパルパー部10の空き容量を増加させることができる。
【0073】
白水移送制御は、図6(g)に示すように、脱墨槽31内の脱墨したパルプ懸濁液を全て抄紙部40に供給し、抄紙部40の運転が終了するまで行なう。また、制御部1000は、運転停止処理モードで、白水移送制御中に古紙再生処理系がエラー停止した場合には白水移送制御を中断し、エラー解除後に古紙再生処理系が再稼動した場合には中断していた白水移送制御を再開する。
【0074】
そして、抄紙部40の運転が終了すると、図6(h)に示すように、制御部1000は、第1廃水排出系110、第2廃水排出系210、第3廃水排出系730を通して、パルパー部10もしくは貯蔵タンク部20もしくは白水タンク部70から白水を排水処理タンク部60に移送する白水移送制御を行う。
【0075】
また、制御部1000は、古紙再生処理系内の排水処理タンク部60をサブタンクとして、以下の制御を行う。
すなわち、図6(i)に示すように、制御部1000は、運転停止処理モードで、パルパー部10のパルパー部懸濁液配送工程が未完了状態であることと、白水タンク部70の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水タンク部70から排水処理タンク部60へ第3廃水排出系730を通して白水を移送して白水タンク部70のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行う。
【0076】
あるいは、図6(j)に示すように、制御部1000は、運転停止処理モードで、パルパー部10の白水貯溜量が上限水位に達したこと、貯蔵タンク部20の貯蔵タンク部懸濁液配送工程が未完了状態であることと、白水タンク部70の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水タンク部70から排水処理タンク部60へ第3廃水排出系730を通して白水を移送して白水タンク部70のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行う。サブタンクは排水処理タンク部60とは別途に設けることも可能である。
実施例2
上記した実施の形態では、脱墨部30において、貯蔵タンク部20から送られるパルプ懸濁液を脱墨し、脱墨されたパルプ懸濁液を調製した。しかしながらパルプ懸濁液を脱墨することなく抄紙することも可能である。
【0077】
この場合には、図1の構成において、脱墨部30および脱墨部30に関係する構成部材を省いて図8に示すように構成する。
この構成では、貯蔵タンク部懸濁液配送工程において、貯蔵タンク21に貯留したパルプ懸濁液を攪拌装置22で攪拌しながら、第2チューブポンプ201により第2再生パルプ供給系202を通して抄紙部40に供給する。
【0078】
運転停止処理モードにおいて、制御部1000は、以下の制御を行う。
図7(k)は、最終懸濁液作製中におけるパルパー部10、貯蔵タンク部20におけるパルプ懸濁液の貯留状態、および白水タンク部70における白水の貯留状態を示している。この状態から図7(l)に示すように、パルパー部懸濁液配送工程および貯蔵タンク部懸濁液配送工程を行う。パルパー部懸濁液配送工程では、パルパー部10から貯蔵タンク部20へパルプ懸濁液を、第1チューブポンプにより第1再生パルプ供給系102を通して供給し、貯蔵タンク部懸濁液配送工程では、貯蔵タンク21に貯留したパルプ懸濁液を攪拌装置22で攪拌しながら、第2チューブポンプ201により第2再生パルプ供給系202を通して抄紙部40に供給して抄紙し、白水タンク部70に白水が流入する。
【0079】
そして、図7(m)に示すように、最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えるとパルパー部10のパルパー槽11は空状態となる。
次に、制御部1000は、図7(m)に示すように、パルパー槽11は空状態であるを条件として、あるいは図7(n)に示すように、パルパー槽11が空状態であることと、白水タンク701の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水移送制御を行う。
【0080】
白水移送制御では、図7(o)に示すように、最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えて空状態となったパルパー部10のパルパー槽11に白水タンク部70の白水タンク701から循環水経路をなす第1白水返送系711を通して白水を移送し、パルパー部10に白水を貯留するとともに、白水タンク部70の白水タンク701の空き容量を増加させる。
【0081】
次に、図7(p)に示すように、最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えると貯蔵タンク部20の貯蔵タンク21は空状態となる。
制御部1000は、最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えると、第1廃水排出系110、第3廃水排出系730を通して、パルパー部10もしくは白水タンク部70から白水を排水処理タンク部60に移送する白水移送制御を行う。
実施例3
また、排水処理タンク部60も省くことが可能であり、この場合には、図1の構成において、脱墨部30および排水処理タンク部60、および脱墨部30と排水処理タンク部60に関係する構成部材を省いて図9に示すように構成する。
【0082】
この構成においても、貯蔵タンク部懸濁液配送工程において、貯蔵タンク21に貯留したパルプ懸濁液を攪拌装置22で攪拌しながら、第2チューブポンプ201により第2再生パルプ供給系202を通して抄紙部40に供給する。
【0083】
この構成における運転停止処理モードの運転は、先の実施例2におけるものと比べて、図7(k)〜(o)に示した状態での動作は同じであり、図7(p)に示す状態における動作が相違する。すなわち、本実施例においては、排水処理タンク部60を備えていないので、排水処理タンク部60への白水移送制御を行わず、パルパー部10のパルパー槽11に移送された白水を、貯蔵タンク部20の貯蔵タンク21に移送する白水移送制御を行い、パルパー部10のパルパー槽11を空状態にして運転を停止させる。
【0084】
なお、本実施例においては、次の運転開始時には、パルパー部10のパルパー槽11は空状態であるので、すぐにパルパー部10でのパルプ懸濁液の調製を行なうことができる。
【符号の説明】
【0085】
10 パルパー部
11 パルパー槽
12 攪拌装置
20 貯蔵タンク部
21 貯蔵タンク
22 攪拌装置
30 脱墨部
31 脱墨槽
32 受泡槽
40 抄紙部
41 ローラ
42 抄紙ワイヤー
43 ヘッドボックス
50 脱水乾燥部
51 脱水部
55 乾燥部
52 ローラ
53 吸水ベルト
56 乾燥ローラ
57 ローラ
58 搬送ベルト
60 排水処理タンク部
61 濾過脱水装置
62 濾過処理装置
63 排水循環タンク
64 ごみ箱
65 凝集処理槽
66 凝集攪拌装置
70 白水タンク部
80 給水系
81 元弁
91 溢れ検知タンク
101 第1チューブポンプ
102 第1再生パルプ供給系
110 第1廃水排出系
111 廃水排出第1弁
112 廃水排出第1ポンプ
201 第2チューブポンプ
202 第2再生パルプ供給系
210 第2廃水排出系
211 廃水排出第2弁
301 第3チューブポンプ
302 第3再生パルプ供給系
303 脱墨廃液系
304 脱墨排水系
305 濾過排水系
306 脱墨排水弁
307 シャワーヘッド
401 第1白水排水系
501 第2白水排水系
600 第1排水返送系
601 第2排水返送系
602 排水ポンプ
603 排水第1弁
604 排水第2弁
605 排水リターン系
606 排水第3弁
607 ワイヤー清掃用水系
608 排水第4弁
610 絞り用ローラ
611 回転ローラ
612 メッシュベルト
613 脱墨廃液供給部
614 圧搾ローラ
615 転写ローラ
616 スクレーパー
617 濾滓掻寄部
618 回転軸
619 掻き寄せ羽根
620 掻寄駆動部
651 電動ボール弁
652 凝集廃液供給系
653 凝集処理排出弁
654 凝集処理排出系
660 凝集剤槽
661 凝集剤供給ポンプ
662 凝集剤供給系
663 濁度計測装置
701 白水タンク
711 第1白水返送系
712 第2白水返送系
713 白水第1ポンプ
714 白水第1弁
715 第1白水リターン系
716 白水第2弁
717 希釈水
718 白水第2ポンプ
719 白水第3弁
720 第2白水リターン系
721 白水第4弁
722 第3白水返送系
723 白水第5弁
730 第3廃水排出系
731 廃水排出第3弁
801 パルパー給水系
802 抄紙部給水系
803 脱水乾燥部給水系
804 貯蔵タンク給水系
805 給水第1弁
806 給水第2弁
807 給水第3弁
808 給水第4弁
809 給水第5弁
911 パルパーオーバーフロー系
912 貯蔵タンクオーバーフロー系
913 濾過処理装置オーバーフロー系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙再生処理系を構成するパルパー部、貯蔵タンク部、抄紙部、白水タンク部の各処理部とこれらの処理部を制御する制御部を備え、パルパー部で調製したパルプ懸濁液が貯蔵タンク部、抄紙部へ順次に流れ、抄紙部から排出する白水が白水タンク部へ流入する古紙再生処理装置において、
白水タンク部は自己のタンクから給水対象の処理部であるパルパー部および貯蔵タンク部に至る循環水経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで行う白水移送制御として、パルパー部から貯蔵タンク部へパルプ懸濁液を供給する最後のパルパー部懸濁液配送工程を終えて空状態となったパルパー部に白水タンク部から循環水経路を通して白水を移送し、パルパー部に白水を貯留するとともに、白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させることを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項2】
古紙再生処理系を構成する処理部の一つに脱墨部を備え、パルパー部で調製したパルプ懸濁液が貯蔵タンク部、脱墨部、抄紙部へ順次に流れ、制御部は、運転停止処理モードで行う白水移送制御として、貯蔵タンク部から脱墨部へパルプ懸濁液を供給する最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えて空状態となった貯蔵タンク部に白水タンク部から白水を移送し、貯蔵タンク部に白水を貯留するとともに、白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【請求項3】
古紙再生処理系を構成する処理部の一つに脱墨部を備え、パルパー部で調製したパルプ懸濁液が貯蔵タンク部、脱墨部、抄紙部へ順次に流れ、制御部は、運転停止処理モードで行う白水移送制御として、貯蔵タンク部から脱墨部へパルプ懸濁液を供給する最後の貯蔵タンク部懸濁液配送工程を終えて空状態となった貯蔵タンク部にパルパー部から白水を移送し、貯蔵タンク部に白水を貯留するとともに、パルパー部内の空き容量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【請求項4】
制御部は、運転停止処理モードで、パルパー部が空状態であることと、白水タンク部の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水移送制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【請求項5】
制御部は、運転停止処理モードで、白水移送制御中に古紙再生処理系がエラー停止した場合には白水移送制御を中断し、エラー解除後に古紙再生処理系が再稼動した場合には中断していた白水移送制御を再開することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の古紙再生処理装置。
【請求項6】
古紙再生処理系内にサブタンクを有し、白水タンク部は自己のタンクからサブタンクに至る廃水排出経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで、パルパー部のパルパー部懸濁液配送工程が未完了状態であることと、白水タンク部の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水タンク部からサブタンクに廃水排出経路を通して白水を移送して白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【請求項7】
古紙再生処理系内にサブタンクを有し、白水タンク部は自己のタンクからサブタンクに至る廃水排出経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで、パルパー部の白水貯溜量が上限水位に達したこと、貯蔵タンク部の貯蔵タンク部懸濁液配送工程が未完了状態であることと、白水タンク部の白水貯留量が上限水位に達したことを条件として、白水タンク部からサブタンクに廃水排出経路を通して白水を移送して白水タンク部のタンク内の空き容量を増加させる白水移送制御を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の古紙再生処理装置。
【請求項8】
古紙再生処理系を構成する処理部の一つに排水処理タンク部を備え、排水処理タンク部がサブタンクを有することを特徴とする請求項6または7に記載の古紙再生処理装置。
【請求項9】
パルパー部および貯蔵タンク部は自己のタンクから排水処理タンク部に至る廃水排出経路を有し、制御部は、運転停止処理モードで、抄紙部が最後の抄紙工程を終えた後に、パルパー部もしくは貯蔵タンク部から白水を排水処理タンク部に移送する白水移送制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の古紙再生処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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