説明

可動式間仕切りパネルを用いた収納庫

【課題】収納機能を持つ間仕切りを構成するためには、新たに部品を増やして組み立てる必要があり、コストが高くなり作業が煩雑となる。そして、一旦収納間仕切りを組立て設置した場合には、間取り変更の際に、組み立てられた収納間仕切りの解体作業が必要となるため、間取り変更を容易に行うことができなかった。
【解決手段】 可動式間仕切りパネル3、5、6、8を用いた収納庫12であって、該可動式間仕切りパネル3、5、6、8うち少なくとも一枚の可動式間仕切りパネル8に開口部8aを設けて、該開口部8aに扉8bを設け、該可動式間仕切りパネル3、5、6、8を部屋内の天井17と床16の間に立設して設けた。また前記可動式間仕切りパネル3、5、6、8は、突っ張り固定の自立式パネルとし、互いに側端辺を金具106で連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式間仕切りパネルを用いて、収納庫を構成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、部屋内に可動式間仕切りパネルを配置し、該可動式間仕切りパネルを移動または取り外すことによって、部屋の仕切り位置を自由に変化させる技術が知られている。また、特許文献1に記載の如く、このような可動式間仕切り壁に収納設備を備える技術や、特許文献2に記載の如く、組立式収納庫を間仕切りとして利用する技術も知られている。
【特許文献1】特開2001−3498号公報
【特許文献2】特開平3−236806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術では縦枠にアジャスタを設けた上枠と下枠を取り付け、壁面パネルを前後両側より取り付けて、壁面パネルに収納設備を取り付ける構成としていたので、間仕切り壁自体を組み立てるのに手間がかかり、また、収納設備は間仕切り壁に一体的に固定されるので、分解して他の部分に付け替えることは難しい。また、引用文献2の技術は、側壁パネルにスロット等を設けて、天板やベースや背面板等を取り付けて、収納部分を構成して、上下のレールにはめ込み設置して間仕切り収納庫としているが、組立に対して面倒な作業が必要となり、分解するにも大変手間がかかる構造となっていた。このように、従来の技術では、一旦収納機能を持つ間仕切りを組立てて設置した場合には、組み立てられた収納間仕切りの解体作業が手間となり、間取り変更を容易に行うことができなかった。
そこで本発明は、組立が簡単で、間取りの変更も容易にできる間仕切りパネルを用いた収納庫を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、部屋内の天井と床の間に立設して設けた複数の可動式間仕切りパネルを連結して収納空間を画成し、前記可動式間仕切りパネルのうち、少なくとも一枚に開口部を形成するとともに、該開口部に扉を設けたものである。
【0006】
請求項2においては、前記可動式間仕切りパネルは、突っ張り自立式の可動式間仕切りパネルとしたものである。
【0007】
請求項3においては、前記可動式間仕切りパネルのうち、少なくとも一枚が、部屋と部屋とを間仕切る壁を構成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、可動式間仕切りパネルのちの一枚に扉となる建具を備え、可動式間仕切りパネルを平面視四角形状等に組み立てて収納空間を画成するだけで、容易に収納庫を構成することができる。すなわち、可動式間仕切りパネルを用いて、部品点数を抑えた組立作業容易な収納庫を、自由な場所に設置することができ、部屋の間取り変更の自由度が増すのである。
【0010】
請求項2においては、可動式間仕切りパネルの取り付け場所をさらに自由に選択することができ、また可動式間仕切りパネルの取り付け、取り外し作業もさらに容易となる。
【0011】
請求項3においては、可動式間仕切りパネルは、収納庫の一部を構成するとともに、部屋を間仕切る壁としての機能を果たすことができる。よって、室内空間を広く有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は可動式間仕切りパネルの配設例の平面図、図2は可動式間仕切りパネルによる収納庫の斜視図、図3は可動式間仕切りパネルの側面図である。図4は可動式間仕切りパネルの正面図、図5はナットで突っ張り固定する可動式間仕切りパネルの側断面図、図6は可動式間仕切りパネル同士をL状に連結する状態を示す斜視図、図7は可動式間仕切りパネル同士を直線状に連結する状態を示す斜視図である。
【0013】
まず、本発明による可動式間仕切りパネルの配設例を説明する。
図1において、住宅の適宜個所の部屋が可動式間仕切りパネル1・2・3・4・5・6・7・8・9によって第一の部屋10と第二の部屋11とに仕切られている。そして前記可動式間仕切りパネル1・2・3・4・5・6・7・8・9のうち、可動式間仕切りパネル3・4・5・6・7・8・9は収納庫12・13を形成する役割も果たしている。すなわち、可動式間仕切りパネル1・2が、第一の部屋10と第二の部屋11の間に配設され、第一の部屋10と第二の部屋11を仕切るためにのみ使用されているのに対し、可動式間仕切りパネル3・4・5・6・7・8・9は、収納庫12・13を形成しながら第一の部屋10と第二の部屋11を仕切っているのである。但し、可動式間仕切りパネル1・2を設けずに部屋内に一つまたは複数の収納庫を設ける構成であってもよい。
【0014】
前記可動式間仕切りパネル1・2・3・4・5・6・7・8・9の位置関係について、さらに詳細に説明する。
住宅の一つの部屋内を二つの部屋に間仕切りパネルを用いて仕切る場合、両側の平行に配置される壁面14と壁面15との間に、該壁面14・15に対して直角方向に可動式間仕切りパネル1・2・3・9と、可動式間仕切りパネル4・8が床上に立設され、壁面14と壁面15と平行に可動式間仕切りパネル5・6・7が床上に立設される。そして、可動式間仕切りパネル3・5・6・8を平面視四角形状に組み付けることにより収納空間を画成して収納庫12が形成され、可動式間仕切りパネル4・6・7・9を平面視四角形状に組み付けることにより収納空間を画成して収納庫13が形成されている。
上述のように、壁面14と壁面15の間に可動式間仕切りパネル1・2と収納庫12・13の順に隣接して配置することで第一の部屋10と第二の部屋11とが仕切られている。但し、収納庫だけを部屋内に設ける場合には、壁面の方向と関係なく、壁面に対して斜めに向けて配置することも可能であり、好みにより部屋の隅や中央等に配置して、他の家具等との関係で任意に配置することができる。
【0015】
可動式間仕切りパネル8・9は、扉を形成する建具8b・8b・9bを有し、収納庫12における建具8bは第二の部屋11に向けて開くように配置されており、収納庫13における建具9bは第一の部屋10に向けて開くように配置されている。すなわち収納庫12は第二の部屋11の収納庫として、収納庫13は第一の部屋10の収納庫として設置される。
【0016】
各収納庫12・13は、それぞれ背板・側板・前板からなり、それぞれ可動式間仕切りパネルで構成される。以下収納庫は略同じ構成となるので、一つの収納庫12について図2より説明する。
収納庫12は部屋内の空間の任意位置に設置可能であり、二つの部屋に仕切るための仕切りの一部として設置することも、単なる収納庫として所望の位置に設置することも可能である。
前板となる可動式間仕切りパネル8には開口部8aが設けられ、該開口部8aには、扉となる建具8b・8bが左右一側に図示しないヒンジを介して回動可能に取り付けられ、左右他側の正面の上下中間部には把手8c・8cが設けられている。但し、一方の部屋側に面する可動式間仕切りパネル8の開口部8aに設けられる扉は開き戸に限定するものではなく、折り畳み式であってもよく、建具の種類は限定されない。
【0017】
なお、収納庫13の前板となる可動式間仕切りパネル9は、開口部9aに一枚の扉となる建具9bが取り付けられているが、扉の枚数は限定するものではなく、また、建具の大きさも限定するものではない。また、左右の側板に棚受を固定し、該側板に固定した左右の棚受間に棚板を横架する構成とすることもできる。
【0018】
そして、収納庫の容量は、使用する可動式間仕切りパネルの幅方向の長さの異なるパネルに変更することで、容易に変えることができる。この場合、背板・前板の幅を同じ長さとし、左右の側板の幅も同じ長さとする。なお、高さ方向の長さは全て同じである。
【0019】
可動式間仕切りパネル3・5・6・8は、室内床16と室内天井17との間に突っ張ることにより固定される自立壁パネルとしている。
可動式間仕切りパネル1を例にして、図3と図4を用いて説明する。可動式間仕切りパネル1は、方形状に形成された平板部1aからなり、平板部1aの上部と下部に設けられた突っ張り機構1b・1cによって、床16と天井17の間に突っ張り固定される。突っ張り機構1b・1cは、平板部1a上部に設けられた滑り止め部材1bと、下部に設けられた高さ調節部材1cで構成される。可動式間仕切りパネル1は、上部で滑り止め部材1bが天井17に接触し、下部で高さ調節部材1cが床16を押し付けることで、突っ張り固定される。
【0020】
前記高さ調節部材1cは、接地部がバネ等により下方向に伸びるように付勢され伸縮可能としている。こうして、可動式間仕切りパネルを設置した状態では、高さ調節部材1cの伸びようとする力によって床16からの反力によって、可動式間仕切りパネル1が上方へ付勢されて床16と天井17に対して突っ張り固定されているのである。可動式間仕切りパネル1を取り外す際には、可動式間仕切りパネル1を下方へ押し付けながら高さ調整部材1cを縮ませて、可動式間仕切りパネル1の上部の滑り止め部材1bを天井17から離脱させ突っ張り固定を解除して倒すことにより、可動式間仕切りパネル1は容易に取り外すことができる。そして、このような突っ張り固定式の可動式間仕切りパネルは、パネルの取り付け位置にレール等を設ける必要がなく、自由な位置に取り付けることができる。
【0021】
自立式パネルの組立構成の他の実施例を図5より説明する。
突っ張り固定式可動式間仕切りパネル101は、突っ張り機構として、平板部101aの上部にバネ機構101bが設けられ、平板部の下部にナット101d等を有する高さ調節機構101cが設けられている。
前記バネ機構101bは嵌合部102aと支持杆102bと弾性部材102cからなり、間仕切りパネル101の上部に横設した断面視略U字状の上枠101fの水平面に挿入孔を開口して、支持杆102bの下部が上下摺動自在に挿入されている。該支持杆102bにバネ等よりなる弾性部材102cが外嵌され、該支持杆102bの上端に嵌合部102aが固設されている。該嵌合部102aは断面視略M字状に構成されて、前記上枠101fに上下摺動自在に嵌合され、前記弾性部材により上方へ付勢されている。
そして、間仕切りパネル101を取り付ける天井には、間仕切りパネル101と平行にレール103が固定され、前記嵌合部102aの上部の凹部に嵌合可能としている。
【0022】
前記高さ調節機構101cは、ナット101dと支持ボルト104からなり、間仕切りパネル101の平板部の下部に断面視略逆U状に形成した下枠106設け、該下枠106の水平面に挿入孔を開口して、該挿入孔の下面にナット101dを固設する。該ナット101dに支持ボルト104を螺装する。該支持ボルト104の下端には接地部104aが回転自在に連結されて、該接地部104aの下面が床に対して面で受け止められるようにしている。該接地部104aの上部の支持ボルト104にナット104bを固設する。
【0023】
このような構成において、間仕切りパネル101を天井と床の間に取り付ける場合、天井に取り付けたレール103に嵌合部102aを嵌合して、弾性部材102cに抗して間仕切りパネル101を上方に持ち上げて間仕切りパネル101を所定の位置にセットする。この状態で前記弾性部材102cの付勢力により突っ張られて仮止めができる。そして、高さ調節機構のナット104bにスパナ等の工具を嵌め込んで回動することにより支持ボルト104が回転され、該支持ボルト104に螺合されナット101dに対して上昇させて平板部101aを押し上げることで、可動式間仕切りパネルは強固に突っ張り固定される。
【0024】
こうして、可動式間仕切りパネル101を立設させた状態では高さ調節機構101cの部分における可動式間仕切りパネル下部と床の間に隙間ができる。そこで、可動式間仕切りパネルの下部に幅木受を固定し、前後両側より幅木105を嵌合して固定するのである。こうして、可動式間仕切りパネルの下部の隙間を埋める構成としている。
【0025】
このようにして立設される可動式間仕切りパネル101は、連結金具106を用いて隣接するパネル同士が連結される構成である。可動式間仕切りパネル101同士の連結構成を以下に説明する。前記連結金具106は、平面視L状に形成され、両端にフック部106a・106bが形成されている。そして、各可動式間仕切りパネル平板部101aの、左右両側の端辺には上下方向に適宜間隔を開けて、上下方向に長い長孔状の金具挿入部101gが形成されている。
隣接する間仕切りパネル101・101同士を平面視L状に接続する場合には、図6に示したように、接続する一方の間仕切りパネル101の前記金具挿入部101gに、前記連結金具106の一端のフック106aを挿入する。そして、接続する他方の可動式間仕切りパネル平板部101aに形成された金具挿入部101gに、前記連結金具106のフック部106bを挿入し、隣接する可動式間仕切りパネル101同士を連結するのである。
【0026】
なお、平面視直線上に延長するように間仕切りパネル101・101を接続する場合には、図7に示したように、平面視I状に形成され両端にフック部107a・107bが形成された接続金具107を使用する。まず、接続する一方の間仕切りパネル101の平板部101aの金具挿入部101gに、前記接続金具107の一端のフック部107aを挿入する。そして接続する他方の可動式間仕切りパネル平板部101aの金具挿入部101gに、前記連結金具107の他端のフック部107bを挿入し、隣接する可動式間仕切りパネル101同士を連結するのである。
【0027】
すなわち、収納庫12、13を形成する際に、パネル同士をL状に接続するにあたり、通常の間仕切りパネル同士の接続に使用される平面視I状の接続金具に代えて、平面視L状の接続金具を使用するだけで、パネル同士を接続することができるのである。
なお、壁際の間仕切りパネル101の壁への固定は、見切り材に接続金具を取り付け、その接続金具をパネルの金具挿入部101gに挿入することで行う。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】可動式間仕切りパネルの配設例の平面図。
【図2】可動式間仕切りパネルによる収納庫の斜視図。
【図3】可動式間仕切りパネルの側面図。
【図4】可動式間仕切りパネルの正面図。
【図5】ナットで突っ張り固定する可動式間仕切りパネルの側断面図。
【図6】可動式間仕切りパネル同士をL状に連結する状態を示す斜視図。
【図7】可動式間仕切りパネル同士を直線状に連結する状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
1 可動式間仕切りパネル
1a 平板部
1b 滑り止め部材
1c 高さ調節部材
2 可動式間仕切りパネル
3 可動式間仕切りパネル
4 可動式間仕切りパネル
5 可動式間仕切りパネル
6 可動式間仕切りパネル
7 可動式間仕切りパネル
8 可動式間仕切りパネル
8a 開口部
8b 扉
9 可動式間仕切りパネル
12 収納庫
13 収納庫
106 連結金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋内の天井と床の間に立設して設けた複数の可動式間仕切りパネルを連結して収納空間を画成し、
前記可動式間仕切りパネルのうち、少なくとも一枚に開口部を形成するとともに、該開口部に扉を設けた
ことを特徴とする可動式間仕切りパネルを用いた収納庫。
【請求項2】
前記可動式間仕切りパネルは、突っ張り自立式の可動式間仕切りパネルとした、
請求項1に記載の可動式間仕切りパネルを用いた収納庫。
【請求項3】
前記可動式間仕切りパネルのうち、少なくとも一枚が、部屋と部屋とを間仕切る壁を構成する、
請求項1又は請求項2に記載の可動式間仕切りパネルを用いた収納庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−37636(P2006−37636A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222304(P2004−222304)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(593121634)双葉実業株式会社 (12)