説明

可動物ユニット及び遊技機

【課題】遊技者に対して迫力のある演出効果を発揮することができる可動物ユニット等を提供すること。
【解決手段】この可動物ユニット50は、左右方向に移動しつつ前後方向に移動する第1可動物51と、支持部材55に対して回転可能に連結された第1連結部52aと、第1可動物51に対して回転可能に連結され、第1可動物51と共に移動する第2連結部52bと、を有する第2可動物52と、第1可動物51を駆動する駆動手段と、を有しており、第2可動物52は、第1連結部52aの移動に伴って支持部材55に対して回転しつつ左右方向に移動するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動物ユニット及び遊技機に関し、特に前後方向に移動する可動物を有する可動物ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の遊技釘(ゲージともいう。)や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に遊技球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に遊技球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
遊技球の流下に基づく遊技を実現する遊技領域には、遊技球が入球する入球口を有する入賞装置や、遊技状態等を表示する表示装置や、可動物を有する可動物ユニット等、種々の部材が配置されている。表示装置や可動物ユニット等によって演出を実行することにより、遊技者の興味をひきつけることができる。例えば、このような可動物ユニットを有する遊技機として、表示部の前方に配置された可動部材を有し、この可動部材を上下方向又は左右方向に移動して遊技者の興趣を高めるように構成された遊技機が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−350988号公報
【特許文献2】特開2008−79726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遊技機は、画像を表示する表示手段と、表示手段の手前に開閉自在に設けられ、閉鎖時に表示手段の表示画面を遮蔽する扉体(可動部材)と、扉体を開閉する駆動手段と、を備えた遊技機である。この遊技機は、表示手段の手前において扉体を左右方向に移動させて、遊技者が表示手段を視認できる状態と表示手段を視認できない状態とを実現することができる。しかし、扉体は、表示装置の手前で左右方向にスライド移動するのみであり、迫力のある立体的な動作を実現することができなかった。
【0006】
また、特許文献2に記載の遊技機は、液晶表示部の前方であって遊技者から表示内容を隠す出現位置と、表示内容をほとんど隠さない退避位置と、の間で移動可能な可動部材を備えた遊技機である。この遊技機は、液晶表示部の手前において可動部材を左右方向及び上下方向に移動させて、液晶表示部の表示内容をほとんど隠さない状態と表示内容を隠す状態とを実現することができる。しかし、可動部材は、液晶表示部の手前で左右方向及び上下方向にスライド移動するのみであり、迫力のある立体的な動作を実現することができなかった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたものであり、遊技者に対して前後方向(奥行方向)に移動して、迫力のある立体的な動作を実現することができる可動物ユニット及び可動物ユニットを有する遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての可動物ユニットは、第1可動物及び第2可動物を支持する支持部材と、支持部材に対して左右方向に移動しつつ前後方向に移動する第1可動物と、第1可動物と連結された第1連結部と、支持部材に連結された第2連結部と、を有する第2可動物と、第1可動物を駆動する駆動手段と、を有しており、第1連結部は、第1可動物に対して回転自在に連結されており、第1可動物の移動に伴って左右方向に移動しつつ前後方向に移動するように構成されており、第2連結部は、支持部材に対して回転自在に連結されており、第2可動物は、第1連結部の移動に伴って支持部材に対して回転しつつ左右方向に移動するように構成されている。
【0009】
可動物ユニットは、支持部材に対して移動される第1可動物と第2可動物とを有する。第1可動物は、駆動手段によって支持部材に対して左右方向に移動しつつ前後方向に移動する。遊技者に対して前後方向に第1可動物が移動することにより、立体的な動作を実現して迫力のある演出効果を発揮することができる。
【0010】
また、第2可動物は、第1可動物に連結された第1連結部と、支持部材に連結された第2連結部と、を備えている。第1連結部は、第1可動物の移動に伴って、第1可動物と共に左右方向に移動しつつ前後方向に移動する。また、第2連結部は、支持部材に対して回転しつつ左右方向に移動する。第2可動物は、遊技者に対する角度を変化させつつ、その一端(第1連結部)が奥行方向に移動する。したがって、第2可動物によっても、立体的な動作を実現して、迫力のある演出効果を発揮することができる。
【0011】
また、第2可動物は、第1可動物に伴って移動するように構成されており、1つの駆動手段によって第1可動物を駆動させるのみで、第1可動物及び第2可動物によって異なる動作を実現することが可能となる。駆動手段を複数設ける構成と比較して、電気的負荷の軽減を図ることができ、かつスペース効率を向上させることができる。
【0012】
なお、本発明における上下方向及び左右方向は、可動物ユニットが遊技機に取り付けられた状態において、遊技機の正面にいる遊技者から視認した方向であるが、可動物ユニットが遊技機に対して傾斜して配置されている構成においては、遊技者から視認した方向に限られず、可動物ユニットの上面を上方とする方向も含む概念である。
【0013】
支持部材には、第1可動物を左右方向に移動させつつ前後方向にスライド移動させるガイド部材が設けられており、第1可動物は、ガイド部材に沿って前面の角度を維持しつつ直線状にスライド移動するように構成してもよい。
【0014】
支持部材にガイド部材を設け、ガイド部材に沿わせて第1可動物を移動することにより、第1可動物を円滑にスライド移動することができ、かつ移動の前後における位置ずれを防止することができる。更に、第1可動物は、前面の角度を維持しつつ移動するため、第1可動物が前後方向に移動する演出効果を発揮したり、第1可動物自体は移動しておらず第1可動物の周囲があたかも前後方向に移動するような擬似的な錯覚効果を遊技者に対して与えたり、種々の演出効果を発揮することができる。なお、前面とは、遊技者に対向する(遊技者と向かい合う)面であり、パチンコ機の正面と略平行な面である。
【0015】
更に、第2可動物は遊技者に対する角度を変化させつつ移動され、第1可動物は遊技者に対する角度を変化させずに移動されるため、2つの可動物によって異なる動作を実現することができ、単に第1可動物のみがスライド移動する構成と比較して、第2可動物の回転移動によって第1可動物の前後方向の移動をより引き立たせることが可能となる。
【0016】
また、本発明の他の例示的な側面としての遊技機は、遊技を実現する遊技盤と、遊技盤に装着され、遊技の演出画像を表示する画像表示装置と、遊技盤を保持する遊技機枠と、上記に記載の可動物ユニットと、を有しており、第1可動物及び第2可動物は、画像表示装置の左側面及び右側面の前方を覆うように配置されている。
【0017】
この遊技機によれば、第1可動物と第2可動物とによって立体的な迫力のある演出を実現することができる。更に、第1可動物と第2可動物とが画像表示装置の右側面及び左側面の前方に夫々配置されているため、例えば、画像表示装置の前方に第1可動物等を配置し、第1可動物等の位置に応じて画像表示装置の映像を連動させた演出を実現することができる。画像表示装置の映像との組合せによって更に変化に富んだ複雑な演出を実現して、遊技者を飽きさせずに遊技者の興趣を高めることができる。
【0018】
また、移動の前後において遊技者に対する角度が変化しないように第1可動物を移動させることにより、第1可動物によって挟まれた画像表示装置自体があたかも前後に移動しているような擬似的な錯覚を遊技者に与えることができる。更に、画像表示装置の左側方に配置された第1可動物及び第2可動物を右後方に向けて移動させ、かつ画像表示装置の右前方に配置された第1可動物と第2可動物とを左後方に向けて移動させるように構成することにより、画像表示装置の中心に向かって第1可動物及び第2可動物が移動した状態と、画像表示装置から離間する方向に第1可動物及び第2可動物が移動した状態と、を実現し、画像表示装置自体のサイズが変化しているような擬似的な錯覚を遊技者に与えることができる。
【0019】
なお、遊技盤とは、遊技機における遊技を実現するものであり、例えば、遊技球の流下による遊技を実現するものである。また、画像表示装置は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ・LED等、文字や画像を表示して演出効果を発揮できるものであればよい。更に、遊技機枠とは、遊技盤を内包する枠部材又は枠部材の集合体であって、遊技盤の側方や前方を囲むためのものである。例えば、遊技盤を内包する外枠、前枠又は前面枠若しくはこれらの組合せ等が遊技機枠に該当する。
【0020】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1可動物を左右方向に移動させつつ前後方向に移動させ、第2可動物を回転させつつ(遊技者に対する角度を変化させつつ)前後方向に移動させることができ、複数の可動物を異なる動きで前後方向に移動させて、立体的な迫力のある演出を実現することができる。
【0022】
また、画像表示装置の左側面及び右側面の前方に可動物ユニットを配置することにより、画像表示装置の中心に向かって第1可動物及び第2可動物が移動した状態と、画像表示装置から離間する方向に第1可動物及び第2可動物が移動した状態と、を実現して、可動物ユニットによって挟まれた画像表示装置自体があたかも前後に移動しているような擬似的な錯覚を遊技者に与えたり、画像表示装置自体のサイズが変化しているような擬似的な錯覚を遊技者に与えたりして、従来にない斬新な演出効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図3】図2に示すセンター役物の裏ユニットを示す正面図である。(a)は、看板役物、下部役物及び可動物ユニットが初期位置の状態を示しており、(b)は、看板役物、下部役物及び可動物ユニットが移動した後の状態を示している。
【図4】右前方から視認した左可動物ユニットの分解斜視図である。
【図5】左後方から視認した左可動物ユニットの分解斜視図である。
【図6】右前方から視認した左可動物ユニットの斜視図である。(a)は左可動物ユニットが初期位置の状態を示しており、(b)は左可動物ユニットが移動した後の状態を示している。
【図7】左可動物ユニットの平面図である。(a)は左可動物ユニットが初期位置の状態を示しており、(b)は左可動物ユニットが移動した後の状態を示している。
【図8】左可動物ユニットの右側面図である。(a)は左可動物ユニットが初期位置の状態を示しており、(b)は左可動物ユニットが移動した後の状態を示している。
【図9】左可動物ユニットの駆動機構を示した斜視図である。(a)は左可動物ユニットが初期位置の状態を示しており、(b)は左可動物ユニットが移動した後の状態を示している。
【図10】左可動物ユニットの駆動機構を示した平面図である。(a)は左可動物ユニットが初期位置の状態を示しており、(b)は左可動物ユニットが移動した後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(図示せず)、球皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
【0025】
パチンコ機2は、アレンジボール機、雀遊技球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。図柄変動遊技については後述する。
【0026】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部には、遊技盤ユニット5の他にも各種電子基板や遊技球用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前面又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0027】
例えば、パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されてガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持するガラス枠12とを有して遊技機枠3が構成される。
【0028】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置され、パチンコ機2の前方を覆い、内部に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。ガラス10は2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0029】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0030】
発射ユニットは、遊技球供給装置(図示せず)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を、遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0031】
遊技盤ユニット5は、表面側の略中央にセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤6には多数の遊技釘27も配置されている。遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0032】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0033】
センター役物7は、図柄変動遊技を実現するものである。センター役物7は、遊技盤6の表側に配置される表ユニット7eと、遊技盤6の裏側に配置される裏ユニット7fと、によって構成されており、表ユニット7eと裏ユニット7fによって前後方向において遊技盤6を挟んで配置される。表ユニット7eは、装飾効果を発揮する装飾部分から構成されており、裏ユニット7fには、後述する可動物ユニット50等各種遊技部分が配置されている。
【0034】
図3は、センター役物7の裏ユニット7fの正面図であり、(a)は、看板役物40、下部役物41及び可動物ユニット50が初期位置の状態であり、(b)は、看板役物40、下部役物41及び可動物ユニット50が移動した後の状態を示している。センター役物7の中央部には、演出表示装置(画像表示装置)7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。表示開口部7dの中央上部には、上下方向に駆動する看板役物40が設けられており、中央下部には、上下方向に駆動する下部役物41が設けられている。また、表示開口部7dの左側方及び右側方(演出表示装置7aの左側面及び右側面の前方)には、可動物ユニット50が設けられている。可動物ユニット50については後述する。
【0035】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、始動入賞口29への入球を契機として実行される抽選結果を視覚的に演出するための表示図柄が表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0036】
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板(図示せず)を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示や可動物ユニット50の駆動制御等の演出制御を行う演出制御基板(図示せず)を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0037】
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球の払出契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0038】
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
【0039】
次いで、図4から図10に基づいてセンター役物7に設けられた可動物ユニット50について詳細に説明する。可動物ユニット50は、演出表示装置7aの左側面の前方に配置された左可動物ユニット50aと、演出表示装置aの右側面の前方に配置された右可動物ユニット50bと、を有する。左可動物ユニット50aと右可動物ユニット50bとは、演出表示装置7aの左右方向における中央を中心として対称の形状及び動作であり、本実施の形態では、左可動物ユニット50aを例示して詳細に説明する。
【0040】
なお、可動物ユニット50による演出は、主制御基板が動作を決定し、決定した動作に基づいて演出制御基板に対して制御信号を送ることにより実行される。演出制御基板は、主制御基板から送られた制御信号に基づいて、駆動手段としてのモータ54に対して所定のステップ信号を送る。これによりモータ54が回転し、可動物ユニット50が動作するように構成されている。
【0041】
図4及び図5は、センター役物7から取り外した状態の左可動物ユニット50aを示した図であり、図4は、右前方から視認した左可動物ユニット50aの分解斜視図であり、図5は、左後方から視認した左可動物ユニット50aの分解斜視図である。左可動物ユニット50aは、第1可動物としての平板部材51と、第2可動物としての第1爪部材52と、平板部材51と第1爪部材52を移動自在に支持する支持部材55と、支持部材55に固定された第2爪部材53と、平板部材51を駆動する駆動手段としてのモータ54と、平板部材51の位置を検出する検出センサ58と、を有する。
【0042】
支持部材55は、平板部材51の上方、下方、及び左方において平板部材51を各々支持する上支持部材55a、下支持部材55b、及び左支持部材55cを備えている。平板部材51は、上支持部材55a、下支持部材55b、及び左支持部材55cに対して移動自在に各々接続されている。このように、平板部材51を複数の支持部材55によって複数箇所で支持することにより、位置ずれを防止しつつ比較的大型の平板部材を円滑に移動することができる。
【0043】
左可動物ユニット50aの平板部材51及び第1爪部材52は、支持部材55に対して移動されるように構成されている。図6から図10は、左可動物ユニット50aの移動前(前端位置)の状態と、移動後(後端位置)の状態と、を示している。図6は、左可動物ユニット50aを右前方から視認した斜視図であり、図7は、左可動物ユニット50aの上面を覆うカバー部材60及びモータ54を外した状態の左可動物ユニット50aの平面図である。図8は、左可動物ユニット50aの右側面図である。図9は、左可動物ユニットの駆動機構を示した斜視図であり、図10は、左可動物ユニット50aの駆動機構を示した平面図である。
【0044】
図4及び図5に示すように、平板部材51は、演出表示装置7aの表面と略平行に配置された平板本体51aと、平板本体51aの上端に接続され、上支持部材55aを挟んで配置される上挟持部51bと、上支持部材55aに形成された上ガイド穴部(ガイド部材)55dに挿入される上ガイドローラ51cと、上ガイドローラ51cの近傍に配置され、上挟持部51bの移動を補助する補助ローラ(図示せず)と、第1爪部材52と連結される第1平板軸部51eと、左支持部材55cと連結される第2平板軸部51fと、平板本体51aの下端に接続され、下支持部材55bを挟んで配置される下挟持部51gと、下支持部材55bに形成された下ガイド穴部(ガイド部材)55eに挿入される下ガイドローラ51hと、を備える。
【0045】
まず、平板部材51と上支持部材55aとの接続部分について説明する。上支持部材55aには、平板部材51のスライド移動をガイドする上ガイド穴部55dが形成されている。上ガイド穴部55dの上方には、上挟持部51bが配置されている。上挟持部51bと平板本体51aとは上下方向において上支持部材55aを挟んで配置されており、平板部材51は、上支持部材55aを挟んだ状態で前後方向に移動する。
【0046】
上ガイド穴部55dを構成する壁面には、平板本体51aの上面に回転可能に連結された上ガイドローラ51cの外周面が当接している。上ガイドローラ51cは、前後方向に離間して2つ設けられており、平板部材51が移動する際は、上ガイドローラ51cが上ガイド穴部55dに対して摺動するように構成されている。このように前後方向に離間した複数の上ガイドローラ51cを設けることにより、遊技者に対する平板本体51aの前面の角度を維持しつつ平板部材51を斜め前後方向にスライド移動することができる。
【0047】
更に、上ガイドローラ51cの左方と右方には、平板部材51の上下方向の歪みや平板部材51の傾きを防止するための補助ローラ(図示せず)が設けられている。補助ローラの外周面は、上挟持部51bの下面と上支持部材55aの上面とに当接するように配置されている。上ガイドローラ51cの側方に補助ローラを設けることにより、移動する過程における平板部材51の傾きや歪みを更に効果的に防止することが可能となる。
【0048】
上挟持部51bの上面には、上方に突出しする突起部51kが形成されている(例えば、図7参照)。突起部51kは、モータ54の駆動力を平板部材51に伝達する上アーム部材56と接続されている。上アーム部材56の一端(右端)には、モータ54によって回転駆動されるギア57と噛み合うラック部材56aが形成されており、上アーム部材56の他端(左端)には、平板部材51の突起部51kの外形より大きい長穴部56bが形成されており、突起部51kは、長穴部56bに回転自在に挿入されている。
【0049】
図7(a)に示す状態において、モータ54が駆動するとギア57がX方向に回転する。ギア57と噛み合う上アーム部材56が図示するY方向に回転して、平板部材51の突起部51kが上アーム部材56によって右後方向に押圧される。したがって、平板部材51は、左前方に位置する前端位置から右後方に位置する後端位置に移動して(b)に示す状態となる。
【0050】
上支持部材55aの上面には、上挟持部51bに設けられた突出片51mの位置を検出する検出センサ58が設けられている。検出センサ58は、前端位置の突出片51mを検出する前検出部58aと、後端位置の突出片51mを検出する後検出部58bと、からなる。各検出部は、光を投光する投光部と、投光部からの光を受光する受光部と、を備えており、投光部と受光部との間が遮られることにより、突出片51mが投光部と受光部との間にあることを検出する。検出センサ58が突出片51mを検出すると、検出信号が主制御基板に送信され、主制御基板は、前端位置又は後端位置に平板部材51があると判定するように構成されている。
【0051】
次いで、平板部材51と左支持部材55cとの接続部分について説明する。平板部材51と左支持部材55cとの接続部分には、駆動手段が設けられておらず、上述する上支持部材55aに対する平板部材51の移動に追従するように構成されている。図4及び図5に示すように、左支持部材55cには、平板部材51のスライド移動の回転軸となる支持軸部59が設けられている。支持軸部59は、上下方向に沿って配置されており、その上端と下端には、左平板部材51の第2平板軸部51fと連結された左アーム部材61が連結されている。
【0052】
図10は、上支持部材55a、上挟持部51b及び上ガイドローラ51cを外した状態の左可動物ユニット50aの平面図である。図10(a)に示す状態において、モータ54が駆動すると、突起部51kが右後方に押圧されて、左アーム部材61が支持軸部59を中心に図10に示すZ方向に回転する。平板部材51は、遊技者に対する前面の角度を維持しつつ右後方にスライド移動する。
【0053】
次いで、平板部材51と下支持部材55bとの接続部分について説明する。平板部材51と下支持部材55bとの接続部分には、駆動手段が設けられておらず、上述する上支持部材55aに対する平板部材51の移動に追従するように構成されている。図4に示すように、下支持部材55bには、平板部材51のスライド移動をガイドする下ガイド穴部55eが形成されている。下ガイド穴部55eの下方には、下挟持部51gが配置されている。下挟持部51gと平板本体51aとは上下方向において下支持部材55bを挟んで配置されており、平板部材51は、下支持部材55bを挟んだ状態で前後方向に移動する。
【0054】
また、下ガイド穴部55eを構成する壁面には、平板本体51aの下面に回転可能に連結された下ガイドローラ51hの外周面が当接している。下ガイドローラ51hは、上ガイドローラ51cと同様に、前後方向に離間して2つ設けられている。このように前後方向に離間した複数の下ガイドローラ51hを上ガイドローラ51cと共に設けることにより、平板本体51aの上部と下部とのねじれを防止しつつ平板部材51を斜め前後方向に移動させることができる。
【0055】
このように、平板部材51の上方のみに駆動手段を設ける構成においては、平板部材51の上端の移動に伴って平板部材全体が追従して移動するため、移動する過程において平板部材51のねじれが生じるおそれがある。しかし、上下方向に沿った支持軸部59を設けたり、上ガイドローラ51c及び下ガイドローラ51hを上ガイド穴部55d及び下ガイド穴部55eに摺動させて平板部材51を移動させたり、下挟持部51gと平板本体51aとによって下支持部材55bを挟むと共に上挟持部51bと平板本体51aとによって上支持部材55aを挟んだ状態で平板部材51を移動させたりすることにより、平板部材51の傾きを防止しつつ平板部材51全体を前後方向に移動することが可能となる。
【0056】
また、第1爪部材52は、上下方向に離間して3個設けられており、第1爪部材52の間には、第2爪部材53が配置されている。第2爪部材53は、左支持部材に固定されており、平板部材51や第1爪部材52と共に移動しない。第1爪部材52は、平板部材51と連結された第1連結部52aと、左支持部材55cと連結され第2連結部52bと、を有しており、平板部材51の移動に伴って回転しつつ左右方向に移動するように構成されている。図8に示すように、第1爪部材52と第2爪部材53の前面は、(a)に示す移動前の状態では略平行であるが、(b)に示す移動後の状態では第1爪部材52が回転しており異なる方向に向かって配置されている。
【0057】
第1連結部52aは、平板部材51の第1平板軸部51eに挿入されており、平板部材51に対して回転自在に連結されている。第1連結部52aは、平板部材51と共に前端位置と後端位置とを移動する。一方、第2連結部52bは、左支持部材55cに形成された左右方向に伸びる爪ガイド穴部55f(例えば、図7参照)に挿入されており、左右方向に移動自在である。したがって、第1爪部材52は、左支持部材55cに対して回転しつつ左右方向に移動する。
【0058】
このように構成された第1爪部材52は、図10に示すように、平板部材51が前端位置から後端位置に向かって移動すると、第1連結部52aが平板部材51と共に後端位置に向かって移動する。一方、第2連結部52bは、平板部材51が後端位置に移動しても前後方向に移動せず左右方向のみに移動する。第1爪部材52の一端(第1連結部52a)のみが後方に移動して、他端(第2連結部52b)が左右方向に移動するため、第1爪部材52の前面は、遊技者に対して傾斜する。
【0059】
このように、実施の形態1に係る可動物ユニット50によれば、複数の可動物(例えば、平板部材51及び第1爪部材52)を前後方向に移動して、立体的な迫力のある演出を実現することができる。また、遊技者に対する前面の角度を維持しつつ平板部材51を移動すると共に、遊技者に対する前面の角度を変化させつつ第1爪部材52を移動することにより、複数の可動物によって異なる動作を実現して、バリエーションに富んだ演出を実現することができる。
【0060】
また、演出表示装置7aの左側面の前方を覆うように配置された左可動物ユニット50aを左前方に位置する前端位置から右後方に位置する後端位置に移動すると共に、右可動物ユニット50bを右前方に位置する前端位置から左後方に位置する後端位置に移動することにより、可動物ユニット50自体が前後方向に移動する演出効果のみならず、あたかも演出表示装置7aが前方に飛び出すような演出表示装置7a自体が前後方向に移動するような擬似的な演出効果を発揮でき、更にバリエーションに富んだ演出を実現することができる。
【0061】
加えて、演出表示装置7aにおいて遠近感を表す映像を表示して、この映像と可動物ユニット50の動作とを組み合わせることにより、更に効果的に立体感のある演出を実現することが可能となる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施の形態では、可動物ユニット50を画像表示装置の左方及び右方から演出表示装置7aの内側に向けて移動するように構成しているが、例えば、左可動物ユニット50a及び右可動物ユニット50bの両方を左方から右方向に移動したり、右方から左方に移動したり、同方向に移動させて、可動物ユニット50の移動方向と逆方向に演出表示装置7aが移動しているような擬似的な演出効果を発揮するように構成してもよい。
【0063】
加えて、可動物ユニット50を演出表示装置7aの左方及び右方に配置する構成に限られず、可動物ユニット50を演出表示装置7aの上方及び下方に配置して、演出表示装置7a自体が動いているような擬似的な演出効果を発揮するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
2:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠
4:外枠(遊技機枠の一部)
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:遊技盤面
7:センター役物
7a:演出表示装置(画像表示装置)
7b:表示部
7c:表示図柄
7d:表示開口部
7e:表ユニット
7f:裏ユニット
9:前枠(遊技機枠の一部)
10:ガラス
12:ガラス枠(遊技機枠の一部)
14:球皿
14a:上球皿
14b:下球皿
14c:球抜き部材
15:発射装置ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ
23:遊技球
26:レール飾り
26a:外レール
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:始動入賞口
30:アウト口
31:大入賞口
32:装飾部材
33:ゲート
34:風車
35:主制御基板ケース
36:演出制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
40:看板役物
41:下部役物
50:可動物ユニット
50a:左可動物ユニット
50b:右可動物ユニット
51:平板部材(第1可動物)
51a:平板本体
51b:上挟持部
51c:上ガイドローラ
51e:第1平板軸部
51f:第2平板軸部
51g:下挟持部
51h:下ガイドローラ
51k:突起部
51m:突出片
52:第1爪部材(第2可動物)
52a:第1連結部
52b:第2連結部
53:第2爪部材
54:モータ(駆動手段)
55:支持部材
55a:上支持部材
55b:下支持部材
55c:左支持部材
55d:上ガイド穴部(ガイド部材)
55e:下ガイド穴部(ガイド部材)
55f:爪ガイド穴部
56:上アーム部材
56a:ラック部材
56b:長穴部
57:ギア
58:検出センサ
58a:前検出部
58b:後検出部
59:支持軸部
60:カバー部材
61:左アーム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可動物及び第2可動物を支持する支持部材と、
該支持部材に対して左右方向に移動しつつ前後方向に移動する第1可動物と、
該第1可動物に連結された第1連結部と、該支持部材に連結された第2連結部と、を有する第2可動物と、
該第1可動物を駆動する駆動手段と、を有する可動物ユニットであって、
該第1連結部は、該第1可動物に対して回転自在に連結されており、該第1可動物と共に左右方向に移動しつつ前後方向に移動するように構成されており、
該第2連結部は、該支持部材に対して回転自在に連結されており、
該第2可動物は、該第1連結部の移動に伴って該支持部材に対して回転しつつ左右方向に移動するように構成されている、可動物ユニット。
【請求項2】
前記支持部材には、前記第1可動物を左右方向に移動させつつ前後方向にスライド移動させるガイド部材が設けられており、
前記第1可動物は、該ガイド部材に沿って前面の角度を維持しつつ直線状にスライド移動する、請求項1に記載の可動物ユニット。
【請求項3】
遊技を実現する遊技盤と、
該遊技盤に装着され、該遊技の演出画像を表示する画像表示装置と、
該遊技盤を保持する遊技機枠と、
上記請求項1又は請求項2に記載の可動物ユニットと、を有する遊技機であって、
前記可動物ユニットは、前記画像表示装置の左側面及び右側面の前方を覆うように配置されている、遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−115328(P2011−115328A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274703(P2009−274703)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】