説明

可変ランプソケット

【課題】U字形冷陰極管の管径が同一であればU字形冷陰極管のピッチが異なっていても、そのピッチに合致するように左右のランプ保持部の相互間隔を変更して共用することができる便利な可変ランプソケットを提供する。
【解決手段】U字形冷陰極管の両端部を保持する左右のランプ保持部2,2と、左右のランプ保持部を連結する横長の連結部3と、下方に突き出す左右の脚部4,4とを、エラストマーで一体に成形したランプソケットLSにおいて、上記連結部3に上下方向に貫通する空洞部3aを形成し、上記連結部3を前壁部3bと後壁部3cを有する二重壁構造として湾曲変形し易くする。連結部3を湾曲変形させることにより左右のランプ保持部2,2の相互間隔を任意に短縮、変更可能とし、U字形冷陰極管のピッチが異なっても共用できるようにして、コストダウンを図ると共に、面倒な仕分け作業をなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶モジュールにバックライトとして組み込まれるU字形冷陰極管の両端部を保持固定するランプソケットに関し、更に詳しくは、U字形冷陰極管の両端部を保持する左右のランプ保持部の相互間隔が可変であるため、U字形冷陰極管の管径が同一であればU字形冷陰極管のピッチ(左右の冷陰極管の相互間隔)が異なる場合でも、同じものを共用してU字形冷陰極管の両端部を保持固定することができる便利な可変ランプソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なランプソケット100は、図10に示すように、U字形冷陰極管1の両端部を保持する左右のランプ保持部101,101と、これらのランプ保持部101,101を連結する横長の連結部102と、下方に突き出す左右の脚部(不図示)とを、合成ゴムなどのエラストマーで一体に成形したものであって、左右の脚部を液晶モジュールのリアフレームの穴に嵌め込むことによってリアフレームの内側に取付けられ、U字形冷陰極管1の電極1b,1bにハンダ付けされたランプワイヤが脚部の孔を通してリアフレームの背後に引き出されるようになっている。このランプソケット100のように左右のランプ保持部101,101を連結部102で連結一体化しているのは、リアフレームへの組立取付後に左右のランプ保持部101,101の捻じれや移動を防止し、U字形冷陰極管1の装着安定化を図るためである。
【0003】
一方、バックライトシャーシの左右の側板の内面に複数のソケットを対向させて配設し、ランプ保持部で平行に保持された複数本の直管状ランプの両端部を案内体でソケットに案内して取付けた光源装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、両端部に電極が取付けられ略U字形に屈曲した複数のランプが、一のランプの両端部と隣接するランプの両端部とが反対方向を向くように、外囲器内に並列配置されると共に、各ランプの両端部が、隣接するランプの屈曲部よりも外囲器の側壁に近づけて配され、各ランプの両端部がシリコンゴム製のブッシュで個別に保持されて外囲器内に固定されているバックライトユニットも知られている(特許文献2)。
【0005】
また、ランプソケットではなく、並置される複数本のランプを挟持するクリップに関するものであるが、柱形突起を立設した取付部と、その両側のランプを挟持する二つの挟持部との間に、挟持部相互間の距離を変更する方向への撓みが可能な二つの可撓部を設けたものも知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−80195号公報
【特許文献2】国際公開第06/114975号
【特許文献3】特開2008−66283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図10に示す従来のランプソケット100は、左右のランプ保持部101,101の相互間隔が可変ではなく一定しているため、U字形冷陰極管1のピッチ(左右の冷陰極管1a,1aの相互間隔)が異なると、U字形冷陰極管1の両端部を左右のランプ保持部101,101に嵌合保持させて取付けることができないという問題があった。そのため、従来は、ピッチが異なるU字形冷陰極管ごとに専用のランプソケットを揃える必要があるので、コスト高となり、仕分け作業も面倒であった。
【0008】
これに対し、前記特許文献1の光源装置や前記特許文献2のバックライトユニットに使用されているランプソケットやブッシュは、いずれも冷陰極管の端部を個別に保持するものであるから、上記の問題とは無縁のものである。従って、これらの特許文献1,2の技術は、上記の問題の解決には役立たない。
【0009】
また、前記特許文献3は、並列する冷陰極管の相互間隔の変更に対応できるものではあるが、ランプソケットではなく、光源装置のリアフレームの中央部付近に取付けられて挟持部により冷陰極管の中間部分を挟持するクリップに係るものであり、ランプソケットのようにリアフレームの側板に沿って取付ける場合には適さないものである。
【0010】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、U字形冷陰極管の管径が同一であればU字形冷陰極管のピッチ(左右の冷陰極管の相互間隔)が異なっていても、そのピッチに合致するように左右のランプ保持部の相互間隔を変更して同じものを共用できる便利な可変ランプソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る可変ランプソケットは、U字形冷陰極管の両端部を保持する左右のランプ保持部と、左右のランプ保持部を連結する横長の連結部と、下方に突き出す左右の脚部とを、エラストマーで一体に成形したランプソケットであって、上記連結部に上下方向に貫通する空洞部を形成して、上記連結部を前壁部と後壁部を有する二重壁構造としたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の可変ランプソケットでは、前記連結部の左右両端近傍部において、前記連結部の前面に上下方向の切欠き溝を設けると共に、前記空洞部の後面と左右の側面とで形成されるコーナー部に上下方向の切欠き溝を設けることが望ましい。
【0013】
そして、前記連結部の左右中間部において、前記前壁部の後面を前方へ湾曲する湾曲面となして前記前壁部を薄肉化すると共に、前記後壁部の後面を前方へ湾曲する湾曲面となして前記後壁部を薄肉化することが望ましい。
【0014】
また、前記連結部の左右中央部において、前記前壁部の後面に上下方向の切欠き溝を設けると共に、前記後壁部の後面に上下方向の切欠き溝を設けることも望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の可変ランプソケットのように、左右のランプ保持部を連結する横長の連結部に上下方向に貫通する空洞部を形成して、連結部を前壁部と後壁部を有する二重壁構造にすると、連結部が前方向又は後方向に湾曲変形し易くなるため、左右のランプ保持部を中央に向かって両側から押すと、連結部が前方向又は後方向に容易に湾曲変形して、左右のランプ保持部の相互間隔を任意に短縮、変更することができる。従って、本発明の可変ランプソケットは、U字形冷陰極管のピッチが異なっても、そのピッチに合致するように左右のランプ保持部の相互間隔を変更して同じものを共用できるので、従来のようにピッチが異なるU字形冷陰極管ごとに専用のランプソケットを揃える必要がなくなり、コストダウンが可能となると共に、面倒な仕分け作業をなくすことも可能となる。
【0016】
また、前記連結部の左右両端近傍部において、前記連結部の前面に上下方向の切欠き溝を設けると共に、前記空洞部の後面と左右の側面とで形成されるコーナー部に上下方向の切欠き溝を設けた可変ランプソケットは、これらの切欠き溝のところで連結部が前方へ屈曲変形し易くなるため、左右のランプ保持部を中央に向かって両側から押すと、連結部が左右両端近傍の切欠き溝のところで前方へ自然に屈曲変形すると共に、連結部の中間部が前方へ自然に湾曲変形して、左右のランプ保持部の相互間隔を容易に短縮、変更することが可能となる。ランプソケットは、通常、液晶モジュールなどのリアフレームの側板に沿って取付けられ、ランプソケットの後側には連結部が充分に湾曲変形するだけのスペースが存在しない場合が多いので、上記のように連結部の中間部が自然に前方へ湾曲変形するように構成された可変ランプソケットは、より好ましいものである。
【0017】
更に、前記連結部の左右中間部において、前壁部の後面を前方へ湾曲する湾曲面となして前壁部を薄肉化すると共に、後壁部の後面を前方へ湾曲する湾曲面となして後壁部を薄肉化した可変ランプソケットは、前壁部の中間部および後壁部の中間部が前方へ一層湾曲変形し易くなり、左右のランプ保持部を中央に向かって両側から押したときに、連結部の前壁部および後壁部が確実に前方へ湾曲変形するため、一層好適なものである。
【0018】
また、前記連結部の左右中央部において、前壁部の後面に上下方向の切欠き溝を設けると共に、後壁部の後面に上下方向の切欠き溝を設けた可変ランプソケットは、これらの切欠き溝のところで前壁部及び後壁部が前方へ屈曲変形し易くなり、左右のランプ保持部を中央に向かって両側から押したときに、連結部の前壁部及び後壁部が確実に前方へ屈曲変形するため、この可変ランプソケットも好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変ランプソケットの斜視図である。
【図2】同可変ランプソケットの平面図である。
【図3】同可変ランプソケットの正面図である。
【図4】同可変ランプソケットの右側面図である。
【図5】同可変ランプソケットの背面図である。
【図6】同可変ランプソケットの使用状態を示す平面図である。
【図7】同可変ランプソケットの使用状態を示す背面図である。
【図8】同可変ランプソケットの他の使用状態を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る可変ランプソケットの平面図である。
【図10】従来のランプソケットの使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明に係る可変ランプソケットの実施形態を詳細に説明する。
【0021】
この実施形態の可変ランプソケットLSは、弾力性がある電気絶縁性の合成ゴムや合成樹脂などのエラストマーで一体に成形されたものであって、図1〜図7に示すように、U字形冷陰極管1の両端部を保持する左右のランプ保持部2,2と、この左右のランプ保持部2,2を連結する横長の連結部3と、この連結部3の両端部とランプ保持部2,2との接合部分から下方に突き出す左右の脚部4,4とを備えている。
【0022】
左右のランプ保持部2は、その内部にU字形冷陰極管1の両端部を嵌合保持する円形横穴部2aを前面側から形成すると共に、この円形横穴部2aの上側に、円形横穴部の直径よりも幅が狭いスリット部2bを連通させて形成したものであって、このスリット部2bを押し開きながら、U字形冷陰極管1のピン電極1bを有する両端部を上方から円形横穴部2aに嵌め込むことによって、ワンタッチで嵌合保持できるようになっている。
【0023】
そして、U字形冷陰極管1のピン電極1b,1bにハンダ付けされたランプワイヤ5,5は、図6,図7に示すように、一旦上方へ引き出されてから逆U字状に曲げられてランプ保持部2,2の上面の凹部2c,2c(図1参照)に嵌め込まれ、更に、連結部3の両端部の背面から脚部4,4の背面にかけて形成された上下方向のスリット部3j,3jに嵌め込まれて下方に引き出されるようになっている。これらのスリット部3j,3jは、その奥側がランプワイヤ5,5を挿通する縦孔状に形成されており、且つ、ランプワイヤ5,5が背面側へ抜け出さないようにスリット部手前側の幅が狭くなっている。なお、ランプワイヤ5,5の先端のコネクタ6は、液晶モジュールなどのリアフレーム7の背面に取付けられた配線基板(不図示)の給電用のコネクタに接続されるようになっている。
【0024】
左右のランプ保持部2,2を連結する横長の連結部3は、図1,図2に示すように上下方向に貫通する空洞部3aを形成することによって、湾曲変形が容易な前壁部3bと後壁部3cを有する二重壁構造とされている。そして、前壁部3bと後壁部3cは左右一対の架橋部3d,3dで架橋され、捻じれないように補強されている。
【0025】
また、この連結部3の左右両端近傍部においては、連結部3の前面(前壁部3bの前面)に上下方向の切欠き溝3e,3eが設けられると共に、空洞部3aの後面と左右の側面とで形成されるコーナー部にも上下方向の切欠き溝3f,3fが設けられている。そのため、この連結部3は、これらの切欠き溝3e,3e,3f,3fのところで前方へ屈曲変形し易くなっている。
【0026】
更に、この連結部3の左右中間部においては、前壁部3bの後面が前方へ湾曲する湾曲面3gに形成されて前壁部3bの左右中間部が薄肉化されると共に、後壁部3cの後面も前方へ湾曲する湾曲面3hに形成されて後壁部3cの左右中間部も薄肉化されている。そのため、この連結部3は、前壁部3bの中間部および後壁部3cの中間部が前方へ湾曲変形し易くなっている。
【0027】
上記構成の可変ランプソケットLSは、ランプ保持部2,2(円形横穴部2a,2a)の相互間隔とU字形冷陰極管1のピッチ(左右の冷陰極管1a,1aの相互間隔)が等しい場合には、図6,図7に示すように、U字形冷陰極管1の両端部を左右のランプ保持部2,2に嵌合保持させ、連結部3を変形させないで左右の脚部4,4を液晶モジュールのリアフレーム7の取付穴7a,7aに嵌め込むことにより、リアフレーム7の側板7bに沿って取付けられる。
【0028】
これに対し、液晶モジュールがピッチの小さいU字形冷陰極管(管径は同一)を使用するものであって、リアフレーム7の取付穴7a,7aの間隔が小さい場合には、可変ランプソケットLSの左右のランプ保持部2,2を両側から押すことによって、図8に示すように、連結部3を左右両端近傍部の切欠き溝3e,3e,3f,3fのところで前方へ自然に屈曲変形させると共に、連結部3の左右中間部(前壁部3b及び後壁部3cの薄肉化された中間部)を前方へ自然に湾曲変形させ、左右のランプ保持部2,2の相互間隔をU字形冷陰極管1のピッチに合致させて左右の脚部4,4をリアフレーム7の取付穴に嵌め込んで取付けることができる。そして、連結部3を大きく湾曲変形させるほど、左右のランプ保持部2,2の相互間隔が小さくなり、よりピッチの小さいU字形冷陰極管の装着が可能となる。
【0029】
上記のように、この可変ランプソケットLSは、U字形冷陰極管1のピッチが異なっても、そのピッチに合致するように左右のランプ保持部の相互間隔を変更して同じものを共用できるので、従来のようにピッチが異なるU字形冷陰極管ごとに専用のランプソケットを揃える必要がなくなり、コストダウンが可能になると共に、面倒な仕分け作業をなくすことも可能となる。しかも、連結部3が左右両端近傍の切欠き溝3e,3e,3f,3fのところで前方へ自然に屈曲変形し、且つ、前壁部3bと後壁部3cの薄肉化された中間部で前方へ自然に湾曲変形するように構成されているため、ランプソケットの背後に連結部変形用のスペースがなくても、確実に取付けることが可能となる。
【0030】
なお、リアフレーム7に掛止部を設けて、湾曲変形した連結部3を掛止させるように構成すると、左右のランプ保持部2,2や脚部4,4を押し拡げる方向の応力を抑制できる利点があるので好ましい。
【0031】
図9は本発明の他の実施形態に係る可変ランプソケットの平面図であって、この可変ランプソケットLSは、連結部3の左右中央部において、前壁部3bの後面に上下方向のV字状の切欠き溝3iを設けると共に、後壁部3cの後面にも上下方向のV字状の切欠き溝3iを設けた点で、前記実施形態の可変ランプソケットLSと構成が異なっている。
その他の構成は前記実施形態の可変ランプソケットLSと同様であるので、図9において同一部材に同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0032】
この可変ランプソケットLSは、V字状の切欠き溝3i,3iのところで前壁部3bおよび後壁部3cが前方へ屈曲し易くなり、左右のランプ保持部2,2を中央に向かって両側から押したときに、連結部3の前壁部3bおよび後壁部3cが確実に前方へ屈曲変形するので、前記可変ランプソケットLSと同様の作用効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0033】
1 U字形冷陰極管
2 ランプ保持部
3 連結部
3a 空洞部
3b 前壁部
3c 後壁部
3e,3f,3i 切欠き溝
3g,3h 湾曲面
4 脚部
5 ランプワイヤ
7 リアフレーム
7a 取付穴
LS 可変ランプソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字形冷陰極管の両端部を保持する左右のランプ保持部と、左右のランプ保持部を連結する横長の連結部と、下方に突き出す左右の脚部とを、エラストマーで一体に成形したランプソケットであって、
上記連結部に上下方向に貫通する空洞部を形成して、上記連結部を前壁部と後壁部を有する二重壁構造としたことを特徴とする可変ランプソケット。
【請求項2】
前記連結部の左右両端近傍部において、前記連結部の前面に上下方向の切欠き溝を設けると共に、前記空洞部の後面と左右の側面とで形成されるコーナー部に上下方向の切欠き溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載の可変ランプソケット。
【請求項3】
前記連結部の左右中間部において、前記前壁部の後面を前方へ湾曲する湾曲面となして前記前壁部を薄肉化すると共に、前記後壁部の後面を前方へ湾曲する湾曲面となして前記後壁部を薄肉化したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変ランプソケット。
【請求項4】
前記連結部の左右中央部において、前記前壁部の後面に上下方向の切欠き溝を設けると共に、前記後壁部の後面に上下方向の切欠き溝を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変ランプソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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