説明

可撓性流体接合器

【課題】3つ以上の流体ダクト(22、23、24)を連結する、可撓性流体接合器(21)提供る。
【解決手段】本接合器は1対の可撓性ウェブを含み、少なくとも3つのチューブまたは流体ダクトが、可撓性ウェブ(26、27)の間に配置される。ウェブの外周部は共に封止され且つチューブを囲んで、チャンバ(28)を規定する。それぞれのチューブの一端(25、29)は、流体がそれぞれのチューブからチャンバを通って流れるように、チャンバの内側で終端する。さらにまた、可撓性流体接合器を製造する方法、および可撓性流体接合器を使用する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、概して、3つ以上の流体ダクトまたはチューブを結合する器具に関する。より具体的には、本発明は、3つ以上の流体ダクトを結合し、またダクトの間に配置された可撓性チャンバを備える器具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医学的処置において、2つ以上の容器を患者と連結する必要がある。そのような一例は、少なくとも1つの充填した溶液容器が患者の腹膜腔に連結され、この溶液容器はまた次にドレーン容器に連結される、腹膜透析である。溶液容器、腹膜腔、およびドレーン容器は、三方向接合器によって連結されねばならない。しかし、可塑性チューブにより形成された単純なY形接合器は、1つのダクトを他の2つのダクトから完全に隔離する効率的な方法が無いため、多くの場合十分ではない。具体的には、単純なY形接合器が利用される場合には、隔離すべきダクトは、接合部に過剰量の圧力を与え、それにより接合部の破損または亀裂の危険性、またはクランプするのに患者が過剰な力を必要とする事態を避けるために、接合部から少なくとも数インチ離れた位置でクランプされねばならない。接合部から離れてクランプすることにより、隔離したレッグ内の汚染物または気泡を収集する機会が与えられる。
【0003】
接合器における1つ以上のチューブの隔離は重要である。具体的には、腹膜透析の場合には、溶液チューブと患者コネクタ(patient connector)との間の連通が確立される前に、溶液チューブから気泡を取り除くことが重要である。具体的には、図1を参照すると、溶液容器バッグ11から患者コネクタ12を介して患者へ透析溶液を送達するシステム10が示されている。典型的には、結合は、まず患者と患者コネクタ12との間で行われる。次いで、流れが患者ライン12を通り、ドレーンライン13を通って、ドレーンバッグ14内へと確立される。ドレーンが完了すると、患者ライン12はクランプされる。次いで、クランプ15が取り除かれ、溶液がライン16を通ってフラッシュされて、いかなる気泡も取り除く。新鮮な溶液のバッグ11と患者コネクタ12との間の連通を確立するために、クランプは、溶液ライン16をドレーンライン13から隔離するために、概略的に15で示されるY形接合器に配置されねばならない。クランプの適切な位置は、概略的に矢印17で示される。
【0004】
しかし、図1に示すように、溶液ライン16が患者ライン12およびドレーンライン13と出会う地点付近のY形接合器をクランプすることは困難である。機械的なクランプを使用する場合には、Y形接合器15付近の溶液ライン16をクランプすることは、困難であるか、または接合器15に損傷を与えることになり得る。ドレーンライン13を患者コネクタ12および溶液ライン16から隔離することが望ましい場合、または患者コネクタ12を溶液ライン16およびドレーンライン13から隔離することが望ましい場合にも、同じことが当てはまる。
【0005】
さらに、図1に示すY形接合器は、通常、射出成形加工によって製造される。この加工は、押し出し加工などのそれほど費用がかからない加工に比べると、比較的費用がかかる。なぜなら、図1に示す射出成形したY形接合器は、比較的剛直な構造であるので、2つの容器ライン、1つのドレーンライン、および1つの患者コネクタなどの4つのチューブまたはラインを適合させるために接合器15を拡張することが非常に困難だからである。いずれにせよ、そのような改変が行われた場合には、射出成形した接合器は、クランプするのが非常に難しく、従って、1つ以上のラインをその他のラインから隔離するのが非常に難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、3つ以上の流体チューブを結合することが可能な、改善された流体接合器が必要とされる。そのような接合器は、可撓性があり、且つクランプが容易であって、使用者が1つ以上の流体ダクトをその他の流体ダクトから隔離することが可能であるべきである。さらに、そのような接合器は、好適には、射出成形加工ではなく、押し出し加工により製造されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、3つ以上の流体ダクト、チューブ、またはラインを結合することが可能な、改善された可撓性流体接合器を提供する。本発明の可撓性流体接合器は、1対の可撓性ウェブと、2つの可撓性ウェブの間に配置された少なくとも2つのチューブとを有する。ウェブの外周部は共にチューブを囲んで封止されてチャンバを規定する。それぞれのチューブの一端は、チャンバの内側で終端する。2つのウェブの内表面と2つのウェブの封止された外周部とによって規定されたチャンバは、容易にクランプされて任意の1つ以上のチューブを残りのチューブから隔離することが可能な流体用可撓性混合チャンバを提供する。
【0008】
ある実施形態では、チューブのうちの2つが、2つのチューブの間で且つチャンバの内部に配置された開口部を介して結合されている。
【0009】
ある実施形態では、可撓性流体接合器は、3つのチューブを含む。3つのチューブは、間に配置された開口部を介して結合された1対のチューブを含み得、この開口部は、チャンバ内部に配置されている。
【0010】
ある実施形態では、可撓性流体接合器は、4つのチューブを含む。この4つのチューブはまた、間に配置された開口部を介して結合された2対のチューブを含み得、これらの開口部は、チャンバ内部に配置されている。
【0011】
好適な実施形態では、ウェブは、押し出し加工によって形成される。
【0012】
ある実施形態では、可撓性流体接合器はまた、ウェブの外表面を横切って延びるクランプを含む。このクランプは、閉位置において、ウェブの内表面を共に圧迫し、1つ以上のチューブを残りのチューブから隔離する。
【0013】
ある実施形態では、クランプは、回動的に共に結合された上部および下部アームを含み得る。一方のアームは、他方のアームの遠位端に係合する掛け金を含み得、これによりクランプを閉位置に保持する。
【0014】
ある実施形態では、ウェブは、ポリ塩化ビニル(PVC)から成る膜を含む。 ある実施形態では、ウェブは、EastmanChemical CompanyによってPCCEの商品名で販売されているコポリエステルなどのコポリエステルを用いてコーティングされるか、貼り合わされるか、または同時押し出し成形されたPVCから成る膜を含む。
【0015】
ある実施形態では、ウェブは、DuPontによってHYTRELの商品名で販売されているポリエステルブロックコポリマーなどのポリエステルブロックコポリマー、またはLonza,IncによってACRAWAXの商品名で販売されているような潤滑剤を含むコポリエステルポリマーから成る膜を含む。
【0016】
ある実施形態では、ウェブは、ACRAWAXを含むHYTRELから成る膜を含む。
【0017】
ある実施形態では、ウェブは、多層材料を含む。この多層材料は、例えば、高温強度性および高温型離れ性を有する上部層、エチレンビニルアセテートとイオノマーとの混合物である中間層、およびポリプロピレンと熱可塑性エラストマーとの混合物である下部層を含み得る。
【0018】
好適な実施形態では、ウェブの外周部は、高周波またはRFによって、共に封止される。
【0019】
ある実施形態では、本発明は、可撓性流体接合器の製造方法を提供する。この製造方法は、1対の可撓性ウェブと少なくとも3つのチューブとを設ける工程と、それぞれのチューブの一端を可撓性ウェブの間に挿入する工程と、その後、ウェブの外周部を共にチューブを囲んで封止してチャンバを規定する工程とを包含する。
【0020】
ある実施形態では、本発明は、腹膜透析に使用することが可能な、改善された流体交換システムを提供する。溶液容器、ドレーン容器、および患者コネクタは全て、本発明の可撓性流体接合器を使用して結合される。
【0021】
ある実施形態では、本発明は、溶液容器およびドレーン容器を含む少なくとも2つの容器を、患者チューブに気泡を導入することなく、少なくとも1つの供給チューブに連結する方法を提供する。この方法は、1つの溶液容器および1つのドレーン容器を含む少なくとも2つの容器を設ける工程と、上記のような可撓性流体接合器に、患者チューブに指定された1つのチューブ、ドレーンチューブに指定された1つのチューブ、および溶液チューブに指定された1つのチューブを設ける工程とを包含する。最初に、溶液チューブが、クランプによりドレーンチューブおよび患者チューブから隔離される。ドレーンチューブがドレーン容器に結合され、且つ患者チューブが排出流体源(例えば患者の腹膜腔)に結合された後に、溶液容器が溶液チューブに結合される。溶液チューブがドレーンラインおよび患者ラインから隔離される間は、流体の流れは、排出流体源とドレーン容器との間に確立されて、排出流体を排出し、且つ汚染物を結合器から取り除く。次いで、患者ラインが閉じられ、クランプが取り除かれ、そして溶液が溶液チューブからドレーン容器へと流れ得る。チューブの両方が気泡を含んでおらず、従って、空気は患者の腹膜腔に伝達されない。次いで、クランプがドレーンラインに移され、患者ラインが開かれる。新鮮な透析物が患者に流れ込む。
【0022】
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(1)それぞれが外周部を有する1対の可撓性ウェブと、上記可撓性ウェブの間に配置された少なくとも2つのチューブとを有し、上記ウェブの上記外周部が共に封止され、且つ上記チューブを囲んでチャンバを規定し、上記チューブのそれぞれの一端が上記チャンバの内側で終端する、可撓性流体接合器。
(2)上記2つのチューブが、上記チューブの間で且つ上記チャンバの内部に配置された開口部を介して結合される、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(3)上記ウェブが押し出し加工によって形成される、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(4)上記ウェブの外表面を横切って延びるクランプをさらに有し、上記クランプが、閉位置において、上記ウェブの内表面を共に圧迫して上記チューブの少なくとも1つを他のチューブから隔離する、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(5)上記ウェブの外表面を横切って延びるクランプをさらに有し、上記クランプが一方の上記ウェブの上記外表面に結合し且つ上部アームと下部アームとを有し、上記アームが共に回動的に結合し、上記下部アームが、上記上部アームが閉位置において上記下部アームに向かって下方に回動するときに、上記上部アームの遠位端に係合する掛け金を含み、上記チューブの少なくとも1つが他のチューブから隔離される、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(6)上記チャンバの内側で終端し、且つ上記2つのウェブの上記外周部の間に封止可能に結合される第3のチューブをさらに有する、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(7)上記第3のチューブが、上記チューブの他の1つに、これらの上記チューブの間で且つ上記チャンバの内部に配置された開口部を介して結合される、項目(6)に記載の可撓性流体接合器。
(8)上記ウェブの外表面を横切って延びるクランプをさらに有し、上記クランプが、閉位置において、上記ウェブの内表面を共に圧迫して上記チューブの2つを他の上記チューブから隔離する、項目(6)に記載の可撓性流体接合器。
(9)上記接合器が、実質的に永久的な変形をすることなく、クランプした位置で貯蔵することが可能な、項目(8)に記載の可撓性流体接合器。
(10)上記ウェブの外表面を横切って延びるクランプをさらに有し、上記クランプが一方の上記ウェブの上記外表面に結合し且つ上部アームと下部アームとを有し、上記アームが共に回動的に結合し、上記下部アームが、上記上部アームが閉位置において上記下部アームに向かって下方に回動するときに、上記上部アームの遠位端に係合する掛け金を含み、上記クランプが、閉位置において、上記チューブの2つを他の上記チューブから隔離する、項目(6)に記載の可撓性流体接合器。
(11)第3のチューブと第4のチューブとをさらに有し、上記第3および第4のチューブの両方が上記チャンバの内側で終端し、且つ上記2つのウェブの外周部の間に封止可能に結合される、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(12)上記第4のチューブが、上記チューブの他の1つに、これらの上記チューブの間で且つ上記チャンバの内部に配置された開口部を介して結合される、項目(10)に記載の可撓性流体接合器。
(13)上記ウェブの外表面を横切って延びるクランプをさらに有し、上記クランプが、閉位置において、上記ウェブの内表面を共に圧迫して上記チューブの2つを上記チューブの他の2つから隔離する、項目(10)に記載の可撓性流体接合器。
(14)上記第3のチューブが、上記チューブの他の1つに結合され、上記クランプが一方の上記ウェブの上記外表面に結合し且つ上部アームと下部アームとを有し、上記アームが共に回動的に結合し、上記下部アームが、上記上部アームが閉位置において上記下部アームに向かって下方に回動するときに、上記上部アームの遠位端に係合する掛け金を含み、上記クランプが、閉位置において、上記チューブの2つを上記チューブの他の2つから隔離する、項目(10)に記載の可撓性流体接合器。
(15)第3のチューブ、第4のチューブ、および第5のチューブをさらに有し、上記第3、第4、および第5のチューブが上記チャンバの内側で終端し、且つ上記2つのウェブの上記外周部の間に封止可能に結合される、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(16)上記ウェブが、PVC、コポリエステルでコーティングされたPVC、コポリエステルと貼り合わされたPVC、コポリエステルと同時押し出しされたPVC、ポリエステルブロックコポリマー、潤滑剤を含むポリエステルブロックコポリマー、ポリエチレン、およびポリプロピレンから成る群より選択した膜を有する、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(17)上記ウェブの上記外周部が、RFによってチューブに対して共に封止されている、項目(1)に記載の可撓性流体接合器。
(18)患者チューブと、少なくとも1つの溶液ラインと、少なくとも1つの溶液容器と、ドレーンラインと、ドレーン容器と、可撓性流体接合器とを有する、流体交換システムであって、上記可撓性流体接合器が、それぞれが外周部を有する1対の可撓性ウェブと、溶液チューブ、ドレーンチューブ、および供給チューブを含む少なくとも3つのチューブとを有し、上記チューブのそれぞれが上記可撓性ウェブの間に配置され、上記ウェブの上記外周部が共に封止され、且つ上記チューブを囲んでチャンバを規定し、上記チューブのそれぞれの一端が上記チャンバの内側で終端し、上記溶液チューブが上記溶液容器に結合され、上記ドレーンチューブが上記ドレーン容器に結合される、流体交換システム。
(19)上記溶液チューブと上記ドレーンチューブとが、上記チューブの間で且つ上記可撓性ウェブの間に配置された開口部を介して結合され、上記開口部が上記チャンバの内部に配置される、項目(18)に記載のシステム。
(20)上記ウェブの外表面を横切って延びるクランプをさらに有し、上記クランプが、閉位置において、上記ウェブの内表面を共に圧迫し、且つ上記チューブの少なくとも1つを隔離し、隔離した上記チューブからの流れが上記チャンバに入るのを防ぐ、項目18に記載のシステム。
(21)溶液容器およびドレーン容器を含む、少なくとも2つの容器と、少なくとも1つの供給チューブとを上記供給チューブから気泡を導入することなく連結する、方法であって、上記溶液容器と上記ドレーン容器とを含む少なくとも2つの容器を設ける工程と、それぞれが外周部を有する1対の可撓性ウェブと、溶液チューブ、ドレーンチューブ、および供給チューブを含む少なくとも3つのチューブと、を有する可撓性流体接合器を設ける工程であって、上記チューブのそれぞれが上記可撓性ウェブの間に配置され、上記ウェブの上記外周部が共に封止され且つ上記チューブを囲んで、チャンバを規定し、上記チューブのそれぞれの一端が上記チャンバの内側で終端する工程と、上記溶液チューブと上記ドレーンチューブおよび患者チューブとの間の上記可撓性流体接合器を横切って延びるクランプを用いて、上記溶液チューブを上記ドレーンチューブおよび上記供給チューブから隔離する工程と、上記ドレーンチューブを上記ドレーン容器に結合する工程と、上記患者チューブを排出流体源に結合する工程と、上記溶液容器を上記溶液チューブに結合する工程と、上記排出流体源と上記ドレーン容器との間の流体の流れを確立する工程と、上記クランプを取り除く工程とを包含する、方法。
(22)上記溶液チューブと上記ドレーンチューブとが、上記チューブの間で且つ上記可撓性ウェブの間に配置された開口部を介して結合され、上記開口部が上記チャンバ内部に配置される、項目(21)に記載の方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の利点は、3つ以上の流体ダクトを結合することが可能な改善された可撓性流体接合器を提供することである。
【0024】
本発明の別の利点は、容易にクランプされ、それにより使用者が1つ以上の流体ダクトを残りの流体ダクトから隔離することを可能にする、改善された可撓性流体接合器を提供することである。
【0025】
本発明のさらに別の利点は、射出成形加工ではなく、押し出し加工を使用して製造される、改善された可撓性流体接合器を提供することである。
【0026】
さらにまた、本発明の利点は、製造者が、ウェブを製造するために使用される膜の厚みを調節することによって、接合器を通る流量を制御することを可能にする、可撓性流体接合器を提供することである。
【0027】
本発明の別の利点は、製造者が、混合チャンバの寸法を調節することによって、接合器を通る流量を制御することを可能にする、可撓性流体接合器を提供することである。
【0028】
さらに、本発明の利点は、流体交換が完了すると、患者から溶液を閉鎖するかまたは遮断することが可能な、可撓性流体接合器が提供されることである。
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、現時点において好適な実施形態の詳細な説明において説明され、且つこの説明および図面より明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(現時点において好適な実施形態の詳細な説明)
本発明は、3つ以上の流体ダクトを連結する、改善された可撓性流体接合器を提供する。図2に示すように、可撓性流体接合器21は、チューブまたは流体ダクト22、23、および24を連結する。22、23、および24で示すチューブは、より長いチューブまたは流体ラインに結合されるブッシングであり得る。または、チューブ22、23、および24は、各々の流体源または容器に直接的に結合され得る。さらに、チューブ23および24は、その間に配置された開口部25を介して結合される。チューブ22、23、および24は、下部ウェブ26および上部ウェブ27を含む2つの可撓性ウェブの間に配置される。ウェブ26および27の中央部は、明瞭化のために切り取られている。ウェブ26および27の外周部は、共に封止されて概略的に28で示すチャンバを形成する。開口部25およびチューブ22の端部29は、チャンバ28内部に配置される。チャンバ28は、チューブ22、23、および24を通って流れる流体を混合する領域の役割を果たす。さらに、ウェブ26および27は可撓性であるので、チャンバ28はクランプまたは封止により遮断され得、それによりチューブ22をチューブ23および24から隔離することが可能である。適切なクランプ機構の例を、図5に示す。ウェブ26および27の外周部は、好適には、高周波(RF)加工によって封止される。さらに、外周部は、熱、接着剤、またはその他の適切な加工を使用して封止され得る。
【0031】
図2に示す接合器21は特に、図1に示す透析システムに特に適しているが、他の使用法も予想される。具体的には、溶液ライン16がチューブ22に結合され、患者ライン12およびドレーンライン13は、チューブ23および24に各々結合され得る。溶液ライン16およびチューブ22を隔離するためには、クランプがチャンバ28を横切って、チューブ22とチューブ23および24との間に配置され得る。
【0032】
2チューブ接合器を提供するために、チューブ22、23、および24のうちの1つを排除し得ることに留意されたい。そのような接合器の例を、図2Aに示す。具体的には、接合器21aは、2つのチューブ23aおよび24aを、下部ウェブ26aと上部27aとの間で連結する。チャンバ28aは、ウェブ26aと27aとの間に配置される。チューブ23aおよび24aはまた、図2に示すチューブ23および24のように結合され得る。
【0033】
図3は、4つのチューブまたは流体ダクト32、33、34、および35を連結する、可撓性流体接合器31を示す。図3に示す実施形態では、チューブ32と35とは開口部36を介して結合され、この開口部36はチューブの間で且つチャンバ(概略的に37で示す)の内部に配置される。同様に、チューブ33と34とは開口部38を介して結合され、この開口部38はチューブ33と34との間で且つチャンバ37の内部に配置される。このチャンバは、下部ウェブ39および上部ウェブ40の封止された外周部によって規定される。ウェブ39および40は、好適には、上記のように、RF加工またはその他の適切な手段によって封止される。チューブ32および35と33および34とは、図3に示すように結合される必要はない。すなわち、4つの別個のチューブまたはブッシングが利用され得る。
【0034】
図4に示すように、本発明はまた、5つの別個のチューブまたは流体ダクト52、53、54、55、および56を連結する、可撓性流体接合器51を構成するために利用され得る。5つより多い流体ダクトを連結する流体接合器も可能である。図4に示す実施形態では、チューブ54と55とは開口部56を介して結合され、この開口部56はこれらの間で且つ57で示すチャンバの内部に配置される。このチャンバは、下部ウェブ58および上部ウェブ59の外周部によって規定される。また、ウェブ58および59の外周部は、上記のように、RF加工またはその他の適切な手段によって封止され得る。
【0035】
図5は、4つのチューブ62、63、64、および65を連結する可撓性流体接合器61を示す。図5に示す実施形態では、チューブ62と65とは開口部65を介して結合され、この開口部65はこれらの間で且つチャンバ67の内部に配置される。また、チューブ63と64とは開口部68を介して結合され、この開口部68はこれらの間で且つチャンバ67の内部に配置される。チャンバ67は、下部ウェブ69および上部ウェブ70の外周部によって規定される。この場合もまた、ウェブ69および70の外周部は、好適には、RF加工またはその他の適切な封止手段によって封止される。
【0036】
図5に示す接合器61はまた、下部アーム73に回動的に結合した上部アーム72を含むクランプ機器71を特徴とする。下部アーム73の遠位端は、上部アーム72の遠位端75に係合する掛け金74を備える。上部アーム72は、端部75が掛け金74に係合して接合器61を閉じるかまたはクランプするように下方に回動し、それによりチューブ62および65をチューブ63および64から隔離する。実際には、クランプ機構71は、ウェブ69および70の内表面を共に圧迫して開口部66を開口部68から隔離する。また、図5に71で示すクランプ機構に類似のものを、図2に21で示すような三ダクト接合器、および図4に51で示すような四ダクト接合器に利用することも可能である。
【0037】
クランプ機構71の下部アーム73は、下部ウェブ69に取り付けられる。クランプ機構71を接合器61に取り付けることによって、クランプ機構71は接合器61に剛性を与え、接合器が巻かれるかまたはねじられて接合器61を通る流体、具体的にはチャンバ67を通る流体の流れが妨げられるのを防ぐ働きをする。さらに、チューブ62、63、64、および65を形成するために使用された材料が可撓性材料である場合には、クランプ機構71によって剛性が追加されるのは有益である。
【0038】
可撓性のウェブは、様々な材料により形成され得る。好適には、ウェブは、高速で且つ低コストであるので、押し出し加工を使用して形成される。ウェブ膜の1つの好適な材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)である。また、PCCEなどのコポリエステル層を有するPVCの層を含む膜も使用され得る。PCCEは、ポリエーテルとポリエチレンテレフタレートとのコポリマーであり、EastmanChemical Co.によって販売されている。PCCE層は、滅菌またはオートクレーブプロセス中の固着を防ぐために使用される。PCCE層はまた、RF封止プロセス中のビーズの形成も防ぐ。ウェブ表面上のビーズの形成の防止は、チャンバの一方の側をチャンバの他方の側から封止により遮断するクランプの能力に影響する。
【0039】
さらに、ウェブは、ACRAWAXを含むHYTRELなどの市販されている膜により形成することが可能である。HYTRELは、DuPontCo., Wilmington, Delawareにより市販されている。ACRAWAXは、Lonza, Inc., Fairlawn, New Jersey,により市販されている。上部および下部ウェブは、同一の膜により製造される必要はない。具体的には、1つの膜は、ACRAWAXを含むHYTRELにより製造することが可能であり、そして第2の膜は、PCCE、PVC、またはPCCEをコーティングしたPVCにより形成することが可能である。上述のPCCEをコーティングしたPVCに加えて、膜は、PVCをコーティングしたPCCEの層を含み得る。
【0040】
チャンバの一方の側をチャンバの他方の側から分離するために、剥離可能であり得る一時的なシールが提供され得ることも予想される。準備が整うと、このシールは簡単に剥がされ、チャンバの一方の側から他方の側へ連通し得る。
【0041】
図1〜図5に関連して上述した全てのチューブ部品およびウェブ部品要素は、押し出し加工により形成され得る。同様に上述されたように、図1〜図5に示したチューブまたはダクトは、容器または腔に結合される長いチューブに結合されるブッシングであり得る。またはチューブ自体が容器または腔に結合されるのに十分長く、それにより短いブッシングを必要でなくし得る。チューブまたは流体ダクトを製造するのに好適な材料は、PVCである。
【0042】
本明細書で説明した現時点において好適な実施形態に対する様々な変更および改変が、当業者に明らかであることは理解されるべきである。そのような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、且つ本発明に付随する利点を減じることなく行われ得る。従って、そのような変更および改変は、添付された請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、3つの流体ダクトを連結する従来技術のY形接合器を示す。
【図2】図2は、3つの流体ダクトを連結する、本発明によって製造された可撓性流体接合器を示す。
【図2A】図2Aは、2つの流体ダクトを連結する、本発明によって製造された可撓性流体接合器を示す。
【図3】図3は、4つの流体ダクトを連結する、本発明によって製造された可撓性流体接合器を示す。
【図4】図4は、5つの流体ダクトを連結する、本発明によって製造された可撓性流体接合器を示す。
【図5】図5は、4つの流体ダクトを連結し、且つ1対のダクトをその他の対のダクトから隔離するクランプ機構をさらに有する、本発明によって製造された可撓性流体接合器を示す。
【符号の説明】
【0044】
10 患者へ透析溶液を送達するシステム
11 溶液容器バッグ
12 患者ライン
13 ドレーンライン
14 ドレーンバッグ
15 クランプ
16 溶液ライン
21 可撓性流体接合器
22、23、24 チューブ
25 開口部
26 下部ウェブ
27 上部ウェブ
28 チャンバ
29 チューブ端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが外周部を有する1対の可撓性ウェブと、
該可撓性ウェブの間に配置された少なくとも2つのチューブとを有し、該ウェブの該外周部が共に封止され、且つ該チューブを囲んでチャンバを規定し、該チューブのそれぞれの一端が該チャンバの内側で終端する、可撓性流体接合器。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−244903(P2007−244903A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154569(P2007−154569)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【分割の表示】特願平10−535798の分割
【原出願日】平成10年2月5日(1998.2.5)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】