説明

可撓管の挿入ガイド装置及び管路更新工法

【課題】既設管に可撓管を引き込む際に、曲管部がある場合であっても可撓管の引っ張り力を小さくする。
【解決手段】到達立坑3から既設水道管1内を通って発進立坑へとワイヤ4を通し、可撓管装置5の挿入端に連結し、到達立坑3側で巻き上げて、可撓管装置5を既設水道管1内に引き込む。可撓管装置5の挿入端には、挿入ガイド装置60が取り付けられる。挿入ガイド装置60は、挿入ガイド部材61−63を有する。挿入ガイド部材61−63は、ワイヤ4が中通しされて可撓管装置5の挿入端に連結され、可撓管装置5の引っ張り方向の力P4に従って、自在に可撓管装置5の軸線に対して傾く。曲管部1aの内側の内面を押圧する分力P5は、比較例のP2より小さく、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力は、P6となり、比較例のP3より大きくなり、巻き揚げ機7の引っ張り力を小さくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の水道管等埋設された既設管に可撓管を挿入して管路更新するに際し、既設管に挿入される可撓管の先端に取り付けられて、可撓管の既設管への引き込みをガイドする挿入ガイド装置及び管路更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管路更新工法には、特許文献1に示すようなものがある。この特許文献1では、既設の水道管の管路更新をするため、既設の水道管内に、一回り細い可撓管を挿入するようにしている。可撓管を用いて管路更新を行う工法は、可撓管が撓むことから、既設の水道管内に直管を挿入して管路更新を行う工法に比べ管路更新工事が容易なものとなる。例えば、可撓管を用いて管路更新を行う工法では、鞘管である既設の水道管に曲管部がある場合にも、可撓管が曲がることから、容易に鞘管内に可撓管を引き込むことができ、また、可撓管を引っ張るだけで、既設の水道管に引き込むことができることから、大幅な工期の短縮を図ることができる。更に、埋設された水道管を露出させ、可撓管を挿入し引き出す発進立坑と到達立坑とを小さくすることができ、路面復旧面積を大幅に低減することができる。
【0003】
この可撓管は、通常、ウインチを用いて既設の水道管内に引き込まれる。可撓管を引き込む既設の水道管に曲管部がある場合、曲管部において、可撓管を引っ張る引っ張り力が大きくなってしまう。曲管部及び曲管部の手前においては、可撓管の挿入端が曲管部の内側の内面に強い力で押し付けられ、これが大きな負荷となるためである。このため、ウインチも、可撓管を曲管部において引き込むことができるように、動力の大きなものを用いる必要がある。また、曲管部において、ウインチを用いて可撓管を無理に引っ張った場合には、可撓管が損傷してしまう虞があり、また、ウインチが故障する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−92175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、既設管に可撓管を引き込む際に、曲管部がある場合であっても可撓管の引っ張り力を小さくすることができる可撓管の挿入ガイド装置及びこの挿入ガイド装置を用いた管路更新工法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、既設管に可撓管を引き込む際に用いる巻き揚げ機を、引っ張り力の小さな小型のものとし、管路更新工事を一層容易なものとすることができる可撓管の挿入ガイド装置及びこの挿入ガイド装置を用いた管路更新工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る可撓管の挿入ガイド装置は、既設管内に通されたワイヤが可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結され、該ワイヤが巻き上げられることで、該既設管内に引き込まれる可撓管の既設管内での挿入ガイド装置である。この挿入ガイド装置は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備える。上記挿入ガイド部材は、上記ワイヤが中通しされて上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている。
【0008】
また、本発明に係る可撓管の挿入ガイド装置は、既設管内に通されたワイヤが可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結され、該ワイヤが巻き上げられることで、該既設管内に引き込まれる可撓管の既設管内での挿入ガイド装置である。この挿入ガイド装置は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備える。上記挿入ガイド部材は、先端側に、上記ワイヤが連結されていると共に、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的にリンク部を介して連結されることで、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている。
【0009】
また、本発明に係る可撓管の挿入ガイド装置は、既設管内に通されたワイヤが可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結され、該ワイヤが巻き上げられることで、該既設管内に引き込まれる可撓管の既設管内での挿入ガイド装置である。この挿入ガイド装置は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備える。上記挿入ガイド部材は、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、上記可撓管が上記ワイヤによって引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている。
【0010】
本発明に係る管路更新工法は、埋設された既設管が露出するように、発進立坑と到達立坑とを設け、上記到達立坑から上記既設管内を通って上記発進立坑へとワイヤを通し、上記ワイヤを上記既設管内に挿入される可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結し、上記ワイヤを上記到達立坑側で巻き上げて、上記可撓管を上記既設管内に引き込むものである。この際、上記可撓管の挿入端には、以上のような挿入ガイド装置が取り付けられ、該挿入ガイド装置が取り付けられた可撓管を上記既設管内に引き込む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、挿入ガイド部材は、可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、可撓管が引っ張られた際に、既設管の曲管部において、曲管部の内側の内面に倣うように、可撓管に対して傾くようになされている。したがって、既設管の曲管部において、可撓管の軸線と垂直な曲管部の内側の内面を押圧する分力が小さくなり、可撓管の軸線方向の分力が大きくなり、巻き揚げ機の引っ張り力を小さくすることができる。したがって、既設管に可撓管を引き込む際に用いる巻き揚げ機を、引っ張り力の小さな小型のものとし、管路更新工事を一層容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が用いられる管路更新工法を示す図である。
【図2】既設管内に引き込む可撓管の要部断面図である。
【図3】挿口と受口とを接続させた状態を示した要部断面図である。
【図4】可撓管装置に取り付けられたヘッドカバー装置の斜視図である。
【図5】可撓管装置に取り付けられるヘッドカバー装置の分解斜視図である。
【図6】ヘッドカバー装置を可撓管装置の挿入端に接続した状態を示す要部断面図である。
【図7】挿入ガイド装置をヘッドカバーに取り付けられる側から見た斜視図である。
【図8】既設水道管の曲管部における挿入ガイド装置の状態を示す平面図である。
【図9】挿入ガイド装置の変形例を示す平面図である。
【図10】挿入ガイド装置の更なる変形例を示す平面図である。
【図11】挿入ガイド装置の更なる変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された挿入ガイド装置が用いられる管路更新工法について図面を参照して説明する。ここでは、埋設された既設水道管1の管路更新を例に説明する。
【0014】
本発明が適用された管路更新工法は、図1に示すように、例えば、幹線道路等広幅員・高規格の道路を横断する老朽化した既設水道管1の管路更新で主に採用される。この場合、道路の一方の側に、発進立坑2を設け、他方の側に、到達立坑3を設ける。次いで、ワイヤ4を、到達立坑3から埋設された既設水道管1内に通して発進立坑2に導き、既設水道管1の内径より径の小さな新規管となる可撓管装置5の先端にワイヤ4を取り付ける。
【0015】
ここで、可撓管装置5は、既設水道管1の曲管部1aにおいても、曲管部1aに倣って湾曲する程度の可撓性を有している。この可撓管装置5は、先ず、発進立坑2側に設置されたドラム6に巻回された状態で準備される。
【0016】
ワイヤ4が到達立坑3側に設置されたウインチ等の巻き揚げ機7で巻き上げられると、可撓管装置5は、既設水道管1内に引き込まれる。到達立坑3内に可撓管装置5の先端が到達すると、この先端には、挿口が設けられ、この挿口は、埋設されている第1の水道管8の受口に接続される。また、可撓管装置5の発進立坑2側の端部には、例えば受口が設けられ、この受口は、埋設されている第2の水道管9の挿口と接続される。
【0017】
なお、第1の水道管8や第2の水道管9は、鋳鉄管、塩化ビニール系樹脂管やポリエチレン系樹脂管等の樹脂管、鋼鉄管やアルミ合金管等の金属管等で構成される直管だけでなく、後述する可撓管装置5であっても良い。
【0018】
また、本発明の管路更新工法は、高規格の道路を横断する既設水道管1の管路更新に用いる他に、線路等の軌道を横断する既設水道管の管路更新や人通りの道路下の既設水道管の管路更新や河川を横断する既設水道管の管路更新等の水道管の布設替が困難な場所で用いることができる。また、本発明の管路更新工法は、これら以外の場所においても用いることができる。
【0019】
[可撓管装置の説明]
ここで、既設水道管1の内部に挿入される可撓管装置5は、例えば、図2に示すように、可撓性や伸縮性、更に、密閉性を有するベローズ管11の外周面にブレード12が巻回されて形成されている。また、ベローズ管11の両端には挿口又は受口が設けられる端管13が設けられている。
【0020】
ベローズ管11は、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、凸部が連続して管軸方向に形成されたベローズを有するベローズ本体11aと、このベローズ本体11aの両端部に端管13と接続するためにそれぞれ直管状の接続部11bとが一体に設けられている。ベローズ管11は、既設水道管1の内径より径が小さく設けられ、発進立坑2から到達立坑3まで達する十分な長さを有している。ベローズ管11は、例えば、作業者が容易に手で曲げることができる程度に可撓性や伸縮性を有するように、板厚、ベローズの数、高さ等が設計されている。
【0021】
ブレード12は、図2に示すように、ベローズ本体11aの伸長や局所的変形を防止するため、ベローズ本体11aの外周面に、管軸方向に沿って全長に亘って巻回されている。ブレード12は、例えば、帯状の金属薄板を網目状に織ってなるリボンブレードや金属線を網目状に織ってなるワイヤブレード等が用いられる。
【0022】
接続部11bと接続される端管13は、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、ベローズ管11の接続部11bの外径と略同径の内径を有する直管状に形成されている。
【0023】
端管13は、ベローズ管11の接続部11bと接続される。具体的に、端管13は、図2に示すように、端管13の内周面がベローズ管11の接続部11bの外周面に嵌合される。そして、端管13は、ベローズ本体11aの強度が溶接時の熱等による影響で低下しないように、図2中の符号15aに示すように、端管13の内周面と接続部11bの先端とで溶接され、ベローズ管11と一体化されている。
【0024】
端管13には、外周面に、ステンレス材等の金属材料からなるリング形状の鍔部材16が嵌合されている。端管13は、図2中の符号15bに示すように、鍔部材16の内周面と溶接により一体化されている。鍔部材16は、ベローズ管11を構成する各凸部と略同じ高さとなるように形成され、端管13に接続部11bが嵌合されたとき、ベローズ本体11aの最外凸部に外側から突き当てられることによって、ベローズ本体11aの端部を保護する。
【0025】
なお、端管13は、リング形状の鍔部材16を設ける他に、端管13の周回り方向にベローズ本体11aの端部を保護する一又は複数個の舌片を設けるようにしてもよい。
【0026】
鍔部材16の外周面には、図2中の符号15cで示すように、ベローズ本体11aに巻回されたブレード12の端部とブレード押さえ部材17が溶接されている。ブレード押さえ部材17は、リング形状であり、織物であるベローズ本体11aに巻回されたブレード12の端部が解れ広がらないように、ブレード12の端部をベローズ本体11aに押さえ付けて保護する。これにより、ブレード12は、ベローズ本体11aの一端において、ベローズ本体11aに固定されている。
【0027】
ベローズ管11に巻回されたブレード12の外周面には、防錆テープ18が巻回され、更に、巻回された防錆テープ18の外層部に保護テープ19が巻回されている。防錆テープ18と保護テープ19は、ベローズ本体11aの一端において、止めリング20によって固定されている。防錆テープ18は、ベローズ管11が長期間に亘って地中に埋設されることにより、粘着力が低下したテープ状の保護テープ19から水が浸透した場合でも、ベローズ管11に達しないように腐蝕を防止する。
【0028】
なお、ベローズ本体11aに巻回されるブレード12、防錆テープ18及び保護テープ19は、ベローズ管11の可撓性、伸縮性等の特性を損なわせるものではない。また、防錆テープ18、保護テープ19、止めリング20は、使用条件によっては、設けなくてもよい。
[挿口と受口の接続構造の説明]
可撓管装置5の一方の端管13には、挿口が設けられ、他方の端管13には、受口が設けられる。ここで、図3には、受口と挿口との接続構造を示す。図3の例では、可撓管装置5の一方の端管13の挿口25が図1に示す第1の水道管8の受口28に接続されている。
【0029】
なお、第1の水道管8の受口28の構成は、可撓管装置5の他方の端管13の受口の構成と同じである。また、可撓管装置5の一方の端管13の挿口25の構成は、第2の水道管9の挿口の構成と同じである。そして、可撓管装置5の受口も、次に説明する図3のような構造で第2の水道管9の挿口と接続される。
【0030】
ここでは、図3を用いて、可撓管装置5の挿口25と第1の水道管8の受口28の接続構造を中心に説明する。
【0031】
ベローズ管11に接続される端管13は、外周面に、周回り方向に全周に亘って後述する離脱防止部材24が係合される凹溝21と、周回り方向に全周に亘って後述するヘッドカバー装置40が係止されるストッパ部22が形成されている。
【0032】
以上のような構成を有する可撓管装置5の一端に設けられる端管13は、図3に示すように、端管13に対してフランジ部材23が凹溝21より内側(ベローズ管11側)に挿入され、凹溝21に離脱防止部材24が係合されることで、挿口25となる。
【0033】
フランジ部材23は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料によりリング状に形成され、中央に、端管13が挿通される挿通孔23aが形成されている。また、フランジ部材23には、管軸方向へ突出する脱落防止片26が形成されている。更に、フランジ部材23には、略同一円周上に互いに等間隔に、厚み方向に貫通する複数個の第1の貫通孔27が形成されている。
【0034】
離脱防止部材24は、図3に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなるリング形状又はCリング形状であり、凹溝21に係合され、フランジ部材23の内周端に係合して、フランジ部材23が端管13の一端側へ脱落することを防止する。
【0035】
また、挿口25には、図3に示すように、挿口25が受口28に挿入された際に、挿口25と受口28との間の間隙を埋めて、挿口25と受口28との間の水密性、気密性を保持するシーリング部材29が装着される。このシーリング部材29は、ゴムや合成ゴム等の弾性材料によって略円錐筒状に成形されている。
【0036】
一方、以上のように構成された挿口25が挿入される受口28は、図3に示すように、挿口25の直管状の端管13より大径の受口部31と、受口部31の外周面に設けられた結合部32とを有する。
【0037】
受口部31は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料で形成され、端管13より大径の内径を有する太径管部33と、可撓管装置5の一方の端管13の挿口25と接続される直管部34と、太径管部33と直管部34との間の連結管部35とを有し、全体として断面略漏斗状に形成されている。
【0038】
太径管部33には、挿口25が挿入された際に、シーリング部材29が圧着される内側に向かって次第に小径となるテーパ部36が形成されている。太径管部33の外周面の先端には、フランジ部材23の外径と略同径の外径を有する結合部32が全周に亘って一体に形成されている。
【0039】
結合部32には、厚み方向に貫通する複数個の第2の貫通孔37が形成されている。結合部32は、第1のボルト38が第1及び第2の貫通孔27,37に挿通され、第1のボルト38にナット39が締め付けられることで、フランジ部材23と結合される。
【0040】
直管部34は、端管13の他端と同様の構成を有しているので詳細な説明は省略する。
【0041】
管路更新工法では、図1に示すように、可撓管であるベローズ管11を主たる構成要素とする可撓管装置5の既設水道管1への挿入端となる先端にヘッドカバー装置40を取り付け、更に、このヘッドカバー装置40に本発明が適用された挿入ガイド装置60を取り付け、このヘッドカバー装置40又は挿入ガイド装置60にワイヤ4を取り付けて、ウインチ等の巻き揚げ機7でワイヤ4を巻き取ることによって、可撓管装置5を発進立坑2から既設水道管1の内部に引き込む。そして、可撓管装置5の挿入端となっている挿入ガイド装置60やヘッドカバー装置40が到達立坑3内に露出すると、到達立坑3内において、可撓管装置5の一端には、挿口25が設けられ、この挿口25は、第1の水道管8の受口28に例えば図3に示すようにして接続される。また、可撓管装置5は、発進立坑2内において、受口28が設けられ、この受口28には、第2の水道管9の挿口が例えば図3に示すようにして接続される。
【0042】
なお、可撓管装置5と第1の水道管8や第2の水道管9とを接続するに当たっては、図3の構造に限定されるものではなく、例えば、直管状の端管13と第1の水道管8や第2の水道管9と溶接によって接合してもよい。溶接で可撓管装置5と第1の水道管8や第2の水道管9とを接続する場合は、接続構造を簡素化することができる。また、図3の変形例として、ストッパ部22や離脱防止部材24、更に、離脱防止部材24が取り付けられる凹溝21を省略しても良い。
【0043】
[ヘッドカバー装置の説明]
以下、既設水道管1への挿入端となる可撓管装置5の一方の端管13に取り付けられるヘッドカバー装置40について、図4−図6を参照して説明する。
【0044】
このヘッドカバー装置40は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料によって略砲弾形状に形成されている。このヘッドカバー装置40は、先端が次第に縮径するように設けられているカバー本体41と、このカバー本体41の先端側外周面に溶接され、ワイヤ4が取り付けられるワイヤ取付部42と、端管13に接続する接続部43とを有する。
【0045】
カバー本体41は、略円筒体の一端に円錐状の先端部を設けた砲弾型の形状であり、端管13に容易に着脱できるように、長軸に沿って2分割された第1の半体41aと第2の半体41bとで構成されている。第1及び第2の半体41a,41bは、突き当て面44a,44b同士で突き合わされたとき、可撓管装置5の挿入端やその近傍を保護するために、最大外径が可撓管装置5と略同径又はやや大径に設けられている。第1及び第2の半体41a,41bは、端管13を先端からストッパ部22まで収納できる全長を有している。
【0046】
以上のよう構成を有するカバー本体41は、先端が次第に縮径するように設けられているので、既設水道管1の内部に挿入されている最中に、可撓管を主たる構成要素とする可撓管装置5を、既設水道管1の内部の段差や付着物等に接触又は引っ掛からないようにガイドすることができる。
【0047】
なお、カバー本体41は、先端部が円錐形状であることに限定されるものではなく、平坦であっても良く、その他の形状、例えば半球形であっても良い。
【0048】
カバー本体41の円錐状の先端部に設けられるワイヤ取付部42は、カバー本体41の先端部に一定幅で全体が略三角状となるように形成されている。このワイヤ取付部42は、第1の半体41aの先端面にある第1のワイヤ取付片42aと第2の半体41bの先端面にある第2のワイヤ取付片42bとで構成されている。
【0049】
第1及び第2のワイヤ取付片42a,42bには、ワイヤ4やワイヤ取付部材54が取り付けられる第1及び第2の貫通孔45a,45bが形成されている。第1及び第2の貫通孔45a,45bは、第1の半体41aと第2の半体41bが突き合わされたとき、一致し、ワイヤ4やワイヤ取付部材54が取り付けられる。なお、ワイヤ4が取り付けられる第1及び第2の貫通孔45a,45bは、複数であっても良い。
【0050】
更に、第1及び第2のワイヤ取付片42a,42bには、第1の半体41aと第2の半体41bとを結合する第1及び第2の結合孔46a,46bが形成されている。第1及び第2の結合孔46a,46bは、例えば、一方の半体の結合孔をネジ孔で形成し、ボルト47を他方の半体の結合孔から挿通し、一方の結合孔に締め付けることで、第1及び第2の半体41a,41bを一体に結合する。
【0051】
更に、カバー本体41には、ワイヤ取付部42が設けられた先端側と反対側の基端部にそれぞれ端管13のストッパ部22に係止されて端管13と接続する接続部43が設けられている。接続部43は、第1の半体41aの第1のワイヤ取付片42aが設けられた先端側と反対側に設けられた第1の係止部43aと、第2の半体41bの第2のワイヤ取付片42bが設けられた先端側と反対側に設けられた第2の係止部43bとによって構成されている。第1及び第2の係止部43a,43bは、それぞれ、底面を半円状に切り欠いて形成され、第1の半体41aと第2の半体41bとが突き合わされたとき、挿入される端管13の外径より少し大きい円形孔48を形成し、内周端が端管13のストッパ部22と係止するようになっている。
【0052】
また、第1及び第2の半体41a,41bの基端部の底面には、第1の半体41aと第2の半体41bとを一体に結合する第1及び第2の結合孔49a,49bが形成されている。例えば、第1及び第2の結合孔49a,49bは、それぞれ突き当て面44a,44b近傍であり両端近傍に、2箇所形成されている。
【0053】
結合部材51は、矩形状の薄板であり、第1及び第2の半体41a,41bを結合するために、第1及び第2の半体41a,41bの基端部の底面に形成された第1の結合孔49a,49bに対応する第1及び第2の取付孔52a,52bが形成されている。
【0054】
以上のような構成を有するヘッドカバー装置40は、可撓管装置5を発進立坑2から既設水道管1の内部に挿入させるときに、第1及び第2の貫通孔45a,45bを一致させると共に、第1及び第2の係止部43a,43bをストッパ部22より内側に配置された状態で第1及び第2の半体41a,41bを突き合わせる。そして、第1及び第2の半体41a,41bとは、第1及び第2の結合孔49a,49bと第1及び第2の取付孔52a,52bにボルト53を締め付けることで、結合部材51を介して一体化される。また、第1及び第2の半体41a,41bは、第1及び第2の結合孔46a,46bで、ボルト47によって結合される。このとき、ヘッドカバー装置40は、第1及び第2の係止部43a,43bとストッパ部22とが係止されることで、僅かながたつきを有した状態で端管13に取り付けられる。
【0055】
端管13に接続されたヘッドカバー装置40は、ワイヤ4が取り付けられたワイヤ取付部材54がワイヤ取付部42に取り付けられる。ヘッドカバー装置40と接続された可撓管装置5を発進立坑2から既設水道管1の内部に挿入するワイヤ取付部材54は、ステンレス材等の金属材料からなり、全体が略U字状をなしている。ワイヤ取付部材54は、相対する一対の片に、第1及び第2の取付孔55a,55bが形成されている。
【0056】
ワイヤ取付部材54は、第1及び第2の半体41a,41bが結合された後に、ワイヤ4の先端部に形成されたワイヤ取付部材54との連結部となる環状部4eに通し、第1及び第2の貫通孔45a,45bと第1及び第2の取付孔55a,55bにボルト56を締め付けて、ワイヤ取付部42に取り付けられる。なお、ワイヤ4は、ワイヤ取付部42に形成された貫通孔に通して固定するようにしても良い。
【0057】
なお、ヘッドカバー装置40の構成は、以上の例に限定されるものではなく、例えば第1及び第2の半体41a,41bをヒンジを介して連結し、第1及び第2の半体41a,41bとが分離しないようにしても良い。また、ワイヤ取付部42のワイヤ取付部材54が取り付けられる第1及び第2の貫通孔45a,45bには、直接ワイヤ4を取り付けるようにしても良い。
【0058】
[挿入ガイド装置の説明]
図4、図6及び図7に示すように、ヘッドカバー装置40の先端側には、挿入ガイド装置60が取り付けられる。この挿入ガイド装置60は、直径の異なる複数の挿入ガイド部材61,62,63を有する。これら挿入ガイド部材61,62,63は、先端に、略円錐状の挿入ガイド部材63が設けられ、これに次ぐ、挿入ガイド部材62,61が略円錐台形に形成されている。そして、最もヘッドカバー装置40側に位置する略円錐台形の挿入ガイド部材61は、底面の直径がヘッドカバー装置40の直径、すなわち可撓管装置5の直径と略同じ直径又は可撓管装置5の直径よりやや大きくなりように形成されている。また、先端に位置する略円錐状の挿入ガイド部材63は、底面の直径が最も小さくなる。すなわち、この挿入ガイド装置60は、全体が略円錐形をなし、この円錐を、高さ方向に3分割したような形状をなし、先端側に行くに従って小さくなるように配列される。
【0059】
これら挿入ガイド部材61,62,63は、それぞれが機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料や十分な強度を有する樹脂によって形成されている。
【0060】
なお、挿入ガイド部材61の底面の直径は、若干であれば、ヘッドカバー装置40の直径又は可撓管装置5の直径より小さくても良い。
【0061】
各挿入ガイド部材61,62,63は、中心軸線に沿って、挿通孔61a,62a,63aが形成されている。挿通孔61a,62a,63aは、中通し用ワイヤ4bが中通しされる。そして、中通し用ワイヤ4bが挿通孔61a,62a,63aに通された際に、互いに隣接する挿入ガイド部材61,62,63の相対する面は、互いに隣接する挿入ガイド部材61,62,63に対して自在に傾くように、球面状座面となっている。具体的に、最も大きい挿入ガイド部材61は、上面及び底面が球面状座面61b,61cとなっている。また、挿入ガイド部材62も、上面及び底面が球面状座面62b,62cとなっている。更に、先端に位置する挿入ガイド部材63は、底面が球面状座面63bとなっている。
【0062】
挿入ガイド装置60は、使用時、先端の挿入ガイド部材63の底面と中間位置の挿入ガイド部材62の上面及び挿入ガイド部材62の底面と最後部の挿入ガイド部材61の上面とが近接することになる。互いに隣接する挿入ガイド部材61,62,63の相対する面は、球面状座面63b,62b,62c,61bとなっているので、それぞれの挿入ガイド部材61,62,63は、隣接する挿入ガイド部材に対して自在に傾くことができる。また、挿入ガイド部材61,62,63が中通し用ワイヤ4bを中心に回転することがあっても、中通し用ワイヤ4bが捻れることはなく、隣接する挿入ガイド部材に対して傾く動作の妨げになることを防止できる。
【0063】
また、この挿入ガイド装置60では、各挿入ガイド部材61,62,63の既設水道管1の内面と接する部分が曲面状をなすように形成されており、既設水道管1の内周面との摩擦が小さくなるようになっている。
【0064】
なお、最後部の挿入ガイド部材61の底面の球面状座面61cは、ヘッドカバー装置40と近接するものであるから、必ずしも球面状座面である必要はない。
【0065】
ここで、ワイヤ4は、ウインチ等の巻き揚げ機7に巻き上げられる巻き上げ用ワイヤ4aと、挿入ガイド部材61,62,63に中通しされる中通し用ワイヤ4bとを連結してなる。巻き上げ用ワイヤ4aは、一端がウインチ等の巻き揚げ機7のドラムに固定され、ドラムに巻回され、先端には、フック4cが設けられている。また、中通し用ワイヤ4bの巻き上げ用ワイヤ4aとの連結側の端末には、フック4cに係合される係合部となる環状部4dが形成され、ヘッドカバー装置40側の端末には、ヘッドカバー装置40に連結される連結部となる環状部4eが設けられている。
【0066】
なお、中通し用ワイヤ4bの各端末に設けられる連結部や係合部は、以上のような環状部4d,4eに限定されるものではない。また、ワイヤ4としては、巻き上げ用ワイヤ4aと中通し用ワイヤ4bとで構成するのではなく、巻き上げ用ワイヤ4aを1本で構成しても良い。この場合、巻き上げ用ワイヤ4aに、挿入ガイド部材61,62,63が中通しされ、端末が、ヘッドカバー装置40に固定されることになる。
【0067】
以上のような挿入ガイド装置60は、中通し用ワイヤ4bを挿入ガイド部材61,62,63の挿通孔61a,62a,63aに通し、中通し用ワイヤ4bの各端末に環状部4d,4eを形成した状態で取り扱われ、これを1つのユニットとして、例えば、管路更新の工事現場に運搬される。勿論、挿入ガイド装置60は、管路更新の工事現場で組み立てるようにしても良い。
【0068】
このような挿入ガイド装置60は、先端側から次第に直径の大きくなるように挿入ガイド部材61,62,63を巻き上げ用ワイヤ4aと連結される中通し用ワイヤ4bに中通ししており、全体が略円錐状をなすようになっており、既設水道管1内において、可撓管装置5を進ませるに当たってのガイド装置として機能する。更に、挿入ガイド装置60は、後述するように、既設水道管1の曲管部1aにおいて、引っ張り力に対抗する負荷を小さくし、可撓管装置5が曲管部1aにおいても円滑に進むことができるようにする。
【0069】
なお、以上の例では、先端に、略円錐状の挿入ガイド部材63が設けられ、これに次ぐ、挿入ガイド部材62,61を略円錐台形に形成した挿入ガイド装置60を説明したが、本発明の変形例としては、挿入ガイド部材61,62,63のすべてが球体であっても良い。挿入ガイド部材61,62,63のすべてが球体の場合には、先端の挿入ガイド部材63が最も小さく、ヘッドカバー装置40の直近に位置する挿入ガイド部材61が最も大きくなる。最も大きな挿入ガイド部材61は、直径がヘッドカバー装置40の直径、すなわち可撓管装置5の直径と略同じ直径又は可撓管装置5の直径よりやや大きくように形成される。球体の挿入ガイド部材61,62,63にあっても、互いに隣接する部分が球面状座面となっており、更に、既設水道管1の内面と接する部分が曲面状をなしていることから、上述の略円錐形の挿入ガイド部材63と略円錐台形の挿入ガイド部材61,62を用いた挿入ガイド装置60と同様な効果を得ることができる。勿論、球体の挿入ガイド部材は1つであっても良い。この場合、1つの挿入ガイド部材は直径がヘッドカバー装置40の直径、すなわち可撓管装置5の直径と略同じ直径又は可撓管装置5の直径よりやや大きくように形成される。挿入ガイド部材71の底面の直径は、若干であれば、ヘッドカバー装置40の直径又は可撓管装置5の直径より小さくても良い。
【0070】
[管路更新工法及び挿入ガイド装置の作用効果の説明]
次に、本発明が適用された管路更新工法について説明する。
【0071】
先ず、発進立坑2及び到達立坑3は、図1に示すように、バックホウ等で既設水道管1が完全に露出される程度まで深く堀削され、ライナープレート等で築造される。そして、発進立坑2及び到達立坑3内で露出された既設水道管1は、既設水道管1の内径より径の小さな新規水道管となる可撓管装置5を挿入又は露出するためにガス溶断器やカッタ等で開口部が形成される。そして、場合により、両端に開口部が形成された既設水道管1は、新規水道管である可撓管装置5が挿通しやすくなるようにピグ工法等で管内の錆や付着物等が除去される。そして、既設水道管1は、到達立坑3側の既設水道管1の開口部より巻き上げ用ワイヤ4aが挿入され、発進立坑2側の開口部より露出される。そして、発進立坑2において、上述した挿入ガイド装置60とヘッドカバー装置40とが可撓管装置5に取り付けられる。そして、巻き上げ用ワイヤ4aは、挿入ガイド装置60に取り付けられる。
【0072】
具体的に、可撓管装置5には、先ず、ヘッドカバー装置40が取り付けられる。ヘッドカバー装置40は、図4−図6に示すように、第1及び第2の貫通孔45a,45bを一致させると共に、第1及び第2の係止部43a,43bをストッパ部22より内側に配置された状態で第1及び第2の半体41a,41bを突き合わせる。そして、第1及び第2の半体41a,41bとは、第1及び第2の結合孔49a,49bと第1及び第2の取付孔52a,52bにボルト53が締め付けられることで、結合部材51を介して一体化される。このとき、ヘッドカバー装置40は、第1及び第2の係止部43a,43bとストッパ部22とが係止されることで、端管13と円形孔48との間隙によって僅かながたつきを有した状態で端管13に取り付けられる。
【0073】
そして、ワイヤ取付部材54は、第1及び第2の半体41a,41bが結合された後に、挿入ガイド装置60の中通し用ワイヤ4bに形成された連結部となる環状部4eにワイヤ取付部材54が引っかけられ、第1及び第2の貫通孔45a,45bと第1及び第2の取付孔55a,55bにボルト56を締め付けて、カバー本体41のワイヤ取付部42にワイヤ取付部材54が取り付けられる。また、挿入ガイド装置60は、中通し用ワイヤ4bの先端側の係合部となる環状部4dに、巻き上げ用ワイヤ4aの先端に設けられたフック4cが係合される。かくして、可撓管装置5は、既設水道管1への挿入端に、ヘッドカバー装置40が取り付けられ、更に、その先端側に、挿入ガイド装置60が取り付けられ、ウインチ等の巻き揚げ機7によって既設水道管1への引き込みが可能な状態となる。このように、挿入ガイド装置60は、管路更新の工事現場での取り付け作業が極めて容易なものとなっている。
【0074】
なお、巻き上げ用ワイヤ4aの先端に設けられたフック4cは、カラビナのような環状部4dの脱落を防止する機能に優れたものあっても良く、また、環状部4dをねじで固定するようなものであっても良い。すなわち、フック4cには、当該フック4cから環状部4dが外れることを防止するための周知の装置を設けても良い。
【0075】
次に、到達立坑3において、挿入ガイド装置60とヘッドカバー装置40が取り付けられた可撓管装置5は、ウインチ等の巻き揚げ機7で巻き上げ用ワイヤ4aを巻き取ることで、既設水道管1内に、挿入ガイド装置60を挿入端として挿入される。このとき、可撓管装置5には、更に外層部に保護シートが巻回されており、この保護シートは、ベローズ管11を既設水道管1内の付着物等から保護すると共に、可撓管装置5が既設水道管1に対して滑りやすくした状態で既設水道管1に挿入されるようにする。
【0076】
なお、保護シートは、使用条件によっては、設けなくてもよい。
【0077】
ところで、図1に示すように、可撓管装置5が引き込まれる既設水道管1には、曲管部1aが複数設けられている。ここで、図8には、曲管部1aにおける挿入ガイド装置60の状態を示す。図8では、比較例として、挿入ガイド装置60を用いないヘッドカバー装置40のみが取り付けられた例も合わせて示す。
【0078】
比較例では、引っ張り力P1によって、ワイヤ4が最短ルートを通るように、曲管部1aの内側の内面に接するように位置する。したがって、可撓管装置5の軸線Oに対して可撓管装置5の引っ張り方向P1のなす角度がθ2となる。この場合、可撓管装置5の軸線Oと垂直な曲管部1aの内側の内面を押圧する分力は、P2となり、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力は、P3となる。
【0079】
これに対して、本発明のように、ヘッドカバー装置40の先に挿入ガイド装置60を取り付けた場合には次のようになる。挿入ガイド装置60は、挿入ガイド部材61,62,63に、巻き上げ用ワイヤ4aに連結された中通し用ワイヤ4bを中通ししてなるものであるから、曲管部1aにおいては、既設水道管1の曲管部1aの内側の内面に外周面が接するように並ぶ。最も大きい挿入ガイド部材61について見ると、可撓管装置5の軸線Oに対して可撓管装置5の引っ張り方向P4のなす角度がθ1となり、比較例のθ2より小さくなる。したがって、可撓管装置5の軸線Oと垂直な曲管部1aの内側の内面を押圧する分力P5は、比較例のP2より小さくなり、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力は、P6となり、比較例のP3より大きくなる。すなわち、ウインチ等の巻き揚げ機7に対する負荷が小さくなる。
【0080】
したがって、本発明では、既設水道管1の曲管部1aにおいて、円滑に可撓管装置5を引き込むことができる。換言すると、ウインチ等の巻き揚げ機7は、既設水道管1の曲管部1aにおいて、挿入ガイド装置60を用いないヘッドカバー装置40のみが取り付けられた比較例より小さな引っ張り力で可撓管装置5を引き込むことができる。
【0081】
なお、以上の説明では、ヘッドカバー装置40と挿入ガイド部材61との関係で、引っ張り力P4を説明したが、挿入ガイド部材61と挿入ガイド部材62との関係、挿入ガイド部材62と挿入ガイド部材63との関係も同様である。すなわち、挿入ガイド部材61と挿入ガイド部材62との関係では、挿入ガイド部材61の中心軸線(挿通孔61aの軸線でもある。)に対する引っ張り力の方向とがなす角度θ3が小さくなることで、挿入ガイド部材61が曲管部1aの内側の内面を押圧する分力を小さくすることができる。また、挿入ガイド部材62と挿入ガイド部材63との関係では、挿入ガイド部材62の中心軸線(挿通孔62aの軸線でもある。)に対する引っ張り力の方向とがなす角度θ4が小さくなることで、挿入ガイド部材62が曲管部1aの内側の内面を押圧する分力を小さくすることができる。
【0082】
かくして、可撓管装置5は、ウインチ等の巻き揚げ機7によって、曲管部1aを有する既設水道管1内に引き込まれ、到達立坑3において、既設水道管1の他端の開口部から外部に露出されると、ヘッドカバー装置40が第1及び第2の半体41a,41bを分解して可撓管装置5から取り外され、更に、挿入ガイド装置60がヘッドカバー装置40や巻き上げ用ワイヤ4aのフック4cから取り外される。そして、ヘッドカバー装置40が取り外された端管13には、フランジ部材23、離脱防止部材24、シーリング部材29等が取り付けられ、挿口25が構成される。
【0083】
具体的に、端管13は、到達立坑3において、図3に示すように、フランジ部材23が挿入される。そして、フランジ部材23が挿入された端管13は、離脱防止部材24が凹溝21に係合される。そして、フランジ部材23は、先端側に離脱防止するため、脱落防止片26を凹溝21に係合された離脱防止部材24と重なった状態に設ける。そして、離脱防止部材24によってフランジ部材23が先端側に離脱防止された端管13には、シーリング部材29が外周面に嵌合されて装着される。次に、挿口25は、第1の水道管8の受口28に挿入され、受口28と結合される。
【0084】
この後、可撓管装置5と第1の水道管8とが接続された到達立坑3は、埋め戻されて路面の復旧が行われる。また、発進立坑2においても、第2の水道管9の挿口は可撓管装置5の受口と同様に接続される。そして、発進立坑2埋め戻されて路面の復旧が行われる。
【0085】
以上のような管路更新工法において、挿入ガイド装置60を用いた場合には、可撓管装置5の軸線Oと垂直な曲管部1aの内側の内面を押圧する分力P5が比較例のP2より小さくなり、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力P6が、比較例のP3より大きくなるので、負荷が小さくなり、ウインチ等の巻き揚げ機7の引っ張り力を小さくすることができる。したがって、曲管部1aを有する既設水道管1内に可撓管装置5を挿入して行う管路更新を、ウインチ等の巻き揚げ機7に過大な負荷を与えることなく円滑に行うことができる。換言すると、巻き揚げ機7を、引っ張り力の小さな小型のものとし、管路更新工事を一層容易なものとすることができる。
【0086】
以上の例では、略円錐状の挿入ガイド部材63が設けられ、これに次ぐ、挿入ガイド部材62,61を略円錐台形に形成した挿入ガイド装置60を説明したが、挿入ガイド部材61,62,63は、球であっても良く、更に、互いに隣接する部分が球面状座面をなし、既設水道管1の内面と接する部分が曲面状をなしていれば、これ以外の形状、楕円体や球体に近い多面体をしていても良い。
【0087】
また、挿入ガイド部材の数は、3個に限定されるものではなく、1個や2個でもよく、また、4個以上であっても良い。4個以上設ける場合には、ヘッドカバー装置40側の最も大きい挿入ガイド部材61から先端の最も小さい挿入ガイド部材63に向かうに連れて順番に直径の小さくなるように挿入ガイド部材を配列することになる。
【0088】
更に、挿入ガイド装置60は、ヘッドカバー装置40を用いることなく、直接可撓管装置5の端管13に取り付けるようにしても良い。この場合、挿入ガイド部材61,62,63が中通しされた中通し用ワイヤ4bが端管13に直接接続されることになる。
【0089】
[挿入ガイド装置の変形例1]
以上説明した挿入ガイド装置60は、直径の異なる複数の挿入ガイド部材61,62,63を中通しして構成したが、本発明の挿入ガイド装置は、図9に示すように構成しても良い。この例では、挿入ガイド装置を構成する挿入ガイド部材が、ワイヤ4が中通しされて連結されるのではなく、リンク機構を介して連結されている。
【0090】
図9に示す挿入ガイド装置70は、先端に、略円錐状の挿入ガイド部材73が設けられ、これに次ぐ、挿入ガイド部材72,71が略円錐台形に形成されている。そして、最もヘッドカバー装置40側に位置する略円錐台形の挿入ガイド部材71は、底面の直径がヘッドカバー装置40の直径、すなわち可撓管装置5の直径と略同じ直径又は可撓管装置5の直径よりやや大きくなるように形成されている。また、先端に位置する略円錐状の挿入ガイド部材73は、底面の直径が最も小さくなる。すなわち、この挿入ガイド装置70は、全体が略円錐形をなし、この円錐を、高さ方向に3分割したような形状をなし、先端側に行くに従って小さくなるように配列される。
【0091】
なお、挿入ガイド部材71の底面の直径は、若干であれば、ヘッドカバー装置40の直径又は可撓管装置5の直径より小さくても良い。
【0092】
先端に位置する略円錐状の挿入ガイド部材73には、先端部に、巻き上げ用ワイヤ4aの先端に設けられたフック4cを係合するための例えば環状をなすワイヤ取付部74が形成されている。このワイヤ取付部74は、その形状は特に限定されるものではないが、ここでは例えば環状体であって、可撓管装置5の引っ張り力に耐えうる強固な構造に形成されている。
【0093】
また、略円錐状の挿入ガイド部材73と略円錐台形の挿入ガイド部材72との間及び略円錐台形の挿入ガイド部材71,72との間には、リンク機構75が設けられている。略円錐状の挿入ガイド部材73と略円錐台形の挿入ガイド部材72との間のリンク機構75を例に説明すると、挿入ガイド部材73の底面には、第1のリンク部76が形成され、挿入ガイド部材72の上面には、第2のリンク部77が形成されている。第1のリンク部76と第2のリンク部77とは、例えば、環状体で構成されており、2つの環状体を繋げることによって、第1及び第2のリンク部76,77を繋げ、リンクチェーンのようになっている。このようなリンク機構75は、隣接する挿入ガイド部材に対して自在に傾くことができる程度の間隙を互いに隣接する挿入ガイド部材の間に設けるようにしている。
【0094】
そして、このようなリンク機構75が略円錐台形をなす挿入ガイド部材71,72との間にも設けられている。
【0095】
更に、ヘッドカバー装置40と略円錐台形をなす挿入ガイド部材71との間にも、リンク機構78が設けられている。このリンク機構78は、略円錐台形をなす挿入ガイド部材71の底面に、リンク部79が設けられている。このリンク部79は、例えば挿入ガイド部材71の底面の中心に設けられたフックやカラビナのような環状体であり、ヘッドカバー装置40のワイヤ取付部材54に取り付けられる。このようなリンク機構78も、挿入ガイド部材71が隣接するヘッドカバー装置40に対して自在に傾くことができる程度の間隙を挿入ガイド部材71とヘッドカバー装置40との間に設けるようにしている。リンク機構78は、周知の脱落防止の装置を設けても良い。
【0096】
以上のような挿入ガイド装置70にあっても、ワイヤ4が取り付けられる先端側の略円錐状の最も小さい挿入ガイド部材73と略円錐台形の挿入ガイド部材72との間が自在に傾き、また、略円錐台形の挿入ガイド部材72と最も大きい挿入ガイド部材71との間が自在に傾き、更に、最も大きい挿入ガイド部材71とヘッドカバー装置40との間も自在に傾くことになる。
【0097】
したがって、挿入ガイド装置70においても、上述の挿入ガイド装置60と同様、既設水道管1の曲管部1aにおいて、挿入ガイド部材71,72,73が図8で示したように、既設水道管1の曲管部1aの内側の内面に外周面が接するように並ぶ。そして、最も大きい挿入ガイド部材71について見れば、可撓管装置5の軸線Oと垂直な曲管部1aの内側の内面を押圧する分力P5は、比較例のP2より小さくなり、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力P6が、比較例のP3より大きくなる。したがって、挿入ガイド装置70を用いた場合にも、ウインチ等の巻き揚げ機7の引っ張り力を小さくすることができる。これにより、曲管部1aを有する既設水道管1内に可撓管装置5を挿入して行う管路更新を、ウインチ等の巻き揚げ機7に過大な負荷を与えることなく円滑に行うことができる。
【0098】
なお、挿入ガイド装置70において、挿入ガイド部材の数は、3個に限定されるものではなく、略円錐形の挿入ガイド部材1個でもよく、また、略円錐形の挿入ガイド部材と略円錐台形の挿入ガイド部材の2個でも良い。更に、略円錐台形の挿入ガイド部材を3個以上用いるようにしても良い。略円錐台形の挿入ガイド部材を3個以上用いる場合には、ヘッドカバー装置40側の最も大きい挿入ガイド部材71から先端の最も小さい挿入ガイド部材73に向かうに連れて順番に直径の小さくなる円錐台形の複数の挿入ガイド部材が挿入ガイド部材71,73の間に入れられることになる。
【0099】
また、略円錐状の挿入ガイド部材73は、円錐に近い六角錐、八角錐等の多角錐であってもよく、これに合わせて、略円錐台形の挿入ガイド部材71,72も、六角錐台形、八角錐台形等の多角錐台形であっても良い。
【0100】
更に、挿入ガイド装置70は、ヘッドカバー装置40を用いることなく、直接可撓管装置5の端管13に取り付けるようにしても良い。
【0101】
また、挿入ガイド部材71,72,73の相対する面を、上述の挿入ガイド部材61,62,63のように、球面状座面としても良い。そして、球面状座面を設けた挿入ガイド部材71,72,73に、挿入ガイド装置60のように、中通し用ワイヤ4bを挿通するようにしても良い。
[挿入ガイド装置の変形例2]
また、挿入ガイド装置70は、図10に示すように構成しても良い。この例では、挿入ガイド装置80は、先端に、略円錐状の挿入ガイド部材83が設けられ、これに次ぐ、挿入ガイド部材82,81が略円柱状に形成されている。そして、略円錐状の挿入ガイド部材83の底面の直径及び略円柱状の挿入ガイド部材81,82の直径は、ヘッドカバー装置40の直径、すなわち可撓管装置5の直径と略同じ直径又は可撓管装置5の直径よりやや大きくなるように形成されている。
【0102】
なお、挿入ガイド部材81,82の底面の直径は、若干であれば、ヘッドカバー装置40の直径又は可撓管装置5の直径より小さくても良い。
【0103】
先端に位置する略円錐状の挿入ガイド部材83には、先端部に、巻き上げ用ワイヤ4aの先端に設けられたフック4cを係合するための例えば環状をなすワイヤ取付部84が形成されている。このワイヤ取付部84は、その形状は特に限定されるものではないが、ここでは例えば環状体であって、可撓管装置5の引っ張り力に耐えうる強固な構造に形成されている。
【0104】
また、略円錐状の挿入ガイド部材83と略円柱状の挿入ガイド部材82との間及び略円柱状の挿入ガイド部材81,82との間には、リンク機構85が設けられている。略円錐状の挿入ガイド部材83と略円柱状の挿入ガイド部材82との間のリンク機構85を例に説明すると、挿入ガイド部材83の底面には、第1のリンク部86が形成され、挿入ガイド部材82の上面には、第2のリンク部87が形成されている。第1のリンク部86と第2のリンク部87とは、例えば、環状体で構成されており、2つの環状体を繋げることによって、第1及び第2のリンク部86,87を繋げ、リンクチェーンのようになっている。このようなリンク機構85は、隣接する挿入ガイド部材に対して自在に傾くことができる程度の間隙を互いに隣接する挿入ガイド部材の間に設けるようにしている。
【0105】
そして、このようなリンク機構85が略円柱状の挿入ガイド部材81,82との間にも設けられている。
【0106】
更に、ヘッドカバー装置40と略円柱状の挿入ガイド部材81との間にも、リンク機構88が設けられている。このリンク機構88は、略円柱状の挿入ガイド部材81の底面に、リンク部89が設けられている。このリンク部89は、例えば挿入ガイド部材81の底面の中心に設けられたフックやカラビナのような環状体であり、ヘッドカバー装置40のワイヤ取付部材54に取り付けられる。このようなリンク機構88も、挿入ガイド部材81が隣接するヘッドカバー装置40に対して自在に傾くことができる程度の間隙を挿入ガイド部材81とヘッドカバー装置40との間に設けるようにしている。
【0107】
以上のような挿入ガイド装置80にあっても、ワイヤ4が取り付けられる先端側の略円錐状の挿入ガイド部材83と略円柱状の挿入ガイド部材82との間が自在に傾き、また、略円柱状の挿入ガイド部材82とヘッドカバー装置40側の挿入ガイド部材81との間が自在に傾き、更に、挿入ガイド部材81とヘッドカバー装置40との間も自在に傾くことになる。
【0108】
したがって、挿入ガイド装置80においても、上述の挿入ガイド装置60,70と同様、既設水道管1の曲管部1aにおいて、挿入ガイド部材81,82,83が図8で示したように、既設水道管1の曲管部1aの内側の内面に外周面が接するように並ぶ。そして、最も大きい挿入ガイド部材81について見れば、可撓管装置5の軸線Oと垂直な曲管部1aの内側の内面を押圧する分力P5は、比較例のP2より小さくなり、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力P6が、比較例のP3より大きくなる。したがって、挿入ガイド装置80を用いた場合にも、ウインチ等の巻き揚げ機7の引っ張り力を小さくすることができる。これにより、曲管部1aを有する既設水道管1内に可撓管装置5を挿入して行う管路更新を、ウインチ等の巻き揚げ機7に過大な負荷を与えることなく円滑に行うことができる。
【0109】
なお、挿入ガイド装置80において、略円柱状の挿入ガイド部材の数は、2個に限定されるものではなく、略円錐形の挿入ガイド部材83を1個だけとし略円柱状の挿入ガイド部材を0個としても良く、また、略円錐形の挿入ガイド部材83に次いで取り付けられる略円柱状の挿入ガイド部材を1個としたり、3個以上としても良い。また、次の変形例3で説明するように、略円錐形の挿入ガイド部材83に次いで、略円錐台形の挿入ガイド部材を取り付け、次いで、略円柱状の挿入ガイド部材を一又は複数繋げるようにしても良い。
【0110】
また、略円錐状の挿入ガイド部材83は、円錐に近い六角錐、八角錐等の多角錐であってもよく、これに合わせて、略円柱状の挿入ガイド部材81,82も、六角柱、八角柱等の多角柱であっても良い。
【0111】
また、挿入ガイド部材81,82,83の相対する面を、上述の挿入ガイド部材61,62,63のように、球面状座面としても良い。そして、球面状座面を設けた挿入ガイド部材81,82,83に、挿入ガイド装置60のように、中通し用ワイヤ4bを挿通するようにしても良い。
【0112】
更に、挿入ガイド装置80は、ヘッドカバー装置40を用いることなく、直接可撓管装置5の端管13に取り付けるようにしても良い。
[挿入ガイド装置の変形例3]
また、挿入ガイド装置80は、図11に示すように構成しても良い。この例において、挿入ガイド装置90は、略円錐状の挿入ガイド部材93が設けられ、これに次ぐ挿入ガイド装置92が略円錐台形に形成され、最後の挿入ガイド部材91が略円柱状に形成されている。ここで、略円錐台形の挿入ガイド部材92の底面の直径及び略円柱状の挿入ガイド部材91の直径は、ヘッドカバー装置40の直径、すなわち可撓管装置5の直径と略同じ直径又は可撓管装置5の直径よりやや大きくなりように形成されている。
【0113】
なお、挿入ガイド部材91の底面の直径は、若干であれば、ヘッドカバー装置40の直径又は可撓管装置5の直径より小さくても良い。
【0114】
先端に位置する略円錐状の挿入ガイド部材93には、先端部に、巻き上げ用ワイヤ4aの先端に設けられたフック4cを係合するための例えば環状をなすワイヤ取付部94が形成されている。このワイヤ取付部94は、その形状は特に限定されるものではないが、ここでは例えば環状体であって、可撓管装置5の引っ張り力に耐えうる強固な構造に形成されている。
【0115】
また、略円錐状の挿入ガイド部材93と略円錐台形の挿入ガイド部材92との間及び略円錐台形の挿入ガイド部材92と略円柱状の挿入ガイド部材93との間には、リンク機構95が設けられている。ここでのリンク機構95は、多自由度のリンク機構となっており、互いに隣接する挿入ガイド部材の一方が他方に対して、軸線を中心に回転するようにもなっている。
【0116】
略円錐状の挿入ガイド部材93と略円錐台形の挿入ガイド部材92との間のリンク機構95を例に説明すると、挿入ガイド部材93の底面及び挿入ガイド部材92の上面の略中央には、例えばコロを一対のハウジングで挟んだボールベアリング96,96が設けられている。一方のハウジングは、挿入ガイド部材93の底面及び挿入ガイド部材92の上面に固定され、他方のハウジングには、可撓性を有するリンクワイヤ97が取り付けられている。このようなリンク機構95では、リンクワイヤ97が撓むことで、隣接する挿入ガイド部材に対して自在に傾くことができる。また、リンクワイヤ97が捻れることを防止することができる。そして、このようなリンク機構95が略円錐台形の挿入ガイド部材92と略円柱状の挿入ガイド部材93との間にも設けられている。
【0117】
更に、ヘッドカバー装置40と略円柱状の挿入ガイド部材91との間にも、リンク機構98が設けられている。このリンク機構98は、略円柱状の挿入ガイド部材91の底面に、リンク部99が設けられている。このリンク部99は、例えば挿入ガイド部材91の底面の中心に設けられたフックやカラビナのような環状体であり、ヘッドカバー装置40のワイヤ取付部材54に取り付けられる。このようなリンク機構98は、挿入ガイド部材91が隣接するヘッドカバー装置40に対して自在に傾くことができる程度の間隙を挿入ガイド部材91とヘッドカバー装置40との間に設けるようにしている。
【0118】
以上のような挿入ガイド装置90にあっても、ワイヤ4が取り付けられる先端側の挿入ガイド部材93と中間の挿入ガイド部材92との間及び挿入ガイド部材92と挿入ガイド部材91との間がリンクワイヤ97が撓むことで、自在に傾き、更に、挿入ガイド部材91とヘッドカバー装置40との間も自在に傾くことになる。特に、挿入ガイド部材91,92の間や挿入ガイド部材92,93との間には、ボールベアリング96,96が設けられていることから、互いに隣接する挿入ガイド部材が回転することで、リンクワイヤ97の捻れが無くなり、より一層自在に傾くことができる。
【0119】
したがって、挿入ガイド装置90においても、上述の挿入ガイド装置60,70,80と同様、既設水道管1の曲管部1aにおいて、挿入ガイド部材91,92,93が図8で示したように、既設水道管1の曲管部1aの内側の内面に外周面が接するように並ぶ。そして、最も大きい挿入ガイド部材91について見れば、可撓管装置5の軸線Oと垂直な曲管部1aの内側の内面を押圧する分力P5は、比較例のP2より小さくなり、可撓管装置5の軸線Oの方向の分力P6は、比較例のP3より大きくなる。したがって、挿入ガイド装置90を用いた場合にも、ウインチ等の巻き揚げ機7の引っ張り力を小さくすることができる。これにより、曲管部1aを有する既設水道管1内に可撓管装置5を挿入して行う管路更新を、ウインチ等の巻き揚げ機7に過大な負荷を与えることなく円滑に行うことができる。
【0120】
なお、挿入ガイド装置90において、ヘッドカバー装置40側に取り付けられる略円柱状の挿入ガイド部材の数は、1個に限定されるものではなく、2個以上としても良い。また、略円錐台形の挿入ガイド部材も、2個以上としても良い。また、略円錐状の挿入ガイド部材93は、円錐に近い六角錐、八角錐等の多角錐であってもよく、これに合わせて、略円錐台形の挿入ガイド部材も、六角錐台形、八角錐台形等の多角錐台形であっても良く、更に、略円柱状の挿入ガイド部材も、六角柱、八角柱等の多角柱であっても良い。
【0121】
更に、挿入ガイド装置90は、ヘッドカバー装置40を用いることなく、直接可撓管装置5の端管13に取り付けるようにしても良い。
【0122】
また、挿入ガイド部材91,92,93の相対する面を、上述の挿入ガイド部材61,62,63のように、球面状座面としても良い。そして、球面状座面を設けた挿入ガイド部材91,92,93に、挿入ガイド装置60のように、中通し用ワイヤ4bを挿通するようにしても良い。
[その他の変形例]
なお、本発明では、挿入ガイド部材同士の連結を、挿入ガイド装置60のようなワイヤ4を中通しと挿入ガイド装置70,80,90に示すようなリンク部を用いたものとを組み合わせて行うようにしても良い。例えば、先端側から2個目までの挿入ガイド部材を中通しで連結し、3個目以降をリンク部で連結するようにしても良い。
【0123】
以上説明した挿入ガイド装置60,70,80,90を用いた管路更新工法は、既設水道管1の管路更新に適用可能の他、水道水以外の他の液体を流す既設管、都市ガスや冷却ガス等の気体を流す既設管、又は、粉体、粒体、ゲル状体等の固体からなる流体を流す既設管等の管路更新に適用することもできる。
【符号の説明】
【0124】
1 既設水道管、1a 曲管部、2 発進立坑、3 到達立坑、4 ワイヤ、4a 巻き上げ用ワイヤ、4b 中通し用ワイヤ、4c フック、4d 環状部、4e 環状部、5 可撓管装置、6 ドラム、7 巻き揚げ機、8 第1の水道管、9 第2の水道管、11 ベローズ管、11a ベローズ本体、11b 接続部、12 ブレード、13 端管、15a−15c 溶接箇所、16 鍔部材、17 ブレード押さえ部材、18 防錆テープ、19 保護テープ、20 止めリング、21 凹溝、22 ストッパ部、23 フランジ部材、23a 挿通孔、24 離脱防止部材、25 挿口、26 脱落防止片、27 貫通孔、28 受口、29 シーリング部材、31 受口部、32 結合部、33 太径管部、34 直管部、35 連結管部、36 テーパ部、37 貫通孔、38 ボルト、39 ナット、40 ヘッドカバー装置、41 カバー本体、41a 第1の半体、41b 第2の半体、42 ワイヤ取付部、42a ワイヤ取付片、42b ワイヤ取付片、43 接続部、43a 第1の係止部、43b 第2の係止部、44a,44b 突き当て面、45a 第1の貫通孔、45b 第2の貫通孔、46a 第1の結合孔、46b 第2の結合孔、47 ボルト、48 円形孔、49a 第1の結合孔、49b 第2の結合孔、51 結合部材、52a 第1の取付孔、52b 第2の取付孔、53 ボルト、54 ワイヤ取付部材、55a 第1の取付孔、55b 第2の取付孔、56 ボルト、60 挿入ガイド装置、61−63 挿入ガイド部材、61a−63a 挿通孔、61b,61c,62b,62c,63b 球面状座面、70 挿入ガイド装置、71−73 挿入ガイド部材、74 ワイヤ取付部、75 リンク機構、76,77 リンク部、78 リンク機構、79 リンク部、80 挿入ガイド装置、81−83 挿入ガイド部材、84 ワイヤ取付部、85 リンク機構、86,87 リンク部、88 リンク機構、89 リンク部、90 挿入ガイド装置、91−93 挿入ガイド部材、94 ワイヤ取付部、95 リンク機構、96 ボールベアリング、97 リンクワイヤ、98 リンク機構、99 リンク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内に通されたワイヤが可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結され、該ワイヤが巻き上げられることで、該既設管内に引き込まれる可撓管の既設管内での挿入ガイド装置において、
上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備え、
上記挿入ガイド部材は、上記ワイヤが中通しされて上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項2】
上記挿入ガイド部材は、複数で、それぞれの直径が異なり、
上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有する挿入ガイド部材は、上記ワイヤが中通しされ、上記可撓管の挿入端の直近に位置し、
更なる挿入ガイド部材は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有する挿入ガイド部材から先端側に向かって次第に直径が小さくなるように上記ワイヤが中通しされて取り付けられ、先端が最も小さい挿入ガイド部材となり、
上記ワイヤが中通しされた互いに隣接する挿入ガイド部材は、相対する面が球面状座面となっており、
上記複数の挿入ガイド部材は、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、隣接する挿入ガイド部材に対して傾くようになされている
請求項1記載の可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項3】
上記ワイヤは、巻き揚げ機に巻き上げられる巻き上げ用ワイヤと、上記挿入ガイド部材に中通しされる中通し用ワイヤとを連結してなり、
上記巻き上げ用ワイヤの一端には、フックが設けられ、
上記中通し用ワイヤの上記巻き上げ用ワイヤとの連結側の端末には、上記フックに係合される係合部が形成され、上記可撓管側の端末には、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結される連結部が設けられている
請求項1又は請求項2記載の可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項4】
既設管内に通されたワイヤが可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結され、該ワイヤが巻き上げられることで、該既設管内に引き込まれる可撓管の既設管内での挿入ガイド装置において、
上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備え、
上記挿入ガイド部材は、先端側に、上記ワイヤが連結されていると共に、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的にリンク部を介して連結されることで、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項5】
上記挿入ガイド部材は、複数で、一は、略円錐形で、他は、略円錐台形であり、
上記略円錐形の挿入ガイド部材は、底面の直径が最も小さく、
上記略円錐台形の挿入ガイド部材の内、最も大きな挿入ガイド部材は、底面が上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有し、
最も大きな略円錐台形の挿入ガイド部材は、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に上記リンク部によって連結され、
略円錐形の挿入ガイド部材は、隣接する略円錐台形の挿入ガイド部材と上記リンク部によって連結されると共に先端側に上記ワイヤが連結され、
上記最も大きな略円錐台形の挿入ガイド部材と上記略円錐形の挿入ガイド部材との間は、更なる略円錐台形の挿入ガイド部材が選択的に上記リンク部によって連結され、
上記更なる略円錐台形の挿入ガイド部材は、上記最も大きな略円台錐形の挿入ガイド部材から先端側に向かって、次第に小さくなるように隣接する挿入ガイド部材と上記リンク部によって連結され、
上記複数の挿入ガイド部材は、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、隣接する挿入ガイド部材に対して傾くようになされている
請求項4記載の可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項6】
上記挿入ガイド部材は、複数で、最も先端側に位置する挿入ガイド部材が略円錐形で、他の挿入ガイド部材が略円柱状であり、
上記略円錐形の挿入ガイド部材は、底面が上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に先端側で上記ワイヤが連結され、
上記略円柱状の挿入ガイド部材は、直径が上記可撓管の直径と略同じ又はやや大きく、
上記略円錐形の挿入ガイド部材と上記略円柱状の挿入ガイド部材との間は、上記リンク部によって連結され、
上記略円錐形の挿入ガイド部材と上記略円柱状の挿入ガイド部材との間は、更なる略円柱状の挿入ガイド部材が選択的に上記リンク部によって連結され、
上記複数の挿入ガイド部材は、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、隣接する挿入ガイド部材に対して傾くようになされている
請求項4記載の可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項7】
該挿入ガイド装置が間接的に上記可撓管の挿入端に取り付けられるときには、上記可撓管の挿入端に、該可撓管の挿入端を保護するヘッドカバーが取り付けられ、
該挿入ガイド装置は、上記ヘッドカバーの更に先端側に取り付けられる
請求項1乃至請求項6の内何れか1項記載の可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項8】
既設管内に通されたワイヤが可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結され、該ワイヤが巻き上げられることで、該既設管内に引き込まれる可撓管の既設管内での挿入ガイド装置において、
上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備え、
上記挿入ガイド部材は、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、上記可撓管が上記ワイヤによって引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている可撓管の挿入ガイド装置。
【請求項9】
埋設された既設管が露出するように、発進立坑と到達立坑とを設け、
上記到達立坑から上記既設管内を通って上記発進立坑へとワイヤを通し、
上記ワイヤを上記既設管内に挿入される可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結し、
上記ワイヤを上記到達立坑側で巻き上げて、上記可撓管を上記既設管内に引き込む管路更新工法において、
上記可撓管の挿入端には、挿入ガイド装置が直接又は間接的に取り付けられ、該挿入ガイド装置が取り付けられた可撓管を上記既設管内に引き込み、
上記挿入ガイド装置は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備え、
上記挿入ガイド部材は、上記ワイヤが中通しされて上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている管路更新工法。
【請求項10】
埋設された既設管が露出するように、発進立坑と到達立坑とを設け、
上記到達立坑から上記既設管内を通って上記発進立坑へとワイヤを通し、
上記ワイヤを上記既設管内に挿入される可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結し、
上記ワイヤを上記到達立坑側で巻き上げて、上記可撓管を上記既設管内に引き込む管路更新工法において、
上記可撓管の挿入端には、挿入ガイド装置が直接又は間接的に取り付けられ、該挿入ガイド装置が取り付けられた可撓管を上記既設管内に引き込み、
上記挿入ガイド装置は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備え、
上記挿入ガイド部材は、先端側に、上記ワイヤが連結されていると共に、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的にリンク部を介して連結されることで、上記可撓管が引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている管路更新工法。
【請求項11】
埋設された既設管が露出するように、発進立坑と到達立坑とを設け、
上記到達立坑から上記既設管内を通って上記発進立坑へとワイヤを通し、
上記ワイヤを上記既設管内に挿入される可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結し、
上記ワイヤを上記到達立坑側で巻き上げて、上記可撓管を上記既設管内に引き込む管路更新工法において、
上記可撓管の挿入端には、挿入ガイド装置が直接又は間接的に取り付けられ、該挿入ガイド装置が取り付けられた可撓管を上記既設管内に引き込み、
上記挿入ガイド装置は、上記可撓管と略同じ又はやや大きい直径を有すると共に、上記既設管の内面と接する外周面が略曲面状の挿入ガイド部材を備え、
上記挿入ガイド部材は、上記可撓管の挿入端に直接又は間接的に連結されることで、上記可撓管が上記ワイヤによって引っ張られた際に、上記既設管の曲管部において、該曲管部の内側の内面に倣うように、上記可撓管に対して傾くようになされている管路更新工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−42036(P2012−42036A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186090(P2010−186090)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(597092048)国産ラセン管株式会社 (7)