説明

台紙なしラベル連続体

【課題】台紙なしラベル連続体から単葉の台紙なしラベル10(値下げ表示領域11及びバーコード隠蔽領域12を有する)をバーコード隠蔽領域12より切り離しやすくした台紙なしラベル連続体1を提供する。
【解決手段】台紙なしラベル連続体1の台紙なしラベル10は、隣接し合う台紙なしラベル10の境界には、単位接合線14が形成されており、ラベル基材2の長手方向において所定幅に形成された値下げ表示領域11と、ラベル基材2の長手方向において値下げ表示領域11に隣接して所定幅に形成されたバーコード隠蔽領域12と、値下げ表示領域11とバーコード隠蔽領域12との境界に形成された領域分離線13とを有し、領域分離線13及び単位接合線14は、いずれも、前記ラベル基材がカットされたカット部の長さが0.5mm以上0.6mm以下であり、前記ラベル基材がカットされていない接続部の長さが0.2mm以上0.23mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、値下げラベルのように、予め貼付されているラベルの上に重ね貼りして使用するラベルが連続して形成されている台紙なしラベル連続体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の台紙なしラベルは、例えば、これを用いて複数回の価格変更(値下げ)を行うために同ラベルを元のラベルに重ね合わせて貼り付ける。この場合に、最初に貼り付けた台紙なしラベルの表面全体に剥離剤が塗工されているので、次に重ね合わせて貼り付けた台紙なしラベルを最初の台紙なしラベルから簡単にはがすことができる。
したがって、値下げ情報を表示した台紙なしラベルの不正目的による再利用(いわゆる不正貼り替え行為)が容易であるという問題があり、さらに、この不正貼り替え防止のためにラベル基材に形成した不正貼り替え防止用カットから破れることもなく、不正貼り替え防止用カット自体の効果が低いという問題がある。
【0003】
また、商品の価格情報に関するバーコードを印字したバーコードラベルは、値下げ処理に応じてバーコードを読取り不可能なように少なくともその一部を隠蔽する必要があり、このバーコードを簡単かつ確実に隠蔽することが要請されている。
なお、上記バーコードは、その読取り作業の簡素化又は能率化のために、商品包装容器の裏面側に貼り付けられている場合があるが、値下げ商品を効率的に販売するためには、商品包装容器の裏面側におけるバーコードを無効化した上で、少なくとも人による読み取り可能な値下げ価格を商品の目立つ箇所(一般的には、その表面側)に表示したいという要望もあった。
【0004】
さらに、台紙なしラベルは、裏打ち用紙又は剥離紙としての台紙がないために、これを複数枚連続して構成した台紙なしラベル連続体におけるそれぞれの台紙なしラベルの境界部に、単葉の台紙なしラベルとするための切り離し可能なミシン目(ラベル切り離し用ミシン目)を形成する必要がある。
また、特許文献1のように、商品の価格情報に関する上記バーコードを隠蔽するための目隠し片をミシン目(目隠し片切り取り用ミシン目)部分でラベル本体から切り取り可能に設けているラベルでは、ミシン目(ラベル切り離し用ミシン目又は目隠し片切り取り用ミシン目)から値下げ表示ラベル本体部又は目隠し片が不用意に切り取られる可能性がある。
したがって、台紙なしラベル連続体から単葉のラベル本体を切り離す前に、目隠し片が切り取られてしまう可能性があること、又は、他のラベル本体の分の目隠し片も一緒に切り取ってしまう可能性があること等々、実際の使用(ラベル切り離し作業又は目隠し片切り取り作業)にあたって十分な注意が必要であり、迅速かつ簡単な取扱いを期待することが困難であるという問題がある。
【0005】
このような問題について、特許文献2は、ラベル切り離し用ミシン目の方が目隠し片切り取り用ミシン目よりも切り取りやすくなるように、両ミシン目の強度を変える手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−330673号公報
【特許文献2】特開2010−145465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に開示されている内容では、具体的にどのようなミシン目を形成すればよいのかがわからなかった。例えば、ラベル切り離し用ミシン目の強度を弱くしすぎると、不用意にラベルが切り離されてしまいう場合があった。これとは逆に、ラベル切り離し用ミシン目の強度を十分なものとすると、目隠し片切り取り用ミシン目の強度をそれ以上に設定する必要がある。この場合、目隠し片の切り取りが困難になってしまう場合があった。すなわち、ミシン目部分の強度設定を誤ると、かえって使い勝手の悪いラベル連続体となってしまうおそれがあった。
【0008】
また、特許文献2に開示されている内容では、不正貼り替え防止用カットが重ね貼り使用する部分の中央に大きく設けられているので、新たな価格に関するバーコードをその上に印刷してしまうと、バーコード読み取り時の読み取りエラーの原因になってしまう場合があった。
【0009】
本発明の課題は、台紙なしラベル連続体から単葉の台紙なしラベル(第1の領域(例えば、値下げ表示領域)及び第2の領域(例えば、バーコード隠蔽領域)を含むラベル本体)を第2の領域(例えば、バーコード隠蔽領域)より切り離しやすくした台紙なしラベル連続体を提供することである。
【0010】
また、本発明の課題は、台紙なしラベル連続体から第1の領域及び第2の領域をそれぞれ単葉の台紙なしラベルとして安定して切り離し可能とした台紙なしラベル連続体を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の課題は、不正貼り替え行為を防止しながら、バーコード読み取りを確実に行える台紙なしラベル連続体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0013】
請求項1の発明は、帯状のラベル基材と、前記ラベル基材の長手方向に連続して形成された単位ラベルと、を備えた台紙なしラベル連続体であって、隣接し合う前記単位ラベルの境界には、第2のミシン目が形成されており、前記単位ラベルは、前記ラベル基材の長手方向において所定幅に形成された第1の領域と、前記ラベル基材の長手方向において前記第1の領域に隣接して所定幅に形成された第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との境界に形成された第1のミシン目と、を有し、前記第1のミシン目及び前記第2のミシン目は、いずれも、前記ラベル基材がカットされたカット部の長さが0.5mm以上0.6mm以下であり、前記ラベル基材がカットされていない接続部の長さが0.2mm以上0.23mm以下であること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の台紙なしラベル連続体において、前記第2のミシン目の少なくとも一端部には、前記第2のミシン目の端部から幅方向内方に形成した第2の切り目を有し、前記第2の切り目の長さは、1.5mm以上3mm以下であること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の台紙なしラベル連続体において、前記第1のミシン目の少なくとも一端部には、前記第1のミシン目の端部から幅方向内方に形成した第1の切り目を有し、前記第1の切り目の長さは、前記第2の切り目よりも短く形成されていること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の台紙なしラベル連続体において、前記ラベル基材の一方の面には、粘着剤が形成された粘着剤領域と、前記粘着剤が形成されていない非粘着剤領域と、が交互に形成されており、前記ラベル基材の他方の面には、前記粘着剤に対して剥離作用を有する剥離剤が形成された剥離剤領域と、前記剥離剤が形成されていない非剥離剤領域と、が交互に形成されており、前記剥離剤領域は、前記粘着剤領域に対向する位置に設けられていること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の台紙なしラベル連続体において、前記第1の領域には、前記粘着剤領域と一致する領域に、不正貼り替え防止用カットが形成されていること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の台紙なしラベル連続体において、前記不正貼り替え防止用カットは、弧状に形成された弧状部分と、前記弧状部分から前記弧状部分の弧形状の内方側に延在して形成された直線部分とを有すること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載の台紙なしラベル連続体において、前記不正貼り替え防止用カットは、前記第1の領域の一部に設けられており、前記第1の領域には、前記不正貼り替え防止用カットが形成されていないバーコード印刷領域が設けられていること、を特徴とする台紙なしラベル連続体である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、台紙なしラベル連続体は、台紙なしラベル連続体から単葉の台紙なしラベルを第2の領域より切り離しやすくできる。
また、本発明によれば、台紙なしラベル連続体は、台紙なしラベル連続体から第1の領域及び第2の領域をそれぞれ単葉の台紙なしラベルとして安定して切り離し可能にできる。
さらに、本発明によれば、台紙なしラベル連続体は、不正貼り替え行為を防止しながら、バーコード読み取りを確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による台紙なしラベル連続体1の平面図である。
【図2】図1中に示した線I−Iで切断した断面図である。
【図3】台紙なしラベル連続体1をロール状に巻いた状態の斜視図である。
【図4】本実施形態の領域分離線13及び単位接合線14の各寸法を変更してそれぞれについて評価した結果を示す図である。
【図5】不正貼り替え防止用カットの形状について検討した結果を示す図である。
【図6】元価格を表示している元価格表示ラベル19を貼り付けてある商品Mの表面側の平面図である。
【図7】元価格を表示している元価格表示ラベル19を貼り付けてある商品Mの裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0023】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態による台紙なしラベル連続体1の平面図である。
図2は、図1中に示した線I−Iで切断した断面図である。
図3は、台紙なしラベル連続体1をロール状に巻いた状態の斜視図である。
なお、これら図1から図3を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0024】
台紙なしラベル連続体1は、ラベル基材2と、粘着剤層3と、感熱発色剤層4と、剥離剤層5と、を有する。
【0025】
ラベル基材2としては、例えば、紙、合成樹脂フィルム、これらの積層体や複合材を用いることができる。また、紙や合成樹脂フィルムを基体とした感熱紙を用いてもよい。感熱紙とラベルプリンタとを用いることによって、文字、数字、バーコード等の可変情報を印字することができる。
また、ラベル基材2の厚さは、感熱発色剤層4と合わせて80μmに形成されている。
感熱発色剤層4は、ラベル基材2の表面に形成され、熱を加えることにより発色して印刷表示を行う層である。
粘着剤層3は、ラベル基材2の裏面に形成され、台紙なしラベル連続体1の幅方向に沿って縞状(筋状)に形成されている。粘着剤層3は、エマルジョン系、ソルベント系、ホットメルト系の粘着剤を用いることができ、素材は、アクリル系、ゴム系など任意であり適宜な組合せの粘着剤を用いて形成される。
また、粘着剤層3は、厚さが20μmに形成されている。
剥離剤層5は、ラベル基材2の表面側であって、感熱発色剤層4のさらに上層に形成されている。剥離剤層5は、台紙なしラベル連続体1の幅方向に沿って、縞状の粘着剤層3に表裏で対応してこれを縞状に形成されている。剥離剤層5は、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの剥離剤のうち適宜の種類のものを粘着剤に合わせた剥離能力に調整して塗布し硬化させて形成される。
また、剥離剤層5は、厚さが1から1.5μmに形成されている。
すなわち、ラベル基材2の裏面において、台紙なしラベル連続体1の長さ方向に延びる粘着剤層3に隣り合う非粘着剤領域3Aが粘着剤層3に対して交互に縞状に設けられている。また、ラベル基材2の表面において、台紙なしラベル連続体1の長さ方向に延びる剥離剤層5に隣り合う非剥離剤領域5Aが剥離剤層5に対して交互に縞状に設けられている。
また、粘着剤層3の一対は、ラベル基材2の裏面においてラベル基材2の両端縁部の近傍にそれぞれ位置している。同様に、剥離剤層5の一対は、ラベル基材2の表面においてラベル基材2の両端縁部の近傍にそれぞれ位置している。
【0026】
上述した構成により、図3に示すように、台紙なしラベル連続体1をロール状に巻いた状態であっても、ロール形態において下層及び上層に位置する台紙なしラベル連続体1の表面(上層側)の剥離剤層5が裏面(下層側)の粘着剤層3との接着を抑制する。よって、台紙なしラベル連続体1をロール状に巻いた状態であっても、粘着剤層3の粘着力が、台紙なしラベル連続体1の取扱いに支障を与えることはない。
【0027】
台紙なしラベル連続体1は、単葉又は単位ラベルとしての台紙なしラベル10を複数枚連続して繋げて形成しているものである。
台紙なしラベル10のそれぞれは、ラベル本体である値下げ表示領域(第1の領域)11と、バーコード目隠し片となるバーコード隠蔽領域(第2の領域)12と、を有している。
値下げ表示領域11は、商品に表示されている元価格についての値下げ情報を表示可能である。
バーコード隠蔽領域12は、元価格の価格情報に関連するバーコードを隠蔽するために使用可能である。
値下げ表示領域11とバーコード隠蔽領域12との境界には、領域分離線13(第1のミシン目)が形成されている。値下げ表示領域11とバーコード隠蔽領域12とは、領域分離線13を切断することにより、これらを互いに分離可能である。
また、値下げ表示領域11及びバーコード隠蔽領域12を台紙なしラベル10の単位ラベルとしてみると、隣接し合う台紙なしラベル10の境界には、単位接合線14(第2のミシン目)が形成されている。隣接し合う台紙なしラベル10は、単位接合線14を切断することにより、これらを互いに分離可能である。
【0028】
領域分離線13は、ラベル基材2の両端縁部それぞれから幅方向内方に形成した第1の切り目15を含む第1のミシン目からこれを構成する。第1の切り目15は、少なくとも一本あればよいもので、図示の例ではラベル基材2の両端縁部に均等な左右一対の切り目としてこれを形成している。
単位接合線14は、ラベル基材2の両端縁部それぞれから幅方向内方に形成した第2の切り目16を含む第2のミシン目からこれを構成する。第2の切り目16は、少なくとも一本あればよいもので、図示の例ではラベル基材2の両端縁部に均等な左右一対の切り目としてこれを形成している。
また、第1の切り目15の長さは、第2の切り目16の長さよりも短く形成されている。
領域分離線13における第1のミシン目は、ラベル基材2の両端縁部に臨んでいる第1の切り目15からラベル基材2の幅方向内方側に、より短い切り目であるカット部15A及び接続部15Bを有している。これと同様に、単位接合線14における第2のミシン目は、ラベル基材2の両端縁部に臨んでいる第2の切り目16からラベル基材2の幅方向内方側に、より短い切り目であるカット部16A及び接続部16Bを有している。
【0029】
ここで、本実施形態の領域分離線13及び単位接合線14の具体的な寸法について説明する。
領域分離線13は、長さ2mmの第1の切り目15と、長さ0.5mmのカット部15Aと、長さ0.23mmの接続部15Bとにより構成されている。
単位接合線14は、長さ3mmの第2の切り目16と、長さ0.5mmのカット部16Aと、長さ0.23mmの接続部16Bとにより構成されている。
本実施形態の台紙なしラベル連続体1は、領域分離線13及び単位接合線14をこのような寸法としたことにより、単位接合線14が領域分離線13よりも切れやすくなっている。また、領域分離線13及び単位接合線14の双方とも、十分な強度を保ちながら、切断するときには容易に切断可能となっている。以下、この寸法が最適であることについて、説明する。
【0030】
図4は、本実施形態の領域分離線13及び単位接合線14の各寸法を変更してそれぞれについて評価した結果を示す図である。
図4に示した評価では、先ず、領域分離線13及び単位接合線14の各寸法を変更したラベル連続体を用意した。そして、各種寸法のラベル連続体それぞれについて、単位接合線14が領域分離線13よりも切れやすいか否か、領域分離線13及び単位接合線14が切りやすいか否か、及び、不用意に切れてしまわないか否か等について評価を行った。
【0031】
図4の結果から、カット部15A及びカット部16Aは、いずれも、長さが0.5mm以上0.6mm以下であることが望ましい。カット部15A及びカット部16Aの長さが0.5mmより小さい場合には、切断しにくくなり、また、カット部15A及びカット部16Aの長さが0.6mmより大きい場合には、切れやすくなってしまうからである。
また、接続部15B及び接続部16Bは、いずれも、長さが0.2mm以上0.23mm以下であることが望ましい。接続部15B及び接続部16Bの長さが0.2mmより小さい場合には、切れやすくなってしまい、また、接続部15B及び接続部16Bの長さが0.23mmより大きい場合には、台紙なしラベル10を手で切断しようとすると、台紙なしラベル10の予期せぬ位置から切断されるなどの不具合が生ずる。特に紙製のラベル10においては、紙の繊維に沿って台紙なしラベル10が断裂しやすいという性質がある関係上、このような不具合が生じやすいためである。
【0032】
また、図4の結果から、少なくとも第2の切り目16を設けることが望ましく、その長さは、1.5mm以上3mm以下であることが望ましい。第2の切り目16を設けることにより、単位接合線14を領域分離線13よりも切れやすくすることができる。
さらに、第2の切り目16の他に、第1の切り目15を設けることがより望ましく、その長さは、第2の切り目16よりも短いことが望ましい。第1の切り目15の長さを第2の切り目16よりも短くすることにより、領域分離線13を切りやすくしながら、単位接合線14を領域分離線13よりも切れやすくすることができる。
【0033】
図1から図3に戻って、それぞれの台紙なしラベル10の裏面には、ロール状の台紙なしラベル連続体1をサーマルプリンター(図示せず)に装填して、移送印字する際の位置検出用マーク17をあらかじめ印刷してある。
【0034】
また、値下げ表示領域11には、少なくとも粘着剤層3を設けている領域(剥離剤層5の領域)内に、不正貼り替え防止用カット18を形成している。もちろん、非粘着剤領域3A(非剥離剤領域5A)にも不正貼り替え防止用カット18を形成することができる。また、値下げ表示領域11には、不正貼り替え防止用カット18とは別の不正貼り替え防止用カット28も値下げ表示領域11の幅方向両端に設けられている。
【0035】
不正貼り替え防止用カット18の数及び形状は、任意とすることも可能であるが、本実施形態では、図1に示したような形状と数、及び、配置とすることにより、貼り替え防止効果を保ちながら、ラベルとしての機能を十分に発揮できるようにしている。
【0036】
図5は、不正貼り替え防止用カットの形状について検討した結果を示す図である。図5において、細かい点で網掛けした領域は、粘着剤層3及び剥離剤層5が形成されている領域であることを示している。
図5に示す検討は、不正貼り替え防止用カット18の形状を、図示した形状Aから形状Hの不正貼り替え防止用カットを有するラベル連続体をそれぞれ用意し、実際に剥離試験を行って評価した。
本実施形態の不正貼り替え防止用カット18は、弧状に形成された弧状部分18aと、弧状部分18aから弧状部分18aの弧形状の内方側に延在して形成された直線部分18bとを有している。弧状部分のみの形状D,Eの結果では、貼り替え防止効果が不十分であった。また、直線部分のみの形状Fの結果では、ラベルのめくれが発生した。これに対して、図5で形状Hとして示した本実施形態の不正貼り替え防止用カット18の形状では、貼り替え防止効果が高く、かつ、ラベルのめくれも発生しない。
【0037】
また、図5の検討結果から、不正貼り替え防止用カット18は、粘着剤層3及び剥離剤層5が形成されている領域に設けることが、貼り替え防止効果を高めるために望ましい。
さらに、本実施形態では、不正貼り替え防止用カット18は、値下げ表示領域11の角に寄った位置に、最小限の数として2箇所に設けている。これにより、図1中で不正貼り替え防止用カット18に挟まれている領域と、その下方(図1において下方)となる領域とには、不正貼り替え防止用カット及びミシン目が無い領域が確保される。この領域をバーコード印刷領域として利用することにより、バーコードの読み取り時に、不正貼り替え防止用カット及びミシン目がバーコード読み取りエラーの原因となることを防止できる。
【0038】
なお、台紙なしラベル連続体1(台紙なしラベル10)の表面領域には、必要に応じて任意の色デザインにより色分けを施すことができる。
たとえば、バーコード隠蔽領域12から値下げ表示領域11の一部にかけて濃い赤色を地色とし、この赤地色に隣り合わせて値下げ表示領域11の一部にかけて黄色を地色とし、他の値下げ表示領域11を白地色とすることにより、値下げ処理を顧客にアピールする等してもよい。
【0039】
こうした構成の台紙なしラベル連続体1(台紙なしラベル10)において、台紙なしラベル連続体1をサーマルプリンター(図示せず)に装填して、値下げ表示領域11に値下げ情報を印字する。この値下げ情報としては、価格の値下げ処理に関する情報や値下げ価格はもちろん、この値下げ情報に関連するバーコード22(図6参照)なども印字することができる。
図6は、元価格を表示している元価格表示ラベル19を貼り付けてある商品Mの表面側の平面図である。
図7は、元価格を表示している元価格表示ラベル19を貼り付けてある商品Mの裏面図である。
商品Mの表面側には、元価格表示ラベル19の隣、又は、目立つ位置に台紙なしラベル10を貼り付けて値下げ情報を表示する。
また、商品Mの裏面側には、バーコードラベル20が貼り付けられてあり、このバーコードラベル20には、元価格に関する価格情報に関連するバーコード21が印字されている。
【0040】
台紙なしラベル10における領域分離線13の部分において値下げ表示領域11からバーコード隠蔽領域12を分離し、元価格の価格情報に関連するバーコード21に重ね合わせるようにバーコード隠蔽領域12を貼り付ける。
このようにして、バーコード隠蔽領域12によってバーコード21を隠蔽することによりバーコード21の光学的読取りを不可能とできる。また、台紙なしラベル10(値下げ表示領域11)には、値下げ情報に関連するバーコード22を印字してあり、レジにおいてこのバーコード22を読み取ることで、値下げ情報が精算に反映される。
【0041】
バーコード隠蔽領域12を値下げ表示領域11から分離する際には、領域分離線13で切り取り、台紙なしラベル10を台紙なしラベル連続体1から分離する際には単位接合線14で切り取ることになる。ここで、単位接合線14における第2の切り目16の方が領域分離線13における第1の切り目15より長く形成されているので、最初に台紙なしラベル10を台紙なしラベル連続体1から分離しやすい。
この分離の後に、台紙なしラベル10における値下げ表示領域11とバーコード隠蔽領域12とを分離可能である。よって、台紙なしラベル10を台紙なしラベル連続体1から分離する前にバーコード隠蔽領域12が先に分離されたり、一枚の台紙なしラベル10に二枚のバーコード隠蔽領域12が切り取られてきたりするような不都合を回避可能である。
したがって、台紙なしラベル連続体1(台紙なしラベル10)を用いて値下げ処理を行う作業者は、台紙なしラベル10の分離にあたって、無用な注意力を必要とせずに、効率的な処理を実行可能である。
【0042】
さらに、台紙なしラベル10の表裏面において、粘着剤層3及び剥離剤層5が縞状に形成されている。よって、台紙なしラベル10は、複数回の値下げ処理にともなって複数枚の台紙なしラベル10が重ね合わせられて貼り付けられることになっても、上層側に位置する粘着剤層3のいずれかが、下層側に位置する非剥離剤領域5Aに接着可能である。したがって、台紙なしラベル10は、貼付け状態を保持することができるとともに、粘着剤層3の領域に不正貼り替え防止用カット18を設けた構成であっても、不正貼り替え防止機能を維持しておくことができる。
【0043】
また、領域分離線13(第1のミシン目)及び単位接合線14(第2のミシン目)は、いずれも、ラベル基材がカットされたカット部の長さが0.5mm以上0.6mm以下であり、ラベル基材がカットされていない接続部の長さが0.2mm以上0.23mm以下である。したがって、上記数値範囲内にミシン目を形成することにより、領域分離線13及び単位接合線14のいずれの位置でも適度な強度を保ちつつ、かつ、容易に切り離しを行える。
特に、第2の切り目16を形成し、第2の切り目16の長さを、1.5mm以上3mm以下とすることにより、単位接合線14を切りやすくできる。さらに、第1の切り目15を設け、この第1の切り目15の長さを第2の切り目16の長さよりも短く形成することにより、領域分離線13も切りやすくしながら、領域分離線13よりも単位接合線14を切りやすくできる。
【0044】
さらにまた、値下げ表示領域11(第1の領域)には、粘着剤領域と一致する領域に、不正貼り替え防止用カット18が形成されているので、不正な貼り替えを防止できる。
特に、不正貼り替え防止用カット18は、弧状に形成された弧状部分18aと、弧状部分18aから弧状部分18aの弧形状の内方側に延在して形成された直線部分18bとを有するので、貼り替え防止効果を維持しながら、不正貼り替え防止用カット18の部分がめくれてしまうことを防止できる。
また、値下げ表示領域11には、不正貼り替え防止用カット18が形成されていないバーコード印刷領域が設けられているので、不正貼り替え防止用カット18がバーコード読み取り時のエラーの原因となることを防止できる。
【0045】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態において、バーコード隠蔽領域12には、印刷を行っていない例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、バーコード隠蔽領域12にも値下げ情報に対応したバーコード等を印刷してもよい。
なお、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0046】
1 ラベル連続体
2 ラベル基材
3 粘着剤層
3A 非粘着剤領域
4 感熱発色剤層
5 剥離剤層
5A 非剥離剤領域
10 ラベル
11 値下げ表示領域
12 バーコード隠蔽領域
13 領域分離線
14 単位接合線
15 第1の切り目
15A カット部
15B 接続部
16 第2の切り目
16A カット部
16B 接続部
17 位置検出用マーク
18 不正貼り替え防止用カット
18a 弧状部分
18b 直線部分
19 元価格表示ラベル
20 バーコードラベル
21 バーコード
22 バーコード
28 不正貼り替え防止用カット
M 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のラベル基材と、
前記ラベル基材の長手方向に連続して形成された単位ラベルと、
を備えた台紙なしラベル連続体であって、
隣接し合う前記単位ラベルの境界には、第2のミシン目が形成されており、
前記単位ラベルは、
前記ラベル基材の長手方向において所定幅に形成された第1の領域と、
前記ラベル基材の長手方向において前記第1の領域に隣接して所定幅に形成された第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との境界に形成された第1のミシン目と、
を有し、
前記第1のミシン目及び前記第2のミシン目は、いずれも、前記ラベル基材がカットされたカット部の長さが0.5mm以上0.6mm以下であり、前記ラベル基材がカットされていない接続部の長さが0.2mm以上0.23mm以下であること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項2】
請求項1に記載の台紙なしラベル連続体において、
前記第2のミシン目の少なくとも一端部には、前記第2のミシン目の端部から幅方向内方に形成した第2の切り目を有し、
前記第2の切り目の長さは、1.5mm以上3mm以下であること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項3】
請求項2に記載の台紙なしラベル連続体において、
前記第1のミシン目の少なくとも一端部には、前記第1のミシン目の端部から幅方向内方に形成した第1の切り目を有し、
前記第1の切り目の長さは、前記第2の切り目よりも短く形成されていること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の台紙なしラベル連続体において、
前記ラベル基材の一方の面には、粘着剤が形成された粘着剤領域と、前記粘着剤が形成されていない非粘着剤領域と、が交互に形成されており、
前記ラベル基材の他方の面には、前記粘着剤に対して剥離作用を有する剥離剤が形成された剥離剤領域と、前記剥離剤が形成されていない非剥離剤領域と、が交互に形成されており、
前記剥離剤領域は、前記粘着剤領域に対向する位置に設けられていること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項5】
請求項4に記載の台紙なしラベル連続体において、
前記第1の領域には、前記粘着剤領域と一致する領域に、不正貼り替え防止用カットが形成されていること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項6】
請求項5に記載の台紙なしラベル連続体において、
前記不正貼り替え防止用カットは、弧状に形成された弧状部分と、前記弧状部分から前記弧状部分の弧形状の内方側に延在して形成された直線部分とを有すること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の台紙なしラベル連続体において、
前記不正貼り替え防止用カットは、前記第1の領域の一部に設けられており、
前記第1の領域には、前記不正貼り替え防止用カットが形成されていないバーコード印刷領域が設けられていること、
を特徴とする台紙なしラベル連続体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−220623(P2012−220623A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84481(P2011−84481)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)