説明

台車制御システム

【課題】容易に台車の走行を制御することができるように改良された台車制御システムを提供する。
【解決手段】台車制御システム1は、軌道18上を走行する台車16の速度と、時間または前記軌道18上の台車16の位置とを示すグラフを表示するグラフ表示手段と、前記グラフの表示の変更を受入れるグラフ変更受入れ手段と、前記グラフ変更受入れ手段から受け入れたグラフの表示の変更に基づいて、前記グラフを変更するグラフ変更手段と、前記変更されたグラフに従って、前記台車16の走行を制御する制御手段とを有し、前記台車16は、前記制御手段の制御に従って走行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車の走行を制御する台車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、射撃訓練が可能な操舵式標的装置を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−190860
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景からなされたものであって、容易に台車の走行を制御することができるように改良された台車制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的のために、本発明に係る第1の台車制御システムは、軌道上を走行する台車の速度と、時間または前記軌道上の台車の位置とを示すグラフを表示するグラフ表示手段(226)と、前記グラフの表示の変更を受入れるグラフ変更受入れ手段(240)と、前記グラフ変更受入れ手段(240)から受け入れたグラフの表示の変更に基づいて、前記グラフを変更するグラフ変更手段(248)と、前記変更されたグラフに従って、前記台車の走行を制御する制御手段(302)とを有し、前記台車(16)は、前記制御手段の制御に従って走行する。
【0006】
好適には、本発明に係る第2の台車制御システムは、前記グラフ変更受入れ手段から受け入れたグラフの表示の変更が、予め決められた許容値を超える場合に、警告を表示する警告表示手段(246)をさらに有する。
【0007】
好適には、本発明に係る第3の台車制御システムは、前記台車から台車の速度情報を受け入れる速度情報受入れ手段(260)と、前記受け入れた台車の速度情報を、前記表示されたグラフ上にプロットする速度情報表示手段(262)とをさらに有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる台車制御システムによれば、容易に台車の走行を制御することができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る台車制御システムの構成を示す図である。
【図2】(A)は、図1に示した制御端末、制御器および中継器のハードウェア構成を示す図であり、図2(B)は、図1に示した制御端末において実行されるシミュレーションプログラムの構成を示す図である。
【図3】(A)は、図2(B)に示したパラメータ受入れ部が、入出力装置に表示する設定画面を例示する図であり、(B)は、図2(B)に示した表示部が、入出力装置に表示するグラフおよびパラメータダウンロードボタンを示す図であり、(C)は、図1に示した台車制御装置において実行される台車制御プログラムの構成を示す図である。
【図4】(A)は、速度カーブにおいて水平バー1が変更された状態を示す図であり、(B)は、速度カーブにおいて垂直バー1が変更された状態を示す図である。
【図5】(A)は、速度カーブにおいて垂直バー2が変更された状態を示す図であり、(B)は、速度カーブにおいて垂直バー3が変更された状態を示す図である。
【図6】(A)は、速度カーブにおいて垂直バー4が変更された状態を示す図であり、(B)は、速度情報表示部が、入出力装置に表示する台車の速度情報を示す図である。
【図7】縦軸を台車の速度とし、横軸を台車の走行距離とした場合の速度カーブを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の背景]
本発明の理解を助けるために、まず、本発明がなされるに至った背景を説明する。
例えば、射撃訓練のための標的が取り付けられた台車は、レールなどの軌道上を走行し、この台車の走行を制御するために、台車には、台車制御装置が備えられており、台車に備えられた台車制御装置は、ユーザにより設定される等速度の設定情報と、予め設定されている固定の加速度、減速度および軌道距離とに基づいて、台車の走行制御を行う。
したがって、ユーザは、軌道の延長、加速度および減速度の変更が発生した場合、容易に対応することができなかった。
以下に説明する本発明にかかる台車制御システムは、上述した課題を解決するようになされている。
【0011】
図1は、本発明に係る台車制御システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、台車制御システム1は、制御端末10、制御器12、中継器14および軌道18を走行する台車16から構成されている。
台車16は、標的160、車輪162および台車制御装置164を有する。
また、以下の各図において、実質的に同じ構成部分・処理には、同じ符号が付される。
台車制御システム1は、これらの構成により、軌道18を走行する台車16の制御を行う。
【0012】
[台車制御システム1の概要]
制御端末10は、ユーザにより入力された台車16の加速度、減速度および等速度および軌道18の軌道長などの設定情報に基づいて、台車16の走行のシミュレーションを行う。
また、制御端末10は、台車16の走行を制御するためのパラメータを、LANなどの有線回線を介して、制御器12に送信する。
また、制御端末10は、制御器12から、台車16の速度情報を受信する。
制御器12は、制御端末10からLANなどの有線回線を介して受信した電気信号を無線信号に変換し、無線通信回線網(図示せず)を介して中継器14に送信する。
また、制御器12は、中継器14から受信した無線信号を電気信号に変換し、LANなどの有線回線を介して制御端末10に送信する。
中継器14は、制御器12と台車16との間で通信される無線信号の増幅などを行い、信号の中継を行う。
台車16は、制御端末10から送信された台車16の走行を制御するためのパラメータを、制御器12および中継器14を介して受信し、受信したパラメータに基づいて、台車16を制御する。
また、台車16は、走行している台車16の速度情報を取得し、無線通信回線網を介して中継器14に送信する。
【0013】
[ハードウェア構成]
図2(A)は、図1に示した制御端末10、制御器12および台車16のハードウェア構成を示す図である。
制御端末10、制御器12および台車16は、図2(A)に示すように、CPU100、メモリ102、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置104、LANなどのネットワークに接続された外部のコンピュータ(図示せず)などとデータの送信および受信を行う有線通信装置106、無線通信回線網(図示せず)を介して他の無線装置とデータの送信および受信を行う無線通信装置108およびポインティングデバイス、キーボードおよび表示装置などを含む入出力装置110から構成される。
これらの構成要素は、システムバス112を介して互いに接続されている。
なお、制御端末10は、無線通信装置108を有さなくてもよい。
また、台車制御装置164は、有線通信装置106および入出力装置110を有さなくてもよい。
つまり、制御端末10、制御器12および台車制御装置164は、データ通信が可能なコンピュータとしての構成部分を有している。
【0014】
[ソフトウェア]
以下、図1に示した制御端末10において実行されるシミュレーションプログラム20を説明する。
図2(B)は、図1に示した制御端末10において実行されるシミュレーションプログラム20の構成を示す図である。
図2(B)に示すように、シミュレーションプログラム20は、記憶部200、設定部22、再設定部24および速度情報表示部26から構成される。
設定部22は、パラメータ受入れ部220、計算部222、パラメータ出力部224および表示部226から構成される。
再設定部24は、設定変更受入れ部240、判断部242、パラメータ出力部244、表示制御部246および再表示部248から構成される。
速度情報表示部26は、速度情報取得部260および速度情報表示部262から構成される。
【0015】
シミュレーションプログラム20は、例えば、記憶装置104(図2(A))などを介してメモリ102にロードされ、制御端末10にインストールされたOS(図示せず)上で、制御端末10のハードウェア資源を具体的に利用して実行される(以下の各ソフトウェア構成部分についても同様)。
シミュレーションプログラム20は、これらの構成部分により、軌道18を走行する台車16の走行を制御する。
【0016】
図3(A)は、図2(B)に示したパラメータ受入れ部220が、入出力装置110に表示する設定画面120を例示する図である。
図3(A)に示すように、設定画面120は、設定エリア122およびOKボタン124を含む。
設定エリア122は、軌道長の最大値、台車の加速度の最大値、台車の減速度の最大値、台車の等速度(以下、設定情報)が、それぞれ入力可能に構成されている。
パラメータ受入れ部220は、ユーザにより入力された上記設定情報を、入出力装置110を介して受け入れ、計算部222に出力する。
具体的には、パラメータ受入れ部220は、例えば、OKボタン124が押下されたときに、設定情報を受け入れる。
【0017】
計算部222は、パラメータ受入れ部220から入力された設定情報に基づいて、台車16の走行制御のための以下のパラメータを算出し、算出したパラメータを、記憶部200およびパラメータ出力部224に対して出力する。
パラメータ:
(a)軌道長,(b)加速度,(c)減速度,(d)等速度,(e)等速走行時間(距離),(f)徐行走行時間(距離)
以下、発明の明確化・具体化のため、上記(a)〜(f)のパラメータの算出方法の具体例を説明する。
【0018】
(1)軌道長の算出:
軌道長は、例えば、ユーザより設定された「軌道長の最大値」に対する予め決められた割合(50%など)とされる。
例えば、ユーザが「軌道長の最大値」を「600m」として設定した場合、軌道長は、「300m」と決定される。
(2)加速度の算出:
加速度は、例えば、ユーザより設定された「加速度の最大値」に対する予め決められた割合(50%など)とされる。
例えば、ユーザが「加速度の最大値」を「1m/s」として設定した場合、加速度は、「0.5m/s」と決定される。
【0019】
(3)減速度の算出:
減速度は、例えば、ユーザより設定された「減速度の最大値」に対する予め決められた割合(50%など)と決定される。
例えば、ユーザが「減速度の最大値」を「1m/s」として設定した場合、減速度は、「0.5m/s」と決定される。
(4)等速度の算出:
等速度は、例えば、ユーザより設定された「等速度の最大値」に対する予め決められた割合(50%など)とされる。
例えば、ユーザが「等速度の最大値」を「40km/s」として設定した場合、等速度は、「20km/s」と決定される。
【0020】
(5)等速度走行時間(距離)および徐行走行時間(距離)の算出:
上記決定された加速度および等速度により、加速走行時間および加速走行距離が算出される。
また、同様に、減速走行時間および減速走行距離が算出される。
また、台車16の徐行速度、台車16がブレーキを踏んだ後の減速度(停止減速度)は、予め決められており、台車16がブレーキを踏んでから、ストップするまでの距離(停止距離)が、算出される。
したがって、上記算出した軌道長と、加速走行距離と、減速走行距離と、停止距離とから、等速走行距離および徐行走行距離の合計が算出される。
ここで、上記等速走行距離および徐行走行距離の合計と、等速度と、予め決められた徐行速度とから、最適な等速度走行時間または距離、および、徐行走行時間または距離が決定される。
例えば、予め決められた等速走行時間と徐行走行時間との比率を用いて、最適な等速度走行時間または距離、および、徐行走行時間または距離が決定されてもよい。
パラメータ出力部224は、計算部222から入力されたパラメータを、表示部226に対して出力する。
また、パラメータ出力部224は、後述のパラメータダウンロードボタン126(図3(B))がユーザにより押下されると、計算部222から入力されたパラメータを、有線通信装置106を介して制御器12に対して送信する。
【0021】
図3(B)は、図2(B)に示した表示部226が、入出力装置110に表示するグラフおよびパラメータダウンロードボタン126を示す図である。
表示部226は、パラメータ出力部224から入力されたパラメータに基づいて、図3(B)に示すように、時間(横軸)に対する台車の速度(縦軸)を示すグラフ(速度カーブ)を、入出力装置110(図2(A))に表示する。
つまり、表示部226は、軌道上を走行する台車の速度と、時間とを示すグラフを表示する。
また、表示部226は、図3(B)に示すように、速度カーブにおいて、1つの水平バー(水平バー1)と、4つの垂直バー(垂直バー1〜4)とを、表示する。
また、表示部226は、4つの垂直バーの上部に、時間に対応する距離を表示する。
また、表示部226は、台車16が停止する時間における軌道上の位置(台車16の停止位置;図3(B))を、表示する。
これらのバーは、入出力装置110に備えられているポインティングデバイス、キーボードにより、移動可能に構成されている。
つまり、ユーザは、速度カーブの水平バーおよび垂直バーを、ポインティングデバイス、キーボードにより、変更することができる。
また、表示部226は、速度カーブとともに、パラメータを台車16にダウンロードするためのパラメータダウンロードボタン126を表示する(以下の速度カーブを示す図においては、省略されている)。
記憶部200は、計算部222から入力されたパラメータを記憶する。
【0022】
設定変更受入れ部240は、入出力装置110に表示された速度カーブ(図3(B))の水平バーおよび垂直バーの変更情報(変更されたバーの情報)を受け入れ、判断部242に対して出力する。
判断部242は、設定変更受入れ部240から受け入れた変更されたバーの情報が予め決められた許容値の範囲内であるか否かに基づいて、バーの変更を許可するか否かを判断する。
具体的には、判断部242は、変更されたバーの情報が予め決められた許容値を超えている場合には、バーの変更を許可しない(変更不可)と判断する。
【0023】
また、判断部242は、変更されたバーの情報と、記憶部200に記憶されたパラメータ情報とから、パラメータを再算出し、再算出されたパラメータに基づいて、バーの変更を許可するか否かを判断する。
具体的には、判断部242は、台車16が軌道18をオーバーランしてしまう場合には、バーの変更を許可しない(変更不可)と判断する。
【0024】
判断部242は、変更を許可しないと判断した場合には、変更不可である旨とその理由(速度オーバー、オーバーランなど)を表示制御部246に対して出力する。
また、判断部242は、算出したパラメータをパラメータ出力部224に対して出力する。
以下、図3(B)に示した水平バー1および垂直バー1〜4がそれぞれ変更された場合における判断部242の処理を、図4(A),(B),図5(A),(B),図6(A)を参照して具体的に説明する。
【0025】
[水平バー1(等速度)の変更]
まず、図3(B)に示した水平バー1が変更された場合における判断部242の処理を説明する。
図4(A)は、速度カーブにおいて水平バー1が変更された状態を示す図である。
ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、水平バー1を上下に移動することができる。
以下、ユーザが、水平バー1を上方に移動した場合を具体例として説明する。
図4(A)に示すように、ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、水平バー1を上方に移動する。
ユーザは、水平バー1を上方に移動することにより、台車16の等速度を速くすることができる。
【0026】
判断部242は、この水平バー1の変更情報(変更された等速度)を、設定変更受入れ部240から受け入れて、予め設定された許容値を超えているか否かを判断する。
判断部242は、変更された等速度が、予め設定された許容値を超えていると判断した場合には、変更不可である旨とその理由(速度オーバー)を表示制御部246に対して出力する。
【0027】
また、判断部242は、変更された等速度に基づいて、パラメータを再算出する。
具体的には、等速度が変更された場合には、例えば、以下のようにパラメータを再算出する。
(a)軌道長:以下の再算出後の(b)〜(f)に基づいて再算出
(b)加速度:変更なし
(c)減速度:変更なし
(d)等速度:バーにより変更された値
(e)等速走行時間:変更なし
(f)徐行走行時間:変更なし
また、判断部242は、上記軌道長を算出した結果、台車16が軌道18をオーバーランしてしまうか否かを判断する。
判断部242は、台車16が、軌道18をオーバーランしてしまうと判断した場合には、変更不可である旨とその理由(オーバーラン)を表示制御部246に対して出力する。
判断部242は、算出したパラメータをパラメータ出力部244に対して出力する。
【0028】
[垂直バー1(加速度)の変更]
次に、図3(B)に示した垂直バー1が変更された場合における判断部242の処理を説明する。
図4(B)は、速度カーブにおいて垂直バー1が変更された状態を示す図である。
ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー1を左右に移動することができる。
以下、ユーザが、垂直バー1を左に移動した場合を具体例として説明する。
図4(B)に示すように、ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー1を左に移動する。
つまり、ユーザは、垂直バー1を左に移動することにより、台車16の加速度を上げることができる。
【0029】
判断部242は、この垂直バー1の変更情報(変更された加速度)を、設定変更受入れ部240から受け入れて、予め設定された許容値を超えているか否かを判断する。
判断部242は、変更された加速度が、予め設定された許容値を超えていると判断した場合には、変更不可である旨とその理由(加速度オーバー)を表示制御部246に対して出力する。
【0030】
また、判断部242は、変更された加速度に基づいて、パラメータを再算出する。
具体的には、加速度が変更された場合には、例えば、以下のようにパラメータを再算出する。
(a)軌道長:以下の再算出後の(b)〜(f)に基づいて再算出
(b)加速度:バーにより変更された値
(c)減速度:変更なし
(d)等速度:変更なし
(e)等速走行時間:変更前の加速走行時間と等速走行時間との合計が、変更後の加速走行時間と等速走行距離時間との合計に等しくなるように再算出
(f)徐行走行時間:変更なし
また、判断部242は、上記軌道長を算出した結果、台車16が軌道18をオーバーランしてしまうか否かを判断する。
判断部242は、台車16が、軌道18をオーバーランしてしまうと判断した場合には、変更不可である旨とその理由(オーバーラン)を表示制御部246に対して出力する。
判断部242は、算出したパラメータをパラメータ出力部244に対して出力する。
【0031】
[垂直バー2(等速走行時間)の変更]
次に、図3(B)に示した垂直バー2が変更された場合における判断部242の処理を説明する。
図5(A)は、速度カーブにおいて垂直バー2が変更された状態を示す図である。
ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー2を左右に移動することができる。
以下、ユーザが、垂直バー2を右に移動した場合を具体例として説明する。
図5(A)に示すように、ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー2を右に移動する。
つまり、ユーザは、垂直バー2を右に移動することにより、台車16の等速走行時間を長くすることができる。
【0032】
判断部242は、この垂直バー2の変更情報(変更された等速走行時間)を、設定変更受入れ部240から受け入れて、変更された等速走行時間に基づいて、パラメータを再算出する。
具体的には、等速走行時間が変更された場合には、例えば、以下のようにパラメータを再算出する。
(a)軌道長:以下の再算出後の(b)〜(f)に基づいて再算出
(b)加速度:変更なし
(c)減速度:変更前の減速走行時間と等速走行時間との合計が、変更後の減速走行時間と等速走行距離時間との合計に等しくなるように再算出
(d)等速度:変更なし
(e)等速走行時間:バーにより変更された値
(f)徐行走行時間:変更なし
また、判断部242は、上記軌道長を算出した結果、台車16が軌道18をオーバーランしてしまうか否かを判断する。
判断部242は、台車16が、軌道18をオーバーランしてしまうと判断した場合には、変更不可である旨とその理由(オーバーラン)を表示制御部246に対して出力する。
判断部242は、算出したパラメータをパラメータ出力部244に対して出力する。
【0033】
[垂直バー3(減速度)の変更]
次に、図3(B)に示した垂直バー3が変更された場合における判断部242の処理を説明する。
図5(B)は、速度カーブにおいて垂直バー3が変更された状態を示す図である。
ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー3を左右に移動することができる。
つまり、ユーザは、垂直バー3を左右に移動することにより、台車16の減速度を大きくまたは小さくすることができる。
図5(B)に示すように、ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー3を左右に移動する。
【0034】
判断部242は、この垂直バー3の変更情報(変更された減速度)を、設定変更受入れ部240から受け入れて、予め設定された許容値を超えているか否かを判断する。
判断部242は、変更された減速度が、予め設定された許容値を超えていると判断した場合には、変更不可である旨とその理由(減速度オーバー)を表示制御部246に対して出力する。
【0035】
また、判断部242は、変更された減速度に基づいて、パラメータを再算出する。
具体的には、減速度が変更された場合には、例えば、以下のようにパラメータを再算出する。
(a)軌道長:以下の再算出後の(b)〜(f)に基づいて再算出
(b)加速度:変更なし
(c)減速度:バーにより変更された値
(d)等速度:変更なし
(e)等速走行時間:変更なし
(f)徐行走行時間:変更前の減速走行時間と徐行走行時間との合計が、変更後の減速走行時間と徐行走行距離時間との合計に等しくなるように再算出
また、判断部242は、上記軌道長を算出した結果、台車16が軌道18をオーバーランしてしまうか否かを判断する。
判断部242は、台車16が、軌道18をオーバーランしてしまうと判断した場合には、変更不可である旨とその理由(オーバーラン)を表示制御部246に対して出力する。
判断部242は、算出したパラメータをパラメータ出力部244に対して出力する。
【0036】
[垂直バー4(徐行走行時間)の変更]
次に、図3(B)に示した垂直バー4が変更された場合における判断部242の処理を説明する。
図6(A)は、速度カーブにおいて垂直バー4が変更された状態を示す図である。
ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー4を左右に移動することができる。
以下、ユーザが、垂直バー4を右に移動した場合を具体例として説明する。
図6(A)に示すように、ユーザは、入出力装置110に備えられたポインティングデバイスまたはキーボードなどにより、垂直バー4を右に移動する。
つまり、ユーザは、垂直バー4を右に移動することにより、台車16の徐行走行時間を長くすることができる。
【0037】
判断部242は、この垂直バー4の変更情報(変更された徐行走行時間)を、設定変更受入れ部240から受け入れて、変更された徐行走行時間に基づいて、パラメータを再算出する。
具体的には、徐行走行時間が変更された場合には、例えば、以下のようにパラメータを再算出する。
(a)軌道長:以下の再算出後の(b)〜(f)に基づいて再算出
(b)加速度:変更なし
(c)減速度:変更なし
(d)等速度:変更なし
(e)等速走行時間:変更なし
(f)徐行走行時間:バーにより変更された値
また、判断部242は、上記軌道長を算出した結果、台車16が軌道18をオーバーランしてしまうか否かを判断する。
判断部242は、台車16が、軌道18をオーバーランしてしまうと判断した場合には、変更不可である旨とその理由(オーバーラン)を表示制御部246に対して出力する。
判断部242は、算出したパラメータをパラメータ出力部244に対して出力する。
【0038】
パラメータ出力部244(図2(B))は、判断部242から入力されたパラメータを、再表示部248に対して出力する。
また、パラメータ出力部244は、図3(B)に示したパラメータダウンロードボタン126がユーザにより押下されると、判断部242から入力されたパラメータを、有線通信装置106を介して制御器12に対して送信する。
表示制御部246は、判断部242から入力された変更不可である旨とその理由(オーバーランなど)に基づいて、図4(A),(B),図5(A),(B),図6(A)に示すように、警告を表示する。
再表示部248は、パラメータ出力部244から入力されたパラメータに基づいて、図4(A),(B),図5(A),(B),図6(A)に示すように、速度カーブおよびバーを、入出力装置110(図2(A))に再表示する。
また、再表示部248は、垂直バーの上部に、時間に対応する距離を表示する。
つまり、再表示部248は、バーの変更に応じて、垂直バーの上部に表示される距離の値を変更して表示する。
また、再表示部248は、最初のシミュレーション時における台車16の到達時間(図3(B)の例では、60秒)に対応する距離を、表示する。
つまり、再表示部248は、バーの変更に応じて、最初のシミュレーション時における台車16の到達時間に対応する距離の値を変更して表示する。
また、再表示部248は、表示部226と同様に、パラメータダウンロードボタン126(図3(B))を表示する。
【0039】
[速度情報表示部26]
図6(B)は、速度情報表示部262が、入出力装置110(図2(A))に表示する台車16の速度情報を示す図である。
速度情報表示部26の速度情報取得部260(図2(B))は、制御器12から有線通信装置106を介して、台車16の速度情報を取得する。
速度情報表示部262は、速度情報取得部260から入力された台車16の速度情報を、図6(B)に示すように、入出力装置110(図2(A))に表示された速度カーブ上にプロットする。
【0040】
以下、台車制御装置164において実行される台車制御プログラム30を説明する。
図3(C)は、図1に示した台車制御装置164において実行される台車制御プログラム30の構成を示す図である。
図3(C)に示すように、台車制御プログラム30は、パラメータ受信部300、台車制御部302、速度情報取得部304および速度情報送信部306から構成される。
台車制御プログラム30は、これらの構成部分により、軌道18を走行する台車16の走行を制御する。
【0041】
パラメータ受信部300は、制御端末10から送信されたパラメータを、中継器14から無線通信装置108を介して受信し、台車制御部302に対して出力する。
台車制御部302は、パラメータ受信部300から入力されたパラメータに基づいて、台車16を制御する。
速度情報取得部304は、台車16の速度情報を、予め決められた周期(例えば、500ms)で取得する。
また、速度情報取得部304は、取得した台車16の速度情報を、速度情報送信部306に対して出力する。
速度情報送信部306は、速度情報取得部304から入力された台車16の速度情報を、無線通信装置108を介して無線信号により中継器14に対して送信する。
【0042】
[全体動作]
以上説明した台車制御システム1の全体動作を説明する。
1.ユーザは、制御端末10の入出力装置110(図2(B))に表示された設定画面120において、設定情報を入力し、OKボタン124を押下する。
2.制御端末10のシミュレーションプログラム20は、図3(B)に示した速度カーブおよび移動可能なバーを、入出力装置110に表示する。
3.ユーザは、上記表示された速度カーブおよびバーを移動させることにより、台車16の走行のシミュレーションを行う。
4.制御端末10のシミュレーションプログラム20は、シミュレーションの結果(速度カーブ)とともに、「速度オーバー」や「オーバーラン」の旨を示す警告を、入出力装置110に適宜表示する。
5.ユーザは、実行したシミュレーションの結果を用いて台車16の走行を制御するときには、制御端末10の入出力装置110に表示されたパラメータダウンロードボタン126を押下する。
6.シミュレーションプログラム20は、パラメータを、制御器12および中継器14を介して、台車16にダウンロードする。
7.台車16は、上記ダウンロードされたパラメータを用いて、台車16を制御する。
また、台車16は、台車16の速度情報を、予め決められた周期で取得し、中継器14および制御器12を介して、制御端末10に送信する。
8.制御端末10は、台車16から送信された台車16の速度情報を、速度カーブ上にプロットする。
【0043】
[速度カーブ]
図7は、縦軸を台車16の速度とし、横軸を台車16の走行距離とした場合の速度カーブを例示する図である。
図7に示すように、図3(B)に示した速度カーブにおいて、横軸を台車16の軌道上の位置とし、縦軸を台車16の速度としてもよい。
つまり、シミュレーションプログラム20は、図4(A),(B),図5(A),(B),図6(A)に示したグラフに替えて、横軸を台車16の軌道上の位置とし、縦軸を台車16の速度とする図7に示した速度カーブを用いて、上述したグラフ変更の受入れおよびパラメータの再算出などの一連の処理を行ってもよい。
つまり、ユーザは、横軸を台車16の軌道上の位置とし、縦軸を台車16の速度とする図7に示した速度カーブを用いて、台車16の走行のシミュレーションを行なってもよい。
【0044】
[バー]
図3(B)に示した具体例では、1つの水平バー(水平バー1)と、4つの垂直バー(垂直バー1〜4)とが表示されているが、バーの数は、適宜変更されてもよい。
例えば、図3(A)に示した設定画面120の設定エリア122において「表示するバーの数」を入力できるように、設定画面120を構成してもよい。
【0045】
[警告]
制御端末10のシミュレーションプログラム20は、シミュレーションの結果とともに、「速度オーバー」や「オーバーラン」の旨を示す警告を表示するかわりに、バーの移動をできないように制御してもよい。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る台車制御システム1によれば、ユーザは容易に、台車16のシミュレーションを行い、制御することができる。
また、速度カーブ上に、台車16の速度情報がプロットされるので、ユーザは、台車16の走行状態を容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・台車制御システム、10・・・制御端末、制御器12・・・制御器、14・・・中継器、16・・・台車、18・・・軌道、100・・・CPU、102・・・メモリ、104・・・記憶装置、108・・・無線通信装置、110・・・入出力装置、112・・・システムバス、120・・・設定画面、122・・・設定エリア、124・・・OKボタン、20・・・シミュレーションプログラム、22・・・設定部、24・・・再設定部、26・・・速度情報表示部、200・・・記憶部、220・・・パラメータ受入れ部、222・・・計算部、224・・・パラメータ出力部、226・・・表示部、240・・・設定変更受入れ部、242・・・判断部、244・・・パラメータ出力部、246・・・表示制御部、248・・・再表示部、260・・・速度情報取得部、262・・・速度情報表示部、30・・・台車制御プログラム、300・・・パラメータ受信部、302・・・台車制御部、304・・・速度情報取得部、306・・・速度情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を走行する台車の速度と、時間または前記軌道上の台車の位置とを示すグラフを表示するグラフ表示手段と、
前記グラフの表示の変更を受入れるグラフ変更受入れ手段と、
前記グラフ変更受入れ手段から受け入れたグラフの表示の変更に基づいて、前記グラフを変更するグラフ変更手段と、
前記変更されたグラフに従って、前記台車の走行を制御する制御手段と
を有し、
前記台車は、
前記制御手段の制御に従って走行する
台車制御システム。
【請求項2】
前記グラフ変更受入れ手段から受け入れたグラフの表示の変更が、予め決められた許容値を超える場合に、警告を表示する警告表示手段
をさらに有する請求項1に記載の台車制御システム。
【請求項3】
前記台車から台車の速度情報を受け入れる速度情報受入れ手段と、
前記受け入れた台車の速度情報を、前記表示されたグラフ上にプロットする速度情報表示手段と
をさらに有する
請求項1に記載の台車制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−249453(P2010−249453A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101056(P2009−101056)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】