説明

各種床暖房装置の性能データ比較支援システム及びそれに用いるコンピュータプログラム並びに記憶媒体

【課題】熱源タイプの相違及び使用環境の相違する異機種の床暖房装置の製品の性能データの比較を迅速かつ容易に行うことができる各種床暖房装置の性能データ比較支援システムを提供する。
【解決手段】制御装置11を構成するCPU12にROM13及びRAM14を接続するとともに、外部記憶装置19を接続し、外部記憶装置19に性能データのテーブル20、時系列データテーブル21、熱画像データテーブル22を設ける。前記CPU12に比較対象リスト表示指示部31及び性能データ図形表示指示部32を設け、予め記憶されたデータファイルを表示装置17の画面に表示し、データファイルにリストアップされている多数の比較対象リストの床暖房装置の製品の中から特定の比較対象となる複数の製品を選択する。そして、選択された各製品の性能データを表示装置17の画面に図形として表示し、この図形に基づいて各製品の性能データの優劣を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種床暖房装置の性能データ比較支援システム及びそれに用いるコンピュータプログラム並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、戸建住宅あるいは集合住宅において、室内を暖房する装置として床暖房装置が普及している。床暖房装置は、室内の床表面を30℃程度に温め、床からの熱放射によって暖房する方式である。30℃程度の物体から放射される輻射熱は、人体の皮膚の2mm下にある温熱帯を直接刺激するため、対流式の暖房装置に比べて温かさを感じさせる。又、対流式に比べて、室内の温度差が小さく、足下から温めるため、頭寒足熱の理想的な暖房環境が得られる。
【0003】
現在普及している床暖房装置は、一般に熱源によって二種類に分類されている。その方式は、電気ヒータによる電気式と、温水を循環させる温水式とである。特にガスを熱源とした温水式がここ数年の間に急激に普及している。
【0004】
一方、ガスや灯油を使用しないオール電化住宅が電力会社によって推奨されている。オール電化住宅は、利便性や経済性等から年々増加傾向を示しているものの、床暖房装置に関しては温水式が主流となっている。
【0005】
電力各社においては、営業マンが顧客に電気式床暖房装置を推奨するためには、ガス温水式の床暖房装置に対する電気式の床暖房装置の優位性を示す必要があるが、床暖房装置の性能は、建物の断熱性能に大きく影響される。又、電気式床暖房装置は、電気ヒータ方式とヒートポンプで温水を循環させる方式とがあり、前者は非常に種類が多く、後者は外気温度や設定温度により性能が変化する。さらに、温水式と電気式の床暖房装置で性能を評価する手法が異なっているので、電気式床暖房装置と他のガス方式或いは灯油方式の床暖房装置との性能を比較する性能データ比較支援システムは提案されていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の各種の床暖房装置においては、熱源タイプの相違、床暖房装置を使用する使用環境の相違によって性能が異なり、前述したように各種の床暖房装置の性能の相違を簡単かつ迅速に比較する性能データ比較支援システムはなかった。このため、床暖房装置の各種製品のそれぞれの性能の相違を営業マンが簡単かつ迅速に知ることができないので、熱源タイプの相違あるいは使用環境の相違によってどの機種の製品が性能上優位であるかを迅速に比較判別することが難しいという問題があった。
【0007】
又、営業マンが顧客のニーズ、つまり設置予定の床暖房装置の熱源タイプ及び各種の使用環境を聞き出しても、その顧客のニーズに応じた床暖房装置の各種の性能を判定することは、面倒な作業が必要となるため、非常に難しい。まして、顧客のニーズの床暖房装置と、他機種の床暖房装置との性能の比較を行うことはさらに困難となる。従って、如何なる機種の床暖房装置が顧客のニーズに適した優位なものであるかを判定して顧客に説明することが極めて難しいのが現状である。
【0008】
本発明の第1の目的は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、熱源タイプの相違及び使用環境の相違する異機種の床暖房装置の製品の性能データの比較を迅速かつ容易に行うことができる各種床暖房装置の性能データ比較支援システム及びそれを実行するコンピュータプログラム並びに記憶媒体を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、上記第1の目的に加えて、顧客のニーズに適合した床暖房装置の製品の各種の性能データを迅速かつ容易に顧客に提案することができるとともに、顧客のニーズに適合した製品の性能データと、他の製品の性能データとを容易に比較して有利な製品の機種を顧客に提案することができる各種床暖房装置の性能データ比較支援システム及びそれを実行するコンピュータプログラム並びに記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、各種の演算処理動作を行うCPUと、各種の処理動作を行うコンピュータプログラムを記憶したプログラム記憶媒体と、各種のデータを記憶するデータ記憶媒体と、入力手段及び表示装置とを備え、前記データ記憶媒体には、床暖房装置の複数種の製品データ、各製品毎の熱源タイプのデータ、各製品毎の使用環境のデータ、各製品毎の性能データ、各性能データの性能値に基づいて図形化された図形データが予め記憶され、前記CPUには、前記コンピュータプログラムに基づいて、前記各製品の熱源タイプを表示する熱源タイプ表示エリア、各製品の使用環境を表示する使用環境表示エリア、各製品の性能データを表示する性能データ表示エリア及び比較対象の製品を選択する比較対象選択部を備えた多数の比較対象をリスト化して表示するデータファイルを作成して前記表示装置の画面に表示する機能が備えられ、前記CPUには、コンピュータプログラムに基づいて、前記比較対象選択部により選択された複数の製品に関する図形データを、前記データ記憶媒体から読み出して表示装置の画面に表示する機能が備えられていることを要旨とする。
【0011】
請求項1記載の発明は、入力手段が操作されて、前記CPU及びコンピュータプログラムにより、多数の比較対象がリスト化して表示されたデータファイルが作成されて表示装置の画面に表示される。このデータファイルに表示されている多数の比較対象のうち必要な複数の比較対象が比較対象選択部により選択される。選択された複数の比較対象の製品に関する図形データが、前記データ記憶媒体から読み出されて表示装置の画面に表示される。このため、営業マンが図形データを目視することにより選択された複数種の製品の性能データの優劣を容易に比較することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記データファイルの前記熱源タイプ表示エリアには、電熱方式、ヒートポンプ方式、ガス方式、灯油方式の各方式のいずれかが表示され、前記使用環境表示エリアには、戸建又は集合の建物種類、外気温度、部屋面積、断熱性能、運転時間及び暖房パネルの床面への敷設率の各使用環境項目のうち少なくとも一つあるいは複数の組み合わせが表示され、前記性能データ表示エリアには、床温度、室内温度、室内温熱環境指標、床温度変動幅、床温度の立上り時間(速暖性)、エネルギーの消費量、二酸化炭素の排出量、ランニングコスト、閉塞温度、熱画像平均及び熱画像温度差の各性能データ項目のうち少なくとも一つあるいは複数の組み合わせが表示されるように構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項2の発明は、熱源タイプ及び複数の使用環境項目のうち少なくとも一つあるいは複数の組み合わせが表示されるので、床暖房装置の製品の構成及び使用環境が具体化され、現実に即した製品の性能データの優劣を容易に比較することができる。又、前記性能データとして、複数の性能データ項目のうち少なくとも一つあるいは複数の組み合わせが表示されるので、有用な性能データの比較を行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記データファイルには、熱源タイプ及び使用環境の複数の項目をそれぞれ個別に選択する選択指定部が設けられ、前記CPUには顧客用製品有無判定部が設けられ、入力手段によって、前記熱源タイプ表示エリア及び前記使用環境表示エリアにおいて、顧客のニーズに応じて熱源タイプ及び使用環境項目がそれぞれ選択設定されると、前記顧客用製品有無判定部によって選択設定された熱源タイプ及び使用環境項目に適合する製品が前記データファイルの比較対象リストのなかに有るか否か判定され、製品が有ると判断された場合には、その製品が前記データファイルに表示されるように構成されていることを要旨とする。
【0015】
請求項3の発明は、営業マンが顧客の製品の熱源タイプ及び使用環境を聴取し、これを入力手段によって設定すると、これに適合する製品が有る場合には、前記データファイルの比較対象リストに表示される。このため、顧客のニーズに応じた製品と、他の製品との性能データの優劣の比較を迅速かつ容易に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記データファイルには、熱源タイプ及び使用環境の複数の項目をそれぞれ個別に選択する選択指定部が設けられ、前記CPUには前記選択指定部により選択されたデータに基づいて、製品の比較対象リストのリスト数を絞り込む比較対象リスト絞り込み部が設けられていることを要旨とする。
【0017】
請求項4の発明は、多数の比較対象リストの中から必要な比較対象の製品を選択してリスト数を少なくすることができるので、最終的に比較対象となる複数の製品の選択作業を、迅速かつ容易に行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記CPUには、前記コンピュータプログラムに基づいて、表示装置の画面に表示されたデータファイルの性能データ表示エリアの各性能項目毎に製品の性能データを順位付けするための性能データ順位付け部が設けられていることを要旨とする。
【0019】
請求項5の発明は、床暖房装置の多数の比較対象リストの各製品のそれぞれの性能データの優劣を容易に判別することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の各種床暖房装置の性能データ比較支援システムの動作を制御するために用いられるコンピュータプログラムを要旨とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載されたコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体を要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明によれば、熱源タイプの相違及び使用環境の相違する異機種の床暖房装置の製品の性能データの比較を迅速かつ容易に行うことができる。
【0022】
請求項3〜7のいずれか一項に記載の発明によれば、顧客のニーズに適合した床暖房装置の製品の各種の性能データを迅速かつ容易に顧客に提案することができるとともに、顧客のニーズに適合した製品の性能データと、他の製品の性能データと容易に比較して有利な製品を顧客に提案することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した各種床暖房装置の性能データ比較支援システムの一実施形態を図面にしたがって説明する。
最初に、図1に基づいてこの実施形態の性能データ比較支援システムのハードウェア構成を説明する。
【0024】
制御装置11には、各種のデータ及び演算式等に基づいて各種の演算、処理、判別、比較動作を行なうための中央演算処理装置(CPU)12が設けられている。前記CPU12には本システムの基本動作及び性能データ比較支援動作を行なうためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータプログラム記憶媒体としてのROM(リードオンリーメモリ)13が図示しない入出力インターフェイスを介して接続されている。前記CPU12には各種データを記憶するための読み出し書き込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)14が図示しない入出力インターフェイスを介して接続されている。
【0025】
前記CPU12には各種のデータを入力したり、前記CPU12に各種の動作信号、指令信号を入力したりするための入力手段としてのキーボード15が接続されている。又、前記CPU12には各種の処理動作の選択、指示動作等を行うための入力手段としてのマウス16が接続されている。
【0026】
前記CPU12には図示しないインターフェイスを介して各種のデータを文字や画像として表示するための画面17aを有する表示装置17が接続されるとともに、各種のデータを用紙にプリントアウトするためのプリンタ18が接続されている。
【0027】
前記CPU12には図示しないインターフェイスを介してデータ記憶媒体としての例えばハードディスク等の外部記憶装置19が接続されている。この実施形態では、外部記憶装置19に、マイクロソフト(Microsoft )社製のアクセスのMDBファイルが備えられている。この外部記憶装置19には、床暖房装置の各種の製品に関する多数の製品データを記憶するとともに、各製品の複数の性能データを記憶した製品データ及び性能データのテーブル20が設けられている。又、前記外部記憶装置19には床暖房装置の各種の製品の性能に関する図形データとしての多数の時系列データを記録した時系列データテーブル21が設けられている。この時系列データテーブルには、前記性能データの性能値に基づいて作成された製品番号と経過時間及び時系列データ(図形データ)が登録されている。この時系列データに基づい前記表示装置17の画面17aに図形データを例えば棒グラフや折線グラフとして表示できるようにしている。さらに、前記外部記憶装置19には床暖房装置の各種の製品の例えば床面温度分布等の熱画像データを記録した熱画像データテーブル22が設けられている。この熱画像データテーブル22から製品番号に対応した熱画像データのファイルが取り出されて、表示装置17の画面17aに床面温度分布画像等が表示されるようにしている。
【0028】
次に、前記制御装置11のCPU12の機能について説明する。
前記CPU12には前記ROM13に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、前記外部記憶装置19の製品データ及び性能データのテーブル20から多数の製品データ及び性能データが床暖房装置の各種の製品毎に比較対象としてリスト化されて表示されたデータファイル(図4の画面参照)を表示装置17の画面17aに表示させるための比較対象リスト表示指示部31が設けられている。又、前記CPU12には前記コンピュータプログラムに基づいて、前記比較対象リストから選択された比較対象の製品の図形に関する性能データを表示させるための性能データ図形表示指示部32が設けられている。さらに、前記CPU12には前記コンピュータプログラムに基づいて電力会社の営業マンが顧客から聴取したニーズ、つまり床暖房装置の製品の熱源タイプ及び使用環境に対応する製品が前記データファイルの比較対象リストの中に有るか否かを判定するための顧客用製品有無判定部33が設けられている。前記CPU12には前記コンピュータプログラムに基づいてデータファイルに記憶された各種製品の多数の比較対象リストの中から比較に必要な比較対象(製品)を絞り込むための比較対象リスト絞り込み部34が設けられている。加えて、前記CPU12には前記コンピュータプログラムに基づいて前記データファイルに表示された床暖房装置の製品の複数の項目の性能データについて、それぞれ個別に性能の順位付を行うための性能データ順位付け部35が設けられている。
【0029】
次に、図2に基づいて、この実施形態において対象とする床暖房装置の各種の製品の性能データの検索項目の具体例について説明する。
性能データの検索項目としては、図2の左端に示すように大別して、安定運転時(運転開始後10〜12時間)、速暖性能(床面温度27℃到達時間)、省エネ性能、経済性(運転開始から床面27℃到達後から4時間)、安全性(床閉塞後最高到達温度)、床面温度分布の六項目がある。前記安定運転時の表記内容としては、床面温度、室内温度、PMV(室内温熱環境指標)及び床温度変動幅の四項目がある。これらの四項目の具体的な内容については図2の説明の欄に記載された通りであるため説明を省略する。又、速暖性能として、立上り時間があり、省エネ性能として、エネルギー消費量とCO排出量がある。経済性についてはランニングコスト、安全性については、閉塞温度(低温火傷)、床面温度分布については、熱画像平均及び熱画像温度差がある。これらの各項目の具体的な内容についても図2の説明の欄に記載された通りであるため説明を省略する。
【0030】
ここで、図4に基づいて、コンピュータのソフトウエアを作成する専門家によって予め作成され、床暖房装置の多数種の製品毎の比較対象リストを記憶表示したデータファイルの構成及び機能について説明する。この実施形態では、前記制御装置11にはソフトウエアとして、マイクロソフト社製のウインドウズ(登録商標)XPがインストールされ、このソフトウエアをベースに性能データ比較支援システムのコンピュータプログラムが作成されている。図4に示すように表示装置17の画面17aには、性能データ比較支援システムの各種のデータの設定や表示項目設定用の設定用ファイル41と、床暖房製品選択画面のデータファイル42とが表示される。
【0031】
前記設定用ファイル41には、各種の設定動作を行うための設定用ボタン43が設けられている。前記データファイル42には床暖房装置の各種の製品毎の比較対象リストを表示する比較対象リスト表示エリア44が設けられている。この比較対象リスト表示エリア44には比較対象として各製品のメーカー名、製品名及び熱源タイプが設けられ、使用環境として例えば建物種類及び外気温度が設けられている。又、各製品の性能データの評価項目として、床温、室温、PMV、床温変動幅、速暖性、エネルギーの消費量、COの排出量、上面率(室内で有効に利用される熱の割合)、ランニングコスト、閉塞温度及び床面温度分布が設けられている。
【0032】
前記比較対象リストの製品のメーカー名の左側には、特定の比較対象(製品)を個別に選択するための比較対象選択部としての選択用アイコン45が設けられている。又、前記比較対象リスト表示エリア44の上方には、多数の比較対象リストを少数の比較対象リストに絞り込むための選択指定部としての機能を有するリスト絞り込み部46が設けられている。このリスト絞り込み部46には、プルダウンキー46aを操作することによりメーカー、熱源タイプ、建物種類及び外気温をそれぞれ個別に選択して絞り込みを行うことができるようになっている。前記リスト絞り込み部46の上方には前記選択用アイコン45によって最終的に例えば三つに絞り込まれた比較対象リストの床暖房性能比較表(図6参照)を、前記CPU12に設けられた性能データ図形表示指示部32の機能によって表示させるためのタグ47が設けられている。
【0033】
前記各評価項目の左側にはそれぞれアイコン48が設けられ、これらのアイコン48をクリックすると、前記CPU12に設けられた性能データ順位付け部35の機能によって、性能データの各評価項目の順位付けが行われ、例えば性能データの良いものから順番に比較対象リスト表示エリア44の比較対象が並べ替えられ、床暖房装置の各製品の性能データの優劣を営業マンが容易に判別することができるようになっている。
【0034】
この実施形態においては、前記比較対象リスト表示エリア44にはメーカーとして例えば13社が登録され、熱源タイプとして、電熱方式〔ニクロム線方式とPTC(正温度特性)ヒータ方式の二方式〕、ヒートポンプ方式、ガス方式及び灯油方式の計五つの方式が登録され、建物種類として戸建と集合の二つが登録され、外気温として7℃、2℃、−5℃の三つの温度が登録されている。この実施形態では、比較対象リストの製品のリスト数として、製品の計35機種と、三つの外気温とに基づいて、リスト数=35×3=105として設定登録されている。
【0035】
前記データファイル42には、比較対象リストが絞り込まれた状態から全ての比較対象リストが表示された画面を一括して表示させるための一括表示ボタン49が設けられるとともに、性能データ比較支援システムを終了するための終了ボタン50が設けられている。
【0036】
前記比較対象リスト表示エリア44の右側には、比較対象リストをスクロールして全て非表示のリストを表示するためのスクロールキー51が設けられている。
又、前記制御装置11には、図4に示す設定用ファイル41を画面17aに表示した状態で、前記外部記憶装置19の製品データ及び性能データのテーブル20、時系列データテーブル21及び熱画像データテーブル22に記憶された各種の性能データを更新するための機能が付与されている。
【0037】
次に、前記のように構成された各種床暖房装置の性能データ比較支援システムの動作について説明する。図1に示すROM13に記憶されたコンピュータプログラムは、以下の各種の動作を実行するように作成されている。
【0038】
最初に、図1に示す性能データ比較支援システムの起動状態において、前記キーボード15及びマウス16を操作して、図3のステップS1に示すように、表示装置17の画面17aにマイクロソフト社製のウインドウズ(登録商標)の初期画面を表示する。次に、ステップS2において、表示されたデータファイルズ(Windows:登録商標)のスタートボタンをクリックして、表示された〔全てのプログラム〕から性能データ比較支援システムを選択して、該システムを起動する。すると、ステップS3において、表示装置17の画面17aに図4に示す床暖房製品選択画面のデータファイル42が表示される。
【0039】
次に、ステップS4において、前記リスト絞り込み部46の四つの検索項目についてそれぞれいずれか一つを選択して、比較対象リストの多数の製品の中から数種類(例えば5〜10種類)の比較対象リストに絞り込む。そして、ステップS5で、絞り込まれた複数の比較対象リストを画面17aに表示されたデータファイル42の先頭に表示する。この状態で、さらに、ステップS6で、前記選択用アイコン45をクリックすることによって、最終的に三つの比較対象の製品を選択する。これによって、図5に示すようにデータファイル42に三つの製品が画面に表示される。次に、ステップS7で、図4のタグ47をクリックすることによって、CPU12の性能データ図形表示指示部32の機能によって、図6に示すように選択された三つの比較対象の製品のそれぞれの性能値、各種の性能データの棒グラフ及び快適性に関する性能データの時系列データのグラフが表示される。このため、ステップS8で、三つの製品(これを製品A,B,Cという)の性能データの優劣を営業マンが目視によって迅速に判断することができる。具体的には図6に示すように三つの製品A,B,Cの例えばランニングコストの優劣が一目で確認でき、床面温度の経時変化、室内温度の経時変化及びPMVの経時変化の相違が容易に判別でき、各製品A,B,C間の優劣を容易に判定することができる。
【0040】
次に、図7〜図10に基づいて、性能データ比較支援システムの別の性能データ比較機能について説明する。
最初に、図8に基づいて表示装置17の画面17aに表示されたデータファイル42の構成及び機能について説明する。このデータファイル42の比較対象リスト表示エリア44には暖房装置の各製品の熱源タイプが表示されるとともに、使用環境項目として、住宅種類、地域(外気温)、部屋面積、断熱性能、運転時間及び暖房パネルの敷設率が表示されている。又、性能データ項目として、快適度、ランニングコスト、エネルギーの消費量、COの排出量、速暖性及び室温が表示されている。前記比較対象リスト表示エリア44の上方には、リスト絞り込み部46として、熱源タイプ、住宅種類、地域、部屋面積、断熱性能、運転時間及び敷設率が設けられている。これらの各項目については、図7に記載されているように、住宅種類として、木造戸建、RC造マンションのいずれかが選択される。部屋面積は約20畳と10畳の二種類のいずれかが選択される。又、地域(外気温)として、例えば、名古屋市、長野市、高山市の三つの地域のいずれかが選択される。さらに、運転時間は共働き型(7〜10時、17〜23時)及び主婦型(7〜23時)のいずれかが選択される。パネルの敷設率は、50%、60%、70%の三つのいずれかが選択される。
【0041】
図8には、比較対象リストの製品のリスト数が15しか表示されていないが、実際には、例えば144種の製品がリストアップされている。これは、図7に示す入力項目が六項目で、各項目の選択数が( )内に示すようにそれぞれ、2、2、3、2、2、3となっているので、それらの組み合わせは、144通りとなり、データファイル42の比較対象の製品のリスト数が144となっている。これらの製品は図4に示すスクロールキー51を操作することにより全て画面で確認することができる。
【0042】
この別の性能データ比較動作を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
図9のステップS1〜S3は、前述した図3のステップS1〜S3と同じである。図9のステップS4において、顧客が施工を予定している床暖房装置の製品の熱源タイプ、使用環境の六つの項目をそれぞれ聴取し、これらの各項目の具体的なデータに基づいて、図8に示す検索項目の全ての項目を設定する。そして、図9のステップS5において、顧客のニーズに対応する製品が多数の比較対象リストの製品の中に有るか否かがCPU12の顧客用製品有無判定部33の機能によって判定される。ステップS5で、この顧客のニーズに対応する製品が有る場合には、ステップS6で、顧客のニーズに対応する製品がデータファイル42の比較対象リストの先頭に表示される。この顧客ニーズ対応の製品の性能データの出力項目は、図7に示すように、快適度、ランニングコスト、1次エネルギー消費量、年間CO排出量、速暖性、室温の六項目となっており、それらについて右側の四角枠内に説明が付されている。
【0043】
図9のステップS7で選択用アイコン45がクリックされて、顧客のニーズの製品と、他の二つの製品の計三つの製品A,B,Cが選択される。そして、ステップS8で、タグ47を操作して、三つの製品A,B,Cの性能データを、CPU12の性能データ図形表示指示部32の機能に基づいて、図10に示すように表示する。この図形データに基づいて、ステップS9で、例えば年間の経済性としてランニングコストの優劣が棒グラフによって容易に判定することができる。又、快適性についての例えば室内温度、床面温度あるいはMRT(平均放射温度)等の三つの製品A,B,C間の性能の優劣を容易に判定することができる。
【0044】
次に、前記のように構成した各種の床暖房装置の性能データ比較支援システムの効果について説明する。
(1)上記実施形態では、図4に示すように、床暖房装置のメーカー、製品名及び熱源タイプを表示するとともに、使用環境として建物種類及び外気温度を表示し、これらの比較対象の暖房装置の製品について、予め試験装置により性能データの各項目、すなわち床温度、室温、PMV等の性能データの評価項目を、それぞれ測定してデータベースとして外部記憶装置19に予め記憶した。又、多数の比較対象リストの製品の中から比較したい複数の製品を選択して、それらの製品の性能データを図形データとして表示装置17の画面17aに表示できるようにした。このため、営業マンが性能データ比較支援システムの簡単な操作によって、床暖房装置の複数種の製品の性能データの優劣を画面において容易に判別することができる。
【0045】
(2)上記実施形態では、前記リスト絞り込み部46によって、メーカー、熱源タイプ、建物種類及び外気温を選択して、各比較対象リストのリスト数の絞り込みを行うようにしたので、最終的に比較しようとする例えば三つの製品の選定作業を容易に行うことができる。
【0046】
(3)上記実施形態では、前記比較対象リスト表示エリア44に設けた性能データの評価項目と対応してアイコン48を設け、該アイコン48をクリックすると、各評価項目の性能データの順位付けが行われるようにしたので、比較対象リストの全ての製品について、性能データの優劣を容易に判別することができる。
【0047】
(4)上記実施形態では、図10に示す画面において、顧客のニーズに基づいて、床暖房装置の熱源タイプ、使用環境として住宅種類、地域、部屋面積、断熱性能、運転時間及びパネルの敷設率を具体的に選択設定することによって、顧客ニーズに適合した床暖房装置の製品が有るか否かを容易に判定することができる。そして、顧客ニーズに適合した製品が有る場合には、その性能データを、他の製品の性能データと容易に比較することができる。このため、営業マンは顧客のニーズに適合した製品の性能データを他の製品の性能データとを容易に比較して、その優劣を説明することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図4に示す比較対象リスト表示エリア44に対し性能データの評価項目として、建物種類及び外気温以外に、部屋面積、断熱性能、運転時間、パネルの敷設率を設けるようにしてもよい。
【0049】
・図4及び図8に示すデータファイル42の比較対象リスト表示エリア44に対し、建物種類、外気温度、部屋面積、断熱性能、運転時間及び暖房パネルの床面への敷設率の各使用環境項目のうち、少なくともいずれか一つあるいは複数の可能な全ての組み合わせを表示するようにしてもよい。
【0050】
・図4及び図8に示すデータファイル42の比較対象リスト表示エリア44に対し、床温度、室内温度、室内温熱環境指標、床温度変動幅、床温度の立上り時間(速暖性)、エネルギーの消費量、二酸化炭素(CO)の排出量、ランニングコスト、閉塞温度、熱画像平均及び熱画像温度差の各性能データ項目のうち、少なくともいずれか一つあるいは複数の可能な全ての組み合わせを表示するようにしてもよい。
【0051】
・前記実施形態では、三つの製品の性能データを図形データとして表示するようにしたが、これに代えて、二つの製品あるいは四つ以上の製品の性能データを図形データとして画面17aに表示するようにしてもよい。
【0052】
・図10に示す比較対象リスト表示エリア44に対し、メーカー名及び製品名を表示する表示部を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の各種床暖房装置における性能データ比較支援システムを具体化した一実施形態を示すブロック回路図。
【図2】各種の性能データの検索項目、評価項目及び各評価項目の内容を説明するための説明図。
【図3】各種床暖房装置の性能データを比較する動作を説明するためのフローチャート。
【図4】表示装置の画面に表示されたデータファイルを示す正面図。
【図5】データファイルの絞り込まれた比較対象リストの正面図。
【図6】床暖房装置の性能データの性能値の説明図、及び各種の性能データの評価項目の図形データを示すグラフ。
【図7】床暖房装置の使用環境の入力項目及び出力項目を示す説明図。
【図8】表示装置の画面に表示されたデータファイルを示す正面図。
【図9】各床暖房装置の性能データを比較する動作を説明するためのフローチャート。
【図10】絞り込まれた比較対象リストの製品の性能データを示すグラフ。
【符号の説明】
【0054】
A,B,C…製品、12…CPU、17…表示装置、17a…画面、31…比較対象リスト表示指示部、32…性能データ図形表示指示部、33…顧客用製品有無判定部、34…比較対象リスト絞り込み部、35…性能データ順位付け部、42…データファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の演算処理動作を行うCPUと、各種の処理動作を行うコンピュータプログラムを記憶したプログラム記憶媒体と、各種のデータを記憶するデータ記憶媒体と、入力手段及び表示装置とを備え、
前記データ記憶媒体には、床暖房装置の複数種の製品データ、各製品毎の熱源タイプのデータ、各製品毎の使用環境のデータ、各製品毎の性能データ、各性能データの性能値に基づいて図形化された図形データが予め記憶され、
前記CPUには、前記コンピュータプログラムに基づいて、前記各製品の熱源タイプを表示する熱源タイプ表示エリア、各製品の使用環境を表示する使用環境表示エリア、各製品の性能データを表示する性能データ表示エリア及び比較対象の製品を選択する比較対象選択部を備えた多数の比較対象をリスト化して表示するデータファイルを作成して前記表示装置の画面に表示する機能が備えられ、
前記CPUには、コンピュータプログラムに基づいて、前記比較対象選択部により選択された複数の製品に関する図形データを、前記データ記憶媒体から読み出して表示装置の画面に表示する機能が備えられていることを特徴とする各種床暖房装置の性能データ比較支援システム。
【請求項2】
請求項1において、前記データファイルの前記熱源タイプ表示エリアには、電熱方式、ヒートポンプ方式、ガス方式、灯油方式の各方式のいずれかが表示され、前記使用環境表示エリアには、戸建又は集合の建物種類、外気温度、部屋面積、断熱性能、運転時間及び暖房パネルの床面への敷設率の各使用環境項目のうち少なくともいずれか一つあるいは複数の組み合わせが表示され、前記性能データ表示エリアには、床温度、室内温度、室内温熱環境指標、床温度変動幅、床温度の立上り時間(速暖性)、エネルギーの消費量、二酸化炭素(CO)の排出量、ランニングコスト、閉塞温度、熱画像平均及び熱画像温度差の各性能データ項目のうち少なくともいずれか一つあるいは複数の組み合わせが表示されるように構成されていることを特徴とする各種床暖房装置の性能データ比較支援システム。
【請求項3】
請求項2において、前記データファイルには、熱源タイプ及び使用環境の複数の項目をそれぞれ個別に選択する選択指定部が設けられ、前記CPUには顧客用製品有無判定部が設けられ、入力手段によって、前記熱源タイプ表示エリア及び前記使用環境表示エリアにおいて、顧客のニーズに応じて熱源タイプ及び使用環境項目がそれぞれ選択設定されると、前記顧客用製品有無判定部によって選択設定された熱源タイプ及び使用環境項目に適合する製品が前記データファイルの比較対象リストのなかに有るか否か判定され、製品が有ると判断された場合には、その製品が前記データファイルに表示されるように構成されていることを特徴とする各種床暖房装置の性能データ比較支援システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記データファイルには、熱源タイプ及び使用環境の複数の項目をそれぞれ個別に選択する選択指定部が設けられ、前記CPUには前記選択指定部により選択されたデータに基づいて、製品の比較対象リストのリスト数を絞り込む比較対象リスト絞り込み部が設けられていることを特徴とする各種床暖房装置の性能データ比較支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記CPUには、前記コンピュータプログラムに基づいて、表示装置の画面に表示されたデータファイルの性能データ表示エリアの各性能項目毎に製品の性能データを順位付けするための性能データ順位付け部が設けられていることを特徴とする各種床暖房装置の性能データ比較支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の各種床暖房装置の性能データ比較支援システムの動作を制御するために用いられるコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載されたコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−101608(P2010−101608A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276035(P2008−276035)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】